【実施例】
【0094】
本明細書において上記の通り、ニューレグリンは、上皮増殖因子(EGF)に構造的に関連する増殖因子のファミリーであり、心臓の正常な発達に必須である。ニューレグリンが、心不全、心筋梗塞、化学療法毒性およびウイルス性心筋炎を含む心疾患の治療についての可能性のある治療剤であることを証拠は示唆している。
【0095】
ラットにおけるうっ血性心不全の左前下行枝(LAD)動脈結紮モデルにおいて投与を定義するために、本明細書に記載の研究を役立てた。多数のニューレグリンスプライス変異体をクローニングし、作製した。以前の報告(Liuら, 2006)からのEGF様ドメイン(EGF-ld)からなるニューレグリン断片を、グリア成長因子2(GGF2)として公知の全長ニューレグリン、およびIgドメインを有するEGF様ドメイン(EGF-Ig)と比較した。雄性および雌性Sprague-DawleyラットにLAD動脈結紮を施した。結紮の7日後に、ラットを、毎日、ニューレグリンで静脈内(iv)処置した。心機能を心エコー検査によってモニタリングした。
【0096】
第1研究は、等モル量のEGF-ldまたはGGF2(GGF2について、これは、0.0625および0.325 mg/kgへ計算される)での投与の10日を比較した。GGF2処置は、投与期間の終了時でEGF-ldがもたらしたよりも、駆出率(EF)および短縮率(FS)において有意に(p<0.05)より大きな改善をもたらした。第2研究は、等モル濃度でのGGF2とEGF-ldおよびEGF-Igとの20日を比較した。GGF2処置は、有意に改善されたEF、FSおよびLVESDをもたらした(p<0.01)。心臓生理の改善は、EGF-ldまたはEGF-Igのいずれによっても、この期間の間、維持されなかった。第3研究は、GGF2(3.25 mg/kg)での20日間について毎日(q 24時間)、1日おき毎(q 48時間)および4日毎(q 96時間)の投与を比較した。3つ全てのGGF2治療レジメンが、EF、ESVおよびEDVを含む心臓生理の有意な改善をもたらし、効果は、投与の終了後10日間維持された。本明細書に示された研究は、GGF2をニューレグリンリード化合物として確認し、これを投与するための最適な投与レジメンを確立する。
【0097】
本明細書において示される通り、本研究は、公開されたニューレグリン断片(Liuら, 2006)と比較してのGGF2の相対的な効能を確立し、用量範囲および投与頻度研究を開始し、以前報告された通りにBSA賦形剤が必要とされるかどうかを決定する。
【0098】
方法および材料
GGF2 のIgEGF(Ig154Y)ドメイン(EGF-Ig)のクローニング、発現および精製
DNA:
IgEGFドメインを、既存のGGF2 cDNAから増殖し、Nde1およびBamH1制限部位を使用してpet 15bベクター(Novagenカタログ番号69661-3)へクローニングした。得られるタンパク質は、21.89 kda+約3kDa Hisタグ(=約25 kDa)である。
【0099】
IgEgf pet 15クローンのDNA配列:
下線が引かれた配列は、増幅のために使用されたプライマーである。太字の配列は、petベクターへ配列を挿入するために使用されたクローニング部位である(Nde1およびBamH1)。
【0100】
pet15bベクターからの最終的な翻訳されたタンパク質を、以下に示す。ベクター部分に下線が引かれている。
【0101】
タンパク質発現:
LB培地中において25℃で24時間Overnight Express Autoinduction System(Novagen)を使用して、タンパク質発現のためにクローンをBl21細胞へ形質転換した。
【0102】
タンパク質再折り畳み:
Novagen Protein Refolding Kit, 70123-3より適応させた。
【0103】
タンパク質精製:
His TRAPカラム−製造業者の説明書通り。
【0104】
ウエスタンブロッティング:
タンパク質発現をウエスタンブロッティングによって評価した。Hisタグを有する得られるバンドは、約25 kDに移動する。
【0105】
