(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797237
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】押出成形機の端面板及び押出成形機
(51)【国際特許分類】
B30B 9/28 20060101AFI20151001BHJP
B09B 3/00 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
B30B9/28 ZZAB
B30B9/28 K
B09B3/00 301Q
B09B3/00 301U
B09B3/00 301Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-156183(P2013-156183)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2015-24432(P2015-24432A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2013年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】591119624
【氏名又は名称】株式会社御池鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 由和
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀匡
【審査官】
石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−005649(JP,A)
【文献】
特開昭61−229499(JP,A)
【文献】
特開2008−173605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/00− 9/32
B30B 11/00−11/34
B09B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生材料を用いて固形物を製造する押出成形機に用いられ、上記再生材料を圧縮する圧縮手段が収容された圧縮室に、上記圧縮手段に近接して設置される端面板であって、
上記圧縮手段に対向する面に形成された凹部を有し、この凹部の底面に形成されて上記圧縮手段で圧縮された材料が導かれて成形を行う成形ノズルを収容するノズル孔と、このノズル孔の上記凹部の底面側に形成された開口に形成された段部とを有して単一の材料で形成された端面板本体と、
上記端面板本体のノズル孔に装着されて上記端面板本体の段部に嵌合されるフランジを有する成形ノズルと、
上記端面板本体の凹部に嵌合されると共に上記圧縮手段と上記成形ノズルの間に配置され、上記成形ノズルに材料を導く材料供給孔を有し、上記成形ノズルのフランジを上記端面板本体の段部との間で挟持し、かつ、上記端面板本体よりも高い硬度を有し、上記圧縮室を内部に形成するケーシングに上記端面板本体を固定するボルトとは異なるボルトによって上記端面板本体に直接固定される耐摩耗板と
を備えることを特徴とする押出成形機の端面板。
【請求項2】
請求項1に記載の押出成形機の端面板において、
上記耐摩耗板の材料供給孔は、上記圧縮手段に臨む側の開口の縁部に面取りが形成されている一方、上記成形ノズルは、上記耐摩耗板の材料供給孔に連なる開口の縁部に面取りが形成されていないことを特徴とする押出成形機の端面板。
【請求項3】
請求項1に記載の押出成形機の端面板において、
上記耐摩耗板は、ロックウェル硬さが50以上の鋼で形成されていることを特徴とする押出成形機の端面板。
【請求項4】
請求項1に記載の押出成形機の端面板において、
上記耐摩耗板は、上記圧縮手段としてのスクリュー羽根の先端部に近接して配置されていることを特徴とする押出成形機の端面板。
【請求項5】
請求項1に記載の押出成形機の端面板において、
上記端面板本体は、厚み方向において単一の位置に配置されたヒータを備えることを特徴とする押出成形機の端面板。
【請求項6】
請求項1に記載の押出成形機の端面板において、
