特許第5797337号(P5797337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797337
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】自動車シート用シート取付具
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/225 20060101AFI20151001BHJP
   A47C 1/025 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   B60N2/225
   A47C1/025
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-520614(P2014-520614)
(86)(22)【出願日】2012年7月12日
(65)【公表番号】特表2014-520723(P2014-520723A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2012063716
(87)【国際公開番号】WO2013010918
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2014年3月14日
(31)【優先権主張番号】102011051990.4
(32)【優先日】2011年7月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508018598
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ メタルズ アンド メカニズムス ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンゲンジーフェン、 ウィルヘルム
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−253101(JP,A)
【文献】 特開2007−144121(JP,A)
【文献】 特開2009−247393(JP,A)
【文献】 特開2002−112848(JP,A)
【文献】 実開平06−006080(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/72
A47C 1/024 − 1/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車シート用シート取付具であって、
内歯を有するリングギアを備えた取付具上部品と、
外歯を有し且つ前記リングギアと係合するギアホイールを備えた取付具下部品と、
前記リングギアに対する前記ギアホイールのローリング調節のために前記ギアホイールに対して軸方向に延びる前記取付具下部品の穴内に回転可能に配置された偏心器と、
前記偏心器を駆動し且つ前記リングギアに対して軸方向に延びるドライブシャフトと
を備え、
カム収容部(17,17a)が前記ギアホイール(4,4a)又は前記リングギア(21,21a)の一方に配置され、前記カム収容部(17,17a)と係合する停止カム(16,16a)が前記ギアホイール(4,4a)又は前記リングギア(21,21a)の他方に配置され、前記停止カム(16,16a)又は前記カム収容部(17,17a)は前記ギアホイール(4,4a)上で前記外歯と前記穴(7)との間に延びるリング部分に、前記リングギア(21,21a)上で前記リング部分と重なることができる区域に配置され
調節中に、前記カム収容部(17,17a)に対してサイクロイド形の経路で移動させられる前記停止カム(16,16a)が、周方向に向けられる移動の割合が半径方向に向けられる移動の割合よりも大きい前記経路の区域で、前記カム収容部(17,17a)の側面(22,22a)と接触するように、前記停止カム(16,16a)及び前記カム収容部(17,17a)が形成される、シート取付具。
【請求項2】
前記カム収容部(17,17a)及び/又は前記停止カム(16,16a)が関連する穴(7,14)に対して同心状の伸びを有する請求項1に記載のシート取付具。
【請求項3】
周方向に向けられた前記停止カム(16,16a)の側面(23,23a)が、前記カム収容部(17,17a)の側面(22,22a)に適合した形状を有する請求項1又は2に記載のシート取付具。
【請求項4】
前記停止カム(16a)が停止カムキャリア(25)に配置され、前記停止カムキャリア(25)が前記リングギア(21a)又は前記ギアホイール(4a)に接続され、回転しないように固定されることができる請求項1から3のいずれか1項に記載のシート取付具。
【請求項5】
組み立て状態の前記停止カムキャリア(25)が前記ギアホイール(4a)又は前記リングギア(21a)に対して回転しないように固定されるように前記停止カムキャリア(25)が設計され、前記リングギア(21a)又は前記ギアホイール(4a)が対応する設計を有する請求項に記載のシート取付具。
【請求項6】
前記カム収容部(17a)が組み立て状態では円周方向の環状キャビティによって形成され、前記環状キャビティがロック要素(28)により中断される請求項1から5のいずれか1項に記載のシート取付具。
【請求項7】
