【0012】
本実施形態に係る街路灯は、光源として複数のLED光源を取付けた光源ユニットと、光源ユニットの周囲を取り囲み光源ユニットからの照射光を開口部を通して道路面に向けて反射させる反射面を有する略箱形状の反射ユニットを備えている。
そして、複数の光源は、後向き光源と前向き光源との組み合わせからなり、
後向き光源の光軸は、反射ユニットの後部に取付けられた後部反射面を照射し前方へ反射するようになっている。
さらに、後向き光源の照射光量は前向き光源の照射光量よりも大きくするようにしている。
LED光源は、通常前方にのみに光を放出するように作られており、指向性のある光素子である。本発明の街路灯では、後述するようにLED光源の指向性、配光特性を考慮しながら、光源と反射ユニットの反射面とを適切に組み合わせ配置することにより、LED光源からの放射光のうち本来なら漏れ光として照明必要領域外へ向かう光を、反射板を使って照明必要領域へ効率的に反射させ照明する。従ってLED光源からの直接光と反射ユニットで反射させた反射光との合成光を用いて照明を行うので、街路灯のように比較的広い領域を照明する場合でも、道路面の照明必要領域内の照度を上げて照明効果を向上させることができる。
また、本発明の街路灯においては、複数のLED光源を前向き光源と後向き光源に分け、これを組み合わせる。前向き光源と後向き光源は、光源のLEDの光軸を照射領域の道路進行方向に直交する面上に投影したときに、その光軸の向きが、前者は下向きで鉛直よりも道路幅方向遠方側を向いており、後者は下向きで鉛直よりも道路幅方向手前側(支柱側)を向いている。鉛直下向きを0°とし道路幅方向遠方側を+、手前側を−として表せば、光軸を前者が+5〜+60°、後者が−5°〜−45°の範囲に向けるのが好ましい。
本発明においては、LED光源の向きが異なることが重要である。参考として
図16に、後述の実施例と同じLED素子を道路進行方向(紙面垂直方向)に沿って3個直線状に同じ向きで配置し、略箱型形状の反射ユニットを備えた街路灯(
図16(a))について、街路灯の直下から道路幅方向に沿って測定した道路面路面の照度プロフィール(
図16(b)の図中の参考例で示す曲線)を示した。街路灯の設置高さ4.2mで、反射面の形状も後述の実施例とは多少相違するが、照度分布の傾向を考える上では十分参考になる。すなわち、LED光源の向きが3個とも同じ参考例の街路灯では、反射ユニットにより反射光を集光して照明するので、照明領域の平均照度アップは可能となるが、後述の実施例のような比較的均一で良好な照度分布は得られないのである。
一方、本発明では、前向き光源と後向き光源とに分けたことにより、それぞれの光源がそれぞれ別の領域を優先的に照明することが可能となり、1つの街路灯全体として適切な配光制御が可能となるので、照明の効率を高め、照度の高い領域を広げることができ、優れた照度分布の照明が可能となる。
そして後向き光源の光軸が、反射ユニットの後部に取付けられた後部反射面を照射し前方へ反射するようになっているので、光源からの距離が遠く照度が低くなりがちな道路幅方向の遠方側領域に向けて、特に光度の強いLED光源の光軸に近い範囲の光を優先的に反射させて照明することができ、道路幅方向遠方領域での照度を効率的に高めることが可能となる。
また前向き光源は、LED光軸を道路幅方向の中央部付近かそのやや手前付近に向けて設置するのが好適である。このとき前向き光源からの上方光束は、反射ユニットの前部に配置された前部反射板によって後方へ反射され、道路幅方向の中央付近から支柱付近までの領域を主に照明する。
さらに本発明の街路灯においては、後向き光源の照射光量は前向き光源の照射光量よりも大きくするようにしている。後述するように、前向き光源と後向き光源の最も光度が強い方向の光、すなわち光軸方向の光は、道路幅方向で見た場合、前向き光源が中央領域(光源からの直射光による照明)、後向き光源が遠方領域(後部反射面からの反射光による照明)をそれぞれ照明領域としている。したがって、光源からの距離が遠く暗くなりがちな遠方領域を中心に照明する後向き光源の照射光量を、前向き光源の照射光量よりも大きくすることにより、道路幅方向の照度分布をより適切なものとすることができる。
なお、照射光量を大きくする手段としては、LED光源の数を増やしたり、照射量の大きなLED光源を使用することが挙げられる。
