(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び第2の段差面には、前記第1のヘッダーの第1及び第2の末端部の形状及びサイズに対応する各溝がそれぞれ形成されたことを特徴とする、請求項1に記載のろ過装置。
前記タンクは、前記の流入する原水が所定水位を超える場合、所定水位を超える原水を前記タンクの外部に排出するためのオーバーフロー排出ポートを含むことを特徴とする、請求項1に記載のろ過装置。
【背景技術】
【0002】
流体から汚染物質を除去して浄水する水処理方法としては、加熱や相変化を用いる方法と、ろ過膜を用いる方法とがある。
【0003】
ろ過膜を用いる方法は、ろ過膜の細孔のサイズに応じて所望の水質を安定的に得られるので、加熱や相変化を用いる方法に比べて工程の信頼度が高いという長所を有する。また、ろ過膜を用いる場合、加熱などの操作が必要でないので、微生物を用いる分離工程で微生物が熱によって影響を受けることを防止することができる。
【0004】
ろ過膜を用いた分離方法の一つとしては、中空糸状の膜を用いる方法がある。伝統的に、中空糸膜は、無菌水、飲用水、超純水の製造などの精密ろ過分野で広く使用されてきたが、最近は、下/廃水処理、浄化槽での固液分離、産業廃水での浮遊物質(SS:Suspended Solid)除去、河川水のろ過、工業用水のろ過、及びプール水のろ過などにその応用範囲が拡大されている。
【0005】
中空糸膜を用いたろ過方法は、その運転方式に従って浸漬式と加圧式に分類することができる。
【0006】
加圧式の場合、モジュールケース内に中空糸膜束が存在する。前記モジュールケース内に原水が所定圧力以上で供給されることによって、汚染物質を除いた流体のみが中空糸膜を選択的に透過するようになる。
【0007】
浸漬式の場合、地面の下に形成された水槽に処理すべき原水が充填されている状態で中空糸膜束が浸漬される。中空糸膜が原水に浸漬された状態で中空糸膜の内部に陰圧が加えられることによって、汚染物質を除いた流体のみが中空糸膜を選択的に透過するようになる。
【0008】
モジュールケース内に中空糸膜が高いパッキング密度(packing density)で存在するので、加圧式は、浸漬式に比べて中空糸膜の汚染に相対的に脆弱であるという短所を有する。したがって、汚染物質の濃度の比較的高い水を処理するときは、浸漬式が主に用いられる。
【0009】
しかし、それぞれの中空糸膜モジュールを配管に連結するだけでよい加圧式に比べると、浸漬式は、地面の下に水槽を形成し、その水槽の形状及びサイズに応じて中空糸膜モジュールを水槽内に適宜配列すべきであるという点で不便である。
【0010】
その他にも、浸漬式は、i)ろ過システムの維持管理のために、人が地面の下に形成された水槽側に降りていくべきであるという点で不便かつ危険であり、ii)ろ過過程で水槽内に積もるスラッジを周期的に除去すべきであるという煩雑さを伴い、iii)多数の中空糸膜モジュールがフレーム構造に装着された状態で原水に浸漬されるので、中空糸膜モジュールの集積度を向上させるのに限界を有していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、前記のような関連技術の制限及び短所に起因した各問題を防止できるろ過装置及びそのための中空糸膜モジュールに関する。
【0012】
本発明の一観点は、容易に設置することができ、安全かつ容易に維持管理することができ、高い中空糸膜モジュール集積度を有し、標準化に適しており、優れたドレイン効率を有し、高い商品性を有する浸漬式ろ過装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の観点は、中空糸膜の両末端がポッティングされている各ヘッダーがフレームに締結されていない状態で水処理を行い、水処理過程で前記各ヘッダー間の間隔を自体的に可変できる中空糸膜モジュールを提供することである。
【0014】