4-20%標準ゲル(criterion gel)(Biorad)をタンパク質分離のために使用し、続いて、Protranニトロセルロース紙(0.1μm細孔径、Schliecher and Schull製)へ転写した。ブロットをTBS-T(0.1%)中5%ミルクでブロッキングする。RTで1時間(4℃で一晩でも機能する)、TBS-T中5%ミルク中において一次抗体(抗EGFヒトNRG1-α/HRG1-αアフィニティー精製ポリクローナルAbカタログ番号AF-296-NA、R&D systems製)1:1000希釈。ウサギ抗ヤギHRP二次抗体を、RTで1時間、TBS-T中5%ミルク中において1:10,000希釈で使用した。全ての洗浄をTBS-T中において行った。
【0106】
Ig154Yについての精製プロトコール:
Novagen製のOvernight Express Autoinduction System 1(カタログ番号71300-4)中において25℃で、培養物を増殖させた。培養物を遠心沈殿させ、ペレットを取り出し、可溶化し、再折り畳みし、Ig154Yを得、その後、精製を行い得る。
【0107】
抽出、可溶化および再折り畳みのための材料:
10×洗浄バッファー:200mM Tris-HCl, pH 7.5、100mM EDTA、10% Triton X-100
10×可溶化バッファー:500mM CAPS, pH 11.0
50×透析バッファー:1M Tris-HCl, pH 8.5
30%N-ラウリルサルコシン-粉末(Sigma 61739-5G)として添加。
1M DTT
還元型グルタチオン(Novagen 3541)
酸化型グルタチオン(Novagen 3542)
【0108】
A.細胞溶解および封入体の調製
- 細胞ペレットを1×洗浄バッファー30ml中に解凍し、再懸濁した。
- プロテアーゼ阻害剤(50ml当たり10×を25ul)、DNase(50ml当たり1mg/mlを200ul)およびMgCl
2(50ml当たり1Mを500ul)を、懸濁液へ添加した。
- 氷上で冷却しながら超音波処理によって細胞を溶解した。
- 超音波処理に続いて、封入体を12分間の10000×gでの遠心分離によって収集した。
- 上澄みを除去し、ペレットを、1×洗浄バッファー30ml中に完全に再懸濁した。
- 工程4を繰り返した。
- ペレットを、1×洗浄バッファー30ml中に完全に再懸濁した。
- 封入体を10分間の10000×gでの遠心分離によって収集した。
【0109】
B.可溶化および再折り畳み
- 処理される封入体の湿重量から、10〜15mg/mlの濃度で封入体を再懸濁するために必要な1×可溶化バッファーの量を計算する。計算された体積が250mlを超える場合、250mlを使用する。
- 室温で、0.3%N-ラウリルサルコシン(さらなる最適化において必要な場合には、2%までが使用され得る)(300mg/100mLバッファー)および1mM DTTが補われた計算された体積の1×可溶化バッファーを調製する。
- 工程2からの計算された量の1×可溶化バッファーを封入体へ添加し、穏やかに混合する。大きな細片は、ピペット操作を繰り返すことによって破壊され得る。
- 25℃、50〜100 rpmで4〜5時間(さらなる最適化において必要な場合には、さらに長く)、リフリジレーターシェーカー中においてインキュベートする。
- 室温での10分間の10000×gでの遠心分離によって清澄化する。
- 可溶性タンパク質を含有する上澄みを、清潔なチューブへ移す。
【0110】
C.タンパク質再折り畳みのための透析プロトコール
- 可溶化タンパク質の透析用の必要とされる体積のバッファーを調製する。透析は、試料の体積の50倍を超える少なくとも2回のバッファー交換を伴って行われるべきである。50×透析バッファーを所望の体積で1×へ希釈し、0.1mM DTTを補う。
- 4℃で少なくとも4時間透析する。バッファーを交換し、継続する。さらに4時間またはそれ以上の間、透析する。
- DTTを省略することを除いては、工程1において決定された通りに、新たな透析バッファーを調製する。
- 透析バッファーにDTTは含まれずに、2つのさらなる変更(各々、数分 4時間)によって透析を継続する。
【0111】
D.ジスルフィド結合形成を促進するための酸化還元再折り畳みバッファー
- 1×透析バッファー中において1mM還元型グルタチオン(1.2g/4L)および0.2mM酸化型グルタチオン(0.48g/4L)を含有する透析バッファーを調製する。体積は、可溶化タンパク質試料の体積よりも25倍大きいべきである。4℃まで冷やす。
- 工程1からの再折り畳みされたタンパク質を4℃で一晩透析する。
【0112】
精製のための材料
全ての手順を4℃で行う。
化学物質:
トリズマ塩酸塩(Sigma T5941-500G)
塩化ナトリウム5M溶液(Sigma S6546-4L)
