特許第5797216号(P5797216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797216
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】トレーラを支持する補助脚の駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 53/06 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   B62D53/06 Z
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-20601(P2013-20601)
(22)【出願日】2013年2月5日
(65)【公開番号】特開2014-151677(P2014-151677A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2014年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100102417
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】内城 重男
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4115619(JP,B2)
【文献】 実開昭57−159561(JP,U)
【文献】 特許第3054759(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 41/00−67/00
B60S 3/00−13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに牽引されるトレーラにおいて、その前方側を支持する補助脚を上下方向に移動するための駆動装置であって、
手動により前記補助脚を移動するハンドルが取り付けられた駆動回転軸の端部に、互いに係合・分離する2部材を備えた嵌め合いクラッチが設けられ、
前記嵌め合いクラッチの一方の部材が前記駆動回転軸に取り付けられるとともに、他方の部材が前記ハンドルに取り付けられ、かつ、
回転エア工具に取り付け可能なアタッチメントが設けられ、前記アタッチメントが、前記嵌め合いクラッチを分離して前記駆動回転軸を回転するよう、前記駆動回転軸に接続可能に構成されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記嵌め合いクラッチの一方の部材が前記駆動回転軸に固着されたピンであって、他方の部材が、前記ピンに係合する溝を端部に形成したスリーブであり、
前記スリーブは、前記駆動回転軸に嵌め込まれてスライド可能に前記ハンドルに取り付けられており、前記嵌め合いクラッチを分離するときは、前記スリーブをスライドして前記溝と前記ピンとの係合を解除する請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記アタッチメントに前記ピンと係合する溝が形成されており、前記アタッチメントを前記駆動回転軸に接続したときは、前記アタッチメントの溝が前記ピンと係合する請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記駆動回転軸の先端には角形の頭部が形成されるとともに、前記アタッチメントには、前記角形の頭部に対応する凹部が形成されており、前記アタッチメントを前記駆動回転軸に接続したときは、前記駆動回転軸の角形の頭部が前記アタッチメントの凹部に嵌まり込む請求項2に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記スリーブは、前記嵌め合いクラッチが係合する方向にばねによって押圧されており、前記アタッチメントを前記駆動回転軸に接続したときは、前記アタッチメントの端面が前記スリーブを押して前記スリーブをスライドさせ、前記嵌め合いクラッチを分離する請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項6】
前記駆動回転軸と前記スリーブとの間には、前記嵌め合いクラッチが係合した位置と分離した位置とに位置決めするディテント機構が設けられる請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項7】
