【実施例】
【0022】
図1は、本発明の一実施例に係る研磨装置の概略図、
図2は、本実施例の研磨装置における加工ヘッドの正面図、
図3は、本実施例の研磨装置における加工ヘッドの平面図、
図4は、本実施例の研磨装置における支持台を表す正面図、
図5は、本実施例の研磨装置における支持台を表す正面図、
図6は、本実施例の研磨装置における支持台を表す平面図、
図7は、本実施例の研磨装置による研磨方法を表す概略図、
図8は、本実施例の研磨装置による研磨方法を表す概略図、
図9は、R面取り加工装置を表す概略図、
図10は、R面取り加工装置におけるスピンドルを表す正面図、
図11は、フローティングホルダの断面図、
図12は、マイクロデプスホルダの断面図、
図13−1は、管支持板の下穴を表す平面図、
図13−2は、管支持板の下穴とR面取り部を表す平面図、
図13−3は、管支持板のブローチ穴を表す平面図、
図14は、管支持板の穴加工方法を表すフローチャート、
図15は、本実施例の蒸気発生器を表す概略構成図である。
【0023】
本実施例の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
【0024】
本実施例の加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、原子炉格納容器内には、加圧水型原子炉及び蒸気発生器が格納されており、この加圧水型原子炉と蒸気発生器とは冷却水配管を介して連結されている。従って、燃料(原子燃料)により一次冷却水が加熱され、高温の一次冷却水が冷却水配管を通して蒸気発生器に送られる。この蒸気発生器にて、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は冷却水配管を通して加圧水型原子炉に戻される。
【0025】
このように構成された原子力発電プラントに適用される蒸気発生器13において、
図15に示すように、胴部41は、密閉された中空円筒形状をなし、上部に対して下部が若干小径となっている。この胴部41は、その下部に内壁面と所定間隔をもって円筒形状をなす管群外筒42が配設されている。この管群外筒42は、内部に所定の高さ位置に対応して複数の管支持板43が配設されると共に、この管支持板43の下方に管板44が固定されており、各管支持板43は、管板44から上方に延設された複数のステーロッド45により支持されている。そして、この管群外筒42は、内部に逆U字形状をなす複数の伝熱管46からなる伝熱管群47が配設されており、各伝熱管46は、端部が管板44に拡管して支持されると共に、中間部が複数の管支持板43により支持されている。
【0026】
また、胴部41は、管板44の下方に隔壁48により入室49及び出室50により区画されると共に、入口ノズル51及び出口ノズル52が形成され、各伝熱管46の一端部が入室49に連通し、他端部が出室50に連通している。
【0027】
また、胴部41は、伝熱管群47の上方に給水を蒸気と熱水とに分離する気水分離器53と、この分離された蒸気の湿分を除去して乾き蒸気に近い状態とする湿分分離器54が設けられている。また、胴部41は、伝熱管群47と気水分離器53との間に、内部に二次冷却水の給水を行う給水管55が挿入される一方、天井部には蒸気出口56が形成されている。そして、胴部41は、給水管55から内部に給水された二次冷却水を管群外筒42との間を流下して管板44にて上方に循環し、伝熱管群47内を上昇するときに各伝熱管46内を流れる熱水(一次冷却水)との間で熱交換を行う給水路が設けられている。
【0028】
従って、加圧水型原子炉で加熱された一次冷却水が冷却水配管を通して蒸気発生器13の入室49に送られ、多数の伝熱管46内を通って循環して出室50に至る。一方、復水器で冷却された二次冷却水が冷却水配管を通して蒸気発生器13の給水管55に送られ、胴部41内を通って伝熱管46内を流れる熱水(一次冷却水)と熱交換を行う。即ち、胴部41は、内部で高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は出室50から冷却水配管を通して加圧水型原子炉に戻される。一方、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行った二次冷却水は、胴部41内を上昇し、気水分離器53で蒸気と熱水とに分離され、湿分分離器54でこの蒸気の湿分を除去してから、冷却水配管を通して蒸気タービンに送られる。
