特許第5797173号(P5797173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797173
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】車両情報システム、及びセンタ側装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20151001BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20151001BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   G08G1/01 A
   G01C21/26 A
   G08G1/13
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-190613(P2012-190613)
(22)【出願日】2012年8月30日
(65)【公開番号】特開2014-48845(P2014-48845A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2012年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】山部 晴通
【審査官】 小川 恭司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−149054(JP,A)
【文献】 特開2003−248898(JP,A)
【文献】 特開2010−250719(JP,A)
【文献】 特開平09−311996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
G01C21/00−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側装置とセンタ側装置とを含む車両情報システムであって、
前記車両側装置は、車両に搭載され、
現在位置の情報と、ブレーキの踏込み割合の情報と、車両の運行速度を表す情報とを含む、運転状況に関係する情報とを取得する取得手段と、
前記取得した情報をセンタ側装置へ送信する送信手段と、
センタ側装置から情報を受信する受信手段と、
前記受信した情報を出力する出力手段と、
を含み、
前記センタ側装置は、
前記車両側装置が時刻の情報を含めて送信した情報を受信する受信手段と、
前記受信した情報を、地域ごとに分類して蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積した情報を用いて、地域iごとの情報の数N_iと、当該情報の数N_iに関連するしきい値とを比較して、時間帯ごとの分析を行うか否かを決定し、時間帯ごとの分析を行う場合は、地域iごと、かつ時間帯ごとに、ブレーキの踏込み割合が所定閾値を超えている情報の数と、車両の運行速度の平均とを演算する分析処理を実行し、地域iごと、かつ時間帯ごとの分析結果を生成し、時間帯ごとの分析を行わない場合は、地域iごとのブレーキの踏込み割合が所定閾値を超えている情報の数と、車両の運行速度の平均とを演算する分析処理を実行し、地域iごとの分析結果を生成する分析手段と、
車両側装置を搭載した車両の一つを注目車両として、前記地域iごと、かつ時間帯ごとの分析結果、または前記地域iごとの分析結果のうち、当該注目車両に搭載された車両側装置から受信した情報に含まれる現在位置の情報が表す位置を含む地域i、かつ時間帯に関する分析結果、または前記地域iごとの分析結果により、前記注目車両に搭載された車両側装置へ送信するべき情報を生成するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記注目車両に搭載された車両側装置へ送信するべき情報を生成すると判断されたときに、当該情報を生成する生成手段と、
前記生成手段が情報を生成したときに、当該生成した情報を送信する送信手段と、
を有する車両情報システム。
【請求項2】
車両に搭載された車両側装置と通信可能に接続されるセンタ側装置であって、
前記車両側装置が送信した、当該車両側装置が搭載された車両の現在位置の情報と、当該車両でのブレーキの踏込み割合の情報と、車両の運行速度を表す情報と、時刻の情報とを含む、運転状況に関係する情報とを受信する受信手段と、