水酸化ナトリウム10N(JT Baker 5674-02)
イミダゾール(JT Baker N811-06)
【0113】
A.HISPrep FF 16/10カラム-20ml(GE Healthcare)での精製
バッファーA:20mM Tris-HCL+500mM NaCl pH 7.5
バッファーB:バッファーA+500mMイミダゾール pH 7.5
カラムの平衡:バッファーA- 5CV、バッファーB- 5CV、バッファーA- 10CV
0.5ml/分で20mlカラム上での1実行当たり20mlの試料をロードする。
カラムを5CVのバッファーAで洗浄する。
カラムを5CVの280mMイミダゾールで溶出する。
10CVの100%バッファーBでクリーニングする。
15CVのバッファーAで平衡させる。
SDS-page銀染色でフラクションを分析する。
Ig154Yを含むフラクションをプールする。
【0114】
B.Hisタグ除去
Hisタグの除去を、Novagen製のThrombin Cleavage Capture Kit(カタログ番号69022-3)で行う。前もっての試験に基づいて、最良の条件は、Ig154Yタンパク質10μg毎について1μl当たり0.005Uの酵素でのトロンビンを用いて室温で4時間である。4時間のインキュベーション後、トロンビン酵素1単位当たりストレプトアビジンアガローススラリー16μlを添加する。室温で30分間試料を揺り動かさせる。スピン濾過または滅菌濾過(体積に依存する)によってIg154Yを回収する。完全な切断を、EGFおよび抗Hisウエスタンブロッティングによって測定する。
【0115】
C.Ig154Yの濃縮
Millipore Centriprep 3000 MWCO 15ml濃縮器(Ultracel YM-3, 4320)を用いて、所望の濃度へ調節する。
【0116】
D.最終バッファー中の保存
20mM Tris+500mM NaCl pH 7.5および1×PBS+0.2% BSA中において保存する。
【0117】
156Q(EGF-Id)[NRG1b2 EGFドメイン(156Q)]のクローニング、発現および精製
DNA:
NRG1b2 egfドメインを、ヒト脳cDNAからクローニングし、Nde1およびBamH1 制限部位を使用してpet 15bベクター(Novagenカタログ番号69661-3)へクローニングした。得られるタンパク質は、6.92 kda+約3kDa Hisタグ(=9.35 kDa)である。
【0118】
NRG1b2 egf pet 15クローンのDNA配列
下線が引かれた配列は、クローニング部位(Nde1およびBamH1)である。
【0119】
pet15bベクターからの最終的な翻訳されたタンパク質を、以下に示す。egfドメインは、緑色で強調されている。
計算されたpI/Mw:7.69 / 9349.58
【0120】
タンパク質発現
LB培地中において25℃で24時間Overnight Express Autoinduction System(Novagen)を使用して、タンパク質発現のためにクローンをBl21細胞へ形質転換した。発現は、主に不溶性の封入体においてである。
【0121】
タンパク質再折り畳み:
Novagen Protein Refolding Kit, 70123-3から適応させた。
【0122】
タンパク質精製:
タンパク質を2.5ml/分でアニオン交換カラムDEAE上へロードする。EGF-Id断片は素通り画分に残り、一方、汚染物質は結合し、より高い塩で溶出される。ローディングおよび洗浄バッファーは、50mM Tris pH7.9であり、溶出バッファーは、1M NaClを含む50mM Tris pH7.9である。素通り画分をプールし、Millipore製のCentriprep YM-3で濃縮する。
【0123】
ウエスタンブロッティング:
タンパク質発現をウエスタンブロッティングによって評価する。得られるバンドは、約10kDに移動する。
【0124】
4-20%基準ゲル(Biorad)をタンパク質分離のために使用し、続いて、Protranニトロセルロース紙(0.1μm細孔径、Schliecher and Schull製)へ転写した。ブロットをTBS-T(0.1%)中5%ミルクでブロッキングした。RTで1時間(4℃で一晩でも機能する)、TBS-T中5%ミルク中において一次抗体(抗EGFヒトNRG1-α/HRG1-αアフィニティー精製ポリクローナルAbカタログ番号AF-296-NA、R&D systems製)1:1000希釈。ウサギ抗ヤギHRP二次抗体を、RTで1時間、TBS-T中5%ミルク中において1:10,000希釈で使用した。全ての洗浄をTBS-T中において行った。