上記材料は、プラスチック片と、紙片又は木質片とを含む廃棄物であることを特徴とする押出成形機の端面板。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の端面板を用いた押出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば廃プラスチック、古紙及び木屑等を押し出し成型して燃料等の固形物を作製する押出成形機に用いられる端面板と、これを用いた押出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃プラスチック、古紙及び木屑等を材料に用いて固形燃料を作製する押出成形機として、材料の投入口に連なる混合室と、この混合室に連なる圧縮室と、上記混合室と圧縮室に延在して互いに平行に配列された2つのスクリュー羽根と、このスクリュー羽根の先端に対向する圧縮室の壁面を形成し、圧縮された材料を成形して排出する成形ノズルが設けられた端面板とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、上記従来の押出成形機の端面板の正面図であり、
図8は上記端面板の断面図である。この押出成形機の端面板108は、耐摩耗鋼で形成された端面板本体109と、端面板本体109に形成された複数のノズル孔109bと、ノズル孔109bに取り付けられた成形ノズル112と、端面板本体109に内蔵されて材料を加熱するヒータ114と、成形される材料の温度を測定する温度センサ116と、ヒータ114の電力配線115及び温度センサ116の信号線が収容された端子ケース113と、端子ケース113に取り付けられて温度センサ116の信号線に接続されたセンサ端子117と、端子ケース113の上端面に取り付けられて端面盤108を吊り下げるためのアイボルト118を備える。
【0004】
上記端面板本体109の表面に形成されるノズル孔109bの開口には、段部109cが形成されている。この段部109cに、成形ノズル112の端部に設けられたフランジ112aを係止させて、ノズル孔109bに成形ノズル112を取り付けている。成形ノズル112の材料を導く内壁112bは、
図8の断面図に示すように、フランジ112a側の開口部分112cが、圧縮された材料を少ない抵抗で導入するために、軸方向断面において円弧状の面取りが行われている。なお、
図8では、分かりやすさのため、成形ノズル112を装着したノズル孔109bと、成形ノズル112を装着していないノズル孔109bとを示している。端面板本体109のノズル孔109bに取り付けられた成形ノズル112は、先端部分が、端面板本体109の外側面に設けられたカバー119の外に突出している。
【0005】
上記押出成形機が作動すると、スクリュー羽根で材料が混合及び圧縮され、端面板108が臨む圧縮室の材料が高圧となり、これにより材料が端面板108の成形ノズル112を押し出されて成形される。端面板本体109は、特にノズル孔109bの周辺部分が、材料の流動速度が他の部分よりも大きいので摩耗が進行しやすい。そこで、上記端面板108は、端面板本体109の一方の面が摩耗すると、端面板本体109の取付面を反転させて、端面板本体109の他方の面を圧縮室に向けて使用するように形成されている。すなわち、端面板本体109は、一方と他方の両面を使用できるように、ノズル孔109bの開口の一方と他方の両方の表面に、成形ノズル112のフランジ112aが係止する段部109cを形成している。また、端面板本体109の厚みを、一方と他方の両面が摩耗したときに強度を確保できる厚みに形成すると共に、比較的厚い上記端面板本体109の一方と他方の両面で材料を加熱できるように、ヒータ114を端面板本体109の一方と他方の両面側に内蔵している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−241074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の押出成形機は、端面板108の端面板本体109が、厚みが大きいので材料費が高く、ノズル孔109bの段部109cを表裏両面に設けるので加工費が高く、ヒータ114を表裏両面に内蔵するので部品コストが高いという問題がある。また、上記成形ノズル112は、内壁112bの開口部分112cに面取りが行われるので加工費が高いうえに、摩耗しやすいので交換頻度が高く、押出成形機の維持費用を高くする要因となっている。
【0008】
