(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797326
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】機械的吸気/排気による気道浄化装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
A61M16/00 355Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-510403(P2014-510403)
(86)(22)【出願日】2012年5月8日
(65)【公表番号】特表2014-516670(P2014-516670A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012036876
(87)【国際公開番号】WO2012158394
(87)【国際公開日】20121122
【審査請求日】2014年1月8日
(31)【優先権主張番号】13/107,463
(32)【優先日】2011年5月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510182087
【氏名又は名称】ヒル−ロム サービシーズ プライヴェート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イケイ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】カーボーン,ダノ,エス.
(72)【発明者】
【氏名】ワード, ルイス, ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】スタルツ,タミー
【審査官】
倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−131773(JP,A)
【文献】
国際公開第03/002176(WO,A2)
【文献】
米国特許第06708690(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)吸気口、排気口、および制御可能な速度を持つ送風機と、
(b)前記送風機吸気口に動作できるように接続された吸気ポート、前記送風機排気口に動作できるように接続された排気ポート、大気に開放された大気ポート、および共通ポートを持つ方向バルブと、
(c)コネクタポート、および前記バルブ共通ポートに動作できるように接続されたバルブポートを持つ発振器であって、前記発振器が前記コネクタポートと前記バルブポートの間のチャンバー、および前記チャンバー内に回転可能ディスクを含み、前記ディスクが約360°回転される、発振器と、
(d)前記発振器コネクタポートに動作できるように接続され、患者マスクのホースを受け入れるように適合されているホースコネクタと、
(e)前記装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
(f)前記装置が、前記排気ポートが前記共通ポートに動作できるように接続され、前記吸気ポートが前記大気ポートに動作できるように接続され、それによって吸気のために前記ホースコネクタにおいて陽圧を提供するように、前記制御装置が前記方向バルブを設定する吸気モードを持ち、
(g)前記装置が、前記吸気ポートが前記共通ポートに動作できるように接続され、前記排気ポートが前記大気ポートに動作できるように接続され、それによって排気のために前記ホースコネクタにおいて陰圧を提供するように、前記制御装置が前記方向バルブを設定する排気モードを持ち、
(h)前記装置が、前記排気ポートが前記共通ポートに動作できるように接続され、前記吸気ポートが前記大気ポートに動作できるように接続され、それによって前記ホースコネクタにおいて陽圧を提供するように、前記制御装置が前記方向バルブを設定する休息モードを持ち、
(i)前記装置が、排気中に前記制御装置が前記発振器ディスクを設定可能な頻度で回転させるオプションのフラッターモードを持つ、装置。
【請求項2】
