特許第5797410号(P5797410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797410
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】役物動作ユニットおよび遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】2
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2011-8541(P2011-8541)
(22)【出願日】2011年1月19日
(65)【公開番号】特開2012-147922(P2012-147922A)
(43)【公開日】2012年8月9日
【審査請求日】2013年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000161806
【氏名又は名称】京楽産業.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 剛
(72)【発明者】
【氏名】榎本 修人
(72)【発明者】
【氏名】吉川 達也
【審査官】 森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−218134(JP,A)
【文献】 特開2010−284206(JP,A)
【文献】 特開2008−113909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に設けられる役物動作ユニットであって、
一軸の方向に沿って直進移動することによって所定の退避位置と進出位置との間を移動する装飾可動物と、
前記装飾可動物を動作させるための駆動手段と、
一端部が所定の回転軸周り回動可能に軸支され、前記駆動手段が駆動されることによって前記一端部を中心に回動することにより、他端部を所定の円弧軌道上で揺動させる第1アームと、
一端部が前記第1アームの他端部に対して回動可能に軸支され、他端部が前記装飾可動物を支持すると共に前記第1アームの回動に伴って前記一軸の方向に沿って移動する第2アームと、
を備え、
前記第1アームは、前記一軸に対して略直角となる作動回転位置と、前記作動回転位置から所定角度回転した初期回転位置との間で回動し、前記初期回転位置にあるときには前記第2アームを前記一軸に対して所定角度傾斜させた状態で保持することにより前記装飾可動物を前記退避位置に退避させ、前記駆動手段によって前記初期回転位置から前記作動回転位置へ回動することにより前記第2アームを前記一軸に沿って立設させ、前記装飾可動物を前記退避位置から前記進出位置へ移動させることを特徴とする役物動作ユニット。
【請求項2】
遊技球が打ち出される遊技領域を有し、該遊技領域の略中央に開口部が形成された遊技盤と、
前記遊技盤の背面側に取り付けられ前記開口部を介して遊技盤の正面側から視認可能な画像表示器と、
前記遊技盤と前記画像表示器との間に設けられる役物動作ユニットと、
を備える遊技機であって、
前記役物動作ユニットは、
一軸の方向に沿って直進移動することによって、前記画像表示器の周囲の退避位置と、前記画像表示器の前方側の進出位置との間を移動する装飾可動物と、
前記装飾可動物を移動させるための駆動手段と、
一端部が所定の回転軸周り回動可能に軸支され、前記駆動手段が駆動されることによって前記一端部を中心に回動することにより、他端部を所定の円弧軌道上で揺動させる第1アームと、
一端部が前記第1アームの他端部に対して回動可能に軸支され、他端部が前記装飾可動物を支持すると共に前記第1アームの回動に伴って前記一軸の方向に沿って移動する第2アームと、
を備え、
前記第1アームは、前記一軸に対して略直角となる作動回転位置と、前記作動回転位置から所定角度回転した初期回転位置との間で回動し、前記初期回転位置にあるときには前記第2アームを前記一軸に対して所定角度傾斜させた状態で保持することにより前記装飾可動物を前記退避位置に退避させ、前記駆動手段によって前記初期回転位置から前記作動回転位置へ回動することにより前記第2アームを前記一軸に沿って立設させ、前記装飾可動物を前記退避位置から前記進出位置へ移動させることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機などの遊技機に設けられる役物動作ユニット、および、それを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機などの遊技機において、遊技盤面上に打ち出された遊技球が所定の始動口に入球することを条件として特別図柄の変動表示を行い、その変動表示が特定の図柄で停止すると大当たりとなって大入賞口を開閉する大入賞口開放遊技に移行し、遊技者に有利な遊技価値を付与するものが数多く提供されている。このような遊技機では、特別図柄の変動表示に伴い、遊技盤のほぼ中央に設けられる画像表示器において各種演出用の画像が表示されるようになっている。
【0003】
従来、この種の遊技機において、画像表示器の周囲に可動する演出役物を配置し、画像表示器で表示される演出用の画像と連動させてその役物を動作させるようにした演出を行うものが知られている。例えば、特許文献1には、画像表示器の上部又は左右側部に位置する演出役物が画像表示器の正面側ほぼ中央位置に進出し、その演出役物が画像表示器において表示される画像と有機的に一体となった演出を行うものが開示されている。また、例えば、特許文献2には、画像表示器の前方で複数のシャッタ部材(演出役物)が様々な動作を行うことにより、遊技状態に応じた演出を行う遊技機が開示されている。
【0004】
これらの従来技術では、演出役物を動作させるための駆動手段としてモータが採用されている。そして、このモータが回転駆動されることにより、演出役物が画像表示器の周囲の位置から前方位置に向かって直進移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−219754号公報
【特許文献2】特開2008−229046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の遊技機は、画像表示器の画面サイズが大型化しており、演出役物を駆動するための駆動機構を設けるスペースが小さくなってきている。その一方で、演出役物を動作させることによる演出をより一層効果的に行うためには、画像表示器の周囲の位置から前方側のほぼ中央位置にまで演出役物を移動させることが好ましいため、画面サイズの大型化に伴って演出役物を移動させるための距離(ストローク)が長くなる。
【0007】
このような状況の下、従来のように演出役物をモータによって一定の移動速度で移動させるようにすると、演出役物が比較的長い距離を移動するため、演出役物の移動が開始してから終了までが間延びしてしまい、遊技者に対してインパクトを与えるような効果的な演出を行うことができないという問題がある。
【0008】
これに対し、近年の状況下において、演出役物を画像表示器の前方位置に出現させることによって遊技者に対してインパクトを与えるような演出を行う場合、演出役物の移動が開始された後、演出役物の移動速度が徐々に上昇していき、画像表示器の前方の進出位置へ到達するときにはほぼ最高速度となるように移動させることが好ましいと考えられる。しかし、従来の駆動機構でこれを実現しようとすると、モータなどの駆動手段の制御が複雑化してしまうという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、演出役物として設けられる装飾可動物を退避位置と進出位置との間で移動させる構成において、駆動手段の制御を複雑にすることなく、遊技者に対してインパクトを与えることができるような演出効果を発揮する役物動作ユニットおよびそれを備えた遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、遊技機に設けられる役物動作ユニットであって、一軸の方向に沿って直進移動することによって所定の退避位置と進出位置との間を移動する装飾可動物と、前記装飾可動物を動作させるための駆動手段と、一端部が所定の回転軸周り回動可能に軸支され、前記駆動手段が駆動されることによって前記一端部を中心に回動することにより、他端部を所定の円弧軌道上で揺動させる第1アームと、一端部が前記第1アームの他端部に対して回動可能に軸支され、他端部が前記装飾可動物を支持すると共に前記第1アームの回動に伴って前記一軸の方向に沿って移動する第2アームと、を備え、前記第1アームは、前記一軸に対して略直角となる作動回転位置と、前記作動回転位置から所定角度回転した初期回転位置との間で回動し、前記初期回転位置にあるときには前記第2アームを前記一軸に対して所定角度傾斜させた状態で保持することにより前記装飾可動物を前記退避位置に退避させ、前記駆動手段によって前記初期回転位置から前記作動回転位置へ回動することにより前記第2アームを前記一軸に沿って立設させ、前記装飾可動物を前記退避位置から前記進出位置へ移動させることを特徴とする構成である。