【0125】
NRG-156Qについての精製プロトコール
Novagen製のOvernight Express Autoinduction System 1(カタログ番号71300-4)中において25℃で、培養物を増殖させる。ほんの僅かだけ可溶性のNRG-156Q(EGF-Id)が、存在する。培養物を遠心沈殿させ、ペレットを取り出し、可溶化し、再折り畳みし、NRG-156Qを得、その後、精製を行い得る。
【0126】
抽出、可溶化および再折り畳みのための材料:
10×洗浄バッファー:200mM Tris-HCl, pH 7.5、100mM EDTA、10% Triton X-100
10×可溶化バッファー:500mM CAPS, pH 11.0
50×透析バッファー:1M Tris-HCl, pH 8.5
30%N-ラウリルサルコシン-粉末(Sigma 61739-5G)として添加
1M DTT
還元型グルタチオン(Novagen 3541)
酸化型グルタチオン(Novagen 3542)
【0127】
A.細胞溶解および封入体の調製
- 細胞ペレットを1×洗浄バッファー30ml中に解凍し、再懸濁する。完全な再懸濁のために、必要な場合は混合する。
- プロテアーゼ阻害剤(50ml当たり10×を25ul)、DNase(50ml当たり1mg/mlを200ul)およびMgCl2(50ml当たり1Mを500ul)を、懸濁液へ添加する。
- 超音波処理によって細胞を溶解する。
a.この工程の間、細胞を氷上で冷却する。
b.懸濁液の粘着性が減少するまで、スクエアチップを使用して、10回、レベル6で30秒間超音波処理する。各超音波処理の間、懸濁液を氷上において60秒間冷却させる。超音波処理の際、50mlコニカルチューブ中において体積を40ml以下に維持する。
- 完了したら、各懸濁液を、F-16/250ローターでの使用のために250mlアングルドネック(angled neck)遠心分離機ボトルへ移す。
- 封入体を12分間の10,000×gでの遠心分離によって収集する。
- 上澄みを除去し(可溶性タンパク質の分析のために試料を保持する)、ペレットを1×洗浄バッファー30ml中に完全に再懸濁する。
- 工程4における通り遠心分離を繰り返し、ペレットを保持する。
- 再度、ペレットを1×洗浄バッファー30ml中に完全に再懸濁する。
- 封入体を10分間の10,000×gでの遠心分離によって収集する。上澄みをデカンテーションし、逆さにしたチューブをペーパータオル上で軽くたたくことによって、最後の微量の液体を除去する。
【0128】
B.可溶化および再折り畳み
- 処理される封入体の湿重量から、10〜15mg/mlの濃度で封入体を再懸濁するために必要な1×可溶化バッファーの量を計算する。計算された体積が250mlを超える場合、250mlを使用する。
- 室温で、0.3%N-ラウリルサルコシン(さらなる最適化において必要な場合には、2%までが使用され得る)(300mg/100mLバッファー)および1mM DTTが補われた計算された体積の1×可溶化バッファーを調製する。
- 工程2からの計算された量の1×可溶化バッファーを封入体へ添加し、穏やかに混合する。大きな細片は、ピペット操作を繰り返すことによって破壊され得る。
- 25℃、50〜100 rpmで4〜5時間、リフリジレーターシェーカー中においてインキュベートする。
- 室温での10分間の10,000×gでの遠心分離によって清澄化する。
【0129】
C.タンパク質再折り畳みのための透析プロトコール
- 可溶化タンパク質の透析用の必要とされる体積のバッファーを調製する。透析は、試料の体積の50倍を超える少なくとも2回のバッファー交換を伴って行われるべきである。
- 50×透析バッファーを所望の体積で1×へ希釈し、0.1mM DTTを補う。
- 4℃で少なくとも4時間透析する。バッファーを交換し、継続する。さらに4時間またはそれ以上の間、透析する。
- DTTを省略することを除いては、工程1において決定された通りに、新たな透析バッファーを調製する。
- 透析バッファーにDTTは含まれずに、2つのさらなる変更(各々、数分 4時間)によって透析を継続する。
【0130】
D.ジスルフィド結合形成を促進するための酸化還元再折り畳みバッファー
