(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プローブ湾曲部は、前記第1の垂直方向及び前記第2の垂直方向に垂直な前記断面において、前記第1の湾曲方向及び前記第2の湾曲方向について前記超音波プローブの中央位置を通る断面中央軸を規定した場合に、前記第1の垂直方向から前記第2の垂直方向に向かうにつれて前記断面中央軸の曲率が大きくなる状態に、前記第1の湾曲方向に湾曲し、
前記プローブ湾曲部は、前記第1の垂直方向から前記第2の垂直方向に向かうにつれて、前記断面中央軸の延設方向が前記長手軸に平行でなくなる軸湾曲基端が、前記先端方向側に位置する、
請求項1の超音波プローブ。
前記プローブ湾曲部は、前記超音波プローブの先端を形成する先端面であって、前記先端面において前記第1の湾曲方向及び前記第2の湾曲方向について前記超音波プローブの前記中央位置を通る先端面中央線を規定した場合に、前記先端面中央線は前記第1の垂直方向及び前記第2の垂直方向に平行である先端面を、備える、請求項1の超音波プローブ。
前記先端処置部は、前記第1の垂直方向を向く状態で前記ジョーと対向するプローブ側対向部であって、前記プローブ湾曲部において前記第1の湾曲方向及び前記第2の湾曲方向について湾曲することにより、第1の湾曲形状を形成するプローブ側対向部を備え、
前記ジョーは、前記第2の垂直方向を向く状態で前記プローブ側対向部と対向し、前記ジョーを前記先端処置部に対して閉じた状態で、前記プローブ側対向部に当接可能なジョー側対向部であって、前記プローブ側対向部と対向する状態に前記第1の湾曲方向及び前記第2の湾曲方向について湾曲することにより、前記第1の湾曲形状に対応する第2の湾曲形状を形成するジョー側対向部を備える、
請求項4の超音波処置装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、
図1乃至
図14を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の超音波処置装置1の構成を示す図である。
図1に示すように、超音波処置装置1は、長手軸Cを有する。ここで、長手軸Cに平行な方向の一方が先端方向(
図1の矢印C1の方向)であり、先端方向とは反対方向が基端方向(
図1の矢印C2の方向)である。そして、先端方向及び基端方向が、長手軸Cに平行な長手軸方向となる。長手軸Cは、直線状に延設される軸である。本実施形態では、超音波処置装置1は、超音波振動を用いて生体組織等の凝固切開を行う超音波凝固切開処置装置である。
【0011】
超音波処置装置1は、保持ユニット3を備える。保持ユニット3は、長手軸Cに沿って延設される筒状ケース部5と、筒状ケース部5と一体に形成される固定ハンドル6と、筒状ケース部5に対して回動可能に取付けられる可動ハンドル7と、を備える。筒状ケース部5への取付け位置を中心として可動ハンドル7が回動することにより、可動ハンドル7が固定ハンドル6に対して開動作又は閉動作を行う。また、保持ユニット3は、筒状ケース部5の先端方向側に取付けられる回転操作ノブ8を備える。回転操作ノブ8は、筒状ケース部5に対して長手軸Cを中心として回転可能である。また、固定ハンドル6には、エネルギー操作入力部であるエネルギー操作入力ボタン9が取付けられている。
【0012】
超音波処置装置1は、長手軸Cに沿って延設されるシース10を備える。シース10が先端方向側から回転操作ノブ8の内部及び筒状ケース部5の内部に挿入されることにより、シース10が保持ユニット3に取付けられる。シース10の先端部には、ジョー11が回動可能に取付けられている。可動ハンドル7は、筒状ケース部5の内部でシース10の可動筒状部(図示しない)に接続されている。可動筒状部の先端は、ジョー11に接続されている。固定ハンドル6に対して可動ハンドル7を開閉することにより、可動筒状部が長手軸Cに沿って移動する。これにより、ジョー11が、シース10への取付け位置を中心として回動する。また、シース10及びジョー11は、回転操作ノブ8と一体に、筒状ケース部5に対して長手軸Cを中心として、回転可能である。
【0013】
また、超音波処置装置1は、長手軸Cに沿って延設される振動子ケース12を備える。振動子ケース12が基端方向側から筒状ケース部5の内部に挿入されることにより、振動子ケース12が保持ユニット3に取付けられる。筒状ケース部5の内部では、振動子ケース12は、シース10に連結されている。振動子ケース12は、回転操作ノブ8と一体に、筒状ケース部5に対して長手軸Cを中心として、回転可能である。また、振動子ケース12には、ケーブル13の一端が接続されている。ケーブル13の他端は、制御ユニット15に接続されている。制御ユニット15は、超音波電流供給部16及びエネルギー制御部18を備える。ここで、制御ユニット15は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備えるエネルギー生成器である。また、超音波電流供給部16は、例えばエネルギー生成器に設けられる電源であり、エネルギー制御部18は、例えばCPU、ASICに設けられる電子回路(制御回路)によって形成されている。
【0014】
図2は、振動子ケース12の内部構成を示す図である。
図2に示すように、振動子ケース12の内部には、電流が供給されることにより超音波振動を発生する超音波発生部である超音波振動子21が、設けられている。超音波振動子21は、電流を振動に変換する複数の(本実施形態では4つの)圧電素子22A〜22Dを備える。超音波振動子21は、長手軸Cに沿って延設されるホーン部材23に装着されている。超音波振動子21で発生した超音波振動は、ホーン部材23に伝達される。ホーン部材23には、断面積変化部26が形成されている。断面積変化部26では、先端方向に向かうにつれて、長手軸Cに垂直な断面積が小さくなる。このため、断面積変化部26では、超音波振動の振幅が拡大される。ホーン部材23の先端部には、雌ネジ部27が設けられている。
【0015】
ホーン部材23の先端方向側には、柱状の超音波プローブ31が延設されている。超音波プローブ31の基端部には、雄ネジ部32が設けられている。雄ネジ部32が雌ネジ部27に螺合することにより、ホーン部材23の先端方向側に超音波プローブ31が接続される。ホーン部材23は、筒状ケース部5の内部まで延設され、筒状ケース部5の内部で、ホーン部材23に超音波プローブ31が接続されている。超音波プローブ31は、筒状ケース部5の内部から、回転操作ノブ8の内部及びシース10の内部を通って延設されている。そして、
図1に示すように、シース10の先端から先端方向に向かって突出する状態で、超音波プローブ31はシース10に挿通されている。なお、超音波振動子21、ホーン部材23及び超音波プローブ31は、回転操作ノブ8と一体に筒状ケース部5に対して、長手軸Cを中心として回転可能である。
【0016】
超音波振動子21には、電気配線25A,25Bの一端が接続されている。電気配線25A,25Bは、ケーブル13の内部を通って、他端が制御ユニット15の超音波電流供給部16に接続されている。超音波電流供給部16から電気配線25A,25Bを介して超音波振動子21に超音波発生電流が供給されることにより、超音波振動子21で超音波振動が発生する。そして、発生した超音波振動は、ホーン部材23を介して超音波プローブ31に伝達される。そして、超音波プローブ31において基端方向から先端方向へ超音波振動が伝達される。ここで、超音波振動子21の基端及び超音波プローブ31の先端は、超音波振動の腹位置となる。また、超音波プローブ31は、超音波振動が伝達されることにより、振動方向及び振動の伝達方向が長手軸Cに対して平行な縦振動を行う。
【0017】