【0011】
また請求項2にかかる発明は、遊技球が打ち出される遊技領域を有し、該遊技領域の略中央に開口部が形成された遊技盤と、前記遊技盤の背面側に取り付けられ前記開口部を介して遊技盤の正面側から視認可能な画像表示器と、前記遊技盤と前記画像表示器との間に設けられる役物動作ユニットと、を備える遊技機であって、前記役物動作ユニットは、一軸の方向に沿って直進移動することによって、前記画像表示器の周囲の退避位置と、前記画像表示器の前方側の進出位置との間を移動する装飾可動物と、前記装飾可動物を移動させるための駆動手段と、一端部が所定の回転軸周り回動可能に軸支され、前記駆動手段が駆動されることによって前記一端部を中心に回動することにより、他端部を所定の円弧軌道上で揺動させる第1アームと、一端部が前記第1アームの他端部に対して回動可能に軸支され、他端部が前記装飾可動物を支持すると共に前記第1アームの回動に伴って前記一軸の方向に沿って移動する第2アームと、を備えており、前記第1アームは、前記一軸に対して略直角となる作動回転位置と、前記作動回転位置から所定角度回転した初期回転位置との間で回動し、前記初期回転位置にあるときには前記第2アームを前記一軸に対して所定角度傾斜させた状態で保持することにより前記装飾可動物を前記退避位置に退避させ、前記駆動手段によって前記初期回転位置から前記作動回転位置へ回動することにより前記第2アームを前記一軸に沿って立設させ、前記装飾可動物を前記退避位置から前記進出位置へ移動させることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、駆動手段を一定速度で駆動するだけで、装飾可動物が所定の退位位置から進出位置へ移動するとき、次第にその移動速度を上昇させていき、ほぼ最高速度となって進出位置へ到達するようになる。それ故、演出役物として設けられる装飾可動物を退避位置と進出位置との間で移動させる構成において、駆動手段の制御を複雑にすることなく、遊技者に対してインパクトを与えることができるような演出効果を発揮するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】遊技機の外観構成の一例を示す正面図である。
図2】遊技機の前枠部材を開放した状態を示す斜視図である。
図3】遊技機に取り付けられる遊技盤の概略構成を示す斜視図である。
図4】第1可動物および第2可動物が動作した状態を示す斜視図である。
図5】遊技機の背面側に設けられる制御機構を示すブロック図である。
図6】役物動作ユニットにおける第1可動物および第2可動物が動作する前の状態を示す拡大斜視図である。
図7】役物動作ユニットにおける第1可動物および第2可動物の動作途中の状態を示す拡大斜視図である。
図8】役物動作ユニットにおける第1可動物および第2可動物が完全に動作した状態を示す拡大斜視図である。
図9】役物動作ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図10】第1動作ユニットを背面側からみた斜視図である。
図11】第1動作ユニットの分解斜視図である。
図12】第1動作ユニットにおいて第2可動物が動作していない初期状態を背面側からみた一部透過斜視図である。
図13】第1動作ユニットにおいて第2可動物の動作途中の状態を背面側からみた一部透過斜視図である。
図14】第1動作ユニットにおいて第2可動物が完全に作動位置まで移動した状態を背面側からみた一部透過斜視図である。
図15】第2動作ユニットの分解斜視図である。
図16】第2動作ユニットの分解斜視図である。
図17】第2動作ユニットにおいて第1可動物が動作していない退避位置にある状態を背面側からみた図である。
図18】第2動作ユニットにおいて第1可動物が退避位置から進出位置へ移動するまでの途中の位置にある状態を背面側からみた図である。
図19】第2動作ユニットにおいて第1可動物が画像表示器の前方側の進出位置へ移動した状態を背面側からみた図である。
図20】モータが駆動されることによる第1可動物の移動過程を示す図である。
図21】役物動作ユニットが動作していない状態を正面側の斜め下方から見た斜視図である。
図22】役物動作ユニットが動作途中にある状態を正面側の斜め下方から見た斜視図である。
図23】役物動作ユニットが完全な作動状態となって第1可動物が画像表示器の前方側の進出位置へ進出した状態を正面側の斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明における遊技機1の外観構成の一例を示す正面図である。この遊技機1は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が各種入賞口に入球すると賞球を払い出すように構成された弾球式の遊技機である。
【0016】
図1に示すように、遊技機1は、遊技機本体1aの正面側に開閉可能に取り付けられた前枠部材3を備えている。前枠部材3は、その中央に透明ガラス板2aが嵌め込まれた窓部2を有している。遊技者は、この透明ガラス板2aを介して遊技機1の正面側から遊技機本体1aに取り付けられる遊技盤10を視認可能である。前枠部材3は、窓部2の下部右側に、遊技者が操作するハンドルレバー4を備えている。遊技者がこのハンドルレバー4を右回り方向(時計回り方向)に回転操作すると、その操作角度に応じた打球力で遊技球が遊技盤10の盤面に所定の時間間隔で1球ずつ打ち出されるようになっている。
【0017】
前枠部材3は、窓部2の上部左右両側に設けられた一対のスピーカ5と、窓部2の上部および下部のそれぞれ中央に設けられた枠ランプ6とを備えている。スピーカ5は楽曲や音声、効果音などを発することで各種の演出を行い、枠ランプ6は点灯点滅のパターンや発光色の違いなどで各種の演出を行うように構成されている。
【0018】
図2は、遊技機1の前枠部材3を開放した状態を示す斜視図である。図2に示すように前枠部材3は、遊技機本体1aの左側に設けられた支持部1bにより回動可能に軸支されている。遊技者が遊技を行うときには、図1に示すように前枠部材3は遊技機本体1aに閉じられ、施錠された状態となる。遊技中、例えば遊技盤10の遊技領域11において球詰まりなどが生じると、店員が前枠部材3を解錠して図2に示すように前枠部材3を開放することにより、球詰まりなどを解消することができる。
【0019】
図2に示すように遊技機本体1aには、遊技盤10が取り付けられている。この遊技盤10の正面側には、遊技球が打ち出される略円形の遊技領域11が形成されている。また遊技盤10には、遊技領域11のほぼ中央に開口部10aが設けられており、この開口部10aの背面側に画像表示器8が設けられている。画像表示器8は、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成され、遊技の進行状況に応じて各種の演出用画像を表示する。このような演出用画像は、遊技者が遊技を行うとき、透明ガラス板2aを介して遊技機1の正面側から視認可能である。
【0020】