- 1×透析バッファー中において1mM還元型グルタチオン(1.2g/4L)および0.2mM酸化型グルタチオン(0.48g/4L)を含有する透析バッファーを調製する。体積は、可溶化タンパク質試料の体積よりも25倍大きいであるべきである。4℃まで冷やす。
- 工程1からの再折り畳みされたタンパク質を4℃で一晩透析する。
【0131】
精製のための材料
全ての手順を4℃で行う。
化学物質:
トリズマ塩酸塩(Sigma T5941-500G)
塩化ナトリウム5M溶液(Sigma S6546-4L)
水酸化ナトリウム10N(JT Baker 5674-02)
【0132】
E.DEAE HiPrep 16/10アニオンカラム-20ml(GE Healthcare)での精製
バッファーA:50mM Tris-HCL pH 8.0
バッファーB:50mM Tris-HCLおよび1M NaCl pH 8.0
カラムの平衡:バッファーA- 5CV、バッファーB- 5CV、バッファーA- 10CV
- 2.0ml/分で20mlカラム上での1実行当たり50mlの試料をロードする(NRG-156(EGF-Id)は素通り画分中にある)。
- 20mlカラムを5CVのバッファーAで洗浄する。
20mlカラムを100%Bへの勾配で5CVにおいて用いる。これによって汚染物質が溶出除去される。
- 10CVの100%バッファーBでクリーニングする。
- 15CVのバッファーAで平衡させる。
- SDS-page銀染色でフラクションを分析する。
- NRG-156Q(10kDa)を含むフラクションをプールする。
【0133】
F.NRG-156(EGF-Id)の濃縮
- Millipore Centriprep 3000 MWCO 15ml濃縮器(Ultracel YM-3, 4320)を用いて濃縮する。
- 濃度を測定するためにModified Lowry Protein Assayを使用する。
【0134】
G.Hisタグ除去
Hisタグの除去を、Novagen製のThrombin Cleavage Capture Kit(カタログ番号69022-3)で行う。前もっての試験に基づいて、最良の条件は、NRG-156Q(EGF-Id)タンパク質10μg毎について1μl当たり0.005Uの酵素でのトロンビンを用いて室温で4時間である。4時間のインキュベーション後、トロンビン酵素1単位当たりストレプトアビジンアガローススラリー16μlを添加する。室温で30分間試料を揺り動かさせる。スピン濾過または滅菌濾過(体積に依存する)によってNRG-156Qを回収する。完全な切断を、EGFおよび抗Hisウエスタンによって測定する。
【0135】
H.最終バッファー中の保存
4℃で1×PBSおよび0.2% BSA中に保存する。
【0136】
GGF2の発現および精製
GGF2についてのクローニングおよび背景情報については、米国特許番号5,530,109を参照のこと。細胞株は米国特許番号6,051,401に記載されている。米国特許番号5,530,109および米国特許番号6,051,401の各々の全内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0137】
CHO-(Alpha2HSG)-GGF細胞株:
この細胞株を、無血清条件においてrhGGF2の高い産生速度を支持するのに十分な量のフェチュイン(ヒトα2HSG)を産生するように設計した。
【0138】
Cho(dhfr-)細胞に
、発現ベクター(pSV-AHSG)をトランスフェクションした。安定細胞をアンピシリン選択下で増殖させた。細胞株を名付けた(dhfr
-/α2HSGP)。次いで、カチオン性脂質DMRIE-C試薬(Life Technologies #10459-014)を使用して、ヒトGGF2についてのコード配列を含
むpCMGGF2ベクターを、dhfr
-/α2HSGP細胞にトランスフェクションした。
【0139】
安定で高産生性の細胞株を、4〜6週間間隔で、メトトレキサート(100 nM、200 nM、400 nM、1μM)を使用する標準プロトコール下で誘導した。細胞を、血清含有培地から徐々に引き離した。標準的な限界希釈法によって、クローンを単離した。培地要件の詳細は、上記の報告に見られる。
【0140】
転写を増強するために、GGF2コード配列を、EBV BMLF-1介在配列(MIS)の後に配置した
。
【0141】
MIS配列(SEQ ID NO:20)
【0142】
GGF2コード配列(SEQ ID NO:1)-
【0143】