エネルギー制御部18は、エネルギー操作入力ボタン9でのエネルギー操作の入力に基づいて、超音波電流供給部16からの超音波発生電流の供給状態を制御している。固定ハンドル6の内部には、スイッチ(図示しない)が設けられている。エネルギー操作入力ボタン9が押圧され、エネルギー操作が入力されることにより、スイッチが閉じられる。スイッチは、エネルギー制御部18に電気的に接続されている。スイッチが閉じられることにより、電気信号がエネルギー制御部18に伝達され、エネルギー操作の入力が検出される。エネルギー操作の入力が検出されることにより、超音波電流供給部16から超音波振動子21に超音波発生電流が供給され、超音波振動子21で超音波振動が発生する。
【0018】
図3は、超音波プローブ31の先端部、シース10の先端部及びジョー11の構成を示す図である。
図3に示すように、超音波プローブ31は、シース10の先端から先端方向へ突出する先端処置部33を備える。先端処置部33では、伝達された超音波振動を用いて、生体組織等の処置対象の処置が行われる。ジョー11がシース10に対して回動することにより、ジョー11が先端処置部33に対して開動作又は閉動作を行う。ここで、長手軸Cに垂直なある1つの方向がジョー開方向(
図3の矢印A1の方向)であり、ジョー開方向とは反対方向がジョー閉方向(
図3の矢印A2の方向)である。
【0019】
図4は、超音波プローブ31の先端処置部33の構成を示す図である。
図3及び
図4に示すように、超音波プローブ31は、重心軸Wに沿って延設されている。また、超音波プローブ31は、長手軸Cを中心として長手軸Cに沿って延設されるプローブ本体部35を備える。重心軸Wに垂直な断面では、重心軸Wが通過する位置が、断面の横断面重心(軸垂直断面重心)Vとなる。プローブ本体部35では、重心軸Wは、長手軸Cと同軸である。ここで、長手軸Cを通り、かつ、ジョー開方向及びジョー閉方向に垂直な対称基準面P0を規定する。プローブ本体部35は、対称基準面P0を中央面として面対称に、形成されている。また、プローブ本体部35の重心GA(図面では図示されていない)は、長手軸C上に位置している。プローブ本体部35では、基端方向から先端方向へ長手軸Cに沿って超音波振動が伝達される。
【0020】
また、ジョー開方向(
図3及び
図4の矢印A1の方向)及びジョー閉方向(
図3及び
図4の矢印A2の方向)とは異なる長手軸Cに垂直なある1つの方向を第1の湾曲方向(
図3及び
図4の矢印B1の方向)とし、第1の湾曲方向とは反対方向を第2の湾曲方向(
図3及び
図4の矢印B2の方向)とする。ここで、ジョー開方向は、長手軸Cに垂直かつ第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向に垂直な方向の一方である第1の垂直方向となる。また、ジョー閉方向は、長手軸Cに垂直かつ第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向に垂直な方向の他方である第2の垂直方向となる。
【0021】
超音波プローブ31では、プローブ本体部35の先端方向側にプローブ湾曲部37が、設けられている。本実施形態では、プローブ湾曲部37は、先端処置部33の一部となり、先端処置部33に位置している。プローブ湾曲部37は、プローブ本体部35の先端方向側に連続し、第1の湾曲方向へ湾曲している。すなわち、プローブ湾曲部37は、第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向について、プローブ本体部35に対して湾曲している。プローブ湾曲部37は、対称基準面P0を中央面として非面対称に、形成されている。また、プローブ湾曲部37の重心GBは、長手軸Cより第1の湾曲方向側に位置している。なお、プローブ湾曲部37では、重心軸Wは、第1の湾曲方向へ長手軸Cに対して湾曲している。
【0022】
図5乃至
図7は、先端処置部33を第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面で示す図である。ここで、
図5は、長手軸Cを通る断面である。また、
図6は、
図5の断面より第1の垂直方向側(ジョー開方向側)の断面であり、
図7は、
図5の断面より第2の垂直方向側(ジョー閉方向側)の断面である。
【0023】
図5乃至
図7に示すように、先端処置部33の第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、第1の湾曲方向(
図5乃至
図7の矢印B1の方向)及び第2の湾曲方向(
図5乃至
図7の矢印B2の方向)について超音波プローブ31の中央位置を通る断面中央軸(M1〜M3の対応する1つ)が、規定されている。プローブ本体部35では、断面中央軸(M1〜M3)は、長手軸Cに対して平行に延設され、対称基準面P0上に延設されている。
【0024】
また、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、断面中央軸(M1〜M3の対応する1つ)の延設方向が長手軸Cに平行でなくなる軸湾曲基端(Q1〜Q3の対応する1つ)が、プローブ湾曲部37に位置している。それぞれの断面中央軸(M1〜M3)では、軸湾曲基端(Q1〜Q3の対応する1つ)は、断面中央軸(M1〜M3の対応する1つ)が長手軸Cに対して湾曲を開始する湾曲開始位置となる。それぞれの軸湾曲基端(Q1〜Q3)より先端方向側では、断面中央軸(M1〜M3の対応する1つ)は、第1の湾曲方向に湾曲し、対称基準面P0から第1の延設方向へ離れた状態で延設されている。長手軸Cに平行な長手軸方向についての軸湾曲基端(Q1〜Q3)の位置は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って、変化する。すなわち、軸湾曲基端(Q1〜Q3)は、第1の垂直方向(ジョー開方向)から第2の垂直方向(ジョー閉方向)へ向かうにつれて、先端方向側に位置している。したがって、
図5の断面での軸湾曲基端(湾曲開始位置)Q1は、
図6の断面での軸湾曲基端(湾曲開始位置)Q2より先端方向側に位置し、
図7の断面での軸湾曲基端(湾曲開始位置)Q3より基端方向側に位置している。なお、長手軸Cを通る
図5の断面での断面中央軸M1は、超音波プローブ31の重心軸Wと一致する。
【0025】
第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、軸湾曲基端(Q1〜Q3の対応する1つ)より先端方向側の部位において、断面中央軸(M1〜M3の対応する1つ)が曲率(R1〜R3の対応する1つ)で湾曲している。断面中央軸(M1〜M3)の曲率(R1〜R3)は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って変化する。すなわち、断面中央軸(M1〜M3)の曲率(R1〜R3)は、第1の垂直方向(ジョー開方向)から第2の垂直方向(ジョー閉方向)へ向かうにつれて、大きくなる。したがって、
図5の断面での断面中央軸M1の曲率R1は、
図6の断面での断面中央軸M2の曲率R2より大きく、
図7の断面での断面中央軸M3の曲率R3より小さい。
【0026】
第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、プローブ湾曲部37の軸湾曲基端(Q1〜Q3の対応する1つ)より基端方向側の部位において、断面中央軸(M1〜M3の対応する1つ)は、プローブ本体部35と同様に、長手軸Cに対して平行に延設されている。ここで、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面の中で軸湾曲基端が最も基端方向側に位置する断面を、境界規定断面とする。本実施形態では、第1の垂直方向から第2の垂直方向へ向かうにつれて、軸湾曲基端(Q1〜Q3)が先端方向側に位置している。このため、プローブ湾曲部37の第1の垂直方向側の端を通過する断面(接面)は、境界規定断面となる。例えば、
図5の断面より第1の垂直方向側に位置する