また図示を省略しているが、遊技領域11の内側には、多数の釘、スルーゲート、風車、普通入賞口、第1始動口、第2始動口、電動チューリップ、大入賞口等の公知の部材が配置される。そして遊技機1は、第1始動口又は第2始動口に遊技球が入球すると、それに伴って乱数を取得し、その取得した乱数が所定値であるか否かを判定することにより大当たり抽選を行う。遊技機1において大当たり抽選が行われると、画像表示器8は、例えば1〜9までの数字が付された3つの装飾図柄画像の変動表示を開始し、その変動表示を開始してから所定時間が経過したタイミングで3つの装飾図柄画像を停止させる。このとき、3つの装飾図柄画像が揃った状態で停止すれば大当たりとなり、遊技機1は大入賞口を開放させる大入賞口開放遊技へと移行し、遊技者に有利な遊技価値が付与される。すなわち、大入賞口開放遊技では、大入賞口に多数の遊技球が入球するので、遊技者は多くの賞球を獲得することができるようになる。
【0021】
次に図3は、遊技機1に取り付けられる遊技盤10の概略構成を示す斜視図である。図3に示すように、遊技盤10のほぼ中央には、周縁部が複雑な形状に開放された開口部10aが設けられている。この開口部10aの周縁部には、様々な演出用の部材が取り付けられる。特に本実施形態では、図3に示すように開口部10aの下部周縁部に、役物動作ユニット20が取り付けられている。
【0022】
役物動作ユニット20は、開口部10aの下部周縁部において遊技盤10の背面側に取り付けられるユニット本体21と、装飾可動物22と、装飾可動物23と、これら2つの装飾可動物22および23を動作させる駆動手段として設けられるモータ24とを備えている。2つの装飾可動物22および23は、遊技機1において所定の演出が行われるときに動作する演出役物であり、モータ24が作動することによって動作するように構成される。尚、以下においては、装飾可動物22を第2可動物22と称し、装飾可動物23を第1可動物23と称する。図3では、第2可動物22および第1可動物23が動作する前の状態を示している。
【0023】
一方、図4は、第2可動物22および第1可動物23が動作した状態を示す斜視図である。遊技機1において所定の演出が行われるタイミングでモータ24が作動すると、第2可動物22および第1可動物23は、図3に示す状態から図4に示す状態へと動作する。つまり、モータ24が作動すると、第1可動物23は、図3に示すように遊技盤10の背面側に退避した状態から、図4に示すように画像表示器8の前方側に進出した状態へと直進移動する。また第2可動物22は、卓袱台状の形状に構成され、図3に示すようにほぼ水平な初期状態から、図4に示すように前方側に所定角度傾倒した作動状態へと移動する。また所定の演出が終了すると、モータ24が上記とは逆方向に駆動され、第2可動物22および第1可動物23は、図4に示す状態から図3に示す状態へと戻る。このように、第2可動物22および第1可動物23は、ひとつのモータ24によって異なる動作を行うように構成されている。尚、第2可動物22および第1可動物23の詳細な動作機構については後述する。
【0024】
図5は、遊技機本体1aの背面側に取り付けられる遊技機1の制御機構を示すブロック図である。遊技機本体1aの背面側には、遊技機1の主たる動作を制御するメイン制御基板100と、メイン制御基板100から出力される信号やコマンドに基づいて各部を制御するサブ制御基板110とが取り付けられる。サブ制御基板110は、払出制御基板120、演出制御基板130、画像制御基板140、役物制御基板150等で構成されている。尚、この他にもハンドルレバー4の操作角度に応じて遊技球を発射する発射機構などが設けられるが、図4では図示を省略している。
【0025】
メイン制御基板100は、CPU101とROM102とRAM103とを備えている。このメイン制御基板100には、遊技球が第1始動口に入球したことを検知する第1始動口スイッチ41、遊技球が第2始動口に入球したことを検知する第2始動口スイッチ42、電動チューリップを開閉駆動する電チューソレノイド43、遊技球がスルーゲートを通過したことを検知するゲートスイッチ44、遊技球が普通入賞口に入球したことを検知する普通入賞口スイッチ45、遊技球が大入賞口に入球したことを検知する大入賞口スイッチ46、および、大入賞口を開閉駆動する大入賞口ソレノイド47が接続されている。
【0026】
メイン制御基板100は、第1始動口スイッチ41、第2始動口スイッチ42、普通入賞口スイッチ45および大入賞口スイッチ46のそれぞれが遊技球の入球を検知した場合、払出制御基板120に対して賞球コマンドを送出する。払出制御基板120は、CPU121とROM122とRAM123とを備え、遊技機本体1aの背面側に設けられた払出モータ124を制御するように構成されている。この払出制御基板120は、メイン制御基板100から賞球コマンドを入力すると、払出モータ124を駆動することにより、入球した入賞口に応じて所定球数の遊技球を賞球として払い出す。
【0027】
またメイン制御基板100は、普通図柄の抽選や大当たり抽選(大当たり判定)を行うように構成されている。例えば遊技球がスルーゲートを通過したことをゲートスイッチ44が検知すると、メイン制御基板100は、電動チューリップを開閉するための普通図柄抽選を行い、当選すれば電チューソレノイド43を所定時間及び所定回数駆動させて電動チューリップを開放させる。またメイン制御基板100は、遊技球が第1始動口又は第2始動口に入球したことを第1始動口スイッチ41又は第2始動口スイッチ42が検知すると、その入球した始動口に応じた大当たり抽選を行い、その大当たり抽選の結果に応じた演出を行わせるべく、演出制御基板130に対して信号やコマンドを送出する。
【0028】
メイン制御基板100は、大当たり抽選の結果、大当たりに当選している場合には、演出制御基板130によって行われる演出のための所定時間が経過した後、遊技機1の遊技状態を大入賞口開放遊技へと移行させる。この大入賞口開放遊技では、メイン制御基板100が大入賞口ソレノイド47を駆動して大入賞口を開閉させることにより、遊技者が多くの賞球を獲得し得る状態に制御する。
【0029】
演出制御基板130は、CPU131とROM132とRAM133とリアルタイムクロック(RTC)134とを備えており、メイン制御基板100からの信号やコマンドなどに基づいて、メイン制御基板100から指定される所定時間内で行う具体的な演出内容を決定する。そして演出制御基板130は、その決定した演出内容に基づいて、画像制御基板140と役物制御基板150とを制御する。例えば、メイン制御基板100において大当たり抽選が行われることに伴って送信される変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板130は、画像表示器8および役物動作ユニット20を駆動して行う演出パターンを決定し、画像制御基板140および役物制御基板150を制御することで、その演出パターンに対応した演出を実行させる。ここで決定される演出パターンは、メイン制御基板100から送出される信号やコマンドに対応する演出パターンとなる。そしてメイン制御基板100から変動停止コマンドを受信すると、演出制御基板130は、上記のようにして決定された演出パターンの実行を終了させると共に、メイン制御基板100における大当たり抽選の結果に対応した停止図柄で装飾図柄画像を停止させるべく、画像制御基板140および役物制御基板150を制御する。
【0030】
画像制御基板140は、CPU141と、ROM142と、RAM143と、VRAM144とを備えており、演出制御基板130から指示される演出パターンに基づいて画像表示器8およびスピーカ5を制御することにより、画像表示器8における装飾図柄画像の変動表示を行うと共に、リーチ演出などの各種の演出を行う。VRAM144は、画像表示器8に表示するための画像を書き込むメモリである。CPU141はこのVRAM144に対して背景画像表示処理、装飾図柄表示処理、キャラクタ画像表示処理などの各種処理を実行することにより、画像表示器8に対して、背景画像、装飾図柄画像、キャラクタ画像などを重畳的に表示することができる。また画像制御基板140は、演出制御基板130で決定される演出パターンに対応する演出用の動画像などを画像表示器8に表示させることも可能である。このような画像制御基板140の制御により、画像表示器8に表示される画像は、役物動作ユニット20における第2可動物22および第1可動物23の動作と連動した画像として表示することもできる。