GGF2タンパク質配列(SEQ ID NO:2)-
【0144】
GGF2産生:
2.2×10
6細胞/mLのGGF2の1つのバイアルを100mlのAcorda培地1(表3を参照のこと)中へ解凍し、産生容器に接種するのに十分な数に達するまで拡大させた。細胞を、2リットル通気性ローラーボトル中において、1.0×10
5細胞/mLで、産生培地Acorda培地2(表4を参照のこと)へ接種した。ローラーボトルを37℃で5日間、次いで27℃で26日間維持する。ローラーボトルを、細胞数および全体的な外観についてモニタリングするが、それらに供給はしない。いったん生存力が10%未満になると、細胞をスピンアウトし、馴化培地を採取し、滅菌濾過する。
【0145】
(表3)培地1
【0146】
(表4)培地2
【0147】
GGF2についての精製プロトコール
全ての手順を4℃で行う。
化学物質:
酢酸ナトリウム
氷酢酸(pH調節のため)
10N NaOH(pH調節のため)
NaCl
硫酸ナトリウム
L-アルギニン(JT Bakerカタログ番号:2066-06)
マンニトール(JT Bakerカタログ番号:2553-01)
出発材料:
馴化培地上澄み。pHを6.5に調節する。
【0148】
工程1:
捕捉−カチオン交換クロマトグラフィー
HiPrep SP 16/10(Amersham Biosciences)
カラム平衡:バッファーA - 5CV、バッファーB - 5CV、バッファー15%B - 5CV
バッファーA:20 mM 酢酸Na, pH 6.0
バッファーB:20 mM 酢酸Na, pH 6.0, 1M NaCl
可能である場合は一晩連続的なロードで、試料を2ml/分でロードする。連続的なローディングによって、結合はより十分となる。
出発試料についての最大容量:5 mg GGF2/ml培地
流量:3ml/分
第1洗浄:15%B、10CV
第2洗浄:35%B、10CV
GGF2溶出:60%B、8CV
カラム洗浄:100%B、8CV
【0149】
工程2:
精製−ゲル濾過クロマトグラフィー
Sephacryl S200 26/60
溶出バッファー:20 mM酢酸Na、100mM硫酸ナトリウム、1%マンニトール、10 mM L-アルギニン, pH 6.5
バッファー導電率:
試料:約AU280 1.0まで濃縮されたSP GGF2溶出プール
流量:1.3 ml/分
ピーク溶出:注入開始から約0.36CVにおいて。
【0150】
工程3:DNAおよび内毒素除去−Intercept Q膜による濾過。
プレ平衡バッファー:20 mM酢酸Na、100mM硫酸ナトリウム、1%マンニトール、10 mM L-アルギニン, pH 6.5
素通り画分を収集する。
【0151】
工程4:最終製剤および試料調製
試料へ追加の90 mM L-アルギニンを添加する。
濃縮する。
滅菌濾過する。
【0152】
本明細書で使用するビヒクル/対照物は、0.2%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1 Mリン酸ナトリウム, pH 7.6である。
【0153】
ラット株であるCD(登録商標)IGS[Crl:CD(登録商標)(SD)/MYOINFARCT]およびナイーブなSprague Dawleyを、本明細書では使用する。これらの株はCharles River Laboratoriesから得た。試験動物は、到着時に約6〜7週齢であり、外科的処置の時点で約160〜200 gの重さである。実際の範囲は変化し得、これをデータで記録に残す。
【0154】
受け取った全てのナイーブなSprague Dawley動物を研究に用い、群1へ割り当てた。研究に適切であると考えられた動物を、処置前に計量した。
【0155】
受け取った全てのCD(登録商標)IGS[Crl:CD(登録商標)(SD)/MYOINFARCT]動物を、Charles River Laboratoriesで行われた外科的処置の7日後に行われた心エコー検査からの計算された駆出率に基づいて、単純無作為化手順を使用して無作為に処置群(群2〜5)に分けた。単純無作為化を行い、適用可能数の動物からなる各処置群(群2〜5)を得、群2〜5にわたってほぼ等しい群平均駆出率(±3%)が得られた。
【0156】
群2〜6内の全ての動物を、Charles River Laboratoriesにおいてそのラボラトリーの標準操作手順に従って順応させた。続いて、動物を無作為化に処置群に分けた。群1内の全てのナイーブな動物を、それらの最初の心エコー検査の前に受け取り後の約24時間順応させた。