LED光源の数を増やす場合には、道路進行方向すなわち前部反射面及び後部反射面の長手方向に沿って複数のLEDを配置するのが、各LEDと反射面との道路幅方向での相対的な位置関係が同じになるので、配光制御がやりやすく好ましい。
【実施例】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の街路灯の実施例について説明する。
図1は、実施例に係る街路灯の支柱への設置状況を示す側面説明図である。
図2はその平面説明図、
図3は街路灯要部の斜視図である。
図4は街路灯要部の側面断面図(a)、正面断面図(b)である。
図1に示すように、本実施例の街路灯10は、道路側端に立設されたコンクリート製や鋼鉄製などの支柱11の上部に金属バンドなどの結束具12を介して取り付けられる。街路灯10には、複数のLED光源を組み合わせた光源ユニットLが、全体が箱状に形成されている反射ユニット20の光源固定板13に配置されている。
そして、反射ユニット20は、光源ユニットLから発せられる照射光を反射ユニット20の開口部20aを通して道路面に向けて反射させるための前部反射面P及び後部反射面Qを備えている。
【0019】
実施例では、3基のLED光源14,15,16が、光源固定板13に取り付けられており、これらの組み合わせが光源ユニットLを形成している。光源固定板はLED光源から発生する熱の放熱性に優れるものが好ましく、アルミニウム材などが使用できる。場合によっては、さらにヒートシンクや放熱板などを取り付けてもよい。
LED光源14、15、16の街路灯10への取り付けは、反射ユニット20の後向き及び前向き方向にそれぞれ方向付けられた光源固定板13にそれぞれ取り付けられることによって、反射ユニットの前部反射面及び後部反射面に照射されるようになっている。
図2では、両端の2基のLED光源14、16が後部反射面Qに向けて取り付けられており、中央の1基のLED光源15が前部反射面Pに向けて取り付けられている例を示している。
このように、後向き光源(LED光源14、16)の光軸方向の照射光は、反射ユニット20の後部に取付けられた後部反射面Qを照射し前方へ反射されるようにし、後向き光源(LED光源14、16)の数を多くしてその照射光量を前向き光源(LED光源15)の照射光量よりも大きくするようにすることによって、道路幅方向遠方側の照度が低くならないようにしている。
【0020】
また、反射ユニット20は、道路幅方向の遠方側の前部反射面Pと、支柱11方向側の後部反射面Qとを、それぞれの左右両端側において右側側面反射板S1と左側側面反射板S2とで挟むようにして箱状に構成されてなり、下方端は開口され照射光を下方に照射する開口部20aを形成している。
【0021】
また、反射ユニット20の前部反射面P及び後部反射面Qは、それぞれ一枚の板の中間部を、道路進行方向(X軸)を基準として内側(反射ユニット20の内側方向)へ折り曲げられた3枚の反射部材で構成されている(
図3、
図4参照)。
すなわち、前部反射面Pにおいて、これらの3枚の反射部材は、下から順に、前下部材21、前中部材22、前上部材23、とし、後部反射面Qにおいて、下から順に、後下部材24、後中部材25、後上部材26、としている。
そして、前部反射面P及び後部反射面Qを構成する各部材の内側方向折り曲げは、
上から順次に内側へ折り曲げられるように形成されている。
なお、前部反射面Pの前下部材21の水平線とのなす内側角度(P21)は、後部反射面Qの後下部材24の水平線とのなす内側角度(Q24)よりも小さくしている。これによって、後部反射面Qに向けて照射される2基のLED光源14,16からの照射光を反射させて、道路幅方向(Y軸)の遠方(取付け支柱11側とは反対側)まで照射できるようにしている。
【0022】
次に、街路灯によって照射される道路面への配光制御について説明する。すなわち、本実施例の街路灯においては、光源ユニットLからの直接光と、光源ユニットLからの直接光を、前部反射面P及び後部反射面Qへ当接させて反射させた間接光との合成光を考慮しなければならない。
このように、街路灯10の設置位置を基準点として道路面への配光を制御することによって、照明が必要な領域(照明必要領域)に効率的に照射し、漏れ光を少なくして近隣光害を防ぐことができるのである。
【0023】
次に、