上述した本発明の各観点の他にも、本発明の他の特徴及び利点を以下で説明するが、このような説明は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記のような本発明の一観点によると、処理すべき原水が流入するタンク及び前記タンク内に流入した原水に浸漬される中空糸膜モジュールを含むろ過装置が提供される。前記タンクは、その内部に、第1の段差面と、前記第1の段差面の反対側に位置する第2の段差面とを有する。前記タンク内に流入した原水に浸漬される中空糸膜モジュール―前記中空糸膜モジュールは、第1及び第2のヘッダーと、これらの間に位置する中空糸膜とを含む。前記第1のヘッダーの第1及び第2の末端部が前記第1及び第2の段差面によってそれぞれ支持されることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の観点によると、内部に集水空間を有する第1のヘッダー;第1の固定層を通して一端が前記第1のヘッダーにポッティングされており、前記第1のヘッダーの集水空間と流体連通する中空糸膜;水処理作業中に前記第1のヘッダーの下方に位置し、前記中空糸膜の他端が第2の固定層を通してポッティングされている第2のヘッダー;及び前記第1及び第2のヘッダー間の距離を所定の範囲内で可変できる方式で前記第1及び第2のヘッダーを支持する支持体;を含む中空糸膜モジュールが提供される。
【0017】
前記のような本発明に対する一般的敍述は、本発明を例示又は説明するためのものに過ぎなく、本発明の権利範囲を制限するものではない。
【発明の効果】
【0018】
本発明のろ過装置は、内部に中空糸膜モジュールが装着されたタンクを加圧式ろ過装置と類似する方式で配管に連結するだけでよいので、浸漬式ろ過装置であるにもかかわらず、その設置の便利性の面で加圧式ろ過装置に劣らないという利点を有する。
【0019】
また、本発明のろ過装置は、そのタンクが地上に位置するのでろ過装置の維持管理をより安全かつ便利に行うことができ、タンク内で発生するスラッジを重力によって自然に排出できるので優れたドレイン効率を有する。
【0020】
また、本発明のろ過装置によると、中空糸膜モジュールがタンク内に直接装着されるので別途のフレーム構造を必要とせず、その結果、中空糸膜モジュールの集積度を向上させることができる。
【0021】
また、本発明のろ過装置によると、タンクの集水空間をタンク内の処理すべき原水の水位より低い場所に位置させることによって、ろ過作業に必要なエネルギーの量を節減することができる。
【0022】
また、本発明の浸漬式ろ過装置は、標準化に有利なだけでなく、地上に設置されるので外観を秀麗にし、その結果、その商品性を向上させることができる。
【0023】
一方、本発明の中空糸膜モジュールによると、中空糸膜の両末端がポッティングされている各ヘッダー間の間隔が可変的である。したがって、中空糸膜の垂れ下がりがない状態で中空糸膜モジュールをタンクに挿入することによって、隣接するモジュール又はタンク壁とのぶつかりによる膜の損傷を防止することができる。
【0024】
また、水処理運転中に中空糸膜の収縮が発生する場合、中空糸膜の両末端がポッティングされている各ヘッダー間の間隔が中空糸膜の収縮程度に合わせて自動的に狭められるので、膜の収縮による中空糸膜の損傷又は中空糸膜とヘッダーの分離現象を防止することができる。すなわち、本発明の中空糸膜モジュールは、中空糸膜の収縮に対して自ら対応することができる。
【0025】
さらに、膜汚染の防止のための散気工程中に、中空糸膜の両末端がポッティングされている各ヘッダー間の間隔が、上昇する各気泡によって随時に可変することによって、中空糸膜モジュールの振動が倍加し得る。また、各ヘッダー間の間隔が中空糸膜の長さより小さくなって中空糸膜の垂れ下がりが発生する場合、その垂れ下がった部位は上昇する気泡に大きな力でぶつかるようになる。散気過程における中空糸膜モジュールの振動深化及び中空糸膜の垂れ下がり発生は散気効率を極大化させるようになり、結局、膜汚染の最小化という肯定的効果をもたらす。
【0026】
その他にも、本発明の実施を通して、本発明の更に他の特徴及び利点を新たに把握することも可能であろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、添付の図面を参照して本発明に係るろ過装置及びそのための中空糸膜モジュールの各実施例を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施例に係るろ過装置の斜視図である。
【0030】