前記受信した情報を、地域ごとに分類して蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積した情報を用いて、地域iごとの情報の数N_iと、当該情報の数N_iに関連するしきい値とを比較して、時間帯ごとの分析を行うか否かを決定し、時間帯ごとの分析を行う場合は、地域iごと、かつ時間帯ごとに、ブレーキの踏込み割合が所定閾値を超えている情報の数と、車両の運行速度の平均とを演算する分析処理を実行し、地域iごと、かつ時間帯ごとの分析結果を生成し、時間帯ごとの分析を行わない場合は、地域iごとのブレーキの踏込み割合が所定閾値を超えている情報の数と、車両の運行速度の平均とを演算する分析処理を実行し、地域iごとの分析結果を生成する分析手段と、
車両側装置を搭載した車両の一つを注目車両として、前記地域iごと、かつ時間帯ごとの分析結果、または前記地域iごとの分析結果のうち、当該注目車両に搭載された車両側装置から受信した情報に含まれる現在位置の情報が表す位置を含む地域i、かつ時間帯に関する分析結果、または前記地域iごとの分析結果により、前記注目車両に搭載された車両側装置へ送信するべき情報を生成するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記注目車両に搭載された車両側装置へ送信するべき情報を生成すると判断されたときに、当該情報を生成する生成手段と、
前記生成手段が情報を生成したときに、当該生成した情報を送信する送信手段と、
を有するセンタ側装置。
【請求項3】
請求項2記載のセンタ側装置であって、
前記受信手段が受信する運転条件に関係する情報にはさらに、ワイパー動作の有無を表す情報が含まれ、
前記分析手段は、地域i及び時間帯ごと、または地域iごとに、ワイパー動作の有無に応じてブレーキの踏込み割合が所定閾値を超えている情報の数と、車両の運行速度の平均とを演算する分析処理を実行し、
前記判断手段は、前記注目車両に搭載された車両側装置から受信した情報に含まれる現在位置の情報が表す位置を含む所定の範囲にある地域iに関し、かつ当該注目車両から受信したワイパー動作の有無を表す情報に対応する条件で演算された、前記蓄積した車両の運行速度の平均と、前記注目車両の運行速度との比較により、注目車両に搭載された車両側装置へ送信するべき情報を生成するか否かを判断するセンタ側装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両情報システム、センタ側装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両では、広く電子制御が行われており、車両の各種情報がCAN(Control Area Network)等、車両内のネットワークを介して共有されている。こうした車両の各種情報には、例えばブレーキの動作やワイパーの動作、カーナビゲーションシステムが取得した位置情報、ライトの点灯有無等、幅広い情報が含まれる。
【0003】
なお、特許文献1には、ナビ装置とナビサーバとを有し、ナビサーバが、探索したルートにおいて車両の現在位置から災害発生エリアへの進入点としての1次災害注意地点がある場合、ナビ装置との通信により、災害レベルの高低に応じた色彩が付された災害発生メッシュと、1次災害注意地点に配置された1次災害内容を表わす1次災害標識とをナビ装置に表示させるという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−054386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来、車両から受信された情報は、交通渋滞や事故等を表すリアルタイムの情報の生成に用いられることはあっても、蓄積されて分析利用されることはなく、有効に利用されていなかった。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、車両から得られる情報を有効に利用できる車両情報システム、及びセンタ側装置を提供することを、目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、車両側装置とセンタ側装置とを含む車両情報システムであって、前記車両側装置は、車両に搭載され、現在位置の情報と、車両の運転状況に関係する情報とを取得する取得手段と、前記取得した情報をセンタ側装置へ送信する送信手段と、センタ側装置から情報を受信する受信手段と、前記受信した情報を出力する出力手段と、を含み、前記センタ側装置は、前記車両側装置が送信した情報を受信する受信手段と、前記受信した情報を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積した情報を用いて、地点ごとの前記運転状況に関する情報について予め定められた分析処理を実行し、分析結果を生成する分析手段と、車両側装置を搭載した車両の一つを注目車両として、当該注目車両に搭載された車両側装置から受信した情報に含まれる現在位置の情報が表す位置を含む所定の範囲にある地点に関する分析結果と、前記受信した情報との比較により、前記注目車両に搭載された車両側装置へ送信するべき情報を生成するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により、前記注目車両に搭載された車両側装置へ送信するべき情報を生成すると判断されたときに、当該情報を生成する生成手段と、前記生成手段が情報を生成したときに、当該生成した情報を送信する送信手段と、を有することとしたものである。
