特許第5797048号(P5797048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5797048可動式ホームゲート装置の基礎構造部材とそれを用いた基礎構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797048
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】可動式ホームゲート装置の基礎構造部材とそれを用いた基礎構造
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   B61B1/02
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-165490(P2011-165490)
(22)【出願日】2011年7月28日
(65)【公開番号】特開2013-28270(P2013-28270A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】玄地 一夫
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴志
【審査官】 黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−106062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームの線路端に沿って可動式ホームゲート装置を設置するための基礎構造部材であって、
可動式ホームゲート装置の荷重を受ける台座部と、該台座部に支えられた状態で前記可動式ホームゲート装置から導出される配線を、プラットホームの床板の下方へと誘導する配線案内部とを含み、
該配線案内部は、前記配線を、前記可動式ホームゲート装置の前記配線の導出部から平面視でオフセットした位置へと案内した後、プラットホームの床板の下方へと誘導するための、折れ曲がった配線案内路を構成するものであることを特徴とする基礎構造部材。
【請求項2】
前記配線案内部は、前記可動式ホームゲート装置の載置面を有すると共に前記配線を水平方向へと案内する水平方向案内部と、該水平方向案内部に形成された配線の受け入れ口に対し平面視でオフセットした位置に設けられた、垂直方向案内部とを備えることを特徴とする請求項1記載の基礎構造部材。
【請求項3】
前記水平方向案内部は、少なくとも可動式ホームゲート装置のベースプレートを載置可能な面積の載置面を有する箱状をなし、前記垂直方向案内部は、少なくとも前記配線を挿通可能な直径を有する管状をなし、前記水平方向案内部に対して側面視でL字状に配置されていることを特徴とする請求項2記載の基礎構造部材。
【請求項4】
前記水平方向案内部は、少なくとも可動式ホームゲート装置のベースプレートを載置可能な面積の載置面を有する箱状をなし、前記垂直方向案内部は、前記水平方向案内部の下面に形成された、少なくとも前記配線を挿通可能な直径を有する開口であることを特徴とする請求項2記載の基礎構造部材。
【請求項5】
前記水平方向案内部には、前記配線の受け入れ口から、前記垂直方向案内部へ向けて配線を案内するための、ガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項3又は4記載の基礎構造部材。
【請求項6】
前記垂直方向案内部は、前記可動式ホームゲート装置よりもプラットホームの線路端に近い位置となるように位置決めされて、前記台座部が前記プラットホームに設置されることを特徴とする請求項から5のいずれか1項記載の基礎構造部材。
【請求項7】
プラットホーム上の線路端に沿って設置される可動式ホームゲート装置の基礎構造であって、
プラットホームの線路端に沿ってプラットホーム上面から複数形成される凹部と、
該凹部の底面から、前記プラットホームの床部をその下方より支持する構造物を避ける位置にてプラットホームの床板の下面へ穿孔される貫通穴と、
該貫通穴に前記配線案内部を一致させた状態で前記凹部内に設置される、請求項1から6のいずれか1項記載の基礎構造部材と、を含むことを特徴とする可動式ホームゲート装置の基礎構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道等のプラットホームに設置される、可動式ホームゲート装置の基礎構造部材とそれを用いた基礎構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道のプラットホームからの旅客転落事故を防ぐために、線路とホームとを隔てる可動式ホームゲート装置が普及してきている。可動式ホームゲート装置は、プラットホームの線路端に沿って柵を設け、なおかつ、鉄道車両の停止位置で側扉に面する部分を開閉可能な開口部とすることで、鉄道車両に対する旅客の乗降を可能としている。
