【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様において、本発明は、注射可能な流体、特に、インシュリンなどの、薬剤で満たされた、カートリッジのピストンと、操作可能に係合するように、適合されている、薬物送達デバイスのための、ピストン・ロッド・アセンブリを提供する。ピストン・ロッド・アセンブリは、所定の用量をセッティング出来る、薬物送達デバイスの駆動機構と、操作可能に係合する様に、及び、所定の量の薬剤を放出するため、個別の方向に、カートリッジのピストンを動かすため、遠位方向にピストン・ロッドの軸変位を引き起こす様に、意図されている。
【0011】
ピストン・ロッドは、それゆえ、薬剤を入れている、カートリッジのピストンと、操作可能に係合するように、適合されている。ピストン・ロッドとピストンとの相互係合には、例えば、相互の、解除可能な隣接を通じて、ピストン・ロッドとピストンの一方向、スラスト伝達係合を、好ましくは、含む。それゆえに、ピストン・ロッド・アセンブリは、ピストンを、ただ1つの方向に動かす様に適合され、意図されている。それゆえ、ピストン・ロッド・アセンブリとピストンのそれぞれの隣接表面が実質的に平面構造である時、それは十分である。通常の投与処置の間、カートリッジ自体は、針、カニューレ、注入管などの穿孔アセンブリと、又は、類似の送達デバイスと、流体的につながっている。
【0012】
カートリッジ自体は、可動ピストンによってシールされた、バイアル(vial)、又は、カープル(carpule)を含むことが出来る。別の実施態様において、カートリッジは、単回使用に、好ましくは、適合され、設計された注射器を含むことも可能である。
【0013】
ピストン・ロッド・アセンブリは、さらになお、ピストン・ロッドに、変位可能なように配置された、少なくとも、1つの調整部材を含む。調整部材は、この様に、ピストン・ロッドに連結され、ピストン・ロッドに対して、好ましくは、ピストン・ロッドの長軸に沿って、それゆえ、軸方向に、変位させることが出来る。ここで、調整部材は、カートリッジのピストン方向を向いている、ピストン・ロッドの遠位端部とつながっている。それゆえに、少なくとも1つの調整部材は、ピストン・ロッドとカートリッジのピストンとの間に配置されることになる。調整部材は、それゆえ、例えば、製作、及び/又は、組立公差による、ピストン・ロッドとピストンの相互の距離、及び/又は、相対位置の変動を減らす、及び/又は、打ち消すために意図された、一種のインターフェース・部材の役目を果たす。
【0014】
ピストン・ロッド・アセンブリは、さらになお、互いに、任意の相対位置にある、調整部材とピストン・ロッドの位置を、相互にロックするため、調整部材、及び/又は、ピストン・ロッドと相互作用する様に適合された、少なくとも1つのインタロック手段を含む。特に、ピストン・ロッドに対する、調整部材の軸方向位置を、前記製作、及び、組立公差を、好ましくは、取り除くため、連続的に変更することが出来る。調整部材を、ピストン・ロッドと共に、公差を取り除く構成に、ひとたび、位置させると、それの、ピストン・ロッドに対する、相対位置は、少なくとも、1つのインタロック手段を介して、恒久的に、又は、解除可能のどちらかで、ロックすることが出来る。
【0015】
公差を取り除く処置の間、調整部材とピストン・ロッドは、お互いに対して、相互に変位可能である。換言するならば、それらは、軸方向に、伸縮自在に変更可能である。ひとたび、公差を取り除く構成が達成されると、調整部材とピストン・ロッドは、ピストン・ロッド・アセンブリが、ピストンを遠位方向に変位させるために必要な、ピストンに対する個別のスラストを、伝えることが出来る様に、相互にインターロックされる。ピストン・ロッドと調整部材を、変位可能に、そこに取り付ける、又は、連結することにより、ピストン・ロッド・アセンブリの軸方向の全体寸法、及び、伸長は、特に公差を取り除くために、可変となる。
【0016】
なおその上、調整部材、及び、ピストン・ロッドは、ピストン・ロッドと調整部材を、お互いに対して、軸方向に変位させるように、ねじ係合されている。
ピストン・ロッドと調整部材のねじ係合を手段として、ピストン・ロッド・アセンブリの全体寸法は、連続的に変更できる。それは、インタロック手段が、ピストン・ロッドと調整部材の、自動的、相対回転を抑制する様に適合されている時、それは、さらなる利点である。それゆえに、インタロック手段は、調整部材がピストン・ロッドに対して、自律的に回転するのを、及び、逆の場合も同様に、防止する。ねじ係合を手段として、軸方向を向いた力、及び、スラストは、例えば、駆動機構から、ピストン・ロッドを経由して、調整部材に、最終的にはカートリッジのピストンに伝えられる。
【0017】