図6の断面を、プローブ湾曲部37の第1の垂直方向側の端を通過する境界規定断面とする。この場合、長手軸Cに平行な長手軸方向についてプローブ本体部35とプローブ湾曲部37との境界Dは、断面中央軸M2の軸湾曲基端Q2と位置が一致している。すなわち、長手軸方向についてプローブ本体部35とプローブ湾曲部37との境界Dは、境界規定断面での断面中央軸の軸湾曲基端と一致している。なお、本実施形態の説明においては、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面には、プローブ湾曲部37の第1の垂直方向側の端を通過する接面、及び、プローブ湾曲部37の第2の垂直方向側の端を通過する接面が、含まれる。また、超音波プローブ31の重心軸Wは、境界Dより基端方向側では長手軸Cと同軸であり、境界Dより先端方向側で長手軸Cに対して湾曲する。
【0027】
前述のように、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面でのプローブ湾曲部37の断面形状は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って、連続的に変化する。ここで、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面において、プローブ湾曲部37の断面重心(GB1〜GB3)を規定する。前述のようにプローブ湾曲部37の断面形状が第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って変化することにより、プローブ湾曲部37の断面重心(GB1〜GB3)の位置は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って変化する。すなわち、プローブ湾曲部37の断面重心(GB1〜GB3)は、第1の垂直方向(ジョー開方向)から第2の垂直方向(ジョー閉方向)へ向かうにつれて、第2の湾曲方向側に位置している。したがって、
図5の断面でのプローブ湾曲部37の断面重心GB1は、
図6の断面でのプローブ湾曲部37の断面重心GB2より第2の湾曲方向側に位置し、
図7の断面でのプローブ湾曲部37の断面重心GB3より第1の湾曲方向側に位置している。
【0028】
前述のようにプローブ湾曲部37の断面重心(GB1〜GB3)の位置が第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って移動することにより、プローブ湾曲部37の重心GBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が小さくなる。例えば、プローブ湾曲部37の第1の垂直方向側の部位を通過する
図6の断面において、プローブ湾曲部37の断面重心GB2の長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が大きくなる場合でも、プローブ湾曲部37の第2の垂直方向側の部位を通過する
図7の断面では、プローブ湾曲部37の断面重心GB3の長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が小さくなる。第2の垂直方向側の部位においてプローブ湾曲部37の断面重心の長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が小さくなることにより、プローブ湾曲部37の重心GBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が、大きくならない。
【0029】
図8乃至
図10は、先端処置部33を重心軸Wに垂直な断面(横断面)で示す図である。
図8は、
図4の断面I1を示し、
図9は、
図4の断面I2を示し、
図10は、
図4の断面I3を示している。断面I1は、境界Dより基端方向側の断面であり、断面I2及び断面I3は、境界Dより先端方向側の断面である。また、断面I3は、断面I2より先端方向側に位置している。ここで、重心軸Wに垂直な断面での重心を横断面重心(軸垂直断面重心)Vとする。そして、重心軸Wに垂直な断面において重心軸Wより第1の垂直方向側(
図8乃至
図10の矢印A1の方向側)の半分重心を、第1の横断面半分重心VAとし、重心軸Wに垂直な断面において重心軸Wより第2の垂直方向側(
図8乃至
図10の矢印A2の方向側)の半分重心を、第2の横断面半分重心VBとする。
【0030】
図8に示す断面I1では、境界Dより基端方向側に位置するため、重心軸Wが長手軸Cと同軸であり、長手軸Cは横断面重心V1を通過する。また、第1の湾曲方向(
図8乃至
図10の矢印B1の方向)及び第2の湾曲方向(
図8乃至
図10の矢印B2の方向)について、第1の横断面半分重心VA1及び第2の横断面半分重心VB1は、重心軸W(横断面重心V1)に対してずれていない。
【0031】
図9に示す断面I2及び
図10に示す断面I3のそれぞれでは、境界Dより先端方向側に位置するため、横断面重心(V2,V3の対応する1つ)は、長手軸Cから第1の湾曲方向側に離れている。また、断面I3での長手軸Cから横断面重心V3までの距離は、断面I2での長手軸Cから横断面重心V2までの距離より大きくなる。また、断面I2及び断面I3のそれぞれでは、第1の横断面半分重心(VA2,VA3の対応する1つ)は、断面重心(V2,V3の対応する1つ)に対して第1の湾曲方向側にずれていて、第2の横断面半分重心(VB2,VB3の対応する1つ)は、断面重心(V2,V3の対応する1つ)に対して第2の湾曲方向側にずれている。このため、断面I3では、長手軸Cから第2の横断面半分重心VB3までの第1の湾曲方向への距離が小さくなり、断面I2では、第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向について第2の横断面半分重心VB2が長手軸Cに対してずれていない。
【0032】
前述のように、プローブ湾曲部37では、横断面重心Vより第2の垂直方向側の半分重心である第2の横断面半分重心VBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が小さくなる、又は、ゼロになる。これにより、プローブ湾曲部37の重心GBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が、大きくならない。
【0033】
プローブ湾曲部37は、超音波プローブ31の先端を形成する先端面38を備える。
図11は、プローブ湾曲部37の先端面38を示す図である。
図11に示すように、先端面38では、第1の湾曲方向(
図11の矢印B1の方向)及び第2の湾曲方向(
図11の矢印B2の方向)について超音波プローブ31の中央位置を通る先端面中央線L0が規定されている。先端面中央線L0は、第1の垂直方向(
図11の矢印A1の方向)及び第2の垂直方向(
図11の矢印A2の方向)に平行である。
【0034】
図5乃至
図7に示すように、それぞれの断面中央軸(M1〜M3)の先端(E1〜E3)は、先端面38に位置している。すなわち、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面において、先端面38まで断面中央軸(M1〜M3の対応する1つ)が延設されている。したがって、プローブ湾曲部37の第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての寸法は、長手軸Cに平行な長手軸方向について全長に渡って一定である。先端面中央線L0は、断面中央軸(M1〜M3)の先端(E1〜E3)を連続させることにより、形成される。このため、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面に規定される断面中央軸の先端は、他の断面中央軸の先端と、第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向についての位置が一致している。したがって、第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向について、断面中央軸M1の先端E1は、断面中央軸M2の先端E2及び断面中央軸M3の先端E3と位置が一致している。