図5には、プラットホーム10に可動式ホームゲート装置12を設置する構造が例示されている。図示の例では、プラットホーム10の線路端10aに沿って、プラットホーム上面から一定深さの凹部14が形成され、凹部14の底面からプラットホーム10の床板の下面へ貫通穴16が穿孔されている。そして、凹部14に、台座18が一体化された中空パイプ20が設置される。この台座18には、可動式ホームゲート装置12が載置・固定され、可動式ホームゲート装置12から導出される配線22は、中空パイプ20内に挿通されることで、プラットホーム10の床板の下方へと案内される。そして、配線22は、プラットホーム10の床板の下方に設置されたラック24によって、線路と平行な方向へと引き回される。更に、配線22は、電源及び制御装置に接続され、可動式ホームゲート装置12の動作制御系の配線が完了するものである(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−106062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図5に示される可動式ホームゲート装置の設置構造は、図示の如く、プラットホーム10の線路端10aから一定幅に渡って、床板の下方に障害物が存在せず、プラットホーム10の床板が鍔状に突出しているような場合に採用可能なものである。しかしながら、既存のプラットホームには、その床板を支えるために、プラットホーム10の線路端10aに沿ってホーム鉄骨等の構造物(図1の符号26参照)が存在する構造も多く、このような既存のプラットホームに対して、図5に示される可動式ホームゲート装置の設置構造をそのまま採用することは困難である。このような場合には、例えば、プラットホーム10の大規模改修を施し、プラットホーム10の線路端10aから一定幅の範囲の構造物を撤去するか、少なくとも、可動式ホームゲート装置の設置構造部の周辺部のみ、大幅な補強を施した上で構造部に貫通穴を設ける等の対策が必要となる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プラットホームの床板を支える構造の如何に関わらず、プラットホームの線路端に沿って、可動式ホームゲート装置を容易に設置することを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。又、各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。よって、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)プラットホームの線路端に沿って可動式ホームゲート装置を設置するための基礎構造部材であって、可動式ホームゲート装置の荷重を受ける台座部と、該台座部に支えられた状態で前記可動式ホームゲート装置から導出される配線を、プラットホームの床板の下方へと誘導する配線案内部とを含み、該配線案内部は、前記配線を、前記可動式ホームゲート装置の前記配線の導出部から平面視でオフセットした位置へと案内した後、プラットホームの床板の下方へと誘導するための、折れ曲がった配線案内路を構成するものである基礎構造部材(請求項1)。
本項に記載の可動式ホームゲート装置の基礎構造部材は、台座部によって可動式ホームゲート装置を支持し、可動式ホームゲート装置から導出される配線を、配線案内部によってプラットホームの床板の下方へと誘導するものである。しかも、配線案内部は、配線を、可動式ホームゲート装置の配線の導出部から平面視でオフセットした位置へと案内した後、プラットホームの床板の下方へと誘導するための、折れ曲がった配線案内路を構成するものである。よって、可動式ホームゲート装置の直下の、プラットホームの構造の如何に関わらず、配線案内部は、適切な位置にてプラットホームを貫通して、配線をプラットホームの床板の下方へと案内するものとなる。
【0007】
(2)上記(1)項において、前記配線案内部は、前記可動式ホームゲート装置の載置面を有すると共に前記配線を水平方向へと案内する水平方向案内部と、該水平方向案内部に形成された配線の受け入れ口に対し平面視でオフセットした位置に設けられた、垂直方向案内部とを備える基礎構造部材(請求項2)。