本発明のろ過装置は、
図1に例示している形態のタンク200を含む。処理すべき原水が原水流入ポート230を介してタンク200内に流入する。タンク200内に装着された中空糸膜(図示せず)を透過した生産水は、生産水排出ポート221を介してタンク200の外部に排出される。すなわち、生産水排出ポート221を介して中空糸膜に陰圧が提供される。
【0031】
ろ過作業の遂行によって発生したスラッジの円滑な排出のために、本発明のタンク200は、その下部に上広下狭の形状のスラッジ排出部240を含むことができる。タンク200を地上に安定的に支持するために、本発明のタンク200はスラッジ排出部240の高さより長い脚250をさらに含むことができる。
【0032】
本発明のろ過装置のタンク200は、地上に置かれるのでろ過装置の維持管理をより安全かつ便利に行うことができる。また、タンク200内で発生するスラッジを重力によってスラッジ排出部240及びスラッジ排出ポート241を介して自然にタンク200の外部に排出できるので、本発明のろ過装置は優れたドレイン効率を有する。
【0033】
本発明のろ過装置を設置するとき、タンク200の原水流入ポート230、生産水排出ポート221、スラッジ排出ポート241などをこれらにそれぞれ対応する各配管(図示せず)に連結するだけでよいので、本発明のろ過装置は、浸漬式であるにもかかわらず、加圧式と同様に設置の容易性を提供することができる。
【0034】
中空糸膜モジュール(図示せず)の装着及びその維持補修のために、タンク200は上部に開口を有する。この開口を介して、中空糸膜モジュールをタンク200に引き込んだり、タンク200から引き出すことができる。
【0035】
一方、美観及び安定性を考慮して、本発明のろ過装置は、タンク200の上部開口を覆うための蓋300をさらに含むことができる。
【0036】
図2は、
図1に例示したタンクのA―A'線断面図である。
【0037】
図2に例示したように、本発明のタンク200は、その内部に、第1の段差面211と、前記第1の段差面211の反対側に位置する第2の段差面212とを有する。タンク200の内部空間は、前記第1及び第2の段差面211、212を基準に上部空間と下部空間に分けることができる。すなわち、本発明のタンク200は、上部空間及び下部空間を含む。本発明の一実施例によると、タンク200の上部空間の水平断面積は下部空間の水平断面積より大きい。
【0038】
タンク200の第1の段差面211の直ぐ下には、中空糸膜を透過した生産水のための集水空間220が提供されており、集水空間220に流れ込んだ生産水は、排出ポート221を介して排出される。
【0039】
本発明のタンク200は、原水流入ポート230を介して流入する原水が所定水位を超える場合、その所定水位を超える原水をタンク200の外部に排出するためのオーバーフロー排出ポート260をさらに含むことができる。
【0040】
以下では、タンク200内に装着される本発明の中空糸膜モジュールを
図3ないし
図9を参照して具体的に説明する。
【0041】
図3は、本発明の一実施例に係る中空糸膜モジュール100の斜視図で、
図4は、
図3の中空糸膜モジュール100のI―I'線断面図である。
【0042】
本発明の一実施例に係る中空糸膜モジュール100は、第1のヘッダー110、第2のヘッダー120、及び前記第1及び第2のヘッダー110、120間に位置する中空糸膜130を含む。本発明の一実施例によると、第1のヘッダー110の長さL1は、第2のヘッダー120の長さL2より長い。中空糸膜モジュール100の水処理作業中に、第2のヘッダー120は第1のヘッダー110の下方に位置し、中空糸膜130はその長さ方向が水面に対して垂直になるように配列される。
【0043】
本発明の中空糸膜130の製造に使用可能な高分子樹脂は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びポリエステルイミド樹脂のうち少なくとも一つを含む。
【0044】
本発明の一実施例に係る中空糸膜130は、単一膜又は複合膜の形態であり得る。本発明の中空糸膜130が複合膜の形態である場合、中空糸膜130は、チューブ型ブレードと、その表面上にコーティングされる高分子薄膜とを含むことができる。前記チューブ型ブレードはポリエステル又はナイロンで製造することができる。