インタロック手段は、ピストン・ロッドと調整部材の、自動的、相対回転を抑制するために設計されているので、インタロック手段自体は、カートリッジのピストンを遠位方向に変位させるのに必要である、それらの比較的大きな、軸方向力、又は、個別のスラストに耐えなくてもよい。
【0018】
さらに好ましい態様において、調整部材は、ピストン・ロッドの対応するねじ山付き、遠位ソケット部分を受け入れるように適合された、ねじ付きレセプタクル(receptacle)を含む。
【0019】
別の実施態様において、ピストン・ロッドは、調整部材の対応する、ねじ山付き、近位ソケット部分を受け入れるように適合された、それの遠位端セクションに、ねじ付きレセプタクルを含む。それゆえに、ピストン・ロッドと調整部材のねじ係合は、一般的に、いずれかの方法で、実施することが出来る。
【0020】
別の好ましい態様において、インタロック手段は、調整部材、又は、ピストン・ロッドの、波型面部分と係合する様に適合された、少なくとも1つの、弾力的に、付勢されたタング・部材(tongue member)を含む。好ましくは、インタロック手段は、調整部材か、ピストン・ロッドのいずれかのレセプタクルの側部壁と確実に係合してもよい。その上、インタロック手段は、好ましくは、ソケット部分を含んでなる、ピストン・ロッド・アセンブリの部材上に配置される。
【0021】
別の好ましい実施態様において、タング・部材は、ソケット部分に対して、横方向にオフセットされ配置される。ピストン・ロッドの長軸に直角に伸びている、ピストン・ロッド・アセンブリの横平面に対して、軸方向に突き出ている、ソケット部分は、通常は、ピストンの中央に、又は、調整部材の中央上に、配置される。ここで、弾力的に、付勢されたタング・部材は、ソケット部分に対して、横方向、又は、半径方向にオフセットして、配置され、変位させる。それゆえに、ソケット部分とタング・部材の相互の配置は、ギャップが、レセプタクルの側部壁セクションを受け入れるように適合され、その間に、形成されるものである。
【0022】
さらなる、好ましい実施態様において、レセプタクルの半径方向、内に向いている側部壁セクションは、対応してねじ付きソケット部分とのねじ係合を提供するため、ねじが切られている。それの外に向いている側の、レセプタクルの側部壁セクションは、好ましくは、レセプタクルの、ソケット部分に関して、自動的、相対回転を抑制するため、レセプタクルとタング・部材の、一種の、確実な、又は、摩擦係合を確立し得る手段である、波型であるか、又は、リブ付き構造を含む。
【0023】
別の実施態様において、レセプタクルの外に向いている、側部壁セクションは、ねじが切られていて、上記レセプタクルの内に向いている側部壁セクションは、波型であるか、又は、リブ付き構造を含む。かかる実施態様において、弾力的に、付勢されたタング・部材は、好ましくは、調整部材とピストン・ロッドのねじ係合に対して、半径方向、内向きに配置される。
【0024】
弾力的に、付勢されたタング・部材と波型面の相互係合、及び、相互作用は、一種のスナップ・イン(snap-in)機構を提供する。長手方向に伸びているリブ、又は、コルゲーション(corrugation)、及び、ねじのピッチ次第で、ピストン・ロッドと調整部材の微調整が、ミリメータ未満の領域で、好ましくは、1/10mmの、又は、さらに1/100mmの領域で、達成可能である。
【0025】
さらなる、好ましい実施態様において、レセプタクルのねじ付き、波型の側部壁セクションは、軸方向に、互いに対して、少なくとも、部分的にオフセットされて配置される。さらにその上、前記壁セクションのコルゲーション、又は、リブは、レセプタクルとソケット部分の相互に対応するねじの、軸の全伸長に実質的に対応する、軸伸長を含む。
【0026】
さらなる実施態様によると、ピストン・ロッドは、ピストン・ロッドに配置され、ピストン・ロッドの遠位端セクションに対して、近位方向に、軸方向に変位させる、少なくとも、2つのタング・部材を含む。ここで、横平面内において、互いに反対向きに、好ましくは、配置されている、タング・部材は、カップ状のレセプタクルを含んでなる、調整部材の近位端の、波型、又は、リブが付いた、外側側壁セクションと係合するように、適合されている、半径方向、内側方向を向いた、ラグ(lug)部分を含む。
【0027】
