【文献】
マーケティングをモバイルが変える!,mobile media magazine,日本,株式会社シーメディア,2002年 5月 7日,第80巻,第40−43頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施の形態の商品販売支援システム10の構成を示す。商品販売支援システム10は、特典情報提供装置12と顧客端末14を備える。顧客端末14は、小売業者から商品を購入する最終消費者(以下、「顧客」と呼ぶ。)が使用する情報処理装置である。実施の形態では顧客端末14はスマートフォンとするが、携帯電話機(フィーチャーフォン)や、タブレット端末、PCであってもよい。特典情報提供装置12は、小売業者における顧客への商品販売を促進するためのO2Oサービスを提供する情報処理装置である。
【0014】
図1には不図示だが、小売業者およびメーカにも情報処理装置が設置されてよいことはもちろんである。
図1の特典情報提供装置12と顧客端末14、および
図1には不図示の各装置はLAN・WAN・インターネット等を含む有線および無線の通信網を介して接続される。
【0015】
図1の小売業者は、顧客による商品の購入(購買)実績を示す購入実績情報を特典情報提供装置12へ提供する。小売業者はポイントサービスを実施する。例えば、商品の販売価格と所定のポイント還元率に応じた額のポイントを顧客へ付与し、顧客は別の商品の購入において所定の変換率にてポイントを現金の代わりに使用できる。また小売業者は、所定のウェブサイトにおいて顧客端末14用のアプリケーション(典型的にはスマートフォン用アプリケーションであり、以下「小売アプリ」と呼ぶ。)を無償で提供する。顧客は、顧客端末14において小売アプリを起動することで、小売業者が提供する広告やクーポン等を確認し、取得できる。
【0016】
図1には、小売業者に自社の商品を提供するメーカ4社(A社、B社、C社、D社)を描いている。
図1の小売業者は、O2Oサービスへの協力、言い換えれば、顧客に対して特典を提供することを、メーカ4社へ要請する。以下の説明においては、メーカA社〜C社の3社がO2Oサービスに参加することとする。メーカA社〜C社の3社は、自社製品を購入した顧客に対して提供する特典を示す情報(以下、「特典情報」と呼ぶ。)を特典情報提供装置12へ提供する。その一方、メーカD社はO2Oサービスに不参加とし、特典情報を特典情報提供装置12へ提供しない。
【0017】
実施の形態では、メーカは小売業者のポイントサービスを活用し、自社商品を購入した顧客に対して、ポイント還元率の割増を特典として提供する。この場合に実際には、小売業者は、各メーカが特典として設定したポイント還元率の割増に対応する金額を各メーカへ請求し、各メーカはその金額を小売業者へ支払うことになる。
【0018】
特典情報提供装置12は、メーカA社〜C社のそれぞれが定めた特典情報(以下、「メーカ特典情報」と呼ぶ。)を顧客を単位に集約し、顧客毎にカスタマイズした特典情報(以下、「顧客特典情報」と呼ぶ。)を生成する。そして顧客特典情報を顧客端末14へ送信する。顧客は、顧客端末14において小売アプリを起動して、自身へ提供された顧客特典情報を確認し、小売業者の店舗へ来訪して商品を購入する。このように商品販売支援システム10は、小売業者における商品販売を促進するための情報処理を実行する。
【0019】
図2は、
図1の特典情報提供装置12の機能構成を示すブロック図である。特典情報提供装置12は、通信処理部20と、データ処理部22と、データ保持部24を備える。通信処理部20は、所定の通信プロトコルにしたがって特典情報提供装置12、小売り業者側装置、メーカ側装置等の外部装置とデータを送受する。通信処理部20は、データ処理部22から出力されたデータを通信網へ送出し、通信網から受信したデータをデータ処理部22へ渡す。データ処理部22は、顧客へ特典情報を提供するためのデータ処理を実行する。データ保持部24は、データ処理部22によるデータ処理のための各種データが格納される記憶領域である。
【0020】
本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0021】
例えば、データ処理部22の各機能ブロックに対応するプログラムモジュールが特典情報提供装置12のストレージに格納されてよい。そして特典情報提供装置12のCPUがそれらのプログラムモジュールをメインメモリへ読み出して実行することにより、データ処理部22の機能が実現されてよい。また、データ保持部24は、ストレージやメインメモリ等の記憶装置がデータを記憶することにより実現されてよい。