そこで、本発明の課題は、比較的低廉に製造できる押出成形機の端面板を提供することにある。また、ランニングコストを削減できる押出成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の押出成形機の端面板は、再生材料を用いて固形物を製造する押出成形機に用いられ、上記再生材料を圧縮する圧縮手段が収容された圧縮室に、上記圧縮手段に近接して設置される端面板であって、
上記圧縮手段に対向する面に形成された凹部を有し、上記圧縮手段で圧縮された材料の成形を行う成形ノズルを収容するノズル孔を有する端面板本体と、
上記端面板本体のノズル孔に装着された成形ノズルと、
上記端面板本体の凹部に嵌合されると共に上記圧縮手段と上記成形ノズルの間に配置され、上記成形ノズルに材料を導く材料供給孔を有し、かつ、上記端面板本体よりも高い硬度を有する耐摩耗板と
を備えることを特徴としている。
【0010】
上記実施形態によれば、押出成形機の端面板は、再生材料を用いて固形物を製造する押出成形機に用いられるものであり、上記再生材料を圧縮する圧縮手段が収容された圧縮室に、上記圧縮手段に近接して設置される。ここで、再生材料とは、例えば廃棄物を再生処理してなる材料であり、廃プラスチックを破砕及び洗浄してなるプラスチック片や、古紙を破砕してなる古紙破砕片や、間伐材や端材を破砕してなる木屑等が該当する。また、上記圧縮手段としては、例えば、材料を圧縮するスクリュー羽根やピストン等が該当する。上記端面板本体は、上記圧縮手段に対向する面に形成された凹部を有し、上記圧縮手段で圧縮された材料の成形を行う成形ノズルを収容するノズル孔を有する。この端面板本体のノズル孔に成形ノズルが装着され、上記端面板本体の凹部に耐摩耗板が嵌合される。この耐摩耗板は、上記圧縮手段と上記成形ノズルの間に配置され、上記成形ノズルに材料を導く材料供給孔を有し、かつ、上記端面板本体よりも高い硬度を有する。したがって、上記圧縮手段と上記成形ノズルの間に配置されているので、従来のような成形ノズルの摩耗を防止できるから、成形ノズルの交換頻度を低減させて押出成形機の維持費用を削減できる。また、上記耐摩耗板は、材料供給孔を通して成形ノズルに材料を供給するので、成形ノズルは、従来のように圧縮室から材料を導くための面取りを開口に形成する必要が無いから加工費を削減でき、したがって、端面板の製造コストを削減できる。また、上記耐摩耗板は、上記端面板本体よりも高い硬度を有するので摩耗し難いから、交換頻度が低く、押出成形機の維持費用を削減できる。また、摩耗が生じても、耐摩耗板を交換すればよいので、端面板本体を交換する必要が無いから、押出成形機の維持費用を効果的に削減できる。
【0011】
一実施形態の押出成形機の端面板は、上記耐摩耗板の材料供給孔は、上記圧縮手段に臨む側の開口の縁部に面取りが形成されている一方、上記成形ノズルは、上記耐摩耗板の材料供給孔に連なる開口の縁部に面取りが形成されていない。
【0012】
上記実施形態によれば、従来の端面板本体よりも耐久性の高い耐摩耗板には、材料供給孔の開口の縁部に面取りを形成する一方、成形ノズルの上記材料供給孔に連なる開口の縁部には面取りを形成しないので、面取りを行う部材の交換頻度が低減するから、押出成形機の維持費用を効果的に削減できる。
【0013】
一実施形態の押出成形機の端面板は、上記耐摩耗板は、ロックウェル硬さが50以上の鋼で形成されている。
【0014】
上記実施形態によれば、耐久性の高い耐摩耗板を用いることにより、耐摩耗板の交換頻度が低減するので、押出成形機の維持費用を効果的に削減できる。
【0015】
一実施形態の押出成形機の端面板は、上記耐摩耗板は、上記圧縮手段としてのスクリュー羽根の先端部に近接して配置されている。
【0016】
上記実施形態によれば、耐摩耗板は、圧縮手段としてのスクリュー羽根で圧縮された高圧の材料が接触する場合においても、摩耗の進行が効果的に抑制される。
【0017】
一実施形態の押出成形機の端面板は、上記端面板本体は、厚み方向において単一の位置に配置されたヒータを備える。
【0018】
上記実施形態によれば、端面板本体に配置されたヒータにより、成形ノズルを通る材料が加熱され、良好な形状の固形物が得られる。ここで、高圧の材料は耐摩耗板に接して流動するので、端面板本体には摩耗が生じ難い。したがって、端面板本体は、一方と他方の両面を摩耗可能に形成された従来の端面板本体よりも薄く形成できる。その結果、材料を加熱するヒータは、従来のように一方と他方の両面側に内蔵する必要が無いから、厚み方向に単一の位置に配置することができる。これにより、ヒータの数を従来よりも削減できるので、押出成形機の製造コストを従来よりも削減できる。