さらなる実施態様において、調整部材は、薬物送達デバイスが最終アセンブリ構成であるならば、ピストンの近位端部セクションの方向に向いている、接触面を、それの遠位端セクションに、含む。接触、又は、隣接表面は、実質的に平面形状であり、好ましくは、横平面内でそれゆえに、ピストン・ロッドの軸方向、又は、長手方向伸長に直角に、伸びている。好ましくは、調整部材のカップ状レセプタクルの遠位を向いている外側表面は、接触面として働く。実質的に、平面である接触面を手段として、ピストン・ロッド・アセンブリとカートリッジのピストンは、機械的に係合せず、必要に応じて、例えば、空のカートリッジを、充填されているカートリッジに交換する時、容易に分離することが可能である。平面形状の隣接表面は、必要であれば、ピストン・ロッド・アセンブリとピストンの間の、所定の寸法のギャップを設けるのを容易にする。
【0028】
薬物送達デバイスの最終アセンブリ構成において、調整部材の接触面は、ピストンの近位端部セクションと、既に、隣接していてもよい。それゆえに、薬物送達デバイスの組立中に、調整部材は、最終アセンブリ構成に至るとすぐに、調整部材の接触面が、ピストンの近位端と、直接接触となるように、構成される。薬物送達デバイスは、顧客に送達された時、すぐに使用することが出来る。ピストン・ロッド・アセンブリとカートリッジのピストンを、互いに隣接させるための、初期セットアップ工程は、もはや必要がなく、無用となる。
【0029】
好ましくは、ピストンとピストン・ロッドの相互隣接は、カートリッジに組み立てられた時、ニードル・アセンブリの遠位の先端で、滴の生成を防止するため、ピストンが、実質的な圧力、又は、ピストンに対するスラストを、まだ加えないようになっている。一般的に、このように、すべてのデバイス操作を簡易化することが出来る。
【0030】
しかし、別の、代わりの実施態様において、ピストン・ロッド・アセンブリは、デバイスがそれの最終アセンブリ構成である時、所定のギャップが、調整部材とカートリッジのピストンの間に得られるように、薬物送達デバイスの組立の間に、構成される。ここで、調整部材は、ギャップが所定のギャップ寸法に一致するように、薬物送達デバイスの最終組立の間に、操作される。カートリッジのセットアップは、例えば、薬物送達デバイスの駆動機構内にて、実施される。また、ここで、最終使用者は、ピストン・ロッド・アセンブリと、カートリッジのピストンとを、相互隣接させる、セットアップ工程を実施する、又は、トリガする必要はない。
【0031】
別の、独立した態様において、本発明は、さらになお、薬剤用量の投与のための薬物送達デバイスに関わる。薬物送達デバイスは、カートリッジを受け入れ、収容するように適合された、第1のハウジング部材を含み、ここで、カートリッジは、軸方向に摺動可能なように、そこに配置されたピストンを含む。ピストンを手段として、カートリッジの内部体積は、近位方向にシールされ、一方、カートリッジは、さらになお、流体移動方法における、注射針、又は、カニューレなどの、穿孔アセンブリと連結されることになっている、遠位方向を向いている、出口を含む。
【0032】
薬物送達デバイスは、さらになお、上述のように、ピストン・ロッド・アセンブリを含む、駆動機構を収容するように適合された、第2のハウジング部材を含む。
【0033】
第1と第2のハウジング部材は、さらになお、相互に対応する締結手段を手段として、例えば、スナップ・イン機構を手段として、又は、さもなければ、例えば、ねじ係合を手段として、インターロックされるように、適合される。組立中、特に第1と第2のハウジング部材が組み合わされる前、長さが可変である、ピストン・ロッド・アセンブリは、ピストン・ロッド・アセンブリとカートリッジのピストンとの間の軸方向ギャップを、所定のギャップ寸法に変更するように適合されている。駆動機構の型によっては、ギャップ寸法は、ゼロに等しくてもよく、ここで、ピストン・ロッド・アセンブリとカートリッジのピストンは、第1と第2の、事前設定されたハウジング部材の組立をすると、相互に隣接する。ピストン・ロッド・アセンブリとピストンとの間の軸方向ギャップ寸法は、ピストン・ロッドと調整部材を、お互いに対して、軸方向に変位させるように、調整部材とピストン・ロッドのねじ係合を手段として、変更可能である。インタロック手段は、さらになお、ピストン・ロッドと調整部材の自動的、相対回転を抑制するように適合されている。インタロック手段を介して、ピストン・ロッド・アセンブリの実際の長さ、又は、軸方向伸長をロックすることが出来る。
【0034】
インタロック手段が解除可能な種類であることでさえ考えられる。
この方法で、ピストン・ロッドの所定の軸長さを、後に、例えば、カートリッジが交換される時、変更することさえ可能である。
【0035】
別の、好ましい実施態様において、ピストン・ロッド・アセンブリとピストン、又は、調整部材とピストンとの間のギャップ寸法は、ゼロより大きい。ピストンとピストン・ロッド・アセンブリとの間の距離は、0.1mmと2.0mmの間の範囲であり、好ましくは、1mm未満である。この実施態様において、ギャップの補正は、薬物送達デバイスの駆動機構の中に実施される。
【0036】