前記嵌め合いクラッチは、互いに嵌まり合う複数の凹凸部が形成された2部材を備える請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項8】
前記ハンドルには、前記嵌め合いクラッチが係合したときに、前記駆動回転軸の先端に当接するロッドが設置された請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに牽引されるトレーラにおいて、トラクタと切り離されたときに接地してトレーラの前方側を支持する補助脚を、上下方向に移動するための駆動装置(ランディングギヤ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラックの荷台に積載できない大型貨物あるいは重量の大きい貨物の輸送には、トラクタに牽引されるトレーラが一般的に使用される。トレーラ(セミトレーラ)は、連結されたトラクタにより車体の前方側を支えながら走行する車両であって、車体の前方側には車輪がない。そのため、トレーラには、トラクタと切り離されたときに接地してトレーラの前方側を支持する補助脚が設置されている。
このようなトレーラの代表例として、大型輸送用容器のコンテナを積載するコンテナシャシがある(以下の説明では、トレーラを代表する形でコンテナシャシを記述することがある)。コンテナシャシは、図9に示すとおり、車体の前後方向に平行に延びる2本のメインレールMRを備えており、その後方部に車輪WLが設けられるとともに、トラクタ(図示省略)の後端部と干渉しない前方側の位置に補助脚LGが設置される。メインレールMRの前端部には、トラクタの車台上に置かれた連結具(カプラ)に結合するキングピンKPが固着される。なお、図9のコンテナシャシは、メインレールMRの後部に伸縮可能なスライドフレームSFを備え、20フィート(約6m)及び40フィート(約12m)の長さの異なるコンテナを積載できる兼用コンテナシャシとなっている。
【0003】
コンテナシャシが走行するときは補助脚LGを引き上げる必要があるので、コンテナシャシには、補助脚LGを上下方向に移動するための駆動装置が装備され、補助脚LG及び駆動装置はランディングギヤと呼ばれている。補助脚の駆動装置は、例えば特許第2627038号公報に記載されており、その駆動装置では、図10に示すように、外筒OCが備えられ、その内部を補助脚LGが上下方向にスライドするよう構成される。補助脚LGの上方には内ねじを形成したナット体NTが固着され、その内ねじに嵌まるねじシャフトTSの上部に固定された傘歯車BGが、外筒OCに回転可能に取り付けられる。傘歯車BGを回転させてナット体NTを昇降させるよう、駆動回転軸DSが設置され、これには、手動で操作するハンドルHLが取り付けてある。
【0004】
補助脚LGを昇降するには、手動でハンドルHLの回転軸と駆動回転軸DSとを直線状とした後(図10(a))、ハンドルHLを回転操作する。駆動回転軸DSは、その軸方向位置が2位置に設定可能となっていて、その位置に応じてハンドルHLから傘歯車BGへの回転伝達経路が切り換わり、傘歯車BGの回転数が低速、高速に変更される。つまり、ハンドルHLにより駆動回転軸DSを押し込んで回転操作したときは(図10(b))、駆動回転軸DSが直結されて動力が図の矢印のように伝達され、傘歯車BGは高速で回転して補助脚LGの昇降速度が大きくなる(高速ギヤ)。これに対し、駆動回転軸DSを引き込んだ位置で回転操作したときには(図10(c))、図の矢印のように減速歯車列RGを経由して傘歯車BGが駆動されるため、補助脚LGの昇降速度が小さくなって(低速ギヤ)、その分、ハンドルHLに必要な操作トルクが低減する。
高速ギヤと低速ギヤとに位置決めするため、駆動回転軸DSにはディテント機構DMが設けられている。また、ハンドルHLは、補助脚LGを昇降しないときにも駆動回転軸DSから取り外されることはなく、連結軸CSの位置で折り曲げられ外筒OCに固着されたフックに掛け止めして格納される(後述の図3参照)。これによって、駆動回転軸DSの回転がハンドルHLにより阻止され、例えば、コンテナシャシの走行中の振動等を受け、補助脚LGが自重で徐々に降下を起こすような事態が防止される。
【0005】
ところで、ハンドルHLを回転して補助脚LGを昇降する作業は、作業者に相当の負担を掛ける作業となる。ことに、貨物を荷台上に積載したままの状態でトレーラをトラクタから切り離す場合(このような切り離しは、例えば、フェリーによる海上輸送において、トラクタによりトレーラをフェリーに載せた後に行われ、フェリーの到着港では別のトラクタが連結される)、補助脚LGを接地した後、積載貨物の重量に抗してさらに補助脚LGを伸長し、キングピンをカプラから外せる高さとなるまでトレーラの前方部を上昇しなければならない。この操作は、低速ギヤを使用して行うとしても、ハンドルHLに大きな操作トルクを加える必要があり、作業者に大きな負担を強いる。