【0019】
一実施形態の押出成形機の端面板は、上記材料は、プラスチック片と、紙片又は木質片とを含む廃棄物である。
【0020】
上記実施形態によれば、プラスチック片と、紙片又は木質片とを含む廃棄物を材料として固形物を作製する押出装置の端面板を、比較的低廉に製造できる。
【0021】
本発明の押出成形機は、上記端面板を用いた押出成形機である。
【0022】
上記構成によれば、上記実施形態の端面板を用いることにより、ランニングコストを削減できる押出成形機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態の押出成形機の主要部を示す縦断面図である。
【
図2】実施形態の押出成形機の端面板を示す正面図である。
【
図3】実施形態の押出成形機の端面板を示す断面図である。
【
図4】実施形態の押出成形機の端面板に取り付けられる耐摩耗板を示す正面図である。
【
図5】実施形態の押出成形機の端面板に取り付けられる耐摩耗板を示す断面図である。
【
図6】実施形態の押出成形機の端面板に取り付けられる成形ノズルを示す斜視図である。
【
図7】従来の押出成形機の端面板を示す正面図である。
【
図8】従来の押出成形機の端面板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態の押出成形機の主要部を示す縦断面図である。この押出成形機1は、再生材料としての廃プラスチック、古紙の破砕片及び木質廃材の破砕片を混合及び圧縮し、棒状に成形して、固形物としての固形燃料を製造するものである。
【0026】
この押出成形機1は、材料を投入する投入口2aが上端に形成されたケーシング2内に、上記投入口2aの下方に連なって形成された混合室3と、この混合室3の一方の側に連なって形成された圧縮室4を有する。上記混合室3及び圧縮室4内には、再生材料を混合及び圧縮する圧縮手段としてのスクリュー羽根5が配置されている。スクリュー羽根5は、水平面内に互いに平行に2本配列されており、各スクリュー羽根5は、軸部5aと羽根部5bを有する。軸部5aは、混合室3の他方の側の端部が駆動軸6に連結されており、この駆動軸6に、図示しないモータから回転力が入力される。羽根部5bは螺旋羽根で形成され、羽根の軸方向における間隔が、軸部5bの他端側よりも一端側の方が狭くなるように形成されている。羽根部5bの羽根の軸方向における間隔は、徐々に狭く形成してもよく、あるいは、段階的に狭く形成してもよい。羽根部5bの羽根の軸方向における間隔を、他端側よりも一端側を狭く形成することにより、スクリュー羽根5で再生材料を他端側から一端側に送るにつれて、再生材料に作用する圧縮力が高まるようにしている。なお、再生材料に作用する圧縮力を、他端側から一端側に送るに伴って高くするために、圧縮室4の一端側の断面積を、他端側の断面積よりも小さく形成してもよい。
【0027】
上記ケーシング2の端面には、上記圧縮室4の壁面を形成する端面板8が固定されている。
図2は端面板8を示す正面図であり、
図3は端面板8を示す断面図である。
図2は、圧縮室4を臨む側の面を示している。
【0028】
本実施形態の端面板8は、鋼板で形成され、圧縮室4を臨む側である一方の面に形成された矩形の凹部9aを有する端面板本体9と、この端面板本体9の凹部9aに嵌合されて耐摩耗鋼で形成された矩形の板状の耐摩耗板10と、端面板本体9に取り付けられた複数の成形ノズル12,12,・・・と、端面板本体9の上端面に設けられた端子ケース13で大略形成されている。
【0029】
図4は耐摩耗板10を示す正面図であり、
図5は耐摩耗板10を示す断面図である。耐摩耗板10は、端面板本体9よりも高い硬度を有し、ロックウェル硬さが50以上の耐摩耗鋼で形成されている。このような耐摩耗鋼として、例えばスウェーデンスティール株式会社製のハルドックス500を用いることができる。耐摩耗板10には、スクリュー羽根5の羽根部5bの先端が近接して通過する8の字状の領域に、複数の材料供給孔10c,10c,・・・が形成されている。材料供給孔10cの圧縮室4を臨む側の開口には、加圧された材料を導入するために、円錐台形状の面取り部10dが設けられている。耐摩耗板10の四隅の角部には、正面視において直線状の面取り部10aが設けられている。耐摩耗板10の四隅と各辺の中央には、端面板本体9に固定するための複数のボルト穴10b,10b,・・・が設けられている。