【0008】
また本発明の一態様は、車両に搭載された車両側装置と通信可能に接続されるセンタ側装置であって、前記車両側装置が送信した、当該車両側装置が搭載された車両の現在位置の情報と、当該車両の運転状況に関係する情報とを受信する受信手段と、前記受信した情報を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積した情報を用いて、地点ごとの前記運転状況に関する情報について予め定められた分析処理を実行し、分析結果を生成する分析手段と、車両側装置を搭載した車両の一つを注目車両として、当該注目車両に搭載された車両側装置から受信した情報に含まれる現在位置の情報が表す位置を含む所定の範囲にある地点に関する分析結果と、前記受信した情報との比較により、前記注目車両に搭載された車両側装置へ送信するべき情報を生成するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により、前記注目車両に搭載された車両側装置へ送信するべき情報を生成すると判断されたときに、当該情報を生成する生成手段と、前記生成手段が情報を生成したときに、当該生成した情報を送信する送信手段と、を有することとしたものである。
【0009】
ここで前記受信手段が受信する車両の運転状況に関係する情報には、車両の運行速度を表す情報が含まれ、前記分析手段は、車両の運行速度の平均を演算し、前記判断手段は、前記注目車両の運行速度と前記平均との比較により、注目車両に搭載された車両側装置へ送信するべき情報を生成するか否かを判断することとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、車両から得られる情報を有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る車両情報システムの構成例を表すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係るセンタ側装置の構成例を表すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係るセンタ側装置が扱う地域の設定例を表す説明図である。
図4】本発明の実施の形態に係る車両情報システムの動作例を表す流れ図である。
図5】本発明の実施の形態に係るセンタ側装置の動作例を表すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る車両情報システムは、図1に例示するように、センタ側装置1と、車両2a,b,…に配置される車両側装置3a,b,…とを含む。
【0013】
車両側装置3は、例えば制御部41、記憶部42、ネットワークインタフェース43、通信部44、及び表示部45を含んで構成される。ここで制御部41は、CPUなどのプログラム制御デバイスであり、記憶部42に格納されたプログラムに従って動作する。具体的に本実施の形態では、この制御部41は、所定のタイミングごとに繰り返して、車両2を識別する識別情報と、車両の現在位置を表す位置情報と、車両の速度、ワイパー動作の有無、ライト点灯の有無、ブレーキの踏込み割合、アクセル開度等の運転状況に関する情報とを、ネットワークインタフェース43を介して取得する。
【0014】
そして制御部41は、通信部44を介して、センタ側装置1に対して取得した位置情報や運転状況に関する情報を送信する。また制御部41はセンタ側装置1が送信する情報を、通信部44を介して受信し、この受信した情報を、表示部45に表示出力する。
【0015】
記憶部42は、メモリデバイス等であり、制御部41によって実行されるプログラムを保持している。このプログラムは、例えばDVD−ROM等のコンピュータ可読な記録媒体を介して提供され、この記憶部42に格納されたものであってもよい。またこのプログラムは、インターネット上のサーバ等からネットワークを介して提供され、この記憶部42に格納されたものであってもよい。さらにこの記憶部42は、制御部41のワークメモリとしても動作する。
【0016】
ネットワークインタフェース43は、車両内のネットワーク(CAN等)に接続される。このネットワークインタフェース43は、この車両内のネットワークを介して、車両の各部に配されている車両制御装置(ECU(Engine Control Unit等))やカーナビゲーションシステム等から各種の情報を受信し、制御部41に出力している。