前記制御装置が手動モードを提供し、前記装置が前記吸気モード、前記休息モード、および前記排気モードにある時に使用者からの指示を受け入れるように前記装置が適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が使用者からのパラメータ設定を受け入れるように適合されており、前記パラメータが吸気圧力、排気圧力、休息圧力、前記フラッター頻度、および流量を含み、吸気中に前記送風機速度を設定するために前記吸気圧力が前記制御装置によって使用され、排気中に前記送風機速度を設定するために前記排気圧力が前記制御装置によって使用され、吸気と排気の間の休息中の前記送風機速度を設定するために前記休息圧力が前記制御装置によって使用され、吸気中の前記ディスクの位置を設定するために前記流量が前記制御装置によって使用される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が吸息ボタンおよび呼息ボタンを含み、前記吸息ボタンが作動している間、前記制御装置が前記装置を前記吸気圧力の吸気モードに切り替え、前記呼息ボタンが作動している間、前記制御装置が前記装置を前記排気圧力の排気モードに切り替え、前記吸息ボタンも前記呼息ボタンも作動していない時、前記制御装置が前記装置を前記休息圧力の前記休息モードに切り替える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御装置が、前記装置に所定数のサイクルを生じさせる自動モードを提供し、サイクルが吸気、排気、休息の順序である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が使用者からのパラメータ設定を受け入れるように適応されており、前記パラメータが、吸気圧力、排気圧力、休息圧力、前記フラッター頻度、流量、吸気時間、排気時間、休息時間、およびサイクルの所定数を含み、吸気中の前記送風機速度を設定するために前記吸気圧力が前記制御装置によって使用され、排気中の前記送風機速度を設定するために前記排気圧力が前記制御装置によって使用され、前記休息中の前記送風機速度を設定するために前記休息圧力が前記制御装置によって使用され、吸気中の前記ディスクの位置を設定するために、前記流量が前記制御装置によって使用される、請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置、より具体的には呼吸および咳の誘発を補助する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械的吸入器/排出器(MIE)を使用する専門家は、ここ何年かで現在の機械には重大な制限があることを実感してきた。この50年間、MIEの機能には実際の改善がなされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
小児患者の親、および多くの成人患者は、この機械をいたるところに携帯する。サイズおよび重量は一つの問題である。
【0004】
MIEは通常120ボルトACで作動する。12ボルトのDCシステムを備えた多くの車両で作動させるには、インバーターを設置しなければならないが、これは高価で設置が複雑である。
【0005】
現在のMIEは呼気相に呼気終末陽圧を組み込んでいないため、医学界の主な懸念は、肺機能が不全で機能残気量が低下した病気の患者へのMIE使用である。
【0006】
分泌物の粘度が高い患者では、現在のMIEは、それを移動させて除去するために長い時間と追加的介入が必要である。
【0007】
多くの小児、高齢、脳卒中患者は、現在のMIEの呼吸パターンと同期化させることが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のMIE装置は、速度調節可能な送風機、方向バルブおよび発振器付きバルブ部分組立品、ホースコネクタ、制御装置、電源、およびタッチスクリーンを格納するケースを持つ。
【0009】
送風機の吸気口は、方向バルブの吸気ポートに接続されており、送風機の排気口は方向バルブの排気ポートに接続されている。方向バルブの共通ポートは、発振器のバルブポートに接続されており、発振器のコネクタポートはマスクホースコネクタに接続されている。送風機とホースコネクタの間の気流経路はチャンネルである。
【0010】
装置は、吸気および排気の2つの主なモードを持つ。吸気モードでは、方向バルブは送風機の排気口を発振器に接続して、ホースコネクタで陽圧を生じさせる。排気モードでは、方向バルブは送風機の吸気口を発振器に接続して、ホースコネクタで陰圧を生じさせる。咳を誘発するには、装置は吸気モードで開始して肺を満たし、次に素早く排気モードに切り替えて急速に肺を収縮させて咳を促す。
【0011】
発振器は、チャンバーおよびチャンパー内に360°回転ディスクを備えるバタフライバルブである。吸気の間、ディスクは、気流を調節するために、高、中、または低流量の固定位置へと回転する。高流量の位置ではディスクはチャンネルに並行で、低流量では、ディスクはチャンネルに対してほぼ垂直である。