【0045】
中空糸膜130の一端は、第1の固定層141を通して第1のヘッダー110に固定されている。第1のヘッダー110は、第1及び第2の末端部111、112と、その内部に位置する集水空間とを有し、中空糸膜130は、第1のヘッダー110の集水空間と流体連通している。すなわち、中空糸膜130を透過して中空糸膜130の中空に流入した生産水は、第1のヘッダー110内の集水空間に流れ込む。集水空間に流入した生産水は、第1のヘッダー110の第1の末端部111に位置した排出ポートOPを介して排出される。
【0046】
中空糸膜130の他端は、第2の固定層142を通して第2のヘッダー120に固定されている。本発明の一実施例によると、中空糸膜130を透過した生産水が第1のヘッダー110側のみに流れるように設計されるので、第2のヘッダー120の内部には集水空間が存在しない。しかし、本発明は、このような構造に制限されるものではなく、第2のヘッダー120の内部にも集水空間を有することができ、中空糸膜130を透過した生産水が第2のヘッダー120側にも流れるように設計することができる。
【0047】
一方、本発明によると、中空糸膜モジュール100がタンク200内に装着されるとき、中空糸膜モジュール100の第1のヘッダー110のみが第1及び第2の末端部111、112でタンク200の第1及び第2の段差面211、212によって支持され、第2のヘッダー120は、タンク200と直接連結されないので相対的に自由に動くことができる(これについては、以下で具体的に説明する)。すなわち、タンク200内に複数の中空糸膜モジュール100が装着された状態で水処理作業が進められるとき、互いに隣接する第2のヘッダー120同士の衝突をもたらし、このような衝突が持続する場合、各中空糸膜モジュール100の損傷をもたらし得る。
【0048】
したがって、第2のヘッダー120の動きを制限し、互いに隣接する第2のヘッダー120同士の衝突を防止するために、本発明の中空糸膜モジュール100は、第1及び第2のヘッダー110、120を連結及び支持する支持体150をさらに含む。
【0049】
本発明によると、前記支持体150は、第1及び第2のヘッダー110、120間の距離を所定の範囲内で可変できる方式で前記第1及び第2のヘッダー110、120を支持する。2個の支持体150は、第1及び第2のヘッダー110、120の両末端部に締結部材160でそれぞれ締結することができる。
【0050】
本発明の一実施例によると、支持体150の一末端部は、第1のヘッダー110に形成された溝に挿入された後、締結部材160で固定される。すなわち、第1のヘッダー110は、支持体150の相対的移動を不可能にするために締結された固定ヘッダーである。その一方、第2のヘッダー120は、支持体150の相対的移動を可能にするために締結された移動ヘッダーである。したがって、第1のヘッダー110が支持体150に固定された状態で第2のヘッダー120が支持体150に対して相対的に移動することによって、第1及び第2のヘッダー110、120間の距離を所定の範囲内で可変させることができる。
【0051】
このような本発明の一実施例によると、水処理運転中に中空糸膜130の収縮が発生する場合、モジュール100の外部からの人為的な調整がなくても、中空糸膜130の両末端がポッティングされている各ヘッダー110、120間の間隔を自然に中空糸膜130の収縮程度に合わせて狭めることができる。
【0052】
図3及び
図4で例示した本発明の一実施例は、第1のヘッダー110が固定ヘッダーで、第2のヘッダー120が移動ヘッダーである場合を例示しているが、本発明は、これに制限されるものではない。すなわち、第1のヘッダー110が移動ヘッダーで、第2のヘッダー120が固定ヘッダーである場合もあり、第1及び第2のヘッダー110、120が全て移動ヘッダーである場合もある。
【0053】
以下では、本発明の一実施例に係る移動ヘッダーと支持体の締結構造を
図5を参照して具体的に説明する。
【0054】