【0030】
端面板本体9の凹部9aは、正面視において略矩形状に形成され、略矩形の隅部に、平面視において弧状の面取りが形成されている。端面板本体9の凹部9aの底面には、上記耐摩耗板10の複数の材料供給孔10c,10c,・・・と同じ位置に形成された複数のノズル孔9cが形成されている。このノズル孔9cの凹部9aの底面側の開口には、段部9dが形成されている。この段部9dに、成形ノズル12の端部に設けられたフランジ12aを係止させて、ノズル孔9cに成形ノズル12を取り付けている。なお、
図3では、分かりやすさのため、成形ノズル12を装着したノズル孔9cと、成形ノズル12を装着していないノズル孔9cとを示している。
【0031】
図6は、成形ノズル12を示す斜視図である。成形ノズル12は、端面板本体9の凹部9aのノズル孔9cに挿通されており、一端に形成された径方向に延びるフランジ12aを、端面板本体9のノズル孔9cの段部9dに嵌合している。成形ノズル12の内壁12bは円筒形状に形成されており、材料供給孔10cと連通する一端の開口は、軸方向断面において、直角に形成されている。成形ノズル12は、ノズル孔9cを挿通されて端面板本体9の他方の面から突出し、この端面板本体9の他方の面に設けられたカバー19のノズル孔19aに挿通されて、先端部がカバー19から突出している。
【0032】
端面板本体9には、耐摩耗板10の材料供給孔10c及び成形ノズル12内を通る材料を加熱するための複数のヒータ14が内蔵されている。このヒータ14は、抵抗加熱式のヒータである。このヒータ54は、幅方向に6列配置されている。各列のヒータ54は、端面板8の厚み方向において、耐摩耗板10及び端面板本体9を合わせた厚みの略中央の位置に、単一列が配置されている。
【0033】
端面板本体9には、複数のうちの1つのノズル孔9cに、温度センサ16が内蔵されている。この温度センサ16によって、ノズル孔9cに嵌合された成形ノズル12を通る材料の温度を検出し、検出温度に基づいて、スクリュー羽根5の回転数制御を行う。
【0034】
端面板本体9の上端に取り付けられた端子ケース13は、上記6本のヒータ14に接続された電力配線15を収容しており、この電力配線15に連なるコネクタが他方の面に設けられている。また、端子ケース13は、上記温度センサ16に接続された信号配線を収容しており、この信号配線に連なるコネクタ17が上端に設けられている。上記端子ケース13は、図示しないボルトで端面板本体9の上端に連結されており、端子ケース13の上端面に固定されたアイボルト18によって、端面板8を吊り下げ可能になっている。
【0035】
端面板本体9の周縁部には、複数のボルト穴9b,9b,・・・が設けられており、このボルト穴9b,9b,・・・に挿通されたボルトにより、端面板本体9がケーシング2の端面のフランジ2aに固定される。
【0036】
上記構成の押出成形機1は、次のように動作する。まず、ヒータ14に電力を供給し、端面板8を加熱する。続いて、モータを起動し、2つの駆動軸6を互いに反対向きに回転駆動する。これにより、2つのスクリュー羽根5,5を、平面視において羽根部5bが互いに対向する側に向かうと共に、軸方向視において互いの軸部5aの間の部分を羽根部5bが上から下に向かうように回転駆動する。
【0037】
続いて、ケーシング2の投入口2aから、再生材料としての廃プラスチック、古紙及び木質廃材の破砕片の投入を開始する。投入する再生材料は、その構成物の割合が、プラスチック等の溶融物が40wt%以上60wt%以下の間であり、かつ、紙や木屑等の非溶融物が30wt%以上40wt%以下であるのが好ましい。また、木質廃材のほか、間伐材や剪定材や端材等の木質材を破砕した木質片を用いてもよい。また、再生材料として、紙片や木質片のほか、汚泥の乾燥物を用いてもよい。また、固形燃料の材料として、再生材料に石炭を混合してもよい。
【0038】
