特許第5797107号(P5797107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797107
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】ケーブルトレイ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   H02G3/04 056
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-275052(P2011-275052)
(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公開番号】特開2013-126340(P2013-126340A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】池田 敦
(72)【発明者】
【氏名】伊神 和忠
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−138318(JP,U)
【文献】 実開昭55−078670(JP,U)
【文献】 実開平06−048326(JP,U)
【文献】 実開昭61−035514(JP,U)
【文献】 実開昭61−138316(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/00
H02G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケーブルを収納可能な第1ケーブルトレイ本体と、
前記第1ケーブルトレイ本体内に収納される前記複数のケーブルに対して幅方向に移動自在に埋設される錘と、
を備えることを特徴とするケーブルトレイ。
【請求項2】
前記錘は、複数のケーブルを収納可能な第2ケーブルトレイ本体を有することを特徴とする請求項1に記載のケーブルトレイ。
【請求項3】
前記第2ケーブルトレイ本体は、上方が開口するトレイと、該トレイの開口を閉止する蓋とを有することを特徴とする請求項2に記載のケーブルトレイ。
【請求項4】
前記第1ケーブルトレイ本体内の前記複数のケーブルと前記錘との間に前記錘を幅方向へ移動自在に支持するガイド部材が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のケーブルトレイ。
【請求項5】
前記錘と前記ガイド部材との間に前記錘を前記ガイド部材における幅方向の中間位置に付勢支持する付勢部材が介装されることを特徴とする請求項4に記載のケーブルトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電機計装機器への電力ケーブルや制御ケーブルなどを敷設して収納するケーブルトレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なケーブルトレイは、断面がU字形状をなすと共に、所定の長さを有しており、長さ方向における所定間隔の位置で、サポート部材により架台に吊下げ支持されており、内部に多数の電力ケーブルや制御ケーブルが敷設して収納されている。このようなケーブルトレイとしては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−138316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のケーブルトレイは、サポート部材にできるだけ剛性を確保することで、耐震性を確保するようにしているが、サポート部材の剛性をあげると質量が大きくなり、製品コストが増加するだけでなく、既設プラントへの追設時の施工性が悪化してしまうという問題がある。そのため、サポート部材をダンパにより支持することが考えられるが、コスト増を招くだけでなく、配置スペースが大きくなってしまうという問題がある。特に、トレイの段数が複数となる場合には、更なる装置の大型化を招いてしまう。
【0005】
本発明は上述した課題を解決するものであり、装置の大型化及び高コスト化を抑制すると共に耐震性の向上を図るケーブルトレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明のケーブルトレイは、複数のケーブルを収納可能な第1ケーブルトレイ本体と、前記第1ケーブルトレイ本体内に収納される前記複数のケーブルに対して幅方向に移動自在に埋設される錘と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
従って、第1ケーブルトレイ本体は、内部に複数のケーブルを収容し、この複数のケーブルに対して錘が幅方向に移動自在に埋設されることから、第1ケーブルトレイ本体及び複数のケーブルにより構成される主振動系に対して錘が副振動系となる動吸振器が構成されることとなり、第1ケーブルトレイ本体及び複数のケーブルの振動と錘の振動とが共振して全体の振動が低減されることとなり、装置の大型化及び高コスト化を抑制しながら、耐震性を向上することができる。