本項に記載の基礎構造部材は、配線案内部が、可動式ホームゲート装置の載置面を有すると共に配線を水平方向へと案内する水平方向案内部と、該水平方向案内部に対して側面視でL字状に接続され配線を垂直方向へと案内する垂直方向案内部とを備えるものであり、垂直方向案内部が、水平方向案内部に形成された配線の受け入れ口に対し、平面視でオフセットした位置に設けられていることで、可動式ホームゲート装置の直下を通る側面視でL字状に折れ曲がった配線案内路を構成するものである。
【0008】
(3)上記(2)項において、前記水平方向案内部は、少なくとも可動式ホームゲート装置のベースプレートを載置可能な面積の載置面を有する箱状をなし、前記垂直方向案内部は、少なくとも前記配線を挿通可能な直径を有する管状をなし、前記水平方向案内部に対して側面視でL字状に配置されている基礎構造部材(請求項3)。
本項に記載の基礎構造部材は、少なくとも可動式ホームゲート装置のベースプレートを載置可能な面積の載置面を有する箱状をなす水平方向案内部により、可動式ホームゲート装置を支持した状態で、可動式ホームゲート装置から導出される配線を、箱状の内部にて水平方向に案内するものである。そして、少なくとも配線を挿通可能な直径を有する管状をなし、水平方向案内部に対して側面視でL字状に配置されている垂直方向案内部に配線を挿通することにより、可動式ホームゲート装置から導出される配線を、プラットホームの床板の下方へと案内するものである。なお、水平方向案内部と垂直方向案内部とは、互いに固定されていても良く、又、単に上記位置関係に配置されたものでも良い。
【0009】
(4)上記(2)項において、前記水平方向案内部は、少なくとも可動式ホームゲート装置のベースプレートを載置可能な面積の載置面を有する箱状をなし、前記垂直方向案内部は、前記水平方向案内部の下面に形成された、少なくとも前記配線を挿通可能な直径を有する開口である基礎構造部材(請求項4)。
本項に記載の基礎構造部材は、少なくとも可動式ホームゲート装置のベースプレートを載置可能な面積の載置面を有する箱状をなす水平方向案内部により、可動式ホームゲート装置を支持した状態で、可動式ホームゲート装置から導出される配線を、箱状の内部にて水平方向に案内するものである。そして、水平方向案内部の下面に形成された、少なくとも前記配線を挿通可能な直径を有する開口である垂直方向案内部に配線を挿通することにより、可動式ホームゲート装置から導出される配線を、プラットホームの床板の下方へと案内するものである。
【0010】
(5)上記(3)(4)項において、前記水平方向案内部には、前記配線の受け入れ口から、前記垂直方向案内部へ向けて配線を案内するための、ガイド部材が設けられている基礎構造部材(請求項5)。
本項に記載の基礎構造部材は、配線案内部に配線を挿通する際に、水平方向案内部に設けられたガイド部材によって、水平方向案内部の受け入れ口から導入される配線を、可動式ホームゲート装置の配線の導出部から平面視でオフセットした位置にある垂直方向案内部へと円滑に案内する。そして、基礎構造部材内での、配線の取り回しを容易とするものである。
【0011】
(6)上記()から(5)項において、前記垂直方向案内部は、前記可動式ホームゲート装置よりもプラットホームの線路端に近い位置となるように位置決めされて、前記台座部が前記プラットホームに設置される基礎構造部材(請求項6)。
本項に記載の基礎構造部材は、プラットホームの、可動式ホームゲート装置が設置される位置の直下の構造の如何に関わらず、ホームゲート装置よりもプラットホームの線路端に近い位置となるように位置決めされて、台座部がプラットホームに設置され、垂直方向案内部により、可動式ホームゲート装置から導出される配線を、可動式ホームゲート装置の配線の導出部から平面視でオフセットした位置から、プラットホームの床板の下方へと案内するものである。
【0012】
(7)プラットホーム上の線路端に沿って設置される可動式ホームゲート装置の基礎構造であって、プラットホームの線路端に沿ってプラットホーム上面から複数形成される凹部と、該凹部の底面から、前記プラットホームの床部をその下方より支持する構造物を避ける位置にてプラットホームの床板の下面へ穿孔される貫通穴と、該貫通穴に前記配線案内部を一致させた状態で前記凹部内に設置される、上記(1)から(5)項記載の基礎構造部材と、を含む可動式ホームゲート装置の基礎構造(請求項7)。