作業者の負担を軽減するには、補助脚の昇降に何らかの動力を利用することが考えられる。例えば、特許第3054759号公報には、補助脚の駆動装置にエアモータを装着し、コンテナシャシに備え付けられたブレーキ用エアタンクの空気圧を利用して補助脚の昇降を行うことが開示されている。また、特許第4115619号公報には、手動で操作するハンドルの連結された駆動回転軸とは別に、インパクトレンチ等の回転エア工具の接続可能な第2回転軸を設け、補助脚を上下するための傘歯車を第2回転軸からも回転駆動できるようにした駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2627038号公報
【特許文献2】特許第3054759号公報
【特許文献3】特許第4115619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コンテナシャシの補助脚を昇降する駆動装置を動力により作動する場合は、容易に利用可能な動力を用い、なるべく簡単な機構により作動させることが望ましい。特許文献1又は特許文献2に記載された空気圧を用いる駆動装置は、コンテナシャシのブレーキ用エアタンクの空気圧が利用できるので、補助脚を昇降する駆動装置に適している。
【0008】
しかし、特許文献1に記載されたような、駆動装置に予め組み付けたエアモータによって補助脚を昇降するものでは、エアモータを取り付ける機構やエアモータからの動力伝達機構が必要となって、駆動装置が複雑化する。また、エアモータを大型化すると、コンテナ等の貨物を積載した状態でトレーラの前方部を上昇可能な、操作トルクの大きい駆動装置を得ることができるが、最近では、大トルクの駆動装置を不要とする次のような事情が出現している。
貨物輸送用のトラックの懸架装置(サスペンション)には、走行中の振動を低減して積載した貨物の損傷を防止するため、リーフスプリングに代えて空気ばねを用いる、いわゆるエアサスペンションが普及しており、トラクタでもエアサスペンションを採用したものが増加している。エアサスペンションを採用した車両は、空気ばね内の空気圧を増減して車台の高さを変更することが可能であり、これを用いたトラクタは、コンテナシャシと連結したり切り離したりするときに、トラクタの車台の高さを低下させてカプラとキングピンの結合・分離を行うことができる。例えば、トレーラに貨物を積載したままトラクタから切り離す場合、補助脚を接地した後、トラクタの車台を低下させて切り離せばよく、低速ギヤを使用してトレーラを上昇する必要はない。
【0009】
特許文献2に記載の駆動装置は、ハンドルによる手動操作とは別に、回転エア工具によっても補助脚を昇降できる駆動装置である。回転エア工具は、各所の工場や輸送拠点等に備えてある普遍的な工具であって、これを利用する駆動装置は利便性が大きい。しかし、特許文献2の駆動装置は、ハンドルによる手動操作用の駆動回転軸と回転エア工具用の第2回転軸とを設けるものであり、やはり駆動装置の構造が複雑化する。また、エアサスペション式のトラクタの増加に伴い、トレーラとの連結・分離作業の迅速化のため、従来の駆動装置を改造して回転エア工具でも作動可能とする要請が強くなっているが、従来の駆動装置を特許文献2に記載のような駆動装置に改造するのは容易ではない。
本発明の課題は、コンテナシャシ等のトレーラの補助脚を手動で昇降する駆動装置を、簡単な構造により回転エア工具でも作動できるよう構成し、従来の駆動装置を改造して行うのも容易とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題に鑑み、本発明は、トレーラの補助脚を昇降する駆動装置において、手動用のハンドルと駆動回転軸との間に嵌め合いクラッチを介在させるとともに、駆動回転軸に接続可能な回転エア工具用アタッチメント(アダプタ)を設け、嵌め合いクラッチを分離した後にこのアタッチメントを接続して、回転エア工具でも回転駆動できるようにしたものである。すなわち、本発明は、
「トラクタに牽引されるトレーラにおいて、その前方側を支持する補助脚を上下方向に移動するための駆動装置であって、
手動により前記補助脚を移動するハンドルが取り付けられた駆動回転軸の端部に、互いに係合・分離する2部材を備えた嵌め合いクラッチが設けられ、