【0008】
本発明のケーブルトレイでは、前記錘は、複数のケーブルを収納可能な第2ケーブルトレイ本体を有することを特徴としている。
【0009】
従って、複数のケーブルを収納可能な第2ケーブルトレイ本体を錘とすることで、無駄な重量物の配置をなくしながら、ケーブルの収納量を増加させることができる。
【0010】
本発明のケーブルトレイでは、前記第2ケーブルトレイ本体は、上方が開口するトレイと、該トレイの開口を閉止する蓋とを有することを特徴としている。
【0011】
従って、第2ケーブルトレイ本体は、トレイに複数のケーブルを収納した状態で蓋により開口が閉止されることで、振動によるケーブルの飛び出しを防止することができる。
【0012】
本発明のケーブルトレイでは、前記第1ケーブルトレイ本体内の前記複数のケーブルと前記錘との間に前記錘を幅方向へ移動自在に支持するガイド部材が設けられることを特徴としている。
【0013】
従って、第1ケーブルトレイ本体及び複数のケーブルの振動に対して、錘がガイド部材に沿って移動して振動することで、錘の移動量を適正に確保して全体の振動低減効果を向上することができる。
【0014】
本発明のケーブルトレイでは、前記錘と前記ガイド部材との間に前記錘を前記ガイド部材における幅方向の中間位置に付勢支持する付勢部材が介装されることを特徴としている。
【0015】
従って、錘とガイド部材との間に付勢部材が設けられることで、付勢部材により錘の移動(振動)を増幅することができ、全体の振動低減効果を向上することができると共に、錘の小型軽量化を可能とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のケーブルトレイによれば、複数のケーブルを収納可能な第1ケーブルトレイ本体と、第1ケーブルトレイ本体内に収納される複数のケーブルに対して幅方向に移動自在に埋設される錘とを設けるので、第1ケーブルトレイ本体及び複数のケーブルの振動と錘の振動とが共振して全体の振動が低減されることとなり、装置の大型化及び高コスト化を抑制しながら、耐震性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施例1に係るケーブルトレイユニットを表す概略図である。
図2図2は、実施例1のケーブルトレイの支持構造を表す概略図である。
図3図3は、実施例1のケーブルトレイの断面図である。
図4図4は、実施例1のケーブルトレイにおける動吸振器を表す模式図である。
図5図5は、本発明の実施例2に係るケーブルトレイを表す断面図である。
図6図6は、本発明の実施例3に係るケーブルトレイを表す断面図である。
図7図7は、本発明の実施例4に係るケーブルトレイを表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るケーブルトレイの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例1に係るケーブルトレイユニットを表す概略図、図2は、実施例1のケーブルトレイの支持構造を表す概略図、図3は、実施例1のケーブルトレイの断面図、図4は、実施例1のケーブルトレイにおける動吸振器を表す模式図である。
【0020】
実施例1において、図1及び図2に示すように、ケーブルトレイユニット11は、上下に配置される2つのケーブルトレイ12,13と、この2つのケーブルトレイ12,13を上下に所定間隔で支持するサポート部材14とを有している。各ケーブルトレイ12,13は所定の長さを有し、複数のケーブル21を収納可能となっている。サポート部材14は、上下2段の水平な支持部14a,14bを有し、ケーブルトレイ12,13における長手方向に所定間隔で配置されており、支持部14a,14bがケーブルトレイ12,13を支持可能となっている。そして、各サポート部材14は、上部が固定ボルト15により架台(天井)16に固定されている。この場合、ケーブルトレイ12,13は、ほぼ同様の構成となっている。
【0021】
即ち、ケーブルトレイ12は、図3に示すように、複数のケーブル21を収納可能な第1ケーブルトレイ本体31と、この第1ケーブルトレイ本体31内に収納される複数のケーブル21に対して幅方向に移動自在に埋設される錘としての第2ケーブルトレイ本体32とから構成されており、第2ケーブルトレイ本体32は複数のケーブル21を収納可能となっている。なお、このケーブル21は、鋼線が弾性力を有するゴム(絶縁部材)などの被覆材により被覆された構成となっている。
【0022】