【0022】
データ保持部24は、顧客情報保持部30と、購入履歴保持部32と、特典情報保持部34を含む。顧客情報保持部30は、
図1の小売業者における顧客に関する情報(以下、「顧客情報」と呼ぶ。)を保持する。顧客情報は顧客ID・氏名・端末情報を含む。端末情報は、顧客特典情報を顧客端末14へ送信するための情報であり、例えば、顧客端末14のID(個体識別番号や、UDID、ネットワークアドレス等)であってもよい。典型的には顧客が小売業者のポイントサービスに会員登録した際に顧客情報が登録される。
【0023】
購入履歴保持部32は、小売業者から提供された顧客による商品の購入実績情報が逐次格納される記憶領域である。購入履歴保持部32は、顧客による商品の購入実績情報が蓄積された購入履歴情報を保持する。
図3は購入実績情報の構成を示す。購入実績情報は顧客IDと購入商品情報を含む。購入商品情報は、商品の種類や種別(例えば「冷蔵庫」「空気清浄機」等、)を示す商品カテゴリの識別情報と、商品を製造したメーカの識別情報を含む。なお、顧客による商品の購入実績情報は、小売業者による顧客に対する商品の販売実績情報とも言える。
【0024】
図2に戻り、特典情報保持部34は、小売業者が顧客へ提供する特典を定めた特典情報であり、具体的には、ポイントサービスにおける基本的なポイント還元率(以下の例では3%)を保持する。また特典情報保持部34は、複数のメーカのそれぞれが独自に定めたメーカ特典情報も保持する。一部既述したが、メーカ特典情報は、小売業者が顧客へ提供する特典に上乗せする特典であり、具体的には、小売業者が定めた基本的なポイント還元率に上乗せするポイント還元率を定めたものである。
【0025】
図4はメーカ特典情報の例を示す。メーカ特典情報では、顧客の過去の商品購入実績と、新たに自社の商品を購入した場合の特典内容とが対応づけて設定される。言い換えれば、メーカ特典情報は、特典の提供条件(過去の商品購入実績における商品カテゴリとメーカ、新たに購入する商品カテゴリ)と、特典の内容(ポイント還元率の増分)とを定めたものと言える。
【0026】
図4の(a)は、
図1のメーカA社が定めた特典情報を示している。同図では、過去にA社(自社)の空気清浄機を購入した顧客が、新たにA社(自社)の空気清浄機を購入した場合、ポイント還元率を+7%とすることを定めている。また、過去にB社またはC社(他社)の空気清浄機を購入した顧客が、新たにA社(自社)の空気清浄機を購入した場合、ポイント還元率を+10%とすることを定めている。
【0027】
図4の(b)は、
図1のメーカB社が定めた特典情報を示している。同図では、過去にB社(自社)の空気清浄機を購入した顧客が、新たにB社(自社)の空気清浄機を購入した場合、ポイント還元率を+5%とすることを定めている。また、過去にA社またはC社(他社)の空気清浄機を購入した顧客が、新たにB社(自社)の空気清浄機を購入した場合、ポイント還元率を+9%とすることを定めている。
【0028】
図4の(c)は、
図1のメーカC社が定めた特典情報を示している。同図では、過去にC社(自社)の空気清浄機を購入した顧客が、新たにC社(自社)の空気清浄機を購入した場合、ポイント還元率を+7%とすることを定めている。また、過去にA社(他社)の空気清浄機を購入した顧客が、新たにC社(自社)の空気清浄機を購入した場合、ポイント還元率を+12%とすることを定めている。また、過去にB社(他社)の空気清浄機を購入した顧客が、新たにC社(自社)の空気清浄機を購入した場合、ポイント還元率を+10%とすることを定めている。
【0029】
図2に戻り、データ処理部22は、購入実績取得部40と、特典情報取得部42と、特典情報集約部44と、特典情報提供部46を含む。購入実績取得部40は、小売業者に設置された情報処理装置(例えば販売管理装置)から、顧客による商品の購入実績情報を取得する。例えば、小売業者の販売管理装置は、定期的に(または商品販売のタイミングで)、購入実績情報を特典情報提供装置12へ送信してもよく、購入実績取得部40は、購入実績情報を受信して購入履歴保持部32へ格納してもよい。
【0030】
特典情報取得部42は、小売業者の協力要請に応じてO2Oサービスに参加するメーカ(メーカA社〜C社)のそれぞれが定めたメーカ特典情報を取得し、特典情報保持部34に格納する。例えば特典情報取得部42は、メーカA社〜C社のそれぞれに設置されたPCから、メーカ特典情報を記録した電子ファイルを取得し、その電子ファイルからメーカ特典情報を読出してもよい。また、メーカA社〜C社のそれぞれが定めたメーカ特典情報を記録した電子ファイルや紙等を確認した管理者が、その内容をキーボード等により特典情報提供装置12へ入力し、特典情報取得部42は、管理者による入力情報を取得してもよい。