【0035】
図12は、先端処置部33及びジョー11を長手軸Cに垂直な断面で示す図である。
図12は、ジョー11が先端処置部33に対して閉じた状態を示している。また、
図12は、境界Dより基端方向側を通過する断面である。
図3、
図12に示すように、ジョー11は、ジョー本体41と、ジョー本体41に接続ピン42を介して取付けられる保持部材43と、保持部材43によって保持されるパッド部材45と、を備える。
【0036】
図12に示すように、超音波プローブ31の先端処置部33は、長手軸Cに垂直な断面が略八角形状に形成されている。先端処置部33にはジョー開方向である第1の垂直方向(
図12の矢印A1の方向)を向く状態でジョー11と対向するプローブ側対向部51が、設けられている。プローブ側対向部51は、パッド部材45が先端処置部33に当接した状態において第1の垂直方向及び第2の垂直方向(
図12の矢印A2の方向)に垂直なプローブ側当接面52と、プローブ側当接面52に対して傾斜する対向傾斜面53A,53Bと、を備える。対向傾斜面(第1の対向傾斜面)53Aは、プローブ側当接面52の第1の湾曲方向(
図12の矢印B1の方向)側に連続し、対向傾斜面(第2の対向傾斜面)53Bは、プローブ側当接面52の第2の湾曲方向(
図12の矢印B2の方向)側に連続している。
【0037】
図13は、プローブ側対向部51を第1の垂直方向(ジョー開方向)から視た図である。
図13に示すように、プローブ側対向部51は、プローブ湾曲部37において長手軸Cに対して第1の湾曲方向(
図13の矢印B1の方向)に湾曲している。すなわち、プローブ側対向部51は、第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向(
図13の矢印B2の方向)について、プローブ湾曲部37において湾曲している。これにより、プローブ側対向部51によって、
図13に示す第1の湾曲形状が形成される。
【0038】
図12に示すように、ジョー11には、第2の垂直方向(ジョー閉方向)を向く状態でプローブ側対向部51に対向するジョー側対向部55が、設けられている。ジョー側対向部55は、ジョー11を先端処置部33に対して閉じた状態で、プローブ側対向部51のプローブ側当接面52に当接可能なジョー側当接面56を備える。すなわち、ジョー側対向部55は、ジョー11を先端処置部33に対して閉じた状態で、プローブ側対向部51に当接可能である。ジョー側当接面56は、パッド部材45によって形成されている。また、ジョー側対向部55は、ジョー側当接面56がプローブ側当接面52と接触した状態で、プローブ側対向部51と接触しない対向非接触面57A,57Bを備える。対向非接触面57A,57Bは、保持部材43によって形成されている。対向非接触面(第1の対向非接触面)57Aは、ジョー側当接面56の第1の湾曲方向側に位置し、対向非接触面(第2の対向非接触面)57Bは、ジョー側当接面56の第2の湾曲方向側に位置している。
【0039】
図14は、ジョー側対向部55を第2の垂直方向(ジョー閉方向)から視た図である。
図14に示すように、ジョー側対向部55は、プローブ側対向部51の湾曲に対応して、長手軸Cに対して第1の湾曲方向(
図14の矢印B1の方向)に湾曲している。すなわち、ジョー側対向部55は、プローブ側対向部51と対向する状態に、第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向(
図14の矢印B2の方向)について湾曲している。これにより、ジョー側対向部55によって、プローブ側対向部51の第1の湾曲形状に対応する
図14に示す第2の湾曲形状が、形成される。ジョー側対向部55がプローブ側対向部51の第1の湾曲形状に対応する第2の湾曲形状に形成されるため、長手軸Cに平行な方向である長手軸方向について全長に渡って、ジョー側対向部55がプローブ側対向部51に当接可能となる。
【0040】
次に、本実施形態の超音波処置装置1及び超音波プローブ31の作用及び効果について、説明する。超音波処置装置1を用いて生体組織等の処置対象の処置を行う際には、ジョー11、超音波プローブ31及びシース40を体腔内に挿入する。そして、ジョー11が先端処置部33に対して開いた状態で、ジョー11と先端処置部33との間で処置対象を把持可能な位置に、先端処置部33を配置する。ここで、先端処置部33には、長手軸Cに対して第1の湾曲方向へ湾曲するプローブ湾曲部37が、設けられている。そして、プローブ湾曲部37では、ジョー開方向である第1の垂直方向に向かうにつれて、断面中央軸(M1〜M3)の延設方向が長手軸Cに平行でなくなる軸湾曲基端(Q1〜Q3)が、基端方向側に位置する。また、プローブ湾曲部37では、ジョー開方向である第1の垂直方向に向かうにつれて、断面中央軸(M1〜M3)の曲率(R1〜R3)が、小さくなる。前述のような形状に先端処置部33が形成されるため、ジョー11と先端処置部33との間で処置対象を把持可能な位置まで、先端処置部33を到達させ易い。
【0041】
そして、ジョー11と先端処置部33との間に処置対象が位置する状態で、可動ハンドル7を固定ハンドル6に対して閉じる。これにより、ジョー11が先端処置部33に対して閉動作を行い、ジョー11と先端処置部33との間で処置対象が把持される。前述のような形状に先端処置部33が形成されるため、ジョー11と先端処置部33との間で処置対象が把持される処置時において、術者の視認性が確保される。
【0042】
また、ジョー11のジョー側対向部55は、先端処置部33のプローブ側対向部51と対向する状態に、第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向について湾曲され、プローブ側対向部51の第1の湾曲形状に対応する第2の湾曲形状に形成されている。このため、ジョー11と先端処置部33との間に処置対象が配置されない状態では、長手軸Cに平行な方向である長手軸方向について全長に渡って、ジョー側対向部55がプローブ側対向部51に当接する。前述のような構成にすることにより、長手軸方向について全長に渡って均一の把持力で、ジョー側対向部55とプローブ側対向部51との間で処置対象が、把持される。また、ジョー11のジョー側対向部55がプローブ側対向部51のプローブ湾曲部37での湾曲に対応させて第1の湾曲方向へ湾曲するため、ジョー11と先端処置部33との間で処置対象が把持される処置時において、術者の視認性が向上する。
【0043】
そして、エネルギー操作入力ボタン9でエネルギー操作が入力されることにより、超音波電流供給部16から超音波振動子21に超音波発生電流が供給され、超音波振動子21で超音波振動が発生する。発生した超音波振動は、ホーン部材23を介して超音波プローブ31に伝達される。そして、超音波プローブ31において基端方向から先端方向へ先端処置部33まで超音波振動が伝達され、超音波プローブ31は振動方向が長手軸Cに平行な縦振動を行う。ジョー11と先端処置部33との間で処置対象が把持された状態で先端処置部33が縦振動することにより、先端処置部33と処置対象との間に摩擦熱が発生する。摩擦熱によって、処置対象が凝固される(coagulated)と同時に切開される(cut)。
【0044】
超音波プローブ31には、長手軸Cより第1の湾曲方向側に重心GBが位置するプローブ湾曲部が設けられている。このため、超音波プローブ31に超音波振動が伝達されることにより、処置に用いられる縦振動に加えて、横振動、ねじれ振動等の不正振動が発生してしまう。不正振動による影響は、プローブ湾曲部37の重心GBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離(ずれ)が大きくなるにつれて、大きくなる。不正振動の影響が大きくなることにより、超音波プローブ31での超音波振動の安定性が低下する。ただし、処置対象を把持可能な位置への先端処置部33の到達性及び処置時の術者の視認性の観点から、プローブ湾曲部37では、プローブ側対向部51が位置する第1の垂直方向(ジョー開方向)側の部位を、前述の形状に形成する必要がある。このため、第1の垂直方向側の部位では、プローブ湾曲部37の断面重心(GB2)の長手軸Cから第1の湾曲方向への距離が大きくなる(