さらなる、好ましい態様において、ピストン・ロッド・アセンブリとカートリッジのピストンとの間の軸方向ギャップ寸法は、調整部材、及び/又は、ピストン・ロッドを、薬物送達デバイスの組立の間に、お互いに対して、回転することを手段として、変更可能である。特に、ピストン・ロッドは、第1の、及び/又は、第2のハウジング部材に対して、回転可能にロックされてもよく、一方、調整部材は、ピストン・ロッドの遠位端セクションと、ねじ係合している。しかし、調整部材とピストン・ロッドの双方を、それぞれの、ハウジング部材内で、回転可能に支持することも考えられる。
【0037】
さらなる、好ましい実施態様において、特に、ピストン・ロッド・アセンブリとピストンとの間の軸方向ギャップがゼロより大きい、複数の実施態様において、薬物送達デバイスは、さらになお、ピストン・ロッドに解除可能に結合されている駆動機構を含み、ピストン・ロッドを、ピストンとピストン・ロッド・アセンブリが互いに隣接している使用位置から、所定の距離だけ、ピストンから離れるように、ピストン・ロッド・アセンブリとカートリッジのピストンの間の所定のギャップが得られる、アイドル位置に動かすように、用量送達の第2のハウジング部材に対して、近位方向に駆動部材を動かすように配置されている弾力的部材を、さらになお、含む。
【0038】
これは、薬物送達デバイスを簡易に、及び、正確に使用することが可能であるという利点を有す。使用者は、多数の、薬剤の事前にセットされた用量を投与することが出来る。例えば、用量送達後、用量送達のため、駆動機構に加えられた、遠位方向の力が、駆動部材から除去された時、駆動部材は、駆動部材と、機械的に、相互作用する弾力的部材によって、ハウジングに対して、近位方向に動かされる。駆動部材は、ハウジングに対して軸方向に動くこと、及び/又は、ハウジングに対して、回転することが可能である。駆動部材の近位動作は、次の用量がセットされる前に、起こってもよい。ピストン・ロッドは、少なくとも、部分的には、近位方向への駆動部材のこの動作に従ってよい。特に、駆動部材は、ハウジングに対して、近位方向に、弾力的部材によって直接的に動かされてよく、一方、ピストン・ロッドは、ピストン・ロッドに変位させる、ハウジングに対して、近位方向の、駆動部材の動作を経て、弾力的部材によって、間接的に、動かされてよい。この様にして、ピストン・ロッドは、ピストンに対して近位方向に動かされてよい。これによって、ピストン・ロッドとピストンとの間の距離を、増やすことが出来る。この様にして、用量送達後、変形ピストンは、特に、弾性的変形ピストンは、近位方向に緩和させる余地を備える。
【0039】
その結果、ピストン・ロッドが近位方向に動かされた後、ピストン・ロッドによって、ピストン上に加えられた圧力は、減らされる、又は、ピストンから除去される。このようにして、変形ピストンは、用量送達後、近位方向に、主として緩和する。カートリッジから流体を、気付かずに、投与する結果となる可能性のある、ピストンのコントロール不良の、遠位方向の緩和を、このようにして、減らすことが出来る。なおその上、後続の用量をセットする前に、ピストン・ロッドとピストンとの間の距離を増やすことにより、例えば、ピストンとピストン・ロッドとの連結が遮断された時、振動によって、薬剤が、カートリッジから気付かずに投与される危険性を減らす結果をもたらす可能性がある。
【0040】
概して、用量送達後、ピストン・ロッドを近位方向に動かすことにより、用量正確性を、改善することが可能である。好ましくは、ピストン・ロッドは、ピストンの近位方向への緩和させることが必要である限りにおいてのみ、用量送達後、近位方向に動かされる。
【0041】
好ましくは、ピストンは、特定のアイドル位置において、近位方向に動かされ、ここで、上記アイドル位置と、ピストン・ロッド・アセンブリがカートリッジのピストンと隣接している、使用位置との距離は、駆動機構により完全にコントロールされ、調整される。ひとたび、ピストン・ロッドと調整部材との間の相対位置が、公差を取り除く目的のため、調整されると、ピストン・ロッド・アセンブリを、軸方向にも変位させることが出来、付加的な公差をなんら生じることなく、ピストンから分離することも可能である。
【0042】
さらにその上、本発明による薬物送達デバイスは、好ましくは、使い捨てデバイスとして設計される。それゆえに、組立中、第1のハウジング部材に、薬剤が充填されたカートリッジが備えられる。薬物送達デバイスの最終アセンブリにおいて、第1と第2のハウジング部材は、恒久的に結合され、薬剤が最終的に消費された後、薬物送達デバイス全体は、廃棄するように意図されている。
【0043】
薬物送達デバイスが市場に出る時は、それには、既に、薬剤が充填されたカートリッジが付けられており、すぐに使用出来る。
【0044】