【0029】
このように構成された蒸気発生器13にて、胴部41は、下部に複数の管支持板43が所定間隔で設けられると共に、その下端部に管板44が設けられている。そして、伝熱管群47を構成する複数の伝熱管46は、端部が管板44に形成された多数の取付穴に固定されると共に、中間部が各管支持板43に形成された多数の取付穴61に支持されている。この各管支持板43の各取付穴61は、一次冷却水により加熱された二次冷却水(蒸気)を上方に移送する必要があることから、伝熱管46の断面形状となる円形の外周側に複数の切欠部を有する異形となっている。
【0030】
この管支持板(被加工部材)43に形成された複数の取付穴61は、まず、
図13−1に示すように、下穴加工装置により管支持板43に下穴62を形成する。次に、
図13−2に示すように、R面取り加工装置により下穴62の軸方向における端部にR面取り加工を行うことで、R面取り部63を形成する。続いて、
図13−3に示すように、ブローチ加工装置により下穴62に対してブローチ加工を行うことで、異形状をなすブローチ穴64を形成する。そして、本実施例の研磨装置によりこのブローチ穴64の軸方向における端部に面取り加工を行うことで、取付穴61を形成する。
【0031】
この場合、管支持板43に下穴62を形成する下穴加工装置は、例えば、本出願人が既に出願している多軸加工装置(特許第4831825号公報に記載)を用いて行う。
【0032】
また、管支持板43にR面取り部63を形成するR面取り加工装置は、以下の装置を用いて行う。
図9に示すように、R面取り加工装置71において、ベッド72は、上面部にコラム73が固定されており、このコラム73は、側部にサドル74が上下方向に沿って移動自在に支持されている。また、コラム73は、駆動モータ75により上下方向に沿ったねじ軸76が配置されており、このねじ軸76がサドル74に螺合している。従って、駆動モータ75によりサドル74を上下に移動することができる。また、サドル74は、側部に加工ヘッド77が水平方向に沿って移動自在に支持されており、図示しない駆動モータにより移動可能となっている。そして、加工ヘッド77は、複数(本実施例では、12個であるが、この個数に限定されるものではない。)のスピンドル78が設けられ、駆動モータ79により同期して回転可能となっている。
【0033】
スピンドル78は、
図10に示すように、基端側に設けられた軸部81が、加工ヘッド77に軸受82,83により回転自在に支持されると共に、駆動歯車84が固定されている。この場合、12個のスピンドル78は、この駆動歯車84同士が噛み合うことで、同期して回転自在となっている。また、スピンドル78は、先端側にフローティングホルダ85を介して位置ずれ補正装置としてのマイクロデプスホルダ(商品名)86が装着され、マイクロデプスホルダ86を介して加工治具87が装着されている。
【0034】
フローティングホルダ85において、
図11に示すように、シェル91は、円筒形状をなし、内部に軸部81と一体に形成された円筒部92が嵌合している。コレット93は、先端部側にマイクロデプスホルダ86の基端部が連結される連結孔94が形成され、長手方向の中間部にリンク形状をなす外側フランジ95が形成されている。そして、コレット93は、基端部がカップリング96を介して円筒部92に支持され、先端部がシール部材97によりシェル91に支持されている。また、コレット93は、外側フランジ95が前後一対のスラストベアリング98により支持されている。そのため、コレット93は、シェル91及び円筒部92に対して、径方向に所定量だけ移動可能に支持されると共に、同心位置に弾性支持されることなる。
【0035】
マイクロデプスホルダ86において、