図5に例示したように、本発明の一実施例において、移動ヘッダーである第2のヘッダー120は、ヘッダー本体121と、その末端部に位置したガイド部材122とを含む。支持体150の末端にはスリットSが形成されている。スリットSの長さは中空糸膜130の長さの0.5%ないし3%であり得る。支持体150の末端がガイド部材122の溝に挿入された後、締結部材160は、ガイド部材122に形成されたホールHと支持体150のスリットSを順次貫通してヘッダー本体121に挿入固定される。
【0055】
選択的に、前記締結部材160は、ガイド部材122に形成されたホールHと支持体150のスリットSを順次貫通し、ヘッダー本体121には挿入されない場合もある。この場合、締結部材160とガイド部材122との間にタイトな固定が担保されなければならない。
【0056】
締結部材160は、ボディー161及びヘッド162を含むことができる。締結部材160のボディー161は、支持体150のスリットSを介してヘッダー本体121に挿入固定される。
【0057】
移動ヘッダーである第2のヘッダー120に挿入固定された締結部材160は、支持体150のスリットSによって案内され、スリットSの長さ範囲内、すなわち、中空糸膜130の長さの0.5%ないし3%範囲内で前記支持体150に対して相対的に移動できるようになる。言い換えると、前記支持体150が第2のヘッダー120及び締結部材160に対して相対的に移動できるようになり、前記ガイド部材122は支持体150の相対的移動を案内する。
【0058】
結果的に、締結部材160が挿入固定されている第2のヘッダー120は、支持体150が挿入固定されている第1のヘッダー110に対して相対的に移動できるようになる。
【0059】
図3ないし
図5は、移動ヘッダーである第2のヘッダー120が支持体150の相対的移動を案内するためのガイド部材122を有する場合を例示しているが、ガイド部材122は、選択的事項に過ぎないもので、本発明を制限するものではない。すなわち、第2のヘッダー120はガイド部材なしで本体のみで構成され、締結部材160は支持体150のスリットSを貫通して本体に挿入固定される場合もある。この場合、締結部材160は、支持体150のスリットSを介してヘッダー本体121に挿入固定されるボディー161の他に、移動ヘッダーである第2のヘッダー120と支持体150との分離を防止するためのヘッド162を含むことができる。
【0060】
以下では、本発明の更に他の実施例に係る移動ヘッダーと支持体の締結構造を
図6ないし
図9を参照して具体的に説明する。
【0061】
図6に例示した本発明の他の実施例によると、移動ヘッダーである第2のヘッダー120は、ヘッダー本体121と、その末端部に位置したガイド部材122とを含む。ガイド部材122にはスリットSが形成されている。支持体150の末端がガイド部材122の溝に挿入された後、締結部材160は、ガイド部材122に形成されたスリットSを貫通して支持体150の溝Hに挿入固定される。
【0062】
支持体150に挿入固定された締結部材160は、ガイド部材122のスリットSによって案内され、スリットSの長さ範囲内で前記ガイド部材122に対して相対的に移動することができる。このとき、ガイド部材122は、支持体150の相対的移動を案内する。
【0063】
締結部材160は、ボディー161及びヘッド162を含むことができる。締結部材160のボディー161は、ガイド部材122のスリットSを介して支持体150に挿入固定される。締結部材160のヘッド162は、ガイド部材122と支持体150との分離を防止する。
【0064】
結果的に、第2のヘッダー120は、締結部材160が挿入固定されている支持体150、及び支持体150が挿入固定されている第1のヘッダー110の全てに対して相対的に移動できるようになる。
【0065】
図7に例示した本発明の更に他の実施例によると、移動ヘッダーは、ヘッダー本体125と、その末端部に位置したガイド部材126とを含む。ガイド部材126にはオープンされたスリットSが形成されている。支持体150は、その末端部に突起151を含む。
【0066】
支持体150がガイド部材126の溝に挿入されるとき、支持体150の突起151は、前記ガイド部材126のスリットSのオープンされた部分を介してスリットSに挿入される。続いて、前記ガイド部材126のスリットSのオープンされた部分を介して支持体150の突起151が離脱されることを防止するための、すなわち、ガイド部材126と支持体150との分離を防止するためのストッパー172がヘッダー本体125及びガイド部材126に結合される。