【0012】
排気中、発振器は、非アクティブ(無効)または「フラッター」モードのいずれかである。非アクティブの場合、ディスクはチャンネルに対して並行で、気流を最大化する。フラッターモードでは、ディスクは連続的に回転し、チャンネルサイズを最大流量から最小流量へ、また最大流量へと急速に変える。
【0013】
装置は手動モードまたは自動モードで作動できる。手動モードでは、使用者は、治療サイクルをいつどのように行なうかを、タッチスクリーンまたはリモコン上の関連ボタンを押して制御する。自動モードでは、装置は、吸気に続いて排気、休息の順の治療サイクルを反復的に開始する。
【0014】
手動モードに対しては、吸気圧力、排気圧力、休息圧力、流量、フラッター頻度を設定できる。自動モードに対しては、手動モードパラメータに加えて、吸気時間、排気時間、休息時間、およびサイクル数を設定できる。
【0015】
手動モードでは、患者は開始/停止ボタンに触れて送風機をオンにする。吸気は、タッチスクリーンまたはリモコン上の吸入ボタンを作動させることで開始され、ボタンを放すまで持続される。排気は、タッチスクリーンまたはリモコン上の呼息ボタンを作動させることで開始され、ボタンを放すまで持続される。治療が完了すると、患者は開始/停止ボタンに触れて送風機をオフにする。
【0016】
自動モードでは、患者は開始/停止ボタンに触れて送風機をオンにし、治療サイクルを開始する。治療サイクルの設定数に達した時、装置は治療を中止し、送風機をオフにする。
【0017】
本発明の性質および目的をよりよく理解するために、以下のとおり添付した図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】ケース上部を取り除いた状態の上面図である。
【
図10】手動モードでの装置の作動のフロー図である。
【
図11】自動モードでの装置の作動のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、咳を手助けするための装置である。本発明の1つの特徴は、気道を振動させる能力である。特定の振動数での気道の振動は、「拡散性の増大」として知られる現象を生じる。このメカニズムは、肺の肺胞毛細血管膜の拡散率を変化させる。肺の拡散係数を変えることによって、より多くの酸素を血流中に運ぶことができ、より多くの二酸化炭素を除去できる。この機能を生じさせる特別なバルブは、回転バタフライ型メカニズムで、特定の呼吸生理機能に一致させるための調節可能な頻度を持つ。
【0020】
別の特徴は、装置を使用して肺気量を回復させる能力である。装置は、排気の終了時の基本圧力を次第に調節するメカニズムを使用する。これは、肺の内部にある程度の陽圧を生じさせ、これにより、肺活量が肺障害によって減少した時、肺の再膨張を助ける。基本圧力は、障害の程度に応じて、0〜15cmH2Oまで調節可能である。
【0021】
本発明の咳介助装置10が
図1〜9に示されている。ケース12は、送風機14、バルブ部分組立品16、ホースコネクタ18、制御装置20、電源22、およびタッチスクリーン24を格納している。バルブ部分組立品16は、方向バルブ28および発振器30を含む。
【0022】
装置10の全体構成図が
図1に示されている。送風機14は、空気が送風機14に入る吸気口40および空気が送風機14を出る排気口42を持つ。送風機の吸気口40は、吸気ダクト44を介して方向バルブ28の吸気ポート48に接続される。送風機の排気口42は、排気ダクト46を介して方向バルブ28の排気ポート50に接続される。方向バルブ28の共通ポート52は、発振器30のバルブポート60に接続される。方向バルブ28の大気ポート54は、56で大気に開放されており、オプションのフィルタ58を持つ。発振器30のコネクタポート62は、患者インターフェース(マスク)ホースコネクタ18に接続される。送風機14とホースコネクタ18の間の気流経路は、チャンネル36と呼ばれる。制御装置20は、装置10の動作を制御する。電源20は、構成要素に電力を提供する。装置10の各構成要素が、以下に詳述されている。
【0023】
使用時、ホース32は装置10に取り付けられている。ホース32の1つの端部66は、ホースコネクタ18で装置10に取り付けられる。マスク34は、ホース32のもう一方の端部68に取り付けられる。
【0024】
装置10は、吸気および排気、つまり患者に対しては吸息、および呼息を意味する、2つの主なモードを持つ。咳を誘発するには、装置10は吸気モードで開始して肺を満たす。次に装置10は、素早く排気モードに移行し、急速に肺を収縮させ、それによって咳を促す。