図12に示すように、カラー101は、基端部にフローティングホルダ85に連結されるシャンク102が一体に形成され、先端部に取付孔103が形成されると共に、連結フランジ104が形成されている。スリーブ105は、基端部がカラー101の取付孔103に嵌合し、先端部に加工治具87が連結される連結孔106が形成されると共に、連結フランジ107が形成されている。シンブル108は、円筒形状をなし、カラー101及びスリーブ105の外側に配置されており、後部フランジ109がカラー101の連結フランジ104に係止する一方、中間フランジ110がスリーブ105の連結フランジ107に係止している。この場合、カラー101の連結フランジ104とスリーブ105の連結フランジ107がシンブル108内で軸方向に対向しており、その間にばね部材111が配置されている。
【0036】
そして、シンブル108は、先端部にストッパ112が形成されており、ばね部材111の付勢力によりストッパ112が前方に向けて所定の位置に弾性支持されると共に、ばね部材111の付勢力に抗して後方に向けて移動可能となっている。
【0037】
加工治具87は、マイクロデプスホルダ86の先端部に装着されるものであり、基端部に連結孔106に嵌合する軸部121が一体に形成されている。また、加工治具87は、先端部に管支持板43の下穴62に嵌入するスリーブ122が軸受(図示略)を介して回転自在に支持されている。そして、加工治具87は、スリーブ122より基端部側に位置して、切削刃123が固定ねじ124により固定治具125を介して固定されている。
【0038】
従って、
図9から
図12に示すように、複数の下穴62が形成された管支持板43は、鉛直方向に起立した状態で支持されており、加工ヘッド77を前進して管支持板43に接近させる。このとき、事前に、スピンドル78の上下方向及び左右方向の位置を調整しておく。そして、各スピンドル78を回転しながら前進し、先端部を管支持板43の下穴62に挿入する。
【0039】
このとき、管支持板43の変形などにより各下孔62における径方向位置がずれていると、フローティングホルダ85が径方向に微少移動することで、この位置ずれを吸収することができる。また、スピンドル78が管支持板43の下穴62に挿入するとき、ストッパ112が管支持板43の端面に当接し、加工治具87が後退する。そのため、管支持板43の変形などにより各下孔62における軸方向位置がずれていても、マイクロデプスホルダ86が軸方向に微少移動することで、この位置ずれを吸収することができる。そして、スピンドル78が所定の位置まで前進すると、加工治具87の切削刃123が下穴62のエッジ部をR面取りすることで、R面取り部63が形成される。
【0040】
なお、上述の説明では、R面取り加工装置71により管支持板43の一方側からR面取り加工を行ったが、下穴加工装置のように、多軸加工装置を適用することで、管支持板43の両側からR面取り加工を行うようにしてもよい。
【0041】
また、管支持板43にブローチ穴64を形成するブローチ加工装置は、例えば、本出願人が既に出願しているブローチ加工装置(特願2010−286705号に記載)を用いて行う。
【0042】
そして、以下に、管支持板43にブローチ穴64の軸方向における端部に面取り加工を行う研磨装置について説明する。
図1に示すように、研磨装置201において、基盤202は、上部に支持台203が固定され、この支持台203は、上部に支持テーブル204が設けられている。この支持テーブル204は、円板形状をなし、上面部に管支持板43を支持可能な円板形状をなす凹部205が形成されている。また、支持台203は、中心部にリフタ206が昇降自在に設けられている。
【0043】
また、基盤202は、支持台203の両側に位置して一対のガイドレール207が敷設されている。移動体208は、支持台203の上方を跨ぐように配置されるレール部209と、このレール部209の両側に設けられてガイドレール207上移動自在な脚部210とから構成されている。そして、移動体208は、各脚部210にガイドローラ(図示略)を回転する第1駆動装置211がそれぞれ設けられており、この各第1移動装置211がガイドローラを回転することで、移動体208をガイドレール207に沿って移動することができる。
【0044】