図6参照)。
【0045】
このため、本実施形態では、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面でのプローブ湾曲部37の断面形状が、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って、連続的に変化する。これにより、プローブ湾曲部37の断面重心(GB1〜GB3)は、第1の垂直方向(ジョー開方向)から第2の垂直方向(ジョー閉方向)へ向かうにつれて、第2の湾曲方向側に位置している。第1の垂直方向から第2の垂直方向へ向かうにつれてプローブ湾曲部37の断面重心(GB1〜GB3)の位置が第2の湾曲方向へ移動するため、第2の垂直方向側の部位では、プローブ湾曲部37の断面重心(GB3)の長手軸Cから第1の湾曲方向への距離が小さくなる(
図7参照)。すなわち、第1の垂直方向側の部位でプローブ湾曲部37の断面重心(GB2)の長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が大きくなる場合でも、第2の垂直方向側の部位ではプローブ湾曲部37の断面重心(GB3)の長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が小さくなる。これにより、プローブ湾曲部37の重心GBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が、大きくならない。
【0046】
プローブ湾曲部37の重心GBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離(ずれ)が大きくならないため、縦振動への不正振動の影響が軽減される。不正振動の影響が小さくなるため、超音波プローブ31での超音波振動の安定性が確保される。これにより、超音波プローブ31において超音波振動が適切に伝達され、前述した超音波凝固切開等の超音波振動を用いた処置での処置性能が確保される。
【0047】
また、処置時には、長手軸方向について全長に渡って均一の把持力で、ジョー側対向部55とプローブ側対向部51との間で処置対象が、把持される。このため、超音波凝固切開における処置性能が向上する。
【0048】
前述のように、本実施形態では、術者が使用し易く、超音波振動の安定性が確保される超音波プローブ31を提供することができる。また、その超音波プローブ31を備える超音波処置装置1を提供することができる。
【0049】
(第1の実施形態の変形例)
なお、第1の実施形態では、重心軸Wに垂直ないずれの断面においても、第2の横断面半分重心VB2が横断面重心Vに対して第1の湾曲方向側にずれることはないが、これに限るものではない。例えば、
図15乃至
図19を参照して、第1の実施形態の第1の変形例を説明する。
図15は、本変形例の先端処置部33の構成を示す図である。
図16乃至
図19は、先端処置部33を重心軸Wに垂直な断面(横断面)で示す図である。
図16は、
図15の断面I4を示し、
図17は、
図15の断面I5を示し、
図18は、
図15の断面I6を示し、
図19は、
図15の断面I7を示している。断面I4は、境界Dより基端方向側の断面であり、断面I5、断面I6及び断面I7は、境界Dより先端方向側の断面である。また、断面I6は、断面I5より先端方向側に位置し、断面I7は、断面I6より先端方向側に位置している。なお、横断面重心V、第1の横断面半分重心VA及び第2の横断面半分重心VBの定義は、第1の実施形態と同様である。
【0050】
図16に示す断面I4では、境界Dより基端方向側に位置するため、重心軸Wが長手軸Cと同軸であり、長手軸Cは横断面重心V4を通過する。また、第1の湾曲方向(
図15乃至
図19の矢印B1の方向)及び第2の湾曲方向(
図15乃至
図19の矢印B2の方向)について、第1の横断面半分重心VA4及び第2の横断面半分重心VB4は、重心軸W(横断面重心V4)に対してずれていない。なお、第1の実施形態では、プローブ本体部35の長手軸C(重心軸W)に垂直な断面形状は、八角形状であるが、本変形例では、六角形状となる。
【0051】
図17に示す断面I5、
図18に示す断面I6及び
図19に示す断面I7のそれぞれでは、境界Dより先端方向側に位置するため、横断面重心(V5〜V6の対応する1つ)は、長手軸Cから第1の湾曲方向側に離れている。また、断面I6での長手軸Cから横断面重心V6までの距離は、断面I5での長手軸Cから横断面重心V5までの距離より大きくなる。そして、断面I7での長手軸Cから横断面重心V7までの距離は、断面I6での長手軸Cから横断面重心V6までの距離より大きくなる。
【0052】
本変形例では、断面I5において、第1の横断面半分重心(VA5)は、断面重心(V5)に対して第2の湾曲方向側にずれていて、第2の横断面半分重心(VB5)は、断面重心(V5)に対して第1の湾曲方向側にずれている。ただし、断面I6及び断面I7のそれぞれでは、第1の横断面半分重心(VA6,VA7の対応する1つ)は、断面重心(V6,V7の対応する1つ)に対して第1の湾曲方向側にずれていて、第2の横断面半分重心(VB6,VB7の対応する1つ)は、断面重心(V6,V7の対応する1つ)に対して第2の湾曲方向側にずれている。このため、断面I6及び断面I7のそれぞれでは、長手軸Cから第1の横断面半分重心(VA6,VA7の対応する1つ)までの距離が大きくなるが、長手軸Cから第2の横断面半分重心(VB6,VB7の対応する1つ)までの第1の湾曲方向への距離が小さくなる。また、断面I5では、横断面重心V5に対して第2の横断面半分重心VB5は第1の湾曲方向側にずれているが、横断面重心V5までの長手軸Cからの距離が、断面I6及び断面I7に比べて小さい。したがって、断面I5でも、長手軸Cから第2の横断面半分重心VB5までの第1の湾曲方向への距離が小さくなる。
【0053】
前述のように、本変形例でも第1の実施形態と同様に、プローブ湾曲部37では、横断面重心Vより第2の垂直方向側の半分重心である第2の横断面半分重心VBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が小さくなる。これにより、プローブ湾曲部37の重心GBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が、大きくならない。プローブ湾曲部37の重心GBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離(ずれ)が大きくならないため、第1の実施形態と同様に、縦振動への不正振動の影響が軽減される。
【0054】
また、第1の実施形態では、第1の垂直方向及び第2の垂直方向の全寸法に渡って、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面でのプローブ湾曲部37の断面形状は、長手軸Cに対して第1の湾曲方向に湾曲する形状であるが、これに限るものではない。例えば、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面でのプローブ湾曲部37の断面形状が第1の実施形態とは異なる、第1の実施形態の第2の変形例を、
図20及び
図21を参照にして説明する。
【0055】
図20及び
図21は、先端処置部33を第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面で示す図である。ここで、
図20は、長手軸Cより第1の垂直方向側(ジョー開方向側)の断面であり、
図21は、長手軸Cより第2の垂直方向側(ジョー閉方向側)の断面である。
【0056】
図20及び
図21に示すように、先端処置部33の第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、第1の実施形態と同様に、第1の湾曲方向(