異なる長さの複数のカム収容部(17,17a)前記リングギア(21,21a)又は前記ギアホイール(4)上で周方向に配置される請求項1からのいずれか1項に記載のシート取付具。
【請求項8】
前記取付具上部品(2)が前記リングギア(21,21a)と一体的に形成され且つ/又は前記取付具下部品(3)が前記ギアホイール(4,4a)と一体的に形成される請求項1からのいずれか1項に記載のシート取付具。
【請求項9】
前記偏心器が止め(15)と2つのくさび片(18)とを有する請求項1からのいずれか1項に記載のシート取付具。
【請求項10】
前記くさび片(18)がばね要素11)によって周方向に互いに離れるように押される請求項に記載のシート取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車シート用シート取付具(フィッティング)であって、
内歯を有するリングギアを備えた取付具上部品と、
外歯を有し且つリングギアと係合するギアホイールを備えた取付具下部品と、
リングギアに対するギアホイールのローリング調節のためにギアホイールに対して軸方向に延びる取付具下部品の穴内に回転可能に配置された偏心器と、
偏心器を駆動し且つリングギアに対して軸方向に延びるドライブシャフトと
を備えるシート取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1から知られるような、最初に挙げたタイプのシート取付具は、座部に対して調節可能な背もたれを調節するために自動車シートに設置され、1つの取付具部品が座部に接続され、もう1つの取付具部品が背もたれに接続される。このようなシート取付具によれば、偏心器の回転がドライブシャフトの回転によって引き起こされ、環状歯車の転がり回転がウォブルギアのように実現される。ここで、取付具の相互に対する旋回は、歯数の違いによって生じる。
【0003】
前述のタイプのシート取付具は、連続的可変調節の実現を可能にし、シート取付具に必要な設置スペースは非常に小さい。また、偏心器の偏心は、シート取付具を任意の調節位置に確実に固定するセルフロックを引き起こすのに適している。
【0004】
シート取付具によってもたらされる座部に対する背もたれの旋回範囲は、一般に取付具部品上の外部に配置された止め具(ストップ)によって達成される。このような止め具及びその正確な位置決めは、調節区域の端部での溶着(シージング)を防止するのに必要であり、これは電動のシート取付具の場合には特に必要である。通常シート取付具上の外部に配置される止め具は、シート取付具の旋回範囲でこれらのために作動空間を確保しなければならない、という欠点がある。また、端部停止の設計は、製造コストの増加につながり、最終的にはパッド入り部品とユーザーの両方を挟む恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008036647号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、適切な手段によってその旋回範囲が確実に定められた、上述したタイプのシート取付具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有するシート取付具によって達成される。本発明の更なる有利な発展形態は、従属請求項に記載される。
【0008】
取付具上部品が取付具下部品に対して移動される本発明によるシート取付具の調節は、リングギアに対して軸方向に延びるドライブシャフトを回転させることによって実現される。これが偏心器の駆動をもたらし、リングギアに対するギアホイールのローリング調節を引き起こし、結果的に取付具上部品が取付具下部品に対して旋回させられる。システムによって、ギアホイールはリングギア内に配置され、調節の際に、偏心器によって引き起こされる転がり運動を行う。
【0009】
本発明によれば、ギアホイール又はリングギアがカム収容部を有し、カム収容部を有していないギアがカム収容部と係合する停止カムを有する。ここで、カム収容部及び停止カムは外歯とリングギアの穴との間のリング部分に配置される。リングギア上のカム収容部又は停止カムとの相互作用を保証するために、カム収容部又は停止カムはリングギア上で上述したカム収容部又は停止カムを有するギアホイールのリング部分と重なる区域に配置される。
【0010】
カム収容部、特に長手方向の延長部の設計は、停止カムを用いて、取付具上部品に対する取付具下部品の調節区域を決定し、停止カムはカム収容部の対向する側面間にある区域内で調節されることができる。
【0011】
カム収容部内で調節可能な停止カムを用いたリングギアに対するギアホイールの調節区域の本発明による設計は、製造のために1つの停止カムを配置する必要があり且つ1つのカム収容部を形成する必要があるだけであり、特に簡単で費用効果の高い方法での実施を可能にする。また、本発明による設計は、停止カムとカム収容部の配置がシート取付具内にあることによって、外部の部品を挟む危険性が完全に排除されるという利点がある。さらに、止め具が外部に位置する既知のシート取付具と比較して、本発明によるシート取付具はより小さな設置スペースを有する。
【0012】