また、加工ヘッド212は、移動体208のレール部209に沿って移動自在に支持されている。この加工ヘッド212は、ガイドローラ(図示略)を回転する第2駆動装置(加工ヘッド移動装置)213が設けられており、この第2移動装置213がガイドローラを回転することで、加工ヘッド212をレール部209に沿って移動することができる。
【0045】
このように加工ヘッド212は、各駆動装置211,213により交差(直交)する2つの水平方向(X方向とY方向)に移動することができる。
【0046】
加工ヘッド212は、下部に垂下するように2つの研磨治具214が設けられており、この加工ヘッド212の移動方向に交差(直交)する鉛直方向(Z方向)に移動自在に支持されている。そして、加工ヘッド212は、各研磨治具214の下端部に装着された研磨部材215を管支持板43の上面(加工面)に押圧可能となっている。
【0047】
即ち、
図2及び
図3に示すように、ヘッド本体221は、移動体208(レール部209)に固定されたガイドレール222に沿って移動自在であり、第2移動装置213により移動可能となっている。ヘッド本体221は、縦壁部に上下方向に沿って2組のガイドレール223が固定されている。一方、2つの研磨治具本体224は、各ガイドレール223に係合するガイド部材225がそれぞれ固定されており、各研磨治具本体224は、ガイド部材225を介して各ガイドレール223に移動自在となっている。また、ヘッド本体221は、2つのエアシリンダ(研磨治具移動装置)226が装着されており、下方に突出する各駆動ロッド(図示略)の先端部がそれぞれ研磨治具本体224に連結されている。
【0048】
2つの研磨治具214は、それぞれ研磨治具本体224の支持部227に回転自在に支持されおり、下端部に固定された円板部228の下面に研磨部材215が着脱自在となっている。また、この研磨治具214と、上端部に従動スプロケット229が固定されている。2つの駆動モータ230は、それぞれ研磨治具本体224に固定されおり、上端部に突出した駆動軸に駆動スプロケット231が固定されている。そして、従動スプロケット229と駆動スプロケット231は、無端の駆動ベルト232が掛け回されている。
【0049】
従って、駆動モータ230を駆動すると、駆動スプロケット231が回転し、回転力が駆動ベルト232を介して従動スプロケット229に伝達され、この従動スプロケット229を回転することで研磨治具214を回転することができる。また、エアシリンダ226を駆動すると、研磨治具本体224が下降し、この研磨治具本体224に装着された研磨治具214を下降することができる。そのため、駆動モータ230とエアシリンダ226を同期して駆動すると、研磨治具本体224を回転させながら、下部に装着された研磨部材215を管支持板43の上面に押圧することができる。
【0050】
また、このとき、2つの研磨治具214は、異なる方向、つまり、一方の研磨治具214を正回転させ、他方の研磨治具214を逆回転することが望ましい。
【0051】
また、研磨治具214の装着される研磨部材215として、サンドペーパーと研磨ブラシが適用される。この研磨ブラシは、砥粒を練り込んだナイロン(ポリアミド系繊維)を束ねたものである。
【0052】
ここで、研磨装置201による管支持板43のブローチ穴64に対する面取り加工について説明する。
【0053】
研磨装置201による研磨作業において、
図4に示すように、まず、各研磨治具214を上昇させ、移動体208と加工ヘッド212を支持テーブル204の上方から外方に移動させておく。次に、クレーン(図示略)により管支持板43を吊り上げて移動し、支持テーブル204上に載置する。このとき、リフタ206を上昇位置に待機させておき、管支持板43をこのリフタ206上に載置する。また、
図6に示すように、事前に、支持テーブル204の凹部205に複数のステンレス鋼板216を載置しておき、支持テーブル204と管支持板43が直接接触しないようにする。そして、リフタ206上における管支持板43の水平位置を調整した後、リフタ206を下降して管支持板43を支持テーブル204の凹部205内に位置決めする。なお、支持テーブル204が耐腐食性を有する部材、例えば、ステンレス製であれば、管支持板43を支持テーブル204上に直接載置してもよい。
【0054】