【0067】
前記のような構成により、支持体150の突起151は、ガイド部材126のスリットSによって案内され、前記ガイド部材126及び第2のヘッダー120に対して相対的に移動できるようになる。すなわち、移動ヘッダーは、支持体150が挿入固定されている第1のヘッダー110に対して相対的に移動できるようになる。
【0068】
図8に例示した本発明の更に他の実施例によると、支持体150は、その末端部に突起151を含む。移動ヘッダー123の側面には、支持体150の突起151が挿入される溝Gが形成されている。前記溝Gは、支持体150の長さ方向に沿って長く延長されて形成されている。
【0069】
支持体150の突起151が移動ヘッダー123の溝Gに挿入された状態で、移動ヘッダー123と支持体150との分離を防止するためのストッパー171は、前記溝Gが形成された移動ヘッダー123の側面に結合される。
【0070】
前記のような構成により、支持体150の突起151は、移動ヘッダー123の溝Gによって案内され、前記移動ヘッダー123に対して相対的に移動できるようになる。すなわち、移動ヘッダー123は、支持体150が挿入固定されている第1のヘッダー110に対して相対的に移動できるようになる。
【0071】
図9に例示した本発明の更に他の実施例によると、移動ヘッダーは、ヘッダー本体121と、ヘッダー本体121の側面に形成された突起127とを含む。支持体150の末端部には、移動ヘッダーの突起127が挿入されるスリットSが形成されている。
【0072】
移動ヘッダーと支持体150との分離を防止するために、ストッパー173は、前記支持体150のスリットSを通過して突出した前記突起127の末端部に装着される。移動ヘッダーの突起127の長さが短いため、支持体150のスリットSを通過して突出する部分がなくなる場合は、
図8に例示したストッパー171を移動ヘッダーと支持体150との分離を防止するために使用することができる。
【0073】
前記のような構成により、移動ヘッダーの突起127は、支持体150のスリットSによって案内され、支持体150に対して相対的に移動できるようになる。すなわち、移動ヘッダーは、支持体150が挿入固定されている第1のヘッダー110に対して相対的に移動できるようになる。
【0074】
以下では、
図10ないし
図12を参照して本発明のろ過装置の各構成要素間の結合関係を説明する。
【0075】
図10及び
図11は、
図1のろ過装置のA―A'線断面図及びB―B'線断面図である。
【0076】
図10に例示したように、中空糸膜モジュール100の第1のヘッダー110の第1及び第2の末端部111、112は、タンク200内で第1及び第2の段差面211、212によってそれぞれ支持される。すなわち、各中空糸膜モジュール100がタンク200内に直接装着される。したがって、本発明のろ過装置は、各中空糸膜モジュール100を固定させるための別途のフレーム構造を必要とせず、その結果、中空糸膜モジュール100の集積度を向上させることができる。
【0077】
以上説明したように、本発明の中空糸膜モジュール100によると、中空糸膜130の両末端がポッティングされている各ヘッダー110、120間の間隔が可変的である。したがって、中空糸膜130の垂れ下がりがない状態で中空糸膜モジュール100をタンク200内に引き込むことによって、隣接するモジュール又はタンク壁とのぶつかりによる膜の損傷を防止することができる。水処理運転中には、中空糸膜130の収縮が発生するとしても、中空糸膜130の両末端がポッティングされている各ヘッダー110、120間の間隔が中空糸膜130の収縮程度に合わせて自然に狭められるので、膜の収縮によるモジュール100の損傷を防止することができる。
【0078】
タンク200の第1の段差面211にはホールHが形成されており、第1のヘッダー110の排出ポートOPが第1の段差面211のホールHに挿入されることによって、第1のヘッダー110がタンク200の集水空間220と流体連通する。したがって、中空糸膜130を透過した生産水は、中空糸膜130の中空及び第1のヘッダー110の集水空間を経てタンク200の集水空間220に流れるようになる。第1のヘッダー110の排出ポートOPの外周面と第1の段差面211のホールHの内周面との間にO―リングが介在することによって、処理されていない原水がタンク200の集水空間220に流入することを防止することができる。