別の、独立した態様において、本発明は、薬物送達デバイスを組み立てる方法をも述べており、ここで、第1の工程において、薬剤で充填されているカートリッジは、カートリッジ・サブアセンブリを形成するため、第1のハウジング部材内に置かれる。また、同様な方法で、ピストン・ロッド・アセンブリを含む、駆動機構は、ハウジング・サブアセンブリを形成するため、第2のハウジング部材内に置かれる。
【0045】
この後、ピストンの軸方向位置は、第1のハウジング部材に対してして、個別に決定され、対応する方法で、ピストン・ロッド・アセンブリの軸方向位置も、決定、又は、測定される。特に、ピストン・ロッド・アセンブリの遠位端部面の位置、及び/又は、ピストンの近位端部部面の位置は、それぞれ、第1、及び、第2のハウジング部材に対して決定される。ピストンとピストン・ロッド・アセンブリの軸方向位置を、それらの、それぞれのサブアセンブリ、又は、ハウジング部材に対して決定、又は、測定した後、ピストン・ロッド・アセンブリの軸方向寸法、又は、軸方向伸長は、ピストン・ロッドに対して、調整部材を動かすことにより、ピストンとピストン・ロッド・アセンブリとの間の距離が、例えば、カートリッジ・サブアセンブリ、及び、ハウジング・サブアセンブリを結合することにより、薬物送達デバイスが最終的に組み立てられた時、所定のギャップ寸法に等しいように、変更される。調整部材とピストン・ロッドの相対軸方向位置を変更した後、第1と第2のハウジング部材は、組立の最終工程において、結合される。
【0046】
通常は、ピストン、及び/又は、ピストン・ロッド・アセンブリの軸方向位置は、それぞれ、カートリッジ、若しくは、ハウジング・サブアセンブリの選択された基準点に対して、又は、それぞれ、第1、及び/又は、第2のハウジング部材の基準点に対して、決定される。例えば、第1、及び、第2のハウジング部材の、相互に対応する結合、又は、固着手段を、カートリッジのピストン、及び/又は、ピストン・ロッド・アセンブリの遠位端部面の、それぞれの、軸位置を決定するための、基準点として役立てることが出来る。ピストン、及び、ピストン・ロッドの、及び/又は、それの調整部材の、相対、若しくは、絶対位置の測定は、触覚的手段、及び/又は、非接触手段、例えば、全光学的方法を介して行われる。
【0047】
さらなる、好ましい実施態様において、ピストン・ロッド・アセンブリの軸方向位置、及び、特に、調整部材の軸方向位置は、ピストン・ロッド、又は、ピストン・ロッド・アセンブリがそれの使用位置にある時、変更される。その上、ピストン・ロッドの軸方向位置の決定、及び、測定も、ピストン・ロッドと共に、特に、それの使用位置にあるピストン・ロッド・アセンブリと共に行われる。このように、使用位置とアイドル位置との間にピストン・ロッドを変位させる、駆動機構の機能性による、いずれの軸方向公差も、全く重要ではないし、考慮の必要がない。
【0048】
本明細書にて使用されているように、術語「薬剤」は、少なくとも1つの、薬学的活性化合物を含む、医薬製剤を意味し、
ここで、一実施態様において、薬学的活性化合物は、1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、プロテイン、多糖、ワクチン、DNA、RNA,抗体、酵素、抗体、ホルモン、若しくは、オリゴヌクレオチド、又は、上述の薬学的活性化合物の混合物であり、
ここで、さらなる、一実施態様において、薬学的活性化合物は、糖尿病、若しくは、糖尿病網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈、若しくは、肺の血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠動脈症候群(ACS)、アンギーナ、心筋梗塞、癌、黄斑編成、炎症、枯草熱、アテローム硬化症、及び/又は、関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで、さらなる、実施態様において、薬学的活性化合物は、糖尿病、若しくは、糖尿病網膜症などの糖尿病関連の合併症の治療、及び/又は、予防のための、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる、実施態様において、薬学的活性化合物は、少なくとも1つの、ヒトインシュリン、若しくは、ヒトインシュリン類似体、若しくは、誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、若しくは、それらの類似体、若しくは、誘導体、又は、エキセンディン−3、若しくは、エキセンディン−4、若しくは、エキセンディン−3、若しくは、エキセンディン−4の類似体、若しくは、誘導体を含む。
【0049】