図20及び
図21の矢印B1の方向)及び第2の湾曲方向(
図20及び
図21の矢印B2の方向)について超音波プローブ31の中央位置を通る断面中央軸(M4,M5の対応する1つ)が、規定されている。また、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、断面中央軸(M4,M5の対応する1つ)の延設方向が長手軸Cに平行でなくなる軸湾曲基端(Q4,Q5の対応する1つ)が、プローブ湾曲部37に位置している。長手軸Cに平行な長手軸方向についての軸湾曲基端(Q4,Q5)の位置は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って、変化する。
【0057】
長手軸Cより第1の垂直方向側に位置する
図20の断面では、軸湾曲基端(湾曲開始位置)Q4より先端方向側の部位において、断面中央軸M4が第1の湾曲方向へ湾曲している。また、長手軸Cより第2の垂直方向側に位置する
図21の断面では、軸湾曲基端(湾曲開始位置)Q5で、断面中央軸M5が、第2の湾曲方向へ湾曲する。そして、軸湾曲基端Q5から湾曲方向変化位置S5まで、長手軸Cに対して第2の湾曲方向へ湾曲する状態で、断面中央軸M5が延設される。湾曲方向変化位置S5より先端方向側の部位において、断面中央軸M5が第1の湾曲方向へ湾曲している。
【0058】
本変形例でも第1の実施形態と同様に、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、プローブ湾曲部37の軸湾曲基端(Q4,Q5の対応する1つ)より基端方向側の部位において、断面中央軸(M4,M5の対応する1つ)は、長手軸Cに対して平行に延設されている。そして、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面の中で軸湾曲基端が最も基端方向側に位置する断面を境界規定断面とした場合、長手軸方向についてプローブ本体部35とプローブ湾曲部37との境界Dは、境界規定断面での断面中央軸の軸湾曲基端と一致している。
【0059】
前述のように本変形例でも、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面でのプローブ湾曲部37の断面形状は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って、連続的に変化する。プローブ湾曲部37の断面形状が第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って変化することにより、プローブ湾曲部37の断面重心(GB4,GB5)の位置は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って変化する。本変形例でも、プローブ湾曲部37の断面重心(GB4,GB5)は、第1の垂直方向(ジョー開方向)から第2の垂直方向(ジョー閉方向)へ向かうにつれて、第2の湾曲方向側に位置している。したがって、
図20の断面でのプローブ湾曲部37の断面重心GB4は、
図21の断面でのプローブ湾曲部37の断面重心GB5より第1の湾曲方向側に位置している。また、本変形例では、長手軸Cより第2の垂直方向側に位置する
図21の断面では、プローブ湾曲部37の断面重心GB5が長手軸Cより第2の湾曲方向側に位置している。
【0060】
前述のように第1の垂直方向から第2の垂直方向へ向かうにつれてプローブ湾曲部37の断面重心(GB4,GB5)の位置が第2の湾曲方向へ移動するため、第2の垂直方向側の部位では、プローブ湾曲部37の断面重心(GB5)の長手軸Cより第2の湾曲方向側に位置する。これにより、第1の垂直方向側の部位でプローブ湾曲部37の断面重心(GB4)の長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が大きくなる場合でも、プローブ湾曲部37の重心GBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が、大きくならない。プローブ湾曲部37の重心GBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離(ずれ)が大きくならないため、縦振動への不正振動の影響が軽減される。したがって、超音波プローブ31での超音波振動の安定性が確保される。
【0061】
また、第1の実施形態の第3の変形例として
図22に示すように、プローブ湾曲部37の第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての寸法が、長手軸Cに平行な長手軸方向についての位置の変化に対応して、変化してもよい。本変形例では、プローブ湾曲部37に、第1の垂直方向(
図22の矢印A1の方向)及び第2の垂直方向(
図22の矢印A2の方向)についての寸法が長手軸方向についての位置の変化に対応して変化する寸法変化部61が、設けられている。寸法変化部61では、基端方向から先端方向側に向かうにつれて、プローブ湾曲部37の第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての寸法が、小さくなる。
【0062】
図23及び
図24は、先端処置部33を第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面で示す図である。ここで、
図23は、長手軸Cより第1の垂直方向側(ジョー開方向側)の断面であり、
図24は、長手軸Cより第2の垂直方向側(ジョー閉方向側)の断面である。
【0063】
図23及び
図24に示すように、先端処置部33の第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、第1の実施形態と同様に、第1の湾曲方向(
図23及び
図24の矢印B1の方向)及び第2の湾曲方向(
図23及び
図24の矢印B2の方向)について超音波プローブ31の中央位置を通る断面中央軸(M6,M7の対応する1つ)が、規定されている。長手軸Cより第1の垂直方向側の
図23の断面では、第1の実施形態の断面中央軸(M1〜M3)と同様に、断面中央軸M6の先端E6が、超音波プローブ31の先端を形成する先端面38に位置している。ただし、本変形例では寸法変化部61が設けられているため、長手軸Cより第2の垂直方向側の
図24の断面に規定される断面中央軸M7の先端E7は、先端面38より基端方向側に位置している。すなわち、断面中央軸M7は、先端面38まで延設されていない。
【0064】
本変形例では、第2の垂直方向側の部位において、断面中央軸(M7)が、先端面38まで延設されていない。このため、先端面38の第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向についての中央位置を通る先端面中央線L0は、先端面38に先端(E6)が位置する断面中央線(M6)を連続させることにより、形成される。
【0065】
また、本変形例でも、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面でのプローブ湾曲部37の断面形状は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って、連続的に変化する。プローブ湾曲部37の断面形状が第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って変化することにより、プローブ湾曲部37の断面重心(GB6,GB7)の位置は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って変化する。本変形例でも、プローブ湾曲部37の断面重心(GB6,GB7)は、第1の垂直方向(ジョー開方向)から第2の垂直方向(ジョー閉方向)へ向かうにつれて、第2の湾曲方向側に位置している。
【0066】
