(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797171
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】ロールプレス機及びロールプレス方法
(51)【国際特許分類】
B21B 29/00 20060101AFI20151001BHJP
B21B 27/08 20060101ALI20151001BHJP
B30B 3/00 20060101ALI20151001BHJP
B30B 15/34 20060101ALI20151001BHJP
H01M 4/04 20060101ALN20151001BHJP
【FI】
B21B29/00 B
B21B27/08
B30B3/00 B
B30B15/34 Z
!H01M4/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-185983(P2012-185983)
(22)【出願日】2012年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-42923(P2014-42923A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2014年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】多田 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健一
(72)【発明者】
【氏名】磯野 光永
(72)【発明者】
【氏名】根本 修一
【審査官】
池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−189370(JP,A)
【文献】
特開平08−244108(JP,A)
【文献】
特開平11−260356(JP,A)
【文献】
特開2006−175501(JP,A)
【文献】
米国特許第04817407(US,A)
【文献】
中国特許出願公開第101254509(CN,A)
【文献】
特開平08−108208(JP,A)
【文献】
特開2003−323886(JP,A)
【文献】
米国特許第03448683(US,A)
【文献】
特開2005−288535(JP,A)
【文献】
特許第3937561(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 29/00
B21B 31/00−31/32
B21B 37/38
B30B 3/00−3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対のロールと、
前記一対のロールをそれぞれ軸支する主軸受箱と、
前記一対のロール間を通る材料に前記主軸受箱を介してプレス荷重を付与する荷重付与機構を備えたロールプレス機であって、
前記一対のロールは加熱ロールであり、
前記ロールプレス機は定位プレス方式で構成され、
前記主軸受箱のそれぞれの外側に前記主軸受箱と独立して設けられたベンド軸受箱と、
前記ベンド軸受箱に前記プレス荷重と同じ方向の荷重を付与する荷重付与機構と、
プレス加工の際の材料からの反力によるロールのたわみでは前記加熱ロールに生じるサーマルクラウンが相殺されない場合に、前記ベンド軸受箱に荷重を付与する前記荷重付与機構による荷重を調整してサーマルクラウンによるロール形状を補正するように前記荷重付与機構に制御指令を与える制御盤とを有することを特徴とするロールプレス機。
【請求項2】
請求項1において、前記荷重付与機構は油圧シリンダーを用いた荷重付与機構であることを特徴とするロールプレス機。
【請求項3】
請求項2において、前記定位プレス方式は、前記主軸受箱間に設けられた軸受間ブロックとシムまたはコッターにより実現することを特徴とするロールプレス機。
【請求項4】
対向する一対のロールと、前記一対のロールをそれぞれ軸支する主軸受箱と、前記一対のロール間を通る材料に前記主軸受箱を介してプレス荷重を付与する荷重付与機構を備えたロールプレス機を用いたロールプレス方法であって、
前記ロールプレス機は、定位プレス方式で構成され、