【0157】
吊り下げ式のステンレス鋼金網タイプのケージ中に動物を個々に収容し、ソリッドボトムケージは一般的に使用せず、何故ならば、げっ歯動物は糞食性(coprophagic)であり、排泄された試験物および代謝産物を含有する糞便の摂取、または敷きわら自体の摂取は、この毒性研究における結果の解釈を混乱させ得るためである。
【0158】
自動タイマーによって1日約12時間、蛍光照明を提供した。時々、研究に関する作業のために、暗サイクルを断続的に中断した。温度および湿度を毎日モニタリングし記録し、可能な限りそれぞれ64〜79
oFおよび30〜70%に維持した。
【0159】
基礎食は、block Lab Diet(登録商標)Certified Rodent Diet #5002, PMI Nutrition International, Inc.であった。特に指定されない限り、この食事は、自由に利用可能であった。使用した各ロット番号を研究記録に記載した。特に記載されない限り、自動ウォーターシステムによって、全ての動物へ水道水を適宜供給した。
【0160】
研究設計
(表5)GGF2対EGF-ld断片(Liuら, 2006)
LAD後7日目から開始して10日間投与した。
【0161】
(表6)EGF-ldおよびEGF-Igと比較した場合のより高い用量のGGF2
LAD後7日目から開始して20日間投与した。10日洗い流し。
【0162】
(表7)GGF2投与頻度
TA 1−試験物1;M=雄性;F=雌性。
【0163】
(表8)BSA有りまたはBSA無しのGGF2
【0164】
試験物および対照物投与
投与経路
試験物および対照物を静脈内注射によって投与した。群1へ割り当てられた動物は、ビヒクルまたは試験物で処置せず;これらの動物は、処置を施さない年齢を適合させた対照として役立った。投与頻度、期間および用量は、表5〜8に記載の通りであった。用量体積は約1 ml/kgであった。
【0165】
試験物投与
試験物および対照物を、尾静脈を介して投与した。個々の用量は、最新の体重に基づいた。スポンサーによって特に指示されない限り、用量をボーラス注射によって投与した。
【0166】
試験システムの調製
外科的処置−左前下行枝動脈結紮
Charles River Laboratories Surgical Capabilities Reference Paper, Vol. 13, No.1, 2005に記載された通りに、外科的処置を、Charles River Laboratoriesで行った。簡単に記載すると、皮膚および胸筋を通って胸骨の僅かに左側の胸部に、頭蓋尾方向切開を作製する。第3および第4肋骨を横に切開し、肋間筋を鈍的解剖する。胸腔に迅速に入り、心膜を完全に開く。心臓を切開から体外へ出す。肺動脈円錐および左心耳を確認する。小さな曲針を使用し、左前下行枝冠状動脈下に1本の5-0絹縫合糸を通す。結紮を結び、心臓を胸郭へ戻す。胸壁および皮膚切開を閉じながら、胸腔中の空気を徐々に追い出す。陽圧換気を使用して動物を蘇生させ、酸素に富む環境下に置く。
【0167】
術後の回復
短期術後モニタリングおよび適切な鎮痛薬の投与を、Charles River Laboratories Surgical Capabilities Reference Paper, Vol. 13, No.1, 2005に記載された通りにCharles River Laboratoriesによって行った。
【0168】
長期術後モニタリングを行い、疼痛または感染症の徴候について動物を評価した。動物の受け取り後の7日間、毎日の切開部位観察を継続した。必要な場合、追加の疼痛管理および抗菌療法を施した。
【0169】
(表9)予定の医用薬剤および投与量
*-下記に示される動物群評価によって画定されるECHO処置日。
【0170】
生前の研究評価
ケージサイド観察
罹病、死滅、損傷、ならびに食料および水の利用可能性について少なくとも1日2回、全ての動物を観察した。健康状態が良くない動物を、さらなるモニタリングおよび可能性のある安楽死のために同定した。
【0171】
体重
無作為化の前に少なくとも1回および研究の間毎週、体重を測定および記録した。
【0172】
食料消費
食料消費は測定しなかったが、食欲不振は記録に残した。
【0173】
心エコー検査