【0017】
通信部44は、携帯電話通信網等に接続され、外部のネットワークを介してセンタ側装置1との間で各種の情報を送受する。この通信部44は、制御部41から入力される指示に従い、センタ側装置1宛に、指示された情報を送信する。またこの通信部44は、携帯電話通信網を介してセンタ側装置1から受信した情報を制御部41に出力している。
【0018】
表示部45は、制御部41から入力される指示に従い、車両2が備えているカーナビゲーションシステム等の表示画面に対して、情報を表示出力する。一例としてこの表示部45は、制御部41から入力される指示に従って、指示された情報を表示するための映像信号を出力する。またこの表示部45はディスプレイを備えて、制御部41から入力される指示に従って、このディスプレイに情報を表示してもよい。
【0019】
センタ側装置1は、図2に例示するように、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを含んで構成される。この制御部11はCPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部12に格納されたプログラムに従って動作する。
【0020】
本実施の形態では、この制御部11は、通信部13から、当該通信部13が車両側装置3から受信した、当該車両側装置3を搭載した車両2を識別する識別情報や車両の現在位置を表す位置情報、さらには車両の速度、ワイパー動作の有無、ライト点灯の有無、ブレーキの踏込み割合、アクセル開度等の運転状況に関する情報を受け入れる。そして制御部11は、当該受信した情報を記憶部12に蓄積する。
【0021】
またこの制御部11は、当該記憶部12に蓄積した情報を用いて、地点ごとの運転状況に関する情報について予め定められた分析処理を実行し、分析結果を生成する。さらに制御部11は、車両側装置を搭載した車両の一つを注目車両として、当該注目車両に搭載された車両側装置から受信した情報に含まれる現在位置の情報が表す位置を含む所定の範囲にある地点に関する分析結果と、受信した情報との比較により、注目車両に搭載された車両側装置へ送信するべき情報を生成するか否かを判断する。そしてこの判断により、注目車両に搭載された車両側装置へ送信するべき情報を生成すると判断されたときに、当該情報を生成し、当該生成した情報を送信する。この制御部11の具体的な処理の内容については後に述べる。
【0022】
記憶部12は、メモリデバイスやディスクデバイスを含んでなる。この記憶部12は、制御部11によって実行されるプログラムを保持している。また、この記憶部12は、制御部11によって蓄積される情報を格納して保持する。さらに記憶部12は制御部11のワークメモリとして動作するメモリデバイスを含む。
【0023】
通信部13は、車両側装置3との間での通信を行う。具体的にこの通信部13はネットワークインタフェース等であり、例えばインターネットや携帯電話通信網を介して車両側装置3から受信する情報を制御部11に出力する。またこの通信部13は、制御部11から入力される指示に従い、指示された宛先となった車両側装置3に対して、例えばインターネットや携帯電話通信網を介して、情報を送信する。
【0024】
次に本実施の形態におけるセンタ側装置1の制御部11の動作について述べる。この制御部11は、車両側装置3から受信した、当該車両側装置3を搭載した車両2を識別する識別情報、車両の現在位置を表す位置情報、及び運転状況に関する情報を受け入れる。ここで運転状況に関する情報には、車両の速度、ワイパー動作の有無、ライト点灯の有無、ブレーキの踏込み割合、アクセル開度等の少なくとも一部を含む。
【0025】
そして制御部11は、これら受け入れた識別情報、位置情報及び運転状況に関する情報を互いに関連付けて記憶部12に蓄積する。具体的に制御部11は、受け入れた各情報を互いに関連付けて受信順に蓄積していけばよい。制御部11は、この蓄積した情報に基づき、予め定められた分析処理を実行する。一例としてこの分析処理は、次のようなものである。すなわち制御部11は、蓄積した情報に含まれる位置情報を参照して、予め定められた地域ごとの位置情報に分類する。
【0026】
具体的にここで、位置情報を分類する際に用いる地域は、地図情報に基づいて定められる。一例としては地図情報を一律の大きさの矩形状の地域に分割して得たものであってもよい。また別の例では、地図上にある道路近傍の地域を所定距離の区間ごとに分割したものであってもよい。図3に例示したものは、地図上にある道路近傍の地域(各道路の中心線から所定距離(例えば10m)の範囲)を所定距離(例えば500m)の区間ごとに分割した例であり、この分割により得られた地域の各々が、位置情報の分類先である地域となる。
【0027】
制御部11は、分類先である地域ごとに、各地域に分類された位置情報に関連付けられた運転状況に関する情報を集計する。制御部11は、例えば分類先である地域i(i=1,2,…)ごとに、当該地域iに分類された位置情報の数Niをカウントする。また制御部11は、例えば車両速度が予め定めた車両速度閾値を超えている運転状況に関する情報の数ni_speedと、ブレーキの踏込み割合が所定の割合閾値を超えている運転状況に関する情報の数ni_breakとを求め、これらの車両の割合ri_speed=ni_speed/Niや、ri_break=ni_break/Ni等を分析結果として求める。制御部11はそして、これらの割合ri_speedや、ri_breakが所定の値を上回っているなど、予め定めた警告原因がある場合に、その地域i(以下、区別のため、これらの地域を特定地域と呼ぶ)を見出す。ここで警告原因は、運転状況に関する情報に基づいて警告するべきものと判断されるものをいう。
【0028】
また、制御部11は通信部13が車両側装置3から受信した情報を出力するごとに、当該情報に含まれる車両の位置情報を参照し、当該位置情報を含む地域が特定地域であるか否かを判断する。そして制御部11は、通信部13が出力する情報に含まれる、車両の位置の情報を含む地域が特定地域であった場合は、当該情報の送信元である車両側装置3(特定地域内にある車両2に搭載された車両側装置3)に対して送信するべき情報を生成する。
【0029】
具体的に制御部11は、当該情報の送信元である車両側装置3を搭載した車両2が、ブレーキの踏込み割合が所定閾値を超える運転状況の車両が、所定割合より多い地域(ri_break=ni_break/Nが所定の値を上回っている特定地域)に所在していれば、「急ブレーキ多発地域です」といった文字列情報を、当該車両側装置3へ送出することとする。つまり制御部11は、車両側装置3を搭載した車両2の所在する特定地域における警告原因に係る情報を提供する。
【0030】
本実施の形態に係るシステムは以上のように構成されており、次のように動作する。車両側装置3は、図4に例示するように、所定のタイミングごとに繰り返して、車両2を識別する識別情報と、車両の現在位置を表す位置情報と、運転状況に関する情報とを取得する(S1)。ここで運転状況に関する情報は、車両の速度、ワイパー動作の有無、ライト点灯の有無、ブレーキの踏込み割合、アクセル開度等を含むものとする。車両側装置3は、これら識別情報や位置情報、運転状況に関する情報を、センタ側装置1に対して送信する(S2)。
【0031】
センタ側装置1では、各車両2の車両側装置3から受信されるこれらの情報を互いに関連付けて蓄積していく(S3)。また、蓄積した情報を参照し、予め定めた地域ごとに、当該地域に含まれる位置情報に関連付けられた、運転状況に関する情報を分析する(S4)。ここでは分析の例として、既に述べたように、センタ側装置1では、地域i(i=1,2,…)ごとに、蓄積された情報のうち、当該地域iに含まれる位置情報を含む情報の数Niをカウントする。また制御部11は、当該地域iに含まれる位置情報に関連付けられている車両速度が、予め定めた車両速度閾値を超えている運転状況に関する情報の数ni_speedと、当該地域iに含まれる位置情報に関連付けられているブレーキの踏込み割合が所定の割合閾値を超えている運転状況に関する情報の数ni_breakとを求め、これらの車両の割合ri_speed=ni_speed/Niや、ri_break=ni_break/Ni等の分析結果を求める。
【0032】
またセンタ側装置1は、地域i(i=1,2,…)ごとに車両の速度の平均値Save_iと、標準偏差Sσ_iとを分析結果の一つとして演算して求めておいてもよい。さらにセンタ側装置1では上記演算した割合ri_speedや、ri_breakが所定の値を上回っているなど、予め定めた警告原因がある地域(特定地域)を見出して、特定地域となった地域を特定する情報(地域の識別情報iを用いればよい)に関連付けて警告原因の情報を記憶しておいてもよい。
【0033】
センタ側装置1は、さらに、車両側装置3から情報を受信するごとに、受信した情報の送信元である車両側装置3を搭載する車両2を注目車両として、図5に例示する処理を行う。すなわちセンタ側装置1は、当該受信した情報に含まれる注目車両の位置情報を参照し、当該位置情報が表す位置を含む地域を見出す(S11)。そして当該地域が、特定地域であるか否か(警告原因がある地域であるか否か)を調べる(S12)。ここで当該地域が特定地域でなければ処理を終了する。この場合のセンタ側装置1は、図4に例示したように当該情報を蓄積する処理を行う。
【0034】
一方、処理S12において当該地域が特定地域である場合、センタ側装置1は、注目車両の車両側装置3に対して、警告原因に係る情報を送信する(S13)。例えば当該地域に関連付けて、警告原因としてブレーキの踏込み量が所定閾値を超えている運転状況に関する情報の割合ri_breakが所定値を上回っている場合は、「急ブレーキ多発地帯です」のような文字列情報を送信する。車両側装置3では、この情報を受信して表示出力ないし音声信号として出力することとしてもよい。
【0035】
さらにセンタ側装置1では、分析の処理として、地域i(i=1,2,…)ごとに車両の速度の平均値Save_iと、標準偏差Sσ_iとを演算して求めている場合には、注目車両の車両側装置3から受信した情報に含まれる位置情報と、運転状況を表す情報に含まれる速度の情報Sとを取り出す。そしてセンタ側装置1は、当該取り出した位置情報を含む地域iを特定し、当該地域iにおける車両の速度の平均値Save_iと、標準偏差Sσ_iとを取得する。
【0036】
センタ側装置1は、予め定めた自然数nを用い、取り出した注目車両の速度の情報Sが、S>Save_i+n・Sσ_iであるときに、注目車両の速度が当該地域を走行する平均的な車両より過大であると判断して、その旨を表す情報を、注目車両の車両側装置3へ送信する。
【0037】
なお、ここでは車両2の速度について述べたが、他の情報、例えばアクセル開度について同様の処理を行ってもよい。また、分析の処理は、地域ごとに、ワイパー動作の有無やライト点灯の有無によって判断される運転の条件に応じてそれぞれ行われてもよい。つまり、上述のri_speedや、ri_break、または速度の平均値Save_iや標準偏差Sσ_iは、
(1)ワイパー動作なし、かつライト点灯なし(昼間で降水量なし)
(2)ワイパー動作あり、かつライト点灯なし(昼間で降水量あり)
(3)ワイパー動作なし、かつライト点灯あり(夜間で降水量なし)
(4)ワイパー動作あり、かつライト点灯あり(夜間で降水量あり)
の各運転条件に応じて求められ、警告原因の有無も、上記の(1)から(4)の各条件に応じて求められてもよい。
【0038】
このようにする場合、センタ側装置1は車両側装置3から情報を受信すると、当該車両側装置3を搭載する車両2を注目車両とする。そしてセンタ側装置1は、当該受信した情報に含まれる、注目車両の位置情報を参照し、当該位置情報が表す位置を含む地域(注目車両が所在する地域)を見出す。また当該情報に含まれる、ワイパー動作の有無とライト点灯の有無とを表す情報を取り出す。センタ側装置1は、注目車両が所在する地域において、取り出したワイパー動作の有無とライト点灯の有無とに対応する運転条件で、警告原因があるか否かを調べる。
【0039】
ここで、当該地域、かつ運転条件において警告原因があれば、センタ側装置1は、当該警告原因を表す情報を注目車両の車両側装置3へ送信する。これにより、例えば夜間で降水量が多いときには急ブレーキが多くなる地域において、その条件下で、その旨を報知できるようになる。
【0040】
さらに車両側装置3から受信した情報に時刻の情報が含まれる場合、あるいは、センタ側装置1が車両側装置3から受信した情報を蓄積するときに、受信した時刻を表す情報を含めて蓄積する場合は、時間帯ごとの分析を行ってもよい。
【0041】
さらに、地域iごとの情報の数N_iに関連して複数のしきい値を設定しておき、各しきい値を超えるごとに、時間帯ごとの分析を行うか否か、あるいは、上述のような運転条件に応じた分析を行うか否かを異ならせてもよい。例えば情報の数N_iが予め定めた第1のしきい値θ1より小さい地域iでは時間帯や運転条件に応じた分析を行わず、この第1のしきい値θ1を超えるが、第2のしきい値θ2(θ2>θ1)を超えない場合、つまり、θ2>N_i>θ1である地域では、運転条件に応じた分析を行うが、時間帯に応じた分析までは行わない…といったように地域ごとに分析の方法を異ならせてもよい。
【0042】
さらにここまでの説明では、地域を区分することによって情報の送信元である注目車両の現在位置を含む所定の範囲にある地点に関する分析結果を取得していたが、本実施の形態はこれに限られない。例えばセンタ側装置1は、注目車両の現在位置を取得すると、蓄積している情報から、当該現在位置から例えば半径rキロメートル(rは予め設定しておく)の範囲にある位置情報に関連付けられた運転状況を表す情報を抽出する。そして当該抽出した情報に基づいて分析結果を生成して、注目車両から受信した情報との比較を行ってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 センタ側装置、2 車両、3 車両側装置、11,41 制御部、12,42 記憶部、43 ネットワークインタフェース、44 表示部、13,45 通信部。
図1
図2
図3
図4
図5