前記ロールプレス機は、前記主軸受箱のそれぞれの外側に前記主軸受箱と独立して設けられたベンド軸受箱と、前記ベンド軸受箱に前記プレス荷重と同じ方向の荷重を付与する荷重付与機構とを有し、
前記一対のロールは加熱ロールであり、
プレス加工の際の材料からの反力によるロールのたわみでは前記加熱ロールに生じるサーマルクラウンが相殺されない場合に、前記ベンド軸受箱に荷重を付与する前記荷重付与機構による荷重を調整してサーマルクラウンによるロール形状を補正するようにしたことを特徴とするロールプレス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロールプレス機及びロールプレス方法に係り、特に加熱ロールを用いて温間プレス加工を行うロールプレス機及びロールプレス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロールプレス機は、連続シート状の二次電池用電極材料等の圧縮加工に使用されている。また、二次電池用電極材等の成形用のロールプレス機では、温間プレス加工が行われる。温間プレス加工には、ドリルドロールなどの加熱ロールが用いられている。
【0003】
加熱ロールにはロール自身の加熱により熱膨脹が起こる。そして、加熱ロールには、外気との接触面からの放熱によりロール内部に温度分布が発生する。その温度分布は、ロール端面部の温度が低くなるように形成されている。ロール幅方向(ロール軸方向)の温度分布に基づく温度差により、加熱ロールの熱膨張量は、ロール幅方向に差が発生し、中央部が大きく、両端部が小さくなる。このことから、加熱ロールには、凸クラウン形状の熱変形が起きる(サーマルクラウンの発生)。
【0004】
このようなサーマルクラウンに対応するものとして、例えば、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1には、ロールの軸方向の両端面を断熱材で覆い両端面からの放熱を抑制し、ロール内部における軸方向の温度分布が均一になるようにすることによりサーマルクラウン発生量を低減することが記載されている。
【0005】
一方、二次電池用電極材料などの圧縮加工においては、材料の圧縮加工後の要求厚み精度は、例えば、±2μm程度と厳しく、近年さらに高精度化が望まれている(±1〜2μm)。そのため、圧縮時に材料からうける反力によるロールのたわみを、例えば、特許文献2に記載のように、ロールたわみ補正機構により補正することで、材料の巾方向の厚みばらつきを抑え、高精度に加工を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−288535号公報
【特許文献2】特許第3937561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のようにロール端面に断熱材を施すことにより、断熱材がない場合よりも放熱量を少なくすることはできるが、放熱をゼロにすることは難しい。従って、加熱ロールに形成されるサーマルクラウン(凸クラウン)をなくすことは難しい。
【0008】
一方、上述したように、圧縮加工時には材料からの反力によりロールにたわみが生じる。このロールのたわみはサーマルクラウンとは反対方向にロールを変形させる。高線圧(500〜3000kg/cm程度)での圧縮加工では、サーマルクラウンがロールたわみにより相殺され、さらにロールたわみ補正機構により圧縮荷重とは反対方向の力を主軸受箱の外側に設置したベンド軸受箱に加えてロールのたわみ補正が行われる(言い換えれば、サーマルクラウンがない場合のたわみ補正量よりも小さいたわみ補正が行われる。)。
【0009】
しかし、ロールプレスの際の線圧が低線圧化(例えば、100〜500kg/cm程度)すると、材料からの反力が小さく、材料からの反力によるロールのたわみが小さくなる。そうすると、圧縮時に材料から受けるロールのたわみでは凸形状のサーマルクラウンが相殺されないことになり、サーマルクラウンによるロール自身の形状が製品厚み精度に顕著に影響を与えることになる。この凸形状のサーマルクラウンは、主軸受箱の外側に圧縮荷重とは反対方向の力(上下ロール間を離間させる方向の力)を付与するロールたわみ補正機構では補正することができない。
【0010】