カム収容部及びカム収容部と係合する停止カムの設計は、原則として、いかなる方法でも行うことができる。従って、カム収容部は、例えば、カム収容部に対する停止カムの移動区域に対する特定の適合構造を有していない単純な開口部によって形成されることができる。しかしながら、本発明の特に有利な設計によれば、カム収容部及び/又は停止カムは、ギアホイール又はリングギアの関連した穴に対して同心状の伸びを有する。本発明のこの設計によれば、その中で停止カムが調節可能であるカム収容部は、特に、カム収容部を備えるギアの中央穴に対して同心状に配置される。本発明のこの設計を使用すれば、カム収容部を有するホイールの安定性が実質的にカム収容部の設計によって変更されないように、非常に最小限の材料除去のみでカム収容部を形成することが可能である。停止カムもカム収容部に対応する同心状の伸びを有することができ、本発明の特に単純な設計によれば、停止カムは円形断面を有するピンによって形成される。これは、特に製造しやすく、停止カムを支持するギアに接続されることができる。
【0013】
シート取付具の旋回範囲は、本発明に従って、停止カムとカム収容部との相互作用によって決定され、停止カムは、周方向に向けられたカム収容部の対向する側面間の調節区域内で移動し、旋回範囲の端部で、停止カムはカム収容部の側面に接する。
【0014】
本発明の特に有利な設計によれば、周方向に向けられた停止カムの側面は、カム収容部の側面に適合した形状を有する。本発明のこの設計によれば、旋回範囲の端部で互いに接触する側面は、互いに割り当てられた面が面接触するように互いに適合される。本発明のこの設計によって、特に信頼性の高い端部停止が提供され、特に、側面の溶着が特に有利な方法で防止される。
【0015】
ギアホイール又はリングギア上の停止カムの配置は、既に先に示したように、基本的にいかなる方法でも行うことができる。従って、停止カムは、例えばギアホイール又はリングギアと一体的に、例えばスタンピングを用いて形成されることができる。しかしながら、本発明の有利な設計によれば、停止カムは停止カムキャリア上に配置され、回転しないように固定され、停止カムキャリアはリングギア又はギアホイールに接続されることができると規定されている。
【0016】
本発明のこの設計によれば、停止カムはギアホイール又はリングギアと一体的に形成されるのではなく、リングギア又はギアホイールに接続されることができる、リングギアとギアホイールとの間の区域に位置付けられた、回転に対して固定された別個のコンポーネント上に配置される。組み立て状態では、停止カムは、停止カムキャリアに接続されたギアホイール又はリングギアから他方のギアのカム収容部内へと突出する。
【0017】
別個の停止カムキャリアの使用は、補足的な方法でシート取付具の製造を容易にし、また、コンポーネントから製造することができるシート取付具の多様性を増加させる。ここで、停止カムキャリアの配置は、原則としていかなる方法でも行うことができる。従って、停止カムキャリアが利用可能な設置スペースを実質的に埋めるか追加の支持点を提供することができるようにこれを設計をするために、停止カムキャリアをギアホイール又はリングギアに溶接するか接着することが可能である。しかしながら、本発明の有利な設計によれば、停止カムキャリアが設置状態ではギアホイール又はリングギアに対して回転しないように固定されるように、停止カムキャリアが形成され、且つリングギア又はギアホイールは対応する設計を有する。
【0018】
本発明のこの設計によれば、停止カムキャリアは、例えば、半径方向に突出する突起を有することができ、突起は、リングギア又はギアホイールの対応する凹部に係合する。また、停止カムキャリア及びリングギア又はギアホイールは、回転を阻止する輪郭を有することができる。本発明のこの設計は、シート取付具のシンプルで可変的な組み立てを可能にする。位置決めの付加的な固定は、おそらく別のコンポーネントを使用して、ここで実現されることができる。従って、停止カムキャリアをギアホイール又はリングギア上のその位置に固定する目的でクリップ式装置を有する分離リングを使用することができる。
【0019】
停止カムと同様に、カム収容部は、原則としていかなる形状をも有することができ、自由に形成されることができる。ここで、カム収容部の本質的な特徴は、収容部が、停止カムの調節可能な受け入れを可能にし、それにより、停止カムの移動区域を側面によってリングギア又はギアホイールの周方向において制限することである。従って、カム収容部は、例えば、リングギア又はギアホイールの単純な開口部によって形成されることができる。
【0020】
しかしながら、本発明の代替的な設計によれば、カム収容部は設置状態で環状のキャビティによって形成され、キャビティはロック要素によって中断される。ここで、キャビティは設置状態ではギアホイールとリングギアの間に形成され、取付具の軸線と同心状に伸びる。カム収容部内で停止カムの移動区域を制限するために、すなわち、取付具下部品に対する取付具上部品の調節区域を定めるために、ここでロック要素はキャビティ内に配置され、ロック要素の側面が停止カムのための止め具として機能するように、停止カムの方向に突出する。
【0021】
ここで、ロック要素の設計は自由に選択されることができる。しかしながら、リングギア又はギアホイールのパンチ加工を用いてこの要素を製造することが特に好ましい。停止カムキャリアと同様に、ここで、ロック要素も単独で配置されることができる。これにより、異なる顧客の要求に対応するシート取付具を簡単に製造することが可能になる。