第1ケーブルトレイ本体31は、水平な底部31aと、この底部31aにおける幅方向の両側から鉛直方向に立ち上がる左右の側部31bとから構成されている。第2ケーブルトレイ本体32は、第1ケーブルトレイ本体31とほぼ同じ長さを有し、上方が開口するトレイ33と、このトレイ33の開口を閉止する蓋34とから構成されており、第1ケーブルトレイ本体31より幅が狭く、且つ、高さが低いものとなっている。そして、このトレイ33は、第1ケーブルトレイ本体31と同様に、水平な底部33aと、この底部33aにおける幅方向の両側から鉛直方向に立ち上がる左右の側部33bとから構成されている。また、蓋34は、水平な天井部34aと、この天井部34aにおける幅方向の両側から鉛直方向に立ち上がる左右の側部34bとから構成されている。
【0023】
この場合、ケーブルトレイ12は、第1ケーブルトレイ本体31と第2ケーブルトレイ本体32とケーブル21により動吸振器が形成されることで、制振効果を確保することができる。この動吸振器において、図4に示すように、第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21により主振動系Aが構成され、第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21により副振動系Bが構成されている。即ち、主振動系Aは、第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21の質量M1、ばね定数K1、減衰係数C1が設定され、副振動系Bは、第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21の質量M2、ばね定数K2、減衰係数C2が設定されている。
【0024】
ここで、主振動系Aのばね定数K1は、第1ケーブルトレイ本体31の支持剛性(サポート部材14など)により設定され、副振動系Bのばね定数K2は、第1ケーブルトレイ本体31に収容されて第2ケーブルトレイ本体32が接触する各ケーブル21の被覆材により設定される。なお、第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21は、主振動系Aに対する副振動系Bとなるように、第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21の質量M1に対する第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21の質量M2を調節する必要がある。
【0025】
従って、地震などによりケーブルトレイ12が振動すると、第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21が振動すると共に、第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21が振動する。このとき、第2ケーブルトレイ本体32は、第1ケーブルトレイ本体31に対してケーブル21との隙間やケーブル21の弾性変形分だけ相対移動することとなり、ケーブル21同士、更に、ケーブル21と第2ケーブルトレイ本体32との間の摩擦及び衝突によるエネルギの散逸により、第1ケーブルトレイ本体31に対する制振効果を得ることができる。即ち、第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21の振動と、第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21とが共振してケーブルトレイ12の振動が減衰されることとなる。
【0026】
なお、ここでは、ケーブルトレイ12について説明したが、ケーブルトレイ13も同様の構成となっている。
【0027】
このように実施例1のケーブルトレイにあっては、複数のケーブル21を収納可能な第1ケーブルトレイ本体31と、この第1ケーブルトレイ本体31内に収納される複数のケーブル21に対して幅方向に移動自在に埋設されて複数のケーブル21を収納可能な第2ケーブルトレイ本体32を設けている。
【0028】
従って、第1ケーブルトレイ本体31及び複数のケーブル21により構成される主振動系に対して、第2ケーブルトレイ本体32及び複数のケーブル21が副振動系となる動吸振器が構成されることとなり、第1ケーブルトレイ本体31及び複数のケーブル21の振動と、第2ケーブルトレイ本体32及び複数のケーブル21の振動とが共振してケーブルトレイ12の振動が低減されることとなり、装置の大型化及び高コスト化を抑制しながら、耐震性を向上することができる。
【0029】
また、実施例1のケーブルトレイでは、第1ケーブルトレイ本体31と第2ケーブルトレイ本体32により動吸振器を構成することから、無駄な重量物の配置をなくしながら、多数のケーブル21を収納可能となり、ケーブルの収納量を増加させることで装置の大型化を抑制することができる。
【0030】