そして、管支持板43が支持テーブル204に位置決めされたら、移動体208と加工ヘッド212を移動し、2つの研磨治具214を管支持板43の中心まで移動し、2つの研磨治具214の中心と管支持板43の中心とを一致させ、原点調整を行う。この場合、2つの研磨治具214の中心とは、各研磨治具214の中心の間の点である。
【0055】
2つの研磨治具214の原点調整が完了すると、各研磨治具214を初期位置に移動し、ここで、回転させると共に、管支持板43の上面に所定の圧力で押圧する。そして、所定の速度で水平方向に移動し、管支持板43の全面にわたって面取り加工を行う。この場合、2つの研磨治具214の回転方向を逆とする。
【0056】
即ち、
図7に示すように、まず、研磨治具214の下端部にサンドペーパー(研磨部材)215を装着し、この研磨治具214を回転しながら、サンドペーパー215を管支持板43に押圧すると共に、管支持板43の水面に沿って水平移動させる。すると、研磨治具214は、サンドペーパー215により管支持板43の全面を面取り加工することができる。この場合、例えば、研磨治具214をX方向に移動した後、Y方向に所定距離(サンドペーパーの直径以下)だけ移動し、再び、X方向に移動することを繰り返す。
【0057】
そして、研磨治具214のサンドペーパー215により管支持板43の全面を面取り加工したら、
図8に示すように、管支持板43を水平方向に90度回動するように移動する。そして、同様に、研磨治具214を回転しながら、サンドペーパー215を管支持板43に押圧すると共に、管支持板43の水面に沿って水平移動させることで、サンドペーパー215により管支持板43の全面を面取り加工する。そして、研磨治具214のサンドペーパー215により管支持板43の全面を2回面取り加工したら、管支持板43の表面と裏面とを逆にする。そして、同様に、研磨治具214を回転しながら、サンドペーパー215を管支持板43に押圧すると共に、管支持板43の水面に沿って水平移動させることで、サンドペーパー215により管支持板43の全面を2回面取り加工する。ここで、第1工程が完了する。
【0058】
続いて、研磨治具214の下端部に研磨ブラシ(研磨部材)215を装着し、
図7に示すように、この研磨治具214を回転しながら、研磨ブラシ215を管支持板43に押圧すると共に、管支持板43の水面に沿って水平移動させる。すると、研磨治具214は、研磨ブラシ215により管支持板43の全面を面取り加工することができる。この場合、例えば、研磨治具214をX方向に移動した後、Y方向に所定距離(研磨ブラシの直径以下)だけ移動し、再び、X方向に移動することを繰り返す。
【0059】
そして、研磨治具214の研磨ブラシ215により管支持板43の全面を面取り加工したら、
図8に示すように、管支持板43を水平方向に90度回動するように移動する。そして、同様に、研磨治具214を回転しながら、研磨ブラシ215を管支持板43に押圧すると共に、管支持板43の水面に沿って水平移動させることで、研磨ブラシ215により管支持板43の全面を面取り加工する。そして、研磨治具214の研磨ブラシ215により管支持板43の全面を2回面取り加工したら、管支持板43の表面と裏面とを逆にする。そして、同様に、研磨治具214を回転しながら、研磨ブラシ215を管支持板43に押圧すると共に、管支持板43の水面に沿って水平移動させることで、研磨ブラシ215により管支持板43の全面を2回面取り加工する。ここで、第2工程が完了する。
【0060】
管支持板43の下穴62に対してブローチ加工を行ってブローチ穴64を形成すると、ブローチ穴64における軸方向の端部、つまり、ブローチ穴64のエッジ部にバリが発生しやすい。研磨装置201は、ブローチ穴64からバリを除去すると共に、エッジ部を滑らかにするものである。即ち、まず、研磨治具214に研磨部材215としてサンドペーパーを装着して作業を行うと、ブローチ穴64のエッジ部に発生したバリを根元から削除することができる。次に、研磨治具214に研磨部材215として研磨ブラシを装着して作業を行うと、バリが除去されたブローチ穴64のエッジ部を研磨することで、エッジ部を滑らかな面にすることができる。
【0061】
以上のように、管支持板43は、