【0025】
ケース12は、装置10の動作構成要素を格納し、保護する。ケース12の外側からアクセスできるのは、タッチスクリーン24、ホースコネクタ18、リモコンコネクタ98、電源入力コネクタ78、および電源スイッチ82である。随意に、タッチスクリーン24は、弾力性のある保護カバー80を持つ。
【0026】
本構成で使用される送風機14は、速度が調節可能な標準的な電動式送風機である。これは、吸引のための吸気口40および送風のための排気口42を持つ。送風機14の速度は、制御入力での圧力を変えることによって制御される。送風機14は、最大12.4リットル/秒までの流量を提供する能力を持つ。
【0027】
方向バルブ28の設定は、ホースコネクタ18、そして最終的にはマスク34に対する気流の方向を決定する。吸気モードでは、方向バルブ28は、送風機の排気口42を発振器30に接続し、ホースコネクタ18に正の流れを生じさせ、送風機14の空気供給源として送風機の吸気口40を56で大気に接続する。排気モードでは、方向バルブ28は、送風機の吸気口40を発振器30に接続し、ホースコネクタ18で負の流れを生じさせ、圧力除去のために送風機の排気口42を56で大気に接続する。制御装置20は、二位置ステッピングモーター74で方向バルブ28を操作する。
【0028】
発振器30は、バルブポート60とコネクタポート62の間のチャンバー86およびチャンパー86内の回転ディスク88を備えるバタフライバルブである。ディスク88は360°回転し、ステッピングモーター76を使用して制御装置20によって制御される。制御装置20は、ディスク88をさまざまな位置に回転することによってチャンネル36の開きを調節する。現在の実施でのステッピングモーター76は、ステップあたり0.9°の分解能を持つので、ディスク88は0.9°のきざみ幅で位置づけることができる。チャンネル36のサイズは、流れの大きさに直接影響するので、発振器30は所定の手順全体に渡って流れを調節する。一般的に、これは以下のように使用される。
【0029】
吸気モードの間、発振器30は気流を調節する。ディスク88は、高、中、または低流量の固定位置へと回転する。高流量位置では、ディスク88はチャンネル36に対して並行なので、チャンネルサイズを最大化する。これは、流れに対する抵抗を最小化し、それによって患者に行く流量を最大化する。低流量では、ディスク88はチャンネル36に対してほぼ垂直であり、そのためチャンネルサイズを最小化する。これは流れに対して最大の抵抗を生じさせ、それによって、患者に対する流量を最小化する。この気流設定の調節は、吸入中に患者の肺がどのくらい速く満たされるかを決定する。
【0030】
排気モード中、発振器30は、非アクティブまたは「フラッター」モードのいずれかである。発振器30が非アクティブの場合、気流を最大化するために、ディスク88はチャンネル36に並行になるまで回転される。咳の発生度は、排気の流れの程度に直接起因するので、気流は呼息中に最大化される。
【0031】
フラッターモードでは、発振器30は、排気中に素早く変化する流れを生じる。これを行なうためには、ディスク88は連続的に回転し、チャンネルサイズを最大流量から最小流量へ、また最大流量へと急速に変える。最大から最小へのこの気流速度は、単に回転頻度を調節することによって変化する。排気中に流速を「フラッター」させることは、肺気道中の粘液を除去するのを助ける。
【0032】
上述のように、チャンネル36のサイズは気流に直接影響する。本実施では、チャンネル36のサイズは19.6mmであり、これは発振器30のコネクタポート62での内径で測定される。送風機14は、最大12.4リットル/秒までの流量を提供する能力を持つ。気流は、送風機と患者の間のチャンネル36の長さおよび直径、並びに発振器30のディスク88の位置によって影響される。本実施のチャンネル36のパラメータによって、気流は、患者に達する時までに劇的に減少する。本実施では、送風機14で12.4リットル/秒の流量は、患者で約9リットル/秒の流量をもたらす。湿性咳を引き起こすための最小の流れは、患者において約6リットル/秒(平均ピーク排出流量)である。
【0033】