受け取り(0日目)後1、12、22および32日目に、群1へ割り当てられた全ての動物について、心エコー検査を行った。Charles River Laboratoriesで行われた外科的処置(0日目)後7、18、28および38日目に、群2〜5へ割り当てられた全ての動物について、心エコー検査を行った。
【0174】
心エコー検査について、各動物を表5に従って麻酔し、その体毛を胸部から切り取った。カップリングゲルを心エコートランスデューサーへ塗布し、画像を得、多数のレベルで心機能を測定した。画像を各動物について短軸像で得た(中央乳頭レベルにおいて、または心エコー検査による観察される梗塞領域の位置に依存してその他において)。
【0175】
心エコーのパラメータ
左心室の、中央乳頭筋レベルにおいてまたは心エコー検査による観察される梗塞領域の位置に依存してその他において、ECHO画像を撮影した。M-モードおよび2-D画像をCDおよび/またはMODに記録および保存した。ECHOで得られる測定パラメータは以下を含む:心室内隔壁厚み(拡張期);単位=cm;心室内隔壁厚み(収縮期);単位=cm;左心室内部寸法(拡張期);単位=cm;左心室内部寸法(収縮期);単位=cm;左心室乳頭壁厚み(拡張期);単位=cm;左心室乳頭壁厚み(収縮期);単位=cm;拡張末期容量;単位=mL;収縮末期容量;単位=mL;駆出率;パーセンテージとして報告;一回心拍出量;単位=ml;およびパーセント短縮率;パーセンテージとして報告。
【0176】
安楽死
瀕死
試験施設標準操作手順によって定義されるいずれの瀕死の動物も、人道的な理由のために安楽死させた。死の間際に安楽死させたかまたは死んだ状態で見つけられた全ての動物を、通常の検死へ供した。
【0177】
安楽死の方法
大静脈への飽和塩化カリウム注射、続いての死を確実にするための承認された方法、例えば全採血によって、安楽死を行った。
【0178】
最終処分
研究した全ての生き残っている動物を、それらの予定の検死時に安楽死させたか、または必要ならば、死の間際に安楽死させた。
【0179】
結果
研究1−
GGF2 0.625 mg/kg iv 1日毎(qday)でのラットの処置により、駆出率および短縮率の変化によって本明細書で示される心機能の有意な改善が得られた。EGF-1d断片は、同程度の改善をもたらさなかった。表5を参照のこと。
【0180】
研究2−
GGF2 0.625および3.25 mg/kg iv 1日毎でのラットの処置により、駆出率および短縮率の変化によって本明細書で示される心機能の有意な改善が得られた。処置期間の間、収縮末期容量および拡張末期容量においても、有意な改善が見られた。表6を参照のこと。
【0181】
研究3 結果−
GGF2 3.25 mg/kg iv 24、48または96時間毎でのラットの処置により、駆出率および短縮率の変化によって本明細書で示される心機能の有意な改善が得られた。処置期間の間、収縮末期容量および拡張末期容量においても、有意な改善が見られた。表7を参照のこと。
【0182】
以前の報告(Liuら)は、BSAなどの担体タンパク質が最適なニューレグリン安定性および活性のために必要とされることを示した。GGF2は、BSAなどの担体無しで安定性を示した。この実験は、GGF2がBSA無しでの治療レジメンにおいて安定かつ活性であるかどうかを試験するように設計された。処置の10日後、BSA含有GGF2製剤およびBSA非含有GGF2製剤は両方とも、以前の研究において見られたものと同様のビヒクル対照と比較して、駆出率の改善をもたらした。従って、BSAまたは他の担体タンパク質はCHFの治療のためのGGF2製剤において必要とされないことが、この研究から明らかである。表8を参照のこと。
【0183】
(表10)病理学的所見
++ 頻繁に存在する。+ 存在する。+/- 時折観察される。- 稀に観察されるかまたは観察されない。
【0184】
表10に示された通り、GGF2の断続的な投与は、外因的に投与されるGGF2の超正常レベルに関連する副作用を減らす。本発明者らは、GGF2が静脈内または皮下投与されるかどうかに関係なく、この知見が真実であることを見出した。
【0185】
過形成および心臓影響が、1日おき毎の投与で時折見られる。本発明者らは、頻度の少ない投与では見なかった。
【0186】
いくつかの刊行物および特許文献が、本発明が属する分野の状態をより完全に説明するために、本出願において参照される。本明細書に記載の全ての刊行物および特許出願は、各独立した刊行物または特許出願が参照により組み込まれるように具体的にかつ個々に示されるかのように同程度まで、参照により本明細書に組み入れられる。