【0031】
役物制御基板150は、CPU151とROM152とRAM153とを備えており、演出制御基板130から指示される演出パターンに基づいて上述した枠ランプ6などを含む各種ランプ49を点灯させると共に、役物動作ユニット20を制御するように構成される。役物制御基板150が役物動作ユニット20を制御する場合には、モータ24を駆動制御する。このとき、役物制御基板150は、演出制御基板130で決定される演出パターンに基づいて役物動作ユニット20のモータ24を駆動するため、役物動作ユニット20に設けられた第2可動物22および第1可動物23の動作を、画像表示器8において表示される演出用の画像と連動させることも可能である。
【0032】
このようにして遊技機1では、第1始動口又は第2始動口に遊技球が入球することに伴って各種の演出が行われるようになる。そして遊技機1において所定の演出パターンが実行されるときには、役物動作ユニット20のモータ24が駆動されることにより、第2可動物22および第1可動物23のそれぞれが画像表示器8の前方側において動作し、通常とは異なる演出が行われるようになる。このような演出は、例えば、遊技機1におけるリーチ演出のひとつとして行われる。
【0033】
図6図7および図8は、役物動作ユニット20の動作態様を示す拡大斜視図である。図6は役物動作ユニット20において第2可動物22および第1可動物23が動作する前の状態を示しており、図7は第2可動物22および第1可動物23の動作途中の状態を示しており、図8は第2可動物22および第1可動物23が完全に動作した状態を示している。遊技機1において所定の演出が行われるタイミングで、役物動作ユニット20に設けられたモータ24が所定方向に回転駆動されると、役物動作ユニット20は、図6に示す状態から、図7に示す状態を経て、図8に示す状態へと動作する。すなわち、役物動作ユニット20のモータ24が駆動されていない初期状態のとき、第2可動物22は、図6に示すようにユニット本体21の上部で略水平な姿勢に保持されている。またこのとき、第1可動物23は、ユニット本体21の背面側に隠れた状態となっている。このような状態で、モータ24が回転駆動されると、第1可動物23は鉛直方向に沿って設けられた軸方向への移動を開始すると共に、第2可動物22は左右方向に沿って設けられた略水平な軸周りへの回転動作を開始するようになり、図7に示すような状態となる。そしてモータ24がさらに回転駆動されると、図8に示すように、第1可動物23はユニット本体21の背面側から上方に突出した状態となり、第2可動物22は遊技機1の前方側に所定角度傾倒した作動状態となる。このとき、第1可動物23は、画像表示器8の前方側の所定位置へ進出した状態となる。
【0034】
そして遊技機1における所定の演出が終了すると、モータ24は逆転方向に駆動される。モータ24が逆転方向へ駆動されると、役物動作ユニット20は、図8に示す状態から、図7に示す状態を経て、元の図6に示す状態に戻る。
【0035】
このように本実施形態の役物動作ユニット20は、ひとつのモータ24が所定の角度範囲内で回転駆動されることにより、第2可動物22と第1可動物23とが動作する。そして第2可動物22は、図6に示すように略水平な姿勢である初期位置と、図8に示すように前方側へ傾倒した姿勢となる作動位置との間を移動するように構成されている。また第1可動物23は、図6に示すようにユニット本体21の背面側に隠れた状態となるように画像表示器8の前方から退避した退避位置と、図8に示すように画像表示器8の前方側に進出した位置である進出位置との間を直進移動するように構成されている。
【0036】
図9は、役物動作ユニット20の構成を示す分解斜視図である。図9に示すように、役物動作ユニット20は、正面側に配置される第1動作ユニット20aと、その第1動作ユニット20bの背面側に配置される第2動作ユニット20bとを備えて構成される。第1動作ユニット20aは、遊技盤10の開口部10aに対して背面側から取り付けられるユニット本体21を備えており、遊技盤10に対して固定される。第2可動物22は、このユニット本体21の中央上部に支持された状態となっている。そしてユニット本体21の背面側には、第2動作ユニット20bを装着するための装着孔21a,21bが設けられている。
【0037】
一方、第2動作ユニット20bは、その正面側にキャラクタなどを模した形状の第1可動物23を有し、その背面側に第1可動物23を動作させるための駆動機構が内蔵されたケーシング25を有している。ケーシング25の正面側には、装着孔21a,21bに嵌入するボス25a,25bが設けられている。このボス25a,25bが第1動作ユニット20aの装着孔21a,21bに嵌入した状態で固定されることにより、第2動作ユニット20bは、第1動作ユニット20aの背面側に支持される。
【0038】
以下、第1動作ユニット20aおよび第2動作ユニット20bの詳細について更に詳しく説明する。
【0039】
図10は、第1動作ユニット20aを背面側からみた斜視図である。また図11は、第1動作ユニット20aの分解斜視図である。図11に示すように、ユニット本体21の背面側の中央4箇所に、第2可動物22の動作機構を支持するボス21cが設けられている。このボス21cには、ガイド部材31とカバー部材34とが固定されるようになっている。ガイド部材31は、その背面側中央に上下方向に沿って設けられた凹溝31aを有し、その凹溝31aを挟んで左右両側部にボス21cを嵌め込むための孔31bが設けられている。また、このガイド部材31の上部には、軸棒32を軸支するための軸受け部31cが設けられている。一方、カバー部材34は、その正面側の中央に上下方向に沿って設けられた凹溝34aを有している。この凹溝34aは、ガイド部材31の凹溝31aと対向するように設けられている。またカバー部材34には、凹溝34aを挟んで左右両側部にビス孔34cが設けられている。そして、カバー部材34は、ガイド部材31の孔31bに嵌め込まれた状態のボス21cに対してガイド部材31の背面側からビス36によってビス留めされることにより、ユニット本体21に固定される。
【0040】
上記のようにしてガイド部材31とカバー部材34とがユニット本体21に組み付けられると、その内側には凹溝31a,34aによるガイド空間が形成される。そして、このガイド空間に、第2可動物22を支持する摺動支持部材33が設けられる。この摺動支持部材33は、凹溝31a,34aによって構成されるガイド空間を上下方向に沿って摺動するものである。この摺動支持部材33は、ガイド部材31に対してカバー部材34が取り付ける前に、予めカバー部材34に対して装着される。
【0041】
摺動支持部材33は、図11に示すように、凹溝31a,34aの内側に収容される摺動部本体の上部に、揺動部材35を軸支する支持部33aが設けられている。また摺動支持部材33は、摺動部本体の下部に、左右に広がる一対の脚部33bを有し、その脚部33bの下端部には背面側に向かって略水平な棚状に形成された係合部33cを備えている。さらに摺動支持部材33は、左右に広がる脚部33bの間に、バネ39の一端を係止する係止部33dを備えている。このバネ39の他端は、カバー部材34における凹溝34aの上端部に設けられた係止部34bに係止されるようになっている。つまり、摺動支持部材33とカバー部材34とに対して予めバネ39が組み付けられた状態で、カバー部材34がガイド部材31に取り付けられる。
【0042】
バネ39は、摺動支持部材33を上向きに付勢する付勢手段である。したがって、摺動支持部材33に対して外力が作用していない状態のときには、摺動支持部材33は、バネ39の付勢力によって凹溝31a,34aによって形成される上下方向のガイド空間を上向きに移動するようになる。