【0031】
特典情報集約部44は、複数の顧客のそれぞれに対して実際に提供する顧客特典情報の生成部として機能する。特典情報集約部44は、購入履歴保持部32に格納された各顧客の購入履歴情報にしたがって、特典情報保持部34に格納された各メーカが定めたメーカ特典情報を集約することにより各顧客向けの顧客特典情報を生成する。
【0032】
特典情報提供部46は、顧客情報保持部30に格納された各顧客の端末情報にしたがって、特典情報集約部44により生成された各顧客向けの顧客特典情報を各顧客の顧客端末14へ送信する。例えば特典情報提供部46は、スマートフォンとしての顧客端末14へ特典情報が提供される旨をプッシュ通知してもよい。そして、各顧客の顧客端末14において小売アプリが起動された場合に、小売アプリからの特典情報提供要求を受け付けてもよい。そして、各顧客向けにカスタマイズされた顧客特典情報を各顧客の顧客端末14へ送信し、小売アプリを介して顧客特典情報を端末のディスプレイに表示させてもよい。
【0033】
図5は顧客特典情報の例を示す。
図5の(a)は、過去にA社の空気清浄機を購入した顧客に提供される顧客特典情報であり、その顧客が使用する顧客端末14に表示される顧客特典情報を示している。また
図5の(b)は、過去にB社の空気清浄機を購入した顧客に提供される顧客特典情報であり、その顧客が使用する顧客端末14に表示される顧客特典情報を示している。
【0034】
図5を参照しつつ、特典情報集約部44の処理を詳細に説明する。特典情報集約部44は、小売業者のある特定の顧客が過去購入した商品のメーカに応じて、仮にその特定顧客が商品を新たに購入するとした場合に、新たに購入する商品のメーカ毎に特定顧客へ提供される特典を判定する。具体的には、特定顧客が得られる特典の情報を各メーカが定めたメーカ特典情報から抽出する。そして、複数のメーカそれぞれの商品を新たに購入する場合の特典を示す情報を特定顧客向けの顧客特典情報として生成する。言い換えれば、特典情報集約部44は、複数のメーカが定めたメーカ特典情報のそれぞれから、特定顧客の過去の商品購入実績によって提供条件が満たされる特典を抽出し、抽出した特典を並べて顧客特典情報を生成する。
【0035】
例えば、
図5の(a)で示すように、過去にA社の空気清浄機を購入した顧客については、当該顧客が新たにA社の商品を購入する場合のポイント還元率を、A社が定めたメーカ特典情報(
図4の(a))にしたがって決定する。具体的には、小売業者が定めたポイント還元率3%+A社が定めた割増率7%(過去購入実績がA社)=10%と決定する。また当該顧客が新たにB社の商品を購入する場合のポイント還元率を、B社が定めたメーカ特典情報(
図4の(b))にしたがって決定する。具体的には、小売業者が定めたポイント還元率3%+B社が定めた割増率9%(過去購入実績がA社)=12%と決定する。
【0036】
また当該顧客が新たにC社の商品を購入する場合のポイント還元率を、C社が定めたメーカ特典情報(
図4の(c))にしたがって決定する。具体的には、小売業者が定めたポイント還元率3%+C社が定めた割増率12%(過去購入実績がA社)=15%と決定する。当該顧客が新たにD社の商品を購入する場合のポイント還元率は、D社のメーカ特典情報が未設定であるため、小売業者が定めたポイント還元率3%のままとする。
【0037】
また
図5の(b)で示すように、過去にB社の空気清浄機を購入した顧客については、当該顧客が新たにA社の商品を購入する場合のポイント還元率を、A社が定めたメーカ特典情報(
図4の(a))にしたがって決定する。具体的には、小売業者が定めたポイント還元率3%+A社が定めた割増率10%(過去購入実績がB社)=13%と決定する。また当該顧客が新たにB社の商品を購入する場合のポイント還元率を、B社が定めたメーカ特典情報(
図4の(b))にしたがって決定する。具体的には、小売業者が定めたポイント還元率3%+B社が定めた割増率5%(過去購入実績がB社)=8%と決定する。
【0038】
また当該顧客が新たにC社の商品を購入する場合のポイント還元率を、C社が定めたメーカ特典情報(