本項に記載の可動式ホームゲート装置の基礎構造は、プラットホームの線路端に沿ってプラットホーム上面から凹部を複数形成し、該凹部の底面から、プラットホームの床部をその下方より支持する構造物を避ける位置にて、プラットホームの床板の下面へ穿孔される貫通穴を形成する。この貫通穴に、上記(1)から(5)項記載の基礎構造部材の配線案内部を一致させて、基礎構造部材を凹部内に設置する。このように、プラットホームを貫通するに適した位置に、貫通穴を形成することで、可動式ホームゲート装置の直下の、プラットホームの構造の如何に関わらず、可動式ホームゲート装置から導出される配線を、適切な位置にてプラットホームの床板の下方へと案内するものとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明はこのように構成したので、プラットホームの床板を支える構造の如何に関わらず、プラットホームの線路端に沿って、可動式ホームゲート装置を容易に設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置とその基礎構造を示したものであり、(a)は、線路と直交する面におけるプラットホームとホームゲートの模式断面図、(b)は(a)の要部拡大図、(c)は(a)のA−A断面図である。
図2図1に示される可動式ホームゲート装置の基礎構造部材の斜視図である。
図3図1(b)(c)に示される、プラットホーム上面から形成された凹部と、凹部の底面からプラットホームの床板の下面へ穿孔される貫通穴とを示す平面図である。
図4】細部の形状が図2に示されるものと異なる基礎構造部材の三面図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図5】従来の、線路と直交する面におけるプラットホーム、ホームゲート及びその基礎構造を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
本発明の実施の形態に係る可動式ホームゲート装置12の設置構造は、図1(a)、(b)に示されるように、線路端10aに沿ってホーム鉄骨等の構造物26が存在する構造を有するプラットホーム10に用いることが可能なものである。なお、図1(a)において、符号28はレール、符号Cは線路の中心線である。
【0016】
本発明の実施の形態では、プラットホーム10に対する可動式ホームゲート装置12の設置構造に、図2又は図4に示されるような、基礎構造部材30が用いられている。基礎構造部材30は、可動式ホームゲート装置12の荷重を受ける台座部32を備え、この台座部32に、配線案内部34が形成されている。配線案内部34は、台座部32に支えられた状態の可動式ホームゲート装置12から導出される配線22を、プラットホーム10の床板の下方へと誘導するものである。しかも、配線案内部34は、台座部32に支えられた状態の可動式ホームゲート装置12の、配線22の導出部から平面視でオフセットした位置へと配線22を案内した後、配線22をプラットホーム10の床板の下方へと誘導するための、側面視でL字状に折れ曲がった配線案内路を構成するものである(図1(b)、図4(c)参照)。
【0017】
この配線案内部34は、図4に詳しく示されるように、可動式ホームゲート装置12の載置面36aを有すると共に配線22を水平方向へと案内する水平方向案内部36と、水平方向案内部36に対して側面視でL字状に接続され(図4(c)参照)、配線22を垂直方向へと案内する垂直方向案内部38とを備えている。そして、垂直方向案内部38は、水平方向案内部36に形成された配線の受け入れ口36b(図4(a)参照)に対し、平面視でオフセットした位置に設けられている。
【0018】
図示の例では、水平方向案内部36は、少なくとも可動式ホームゲート装置12のベースプレート12a(図1(b))を載置可能な面積の載置面(天面)を有する箱状をなしている。一方、垂直方向案内部38は、少なくとも配線22(図5参照)を挿通可能な直径を有する管状をなしており、図示の例の垂直方向案内部38は、外径42mm、内径35mmとなっている。
又、水平方向案内部36には、配線の受け入れ口36bから、垂直方向案内部38へ向けて配線を案内するための、ガイド部材36c、36d、36eが設けられている。ここで、ガイド部材36c、36dはいずれも、配線の受け入れ口36bから垂直方向案内部38へ向けて下方傾斜する板材であり、かつ、箱状の水平方向案内部36の塞ぎ板を兼ねている。又、ガイド部材36eは、垂直方向案内部38へと向けて設置幅が狭まるように設けられた壁板である。