制御装置20は、付随クロック、メモリ、入力/出力装置などを含むプロセッサ102を持つ。プロセッサ102は、さまざまな構成要素に制御信号を提供するドライバに信号を送る。さまざまなセンサーは、プロセッサ102に装置10内の状態を通知する。プロセッサ102は、動力ドライバ108および速度ドライバ110を通して送風機14を制御する。プロセッサ102は、方向バルブモータードライバ104および方向バルブ位置エンコーダ124を通して方向バルブ28を制御する。プロセッサ102は、発振器モータードライバ106および発振器位置エンコーダ126を通して発振器30を制御する。その他のセンサーは、送風機温度センサー112、チャンネル空気温度センサー116およびチャンネル空気圧力センサー120を含む。ケース12の床に取り付けられたスピーカー26は、スピーカードライバ122によって制御され、タッチスクリーン24はタッチスクリーンドライバ128によって制御される。タッチスクリーン24は、ディスプレイ並びに使用者入力装置である。
【0034】
電源22は、電力入力コネクタ78に接続されたAC電源コードを通して装置10に電力を提供する。随意に、電源22は、内部電池92または、自動車電源出力または外部電池などの外部DC源から、DC源コネクタ94を通して電力を提供する能力を持つ。
【0035】
随意に、装置10はリモコン96を含む。リモコン96は
図2にあるように有線か、または無線としうる。有線リモコンプラグ99は、リモコンジャック98を通して装置10に接続される。リモコン96は、装置10の機能のすべてまたはその一部を操作する。
図2のシンプルなリモコン96は、吸入/排気サイクルを制御するために単一ロッカースイッチ97を持つ。リモコン96は、手または足で操作できる。
【0036】
プロセッサ102上で実行されているソフトウェアは、装置10の動作を制御する。ソフトウェアは、治療サイクルを制御し、サイクルは吸気、排気および休息として定義される。治療サイクルは、以下のようにそれと関連した多くの設定可能パラメータを持つ。
【0037】
手動/自動設定は、装置10が手動モードまたは自動モードで作動するべきかを決定する。手動モードでは、使用者は、治療サイクルをいつどのように行なうかを、タッチスクリーン24またはリモコン96上の関連ボタンを押して制御する。自動モードでは、装置10は反復的に治療サイクルを開始する。両方のモードに対して、使用者は吸気/排気圧力、流れ、フラッターを設定できる。
【0038】
図7には、手動モードの表示例140を示す。
【0039】
肺の中に強制的に注入される空気の陽圧である吸気圧力150は、増加矢印152および減少矢印154を使用して0〜50cmH2Oの範囲で1cmH2Oきざみ幅で設定できる。肺から吸引される空気の陰圧である排気圧力158は、増加矢印160および減少矢印162を使用して0〜50cmH2Oの範囲で1cmH2Oきざみ幅で設定できる。
【0040】
流量は、ボタン148で高、中、または低に設定できる。高では、ディスク88は、チャンネル36に並行に位置し、患者への流量を最大化する。中では、ディスク88は、チャンネル36に対して約45°に位置する。低では、ディスク88はチャンネル36に対してほぼ垂直に位置し、患者への流量を最小化する。流量は、呼息流の設定に対してものである。吸気圧力設定が高の場合、流れは速くなる。吸気圧力設定が高の場合、流れは対応して遅くなる。
【0041】
図8には、自動モードの表示例170を示す。
【0042】
吸気圧力184は、増加矢印186および減少矢印188を使用して0〜50cmH2Oの範囲で1cmH2Oきざみ幅で設定できる。排気圧力192は、増加矢印194および減少矢印196を使用して0〜50cmH2Oの範囲で1cmH2Oきざみ幅で設定できる。流量は、ボタン182で高、中、または低に設定できる。
【0043】
正の吸気圧力が機能している時間の長さである吸気時間198は、0〜3秒の範囲で0.2秒きざみ幅で設定できる。負の排気圧力が機能している時間の長さである排気時間202は、0〜3秒の範囲で0.2秒きざみ幅で設定できる。1サイクルの排出と次のサイクルの吸入との間の時間の長さである休息時間204は、0〜3秒の範囲で0.2秒きざみ幅で設定できる。サイクル数174は、減少矢印178および増加矢印180を使用して1〜99の範囲で設定できる。
【0044】
図9には、設定の表示例210が示されている。
【0045】
吸気も排気も機能していない休息中に設定される正の圧力である休息時の正の圧力212は、増加矢印214および減少矢印216を使用して、0〜15cmH2Oの範囲で1cmH2Oきざみ幅で設定できる。
【0046】