図4の(c))にしたがって決定する。具体的には、小売業者が定めたポイント還元率3%+C社が定めた割増率10%(過去購入実績がB社)=13%と決定する。当該顧客が新たにD社の商品を購入する場合のポイント還元率は、D社のメーカ特典情報が未設定であるため、小売業者が定めたポイント還元率3%のままとする。
【0039】
以上の構成による特典情報提供装置12の動作を以下説明する。
顧客情報保持部30には、予め顧客がポイントサービスへ会員登録した際に顧客情報が格納される。特典情報取得部42は、小売業者の協力要請に応えてO2Oサービスに参加するメーカが定めたメーカ特典情報を読み込み、特典情報保持部34に格納する。購入実績取得部40は、小売業者(現実の店舗でもよく、インターネット上の仮想店舗でもよい)から顧客が商品を購入した事実を示す購入実績情報を小売業者の装置から取得し、購入履歴保持部32に格納する。
【0040】
特典情報集約部44は、所定の特典情報提供タイミングに至ったこと、例えば予め定められた日時になったことを検出すると、複数メーカそれぞれのメーカ特典情報を小売業者の顧客による購入履歴にもとづいて集約した顧客特典情報を各顧客向けに生成する。特典情報提供部46は、各顧客向けに生成された顧客特典情報を、顧客情報保持部30に格納された各顧客の端末情報にしたがって各顧客の顧客端末14へ配信する。顧客端末14は、特典情報提供装置12から受信した顧客特典情報を所定のディスプレイに表示させる。
【0041】
顧客が特典を享受する方法は種々考えられるがここでは一例を示す。例えば、小売アプリは顧客特典情報の表示画面にどのメーカの商品を購入するかを選択するためのアイコンを設置してもよい。そして顧客がいずれかのアイコンを選択した場合に、選択対象(アイコンが対応する)メーカの商品を購入する旨の情報を小売業者の所定の装置へ送信してもよい。小売業者の装置は、顧客へ提供すべき特典(ポイント還元率)を顧客IDと対応づけて記憶してもよい。そして顧客が実際に店舗にて商品を購入する際に(例えば氏名やポイントカードの提示により)顧客IDを識別し、顧客特典情報で提示したポイント還元率を適用してもよい。
【0042】
実施の形態の特典情報提供装置12によると、小売業者が展開するO2Oサービスの中で、顧客の過去の商品購入実績に応じて、小売業者が提供する特典に複数のメーカが提供する特典を上乗せした特典情報を顧客へ提供できる。また、その際に、複数のメーカが提供する特典内容をばらばらに示すのではなく、顧客の過去の商品購入実績に応じて特典内容を組み合わせ、顧客にとって把握しやすい態様で特典内容を提示できる。
【0043】
小売業者にとっては、自身の負担で特典を提供するだけでなく、メーカの協力によって一層大きな特典を顧客へ提供できるため、商品販売を効率的に促進できる。またメーカにとっても、メーカ特典情報を設定することで、他社商品から自社商品への買い換え(乗り換え)を顧客に促しやすくなる。また、小売業者が顧客へ提供する特典プログラム(ポイントサービス等)を活用して特典を顧客へ提供できることで、メーカにとって自社商品の販売を効率的に促進できる。なおメーカ単独で顧客へ特典を提供してもよいことはもちろんである。
【0044】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0045】
第1の変形例を説明する。
上記実施の形態ではO2Oサービスを提供する商品販売支援システム10を説明した。変形例として、特典情報提供装置12はCLOサービスに適用することもできる。CLOサービスは、典型的には、クレジットカード会社が有する大きな会員組織に対して情報を配信することで、クレジットカードの利用者全体を情報配信先とし、小売業者の集客力を向上させる手法である。特に、会員組織が未整備(例えばポイントサービスが未整備)、また、会員組織が小さい(例えばポイントカードの会員数が少ない)小売業者にとって集客力を向上させるために有効である。
【0046】
図6は、変形例の商品販売支援システム50の構成を示す。小売業者の協力要請に応じてCLOサービスに参加するメーカは、他社商品を過去購入したクレジットカードの利用者が新たに自社商品を購入した場合にその利用者へ提供する特典を示すメーカ特典情報を特典情報提供装置12へ提供する。
【0047】
商品販売支援システム50の特典情報提供装置12は、実施の形態の構成に加えて、カード利用履歴保持部(購入履歴保持部32に対応)とカード情報取得部(購入実績取得部40に対応)をさらに備える。カード情報取得部は、カード会社の情報処理装置から会員情報およびカード利用履歴を取得する。そして会員情報(例えばカードID、利用者氏名、端末情報等)を顧客情報保持部30へ格納し、カード利用履歴(例えばカードIDおよび