本発明の目的は、ロールに形成されるサーマルクラウンなどの凸形状のクラウンを主軸受箱の外側に設置したベンダーにより補正することが可能なロールプレス機及びロールプレス方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
加熱ロールを用いたロールプレス機によるプレス加工を定位プレス方式とし、主軸受箱の外側にプレス荷重方向と同じ方向にベンダー力を付与するようにし
、プレス加工の際の材料からの反力によるロールのたわみでは加熱ロールに生じるサーマルクラウンが相殺されない場合に、ベンダー力を調整してサーマルクラウンによるロール形状を補正するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロールに形成されるサーマルクラウンなどの凸形状のクラウンを主軸受箱の外側に設置したベンダーにより補正することが可能となる。その結果、高精度な圧縮加工を行うことが可能となる。
【0013】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施例であるロールプレス機の正面図。
【
図2】本発明の他の一実施例であるロールプレス機の正面図。
【
図3】本発明のロールプレス機が用いられるロールプレス設備のライン全体図。
【
図4】ロールに形成されるサーマルクラウンの概念図。
【
図5】本発明によりサーマルクラウンを補正した様子を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施例であるロールプレス機を示す。
【0017】
ロールプレス機は、上ロール1、下ロール2、上ロール及び下ロールをそれぞれ軸支する主軸受を内蔵保持する主軸受箱4、下ロールの主軸受箱に対して荷重を加え、上ロール1と下ロール2の間の材料3に対するプレス荷重を発生させるプレスシリンダー5を備えている。
【0018】
二次電池用電極材等の圧縮成形に用いられるロールは、円筒度、真円度、振れ精度が重要であり、それぞれ1〜4μm程度の精度を有するよう構成されている。また、高線圧での圧縮加工にも用いられることから、高剛性が必要であり、そのため、ロールの構造としては中実ロールが採用されている。そして、温間プレス加工に用いるため、ロールには昇温機構(例えば、特許文献1に記載のように、ロール内部に油等の熱媒体を流す熱媒体流路がロール内部に形成されている。このような加熱ロールはドリルドロールと呼ばれている。)が備えられている。
【0019】
上ロール1の主軸受箱4とプレスシリンダー5はハウジング(図示省略)により支持されている。上ロールと下ロールにはロール駆動機構(図示省略)がそれぞれ設けられている。上ロールと下ロールには熱媒体の供給機構(図示省略)がそれぞれ設けられている。
【0020】
また、本実施例のロールプレス機は、ベンドシリンダー7、ベンド軸受を内蔵保持するベンド軸受箱6からなる凸クラウン補正を行うベンド機構を備えている。ベンド軸受箱6は主軸受箱4の両外側に設けられている。
図1に示す実施例では、上ロール1のベンド軸受箱6の上方と下ロール2のベンド軸受箱6の下方にそれぞれベンドシリンダー7が設けており、これらのベンドシリンダー7によりプレス荷重と同じ方向のベンダー力がベンド軸受箱に加えられる(ベンド押付けタイプ)。なお、図中の矢印は、各シリンダーによる荷重の方向と大きさのイメージしたものである。本発明では、特許文献2に記載のようなたわみ補正におけるベンダー荷重の方向と逆方向にベンド軸受箱に付与している。プレス荷重方向と逆向きにロールにベンダー力を付与する場合は逆ベンドと呼ばれる。本発明ではプレス荷重と同じ方向にロールにベンダー力を付与するので正ベンドと呼ぶ。
【0021】
ベンドシリンダー7は、
図2に示すように、上ロール1のベンド軸受箱6と下ロール2のベンド軸受箱6の間にベンドシリンダー7が設け、上下のベント軸受箱を引っ張る、ベンド引張りタイプとしても良い。この場合でも、プレス荷重の方向と同じ方向にベンダー力がロールに付与される。
【0022】
ベンドシリンダー7は、制御盤からの制御指令により加圧力が設定可能となっている。ベンドシリンダーには、圧力設定に比例制御弁(電磁弁)が採用されている。各シリンダーは油圧を用いている。油圧シリンダーは高い荷重に対応できること、また非圧縮性の流体(作動油)を用いることで安定した加工が行える。
【0023】