また、第1の実施形態では、先端処置部33の長手軸Cに垂直な断面が略八角形状であるが、これに限るものではない。第1の実施形態の第4の変形例に係る超音波プローブ31の先端処置部33について、
図25を参照して説明する。
図25では、先端処置部33及びジョー11を長手軸Cに垂直な断面で示している。また、
図25は、境界Dより基端方向側の断面を示している。
図25に示すように、本変形例でも第1の実施形態と同様に、先端処置部33には、ジョー開方向である第1の垂直方向(
図25の矢印A1の方向)を向く状態でジョー11と対向するプローブ側対向部51が、設けられている。そして、プローブ側対向部51には、プローブ側当接面52及び対向傾斜面53A,53Bが設けられている。
【0067】
ここで、ジョー閉方向である第2の垂直方向(
図25の矢印A2の方向)から第2の湾曲方向(
図25の矢印B2の方向)に向かって鋭角の第1の角度α1だけ傾斜する第1の傾斜方向、及び、第2の垂直方向から第1の湾曲方向(
図25の矢印B1の方向)に向かって鋭角の第2の角度α2だけ傾斜する第2の傾斜方向を、規定する。先端処置部33は、プローブ側対向部51の対向傾斜面(第1の対向傾斜面)53Aから第1の傾斜方向へ向かって延設される第1の傾斜面62Aと、プローブ側対向部51の対向傾斜面(第2の対向傾斜面)53Bから第2の傾斜方向へ向かって延設される第2の傾斜面62Bと、を備える。第1の傾斜面62Aは、第1の湾曲方向を向く状態で、対向傾斜面53Aの第2の垂直方向側に連続している。第2の傾斜面62Bは、第2の湾曲方向を向く状態で、対向傾斜面53Bの第2の垂直方向側に連続している。また、第1の傾斜面62Aと第2の傾斜面62Bとの間は、第2の垂直方向を向く中継面63を介して連続している。
【0068】
先端処置部33を前述のような構成にすることにより、ジョー側対向部55とプローブ側対向部51との間で把持される処置対象以外の部位で、生体組織が先端処置部33に接触しない。すなわち、処置対象と接触するプローブ側対向部51以外の部位(すなわち、第1の傾斜面62A、第2の傾斜面62B及び中継面63)に、生体組織が接触しない。先端処置部33では、エネルギーとして超音波振動が伝達されることにより、熱が発生し、高温となる。先端処置部33のプローブ側対向部51以外の部位に生体組織が接触しないため、処置対象以外の部位での生体組織の熱損傷が、有効に防止される。
【0069】
(第2の実施形態)
また、超音波凝固切開装置である超音波処置装置1とは異なる超音波処置装置71に超音波プローブ31を適用した第2の実施形態を、
図26乃至
図28を参照として説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0070】
図26は、超音波処置装置71の構成を示す図である。超音波処置装置71は、超音波振動及び高周波電流を用いて、生体組織等の処置対象を切除する超音波切除装置である。
図26に示すように、超音波処置装置71においても、第1の実施形態の超音波処置装置1と同様に、保持ユニット3、振動子ケース12、シース10及び超音波プローブ31が設けられている。そして、振動子ケース12の内部には、超音波振動子21及びホーン部材23が設けられ、超音波振動子21で発生した超音波振動が、ホーン部材23を介して超音波プローブ31に伝達される。また、超音波プローブ31の先端処置部33は、シース10の先端から先端方向(
図26の矢印C1の方向)へ突出する状態で、設けられている。
【0071】
ただし、本実施形態では、保持ユニット3に、固定ハンドル6、可動ハンドル7及び回転操作ノブ8は、設けられていない。そして、筒状ケース部5に、エネルギー操作入力部であるエネルギー操作入力ボタン9が、取付けられている。また、超音波処置装置71では、ジョー11が設けられていない。そして、制御ユニット15は、超音波電流供給部16及びエネルギー制御部18に加えて、高周波電流供給部17を備える。高周波電流供給部17は、例えばエネルギー生成器に設けられる電源である。本実施形態では、電気配線25A,25Bとは異なる電気配線(図示しない)が、ケーブル13の内部に延設されている。この電気配線は、一端がホーン部材23に接続され、他端が高周波電流供給部17に接続されている。
【0072】
エネルギー操作入力ボタン9でエネルギー操作が入力されることにより、エネルギー制御部18によって、超音波電流供給部16から超音波振動子21に超音波発生電流が供給され、高周波電流供給部17から高周波電流が供給される。超音波振動子21に超音波発生電流が供給されることにより、超音波振動子21で超音波振動が発生し、発生した超音波振動が、ホーン部材23を介して超音波プローブ31に伝達される。そして、超音波プローブ31において基端方向から先端方向へ先端処置部33まで超音波振動が伝達され、超音波プローブ31は振動方向が長手軸Cに平行な縦振動を行う。また、高周波電流は、ホーン部材23及び超音波プローブ31を介して、先端処置部33に伝達される。そして、先端処置部33において高周波電流が、放電される。高周波電流を放電し、かつ、縦振動を行う状態の先端処置部33を生体組織等の処置対象に接触させることにより、処置対象が切除される(resected)。
【0073】
図27及び
図28は、先端処置部33を第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面で示す図である。ここで、
図27は、長手軸Cより第1の垂直方向(
図26の矢印A1の方向)側の断面であり、
図28は、長手軸Cより第2の垂直方向(
図26の矢印A2の方向)側の断面である。処置時においては、術者は第1の垂直方向から視認を行う。
図27及び
図28に示すように、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、超音波プローブ31は、プローブ本体部35及びプローブ湾曲部37を備える。ただし、本実施形態では、プローブ湾曲部37の第1の湾曲方向(
図27及び
図28の矢印B1の方向)及び第2の湾曲方向(
図27及び
図28の矢印B2の方向)についての湾曲状態が、第1の実施形態とは異なる。
【0074】
先端処置部33の第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、第1の実施形態と同様に、第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向について超音波プローブ31の中央位置を通る断面中央軸(M8,M9の対応する1つ)が、規定されている。また、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、断面中央軸(M8,M9の対応する1つ)の延設方向が長手軸Cに平行でなくなる軸湾曲基端(Q8,Q9の対応する1つ)が、プローブ湾曲部37に位置している。本実施形態では、長手軸Cに平行な長手軸方向についての軸湾曲基端(Q8,Q9)の位置は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って、変化する。すなわち、軸湾曲基端(Q8,Q9)は、第1の垂直方向から第2の垂直方向へ向かうにつれて、先端方向側に位置している。したがって、
図27の断面での軸湾曲基端(湾曲開始位置)Q8は、
図28の断面での軸湾曲基端(湾曲開始位置)Q9より基端方向側に位置している。
【0075】
