【実施例】
【0027】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれらの具体例にのみ限定されるものではない。なお、分析は下記条件の高速液体クロマトグラフィにより実施した。
測定条件
カラム:L−column ODS
内径4.6mm 長さ250mm
サンプル調製法:結晶約10mgを20mlのメタノールで溶解、メスアップする。
移動相組成:次の二種類の移動相を用いたグラジエント分析
移動相1:メタノール/0.1%リン酸水溶液=60/40
移動相2:メタノール/0.1%リン酸水溶液=90/10
移動相1にて10分保持、その後、遷移時間を15分間として移動相2に変更、さらに移動相2にて10分保持
移動相流量:1.0ml/min
測定波長:UV(220nm)
カラム温度:40℃
注入量:10μL
定量法:絶対検量線法
【0028】
(実施例1)
使用する湿体のスポンジニッケル触媒(日興リカ(株)製 R−200)3.5gをビーカーに取り、150gの水に懸濁させたのち静置して、上澄み液のpHが8.7になるまで室温にて洗浄を繰り返した。上澄み液を除いた後、反応溶媒のメタノールに懸濁させたのち静置して、上澄み液を除いたものを反応に用いた。
【0029】
温度計および攪拌機を備えた500mlオートクレーブに、メタノール200g、洗浄したスポンジニッケル触媒、および酢酸0.06gを添加して混合した。この懸濁液のpHは6.1であった。この懸濁液に純度99.1%の2−インダノン20.0gを加えた後、室温にて系内を圧力1.0MPaの窒素で3回置換し、次いで1.0MPaの水素で3回置換した。系内圧力(ゲージ圧、以下同じ。)を0.5〜1.0MPaとして60℃まで昇温し、還元反応を行い、2時間で水素吸収が無くなったのを確認した後、更に撹拌を1時間継続した。この還元反応の反応率は99%以上であった。反応液を室温まで冷却した後、触媒を濾別し、残さをメタノール10.0gで洗浄した。その後、メタノールを190g留去して、室温にて水100gを滴下した。1時間撹拌後に結晶を濾過し、乾燥して、2−インダノール16.4gを得た。単離収率は79.2モル%であり、純度は99.9%であった。濾液中に含まれている目的物は13.7モル%あり、結晶と合わせた収率は92.9モル%であった。
【0030】
(実施例2)
使用する湿体のスポンジニッケル触媒(日興リカ(株)製 R−200)3.5gをビーカーに取り、150gの水に懸濁させたのち静置して、上澄み液のpHが8.7になるまで室温にて洗浄を繰り返した。上澄み液を除いた後、反応溶媒のメタノールに懸濁させたのち静置して、上澄み液を除いたものを反応に用いた。
【0031】
温度計および攪拌機を備えた500mLオートクレーブに、メタノール200g、洗浄したスポンジニッケル触媒、および酢酸0.14gを添加して混合した。この懸濁液のpHは4.4であった。この懸濁液に純度99.1%の2−インダノン20.0gを加えた後、室温にて系内を圧力1.0MPaの窒素で3回置換し、次いで1.0MPaの水素で3回置換した。系内圧力を0.5〜1.0MPaとして60℃まで昇温し、還元反応を行い、4時間で水素吸収が無くなったのを確認した後、更に撹拌を1時間継続した。この還元反応の反応率は99%以上であった。反応液を室温まで冷却した後、触媒を濾別し、残さをメタノール10.0gで洗浄した。その後、メタノールを190g留去して、室温にて水170gを滴下した。1時間撹拌後に結晶を濾過し、乾燥して、2−インダノール17.1gを得た。単離収率は81.1モル%であり、純度は99.3%であった。濾液中に含まれている目的物は13.1モル%あり、結晶と合わせた収率は94.2モル%であった。
【0032】
(実施例3)