【0043】
揺動部材35は、その上部および下部に鉤状の爪部35a,35bを備えている。下部に設けられた爪部35aは、摺動支持部材33の上端部に設けられた支持部33aに対して回動可能なように結合する。また、上部に設けられた爪部35bは、第2可動物22を支持する支持プレート37の下面に設けられた軸部37bに対して回動可能なように結合する。
【0044】
支持プレート37は、平板状のプレート部材の下面に上述した軸部37bが設けられており、この軸部37bが上述した揺動部材35の爪部35bと結合している。そして、この軸部37bの正面側に、ガイド部材31の軸受け部31cによって軸支された軸棒32を装着するための回動部37aが設けられる。そのため、支持プレート37は回動部37aに装着される軸棒32を中心に回動する。また、支持プレート37には、上下に貫通する孔37cが形成されており、この孔37cを介して下面からビス38が装着されることにより、支持プレート37の上面に第2可動物22が取り付けられる。つまり、ビス38は、第2可動物22の下面に設けられるビス孔に対して止着されるようになっている。
【0045】
第2可動物22は、上記のようにして支持プレート37の上面に支持され、支持プレート37と一体的な動作を行うように構成される。この第2可動物22は、卓袱台を模した板状部材22aと、その板状部材22aの上面に接着される複数の装飾部材22bとを備えて構成される。尚、装飾部材22bのそれぞれには、例えばLEDなどの光源が内蔵され、支持プレート37の下面から配線される導線を介してその光源と電源とが接続され、所定の演出が行われるタイミングなどで光源が発光するように構成するようにしても良い。
【0046】
上記のようにして構成される第1動作ユニット20aは、各部材が組み付けられると、図10に示すような状態となる。つまり、摺動支持部材33は、ガイド部材31とカバー部材34とに挟まされた状態となって、上下方向に摺動可能な状態となる。そしてガイド部材31とカバー部材34の下方には、摺動支持部材33の脚部33bが延びており、その脚部33bの下端部において棚状の係合部33cが背面側に向かって突出した状態となる。この係合部33cは、カバー部材34の背面よりも、更に背面側に突出するように構成されている。
【0047】
またガイド部材31およびカバー部材34の上部からは、摺動支持部材33の支持部33aに軸支される揺動部材35が出没するようになっている。揺動部材35は、第2可動物22の下面を支持しているので、摺動支持部材33の上下方向への移動に伴ってガイド部材31およびカバー部材34から出没することにより、第2可動物22がその姿勢を変化させるようになっている。
【0048】
図12図13および図14は、第1動作ユニット20aの動作過程を背面側からみた斜視図である。尚、これら図12図13および図14では、カバー部材34の一部を切り欠いた状態を示している。図12は、第2可動物22が動作していない初期状態を示している。図13は、第2可動物22の動作途中の状態を示している。さらに図14は、第2可動物22が完全に動作した状態を示している。
【0049】
まず、図12に示すように、第2可動物22が初期状態にあるとき、摺動支持部材33の係合部33cが下方に押圧されているとすると、摺動支持部材33は、バネ39の付勢力に抗して下方に移動した状態となっている。このとき、揺動部材35は、ガイド部材31とカバー部材34の上部から内側に入り込んだ状態となる。この状態では、揺動部材35が第2可動物22を引き込むので、第2可動物22は、略水平な姿勢の初期状態となる。
【0050】
これに対し、摺動支持部材33を下方に押し下げる押圧力が低下すると、摺動支持部材33はバネ39の付勢力で上方に向かって移動するようになる。摺動支持部材33が図12に示す初期位置から上方へ移動し始めると、図13に示すような状態となり、揺動部材35がガイド部材31とカバー部材34の上部から突出していく。そして揺動部材35は、第2可動物22を上方へ押し上げていく。このとき、第2可動物22を支持する支持プレート37が軸棒32を中心に回動し始めるため、第2可動物22は遊技機1の正面側に向かって傾斜していく。
【0051】
そして更に摺動支持部材33がバネ39の付勢力で上方に向かって移動していくと、揺動部材35の突出量が更に大きくなり、図14に示すように、第2可動物22は遊技機1の正面側に向かって所定角度で傾倒した作動状態へと変化する。
【0052】
このように第1動作ユニット20aは、バネ39が第2可動物22を図14に示すような作動位置へ向けて付勢するようになっており、摺動支持部材33の係合部33cに対して下向きの力が作用していないときには、第2可動物22が図14に示す作動位置に位置するようになる。そして、摺動支持部材33の係合部33cに対して下向きの力が作用すると、この力がバネ39の付勢力に抗して摺動支持部材33を下方へ押し下げるため、揺動部材35が第2可動物22を初期位置へと引き戻し、図12に示すような初期状態となる。つまり、この第1動作ユニット20aには、モータ24の駆動力が直接伝達されるのではなく、係合部33cに作用する力で摺動支持部材33が上下動することにより、第2可動物22が初期位置と作動位置との間を移動するように構成されている。
【0053】
このような第1動作ユニット20aにおける摺動支持部材33の係合部33cは、その背面側に設けられる第2動作ユニット20bの第1可動物23と接離自在なように構成されている。つまり、摺動支持部材33の係合部33cは、図9に示すように第1可動物23のほぼ水平な底辺23aと接離自在であり、第1可動物23が上下動することに伴って第2可動物22が初期位置と作動位置との間を移動する構成である。
【0054】
次に図15および図16は、第2動作ユニット20bの分解斜視図である。図15は第1可動物23を動作させるための駆動機構が内蔵されたケーシング25の内部構造を示しており、図16は第1可動物23がケーシング25に対して取り付けられる構造を示している。まず、図15に示すように、第2動作ユニット20bは、ケーシング25の内側に、第1アーム58と第2アーム62とを収容するアーム収容部25dを有している。このアーム収容部25dの背面側には複数のギア53が保持されるようになっており、それら複数のギア53が背面パネル55によって保護される。またアーム収容部25dの正面側にはアーム収容部25dを第1アーム58および第2アーム62を保護するための正面パネル56が設けられる。またアーム収容部25dの一方の側部の背面側には、モータ24を支持するモータブラケット51が設けられる。モータ24は、このモータブラケット51の内側に設けられる駆動ギア52を回転させるようになっている。駆動ギア52は複数のギア53と歯合しており、それら複数のギア53を介して回動部材54を所定角度範囲内で回動させるように構成される。回動部材54は、背面パネル55に設けられた軸孔55aに対して回動可能に取り付けられている。この回動部材54は、扇状ギア54aを有しており、この扇状ギア54aがギア53と歯合している。また、回動部材54の軸部は、アーム収容部25dの背面側に形成された丸孔25bからアーム収容部25dの内側に面するように取り付けられる。
【0055】
第1アーム58の一端部58aは、リング部材59を介して丸孔25bに取り付けられ、丸孔25bに対して回動自在となっている。この第1アーム58の一端部58aは、丸孔25bを介して回動部材54に接続されており、回動部材54と連動して回動するように構成される。つまり、第1アーム58は、モータ24が駆動されることに伴い、一端部58aを中心に、アーム収容部25dの内側において所定角度範囲内で回動する構成である。
【0056】