【0079】
本発明の一実施例によると、タンク200の集水空間220が中空糸膜モジュール100の第1のヘッダー110より低い位置にあるので、すなわち、集水空間220がタンク200内の処理すべき原水の水位より低い場所に位置するので、ろ過作業に必要なエネルギーを節減することができる。
【0080】
一方、本発明の一実施例によると、タンク200上部の開口を介して中空糸膜モジュール100をタンク200内に装着するとき、中空糸膜モジュール100の第2のヘッダー120がタンク200の第1及び第2の段差面211、212に係止されずに通過し得る程度に第2のヘッダー120の長さL2が短い。その一方、中空糸膜モジュール100の第1のヘッダー110は、第1及び第2の段差面211、212によって同時に支持され得る程度にその長さL1が長い。すなわち、中空糸膜モジュール100の第1のヘッダー110の長さL1は、第2のヘッダー120の長さL2より長い。
【0081】
本発明のタンク200内に装着された各中空糸膜モジュール100の下部には散気管400が提供される。散気管400を介して気泡が噴出されることによって、ろ過作業中に中空糸膜130が汚染することを防止することができる。
【0082】
本発明の一実施例によると、タンク200の第1及び第2の段差面211、212には、中空糸膜モジュール100の第1のヘッダー110の第1及び第2の末端部111、112の形状及びサイズに対応する各溝211a、212aがそれぞれ形成されている。第1のヘッダー110の第1及び第2の末端部111、112が前記各溝211a、212aにそれぞれ挿入されることによって、中空糸膜モジュール100の第1のヘッダー110の水平動きを防止することができ、隣接する第1のヘッダー110間の衝突を防止することができる。
【0083】
一方、本発明の中空糸膜モジュール100は、支持体150によって第1及び第2のヘッダー110、120が同時に支持されるので、第1のヘッダー110の水平動きを防止するだけでも第2のヘッダー120同士の衝突を防止することができる。したがって、本発明によると、散気管400から噴出される気泡の影響による中空糸膜モジュール100同士の衝突によって発生する中空糸膜モジュール100の損傷を防止することができる。
【0084】
図12は、本発明の他の実施例によって中空糸膜モジュール100の第1のヘッダー110の第2の末端部112がタンク200の第2の段差面212に固定される方法を例示する。
【0085】
図12に例示した本発明の実施例によると、タンク200内での各中空糸膜モジュール100同士の衝突をより効果的に阻止するために、第1のヘッダー110の第2の末端部112がタンク200の第2の段差面212に形成された溝212aに挿入されるだけでなく、第2の末端部112が締結手段510によって第2の段差面212に固定される。このとき、第1のヘッダー110の第2の末端部112には、前記締結手段510が挿入される締結孔112aが形成されている。
【0086】
一方、本発明によると、膜の汚染防止のための散気工程中に、中空糸膜130の両末端がポッティングされている第1及び第2のヘッダー110、120間の間隔が、散気管400から噴出されて上昇する各気泡によって随時に可変することによって、中空糸膜モジュール100の振動が倍加し得る。
【0087】
より正確には、散気管400から噴出されて上昇する各気泡により、第2のヘッダー120がスリットSの長さ範囲内、すなわち、中空糸膜130の長さの0.5%ないし3%範囲内で上下に振動するようになる。
【0088】
また、第2のヘッダー120が上方に動くとき、第1及び第2のヘッダー110、120間の間隔が中空糸膜130の長さより小さくなり、中空糸膜130の垂れ下がりが瞬間的に発生し、中空糸膜130の垂れ下がり部位は、散気管400から噴出されて上昇する気泡に大きい力でぶつかるようになる。
【0089】
散気過程で第2のヘッダー120の振動深化及び中空糸膜130の垂れ下がり発生は散気効率を極大化させるようになり、結局、膜汚染の最小化をもたらす。