反応に用いるスポンジニッケルを次の方法で調製した。ニッケル−アルミ合金25.0gと水125gを、温度計および攪拌機を備えた500mL四つ口フラスコに加えた後、50℃まで昇温した。20%水酸化ナトリウム水溶液6.1gを滴下し、発熱が収まったのを確認した後に、50℃で撹拌を30分継続した。次いで、40%水酸化ナトリウム水溶液86.4gを滴下し、1時間撹拌を継続した。その後、静置して上澄み液を取り除き、50℃温水200gを添加し、1分間撹拌後に静置して、上澄み液を取り除いた。この作業を16回繰り返した。得られた湿体に、反応溶媒として用いるメタノールを100g添加し、1分間撹拌後に静置して、上澄み液を取り除いた。得られた湿体のスポンジニッケルを反応に用いた。
【0033】
温度計および攪拌機を備えた500mLオートクレーブに、メタノール150gおよび純度99.1%の2−インダノン30.0gを添加して溶解させ、調製した湿体のスポンジニッケル1.9gおよび酢酸0.15gを添加した。この懸濁液のpHは6.7であった。その後、室温にて系内を圧力0.3MPaの窒素で3回置換し、次いで0.3MPaの水素で3回置換した。系内圧力を0.3MPaとして60℃まで昇温し、還元反応を行い、6.5時間で水素吸収がなくなったのを確認した後、更に撹拌を1時間継続した。この還元反応の反応率は97%であり、純度は92.7%であった。反応液を室温まで冷却した後、触媒を濾別し、残さをメタノール15gで洗浄した。その後メタノールを140g留去して、室温にて水120gを滴下した。1時間撹拌後に結晶を濾過し、乾燥して、2−インダノール23.1gを得た。単離収率は73.0モル%であり、純度は95.4%であった。濾液中に含まれている目的物は17.3モル%あり、結晶と合わせた収率は90.3モル%であった。
【0034】
(比較例1)
使用する湿体のスポンジニッケル触媒(日興リカ(株)製 R−200)3.5gをビーカーに取り、150gの水に懸濁させたのち静置して、上澄み液のpHが8.7になるまで室温にて洗浄を繰り返した。上澄み液を除いた後、反応溶媒のメタノールに懸濁させたのち静置して、上澄み液を除いたものを反応に用いた。
【0035】
温度計および攪拌機を備えた500mLオートクレーブに、メタノール200gおよび洗浄したスポンジニッケル触媒を添加して混合した。この懸濁液のpHは8.4であった。この懸濁液に純度99.1%の2−インダノン40.0gを加えた後、室温にて系内を圧力1.0MPaの窒素で3回置換し、次いで1.0MPaの水素で3回置換した。系内圧力を0.5〜1.0MPaとして60℃まで昇温し、還元反応を行い、2時間で水素吸収が無くなったのを確認した後、更に撹拌を1時間継続した。この還元反応の反応率は99%以上であったが、純度は76.0%であり、不純物として2−インダノンの二量体が13.4%であった。
【0036】
反応液を室温まで冷却した後、触媒を濾別し、残さをメタノール20gで洗浄した。その後、メタノールを160g留去して、室温にて水200gを滴下した。1時間撹拌後に結晶を濾過し、乾燥して、2−インダノール28.2gを得た。単離収率は69.2モル%であり、純度は76.4%であった。濾液中に含まれている目的物は14.0モル%であり、結晶と合わせた収率は83.2モル%であった。
【0037】
(比較例2)
温度計および攪拌機を備えた500mLオートクレーブに、メタノール250g、実施例3で調製した湿体のスポンジニッケル触媒5.7g、酢酸20.0g、および純度99.1%の2−インダノン50.0gを添加して混合した。この懸濁液のpHは3.7であった。室温にて系内を圧力0.5MPaの窒素で3回置換し、次いで0.5MPaの水素で3回置換した。系内圧力を0.5〜1.0MPaとして60℃まで昇温し、還元反応を行い、7時間で水素吸収が無くなったのを確認した後、更に撹拌を1時間継続した。この還元反応液をHPLCで分析したところ、純度は2−インダノールが66.2%であり、原料の2−インダノンが28.1%であった。
【0038】
(比較例3)
使用する湿体のスポンジニッケル触媒(日興リカ(株)製 R−200)1.9gをビーカーに取り、70gの水に懸濁させたのち静置して、上澄み液のpHが8.6になるまで室温にて洗浄を繰り返した。上澄み液を除いたものを反応に用いた。
【0039】
温度計および攪拌機を備えた500mLオートクレーブに、メタノール157g、洗浄した湿体のスポンジニッケル触媒2.0g、35%塩酸0.02g、およびイオン交換水79.0gを添加した。この懸濁液のpHは5.8であった。この懸濁液に純度99.1%の2−インダノン10.1gを加えた後、室温にて系内を圧力0.5MPaの窒素で3回置換し、次いで0.5MPaの水素で3回置換した。系内圧力を0.5Paとして60℃まで昇温し、還元反応を行い、3時間で水素吸収が無くなったのを確認した。この還元反応液をHPLCで分析したところ、純度は2−インダノールが77.6%、原料の2−インダノンが3.2%であり、不純物である2−インダノンの二量体が10.2%であった。
【0040】
(比較例4)
使用する湿体のスポンジニッケル触媒(日興リカ(株)製 R−200)7.5gをビーカーに取り、150gの水に懸濁させたのち静置して、上澄み液のpHが8.7になるまで室温にて洗浄を繰り返した。上澄み液を除いた後、反応溶媒の2−プロパノールに懸濁させたのち静置して、上澄み液を除いたものを反応に用いた。
【0041】
温度計および攪拌機を備えた500mLオートクレーブに、2−プロパノール200g、洗浄したスポンジニッケル触媒、および塩酸0.01gを添加して混合した。この懸濁液のpHは2.8であった。この懸濁液に純度99.1%の2−インダノン20.0gを加えた後、室温にて系内を圧力1.0MPaの窒素で3回置換し、次いで1.0MPaの水素で3回置換した。系内圧力を1.0MPaとして60℃まで昇温し、還元反応を行い、4時間で水素吸収が無くなったのを確認した後、更に撹拌を1時間継続した。この還元反応の反応率は99%以上であったが、純度は76.6%であり、不純物として2−インダノンの二量体が19.0%あった。
【0042】
反応液を室温まで冷却した後、触媒を濾別し、残さを2−プロパノール10.0gで洗浄した。その後、2−プロパノールを210g留去して、室温にてヘプタン100gを滴下した。10℃まで冷却して1時間撹拌後に結晶を濾過し、乾燥して、2−インダノール7.8gを得た。単離収率は38.0モル%であり、HPLC純度は67.5%であった。濾液中に含まれている目的物は58.4モル%であり、結晶と合わせた収率は86.4モル%であった。
【0043】
(比較例5)
温度計および攪拌機を備えた500mLオートクレーブに、メタノール150gおよび純度99.1%の2−インダノン30.0gを添加して溶解させ、実施例3で調製した湿体のスポンジニッケル1.7gを添加した。この懸濁液のpHは8.2であった。その後、室温にて系内を圧力0.3MPaの窒素で3回置換し、次いで0.3MPaの水素で3回置換した。系内圧力を0.3MPaとして60℃まで昇温し、還元反応を行い、2.5時間で水素吸収がなくなったのを確認した後、更に撹拌を1時間継続した。この還元反応の反応率は99%以上であり、純度は81.1%であった。反応液を室温まで冷却した後、触媒を濾別し、残さをメタノール15.0gで洗浄した。その後メタノールを125g留去して、室温にて水120gを滴下した。1時間撹拌後に結晶を濾過し、乾燥して、2−インダノール23.8gを得た。単離収率は63.9モル%であり、純度は79.3%であった。濾液中に含まれている目的物は14.0モル%であり、結晶と合わせた収率は77.9モル%であった。
【0044】
(比較例6)
温度計および攪拌機を備えた500mLオートクレーブに、メタノール250g、純度99.1%の2−インダノン50.0g、および5%Pt/C触媒9.37gを添加した。懸濁液のpHは5.7であった。その後、室温にて系内を圧力0.5MPaの窒素で3回置換し、次いで0.5MPaの水素で3回置換した。系内圧力を0.5MPaとして60℃まで昇温し、1時間還元反応を行った。その後系内圧力を1.0MPaまで昇圧させ、6時間還元反応を行い、水素吸収がなくなったのを確認した。この還元反応液をHPLCで分析したところ、純度は2−インダノールが14.4%、原料の2−インダノンが77.5%であった。