【0019】
そして、垂直方向案内部38は、図1に例示されるように、可動式ホームゲート装置12よりもプラットホームの線路端に近い位置となるように位置決めされた状態で、台座部32がプラットホーム10に固定されるものである。
図1の例では、プラットホーム10の線路端10aに沿って、図1(b)、図3に示される凹部14が、プラットホーム10の上面から複数形成される。そして、凹部14の底面14aから更に、プラットホーム10の床部を下方から支持する構造物26を避ける位置にて、プラットホーム10の床板の下面へ穿孔される、貫通穴40が形成される。これら凹部14、貫通穴40は共に、例えばホールソー等を用いて施工されるものであり、図示の例では、凹部14は、プラットホーム10の床板の表層部のクリーンタイル11aと、敷きモルタル11bを除去するように形成される。又、床面14aの面積は、図1(c)に示されるように、少なくとも基礎構造部材30の台座部32を設置して、かつ、凹部14内で位置の微調整が可能な広さに設定される。なお、図示の例では、凹部14の直径D14は450mm程度(図3参照)である。一方、貫通穴40は、基礎構造部材30の垂直方向案内部38を挿通可能な直径に穿設されるものである。図示の例では、貫通穴40の直径D40は直径50mm程度(図3参照)である。
【0020】
更に、凹部14の床面14aには、図1(b)に示されるように、基礎構造部材30の台座部32を固定するためのアンカーボルト42が打設されている。そして、基礎構造部材30は、貫通穴40に垂直方向案内部38を挿通した状態で、凹部14内に挿入され、この際、台座部32の長穴32a(図4(a)参照)にアンカーボルト42が挿通され、図1(b)(c)に示されるように、凹部14はモルタル44で封止される。
なお、図1(b)、図2に符号46で示される部品は、凹部14の床面14aに対して基礎構造部材30の高さを調整するための、六角穴付き止めねじである。そして、水平方向案内部36は、プラットホーム10の床板の表層部のクリーンタイル11aと同位置レベルまで、凹部14をモルタル44で封止した状態で、可動式ホームゲート装置12の載置面36aを構成する天面が露出する高さとなるように、六角穴付き止めねじ46により高さ調整される。図示の例では、水平方向案内部36の配線の受け入れ口36bが、水平方向案内部36の、可動式ホームゲート装置12の載置面36aを構成する天面に形成されていることから、配線22がモルタル44に接触し又は封止されることなく、配線案内部34の内部にて案内されるものとなる。なお、図1(b)の符号37は、水平方向案内部36の開口部36f(図2参照)を塞ぐ、塞ぎ板である。
【0021】
又、図示の例では、基礎構造部材30の垂直方向案内部38を、可動式ホームゲート装置12よりもプラットホーム10の線路端10aに近い位置となるように位置決めして設置することにより、プラットホーム10の床部を下方から支持する構造物26を避けて、配線22をプラットホーム10の垂直方向へと案内するものである。
しかしながら、構造物26の設置態様等に応じ、基礎構造部材30の垂直方向案内部38を、構造物26を避けた可動式ホームゲート装置12よりもプラットホーム10の線路端10aから遠い位置や、線路と平行な方向にオフセットした位置となるように、設置することとしても良い。
【0022】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、可動式ホームゲート装置12の基礎構造部材30は、台座部32によって可動式ホームゲート装置12を支持し、可動式ホームゲート装置12から導出される配線22を、配線案内部34によってプラットホーム10の床板の下方へと誘導するものである。しかも、配線案内部34は、配線22を、可動式ホームゲート装置12の配線22の導出部から平面視でオフセットした位置へと案内した後、プラットホーム10の床板の下方へと誘導するための、折れ曲がった配線案内路を構成している。よって、可動式ホームゲート装置12の直下の、プラットホームの10構造の如何に関わらず、配線案内部34は、適切な位置にてプラットホーム10を貫通して、配線22をプラットホーム10の床板の下方へと案内することが可能となる。
【0023】