【0022】
システムによって、ギアホイールに対するリングギアの調節中、停止カムはカム収容部に対して、偏心器によって生じるローリング調節によってカム収容部内でサイクロイド形の経路を描く。調節中に、停止カムの半径方向に向けられる移動の割合は、停止カムの周方向に向けられる移動の割合に対して変化する。
【0023】
本発明の特に有利な設計によれば、停止カム及びカム収容部は、調節中に、カム収容部に対してサイクロイド形の経路上を移動させられる停止カムが、経路の周方向に向けられる移動の割合が移動経路の半径方向に向けられる割合よりも大きい移動経路の区域でカム収容部の側面と接触するように形成されると規定されている。本発明のこの設計によれば、カム収容部及び停止カムは、周方向を向いている移動の割合が半径方向に向けられる移動の割合よりも大きい場合に互いに接触するように、互いに対して適合される。結果として、停止カム及びカム収容部の溶着を特に確実に防止することができる。停止カム及びカム収容部が互いに接触するとき、停止カムの半径方向の移動の割合が周方向の移動の割合よりも著しく大きい場合、溶着の恐れがある可能性がある。
【0024】
基本的に、本発明を使用することによって得られる利点は、カム収容部及び停止カムを有するシート取付具の設計により既に得られている。その上、多数の更なる設計があり、例えば、同じ長さの2つ又はそれ以上のカム収容部を関連する停止カムと共に設けることができる。しかしながら、本発明の特に有利な設計によれば、異なる長さのいくつかのカム収容部、好ましくは2つのカム収容部、特に好ましくは3つのカム収容部がリングギア又はギアホイール上に周方向に配置される。本発明のこの設計により、同一のコンポーネントで、特に1つの停止カムのみを設けることで、リングギアに対するギアホイールの設置位置に応じて、すなわち好ましくは1つのカムが配置されたカム収容部の選択で定められる、異なる調節区域を有するシート取付具が可能になる。したがって、本発明のこの設計により、シート取付具の費用対効果の高い製造が可能になり、同一のコンポーネントを有するシート取付具を、異なる製造業者の仕様に適合させることができる。
【0025】
座部及び背もたれに接続される取付具上部品又は取付具下部品の設計はそれぞれ、原則として自由に選択可能である。しかしながら、本発明の特に有利な設計によれば、取付具上部品がリングギアと一体的に形成され、且つ/又は取付具下部品がギアホイールと一体的に形成される。本発明のこの設計を使用すれば、取付具上部品及び/又は取付具下部品へのリングギア及び/又はギアホイールの追加の組み立てを省略することができる。特に、追加の組み立てステップを省略することができるので、こうして更に発展したシート取付具は、特に容易に且つコスト効率よく製造されることができる。
【0026】
リングギアに対するギアホイールの駆動のための偏心器の設計は、基本的にいかなる方法でも形成されることができる。しかしながら、本発明の特に有利な設計によれば、偏心器は止め(キャッチ)と2つのくさび片とを有する。リングギアの縦軸に対するギアホイールの偏心配置をもたらす止めの設計及びくさび片に対する止めの向きに応じて、ドライブシャフトの調節区域を定めることができ、その範囲では調節が取付具下部品に対する取付具上部品の直接移動にならない。止めを2つのくさび片と共に使用することは、簡単な構成及び信頼性の高い機能によって区別される。
【0027】
ギアホイールの穴に配置されたスライドリング内でのくさび片の信頼性のある当接を保証するために、本発明の特に有利な設計によれば、これらがばね要素、特にオメガばねを用いて周方向に押し開かれると規定されている。オメガばねの使用は、特に簡単で費用効果の高い方法で実施することができ、その設計により、これは特に省スペースでシート取付具内に配置されることができる。
【0028】
本発明の例示的な実施形態について図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】カム収容部及びカムを備えたシート取付具の第1実施形態の分解図である。
図2】3つのカム収容部を有するシート取付具の第2実施形態のリングギア及びギアホイールである。
図3図1のシート取付具のギアホイールの斜視図である。
図4】3つのカム収容部及びカム収容部の中央区域に配置された停止カムを有する図2のリングギアの平面図である。
図5】停止カムが端部位置にある図2のリングギアの上面図である。
図6】停止カムが中央区域に配置された図1のシート取付具の平面図である。
図7】停止カムがカム収容部の側面に配置された図1のシート取付具の平面図である。
図8】カム収容部内に配置された、図示の経路を有する停止カムの拡大図である。
図9】シート取付具の第2実施形態の分解図である。
図10】停止カムを有するストップリングが配置された、図9のシート取付具のギアホイールの斜視図である。
図11】ストップリングが配置された図9のシート取付具のリングギアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、車両シート取付具1の第1実施形態を分解図で示す。車両シート取付具1は、自動車シートの座部(ここには図示せず)と背もたれ(同様に図示せず)に接続されることができる、取付具上部品2と取付具下部品3とを有する。