第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、軸湾曲基端(Q8,Q9の対応する1つ)で、断面中央軸(M8,M9の対応する1つ)が第1の湾曲方向へ湾曲する。そして、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、軸湾曲基端(Q8,Q9の対応する1つ)から湾曲方向変化位置(S8,S9の対応する1つ)まで、長手軸Cに対して第2の湾曲方向へ湾曲する状態で、断面中央軸(M8,M9対応する1つ)が延設される。長手軸Cに平行な長手軸方向についての湾曲方向変化位置(S8,S9)の位置は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って、変化する。すなわち、湾曲方向変化位置(S8,S9)は、第1の垂直方向から第2の垂直方向へ向かうにつれて、先端方向側に位置している。長手軸Cから湾曲方向変化位置(S8,S9)まで第1の湾曲方向への寸法は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向について全寸法に渡って、変化しない。湾曲方向変化位置(S8,S9)より先端方向側の部位では、断面中央軸(M8,M9)は、第2の湾曲方向へ湾曲している。
【0076】
本実施形態でも、それぞれの断面中央軸(M8,M9)の先端(E8,E9)は、先端面38に位置している。第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向についてのそれぞれの断面中央軸(M8,M9)の先端(E8,E9)の位置は、長手軸Cと一致している。したがって、本実施形態では、先端面中央線L0は、長手軸Cと直交する。また、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面の中で軸湾曲基端が最も基端方向側に位置する断面を、境界規定断面とした場合、プローブ湾曲部37の第1の垂直方向側の端を通過する断面(接面)が境界規定断面となる。長手軸方向についてプローブ本体部35とプローブ湾曲部37との境界Dは、境界規定断面での断面中央軸の軸湾曲基端と一致している。
【0077】
第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直なそれぞれの断面では、軸湾曲基端(Q8,Q9の対応する1つ)より先端方向側の部位において、断面中央軸(M8,M9の対応する1つ)が曲率(R8,R9の対応する1つ)で第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向について湾曲している。断面中央軸(M8,M9)の曲率(R8,R9)は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って変化する。すなわち、断面中央軸(M8,M9)の曲率(R8,R9)は、第1の垂直方向から第2の垂直方向へ向かうにつれて、大きくなる。したがって、
図27の断面での断面中央軸M8の曲率R8は、
図28の断面での断面中央軸M9の曲率R9より小さい。
【0078】
前述のようにプローブ湾曲部37が形成されることにより、本実施形態でも、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面でのプローブ湾曲部37の断面形状は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って、連続的に変化する。本実施形態では、プローブ湾曲部37は、へら(spatula)形状に形成される。プローブ湾曲部37の断面形状が第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って変化することにより、プローブ湾曲部37の断面重心(GB8,GB9)の位置は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って変化する。本実施形態でも、プローブ湾曲部37の断面重心(GB8,GB9)は、第1の垂直方向から第2の垂直方向へ向かうにつれて、第2の湾曲方向側に位置している。したがって、
図28の断面でのプローブ湾曲部37の断面重心GB9は、
図27の断面でのプローブ湾曲部37の断面重心GB8より第2の湾曲方向側に位置している。
【0079】
処置時においては、第1の垂直方向から術者が視認する。このため、処置時の術者の視認性の観点から、プローブ湾曲部37では、第1の垂直方向側の部位で、断面中央軸(M8)の軸湾曲基端(Q1)の先端面38から長手軸方向についての寸法を大きくし、断面中央軸(M8)の曲率(R8)を小さくする必要がある。このため、第1の垂直方向側の部位では、プローブ湾曲部37の断面重心(GB8)の長手軸Cから第1の湾曲方向への距離が大きくなる(
図27参照)。
【0080】
ただし、本実施形態では、第1の垂直方向から第2の垂直方向へ向かうにつれてプローブ湾曲部37の断面重心(GB8,GB9)の位置が第2の湾曲方向へ移動するため、第2の垂直方向側の部位では、プローブ湾曲部37の断面重心(GB9)の長手軸Cから第1の湾曲方向への距離が小さくなる(
図28参照)。これにより、第1の垂直方向側の部位でプローブ湾曲部37の断面重心(GB8)の長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が大きくなる場合でも、プローブ湾曲部37の重心GBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離が、大きくならない。プローブ湾曲部37の重心GBの長手軸Cからの第1の湾曲方向への距離(ずれ)が大きくならないため、縦振動への不正振動の影響が軽減される。したがって、超音波プローブ31での超音波振動の安定性が確保される。
【0081】
(第2の実施形態の変形例)
なお、超音波処置装置71のようなジョー11が設けられない超音波切除装置において、超音波プローブ31のプローブ湾曲部37を、第1の実施形態、第1の実施形態の第1の変形例乃至第3の変形例のいずれか1つの形状にしてもよい。また、超音波プローブ31のプローブ湾曲部37は、第1の湾曲方向及び第2の湾曲方向について湾曲するフック状に形成されてもよい。プローブ湾曲部37がフック状に形成される場合でも、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な断面でのプローブ湾曲部37の断面形状は、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に沿って、連続的に変化する。そして、プローブ湾曲部37の断面重心は、第1の垂直方向から第2の垂直方向へ向かうにつれて、第2の湾曲方向側に位置している。
【0082】
(その他の変形例)
以上、前述の各変形例を含む第1の実施形態及び変形例を含む第2の実施形態から、超音波プローブ31は、長手軸Cを中心として長手軸Cに沿って延設され、基端方向(C2)から先端方向(C1)へ長手軸Cに沿って超音波振動を伝達するプローブ本体部35と、プローブ本体部35の先端方向(C1)側に設けられる、プローブ湾曲部37と、を備える。長手軸Cに垂直なある1つの方向を第1の湾曲方向(B1)とし、第1の湾曲方向(B1)とは反対方向を第2の湾曲方向(B2)とした場合に、長手軸Cより第1の湾曲方向(B1)側にプローブ湾曲部37の重心GBが位置する状態に、第1の湾曲方向(B1)及び第2の湾曲方向(B2)についてプローブ本体部35に対してプローブ湾曲部37は湾曲する。そして、長手軸Cに垂直かつ第1の湾曲方向(B1)及び第2の湾曲方向(B2)に垂直な方向の一方を第1の垂直方向(A1)とし、第1の垂直方向(A1)とは反対方向を第2の垂直方向(A2)とした場合に、第1の垂直方向(A1)から第2の垂直方向(A2)に向かうにつれて第1の垂直方向(A1)及び第2の垂直方向(A2)に垂直な断面でのプローブ湾曲部37の断面重心(GB1〜GB3;GB4,GB5;GB6,GB7;GB8,GB9)が第2の湾曲方向(B2)側に位置する状態に、第1の垂直方向(A1)及び第2の垂直方向(A2)に沿って第1の垂直方向(A1)及び第2の垂直方向(A2)に垂直な断面でのプローブ湾曲部37の断面形状が連続的に変化する。
【0083】
以上、本発明の、各変形例を含む実施形態等について説明したが、本発明は前述の各変形例を含む実施形態等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形ができることは勿論である。