図3の購入商品情報)をカード利用履歴保持部へ格納する。カード会社が提供するカード利用履歴に購入商品情報が含まれない場合、カード情報取得部は、カードIDをキーとして、小売業者から取得した購入実績情報にカードIDとともに記録された購入商品情報を抽出し、カード利用履歴に購入商品情報を記録してもよい。
【0048】
特典情報集約部44は、カード利用履歴保持部に格納されたあるクレジットカード利用者(以下、「特定利用者」と呼ぶ。)の商品購入実績にもとづいて、複数のメーカのそれぞれが定めたメーカ特典情報を集約した特定利用者向けの顧客特典情報を生成する。特典情報集約部44による顧客特典情報生成処理は実施の形態の処理と同じである。顧客特典情報は、CLOサービスに参加している小売業者の現実もしくは仮想の店舗で、各メーカの商品を購入した場合の特典(例えばポイント還元率)を示すものとなる。実施の形態と同様に、カード会社または小売業者が提供する基本的な特典に、メーカが提供する特典を上乗せしてもよいことはもちろんである。
【0049】
特典情報提供部46は、顧客情報保持部30に格納された特定利用者の端末情報にしたがって、特典情報集約部44により生成された特定利用者向けの顧客特典情報を特定利用者の顧客端末14へ送信する。クレジットカード会社は、カード利用者へ顧客端末14用のアプリケーションを無償で提供する。顧客は、顧客端末14においてアプリケーションを起動させて、顧客特典情報を確認する。
【0050】
実施の形態の小売アプリと同様にこのアプリケーションも、顧客特典情報の表示画面にどのメーカの商品を購入するかを選択するためのアイコンを設置してもよい。そして顧客がいずれかのアイコンを選択した場合に、選択対象(アイコンが対応する)メーカの商品を購入する旨の情報をカード会社の所定の装置へ送信してもよい。カード会社の装置は、顧客へ提供すべき特典(ポイント還元率)をカードIDと対応づけて記憶してもよい。そして顧客が実際に店舗にて商品を購入する際にクレジットカード決済を選択すると、カード会社の決済装置は、顧客のカードIDを識別し、その顧客に対して顧客特典情報で提示したポイント還元率を適用してもよい。顧客がクレジットカード決済を選択しなければ、その顧客に対して顧客特典情報で提示したポイント還元率は適用されない。
【0051】
第1の変形例においても実施の形態のO2Oサービスと同様の効果を奏する。例えば、カード会社と小売業者が展開するCLOサービスの中で、顧客の過去の商品購入実績に応じて、カード会社または小売業者が提供する特典に複数のメーカが提供する特典を上乗せした特典情報を顧客へ提供できる。また、その際に、複数のメーカが提供する特典内容をばらばらに示すのではなく、顧客の過去の商品購入実績に応じて特典内容を組み合わせ、顧客にとって把握しやすい態様で特典内容を提示できる。
【0052】
また、大きな会員組織を有さない小売業者であっても、クレジットカード会社の大きな会員組織に対して情報を配信でき、商品の販売促進を効率的に図ることができる。また、クレジットカード会社にとってもクレジットカード利用者によるクレジットカードの利用頻度を向上させやすくなる。
【0053】
第2の変形例を説明する。
実施の形態および第1の変形例の購入商品情報は、小売業者またはカード会社において顧客による商品の購入実績情報(顧客に対する商品の販売実績情報)として記録される他の情報を含んでもよい。例えば、商品名・購入日時(販売日時)・購入価格(販売価格)等を含んでもよい。また、メーカ特典情報が定める特典提供条件は、商品カテゴリとともに、または商品カテゴリに代えて、これら他の情報の値を条件とするものであってよい。
【0054】
また、メーカ特典情報が定める過去の商品購入実績の条件と、新たに購入する商品の条件とは異なるものであってよい。例えば、異なる商品カテゴリが指定されてもよい。異なる商品カテゴリとして、一方の購入がなされると他方の購入がなされる可能性が高いと想定されるものが指定されてもよい。また、引っ越しや子供の誕生等、同一のイベントに伴って購入がなされやすいと想定される異なる商品カテゴリが指定されてもよい。
【0055】
第3の変形例を説明する。実施の形態において顧客へ提供する特典はポイントサービス上の特典(ポイント還元率の上乗せ)とした。変形例として、割引(値下げ)や、プレゼント、各種クーポン等、他の形態の特典であってもよいことはもちろんである。
【0056】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。