図5を用いて、街路灯を、高さ4.5mの位置に設置したときの道路面の幅方向への配光制御の方法について説明する。
図5において、実用上、支柱上における街路灯設置位置(Y軸0と表記、Y軸は道路幅方向;
図2参照)から1m後方(道路面の幅方向における後方、Y軸−1と表記)までと、街路灯設置位置から6m(Y軸6と表記)までの、トータル道路幅7mの領域を、照明必要領域として設定した。
図5の場合においては、街路灯設置位置を基準点とした照明必要領域(道路幅7m)への照射角度は約65.5°となるので、街路灯の照射範囲をこの範囲に収めることができるように、反射ユニット及び光源ユニットの設定を行った。
すなわち、
図5に示すように、街路灯設置位置から2.5m道路幅方向へ離れた道路面(Y軸2.5と表記)の照度は、光の低減率による計算上、街路灯設置位置直下位置(Y軸0)の照度を100とすると75となり、6m離れた位置(Y軸5)の照度は36となる。
【0024】
そこで、街路灯設置位置から距離の遠い方向(Y軸2.5〜Y軸6)への照射光を増やす手段として、予め、3基のLED光源の内2基は、距離の遠い方向(Y軸2.5〜Y軸6)を照射するように後向き(支柱方向、反射ユニット20の後部反射面Qに向けた)の配置とし、残りの1基を、距離の近い道路面(Y軸0〜Y軸3、反射ユニット20の前部反射面Pに向ける)を照射するように前向きの配置とした(
図2,
図3参照)。
この場合の、後向き配置した2基のLED光源の光軸、前向き配置した1基のLED光源の光軸は、それぞれ照射面鉛直軸から35°傾けて設定した(
図4参照)。
このことにより、光源ユニットの照射光が、直射光として直接照射面に照射される部分と、反射ユニットにより反射光として必要照射面に効率良く、尚且つ距離の遠い方向(Y軸2.5〜Y軸6)に対して照射光を増加させることが出来た。
【0025】
なお、前述した光源設定角度(照射面鉛直軸から35°傾けて設定)は、以下に説明する反射ユニットの反射面の形成作業に重要であり、複数の反射部材の角度と面積を抽出する過程で最適な角度として設定する必要がある。
すなわち、反射ユニット20において、前部反射面Pは、1基の前向きLED光源15との組み合わせにより、距離の近い方向(Y軸0〜Y軸3)を効率良く照射する反射部材21,反射部材22、反射部材23の角度と面積設定を行い、後部反射面Qは、2基のLED光源14,16の組み合わせにより距離の遠い方向(Y軸2.5〜Y軸6)を効率良く照射する反射部材24,反射部材25、反射部材26の角度と面積設定を行うようにした。
なお、反射面の形成にあたってLED光源と反射部材との関係・組み合わせは、必ずしも上記のとおりである必要はなく、例えば、前部反射面Pが、1基の前向きLED光源15との組み合わせにより反射部材21〜23の角度と面積設定を行い、後部反射面Qが、1基の前向きLED光源15と2基の後ろ向き光源14、16との組み合わせにより、反射部材24〜26の角度と面積設定を行うようにしてもよい。
また、ここでは前部反射面および後部反射面をそれぞれ3つの反射部材からなるように設定して説明するが、これを例えば4枚以上からなるようにして構成しても構わない。
【0026】
さて、前述したように、高さ4.5mに設置した街路灯の照明必要領域は、Y軸−1〜Y軸6の照射角度65.5°の範囲であるから、この範囲に反射光と直射光との合成光を照射するようにすると同時に、距離の遠い方向(Y軸2.5〜Y軸6)を効率良く照射する反射部材24,反射部材25、反射部材26の、角度と面積設定を行った。
【0027】
次に、
図6の(a)(b)を用いて、後部反射面の形成について説明する。先ず、後部反射面Qの各反射部材24,25,26を形成する。
ここで使用するLED光源は
図15の配光特性を持つものとし、照射角度範囲を光軸の前方方向±70°として考える。そうすると、後部反射面に当接させるLED光源14及びLED光源16の光軸を、道路面鉛直軸と同じにした場合、LED光源の照射角度片側70°の照射光は街路灯設置位置から6mの照明必要領域を越えてしまう。
そこで、片側70°の照射光端部が街路灯設置位置から6mに収まる角度まで光軸を傾けると、LED光源14,16の光軸は、道路面鉛直軸から−18°の傾きが得られるが、光度の強い光軸14,16の左右20°の光源強度を十分に使えるようさらに傾きを加えて35°に設定した。