又、配線案内部34が、可動式ホームゲート装置12の載置面36aを有すると共に配線22を水平方向へと案内する水平方向案内部36と、水平方向案内部36に対して側面視でL字状に接続され配線22を垂直方向へと案内する垂直方向案内部38とを備えるものである。そして、垂直方向案内部38が、水平方向案内部36に形成された配線の受け入れ口36bに対し、平面視でオフセットした位置に設けられていることで、可動式ホームゲート装置12の直下を通る、側面視でL字状に折れ曲がった配線案内路を構成するものとなる。
【0024】
又、少なくとも可動式ホームゲート装置12のベースプレート12a(図1(b)参照)を載置可能な面積の載置面36aを有する箱状をなす水平方向案内部36により、可動式ホームゲート装置12を支持した状態で、可動式ホームゲート装置12から導出される配線22を、箱状の内部にて水平方向に案内するものである。そして、少なくとも配線22を挿通可能な直径を有する管状をなしている垂直方向案内部38に、配線22を挿通することにより、可動式ホームゲート装置12から導出される配線22を、プラットホーム10の床板の下方へと案内することが可能となる。
【0025】
又、配線案内部34に配線22を挿通する際にも、図4に示されるように、水平方向案内部36に設けられたガイド部材36c、36d、36eによって、水平方向案内部36の受け入れ口36bから導入される配線22を、可動式ホームゲート装置12の配線22の導出部から平面視でオフセットした位置にある垂直方向案内部38へと円滑に案内することが可能となる。従って、基礎構造部材30内での、配線22の取り回しを容易に行うことが可能となる。なお、これらガイド部材36c、36d、36eの設置態様はあくまでも一例であり、配線22の案内機能を発揮するものであれば別態様のものを用いることとしても良い。
【0026】
この、基礎構造部材30は、プラットホーム10の、可動式ホームゲート装置12が設置される位置の直下の構造の如何に関わらず、ホームゲート装置12よりもプラットホーム10の線路端10aに近い位置となるように位置決めされて、台座部32がプラットホーム10に設置される。そして、垂直方向案内部38により、可動式ホームゲート装置12から導出される配線22を、可動式ホームゲート装置12の配線22の導出部から平面視でオフセットした位置から、プラットホーム10の床板の下方へと案内することが可能となる。
【0027】
又、基礎構造部材30の設置の際に、プラットホーム10の線路端10aに沿ってプラットホーム10の上面から凹部14を複数形成し、凹部14の底面14aから、プラットホーム10の床部を下方から支持する構造物26を避ける位置にてプラットホーム10の床板の下面へ穿孔される貫通穴40を形成する。そして、貫通穴40に、基礎構造部材30の配線案内部34を挿通して、基礎構造部材30を凹部14内に設置するものである。この際、プラットホーム10を貫通するに適した位置に、貫通穴40を形成することで、可動式ホームゲート装置12の直下の、プラットホーム10の構造の如何に関わらず、可動式ホームゲート装置12から導出される配線22を、基礎構造部材30の配線案内部34を介して、プラットホーム10の床板の下方へと案内することが可能となる。
【0028】
なお、水平方向案内部36と垂直方向案内部38とは、互いに固定されていても良く、又、単に上記位置関係に配置されたものでも良い。例えば、水平方向案内部36と垂直方向案内部38とが何れも金属製である場合には、互いに溶接等によって固定されることで、現場における施工作業が簡単になる。一方、水平方向案内部36のみ金属製とし、垂直方向案内部38に例えば塩化ビニールパイプを用いるような場合には、貫通穴40を形成した後に、貫通穴40に垂直方向案内部38を打ち込み、その後、水平方向案内部36を設置することで、両者を固定することなしに、上記配置とすることも可能である。
【0029】
更には、図示を省略するが、管状の垂直方向案内部38を省略し、水平方向案内部36の下面に形成された、少なくとも配線22を挿通可能な直径を有する開口のみとして、この開口を貫通穴40に一致させて配置することとしても良い。すなわち、垂直方向案内部38を、単に水平方向案内部36の下面に形成された開口とすることでも、同様の配線案内部を構成することが可能となることは、理解されるであろう。
【符号の説明】
【0030】
10:プラットホーム、10a:線路端、12:可動式ホームゲート装置、14:凹部、
14a:床面、40:貫通穴、20:中空パイプ、22:配線、26:構造物、30:基礎構造部材、32:台座部、34:配線案内部、36:水平方向案内部、36a:載置面、36b:受け入れ口、38:垂直方向案内部、40:貫通穴
図2
図3
図4
図5
図1