また、実施例1のケーブルトレイでは、第2ケーブルトレイ本体32として、上方が開口するトレイ33と、このトレイ33の開口を閉止する蓋34とを設けている。従って、第2ケーブルトレイ本体32は、トレイ33に複数のケーブル21を収納した状態で蓋34により開口が閉止されることとなり、振動によるケーブルの飛び出しを防止することができる。
【実施例2】
【0031】
図5は、本発明の実施例2に係るケーブルトレイを表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0032】
実施例2において、図5に示すように、ケーブルトレイ41は、複数のケーブル21を収納可能な第1ケーブルトレイ本体31と、この第1ケーブルトレイ本体31内に収納される複数のケーブル21に対して幅方向に移動自在に埋設されて複数のケーブル21を収納可能な第2ケーブルトレイ本体32と、第1ケーブルトレイ本体31内の複数のケーブル21と第2ケーブルトレイ本体32との間でこの第2ケーブルトレイ本体32を幅方向へ移動自在に支持するガイド部材42とから構成されている。
【0033】
第1ケーブルトレイ本体31は、内部に複数のケーブル21が収納可能となっている。ガイド部材42は、第1ケーブルトレイ本体31とほぼ同じ長さを有し、水平な底部42aと、この底部42aにおける幅方向の両側から鉛直方向に立ち上がる左右の側部42bとから構成されている。また、ガイド部材42は、第1ケーブルトレイ本体31より幅が狭く、且つ、高さが低いものであり、また、第2ケーブルトレイ本体32より幅が広く、且つ、高さが低いものとなっている。第2ケーブルトレイ本体32は、第1ケーブルトレイ本体31とほぼ同じ長さを有し、トレイ33と蓋34とから構成されており、内部に複数のケーブル21が収納可能となっている。
【0034】
そして、第2ケーブルトレイ本体32は、ガイド部材42の内側に載置され、底部33aが底部42aに接触する一方、左右の側部33bと左右の側部42bとの間に隙間が確保されている。また、ガイド部材42は、左右の側部42bの内側に第2ケーブルトレイ本体32の左右の側部33bに対向して弾性部材43が固定されている。
【0035】
この場合、ガイド部材42における内幅が第2ケーブルトレイ本体32の外幅より大きいことから、第2ケーブルトレイ本体32は、ガイド部材42内を幅方向に移動可能となっている。動吸振器にて、主振動系(第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21)に対する副振動系(第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21)の振動を大きくすることで、より大きな制振効果を得ることができる。
【0036】
なお、第2ケーブルトレイ本体32の底部33bとガイド部材42の底部42aとの接触面に、樹脂系のライニングなど摩擦係数を制御できる材料を介装することが好ましい。この摩擦係数は、主振動系や副振動系の質量に応じて設定すればよい。
【0037】
従って、地震などによりケーブルトレイ41が振動すると、第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21が振動すると共に、第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21がガイド部材42に沿って振動する。このとき、第2ケーブルトレイ本体32は、第1ケーブルトレイ本体31に対してガイド部材42との隙間やケーブル21の弾性変形分だけ相対移動することとなり、ケーブル21同士、更に、ケーブル21と第2ケーブルトレイ本体32との間の摩擦及び衝突によるエネルギの散逸により、第1ケーブルトレイ本体31に対する制振効果を得ることができる。即ち、第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21の振動と、第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21とが共振してケーブルトレイ41の振動が減衰されることとなる。
【0038】
このように実施例2のケーブルトレイにあっては、複数のケーブル21を収納可能な第1ケーブルトレイ本体31と、この第1ケーブルトレイ本体31内に収納される複数のケーブル21に対して幅方向に移動自在に埋設されて複数のケーブル21を収納可能な第2ケーブルトレイ本体32と、第1ケーブルトレイ本体31内の複数のケーブル21と第2ケーブルトレイ本体32との間でこの第2ケーブルトレイ本体32を幅方向へ移動自在に支持するガイド部材42を設けている。
【0039】
従って、第1ケーブルトレイ本体31及び複数のケーブル21により構成される主振動系に対して、第2ケーブルトレイ本体32及び複数のケーブル21により構成される副振動系がガイド部材42に沿って振動する動吸振器が構成されることとなり、第1ケーブルトレイ本体31及び複数のケーブル21の振動と、第2ケーブルトレイ本体32及び複数のケーブル21の振動とが共振してケーブルトレイ41の振動が低減されることとなり、装置の大型化及び高コスト化を抑制しながら、耐震性を向上することができる。