前記嵌め合いクラッチの一方の部材が前記駆動回転軸に取り付けられるとともに、他方の部材が前記ハンドルに取り付けられ、かつ、
回転エア工具に取り付け可能なアタッチメントが設けられ、前記アタッチメントが、前記嵌め合いクラッチを分離して前記駆動回転軸を回転するよう、前記駆動回転軸に接続可能に構成されている」
ことを特徴とする駆動装置となっている。
【0011】
請求項2に記載のように、前記嵌め合いクラッチの一方の部材が前記駆動回転軸に固着されたピンであって、他方の部材が、前記ピンに係合する溝を端部に形成したスリーブであり、前記スリーブは、前記駆動回転軸に嵌め込まれてスライド可能に前記ハンドルに取り付けられており、前記嵌め合いクラッチを分離するときは、前記スリーブをスライドして前記溝と前記ピンとの係合を解除するよう構成されていることが好ましい。
この場合には、請求項3に記載のように、前記アタッチメントにも前記ピンと係合する溝を形成し、前記アタッチメントを前記駆動回転軸に接続したときは、前記アタッチメントの溝と前記ピンとを係合させることができる。さらに、請求項4に記載のように、前記駆動回転軸の先端に角形の頭部を形成するとともに、前記アタッチメントに、前記角形の頭部に対応する凹部を形成し、前記アタッチメントを前記駆動回転軸に接続したときは、前記駆動回転軸の角形の頭部が前記アタッチメントの凹部に嵌まり込むようにすることができる。
【0012】
請求項2に記載の駆動装置においては、請求項5に記載のように、前記スリーブが、前記嵌め合いクラッチの係合する方向にばねによって押圧されており、前記アタッチメントを前記駆動回転軸に接続したときは、前記アタッチメントの端面が前記スリーブを押して前記スリーブをスライドさせ、前記嵌め合いクラッチを分離するよう構成することができる。また、請求項6に記載のように、前記駆動回転軸と前記スリーブとの間には、前記嵌め合いクラッチが係合した位置と分離した位置とに位置決めするディテント機構を設けることができる。
【0013】
請求項7に記載のように、前記嵌め合いクラッチとして、互いに嵌まり合う複数の凹凸部が形成された2部材を備えるものを用いることができる。
【0014】
請求項8に記載のように、前記ハンドルには、前記嵌め合いクラッチが係合したときに、前記駆動回転軸の先端に当接するロッドを設置することができる。
【発明の効果】
【0015】
トレーラの補助脚を昇降する本発明の駆動装置では、手動用のハンドルが取り付けられる駆動回転軸の端部に嵌め合いクラッチを設け、ハンドルを、嵌め合いクラッチを介して駆動回転軸に連結する。そして、駆動回転軸に接続可能な回転エア工具用のアタッチメントを用意し、このアタッチメントを、嵌め合いクラッチを分離した後の駆動回転軸に接続して、駆動回転軸を回転エア工具でも回転駆動できるようにしている。
このように、本発明の駆動装置は、補助脚を昇降するために通常手動で回転する駆動回転軸を、回転エア工具でも回転することが可能なので、例えば、トレーラに貨物を積載した状態でのトラクタとの連結・切り離し作業において、作業者の負担が大幅に軽減されるとともに、作業に要する時間を短縮することができる。前述のように、エアサスペンション式トラクタの増加で出力の大きい駆動装置が不要となっている関係上、回転エア工具としては、インパクトレンチなどの小型で汎用のものでも使用可能である。
【0016】
そして、本発明の駆動装置は、回転エア工具で補助脚の昇降を可能とするに際し、駆動装置のいわば外部部分である、駆動回転軸とハンドルとの間に嵌め合いクラッチを設ける手段を採用した装置であって、駆動回転軸以外の内部部分を変更するものではない。そのため、トレーラに既に装備された駆動装置を改造して、回転エア工具による駆動機能を付加するときは、駆動回転軸及びハンドル等の外部部分のみの変更により容易に行うことができ、改造に要するコストは低廉なものとなる。
【0017】
請求項2の発明は、駆動回転軸とハンドルとの間に設ける嵌め合いクラッチを、駆動回転軸に固着されたピンと、ピンに係合する溝を端部に形成したスリーブとにより構成し、このスリーブを、ハンドルに取り付けるとともに駆動回転軸にスライド可能に嵌め込むものである。ハンドルによって補助脚を手動で昇降するときは、ハンドルの回転軸を駆動回転軸と一直線状としてハンドルを押し込み、スリーブの溝をピンに嵌め込んで駆動回転軸を回転する。一方、回転エア工具で昇降するときは、スリーブをスライドして溝とピンとの係合を解除した後、駆動回転軸にアタッチメントを接続して、駆動回転軸を回転エア工具で回転駆動する。