使用者は、フラッターを有効化または無効化し、増加矢印220および減少矢印222を使用して0〜20Hzの範囲で1Hzのきざみ幅でフラッター速度218を設定できる。フラッターは、フラッター頻度218がゼロの時に無効化される。吸気の間、発振器ディスク88は、流れの設定に基づいて固定された配向に位置付けられる。排気の間、発振器30の挙動は、フラッターが有効化されているか無効化されているかに基づく。有効化されている場合、発振器ディスク88は、設定されたフラッター速度で連続的に回転する。フラッターが無効化されている場合、発振器ディスク88はチャンネル36に並行に位置付けられ、それによって流れを最大化する。
【0047】
使用者はパラメータロックを有効化または無効化できる。ロックボタン224を押して有効化した時、すべての設定はロックされ、パスワードを入力せずに変更することはできない。
【0048】
ソフトウェアは、送風機温度センサー112、チャンネル空気温度センサー116、およびチャンネル空気圧力センサー120など、システムのさまざまなセンサーを監視する。範囲外の温度または圧力などの問題があることをセンサーのいずれかが示す時、システムはすぐに遊休状態に切り替わり、送風機をオフにして、エラーを示すメッセージがディスプレイ24上に表示される。
【0049】
ソフトウェアは使用者に対する情報をタッチスクリーン24上に表示し、使用者はタッチスクリーン24を使用して、当技術分野で知られている方法で運転パラメータを設定する。例えば、使用者が吸気圧力を設定したい場合、使用者がタッチスクリーン24上の吸気圧力表示に触ると、表示が変わって上下の矢印を示す。使用者は、圧力を増やすためには上矢印を、圧力を減らすためには下矢印を使用して、望ましい設定に達するまで適切な矢印に繰り返し触れる。すべてのパラメータ設定は同様に作動する。
【0050】
上述のように、装置10は手動モードおよび自動モードを持つ。手動モードでは、240にあるように、いくつかのパラメータを、作動前に設定しなければならない。これらのパラメータには、吸入圧力150、排気圧力158、流量148、排気中のフラッター212を含む。随意に、サイクルカウント表示144は、ボタン146を使用してゼロにリセットされる。パラメータを設定した後、使用者は242にあるようにタッチスクリーン24の開始/停止ボタン142に触れ、244にあるように送風機14をオンにする。
【0051】
吸気は、246にあるように、タッチスクリーン24の吸息ボタン164またはリモコン96のロッカースイッチ97の適切な側部のいずれかを作動させて開始する。吸気は、248にあるように、ボタン164またはロッカースイッチ97を放すまで維持される。排気は、250にあるように、タッチスクリーン24の呼息ボタン166またはリモコン96のロッカースイッチ97の適切な側部のいずれかを作動させて開始する。排気は、252にあるように、ボタン166またはロッカースイッチ97を放すまで維持される。排気の終了時、サイクルカウント表示144は、値を増加させて前回のリセットからのサイクル数を表示する。
【0052】
治療が完了した時、使用者は、254にあるようにタッチスクリーン24の開始/停止ボタン142に触れて、256にあるように送風機14をオフにする。
【0053】
自動モードでは、260にあるように、いくつかのパラメータを作動前に設定しなければならない。これらのパラメータには、吸気圧力184、排気圧力192、吸気時間198、排気時間202、休息時間204、流量182、排気中のフラッター212、治療サイクル数174が含まれる。随意に、サイクルカウント表示174は、ボタン176でゼロにリセットされる。
【0054】
パラメータを設定した後、患者は262にあるようにタッチスクリーン24の開始/停止ボタン172に触れ、264にあるように送風機14をオンにして治療サイクルを開始する。上述のように、治療サイクルには、266にあるように、設定吸気時間の長さの設定吸気圧力での吸気、268にあるように設定排気時間の長さの設定排気圧力での排気、および272にあるように設定休息時間の長さの設定休息圧力での休息が含まれる。排気の終了時、サイクルカウント表示174は、値を増加させて前回のリセットからのサイクル数を表示する。270にあるように、治療サイクルの設定数に達した時、274にあるように装置10は治療を中止し、送風機14をオフにする。使用者が、最後の治療サイクルに達する前に治療を中止したい場合は、使用者はタッチスクリーン24の開始/中止ボタン172に触れる。
【0055】
このように、上記に記述された目的を満たす咳を誘発するための装置を示して記述してきた。
【0056】
本発明の範囲を逸脱することなく、本開示に特定の変更を行いうるので、前述の明細書に記述されおよび添付の図面に示されるすべての事柄は例示的であり制限として解釈されないことが意図される。