【0040】
また、実施例2のケーブルトレイでは、ガイド部材42は、左右の側部42bの内側に第2ケーブルトレイ本体32の左右の側部33bに対向して弾性部材43を固定している。従って、第2ケーブルトレイ本体32とガイド部材42との接触による衝撃を緩和することができ、第2ケーブルトレイ本体32やケーブル21の損傷を防止することができる。
【実施例3】
【0041】
図6は、本発明の実施例3に係るケーブルトレイを表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
実施例3において、図6に示すように、ケーブルトレイ51は、複数のケーブル21を収納可能な第1ケーブルトレイ本体31と、この第1ケーブルトレイ本体31内に収納される複数のケーブル21に対して幅方向に移動自在に埋設されて複数のケーブル21を収納可能な第2ケーブルトレイ本体32と、第1ケーブルトレイ本体31内の複数のケーブル21と第2ケーブルトレイ本体32との間でこの第2ケーブルトレイ本体32を幅方向へ移動自在に支持するガイド部材42とから構成され、第2ケーブルトレイ本体32とガイド部材42との間に第2ケーブルトレイ本体32をガイド部材42における幅方向の中間位置に付勢支持する圧縮ばね(付勢部材)52,53が介装されている。
【0043】
第1ケーブルトレイ本体31は、内部に複数のケーブル21が収納可能となっている。ガイド部材42は、第1ケーブルトレイ本体31とほぼ同じ長さを有し、水平な底部42aと、この底部42aにおける幅方向の両側から鉛直方向に立ち上がる左右の側部42bとから構成されている。また、ガイド部材42は、第1ケーブルトレイ本体31より幅が狭く、且つ、高さが低いものであり、また、第2ケーブルトレイ本体32より幅が広く、且つ、高さが低いものとなっている。第2ケーブルトレイ本体32は、第1ケーブルトレイ本体31とほぼ同じ長さを有し、トレイ33と蓋34とから構成されており、内部に複数のケーブル21が収納可能となっている。
【0044】
そして、第2ケーブルトレイ本体32は、ガイド部材42に内側に載置され、底部33aが底部42aに接触する一方、左右の側部33bと左右の側部42bとの間に隙間が確保されている。この場合、ガイド部材42における内幅が第2ケーブルトレイ本体32の外幅より大きいことから、第2ケーブルトレイ本体32は、ガイド部材42内を幅方向に移動可能となっている。そして、第2ケーブルトレイ本体32の底部33aとガイド部材42の底部42aとの間に複数の圧縮ばね52が介装されると共に、第2ケーブルトレイ本体32の側部33bとガイド部材42の側部42bとの間に複数の圧縮ばね53が介装されている。
【0045】
動吸振器にて、圧縮ばね52,53により主振動系(第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21)に対する副振動系(第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21)の振動を大きくすることで、より大きな制振効果を得ることができる。
【0046】
従って、地震などによりケーブルトレイ51が振動すると、第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21が振動すると共に、第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21がガイド部材42に沿って振動する。このとき、第2ケーブルトレイ本体32は、第1ケーブルトレイ本体31に対してガイド部材42との隙間やケーブル21の弾性変形分だけ相対移動することとなり、ケーブル21同士、更に、ケーブル21と第2ケーブルトレイ本体32との間の摩擦及び衝突によるエネルギの散逸により、第1ケーブルトレイ本体31に対する制振効果を得ることができる。この場合、圧縮ばね52,53により第2ケーブルトレイ本体32の移動力が増幅されることから、副振動系の質量を小さくすることが可能となり、より大きな制振効果を得ることができる。即ち、第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21の振動と、第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21とが共振してケーブルトレイ51の振動が減衰されることとなる。
【0047】
このように実施例3のケーブルトレイにあっては、複数のケーブル21を収納可能な第1ケーブルトレイ本体31と、この第1ケーブルトレイ本体31内に収納される複数のケーブル21に対して幅方向に移動自在に埋設されて複数のケーブル21を収納可能な第2ケーブルトレイ本体32と、第1ケーブルトレイ本体31内の複数のケーブル21と第2ケーブルトレイ本体32との間でこの第2ケーブルトレイ本体32を幅方向へ移動自在に支持するガイド部材42とから構成し、第2ケーブルトレイ本体32とガイド部材42との間に圧縮ばね52,53を介装されている。