この時、街路灯設置位置から6mに照射される光に光軸対称な−70°の照射光が、後部反射面の反射部材26の形成起点となる。この形成起点は、35°傾けたLED光源中心点から後部反射面方向に25mm程度離れた位置、即ち、実際にLEDモジュールが支障なく収まる位置に設定し、この形成起点を反射点Aとする。
【0028】
次に、反射点Aを起点として、照明必要領域に任意の照射点Aを設けるが、ここでは仮に中間地点(Y軸3)近傍に照射点Aを設定し直線で結ぶと、これが反射点Aでの反射光A−Aとなる。
照射点Aを照明必要領域中間点(Y軸3)に設定する理由は、複数の反射部材を形成する場合、最初に形成する反射部材の受ける光束量は比較的照射強度が弱いため、遠方への照射効果が低いことと、遠方に反射させるために反射点A−A’の道路面鉛直軸角度を小さくすると、後部反射面の下方向の反射部材の形成が難しいことによる。
【0029】
次に、反射点Aに入射する光軸から−70°方向の照射光と、反射点Aを起点とする反射光A−Aの内角1/2の角度に直線(図示せず)を設け、続いて、この直線の平行線(図示せず)を反射点Aの下方向20mm程度離れた位置に設け、この平行線の垂線を反射点Aを起点に設け、平行線と垂線の接点を反射点A’とする。
この時、平行線を結んだ垂線(線分AA’)が、反射点A−A’を含む反射部材26として形成され、反射点A’に入射する光源照射光を、入射角と等しい反射角で反射させて、照明必要領域に直線を設け、道路面と交わった地点を照射点A’とし、照射点Aと照射点A’の領域に反射点A−A’を含む反射部材26からの反射光が照射される。
【0030】
次に、反射部材25の形成を行う。反射部材25の起点は、既に形成されている反射部材26の反射点A’と同じであり、反射点A’=反射点Bとなる。
ここでも、先ず、反射点Bの照射点Bを、照明必要領域任意の地点に設けるが、反射部材25,反射部材24は、LED光源の照射強度の高い部分を反射するので、照明必要領域遠点のY軸6近傍を照射点Bとし、反射点Bと照射点Bを結ぶ直線を反射光B−Bとする。
【0031】
次に、反射光B−Bと反射点Bへの光源側入射光の作る角度の1/2に直線(図示せず)を設け、この直線の平行線(図示せず)を、反射板下方向へ15mm移動させた位置に設け、前述の反射部材26の形成と同じように反射部材25(線分BB’)を形成する。
ここで、形成された反射点B’の反射光到達地点が、照射点B’となり、照射点Bと照射点B’の領域に、反射点B−B’を含む反射部材25の反射光が照射される。
【0032】
以下、反射部材24の形成もこれまでと同様の手法であるが、反射部材24の反射点C’は、LED光源14、16の直射光の照射角度を決定するので、できるだけ直射光の照射端をY軸−1以内に収めることが望ましいが、後部反射面の全体寸法を勘案して決定する必要がある。
【0033】
前部反射面Pは、1基のLED光源との組み合わせにより、距離の近い方向(Y軸0〜Y軸3)を効率良く照射する反射面21,反射面22、反射面23の角度と面積設定を行い、形成する。
前部反射面Pの形成方法は、後部反射面Qの形成方法と同様であり、ここでは記述を省略するが、
図7のようになる。
反射ユニットの断面図(
図4)に示す通り、前部反射面Pは後部反射面Qとは異なる形状になり、光源ユニットLを中心にした非対称形状を形成する。
【0034】
<従来の街路灯との比較>
次に、実施例で説明した、反射ユニット(前部反射面P,後部反射面Q,右側反射面S1,左側反射面S2)及び光源ユニットLを光源固定板13に固定したものを用いて、
高さ4.5mに設置し照明必要領域X軸0〜10、
(X軸0〜10は、支柱を0点として、道路幅方向と直角に測定した地点)
Y軸−1〜6の1m間隔で道路面照度測定を行った。
【0035】
そして、同じ設置条件と測定条件で、実施例に用いたLED光源(消費電力3W・全光束300lmで
図15の配光特性をもつLED素子、3基)と同じものを使用した従来のLED街路灯の道路面照度測定を行った。
図8は、従来のLED街路灯の説明図である。LED3基を道路幅方向に沿って配置してある。反射面は備えていない。
図9は従来のLED街路灯の照射範囲を示す配光図である。
図10は、実施例の街路灯と従来品の街路灯における、X軸0位置の照度分布プロフィールを示す比較グラフである。