インシュリン類似体は、例えば、
Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインシュリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインシュリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインシュリン;Asp(B28)ヒトインシュリン;ヒトインシュリン,ここで、位置B28のプロリンは、Asp,Lys,Leu,Val、又は、Alaによって置換され、ここで、位置B29のLysは、Pro;Ala(B26)ヒトインシュリン;Des(B28−B30)ヒトインシュリン;Des(B27)ヒトインシュリン、及び、Des(B30)ヒトインシュリンによって置換されてよい。
【0050】
インシュリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインシュリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインシュリン;B29−N−ミリストイル・ヒトインシュリン;B29−N−パルミトイル・ヒトインシュリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインシュリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインシュリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインシュリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインシュリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインシュリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインシュリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインシュリン、及び、B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインシュリンである。
【0051】
エキセンディン−4は、例えば、エキセンディン−4(1−39)、配列H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2のペプチドを意味する。
【0052】
エキセンディン−4 誘導体は、例えば、以下の化合物リストから選択される:
H−(Lys)4−des Pro36,des Pro37 エキセンディン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)5−des Pro36,des Pro37 エキセンディン−4(1−39)−NH2,
des Pro36[Asp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[Met(O)14 Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[Met(O)14 Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39);
又は、
des Pro36[Asp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[Met(O)14 Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39),
des Pro36[Met(O)14 Trp(O2)25,IsoAsp28] エキセンディン−4(1−39),
ここで、グループ−Lys6−NH2を、エキセンディン−4 誘導体の、C−末端に結合してよく;
又は、
【0053】
配列 H−(Lys)6−des Pro36[Asp28]エキセンディン−4(1−39)−Lys6−NH2,
des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38エキセンディン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36,Pro38 Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2,
des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−Lys6−NH2,