請求項2の機構では、ピンを利用した構成が簡易な嵌め合いクラッチを構成できるとともに、ハンドル又は回転エア工具の動力が、駆動回転軸と軸心が一致するスリーブを介して駆動回転軸に伝達されるから、安定した動力伝達を行うことができる。
【0018】
請求項3及び請求項4の発明は、請求項2の嵌め合いクラッチを備えた駆動回転軸に接続する、回転エア工具用のアタッチメントを特定するものである。請求項3の発明では、アタッチメントにも駆動回転軸のピンと係合する溝を形成しており、嵌め合いクラッチによるハンドルと駆動回転軸との係合を解除してから、ピンにアタッチメントの溝を係合し回転エア工具で駆動回転軸を回転する。この場合には、ハンドルの手動動力も回転エア工具の動力も、同一のピンを経由して駆動回転軸を回転させることとなるので、嵌め合いクラッチの設計等が容易となる。
また、請求項4の発明では、駆動回転軸の先端にナットのような角形の頭部を形成するとともに、回転エア工具用アタッチメントにはその頭部に嵌まり込む凹部を形成し、嵌め合いクラッチを分離したときは、角形の頭部を介して駆動回転軸を回転させる。回転エア工具は、ボルト、ナットの締結に使用するのが一般的であって、ナットに接続可能なアタッチメントが付属品として用意されているから、請求項4の発明の構造とした場合には、付属品のアタッチメントをそのまま利用することが可能となる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項2の発明で嵌め合いクラッチの一部材となるスリーブを、嵌め合いクラッチの係合する方向にばねによって押圧するものである。回転エア工具で回転するときは、接続したアタッチメントでスリーブを押してばねを縮め、嵌め合いクラッチを分離してアタッチメントを駆動回転軸に係合させる。請求項5の発明では、スリーブが嵌め合いクラッチの係合する方向にばねにより常時押圧される。そのため、嵌め合いクラッチの係合を解除して回転エア工具で補助脚を昇降した後に、嵌め合いクラッチが自動的に係合して、補助脚からの駆動回転軸の逆駆動が格納されたハンドルにより阻止される。換言すれば、補助脚LGが自重で降下するような事態を防ぐには、ハンドルを格納する前に嵌め合いクラッチを係合しなければならないが、万一係合する作業を忘れた場合でも、そうした事態は生じない。
【0020】
請求項6の発明は、請求項2の発明の嵌め合いクラッチを備えた駆動装置において、嵌め合いクラッチが係合した位置と分離した位置とに位置決めするディテント機構を、駆動回転軸とスリーブとの間に設けるものである。これによると、嵌め合いクラッチのスリーブの位置決めを確実に行うことができるとともに、回転エア工具で駆動回転軸を回転し補助脚を昇降するときに、回転するアタッチメントと非回転のスリーブとの間に隙間を設けて、その間の摩擦をなくすことができる。
【0021】
請求項7の発明のように、嵌め合いクラッチとして、互いに嵌まり合う複数の凹凸部が形成された2部材を備えるクラッチ、いわゆる噛み合いクラッチを用いたときは、小型のクラッチでも回転エア工具の動力等の確実な伝達が可能となる。また、請求項8の発明のように、手動用ハンドルの先端に駆動回転軸に当接するロッドを設置すると、ハンドルでの回転操作を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の補助脚の駆動装置の第1実施例において、ハンドルにより駆動する状態を全体的に示す図である。
図2図1のA部の詳細図である。
図3】本発明の補助脚の駆動装置の第1実施例において、回転エア工具により駆動する状態を全体的に示す図である。
図4図3のB部の詳細図である。
図5】本発明の補助脚の駆動装置の第2実施例において、ハンドルにより駆動する状態を示す詳細図である。
図6】本発明の補助脚の駆動装置の第2実施例において、回転エア工具により駆動する状態を示す詳細図である。
図7】本発明の補助脚の駆動装置の第3実施例における詳細図である。
図8】本発明の補助脚の駆動装置の第4実施例における詳細図である。
図9】コンテナシャシの概要を示す図である。
図10】従来の補助脚の駆動装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、トレーラの補助脚を上下方向に移動する本発明の駆動装置について説明するが、ここでも、トレーラの代表例であるコンテナシャシに本発明を適用した実施例を用いて説明することとする。そして、本発明の適用されるコンテナシャシの基本的な構造は図9に示すものと同様であり、補助脚の駆動装置の基本的な構造は図10に示すものと同様であるので、本発明の実施例を示す図面において、対応する部品等については、図9、10と同一の符号を付している。
【0024】
本発明の駆動装置の第1実施例を、図1乃至図4に示す。図1は、補助脚LGを昇降するための駆動回転軸DSを手動用のハンドルHLで回転させる、図10(a)と同様な状態を、コンテナシャシ前方正面から見た図である。左右の補助脚LGが1個のハンドルHLの操作で同時に昇降するよう、駆動回転軸DSは、2本のメインレールMRを横切って延長され、左右の駆動装置を連結している。補助脚LGが上下にスライドする外筒OCには、折り曲げたハンドルHLを掛け止めするフックFKが固着される。
【0025】
駆動回転軸DSとハンドルHLとの連結部分である図1のA部には、嵌め合いクラッチ1が設置されており、その拡大詳細図を図2に示す。
駆動回転軸DSの端部には、軸を貫通するピン2が固着され、ピン2は、互いに係合・分離する2部材を備えた嵌め合いクラッチ1における一方の部材を構成する。また、駆動回転軸DSにはスリーブ3がスライド可能に嵌め込まれ、スリーブ3は、ピン2と係合するU字型の溝31(図2の下図)が端部に形成されて、嵌め合いクラッチ1における他方の部材となっている。このスリーブ3は、駆動回転軸DSを取り巻くコイルばね4によって、ピン2と係合する方向に押圧されている。
【0026】
手動用のハンドルHLの先端は、図10(a)のハンドルと同じように、二股に分かれて平板状となっており、ここに長孔HLhが形成されている。スリーブ3の外方には、外側スリーブ5が溶接で固着されるとともに、一体化された両方のスリーブにはボルト6が締結され、このボルト6は、ハンドルHLの長孔HLhに摺動可能に嵌め込まれる。つまり、嵌め合いクラッチ1の他方の部材であるスリーブ3は、ボルト6を介してハンドルHLに取り付けられる。
【0027】
ハンドルHLで補助脚LGを昇降するときは、まずハンドルHLの回転軸を駆動回転軸DSと直線状とした後、ハンドルHLを前方(図2の左方)に押し込む。このとき、スリーブ3はコイルばね4で押されてU字型の溝31がピン2と係合したままであるが、ボルト6は、長孔HLhのハンドル後方側端部に摺動して、ハンドルHLが駆動回転軸DSに安定して嵌め込まれた状態となる。この状態でハンドルHLを回転すると、手動動力(操作トルク)は、ハンドルからボルト6、スリーブ3、ピン2、駆動回転軸DSへと順次伝達され、駆動回転軸DSが回転して補助脚LGを昇降することとなる。
【0028】
本発明の駆動装置では、駆動回転軸DSを回転エア工具でも回転駆動できるように、駆動回転軸DSに接続可能な回転エア工具用のアタッチメント(アダプタ)を用意する。本発明の第1実施例において、アタッチメントを装着して回転エア工具により駆動回転軸DSを回転するときの全体図を図3に、駆動回転軸DSとアタッチメント等との連結部分であるB部の拡大詳細図を図4に示す。
図3に示すように、回転エア工具ATにより駆動回転軸DSを回転するときは、始めにハンドルHLを引いてボルト6の位置で折り曲げ、外筒OCのフックFKへの掛け止めを行う。次いで、回転エア工具ATのヘッド部に装着したアタッチメント7を駆動回転軸DSに接続し、アタッチメント7を前方(図3の左方)に押す。
【0029】
図4の詳細図に示すとおり、アタッチメント7を駆動回転軸DSに接続すると、アタッチメント7の前端面がスリーブ3の後端面に当接し、アタッチメント7を前方に押したときは、スリーブ3がコイルばね4を圧縮しながらスライドする。そのため、U字型の溝31と駆動回転軸DSのピン2との係合が解除され、嵌め合いクラッチ1は分離する。アタッチメント7の先端部には、やはりU字型の溝71が設けてあり、嵌め合いクラッチ1が分離した後に、駆動回転軸DSのピン2がU字型の溝71に係合する。これによって、回転エア工具ATの動力は、アタッチメント7からピン2を経由して駆動回転軸DSに伝達され、これを回転させて補助脚LGを昇降する。
【0030】
回転エア工具ATでの補助脚LGの昇降が終了した後に、アタッチメント7と回転エア工具ATとを取り外すと、スリーブ3はコイルばね4に押されて図の右方にスライドし、スリーブ3の溝31と駆動回転軸DSのピン2とが再び係合して、駆動回転軸DSとハンドルHLとの間の嵌め合いクラッチ1が連結する。ハンドルHLは、図3に示すフックFKに掛け止められた状態であるため、補助脚LGからの駆動回転軸DSの逆回転を、ハンドルHLにより阻止することができる。
【0031】
本発明の駆動装置の第2実施例を図5図6に示す。第2実施例の駆動装置は第1実施例のものと類似の構成を備えており、主な相違点は、駆動回転軸の先端に6角形のナットを固定し、回転エア工具用のアタッチメントにこのナットが嵌まり込む凹部を形成することにある。そして、第2実施例を示す図5図6は、第1実施例の図2図4にそれぞれ対応する図であり、相当する部品には、第1実施例のものと同一の符号を付している。
【0032】
図5に示すとおり、第2実施例の駆動装置においても、駆動回転軸DSとハンドルHLとの連結部分には嵌め合いクラッチ1Aが設置されている。嵌め合いクラッチ1Aは、第1実施例のものと同様に、駆動回転軸DSを貫通するピン2が嵌め合いクラッチ1Aにおける一方の部材を構成するとともに、駆動回転軸DSにスライド可能に嵌め込まれ、ピン2と係合するU字型の溝31を端部に形成したスリーブ3が他方の部材を構成する。スリーブ3は、コイルばね4によってピン2と係合する方向に押圧されていることも第1実施例のものと同じであるが、スリーブ3の外方に固着された外側スリーブ5Aは、コイルばね4及びピン2を覆うように延長され、ハンドルHLの内面に当接する。
【0033】
手動用のハンドルHLの先端は、二股に分かれて平板状となっており、ここに長孔HLhが形成されている。スリーブ3と外側スリーブ5にはボルト6が締結され、このボルト6は、ハンドルHLの長孔HLhに摺動可能に嵌め込まれる。
ハンドルHLで補助脚LGを昇降するときは、第1実施例のものと同様に、ハンドルHLの回転軸を駆動回転軸DSと直線状とした後、ハンドルHLを押し込む。これにより、ピン2とU字型の溝31が係合したまま、ハンドルHLが駆動回転軸DSに嵌め込まれた状態となり、手動動力は、ハンドルHLから嵌め合いクラッチ1Aを介して駆動回転軸DSへと伝達され、駆動回転軸DSが回転して補助脚LGを昇降する。
【0034】
第2実施例の駆動装置では、駆動回転軸DSのピン2よりも先端側に、断面6角形のナットNTが固着される。そして、図6に示すとおり、回転エア工具ATに装着されるアタッチメント7Aには、駆動回転軸DSとの連結側に、ナットNTの嵌め込まれる凹部が形成されている。
【0035】
回転エア工具ATにより駆動回転軸DSを回転するときは、ハンドルHLをボルト6の位置で折り曲げてフックに格納した後、アタッチメント7Aの凹部をナットNTに嵌め込みながら、アタッチメント7Aの前方端面を外側スリーブ5Aに当接する。次いで、アタッチメント7Aを前方(図6の左方)に押すと、アタッチメント7Aが外側スリーブ5Aをばね4に抗して移動させ、スリーブ3の溝31とピン2との係合を外して嵌め合いクラッチ1Aを分離する。回転エア工具ATの動力は、アタッチメント7Aから6角形のナットNTを経由して駆動回転軸DSに伝達され、これを回転させて補助脚LGを昇降する。
通常、エア工具にはナットを回転させるアタッチメントが付属しているので、第2実施例の駆動装置では、これをそのまま利用することが可能である。なお、ナットの断面は6角形に限るものではなく、駆動回転軸とアタッチメントとの相対回転を防止するものであればよい。
【0036】
本発明の駆動装置の第3実施例を図7に示す。第3実施例の駆動装置では、駆動回転軸とハンドルとの連結部分に設置される嵌め合いクラッチが、互いに嵌まり合う複数の凹凸部の形成された2部材を備えるクラッチ、いわゆる噛み合いクラッチとして構成されている。また、駆動回転軸の先端に回転エア工具用のアタッチメントが嵌まり込むナットが固着されている点は、第2実施例のものと同様であるが、外側スリーブがハンドルの端面と当接するように延長され、ハンドル操作の際に安定した回転が行えるよう、ハンドルにはガイドのロッド等が固着されている。
【0037】
図7に示すとおり、第3実施例の駆動装置においては、駆動回転軸DSとハンドルHLとの嵌め合いクラッチ1Bは、複数の凹凸部を周方向に形成した2部材が互いに噛み合うクラッチであって、一方の部材2Bが駆動回転軸DSに固着され、他方の部材3Bは、第1実施例等のスリーブ3と同じように、ばね4に押されてスライド可能に駆動回転軸DSに嵌め込まれている。駆動回転軸DSの先端には、第2実施例と同じく断面6角形のナットNTが固着されているが、ボルト6により他方の部材3Bと締結された外側スリーブ5Bは、嵌め合いクラッチ1Bの2部材を収容するよう、第2実施例の外側スリーブ5Aよりも径が大きい。そして、外側スリーブ5Bには、軸方向に延びるスリットSLが形成されている。
【0038】
第3実施例の駆動装置では、図7の上図に示すように、ハンドルHLの二股の先端部分に、ボス部BSを有するロッドRDが固着されている。ハンドルHLにより駆動回転軸DSを手動回転するときは、ハンドルHLの回転軸を駆動回転軸DSと直線状とした後、ハンドルHLを押し込むと、ロッドRDの先端がナットNTに当接すると同時にボス部BSが外側スリーブ5Bに嵌まり込む。そのため、ハンドルHLの回転操作を安定した状態で行うことができ、また、駆動回転軸DSと外側スリーブ5Bとの相対的位置が変化しないので、嵌め合いクラッチ1Bが確実に噛み合って手動動力(操作トルク)を駆動回転軸DSへ伝達し、補助脚LGを昇降する。
【0039】
回転エア工具ATにより駆動回転軸DSを回転するときは、まず、ハンドルHLをボルト6の位置で折り曲げてフックに格納するが、このときには、ハンドルHLのロッドRDが外側スリーブ5BのスリットSLを通過するので、格納作業に支障は生じない。第3実施例のアタッチメント7Bは、図7の下図に示すとおり、第2実施例のアタッチメントと同様にナットNTに嵌まり込んで駆動回転軸DSを回転する。ただし、第3実施例においては、アタッチメント7Bが外側スリーブ5Bの内部に入り込み、嵌め合いクラッチ1Bの分離は、回転エア工具ATの端面が外側スリーブ5Bを押圧することにより行われる。
【0040】
本発明の第4実施例の駆動装置を図8に示す。第4実施例の駆動装置は、ハンドルに取り付けられた嵌め合いクラッチの他方の部材を位置決めするディテント機構を、駆動回転軸に設置するものである。第4実施例のものでは、回転エア工具との接続の際の嵌め合いクラッチの分離は、回転エア工具の接続の前に手動で行う。ディテント機構を設置したときは、図8のように他方の部材の押圧用ばねを省略することができるが、押圧用ばねを有する第1乃至第3実施例のものに位置決用ディテント機構を設けても構わない。
【0041】
第4実施例の嵌め合いクラッチ1Cは、基本的には第1実施例のクラッチと同様の構成を備えており、図8の上図に示すとおり、駆動回転軸DSに固着されたピン2を一方の部材とし、U字溝を形成したスリーブ3Cを他方の部材とする(図8の上図は、ハンドルHLが格納されていて、嵌め合いクラッチ1Cは接続された状態を示す)。そして、第4実施例では、ばねCSにより外方に付勢されるボール体BLを駆動回転軸DSに設けるとともに、ボール体BLが嵌まり込む凹部RSを、スリーブ3Cの軸方向に2個所設け、これらによってディテント機構を構成する。
【0042】
第4実施例においては、ハンドルHLによる駆動回転軸DSの手動回転は、第1実施例のものと同じく、ハンドルHLの回転軸を駆動回転軸DSと直線状にして行う。このときは、スリーブ3Cが図8の上図に示す位置にあり、図の左方の凹部RSにボール体BLが嵌まり込んで、嵌め合いクラッチ1Cは接続している。
回転エア工具ATにより駆動回転軸DSを回転するときは、手動でハンドルHLの位置を少し移動し、図8の下図に示すように、嵌め合いクラッチ1Cを分離すると同時にボール体BLを右方の凹部RSに嵌め込む。この凹部RSは、スリーブ3Cの内面の全周に亘って形成される溝であるため、図8の下図の状態では、駆動回転軸DSはスリーブ3C内で回転することができる。回転エア工具ATに接続するアタッチメント7Cは第1実施例のものと同様なものであるが、嵌め合いクラッチ1Cを予め分離しているので、スリーブ3Cに当接して押圧する必要はない。
【0043】
以上詳述したように、本発明は、トレーラの補助脚を昇降する駆動装置を回転エア工具でも回転駆動できるようにするため、手動用のハンドルと駆動回転軸との間に嵌め合いクラッチを介在させるとともに、駆動回転軸に接続可能な回転エア工具用アタッチメントを設け、嵌め合いクラッチを分離した後にこのアタッチメントを接続できるようにしたものである。上記の実施例では、主にコンテナシャシに本発明を適用した場合について述べているが、本発明が他のトレーラの補助脚の駆動装置に適用できるのはいうまでもない。また、嵌め合いクラッチとして、例えば、いわゆるシンクロメッシュ式の自動車用変速機で用いられているスプライン型の噛み合いクラッチを採用するなど、上記の実施例に対し種々の変形が可能であるのは明らかである。
【符号の説明】
【0044】
1、1A、1B、1C 嵌め合いクラッチ
2 ピン(嵌め合いクラッチの一方の部材)
3 スリーブ(嵌め合いクラッチの他方の部材)
4 ばね
5 外側スリーブ
7 アタッチメント(回転エア工具用)
LG 補助脚
DS 駆動回転軸
HL ハンドル
AT 回転エア工具
図1
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図3
図4
図5
図6
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図10