図10では、X軸0位置での、Y軸0〜Y軸5の照度分布プロフィールを示している。
【0036】
図11は、実施例の街路灯と従来品の街路灯における、Y軸0〜Y軸5の位置での照度分布プロフィールを示す比較グラフである。
図11から明らかなように、実施例の街路灯は、従来品の街路灯に比べて、全体的な照度向上と遠方への照射効果が優れていることが分かる。
なお、道路面の平均照度は、比較した従来の街路灯5Lxに対して、実施例の街路灯では11Lxであり、従来品の220%が得られた。
【0037】
また、実施例の街路灯について、器具効率(器具に組み込まれた光源のランプ光束を100として、どれだけの光が器具の外に出てくるかの比率)を算定したところ、
LED光源の全照射角度=140°、
後向きLED光源14,15の直射光で照明する角度=64°、
前向きLED光源15の直射光で照明する角度=95°、
反射面による反射ロス=0.05%、
透明アクリルカバー透過率=94%、
(反射ユニットの周囲、下面を、透明アクリル保護カバーで覆った場合を想定)
の条件で、有効光束量合計=826lmとなり、
826lm/(300lm×3基)=0.92
すなわち、器具効率は約92%となる。
【0038】
次に、実施例の街路灯の照明率(照明器具内の光源全部から出る光束のうち、被照面に達する光束の割合)について見積もる。
図12は、実施例に係る街路灯の後部反射面Qの照射状態を示す配光図である。
図13は、実施例に係る街路灯の前部反射面Pの照射状態を示す配光図である。
図14は、実施例に係る街路灯のLED光源の直射光の照射状態を示す配光図である。
上記の
図12〜
図14の照射光解析で算定すると、照明率は以下のようになる。
(a)Y軸−1〜Y軸6の照明必要領域に到達している有効光束量は、
(a−1)後部反射面Qの反射光=全量=291lm
(a−2)前部反射面Pの反射光=全量=86lm
よって、反射光計は377lmである。
(a−3)直射光は、
後部反射面Q側の直射光=237lm
前部反射面P側の直射光=190lm
よって、直射光計は427lmである。
(a−4)照明必要領域に達している有効光束量=377lm+427lm=804lmである。
(b)実施例街路灯の照明率=804lm/826lm×100=97.3%
よって、実施例の街路灯の照明率は約97%であることが分かる。
【0039】
通常のLED街路灯の照明率は30〜60%程度であり、以上の算定で得られた照明率97%は、従来のLED街路灯の約1.6〜3.2倍程度に当たるものと推定される。
実施例の街路灯は照明率が高いので、従来の街路灯では照明必要領域外に照射されている光束を、照明必要領域に照射することが可能となり、同じ9Wの消費電力とランプ光束量で220%の照度向上が得られることが確認できた。
【0040】
さて、例えば幅5m、長さ100mの道路に、クラスAの街路灯設計(4m先の人の顔の概要(目・鼻・口)が分かる→平均水平面照度5Lx/中心線鉛直面照度1Lx以上。)をするとき、9Wの街路灯を10m間隔で設置する場合と、18Wの街路灯を20m間隔で設置する場合とで、同じほぼ同じ照明効果が得られるが、街路灯の設置カ所数は、9Wの場合11カ所で、18Wの場合6カ所となり、消費電力量はほぼ同じであり、また、18Wタイプ器具は9Wタイプ器具の2倍の価格となるので、所要費用もほぼ同じである。
しかし実施例の街路灯を適用すると、消費電力を増やさずに照度アップできるので、9Wタイプを20m間隔で6カ所の設置で満足することが可能であり、消費電力量を50%削減でき、更に所要費用も安価に抑えることができる。
【0041】
さらに、道路の片側に設置して設置反対方向を照明するという、道路照明の設置条件に対して、通常これまでは支柱から湾曲状のアームを用いて照明領域を広くするなどの対応策が採られてきたが、本発明の街路灯を用いることにより、支柱に直接照明を設置しても、同様の効果が提供可能となり、簡便な取付方法により安価で安全な照明装置が提供できる。
また、ここまで光源ユニットと反射ユニットがそれぞれ1組の街路灯について説明をしてきたが、本発明の街路灯の態様はこれに限られない。例えば、
図1に係る反射ユニット及び光源ユニットの組合せを1ユニットとし、このユニットを複数個組み合わせて1つの街路灯することも可能である。このようにすれば、より広い範囲の照明可能であり、さらに広範な利用が可能となる。