ケーシング2内に投入された材料は、混合室3内で、回転するスクリュー羽根5,5に挟み込まれて混合されつつ、圧縮室4に送られる。圧縮室4では、スクリュー羽根5,5の羽根部5bの間隔が狭くなることに応じて材料の圧力が高まり、圧縮熱が生成されると共に、材料の混合に伴う摩擦熱が生成され、材料の温度が上昇する。これにより、プラスチック等の溶融物が溶融する。こうして温度と圧力が上昇した材料は、端面板8に達すると、スクリュー羽根5,5の先端の近傍に位置する耐摩耗板10の材料供給孔10cに導かれ、圧縮室4から排出される。耐摩耗板10の材料供給孔10cに導かれた材料は、成形ノズル12に流入し、ヒータ14で更に加熱される。ヒータ14は、材料が100℃以上180℃以下の範囲の温度となるように加熱を行うのが好ましい。材料を100℃以上にすることにより、溶融物を十分に溶解することができる一方、材料を180℃以下にすることにより、塩素系ガスの発生を防止することができる。材料は、成形ノズル12を通る過程で成形され、円形断面の棒状となって、他端の開口から排出される。成形ノズル12から排出された棒状の材料は、図示しない切断機によって所定長さに切断され、下方に配置されたバケット内に落下して回収される。バケット内に回収された所定長の円形断面の棒状体は、温度が降下するに伴って溶融物が固化して、固形燃料となる。
【0039】
本実施形態の押出成形機1の端面板8は、高温高圧の再生材料が接触する耐摩耗板10を、端面板本体9よりも硬度の高い耐摩耗鋼で形成しているので、摩耗量が比較的少ない。したがって、耐摩耗板10の交換頻度を比較的低くできるので、押出成形機1の維持費用を削減できる。また、本実施形態の端面板8の端面板本体9は、従来の端面板本体109のような摩耗が生じないので、交換頻度を従来よりも大幅に低減でき、押出成形機1の維持費用を削減できる。
【0040】
また、本実施形態の端面板8の端面板本体9は、従来の端面板本体109のように一方及び他方の両面を使用する必要が無いので、成形ノズル12のフランジ12aが係合する段部9dは、一方の面のみに形成すればよい。したがって、端面板本体9の加工コストを削減できる。さらに、上記端面板本体9は、従来の端面板本体109のように一方及び他方の両面を使用する必要が無く、摩擦が殆ど生じないので、両面の摩擦に応じて強度を確保していた従来の端面板本体109よりも、厚みを効果的に縮小できる。したがって、端面板本体9の材料コストを削減できる。さらに、上記端面板本体9は、従来の端面板本体109のように一方及び他方の両面を使用する必要が無いので、ヒータ14は、端面板本体109の厚み方向に単一列を内蔵すればよい。したがって、端面板本体109の厚み方向に2列のヒータ114を配列した従来の端面板108よりも、ヒータ14に関する部品コストを効果的に削減できる。
【0041】
また、本実施形態の端面板8の成形ノズル12は、フランジ12aが設けられた一端が、端面板本体9の凹部9aと耐摩耗板10との間に挟持され、スクリュー羽根5の先端に対して耐摩耗板10で隔てられている。したがって、この成形ノズル12は、スクリュー羽根の先端の近傍に配置されて高温高圧の材料が導かれた従来の成形ノズル112と比較して、摩耗が効果的に防止される。その結果、成形ノズル12の交換頻度が効果的に低減するので、押出成形機1の維持費用を削減できる。また、上記成形ノズル12は、材料が耐摩耗板10の材料供給孔10cを通して供給されるので、従来のように面取りを行った開口部分112cが不要である。したがって、成形ノズル12の加工費を削減できるので、押出成形機1の製造コストを削減できる。
【0042】
また、耐摩耗板10の摩耗が進行した場合、摩耗部分に肉盛りを行って補修し、耐摩耗板10の寿命を延ばすことができる。この場合、耐摩耗板10は従来の端面板本体よりも寸法が小さくて厚みが薄いので、取り扱いが容易であり、補修を容易に行うことができる。
【0043】
上記実施形態の押出成形機1は、再生材料を用いて固形物としての固形燃料を製造したが、固形燃料以外に、肥料、梱包用クッション、樹脂再生材料等の固形物を製造する押出成形機にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 押出成形機
2 ケーシング
3 混合室
4 圧縮室
5 スクリュー羽根
6 駆動軸
8 端面板
9 端面板本体
9a 端面板本体の凹部
9c 端面板本体のノズル孔
10 耐摩耗板
10c 耐摩耗板の材料供給孔
10d 耐摩耗板の面取り部
12 成形ノズル
12a 成形ノズルのフランジ