一方、第1アーム58の他端部58bは、第2アーム62の一端部62aを支持するようになっている。上述したように第1アーム58がモータ24によって所定角度範囲内で回動すると、この第1アーム58の他端部58bは、所定の円弧軌道上を揺動する。この第1アーム58の他端部58bには、丸孔58cが設けられている。この丸孔58cには、第2アーム62の一端部62aがリング部材60および係着部材61を介して取り付けられ、丸孔58cに対して回動自在となっている。この第2アーム62は、第1アーム58に対して屈曲した状態に設けられており、第1アーム58の丸孔58cに対して回動することにより、その屈曲角度が自在に変化する構成である。
【0057】
またケーシング25は、アーム収容部25dに隣接するガイド部57を備えている。このガイド部57の内側には、図16に示すようにスライド部材を収容するためのスライド空間57aが鉛直方向に沿って形成されている。このスライド空間57aとアーム収容部25dとは、連通孔25cによって連通している。
【0058】
そして第2アーム62は、上述したように一端部62aが第1アーム58の他端部58bに対して回動可能に接続されており、その一端部62aから延びる他端部62bが連通孔25cを介してスライド空間57aに進入した状態となって収容されている。この第2アーム62の他端部62bには、第1アーム58の他端部58bと同様に、丸孔62cが設けられている。この丸孔62cには、図15および図16の矢印Bで示すように、第2可動物23の背面側に設けられるプレート部材74のアーム取付部74aが丸孔62cに対して回動自在となるようにリング部材63および係着部材64を介して取り付けられる。
【0059】
図16に示すように、ガイド部57の内側のスライド空間57aには、スライド部材71が上下方向に沿ってスライド可能に装着される。スライド部材71は、平板状部材の上部が背面側に張り出した張出部71aを有し、その張出部71aの正面側に左右一対の突起71bを有している。またスライド部材71は、その中央に上下方向に沿って開放された開口部71cを有しており、さらに左右側部にはスライド突起71dが設けられている。一方、ガイド部57の内側には、スライド突起71dを挿入するためのガイド溝57bが左右一対に設けられている。そしてスライド部材71のスライド突起71dがガイド溝57bに対して上方から挿入されることにより、スライド部材71がスライド空間57aにおいて上下方向にスライド可能に設けられる。
【0060】
また第1可動物23は、キャラクタなどを模した表面形状を有する装飾プレート72と、中間プレート73と、プレート部材74とを備え、これらが正面側から順に重ね合わせられて形成される。このうち、第1可動物23の最も背面側に設けられるプレート部材74は、上述したように第2アーム62の他端部62bに装着される係着部材64と接合するためのアーム取付部74aを有している。このアーム取付部74aは、プレート部材74のほぼ中央に設けられる。したがって、第1可動物23は、その背面側が第2アーム62の他端部62bによって支持されており、しかも第2アーム62の他端部62bに形成された丸孔62cに対して回動可能となっている。
【0061】
またプレート部材74には、このアーム取付部74aを挟んで、上下方向に沿って平行に伸びる2つのスリット74bが形成されている。スライド部材71の正面側に設けられた左右一対の突起71bは、このスリット74bに対して挿入されると共に、このスリット74bに沿って第1可動物23の背面側を上下方向にスライド可能となっている。第1可動物23を支持する第2アーム62の他端部62bは、このスライド部材71に形成された開口部71cを介してアーム取付部74aを支持するようになっている。つまり、スライド部材71は、第2アーム62の他端部62bとプレート部材74との間に介挿された状態で設けられている。そして第2アーム62が第1可動物23の背面側を支持した状態で第1可動物23を上方へ持ち上げていくと、第2アーム62の他端部62bが張出部71aの下面と接触するようになり、その後は、スライド部材71が第2アーム62によって持ち上げられるようになる。そしてスライド部材71は、ガイド溝57bに沿って上方へスライド移動するようになる。
【0062】
図17図18および図19は、第2動作ユニット20bの動作過程を背面側からみた図である。尚、これら図17図18および図19では、ケーシング25の一部を透過させた状態で示している。図17は、第1可動物23が動作していない退避位置にある状態を示している。図18は、第1可動物23が退避位置から進出位置へ移動するまでの途中の位置にある状態を示している。さらに図19は、第1可動物23が画像表示器8の前方側の進出位置へ移動した状態を示している。
【0063】
まず、図17に示すように、第1可動物23が退避位置にあるとき、モータ24は初期位置で停止した状態にある。このとき、第1アーム58は、初期回転位置に位置している。この初期回転位置において、第1アーム58は他端部58bを下方に向けた状態となり、第2アーム62は傾倒した状態となる。言い換えると、このとき、第1アーム58は、他端部58bを画像表示器8の外側に向けた状態となり、第2アーム62bを第1可動物23の移動方向に対して所定角度傾斜させた状態で保持する。この状態では、第2アーム62の他端部62bがスライド空間57aの下方に位置しており、これによって第1可動物23が退避位置に保持される。尚、このとき、スライド部材71はスライド空間57aの内側で最も下降した位置にある。
【0064】
そしてモータ24が所定の回転方向へ駆動されると、図18に示すように、第1アーム58が回動し始め、他端部58bをガイド部57に向かって移動させる。これに伴い、第2アーム62は、次第にアーム収容部25dからガイド部57の内側へと押し出されていく。第2アーム62の他端部62bは、スライド部材71の開口部71cを介して第1可動物23を支持しているため、第2アーム62が第1アーム58によって押し出されていくと、ガイド部57に沿ってスライド空間57aを上方へと移動していく。このとき、第2アーム62は、次第に傾倒姿勢から起立姿勢へと変化していくようになり、第1可動物23を退避位置から上昇させていく。
【0065】
そして図18に示すように、第2アーム62の他端部62bがスライド部材71の張出部71aに当接するようになると、それ以後、第2アーム62の他端部62bは、第1可動物23だけでなく、スライド部材71を上昇させていくようになる。このようにして第2アーム62が第1可動物23と共にスライド部材71を上昇させていくことにより、第1可動物23は左右方向へぶれたり、姿勢を変化させたりすることなく、鉛直方向に沿って直進移動する。
【0066】
そしてモータ24が所定の回転方向にほぼ最大角度まで回転すると、図19に示すような状態となる。このとき、第1アーム58はほぼ水平な状態となり、第1可動物23の移動方向に対して略直角となる。このとき、第1アーム58は、作動回転位置に位置している。第1アーム58は、この作動回転位置と、図17に示した初期回転位置との間を回転するようになっている。
【0067】
第1アーム58が作動回転位置まで回転すると、第2アーム62は第1可動物23の移動方向に沿って立設した状態となり、第1アーム58と第2アーム62との角度は略直角の状態となる。この状態は、第1可動物23が画像表示器8の前方の進出位置へ進出した状態であり、遊技者によって第1可動物23が視認される状態となる。
【0068】
ここで第1可動物23が退避位置から進出位置まで移動するときの移動距離(ストローク)は、第2可動物22を初期状態から作動状態まで移動させる摺動支持部材33の移動距離(ストローク)よりも長くなっている。そのため、第1可動物23は、画像表示器8の画面サイズが比較的大きくなっても、退避位置にあるときにはユニット本体21の背面側に隠れた状態とし、進出位置へ移動したときには画像表示器8の前方側のほぼ中央位置にまで出現させることが可能である。
【0069】
一方、図19に示す状態から元の図17に示す状態に戻すときには、モータ24は上記と逆の回転方向へ駆動される。このとき、第1アーム58は、第1可動物23の移動方向に対して略直角の状態から所定角度回転した位置である初期回転位置に向かって回転していき、第2アーム62をアーム収容部25dの内側に引き込んでいく。これに伴い、第2アーム62は、第1可動物23をガイド部57に沿って下降させていき、画像表示器8の前方の進出位置から退避位置へ向けて第1可動物23を移動させていく。このようにして図19に示す状態から図17に示す状態へと戻る。