H−des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンディン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2,
des Pro36, Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28] エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−Lys6−NH2,
des Met(O)14 Asp28 Pro36,Pro37,Pro38 エキセンディン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,
Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2,
des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5 des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Lys6−des Pro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−Lys6−NH2,
H−des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,
Trp(O2)25]エキセンディン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2,
des Pro36, Pro37, Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
のエキセンディン−4 誘導体;
又は、上述のエキセンディン−4誘導体のいずれか1つの、薬学的に容認可能な、塩、又は、溶媒和化合物。
【0054】
ホルモンは、例えば、Rote Liste,ed.2008,Chapter 50に記載されている、Gonadotropine(Follitropin,Lutropin,Choriongonadotropin,Menotropin),Somatropine(Somatropin),Desmopressin,Terlipressin,Gonadorelin,Triptorelin,Leuprorelin,Buserelin,Nafarelin,Goserelinなどの、下垂体ホルモン、又は、視床下部ホルモン、又は、調節活性ペプチド、及び、それらの拮抗薬である。
【0055】
多糖は、例えば、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、若しくは、超低分子量ヘパリン、若しくは、それらの誘導体、又は、硫酸化多糖類、例えば、上述の多糖類の多硫酸化型、及び/又は、薬学的に容認可能な、それらの塩である。
多硫酸化低分子量ヘパリンの、薬学的に容認可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。
【0056】
薬学的に容認可能な塩は、例えば、酸付加塩、及び、塩基性塩である。酸付加塩は、例えば、HCl、又は、HBr塩である。塩基性塩は、例えば、アルカリ、又は、アルカリ性の、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+、又は、アンモニウム・イオンN+(R1)(R2)(R3)(R4),であり、ここで、R1からR4は、互いに独立して、以下を意味する:
水素、場合により置換C1〜C6アルキル基、場合により置換C2〜C6アルケニル基、場合に寄り置換C6〜C10アリール基、又は、場合により置換C6〜C10ヘテロアリール基。さらなる、薬学的に容認可能な塩は、“Remington's Pharmaceutical Sciences” 17. ed. Alfonso R. Gennaro (Ed.), Mark Publishing Company, Easton, Pa., U.S.A., 1985 and in Encyclopedia of Pharmaceutical Technology.に記載されている。
【0057】
薬学的に容認可能な塩は、例えば、水和物である。
【0058】
本発明に対して、それの精神と範囲に逸脱することなく、種々の修正、及び、変更を、することができることは、当業者には、明らかであろう。さらになお、注意すべき点は、添付された請求項において使用された参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0059】
制限なしに、本発明を、好ましい実施態様に関連して、及び、以下の図面を参照して、以下、十分に詳細に説明する: