(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態のプリント配線板は、複数の基材を備える多層構造の配線板である。本実施形態のプリント配線板1は柔軟性があり、変形可能なフレキシブルプリント配線板(FPC)である。本実施形態では、プリント配線板を、ZIF(Zero Insertion Force)コネクタに挿入して使用する場合を例にして説明するが、本発明は、プリント配線板の厚みを利用して嵌合力を得る非ZIFコネクタやバックボードコネクタなどのコネクタにも適用できる。本実施形態では、フレキシブルなプリント配線板を例にして説明するが、リジットフレキシブルプリント配線板などのタイプのプリント配線板にも適用できる。
【0021】
以下、図面に基づいて、本実施形態のプリント配線板1について説明する。本明細書では、説明の便宜上、平面視において、プリント配線板1をコネクタと接続する際にコネクタに接近する方向を接続方向(図中+Y方向,接続方向I)と称して説明し、接続方向と略直交する方向を幅方向(図中+X/−X方向,幅方向W)と称して説明する。また、プリント配線板1の積層方向に関し、プリント配線板1の積層構造における上層側又は上面方向を、上側(図中+Z方向)と称して説明し、プリント配線板の積層構造における下層側又は下面方向を、下側(図中−Z方向)と称して説明する。積層される各基材が有する一方の主面と他方の主面のうち、上面(図中+Z方向側の面)を「一方主面」と称して説明し、各基材の下面(図中−Z方向側の面)を「他方主面」と称して説明する。なお、「何れか一方の主面」というときは、一方主面又は他方主面のどちらかの主面であり、一方主面又は他方主面に限定されない。
【0022】
図1〜
図4A,
図4Bに基づいて、本実施形態のプリント配線板1の基本的な態様を説明する。
図1は本実施形態のプリント配線板1の平面図であり、
図2は本実施形態のプリント配線板1の底面図である。
図3は、
図1に示すA−A線に沿う断面図である。本例では、説明を簡潔にするために、3層の積層構造を例にして説明するが、本実施形態のプリント配線板1の積層数は限定されない。
図4Aは、パッドと、複数の基材のうち一の基材に設けられた配線と、補強層との関係を模式的に示す斜視図である。説明の便宜のため、
図4Aでは、隣接する基材に設けられた配線、補強層及びパッドを抽出して示す。
図4Aに対応する
図10A、
図16及び
図19においても同様に、隣接する基材に設けられた配線、補強層及びパッドを抽出して示す。
【0023】
本実施形態のプリント配線板1は、複数の基材を備える。本実施形態の基材は、第1基材31、第2基材32を少なくとも含む。本実施形態のプリント配線板1は、第3基材33を含む。本実施形態のプリント配線板1は、第1基材31、第2基材32、第3基材33とは異なる構造の他の基材34を、一又は複数含んでもよい。本実施形態において、他の基材34は、パッド15a,17aと電気的に接続しない配線を備える基材である。以下、第1基材31、第2基材32、第3基材33、他の基材34を総称して、基材3と称することもある。
【0024】
図1、2に示すように、本実施形態のプリント配線板1は、接続方向(差込方向)Iの少なくとも一方の端部に接続端部13を有する。プリント配線板1をコネクタに接続する際に、接続端部13は、図中に示した接続方向Iの方向(図中+Y方向)に動かされ、後述するコネクタの挿入口に挿入される。この接続端部13の挿入時において、コネクタ挿入口に向かって移動するときの前方を、接続方向Iの前方側と定義する。
【0025】
本実施の形態のプリント配線板1は、複数の基材3を備えた多層構造の配線板である。プリント配線板1は、第1基材31と第2基材32とを少なくとも備える。図示はしないが、本実施形態のプリント配線板1は、一又は複数の第3基材33を備えてもよい。本実施形態のプリント配線板1は、一又は複数の他の基材34を備えてもよい。
図1〜
図3には、第1基材31を最上側に配置し、第2基材32を最下側に配置し、第3基材33を第1基材31と第2基材32との間に配置したプリント配線板1を例示するが、積層の態様はこれに限定されない。第3基材33は、第1基材31の一方主面側又は他方主面側に積層してもよいし、第2基材32の一方主面側又は他方主面側に積層してもよい。積層する第3基材33の数は限定されない。また、第1基材31の一方主面側に第3基材33を積層しつつ、第2基材32の他方主面側にも他の第3基材33を積層してもよい。さらに、第1基材31と第2基材32との間に一枚の第3基材33を配置し又は複数の第3基材33を積層してもよい。さらにまた、他の基材34の配置位置、配置数は限定されない。このように、多層構造の態様は使用時の要求に応じて適宜に変更できる。
【0026】
本実施形態の第1基材31、第2基材32、第3基材33、他の基材34を含む基材3は、可撓性を有する。各基材3は絶縁性樹脂により形成される。絶縁性樹脂は、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンナフタレートを含む。第1基材31、第2基材32、第3基材33、他の基材34は、同じ樹脂から作製してもよいし、異なる樹脂から作製してもよい。
【0027】
以下、本実施形態のプリント配線板1が備える各基材3について説明する。
まず、第1基材31について説明する。
図1に示すように、第1基材31は、他のコネクタに電気的に接続される複数のパッド15,17を有する。複数のパッド15,17は、第1基材31の何れか一方の主面に形成される。
【0028】
図1に示すプリント配線板1は、第1基材31の上面側の、接続端部13を含む所定領域にパッド15,17が設けられている。パッド15,17は、接続方向Iに沿って異なる位置に前後二列に配置されている。接続方向Iに沿って接続端部13の外縁側(図中+Y側)にパッド15を配置し、その手前側(図中−Y側)にパッド17を配置する。幅方向W(+/−X方向)に沿って隣り合う二つのパッド15の中央位置に、パッド17の中央位置が合うように配置される。
【0029】
パッド15a,17aの配列は、これに限定されず、前列のパッド15aの幅方向W方向に沿う位置と、後列のパッド17aの幅方向Wに沿う位置とを、同じ位置としてもよい。この場合には、前列のパッド15aと後列のパッド17aが接続方向Iに沿って一直線上に並ぶ。本態様においては、前列のパッド15aは第1基材31の他方主面又は他の層で第1配線9と接続し、後列のパッド17aは第1基材31の一方主面で第2配線11と接続する。この配置によれば、同じ数のパッドを
図1に示すように交互に配置にする場合と比べて、プリント配線板1の幅を小さくできる。
【0030】
本実施形態では、一枚の第1基材31を備えるプリント配線板1を例に説明するが、両面で電気的な接続を図る観点から、複数の第1基材31を備えるようにプリント配線板1を構成してもよい。本実施形態のプリント配線板1は、その一方主面側に複数のパッド15,17が形成されたタイプの第1基材31及び他方主面側に複数のパッド15,17が形成されたタイプの第1基材31の二枚の第1基材31を有する構成としてもよい。具体的に、
図1〜4に示すプリント配線板1は、最上面となる第1基材31の一方主面(
図4Aの+Z側の最上面)にパッド15,17を設けたが、もう一枚の第1基材31をプリント配線板1の最下層側に積層し、最下面となる第1基材31の他方主面(
図4Aの−Z側の最下面)にパッド15,17を形成する。この構成により、一方主面側及び他方主面側の両面側においてコネクタと接続できる両面接続型のプリント配線板1を提供できる。出力する情報量の増大を図りつつ、薄型化・小型化を実現できる。
【0031】
パッド15a及びパッド17aの最上面は、表面処理が施されている。表面処理層18,19は導電性を有する。本実施形態では、表面処理としてめっき処理を行う。表面処理層18,19は耐腐食性や耐摩耗性等を備え、パッド15a,17aを保護する。本実施形態では、表面処理として金めっき処理を行う。金めっき処理によって形成される金めっき層の形成に用いる材料は特に限定されない。下層にニッケル層を含んでもよい。めっき層などの表面処理層の形成手法も特に限定されない。出願時に知られた材料及び手法を適宜に用いることができる。表面処理層18,19は、導電性カーボン層や半田層などとしてもよい。
【0032】
コネクタとの接点として機能することができれば、パッド15及びパッド17を設ける場所は特に限定されない。パッド15及びパッド17は、第1基材31の一方主面又は他方主面の何れか一方の主面に設けてもよい。なお、パッド15及びパッド17が設けられる第1基材31の積層位置は限定されないので、パッド15及びパッド17が設けられた第1基材31の主面に第1基材31以外の基材(第2基材32、第3基材33又は他の基材34)が積層される場合がある。この場合には、コネクタとの接点として機能できるように、パッド15及びパッド17を露出させた状態(接触可能な状態)とする。パッド15及びパッド17は、後述する第1配線9,第2配線11が形成される基材3に形成してもよいし、第1配線9,第2配線11が形成される基材3とは異なる基材3に形成してもよい。パッド15及びパッド17は、後述する第1配線9,第2配線11が形成される主面に形成してもよいし、第1配線9,第2配線11が形成される主面とは異なる主面に形成してもよい。パッド15及びパッド17は、後述する補強層R1,R2が形成される基材3に形成してもよいし、補強層R1,R2が形成される基材3とは異なる基材3に形成してもよい。パッド15及びパッド17は、後述する補強層R1,R2が形成される主面に形成してもよいし、補強層R1,R2が形成される主面とは異なる主面に形成してもよい。
【0033】
本実施形態のパッド15,パッド17は、第2基材32又は第3基材33のいずれかに形成された配線と電気的に接続される。本実施形態では、第1基材31に形成されたパッド15,パッド17が、第2基材32、第3基材33に形成された第1配線9,第2配線11と電気的に接続させた例を一例として説明する。
【0034】
次に、第2基材32について説明する。
図1に示すように、第2基材32は、第1基材31の何れか一方の主面側(一方主面又は他方主面のどちらかの主面)に直接又は後述する第3基材33又は他の基材34を介して積層される。第2基材32の何れか一方の主面には、複数の第1基材31〜第3基材33、他の基材34のうちの何れか一つ以上の基材3を貫通するビア24,25を介して、一つ以上のパッド15,17に電気的に接続される第1配線9,第2配線11が形成されている。ビア24,25が形成される基材3には、第1基材31、自身となる第2基材32、第3基材33、他の基材34を含む。第2基材32のいずれか一方の主面とは反対側の他方の主面に、パッド15,17に電気的に接続される第1配線9,第2配線11を形成してもよい。もちろん、第2基材32の一方主面及び他方主面の両面に第1配線9,第2配線11を形成してもよい。
【0035】
続いて、第3基材33について説明する。
本実施形態のプリント配線板1は、第1基材31と第2基材32に加えて、第3基材33を備える。
図3には、一枚の第3基材33を含むプリント配線板1を一例として示すが、プリント配線板1は、複数の第3基材33を備えてもよい。本実施形態では、第3基材33が第1基材31と第2基材32の間に配置された例を示すが、第1基材31の上側(
図3の+Z方向)に積層してもよいし、第2基材32の下側(
図3の−Z方向)に積層してもよい。
【0036】
第3基材33は、この第3基材33の一方の主面及び/又は他方の主面に形成された第1配線9,第2配線11を有する。第3基材33の第1配線9,第2配線11は、少なくとも何れか一つ以上の基材3を貫通するビア24,25を介して、パッド15,17に電気的に接続される。
【0037】
他の基材34は、パッド15a,17aと電気的に接続しない配線を一方の主面又は両主面に備える基材である。
【0038】
次に、第1配線9,第2配線11について説明する。
本実施形態の第1配線9及び第2配線11は、一又は複数の基材3の主面に、プリント配線板1の幅方向(
図1に示すW方向)に併設されるとともに、接続方向Iに沿って延在する。第1配線9及び第2配線11は、導電性材料を用いて形成される。導電性材料としては、例えば銅または銅合金を用いることができる。また、第1配線9及び第2配線11の表面(露出面)には、表面処理層(例えば、金属めっき層)43を形成してもよい。
【0039】
本実施形態の第1配線9及び第2配線11は、基材3(第1基材31、第2基材32、第3基材33、及び他の基材34の何れか一つ以上を含む)を貫通するビア24,25を介して、一つ以上のパッド15a,17aに電気的に接続される。本実施形態の第1配線9,第2配線11は、第1基材31の何れか一方の主面に、直接又は第1基材31以外の基材3(第2基材32、第3基材及び/又は他の基材34)を介して積層される第2基材32の何れかの主面に形成される。本実施形態の第1配線9及び第2配線11は、第1基材31に形成された一つ以上のパッド15a,17aに基材3を貫通するビアを介して、パッド15a,17aに電気的に接続される。
パッド15a,パッド17aと第1配線9,第2配線11との接続関係は特に限定されず、出願時に知られた多層型のプリント配線板の製造手法を適宜に適用し、所望の接続関係を実現できる。なお、
図3に示す例では、説明の便宜のために、第2基材32、第3基材33に形成される第1配線9(32,33)及び第2配線11(32、33)が同じパターンである例を示したが、異なるパターンとしてもよい。
【0040】
図3に示すように、プリント配線板1の最下層に配置された第2基材32は、その他方主面に、前列のパッド15aに接続された第1配線9(32)と、後列のパッド17aに接続された第2配線11(32)とを有する。第2基材32の主面の何れか一方の主面又は両方の主面に第1配線9(32)及び/又は第2配線11(32)を形成してもよい。
【0041】
図3に示すように、第1基材31と第2基材32との間に配置された第3基材33は、一方主面及び他方主面の両面に第1配線9,第2配線11を備える。第3基材33の両主面には、前列のパッド15aに接続された第1配線9(33)と、後列のパッド17aに接続された第2配線11(33)とが、それぞれ形成されている。第3基材33の主面の何れか一方の主面のみに第1配線9(33)及び/又は第2配線11(33)を形成してもよい。
【0042】
図示はしないが、プリント配線板1の最上層に配置された第1基材31の一方主面に、前列のパッド15aに接続された第1配線9と、後列のパッド17aに接続された第2配線11を設けてもよい。つまり、第1基材31の一方主面に、パッド15,17及び第1配線9,第2配線11を形成してもよい。第1配線9及び第2配線11を共に、第1基材31の最上面に形成する場合には、
図1に示すように上面側カバーレイ5を設けることが好ましい。第1配線9及び第2配線11を共に、第1基材31の最上面以外の面に形成する場合には、上面側カバーレイ5は設けなくてもよい。また、第1基材31の他方主面に、第1配線9,第2配線11を設けてもよい。この場合には、第3基材33との間に絶縁層を介在させる。もちろん、プリント配線板1の最上層に配置された第1基材31の主面の何れか一方の主面又は両方の主面に、第1配線9(33)及び/又は第2配線11(33)を形成してもよい。
【0043】
なお、第3基材33と第2基材32とが積層方向に沿って隣り合う位置に積層されるプリント配線板1において、第3基材33と第2基材32との間に形成された第1配線9,第2配線11は、第2基材32の一方(又は他方)の主面に形成された第1配線9(32),第2配線11(32)とも表現される場合があり、第3基材33の他方(又は一方)の主面に形成された第1配線9(33),第2配線11(33)とも表現される場合がある。
【0044】
図3及び
図4Aに示すように、前列の各パッド15aと、第3基材33の一方主面に配置された第1配線9(33)とは、第1基材31を貫通するビア24を介して接続される。後列の各パッド17aと、第3基材33の一方主面に配置された第2配線11(33)とは、第1基材31を貫通するビア25を介して接続される。図示例では、ビア24,25は、パッド15a,17aに対して各1つ設けられているが、パッド15a,17aの安定性向上や電気抵抗の低減等の観点から、ビア24,25は各パッド15a,17aに対して2つ以上設けてもよい。
【0045】
また、
図4Aに示すように、本実施形態の第1配線9及び第2配線11は、上方の各パッド15a,17aに対応する位置に拡幅部9a,11aを有する。拡幅部9a,11aは、他の電子部品のコネクタとは直接接触しない。拡幅部9a,11aは、パッド15a,17aの箇所においてプリント配線板1の厚さを均一に保つ。これにより、耐クリープ性を向上させる。第1配線9及び第2配線11の、パッド15a,17aに対応する位置に拡幅部9a,11aを設けることにより、拡幅部9a,11aの範囲内において、コネクタと接触する高さを均一にできる。プリント配線板1とコネクタとの接触位置が多少ずれても、拡幅部9a,11aの範囲内において、コネクタと接触する高さを保つので、耐クリープ性を向上させることができる。このため、パッド15a,17aとコネクタとの安定した接続状態を長期間に亘って維持できる。特に、本実施形態のように、拡幅部9a,11aを、パッド15a,17aに対応した形状とすることで、上述した効果をより確実に得ることができる。一方、第1基材31の一方主面側のパッド15a,17aに対応する、第1基材31の他方主面側の位置に拡幅部がない場合には、接着層がクリープ変形することがある。特に、高温環境下では接着層のクリープ変形が顕著となる。プリント配線板1の接着層がクリープ変形すると、プリント配線板1の厚さが不均一となる。その結果、プリント配線板1の電気接触性が悪化するおそれがある。
【0046】
本実施形態では、拡幅部9a,11aの形状を、パッド15a,17aの形状に対応した形状とする。本実施形態では、拡幅部9a,11aの形状を、パッド15a,17aの形状と略同一の長方形の形状とする。パッド15a,17aと他の電子部品のコネクタとの接触安定性が損なわれない範囲において、拡幅部9a,11aをパッド15a,17aよりも小さくまたは大きく形成してもよい。拡幅部9a,11aを設けないことも可能である。積層方向(図中Z方向)において、パッド15a,17aに対応する位置に拡幅部9a,11aが形成されていない主面には、拡幅部9a,11aに代えて、補強部を形成してもよい。パッド15a,17aにおける接触を安定させるためである。
【0047】
上述したように、第1配線9,第2配線11を設ける場所は特に限定されない。第1配線9,第2配線11は、第1基材31の一方主面又は他方主面の何れか一方の主面に設けてもよい。第1配線9,第2配線11は、第2基材32の一方主面又は他方主面の何れか一方の主面に設けてもよい。第1配線9,第2配線11は、第3基材33の一方主面又は他方主面の何れか一方の主面に設けてもよい。第1配線9を第1基材31の一方主面又は他方主面に設け、第2配線11を第1配線9が設けられた第1基材31の主面とは反対側の一方主面又は他方主面に設けてもよい。第1配線9を第2基材32の一方主面又は他方主面に設け、第2配線11を第1配線9が設けられた第2基材32の主面とは反対側の一方主面又は他方主面に設けてもよい。第1配線9を第3基材33の一方主面又は他方主面に設け、第2配線11を第1配線9が設けられた第3基材33の主面とは反対側の一方主面又は他方主面に設けてもよい。また、第1配線9及び/又は第2配線11は、複数の基材3の主面に形成することができる。第1配線9及び/又は第2配線11は、複数の異なる主面に形成することができる。第1配線9をいずれかの基材3の一方主面又は他方主面に設け、この第1配線9が設けられた主面以外の、基材3の一方主面又は他方主面に、第2配線11を設けてもよい。
【0048】
第1配線9,第2配線11は、パッド15,17と同じ基材3に形成してもよいし、異なる基材3に形成してもよい。第1配線9,第2配線11は、パッド15,17と同じ主面に形成してもよいし、異なる主面に形成してもよい。
【0049】
第1配線9,第2配線11は、後述する補強層R1,R2と同じ基材3に形成してもよいし、異なる基材3に形成してもよい。第1配線9,第2配線11は、後述する補強層R1,R2と同じ主面に形成してもよいし、異なる主面に形成してもよい。
【0050】
また、第1配線9,第2配線11の配置に関し、前列のパッド15aに接続された第1配線9と、後列のパッド17aに接続された第2配線11との両方を、第3基材33の一方主面又は他方主面、第2基材32の一方主面又は他方主面、第1基材31の一方主面又は他方主面に配置することにより、プリント配線板1の最上面側(第1基材31の一方主面側)の配線をなくすことができる。こうすることで、プリント配線板1の表面にチップその他の電子部品を実装するためのスペースを広くとることができる。また、プリント配線板1の一方主面側の配線をなくすことにより、上面側カバーレイ5を省略することができる。上面側カバーレイ5を省略することにより、上面側カバーレイ5の端部に第1配線9,第2配線11の曲げ応力が集中することを抑制できる。この結果、第1配線9,第2配線11の曲げ応力の集中による断線を防止できる。
【0051】
第1基材31の一方主面(上面,+Z方向の面)には、接着層4を介して上面側カバーレイ5が貼り合わされている。第2基材32の他方の面(上面とは反対の下面、−Z方向の面)には、接着層6を介して下面側カバーレイ7が貼り合わされている。上面側カバーレイ5及び下面側カバーレイ7は、絶縁層を形成する。上面側カバーレイ5及び下面側カバーレイ7は、ポリイミド等の絶縁性樹脂フィルムを貼着すること、又は熱硬化インクや紫外線硬化インク又は感光性インクを、塗布及び硬化することにより形成できる。第2基材32の他方主面に貼り合わされた下面側カバーレイ7の外側面には、さらに接着層21を介して補強フィルム23が貼り合わされている。補強フィルム23は、例えば、ポリイミド製のフィルムを用いることができる。
【0052】
本実施形態の上面側カバーレイ5、下面側カバーレイ7は、後述する補強層R1,R2の表面を覆うように配置することが好ましい。なお、
図5は、補強層R1,R2を覆うように形成された上面側カバーレイ5の態様例を示す。上面側カバーレイ5は、その右側端部に、接続方向Iに沿って接続端部13側に延びる延在部5a´,5b´を有する。パッド15a,17aの下層に配置された配線9a,11aと別体として形成された補強層R1、R2に対応する領域が上面側カバーレイ5の延在部5b´により覆われている。同図に示すように、パッド15,パッド17が配置される所定領域は、上面側カバーレイ5により覆われていない。補強層R1,R2の表面を覆う延在部5a´,5b´を有する上面側カバーレイ5、下面側カバーレイ7を設けることにより、プリント配線板1の引き抜き方向に係る力に対する耐性を向上させることができる。
【0053】
次に、本実施形態のプリント配線板1の被係合部28,29について説明する。
本実施形態のプリント配線板1は、一又は複数の被係合部28,29を備える。被係合部28,29は、コネクタに接続される接続端部13に形成され、コネクタの係合部に引き抜き方向で係止される構造を有する。被係合部28,29は、プリント配線板1の接続対象である他の電子部品との係合部(例えば後述するコネクタに設けられたタブ状のロック部材)に、引き抜き方向(接続方向Iとは逆向き)の力により係止される。
【0054】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のプリント配線板1は、接続端部13の幅方向Wの左右両側の端縁の少なくとも一方の端縁又は両方の端縁に被係合部28,29を備える。本実施形態では、幅方向Wの左右両側の端縁に被係合部28,29を設ける。プリント配線板1の左右両側で基材3を係止するので、耐引き抜け性を向上させ、安定した係合状態を維持できる。左右の被係合部28,29は、接続方向I(図中Y軸方向)に沿って同じ位置に形成される。これにより、左右の被係合部28,29にかかる力を均等にできるので、安定した係合状態を維持できる。
【0055】
図1及び
図2に示す被係合部28,29は、接続端部13の側縁部分に形成された切欠き部により構成される。被係合部28,29の態様は限定されない。被係合部28,29を構成する切欠き部は、積層された基材3の全部を同じ形状に切り欠く態様であってもよいし、上面又は下面に近づくに従って切欠き部(切除される部分)の面積(XY平面の面積)が減少又は増加するような構造としてもよい。積層された基材3の上面側の一部又は下面側の一部を切り欠くことなく残す構造としてもよい。切欠き部に基材3の外縁を含んでもよいし、
図6に示すように、基材3の外縁を含まない貫通孔として形成してもよい。被係合部28,29は、下面側の基材が非貫通である有底の凹部として形成してもよいし、上面側の基材が残る有蓋の凹部として形成してもよい。
【0056】
次に、本実施形態のプリント配線板1の補強層R1,R2について説明する。
本実施形態のプリント配線板1の補強層R1,R2は、他の電子部品との接続方向Iを基準とし、被係合部28,29の接続方向Iの前方側に設けられている。
図1、
図2、
図6及び
図7に示す例では、補強層R1,R2は、第2基材32の他方主面(下側主面)に設けられている。
図6、
図7には、被係合部28、補強層R1を示すが、被係合部29、補強層R2についても同じである。この点は、後述する
図11、
図12、及び
図20、
図21においても同様である。
【0057】
補強層R1,R2が設けられる基材3及び主面は特に限定されない。補強層R1,R2は、第1基材31、第2基材32及び第3基材33を含む基材3のうち少なくとも何れか一つ以上の基材3が有する一方主面及び/又は他方主面に、コネクタとの接続方向Iを基準とし、被係合部28,29の前方側に配置される。
【0058】
図4Aは、パッド15a,17aにビア24,25を介して接続される第1配線9,第2配線11が設けられた層に、補強層R1(R2)が設けられた例を示すが、補強層R1,R2は、パッド15a,17a、第1配線9,第2配線11が形成されていない他の基材34の主面に、配線と別体に形成してもよい。他の基材34に形成された配線は、パッド15a,17aと電気的に接続しない。
【0059】
図4Bは、
図4Aに示すプリント配線板1とは異なる態様のプリント配線板1の例を示す。
図4Bに示すプリント配線板1は、3層の導電層を備える。
図4Bに示すプリント配線板1は、その最上層の前列にはパッド15aが配置され、その後列側にはパッド17aと、これに接続する配線11が配置されている。その下の二番目の層の前列側には拡幅部9aと、これに連なる第1配線9が設けられ、その後列側には拡幅部11aのみが設けられている。さらに下側の三番目の層である最下層の前列及び後列には、第1配線9´及び拡幅部9a´と、第2配線11´及び拡幅部11a´とが形成されている。最下層の拡幅部9a´と拡幅部11a´の一方又は両方の近傍に補強層R1が別体として設けられている。多層構造のプリント配線板1において、最上層の前列のパッド15aは、ビア24を介して二番目の層の前列の第1配線9の拡幅部9aに電気的に接続される。最下層の前列の第1配線9´及び拡幅部9a´と、後列の第2配線11´と拡幅部11a´は、最上層のパッド15a,拡幅部11a、二番目の層の拡幅部9a、拡幅部11aとは電気的に接続しない。この最下層の前列の拡幅部9a´をパッド15a´に対応する位置に設け、最下層の後列の拡幅部11a´を最上層の拡幅部11aに対応する位置に設けることにより、プリント配線板1の厚さを均一に保つことができる。
図4Bでは、補強層R1,R2を、他の基材34の配線と別体に形成する例を説明したが、補強層R1,R2を、他の基材34に形成された配線と一体に形成してもよい。この場合には補強層R1,R2の面積が大きくなるので係止強度を高めることができる。
【0060】
このように、パッド15a,17aとは電気的に接続しない配線を備える他の基材34の一方又は他方の主面に補強層R1,R2を設けることにより、パッド15a,17a、第1配線9,第2配線11と別体として設けた補強層R1,R2の効果を高めることができる。つまり、補強層R1、R2が、コネクタと電気的に接続するパッド15a,17a、第1配線9,第2配線11が形成されていない他の基材34の主面に設けられ、しかも、配線と別体として形成されることにより、短絡する可能性をより低減させることができる。この結果、短絡のリスクを低減させつつ、引き抜き耐性を高めることができる。
【0061】
本実施形態のプリント配線板1において、接続端部13の端縁に、コネクタに対して引き抜き方向で係止される被係合部28,29を設け、コネクタとの接続方向Iを基準に被係合部28,29の前方側に補強層R1,R2を設けるので、引き抜き方向の力がかかる被係合部28,29の前方側の強度を高めることができる。被係合部28,29を接続端部13の左右の端縁に設けることにより、引き抜き方向の力を左右の被係合部28,29で受けることができるので、コネクタとの係止が安定する。これにより、プリント配線板1を薄型化、小型化しても、コネクタとの十分な係止力(耐引き抜け性)を確保できる。
【0062】
補強層R1,R2は、第1配線9,第2配線11と同じ材料から形成してもよいし、異なる材料から形成してもよい。補強層R1,R2は、パッド15,17と同じ材料から形成してもよいし、異なる材料から形成してもよい。特に限定されないが、所定の強度が得られることを条件に、補強層R1,R2は、熱硬化インクや紫外線硬化インク、感光性インク、樹脂、銀や半田などの金属など、他の材料から形成することができる。補強層R1,R2を第1配線9,第2配線11と同じ材料から構成することにより、プリント配線板1の強度を均等にすることができる。また、補強層R1,R2を第1配線9,第2配線11と同じ材料から構成することにより、補強層R1,R2を形成するための製造工程を簡略化することができ、コストも低減できる。
【0063】
補強層R1,R2は、第1配線9,第2配線11と同じ厚さに形成してもよいし、異なる厚さに形成してもよい。補強層R1,R2は、パッド15,17と同じ厚さに形成してもよいし、異なる厚さに形成してもよい。特に限定されないが、所定の強度が得られることを条件に、補強層R1,R2は、第1配線9,第2配線11よりも厚くまたは薄く形成することができる。補強層R1,R2は、パッド15,17よりも厚くまたは薄く形成することができる。
【0064】
本実施形態では、補強層R1,R2の厚さを、同一主面に形成された第1配線9,第2配線11の厚さと同じ厚さとする。これにより、コネクタとの接続された際の耐引き抜け性を高めることができることに加えて、基材間の距離を均一にすることができ、プリント配線板1の厚さを均一にできる。
【0065】
補強層R1,R2の幅(幅方向Wに沿った長さ)は、被係合部28,29の幅の100%以上とすることが好ましい。これにより、十分な引き抜け強度を確保できる。補強層R1,R2の長さ(接続方向Iに沿った長さ)は、補強層R1,R2の強度と材質等に応じて、適宜に設定できる。
【0066】
補強層R1,R2は、第1基材31の一方主面又は他方主面の何れか一方の主面に形成してもよいし、両方の主面に設けてもよい。補強層R1,R2は、第2基材32の一方主面又は他方主面の何れか一方の主面に形成してもよいし、両方の主面に形成してもよい。補強層R1,R2は、第3基材33の一方主面又は他方主面の何れか一方の主面に形成してもよいし、両方の主面に形成してもよい。補強層R1,R2は、パッド15,17と同じ基材3に形成してもよいし、異なる基材3に形成してもよい。補強層R1,R2は、パッド15,17と同じ主面に形成してもよいし、異なる主面に形成してもよい。補強層R1,R2は、第1配線9と同じ基材3に形成してもよいし、異なる基材3に形成してもよい。補強層R1,R2は、第2配線11と同じ主面に形成してもよいし、異なる主面に形成してもよい。補強層R1,R2は、複数の基材3に形成することができる。補強層R1,R2は、複数の主面に形成することができる。本実施形態の補強層R1,R2は第1配線9及び/又は第2配線11が形成された主面のうち、一又は複数の主面に設けることができる。本実施形態の補強層R1,R2はパッド15,17が形成された主面のうち、一又は複数の主面に設けることができる。
【0067】
本実施形態の補強層R1,R2は、第1配線9,第2配線11が設けられた主面に形成することができる。第1配線9,第2配線11が複数の主面に設けられている場合には、補強層R1,R2は、第1配線9,第2配線11が形成された主面のうち、一又は複数の主面に形成することができる。本実施形態の補強層R1,R2は、第1配線9,第2配線11が設けられていない主面に形成することができる。補強層R1,R2の配置の自由度は確保される。
【0068】
本実施形態の補強層R1,R2は、第1配線9,第2配線11と別体として形成できる。
独立した補強層R1,R2を形成する場合に、補強層R1,R2の形状は特に限定されない。
図1,2に示すように、補強層R1,R2の形状を矩形としてもよい。
図7(a)に示すように、補強層R1,R2の形状を楕円形や円形としてもよい。
図7(b)に示すように、被係合部28,29の外縁に沿う形状としてもよい。
図7(c)に示すように、貫通孔として形成された被係合部28,29の内縁に沿う形状としてもよい。
図7(a)のように(
図1、2、6に示す態様も同様)、補強層R1,R2の縁部がプリント配線板1の外縁に接しない形状とすることが好ましい。補強層R1,R2の端部がプリント配線板1の外縁に接する構造の場合は、プリント配線板1の製造時において、金型で打ち抜き加工をする際に、金型が補強層R1,R2を直接裁断する。補強層R1,R2が銅箔などの金属で構成されている場合には、これを裁断することにより金型が摩耗・欠損しやすくなる。補強層R1,R2の端部を露出しないように配置することで、金型の摩耗・損傷を抑制できる。その結果、製造コストを低減させることができる。
【0069】
一般にコネクタの端子はグランド接点に接続されている。補強層R1,R2を第1配線9,第2配線11と一体に形成し、かつ該補強層R1,R2を
図7(b),(c)で示す態様のように被係合部28,29を取り囲む形状とすると、第1配線9,第2配線11の信号が補強層R1,R2及び他の電子部品のコネクタを通じてグランドに短絡するおそれがある。本実施形態の補強層R1,R2は、第1配線9,第2配線11と別体であり、第1配線9,第2配線11と電気的に接続しない。このため、パッド15a,17aの信号が補強層R1,R2及び他の電子部品のコネクタの係合部を介してグランドに短絡することを防止できる。
【0070】
本実施形態の補強層R1,R2は、第1配線9,第2配線11と一体として形成できる。
補強層R1,R2を第1配線9,第2配線11と一体として形成した場合の平面図を
図8に示し、底面図を
図9に示し、第1配線9,第2配線11と補強層R1,R2との関係を
図10Aに示す。
図10Bには、3層の導電層を備える例を示す。
図8は
図1に対応し、
図9は
図2に対応し、
図10A及び
図10Bは
図4A及び
図4Bに対応する。ここでは第2基材32の他方主面に補強層R1,R2が設けられた例を用いて説明するが、補強層R1,R2が設けられる主面及びその数は限定されない。
【0071】
図10Aは、パッド15a,17aにビア24,25を介して接続される第1配線9,第2配線11が設けられた層が2層である例を示すが、3層としてもよい。その例を
図10Bに示す。
【0072】
図10Bに示す例のプリント配線板1は、両面においてコネクタとの接点を有する。つまり、最上層にはパッド15a,17aが設けられている。その下の二番目の層には第1配線9及び拡幅部9a,第2配線11及び拡幅部11a,補強層R1,R2が設けられ、さらに下側の三番目の層である最下層には、パッド15a´,17a´が設けられている。
図10Bに示す多層構造のプリント配線板1において、最上層の前列のパッド15aは、ビア24を介して二番目の層の前列の第1配線9の拡幅部9aに電気的に接続される。最下層の後列のパッド17a´は、ビア25´を介して二番目の層の後列の第2配線11の拡幅部11aに電気的に接続される。最下層の前列のパッド15a´は、他のパッド15a,第1配線9,第2配線11と接続しない。この最下層の前列のパッド15a´を、パッド15a,拡幅部9aに対応する位置に設けることにより、プリント配線板1の厚さを均一に保つことができる。同様に、最上層の後列のパッド17aを、パッド17a´,拡幅部11aに対応する位置に設けることにより、プリント配線板1の厚さを均一に保つことができる。
図10Bの最上層の後列の、ビア24,25が接続されていないパッド17aは、最下層の前列の、ビア24,25が接続されていないパッド15a´と同様に、プリント配線板1の厚さを一定に保つために形成されている。また、このビア24,25が接続されていないパッド15a´,パッド17aは設けなくてもよい。
【0073】
このように、多層構造の内層の主面に補強層R1,R2を設けることにより、パッド15a,17a、第1配線9、第2配線11と一体として設けた補強層R1,R2の効果を高めることができる。つまり、補強層R1、R2が、最上層又は最下層に形成されるよりも、短絡のリスクを相対的に低減させることができる。また、補強層R1,R2を第1配線9,第2配線11と一体として形成することにより、面積の広い補強層R1,R2を構成できる。この結果、プリント配線板1の引き抜き耐性を高めることができる。
【0074】
第1配線9,第2配線11と連なる補強層R1,R2を形成する場合に、補強層R1,R2の形状は特に限定されない。
図8〜11に示すように、補強層R1,R2の形状を矩形としてもよい。
図12(a)(b)(c)に示すように、一部に曲線を有する形状、
図12(b)に示すように被係合部28,29の外縁に沿う形状、
図12(c)に示すように被係合部28,29を取り囲む形状としてもよい。なお、
図11及び
図12(a)に示す例のように、補強層R1,R2の縁部がプリント配線板1の外縁に接しない形状とすることが好ましい。このように補強層R1,R2を形成することにより、上述のように、金型の摩耗・欠損を防止できる。
【0075】
補強層R1,R2を第1配線9,第2配線11と一体として形成したことにより、補強層R1,R2の面積を大きくすることができる。補強層R1,R2が第1配線9,第2配線11に支持される構造となるので、補強層R1,R2を第1配線9,第2配線11と別体とした場合に比べて高い耐引き抜き性を実現できる。
【0076】
特に限定されないが、補強層R1,R2をパッド15,17が形成されていない面に設けてもよい。これにより、他の電子部品のコネクタがグランドに接地される場合においても、補強層R1,R2がコネクタと直接接触しないため、パッド15,17の信号が補強層R1,R2及び他の電子部品のコネクタの係合部を介してグランドに短絡することを防止できる。
【0077】
本実施形態の補強層R1,R2は、パッド15,17が設けられた主面に形成することができる。パッド15,17が複数の主面に設けられている場合には、補強層R1,R2は、パッド15,17が形成された主面のうち、一又は複数の主面に形成することができる。補強層R1,R2の配置の自由度は確保される。
【0078】
図13は、
図8のプリント配線板の最上面に上面側カバーレイ5を設けた態様を示す図である。上面側カバーレイ5は、その右側端部に、接続方向Iに沿って接続端部13側に延びる延在部5a´,5b´を有する。パッド15a,17aの下層に配置された配線9a,11aと一体となった補強層R1,R2の、補強層R1、R2に対応する領域が上面側カバーレイ5の延在部5b´により覆われる。同図に示すように、パッド15a,パッド17aが配置される所定領域は、上面側カバーレイ5により覆わない。このように、補強層R1,R2の表面を覆う延在部5a´,5b´を有する上面側カバーレイ5、下面側カバーレイ7を設けることにより、プリント配線板1の引き抜き方向に係る力に対する耐性を向上させることができる。補強層R1,R2がパッド15a,17aと一体又は別体として形成される場合も同様である。
【0079】
次に、補強層R1,R2とパッド15,17との関係について説明する。
本実施形態の補強層R1,R2は、パッド15,17と別体として形成できる。
【0080】
補強層R1,R2をパッド15,17と別体として形成した場合の平面図を
図14に示し、底面図を
図15に示し、パッド15,17と補強層R1,R2との関係を
図16に示す。
図14は
図1に対応し、
図15は
図2に対応し、
図16は
図4Aに対応する。ここでは第1基材31の一方主面に補強層R1,R2が設けられた例を用いて説明するが、補強層R1,R2が設けられる主面及びその数は限定されない。
【0081】
図14に示すように、補強層R1,R2は、パッド15,17から離間しており、電気的に接続されていない。
パッド15,17とは別体の補強層R1,R2を形成する場合に、補強層R1,R2の形状は特に限定されない。
図14に示すように、補強層R1,R2の形状を矩形としてもよい。図示はしないが、補強層R1,R2の形状を楕円形や円形としてもよい。金型の摩耗・欠損を抑制する観点から、補強層R1,R2の縁部がプリント配線板1の外縁に接しない形状とすることが好ましい。本例の補強層R1,R2と、パッド15,17との関係は、表裏が逆であるが、
図6に示す配線9の拡幅部9a,配線11の拡幅部11aと補強層R1との関係に対応する。本例の補強層R1,R2の形状は、
図7(a)(b)(c)に示す補強層R1,R2の形状のようにすることができる。本例の説明に
図6、
図7を援用する際には、表裏を反転させ、
図6、
図7に示す配線9の拡幅部9aをパッド15aとし、
図6に示す配線11の拡幅部11をパッド17aとする。
【0082】
補強層R1,R2がパッド15,17と電気的に接続しないので、パッド15,17の信号が補強層R1,R2及びコネクタの係合部を介してグランドに短絡することを防止できる。
【0083】
本実施形態の補強層R1,R2は、パッド15,17と一体として形成できる。
補強層R1,R2をパッド15,17と一体として形成した例の平面図を
図17に示し、底面図を
図18に示し、パッド15,17と補強層R1,R2との関係を
図19に示す。
図17は
図1に対応し、
図18は
図2に対応し、
図19は
図4Aに対応する。ここでは第1基材31の一方主面に補強層R1,R2が設けられた例を用いて説明するが、補強層R1,R2が設けられる主面及びその数は限定されない。
図20は、被係合部28,29の変形例を示す部分平面図である。
図21(a)〜(c)は、
図17のプリント配線板の補強層の変形例を示す部分底面図である。
【0084】
パッド15,17と連なる補強層R1,R2を形成する場合に、補強層R1,R2の形状は特に限定されない。
図17〜
図20に示すように、補強層R1,R2の形状を矩形としてもよい。
図21(a)(b)に示すように、一部に曲線を有する形状、
図21(b)に示すように被係合部28,29の外縁に沿う形状にしてもよいし、
図21(c)に示すように被係合部28,29を取り囲む形状としてもよい。なお、
図20及び
図21(a)に示す例のように、補強層R1,R2の縁部がプリント配線板1の外縁に接しない形状とすることが好ましい。このように補強層R1,R2を形成することにより、被係合部28,29を形成する際に、金型が補強層R1,R2に接触しないようにできるので、金型の摩耗・欠損を抑制できる。
【0085】
補強層R1,R2をパッド15,17と一体として形成したことにより、補強層R1,R2の面積を大きくすることができる。補強層R1,R2が第1配線9,第2配線11に支持される構造となるので、補強層R1,R2をパッド15,17と別体とした場合に比べて高い耐引き抜き性を実現できる。
【0086】
続いて、本実施形態のプリント配線板1の製造方法について説明する。
本実施形態のプリント配線板1の製造方法は特に限定されず、本願出願時に知られている多層型のプリント配線板の作製手法を適宜に用いることができる。
【0087】
まず、絶縁性基材の両主面に導電層が形成された複数の基材を準備する。本実施形態では、ポリイミド製の基材の両主面に銅箔が形成された両面銅張積層材を準備する。両面銅張積層材は、特に限定されず、ポリイミド基材に銅を蒸着又はスパッタリングした後に銅めっきをしたものであってもよい。両面銅張積層材は、ポリイミド基材に接着剤を介して銅箔を貼り合わせたものであってもよい。
【0088】
次いで、両面銅張積層材の所定位置に、レーザ加工やCNCドリル加工等によってその両面銅張積層材を厚さ方向に貫通するビアホールを形成する。DPP(Direct Plating Process)処理によって、ビアホールの内壁面に導電層を形成し、次いで、ビアホール内壁面を含めた両面銅張積層材の表面全体に銅めっき層を形成する。もちろん、ビアホールを含む部分的なめっき処理を行ってもよい。これにより、両面銅張積層材の一方主面と他方主面とを電気的に接続するビア24,25が形成される。一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、両面銅張積層材の一方主面及び他方主面に所望のパッド15,17と第1配線9,第2配線11を形成する。プリント配線板1に求められる機能に応じて、基材3(両面銅張積層材)ごとに、また基材3(両面銅張積層材)の主面ごとに、パッド15,17及び/又は第1配線9,第2配線11を形成する。
【0089】
このとき、第1配線9,第2配線11とともに、所望の位置に所望の形状の補強層R1,R2を形成する。本実施形態では、両面銅張積層材の主面に、第1配線9,第2配線11と補強層R1,R2のパターンに応じたマスクパターンを作製し、銅箔をエッチングすることにより、第1配線9,第2配線11と補強層R1,R2とを得る。第1配線9,第2配線11と一体の補強層R1,R2を形成する場合には、これらが一体であるマスクパターンを作製し、銅箔をエッチングすることにより、第1配線9,第2配線11と補強層R1,R2とが一体となった基材3を得る。第1配線9,第2配線11と別体の補強層R1,R2を形成する場合には、これらが別体であるマスクパターンを作製し、銅箔をエッチングすることにより、第1配線9,第2配線11と補強層R1,R2とが別体となった基材3を得る。
【0090】
同様に、パッド15,17とともに、所望の位置に所望の形状の補強層R1,R2を形成してもよい。本実施形態では、両面銅張積層材の主面に、パッド15,17と補強層R1,R2のパターンに応じたマスクパターンを作製し、銅箔をエッチングすることにより、パッド15,17と補強層R1,R2とを得る。パッド15,17と一体の補強層R1,R2を形成する場合には、これらが一体であるマスクパターンを作製し、銅箔をエッチングすることにより、パッド15,17と補強層R1,R2とが一体となった基材3を得る。パッド15,17と別体の補強層R1,R2を形成する場合には、これらが別体であるマスクパターンを作製し、銅箔をエッチングすることにより、パッド15,17と補強層R1,R2とが別体となった基材3を得る。
【0091】
得られた複数の基材を、接着剤を用いて重ね合わせる。必要に応じて接着剤の硬化処理を行う。
【0092】
積層された基材3の最上面に上面側カバーレイ5を接着剤で貼りつけ、最下面に下面側カバーレイ7を接着剤で貼りつける。パッド15,17の表面に金めっきなどの表面処理を施し、表面処理層を形成する。
【0093】
予め準備した金型を用いて、基材3の所定領域を欠損させ、被係合部28,29を形成する。これにより、本実施形態のプリント配線板1を得る。
【0094】
特に限定されないが、
図22(a)(b)、
図23(a)(b)に示すように、本実施形態のプリント配線板1は電磁波シールド層を備えるように構成することができる。
図22(a)(b)、
図23(a)(b)には、シールド層40,40´の態様を示す。なお、説明の便宜のために、
図22、
図23においては、シールド層40,40´が設けられた第1基材31と第1基材31の下層に積層された第3基材33のみを示す。実際には、第3基材33の下層に、一又は複数の他の第3基材33及び第2基材32が積層される。
【0095】
図22(a)(b)に示すように、第1基材31の他方主面側には第1配線9,第2配線11が形成されており、その反対の一方主面側にシールド層40,40´が形成されている。シールド層40,40´はグランド接点に接続される。
図22(a)に示すようにシールド層40のパターンは、欠損の無いパターンとすることができる。また、電磁波シールド性能が確保できるのであれば、柔軟性を持たせる観点、軽量化を図る観点から、その一部を欠損させ、金属量を減らしたパターンとしてもよい。一例ではあるが、
図22(b)に示すようにシールド層40´のような格子状のメッシュ状のパターンとしてもよい。
【0096】
図23(a)(b)に示すように、第1基材31の一方主面側に第1配線9,第2配線11が形成され、その一方主面側に第1配線9,第2配線11の間にもシールド層40,40´を形成してもよい。シールド層40,40´のパターンは特に限定されず、
図23(a)に示すように欠損の無いパターンであってもよいし、
図23(b)に示すように欠損のあるメッシュ状のパターンであってもよい。
【0097】
シールド層40,40´は、パッド15,17、第1配線9,第2配線11、補強層R1,R2とともに、フォトリソグラフィー法を用いて作製できる。
【0098】
最後に、
図24〜
図29に基づいて、本実施形態のプリント配線板1が接続されるコネクタ50について説明する。
【0099】
図24に示すように、コネクタ50は、プリント配線板1が挿入されるハウジング52と、プリント配線板1のパッド15a,17aと電気的に接続される複数のコンタクト54と、ハウジング52に挿入されたプリント配線板1をコンタクト54を介して押圧する、作動部材としての回動部材56と、プリント配線板1の接続端部13の両側縁部分に設けられた被係合部28,29に係止する、係合部としてのタブ状のロック部材58と、を備える。
【0100】
ハウジング52は絶縁性のプラスチック製である。ハウジング52の材料は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(66PA、46PA)、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはこれらの合成材料である。ハウジング52は、コンタクト54が挿入される所要数の挿入溝を有する。ハウジング52は、その後方側にプリント配線板1が挿入される挿入口60を有する。
【0101】
各コンタクト54は、バネ性及び導電性を有する。特に限定されないが、コンタクト54は、黄銅やベリリウム銅、リン青銅等を用いて形成される。コンタクト54の一例を
図25(a),
図25(b)に示す。
図25(a),(b)に示すように、コネクタ50は、プリント配線板1の前列のパッド15aと後列のパッド17aに応じて、2種のコンタクト54a,54bを有する。2種のコンタクトは、挿入方向を違えて接点がパッド15a,17aに位置に合うようにセットされる。2種類のコンタクト54a,54bはいずれも、プリント配線板1の接続端部13が挿入される後方側の開口62,63と、後述する回動部材56のカム65が挿入される前方側の開口67,68とが形成されたH文字状の形状を有している。
【0102】
図26に示すように、ロック部材58も同様に、プリント配線板1の接続端部13が挿入される後方側の開口58aと、回動部材56の後述するカム65が挿入される前方側の開口58bとが形成されたH文字状の形状を有する。ロック部材58は、コンタクト54の両側にそれぞれ配置されている。
【0103】
図27に示すように、回動部材56は、その両端においてハウジング52に、幅方向を回動軸として軸支されている。また、回動部材56は、回動軸線上に、上述したコンタクト54の前方側の開口67,68及びロック部材58の前方側の開口58bに挿入されるカム65を有する。ハウジング52の挿入口60にプリント配線板1を挿入した後に、回動部材56を傾倒方向へ回動する。すると、カム65によって、コンタクト54及びロック部材58のバネ力に抗してコンタクト54の前方側の開口67,68及びロック部材58の前方側の開口58bが押し広げられる。
【0104】
図26に示すように、コンタクト54の後方側の開口62,63及びロック部材58の後方側の開口58aが狭まり、コンタクト54とプリント配線板1との電気的な接続及びロック部材58の被係合部28,29への係止が行われる。反対に、
図27に示すように、回動部材56を起立方向へ回動することで、これらの電気的な接続及びロック部材58の係止は解除される。
【0105】
なお、作動部材としては、上述したような回動部材56のほか、ハウジングにプリント配線板を挿入した後に挿入し、プリント配線板をコンタクトに押し付けるスライダであってもよい。具体的には、
図28及び
図29に示すようなコネクタ70であって、主としてハウジング72とコンタクト74とスライダ76とを備えて構成されるものがある。コンタクト74は、
図29のように文字U状の形状をしており、主にプリント配線板1と接触する接触部74aと、他の基板等に接続する接続部74bと、ハウジング72に固定される固定部74cとから構成されている。このコンタクト74は、圧入等によってハウジング72に固定されている。スライダ76は、
図29のように文字U状の形状又は文字V字状の形状をしており、所要数のコンタクト74が配置されたハウジング72にプリント配線板1を挿入した後に、スライダ76を挿入する。このようなスライダ76は、主にハウジング72に装着される装着部76aと、プリント配線板1をコンタクト74の接触部74aに押圧する押圧部76bとを備える。プリント配線板1が挿入される以前は、スライダ76はハウジング72に仮装着された状態になっており、プリント配線板1が挿入された後にスライダ76を挿入すると、
図29(b)のようにプリント配線板1と平行にスライダ76の押圧部76bが挿入され、コンタクト74の接触部74aにプリント配線板1が押圧されるようになる。なお、図示は省略するが、本コネクタ70も、先のコネクタ50と同様、スライダ76の挿入時に、プリント配線板1に設けられた被係合部28,29に係合する係合部を有している。
【実施例】
【0106】
次に、本発明の効果を確認するため試験を行ったので以下説明する。
【0107】
<実施例1>
実施例1として、
図1〜
図4に示す構造を有する多層構造のプリント配線板1を作製した。第1配線9,第2配線11、パッド15,17、補強層R1,R2を、フォトリソグラフィー技術を用いた手法で第1基材31、第2基材32、第3基材33を作製した。
第1基材31、第2基材32、及び第3基材33としては、厚さ20[μm]のポリイミド製のフィルムに銅箔が形成された両面銅張基材を用いた。パッド15,17の配置は
図1に示すとおりである。パッド15,17のピッチは0.175[mm](各列では0.35[mm])であった。パッド15,17、第1配線9,第2配線11及び補強層R1,R2は銅製とした。補強層R1,R2は、幅0.5[mm]、長さ0.5[mm]、厚さ22.5[μm](銅:12.5[μm],銅めっき:10[μm]であり、第1配線9,第2配線11と同じ厚さである。)とした。パッド15,17の上面には表面処理層としての金めっき層を形成した。上面側カバーレイ5及び下面側カバーレイ7には、厚さ12.5[μm]のポリイミド製のフィルムを用いた。補強フィルム23には、厚さ12.5[μm]のポリイミド製のフィルムを用いた。金型を用いて、積層したプリント配線板1の所定領域を切欠いて被係合部28,29を設けた。この被係合部28,29(切欠き部)の寸法は、幅を0.5[mm]、長さを0.5[mm]とした。第1基材31、第2基材32、及び第3基材の作製工程の条件は、実施例1〜5及び比較例において共通させた。
上記条件の下、以下の手順で、プリント配線板1を作製した。
(1)接続端部13に、前列に15枚、後列に14枚のパッド15,17が形成された第1基材31を準備した。
(2)前列のパッド15と接続する第1配線9及び後列のパッド17と接続する第2配線11が両方ともに、その他方主面に形成された第2基材32を準備した。
(3)前列のパッド15と接続する第1配線9及び後列のパッド17と接続する第2配線11が両方ともに、その一方主面及び他方主面に形成された第3基材33を準備した。
(4)下側から、第2基材32、第3基材33、第1基材31の順で積層した。
実施例1のプリント配線板1において、補強層R1,R2は、第2基材32の他方主面側に、第1配線9,第2配線11とは別体として形成した。補強層R1,R2は、被係合部28,29の接続方向Iを基準とした前方側に設けた。
【0108】
<実施例2>
実施例2として、補強層R1,R2が第1配線9,第2配線11と一体として形成した点以外は、実施例1と共通するプリント配線板1を作製した。
【0109】
<実施例3>
実施例3として、補強層R1,R2が第1基材31の一方主面に形成され、パッド15,17と別体として形成した点以外は、実施例1と共通するプリント配線板1を作製した。
【0110】
<実施例4>
実施例4として、補強層R1,R2が第1基材31の一方主面に形成され、パッド15,17と一体として形成した点以外は、実施例1と共通するプリント配線板1を作製した。
【0111】
<実施例5>
実施例5として、プリント配線板1の最上面に
図5に示す上面側カバーレイ(絶縁層)5を設けた点以外は、実施例1と共通するプリント配線板1を作製した。
【0112】
<比較例1>
比較例1として、補強層が設けられていない点のみが実施例1とは異なるプリント配線板を作製した。
【0113】
(耐引抜き試験)
耐引抜き試験は、実施例1〜5及び比較例1のプリント配線板を、
図24に示した構造を有するコネクタ(但し、コンタクトは設けていない。)に接続し、タブ状のロック部材のみでプリント配線板を嵌合、保持した状態とした。この状態で、引張試験機を用いて各プリント配線板1をコネクタに対して、引き抜き方向(接続方向Iとは逆方向)に引っ張り、プリント配線板1がコネクタから外れたときの引張試験機の荷重を測定した。
【0114】
(試験結果)
試験の結果、比較例1のプリント配線板がコネクタから外れたときの荷重を100%とした。実施例1〜5のプリント配線板1がコネクタから外れたときの荷重は140%〜170%であった。本実施形態のプリント配線板1は、引き抜き方向の力が加えられても、係止状態を維持できることを確認した。
【解決手段】他のコネクタに電気的に接続される複数のパッド(15,17)が、何れか一方の主面に形成された第1基材(31)と、第1基材(31)の何れか一方の主面に直接又は第1基材(31)以外の基材を介して積層され、第1配線,第2配線(9,11)が、何れか一方の主面に形成された第2基材(32)と、コネクタに接続される接続端部13に形成され、コネクタの係合部に引き抜き方向で係止される被係合部(28,29)と、第1基材(31)及び/又は第2基材(32)が有する一又は複数の主面上に、コネクタとの接続時における接続方向(I)を基準とし、被係合部(28,29)の接続方向(I)の前方側に設けられた一又は複数の補強層(R1,R2)と、を備えるプリント配線板を提供する。