【0070】
このように第2動作ユニット20bは、第1アーム58と第2アーム62とを備えている。そしてモータ24が駆動されることによって第1アーム58が所定角度の範囲内で回動する。また第2アーム62は、第1可動物23を支持しており、第1アーム58が回転することに伴って第1可動物23を退避位置と進出位置との間で直進移動させる構成である。特に本実施形態における第1アーム58は、他端部58bを画像表示器8の外側に向けた初期回転位置へと回転することにより、第1可動物23を退避位置へ移動させる一方、他端部58bを第1可動物23の移動方向に対して略直角となる作動回転位置へ回転することにより、第2アーム62を第1可動物23の移動方向に沿って立設させて第1可動物23を進出位置へ出現されるように構成されている。
【0071】
モータ24は、このような回転駆動が行われるとき、比較的制御が簡単であるため、回転数が一定となる等速度運動を行うように制御される。第1アーム58の他端部58bは、このような制御によってモータ24が駆動されると、一端部58aを中心に一定の角速度で回転するようになる。この第1アーム58の他端部58bは、第2アーム62を介して第1可動物23を支持しているため、他端部58bの上向きの速度が第1可動物23の移動速度として現れる。
【0072】
図20は、モータ24が駆動されることによる第1可動物23の移動過程を示す図であり、縦軸に第1可動物23の位置を、横軸に時間を示している。図20に示すように、初期状態では第1可動物23が退避位置にあるものとする。そしてモータ24が駆動されると、第1アーム58が図17に示す初期回転位置から図19に示すようにほぼ90度回転した作動回転位置まで回転することにより、第1可動物23は、退避位置から進出位置へと移動する。例えば図20に示すように時刻T1でモータ24の駆動が開始され、第1可動物23が退避位置から進出位置へ向かって移動していき、時刻T2で進出位置へ到達するとする。この場合、第1可動物23が退避位置から進出位置まで移動するときの速度V1は、図20に示す移動軌跡の傾きによって表される。すなわち、移動開始直後では比較的緩やかな速度で移動していき、その後は次第に移動速度を上昇させていく。そして進出位置に達するとき、第1可動物23の速度V1は、最も速い速度となる。このような現象は、第1アーム58が第1可動物23の移動方向に対して略直角となるときに、第1アーム58の角速度がそのまま第1可動物23の上向きの速度として現れることに起因している。
【0073】
そして時刻T2で第1可動物23が進出位置に到達した後、所定の演出が終了すると、モータ24が逆方向へ回転駆動され、第1可動物23が進出位置から退避位置へと戻る。例えば図20に示すように時刻T3でモータ24の逆転方向への駆動が開始され、第1可動物23が進出位置から退避位置へ向かって移動していき、時刻T4で退避位置へ到達するとする。この場合にも、第1可動物23が進出位置から退避位置まで移動するときの速度V2は、図20に示す移動軌跡の傾きによって表される。すなわち、進出位置からの移動開始時には最も速い速度で移動していき、次第に移動速度を低下させていく。そして退避位置に達するとき、第1可動物23の速度V1は、最も遅い速度となる。
【0074】
このように本実施形態では、所定の演出を行うタイミングでモータ24の駆動が開始されると、第1可動物23は、退避位置から進出位置へ向かって直進移動していくようになり、進出位置へ到達するときにほぼ最高速度となる。このような第1可動物23の出現態様は、等速で出現する場合と比較して、遊技者に対してより一層インパクトを与えるような出現態様となっている。したがって、本実施形態では、モータ24の制御を複雑にすることなく、第1可動物23の移動速度を徐々に上昇させてほぼ最高の移動速度で所定の進出位置へ出現させることができる構成となっており、興趣性の高い演出を効果的に行うことができるという利点がある。また、所定の演出が終了したときには、第1可動物23を速やかに所定の進出位置から退避させる必要があるが、本実施形態ではモータ24を一定の速度で逆転方向に駆動するだけで、第1可動物23を高速で退避させることができるようになっており、この点においてもモータ24の制御は簡単なものとなっている。
【0075】
そして第1動作ユニット20aは、上記のような第2動作ユニット20bの動作と連動して第2可動物22を動作させるようになっている。以下、図21図22および図23を参照しつつ、役物動作ユニット20の全体的な動作について説明する。図21図22および図23は、役物動作ユニット20の動作過程を正面側の斜め下方から見た斜視図である。図21は、役物動作ユニット20が動作していない状態を示している。図22は、役物動作ユニット20が動作途中にある状態を示している。さらに図23は、役物動作ユニット20が完全に作動状態となって第1可動物23が画像表示器8の前方側の進出位置へ進出した状態を示している。
【0076】
まず、図21に示すように、役物動作ユニット20が動作していない状態のとき、上述したように第1可動物23は、ユニット本体21の背面側の退避位置にある。このとき、第1可動物23の底辺23aは、摺動支持部材33に設けられた棚状の係合部33cに対して上から接触し、摺動支持部材33をバネ39の付勢力に抗して下方へ押し下げた状態となっている。したがって、この状態のとき、第2可動物22は、ほぼ水平な姿勢の初期状態となっている。
【0077】
そして所定の演出を行うタイミングでモータ24が駆動されると、それに伴い第1可動物23が退避位置から上昇し始める。このとき、図22に示すように、摺動支持部材33は、係合部33cを第1可動物23の底辺23aに接触させた状態のまま第1可動物23の上昇に伴って上昇する。つまり、摺動支持部材33にはバネ39の付勢力が作用しているため、第1可動物23が上昇するとそのバネ39の付勢力によって摺動支持部材33が上昇する。そして第2可動物22は、図22に示すように摺動支持部材33の上昇量に応じてほぼ水平な姿勢から前方側に傾斜した状態となる。
【0078】
そしてモータ24の駆動が継続され、第1可動物23が更に上昇していくと、図23に示すように、摺動支持部材33が最も高い位置まで上昇し、第2可動物22は、遊技機1の前方側に向かって傾倒した姿勢の作動状態へと変化する。この状態になると摺動支持部材33は停止する。
【0079】
これに対し、第1可動物23は、モータ24の駆動が継続されると、更に上昇する。つまり、図23に示すように、第1可動物23の底辺23aが摺動支持部材33に設けられた係合部33cから離れ、第1可動物23が単独で更に上昇する。そして所定の進出位置まで上昇すると、第1可動物23が画像表示器8の前方側に進出した状態となって停止する。
【0080】
その後、所定の演出が終了してモータ24が逆転方向へ駆動されると、第1可動物23はモータ24の回転量に応じて下降していく。そして第1可動物23の底辺23aが摺動支持部材33の係合部33cと接触するようになると、それ以後は、第1可動物23の下降に伴って摺動支持部材33も下降する。このとき、摺動支持部材33は、バネ39の付勢力に抗して下降する。これに伴って、第2可動物22は、作動状態から元の初期状態へと戻っていく。そしてモータ24の逆転方向への駆動が終了し、第1可動物23が退避位置へと移動すると、第2可動物22も元の初期状態へと復帰する。
【0081】
このように本実施形態では、第1可動物23と第2可動物22とを1つのモータ24で動作させる構成としつつも、第1可動物23と第2可動物22とがそれぞれ異なる移動距離(ストローク)で移動するようになっている。特に本実施形態においては、第1可動物23は、モータ24の駆動力によって所定の退避位置から進出位置まで直進移動するようになっているが、第2可動物22は、モータ24の駆動力ではなく、バネ39の付勢力と第1可動物23の押圧力とによって初期状態と作動状態との間を移動する構成である。それ故、モータ24の駆動力を第2可動物22に伝達するためのリンク機構を設ける必要がないという利点がある。