【0048】
従って、第1ケーブルトレイ本体31及び複数のケーブル21により構成される主振動系に対して、第2ケーブルトレイ本体32及び複数のケーブル21により構成される副振動系がガイド部材42に沿って振動すると共に圧縮ばね52,53により振動が増幅される動吸振器が構成されることとなり、第1ケーブルトレイ本体31及び複数のケーブル21の振動と、第2ケーブルトレイ本体32及び複数のケーブル21の振動とが共振してケーブルトレイ51の振動が低減されることとなり、装置の大型化及び高コスト化を抑制しながら、耐震性を向上することができる。
【実施例4】
【0049】
図7は、本発明の実施例4に係るケーブルトレイを表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0050】
実施例4において、図7に示すように、ケーブルトレイ61は、複数のケーブル21を収納可能な第1ケーブルトレイ本体31と、この第1ケーブルトレイ本体31内に収納される複数のケーブル21に対して幅方向に移動自在に埋設されて複数のケーブル21を収納可能な第2ケーブルトレイ本体32とから構成されている。
【0051】
第1ケーブルトレイ本体31は、内部に複数のケーブル21が収納可能となっている。第2ケーブルトレイ本体32は、第1ケーブルトレイ本体31とほぼ同じ長さを有し、トレイ33と蓋34とから構成されており、内部に複数のケーブル21が収納可能となっている。そして、第2ケーブルトレイ本体32は、第1ケーブルトレイ本体31の内側に載置され、底部33aが底部31aに接触する一方、左右の側部33aと左右の側部31bとの間に隙間が確保されている。また、複数のケーブル21は、第1ケーブルトレイ本体31内の第2ケーブルトレイ本体32を埋めるように配置されている。
【0052】
従って、地震などによりケーブルトレイ51が振動すると、第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21が振動すると共に、第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21が振動する。このとき、第2ケーブルトレイ本体32は、第1ケーブルトレイ本体31に対してその隙間やケーブル21の弾性変形分だけ相対移動することとなり、ケーブル21同士、更に、ケーブル21と第2ケーブルトレイ本体32との間の摩擦及び衝突によるエネルギの散逸により、第1ケーブルトレイ本体31に対する制振効果を得ることができる。即ち、第1ケーブルトレイ本体31及びケーブル21の振動と、第2ケーブルトレイ本体32及びケーブル21とが共振してケーブルトレイ12の振動が減衰されることとなる。
【0053】
このように実施例4のケーブルトレイにあっては、複数のケーブル21を収納可能な第1ケーブルトレイ本体31と、この第1ケーブルトレイ本体31内に収納される複数のケーブル21に対して幅方向に移動自在に埋設されて複数のケーブル21を収納可能な第2ケーブルトレイ本体32とを設けている。
【0054】
従って、第1ケーブルトレイ本体31及び複数のケーブル21により構成される主振動系に対して、第2ケーブルトレイ本体32及び複数のケーブル21により構成される副振動系が振動する動吸振器が構成されることとなり、第1ケーブルトレイ本体31及び複数のケーブル21の振動と、第2ケーブルトレイ本体32及び複数のケーブル21の振動とが共振してケーブルトレイ61の振動が低減されることとなり、装置の大型化及び高コスト化を抑制しながら、耐震性を向上することができる。
【0055】
なお、上述した各実施例では、第1ケーブルトレイ本体31と第2ケーブルトレイ本体32とガイド部材42とを長手方向でほぼ同じ長さとしたが、第1ケーブルトレイ本体31に対して第2ケーブルトレイ本体32を短くしたり、第1、第2ケーブルトレイ本体31,32に対してガイド部材42を短くして複数直列に設けたりしてもよい。また、本発明の錘を第2ケーブルトレイ本体32としたが、重量物であってもよい。
【0056】
また、各ケーブルトレイ本体31,32の形状は、上方が開口した矩形断面形状としたが、半円形状などとしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
12,13,41,51,61 ケーブルトレイ
21 ケーブル
31 第1ケーブルトレイ本体
32 第2ケーブルトレイ本体
33 トレイ
34 蓋
42 ガイド部材
43 弾性部材
52,53 圧縮ばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7