本発明が対象とするロールクラウンは、ロールのプレス荷重により生じるたわみとは逆方向となり、荷重方向と同じ方向にロールに力を与えてロールを曲げることになる。従って、プレス加工に際して必要以上のプレス荷重を材料に与えないようにするために、本発明では、主軸受箱の位置を固定する、定位プレス方式が用いられている。
【0024】
主軸受箱やハウジング等は鉄鋼で製作されているが厳密には高剛性の弾性体である。従って、主軸受箱(ロール)位置を決めるに際して、弾性変形の範囲内で、位置が変化することになる。本実施例では、その微調整を行いやすくするように、ロール位置決め機構として、主軸受箱間に、軸受間ブロック8と、シム又はコッター9を設置している。軸受間ブロックで大きな間隔調整を行い、シムやコッターにより、条件の変化に対応した微調整を行うようにしている。
【0025】
このようにロール位置決めを行うことにより、ベンドシリンダー7によりベンド軸受箱6にプレス荷重方向と同じ方向にベンダー力を付与すると、主軸受箱4を支点として凸クラウンを小さくする方向にロール形状が補正される。この様子を
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は凸クラウン補正前のロール形状(凸クラウン)を示す。
図5は本発明を用いて凸クラウン補正を行った様子を示す。このように凸クラウン補正を行うことにより、材料3を幅方向に均一にプレス加工を行うことができる。即ち、加熱ロールにおけるロールの熱変形によるロール精度変化分を、ロールを機械的に曲げることで幅方向に均等な荷重を材料に与え、高精度な圧縮加工を行うことが可能となる。
【0026】
本実施例では、定位プレス方式とし、さらに通常のロールたわみ補正機構(特許文献1に記載のようなたわみ補正機構)のベンド軸受箱にプレス荷重と同じ方向の荷重を付与するベンドシリンダーを設けるだけで良いので、既存のロールプレス機を大幅に改造することなく、凸クラウンを補正することが可能なロールプレス機を得ることができる。また、凸クラウンを補正するために、主軸受箱の内側にベンド機構を設けることも考えられるが、そのような場合と比較して、大きなモーメントが得られるので、ベンドシリンダーを小さなものとすることができ、その結果、油圧制御を行いやすくなるというメリットがある。
【0027】
なお、上述の実施例では、ロールの位置決め機構として、シム又はコッターを用いているがこれに限定されない。
【0028】
シムやコッターの代替案として、例えば、シリンダーロッドの位置を調整可能な油圧シリンダー(油圧系にサーボ弁を用いた位置制御可能なシステム)を上下の主軸受箱間に設置するようにしても良い。但し、この場合、狭い主軸受箱間に位置調整可能な油圧シリンダーを設置することには困難を伴い、また、上述の実施例と比較してシステムコストが大幅にアップするデメリットがある。
【0029】
また、シムやコッターの他の代替案として、上下のロールを機械式のネジ式圧下装置を用いた位置決め機構を用いるようにしても良い。この場合、トラブル発生などの緊急時に、ロールの開放速度が遅い事が難点となる。なお、片側ロールを位置固定(変更不可)とし、もう片側ロールを機械式のネジ式圧下装置を用いた位置決め機構を用いるようにしても良い。
【0030】
また、シムやコッターの他の代替案として、片側ロールを位置固定(変更不可)または機械式のネジ式圧下装置を用いた位置決め機構を有したものとし、もう片側ロールを位置決め可能な油圧シリンダーとするようにしてもよい。この場合、上述の実施例と比較してシステムコストが大幅にアップするデメリットがある。
【0031】
次に、本発明のロールプレス機を用いたロールプレス方法を説明する。
【0032】
図3は上述のロールプレス機を配置したロールプレス設備のライン全体図を示す。ロールプレス機の入り側にはリチウムイオン二次電池電極材などの材料3がコイル状に巻回されたプレス前コイル14を装着する巻出機12が設けられ、ロールプレス機本体の出側にはプレス後の材料を巻回しプレス後コイル15とする巻取機13が設けられている。また、ロールプレス機本体の出側にはプレスされた材料3の厚みを計測する厚み計10が設置されている。厚み計10からの厚み測定値に基づき、制御盤11においてベンドシリンダー圧力制御の制御値を求める演算を行い、制御値がロールプレス機に出力され、この制御値によってベンドシリンダーの油圧が制御される。