【0031】
取付具上部品2は、内歯5を有するリングギア21を有する。リングギア21は、内歯5とリングギア21に対して軸方向に延びる穴14との間の区域にカム収容部17を有する。この収容部は、穴14と同心状に延びる。
【0032】
取付具下部品3はギアホイール4を有し、ギアホイール4にはその取付具上部品2に向いている側に停止カム16が設けられ、停止カム16は、ギアホイール4がリングギア21内に配置される車両シート取付具1の組み立て状態では、カム収容部17内で動く。ここで、ギアホイール4は、リングギア21に対するギアホイール4の偏心配置によってギアホイールが取付具上部品2に対してタンブリング運動を行うように、リングギア21よりも少ない歯数を有する。
【0033】
リングギア21に対するギアホイール4の偏心配置を実現するために、車両シート取付具1は偏心器を有し、偏心器は2つのくさび片18と駆動ギア12上に配置された止め15とから形成される。車両シート取付具1の組み立て状態では、くさび片18はギアホイール4の穴7内に配置されたスライドリング10内に当接する。駆動ギア12は、リングギア21に対して軸方向に進む取付具軸線6に沿ってスタブシャフト13が延び、スタブシャフト13と同心状に配置された止め15は、くさび片18の表面側と係合することができるように、その表面側に配置される。ここで、くさび片18は、ばね11によって周方向に互いに離れるようにプレテンションされ、ばね11は、取付具軸線6と平行に延びるそのばね端部20がくさび片18の凹部19に配置される。組み立て状態でスタブシャフト13の端部に対して同心状に進む保持リング9が、駆動ギア12の位置を固定するのに役立つ。
【0034】
従って、組み立て状態では、歯車装置の転がり円の違いによるオフセンター手段によって、ギアホイール4の穴7の中心点は、穴14の中心点を通る取付具軸線6に対してずらされる。鎌形の中間領域は鏡像に配置されたくさび片18で埋められる。
【0035】
スタブシャフト13に接続され、回転しないように固定されたハンドホイールを用いた駆動ギア12の駆動又は電動モータ駆動の際に、止め15の移動が、スライドリング10内のくさび片18の自由端に向かう方向に生じる。偏心によって、くさび片18の調節中、ギアホイール4がリングギア21上を転がり、カム収容部17内に配置された停止カム16が、図8に示すようなサイクロイド形経路24で移動する(図3,6及び7参照)。
【0036】
車両シート取付具1の調節区域は停止カム16及びカム収容部17によって定められ、停止カム16はカム収容部17内でカム収容部17の側面22の間を移動し、車両シート取付具の端部位置では、停止カム16の側面23がカム収容部17の側面22と接触する。
【0037】
図2,4及び5に示される例示的な実施形態では、リングギア21は、これが異なる長さの3つのカム収容部17を有する点で、図1に示されるリングギア21と異なる。従って、リングギア21に対するギアホイール4の設置場所に応じて、異なる旋回範囲でシート取付具1を形成することが可能であり、これは同一のコンポーネントを使用して起こり得る。停止カム16が配置されるカム収容部17の長さは、車両シート取付具1の旋回範囲を決定する。
【0038】
停止カム16のカム収容部17の側面22との溶着を防ぐために、停止カム16は、経路24の周方向に向けられる移動の割合が半径方向に向けられる移動の割合よりも大きい場合にのみ、その側面23がカム収容部の側面22に接触するように、これらは設計される。図8に示される経路24では、このことは、停止カム16が理想的には図示の経路24の点9で側面22と係合することを意味する。
【0039】
図9は、車両シート取付具1aの第2実施形態を分解図で示す。図1から8に示されるシート取付具1とは対照的に、シート取付具1a(それ以外の大部分はシート取付具1に相当する)はストップリング25として形成された別個の停止カムキャリアを有し、ストップリング25に停止カム16aが設けられている。
【0040】
シート取付具1aの組み立て状態では、ストップリング25は、停止カム16aもまたギアホイール4aに対して固定されるように、ギアホイール4aに接続され、回転しないように固定される。このために、ギアホイール4aは「花状」の輪郭26を有する深まり部27を有し、ストップリング25は対応して形成された形状を有し、それにより周方向に形状ロックが生じる。
【0041】
停止カム16aはストップリング25からリングギア21aに向かって軸方向に突出し、組み立て状態の停止カム16aはリングギア21aのカム収容部17a内に回転可能に配置される。リングギア21上に円周方向に形成されたカム収容部17aはパンチ加工されたロック要素28によって中断され、ロック要素28の側面が停止カム16aのための止め具を形成し、それによりリングギア21aの調節移動がギアホイール4aに対して制限される。
【0042】
クリップ留めできる分離リング29が、ギアホイール4aに対して適切な位置にストップリング25を固定するのに役立ち、この分離リングを使用することで、ストップリング25は軸方向及び半径方向に移動しないように固定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11