【0082】
例えば、第2可動物22をモータ24の駆動力で動作させようとする場合、第2可動物22を移動させる摺動支持部材33の移動距離が第1可動物23の移動距離よりも短いため、複雑なリンク機構を設けてモータ24の駆動力を第2可動物22に伝達することが必要不可欠である。しかし、本実施形態では、そのようなリンク機構を設ける必要がないため、複雑なリンク機構を設けるスペースを確保する必要もなく、比較的小さなスペースに第1可動物22と第2可動物23との双方を配置することが可能であり、しかも第1可動物22と第2可動物23のそれぞれに異なる動作を行わせて興趣性の高い演出を行うことができるようになっている。
【0083】
尚、上記実施形態においては、第1可動物23と、第2可動物22を移動させる摺動支持部材33とのそれぞれが上下方向の鉛直軸に沿って移動する場合を例示したが、これに限られるものではない。例えば、役物動作ユニット20が画像表示器8に対して左右側方に設けられている場合には、第1可動物23および摺動支持部材33は、左右横方向に沿って移動するように構成することも可能である。また、この他にも、役物動作ユニット20の設置場所に応じて第1可動物23および摺動支持部材33の移動方向を適宜設定することが可能である。
【0084】
以上のように、本実施形態の遊技機1に設けられる役物動作ユニット20は、鉛直方向などの一軸の方向に沿って直進移動することによって所定の退避位置と進出位置との間を移動する装飾可動物23と、その装飾可動物23を動作させるためのモータ24と、一端部58aが所定の回転軸周り回動可能に軸支され、モータ24が駆動されることによってその一端部58aを中心に回動することにより、他端部58bを所定の円弧軌道上で揺動させる第1アーム58と、一端部62aが第1アーム58の他端部58bに対して回動可能に軸支され、他端部62bが装飾可動物23を支持すると共に第1アーム58の回動に伴って一軸の方向に沿って移動する第2アーム62と、を備える構成である。また第1アーム58は、一軸に対して略直角となる作動回転位置と、その作動回転位置から所定角度回転した初期回転位置との間で回動する構成である。そして第1アーム58は、初期回転位置にあるとき、第2アーム62を一軸に対して所定角度傾斜させた状態で保持することにより、装飾可動物23を退避位置に退避させるようになっている。またモータ24によって第1アーム58が初期回転位置から作動回転位置へ回動すると、第2アームが一軸に沿って立設するようになっており、これにより、装飾可動物23を退避位置から進出位置へ移動させる構成である。
【0085】
このような構成によると、モータ24を駆動するときに等速回転を行うように制御すれば、第1アーム58が等速で回転するようになり、その第1アーム58の回転速度における装飾可動物23の移動方向に沿った速度成分が装飾可動物23の移動速度として現れる。その結果、装飾可動物23が退避位置から進出位置へ移動するときには、その移動速度を次第に上昇させていき、ほぼ最高速度となって進出位置へ到達するようになる。したがって、上記のような構成では、モータ24の制御を複雑にすることなく、遊技者に対してインパクトを与えることができるような装飾可動物23の出現態様を実現することができるようになり、より一層大きな演出効果を発揮するようになる。
【0086】
また、上記のような構成によると、装飾可動物23を支持する第2アーム62は、装飾可動物23を退避位置で保持するときには装飾可動物23が移動する一軸に対して傾斜した状態となり、装飾可動物23を進出位置へ移動させるときには装飾可動物23が移動する一軸に沿って立設した状態となる。そのため、特に装飾可動物23を退避位置で保持するときでも、第2アーム62を収容するための空間を小さくすることができるという利点がある。これにより、画像表示器8の画面サイズの大型化に伴って装飾可動物23の移動距離(ストローク)が長くなる場合であっても、その移動距離に相当するサイズの収容空間を設ける必要がなくなるので、駆動機構を設けるスペースを小さくすることができる。
【0087】
また本実施形態の遊技機1に設けられる役物動作ユニット20は、鉛直方向などの一軸の方向に沿って直進移動することによって所定の退避位置と進出位置との間を移動する第1可動物23と、第1可動物23をその一軸方向に沿って移動させるモータ24と、その一軸と平行な軸方向に沿って移動可能であり、第1可動物23が移動する退避位置と進出位置との間の距離よりも短い距離の移動範囲内で移動する摺動支持部材33と、摺動支持部材33に支持され、摺動支持部材33が移動することに伴って所定の初期位置と作動位置との間を移動する第2可動物22と、第2可動物22を作動位置へ向けて付勢するバネ39と、を備える構成である。また摺動支持部材33は、第1可動物23と接離可能な係合部33cを有する構成である。
【0088】
そして第1可動物23が進出位置から退避位置へ移動するときには、摺動支持部材33が係合部33cを第1可動物23に係合させて第1可動物23と共に移動することにより、第2可動物22をバネ39の付勢力に抗して初期位置へと移動させる構成である。一方、第1可動物23が退避位置から進出位置へ移動するときには、摺動支持部材33がバネ39の付勢力によって移動することにより、第2可動物22を初期位置から作動位置へと移動させる構成である。
【0089】
このような構成によると、複雑なリンク機構を設けることなく、第1可動物23と摺動支持部材33とを異なる移動距離で移動させることができるようになり、1つのモータ24を駆動するだけで、第1可動物23と第2可動物22とのそれぞれに対して異なる動作を行わせることができるようになる。したがって、本実施形態の遊技機1によれば、演出役物として設けられる複数の可動物を1つの駆動手段で駆動する構成を採用しつつも、複雑なリンク機能などを設けることなく、それぞれの可動物に異なる動作を行わせることが可能になり、興趣性の高い演出を効果的に行うことができるという利点もある。尚、本実施形態の場合、異なる動作として、第1可動物23が直進移動を行い、第2可動物22がその姿勢を変化させるものであったが、これに限られるものではない。例えば、第2可動物22が第1可動物23とは異なる移動距離(ストローク)で移動するものであっても、それらの動作は互いに異なる動作となる。
【0090】
(変形例)
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0091】
例えば上記実施形態においては、バネ39が摺動支持部材33を上方へ向けて付勢するように設けられる場合を例示したが、これに限られるものではない。すなわち、バネ39は、第2可動物22を前方側に傾倒した姿勢である作動位置へ向けて付勢するものであれば良い。そのため、バネ39は第2可動物22に対して設けられ、第2可動物22を作動位置へ向けて付勢するものであっても構わない。
【0092】
また、上記実施形態では、始動口に遊技球が入球するとそれに伴って大当たり抽選が行われ、大当たりに当選すると大入賞口を開放して遊技者に有利な遊技価値を付与するようにした遊技機1を例示したが、上述した役物動作ユニット20を搭載可能な遊技機は必ずしもそのような遊技機に限られない。例えば、所謂羽根モノなどと呼ばれる遊技機であっても上述した役物動作ユニット20を搭載することが可能である。
【0093】
また上記実施形態では、一例として、第1可動物23が進出する進出位置が画像表示器8の前方である場合を説明した。しかしながら、第1可動物23の進出する進出位置は、必ずしも画像表示器8の前方には限られない。
【符号の説明】
【0094】
1 遊技機
8 画像表示器
10 遊技盤
13 遊技領域
20 役物動作ユニット
23 第1可動物(装飾可動物)
24 モータ(駆動手段)
58 第1アーム
62 第2アーム
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