【0033】
本実施例では、厚み計10は、幅方向において、操作側(ロール駆動機構がない側)Td、中央Tc、駆動側(ロール駆動機構がある側)Twの3点(3領域又は3箇所)で厚みを計測するように構成されている。尚、厚み計測点は、幅方向に少なくとも2点以上であれば良いが(中央と操作側若しくは駆動側)、3点の厚みを計測することが望ましい。また、計測器を三箇所に固定して厚みを計測するようにしても良いし、幅方向に計測器を移動して厚みを計測するようにしても良い。幅方向に連続的に計測する場合は、操作側、中央、駆動側の3つの領域を設定し、その範囲の測定値の平均値を制御に用いるようにしても良い。
【0034】
また、厚み計10は、ライン運転中に材料厚みを連続または断続的に計測できるものであれば、計測方式に指定は無い。例えば、厚み計の計測方式としては、ガイドロール上の材料において、レーザーセンサーにより材料の上面位置を検出し、また、ガイドロールの位置を磁気センサーで検出し、それらの位置関係から材料厚みを計測する方法や、材料の両面の位置をレーザーセンサーにより計測し、それらの位置関係から材料の厚みを計測する方法等がある。
【0035】
本実施例では、サーマルクラウン(凸クラウン)は、ロールプレス機を用いた生産ラインが定常条件になったときに最終調整される。即ち、ロールやハウジング、軸受箱などが十分に加熱され温度上昇がなくなった時点(温度変化の曲線が平坦になった時点)において調整される。
【0036】
上述したように、圧縮時に材料3からうける反力によるロールのたわみが発生する。このロールのたわみはサーマルクラウンとは反対方向にロールを変形させる。ロールプレスの際の線圧が低線圧化すると、材料からの反力が小さく、材料からの反力によるロールのたわみが小さくなる。そうすると、圧縮時に材料から受けるロールのたわみではサーマルクラウンが相殺されないことになり、サーマルクラウンによるロール自身の形状が製品厚み精度に顕著に影響を与えることになる。
【0037】
そこで、生産ラインが定常条件になったときに、
図3に示す厚み計10からの厚み測定値に基づき、材料の幅方向の厚みが凹形状(Td,Tw>Tc)になっていると判断された場合(即ち、
図4に示すようにロールが凸クラウン形状になっていると判断された場合)に、ベンドシリンダー7による凸クラウン補正が行われる。この凸クラウン補正は、制御盤11を用いて自動的に行うようにしているが、測定値を目視して作業員が手動でベンドシリンダーの圧力を調整するようにしても良い。
【0038】
このように、生産ラインが定常条件になったときに、ロールクラウンの状況を把握してベントシリンダーの圧力を調整することにより、低線圧下において、加熱ロールに凸クラウンが発生した状態でも、材料を幅方向に均一にプレス加圧することが可能となる。
【0039】
なお、ロールプレス機は高線圧下でも使用される場合がある。即ち、ロールプレス機を、ロールにたわみが生じるような条件で使う場合を想定して、さらに、ベンド軸受箱6の外側に、たわみ補正を行うためのベンド軸受箱とベンドシリンダーを設置しても良い。また、ベンド軸受箱6にプレス荷重とは反対方向の力を付与するベンドシリンダーを追設するようにしても良い。
【0040】
また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加,削除,置換をすることが可能である。
【0041】
例えば、上述の各実施例は、ロールを上下に配置したものであるが、一対のロール(第一ロールと第二ロール)を水平方向に配置したロールプレス機にも本発明を同様に適用できる。なお、この変形例では、上述の各実施例における上ロールが第一ロール、下ロールが第二ロールと読み替えられる。
【0042】
また、例えば、ベンド軸受箱に荷重を付与する機構として、実施例の油圧シリンダー方式よりも操作性などが劣るが、ねじ機構を用いた荷重付与機構も適用し得る。
【符号の説明】
【0043】
1…上ロール、2…下ロール、3…材料、4…主軸受箱、5…プレスシリンダー、6…ベンド軸受箱、7…ベンドシリンダー、8…軸受間ブロック、9…シム又はコッター、10…厚み計、11…制御盤、12…巻出機、13…巻取機、14…プレス前コイル、15…プレス後コイル。