図14に示すように、ステップS11にて、下穴加工装置により管支持板43に下穴加工を行って下穴62を形成する。ステップS12にて、R面取り加工装置により下穴62の軸方向における端部にR面取り加工を行うことで、R面取り部63を形成する。ステップS13にて、ブローチ加工装置により下穴62に対してブローチ加工を行うことで、異形状をなすブローチ穴64を形成する。ステップS14にて、研磨装置201によりブローチ穴64の軸方向における端部に面取り加工を行うことで、取付穴61を形成する。ステップS15にて、仕上げ処理として各種の検査などを行ってから、ステップS16にて、管支持板43を保管する。そして、所定の時期に、ステップS17にて、胴部(下部胴)41に対して管支持板43の挿入作業を行う。
【0062】
このように本実施例の研磨装置にあっては、2つの水平方向に移動自在に支持される加工ヘッド212と、加工ヘッド212を移動可能とする駆動装置211,213と、加工ヘッド212に鉛直方向に移動自在に支持される研磨治具214と、研磨治具214の下端部に装着される研磨部材215と、研磨治具214を移動して研磨部材215を管支持板43に押圧可能なエアシリンダ226と、研磨治具214を回転可能な駆動モータ230とを設けている。
【0063】
従って、加工ヘッド212に支持される研磨治具214は、駆動モータ230により回転し、エアシリンダ226により管支持板43の加工面に押圧され、駆動装置211,213により移動することとなり、この研磨治具214に装着された研磨部材215により管支持板43の加工面を適正に研磨することができ、また、簡単な構成により構造を簡素化することができる。
【0064】
また、本実施例の研磨装置では、2つの研磨治具214を設け、各研磨治具214を異なる方向へ回転可能としている。従って、各研磨治具214は、各研磨部材215が管支持板43の加工面に対して異なる方向から接触することとなり、安定した研磨を行うことが可能となる。
【0065】
また、本実施例の研磨装置では、研磨治具214の先端部に研磨部材215としてのサンドペーパーと研磨ブラシを装着可能としている。従って、管支持板43の加工面に対して異なる硬度及び形状の部材が接触するため、この加工面を適正に研磨することができる。
【0066】
また、本実施例の研磨方法にあっては、管支持板43に形成されたブローチ穴64のエッジ部を研磨するとき、研磨治具214の先端部にサンドペーパーを装着し、研磨治具214を回転しながらサンドペーパーを管支持板43に押圧すると共に管支持板43の加工面に沿って移動する第1工程と、研磨治具214の先端部に研磨ブラシを装着し、研磨治具214を回転しながら研磨ブラシを管支持板43に押圧すると共に管支持板43の加工面に沿って移動する第2工程とを設けている。
【0067】
従って、第1工程にて、サンドペーパーにより管支持板43の加工面を研磨することで、ブローチ穴64のエッジ部に形成されたバリを除去することができ、第2工程にて、研磨ブラシにより管支持板43の加工面を研磨することで、バリが除去されたブローチ穴64のエッジ部を研磨することができ、ブローチ穴64のエッジ部を適正に研磨することができると共に、簡単な構成により構造を簡素化することができる。
【0068】
また、本実施例の研磨装置では、研磨治具214を回転しながら管支持板43の加工面に押圧し、所定の方向に移動して管支持板43の研磨を行った後、管支持板43を水平方向に90度回転し、再び、研磨治具214を回転しながら管支持板43の加工面に押圧し、所定の方向に移動して管支持板43の研磨をしている。従って、管支持板43に形成されたブローチ穴64に対して異なる方向から研磨部材215を押圧することとなり、ブローチ穴64のエッジ部を安定した研磨をすることができる。
【0069】
なお、上述した実施例にて、本発明の加工ヘッド移動装置を駆動装置211,213とし、本発明の研磨治具移動装置をエアシリンダ226とし、本発明の研磨治具回転装置を駆動モータ230としたが、この構成に限定されるものではない。
【0070】
また、上述した実施例では、本発明の研磨装置により蒸気発生器の管支持板を加工するものとして説明したが、被加工部材は、管支持板に限るものではない。