特許第5797415号(P5797415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797415
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】プリンタ用プラテンローラ
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/04 20060101AFI20151001BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20151001BHJP
   B41J 3/62 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   B41J11/04
   B41J2/32 Z
   B41J3/62
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-21316(P2011-21316)
(22)【出願日】2011年2月3日
(65)【公開番号】特開2012-158161(P2012-158161A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2014年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大塚 正則
(72)【発明者】
【氏名】茂木 麻理子
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−272623(JP,A)
【文献】 特開2005−231218(JP,A)
【文献】 特開2005−161579(JP,A)
【文献】 実開平1−139550(JP,U)
【文献】 米国特許第5329302(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/32、3/62、11/04−11/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一シートと、前記第一シートに間隙を開けて重合した第二シートとを有する印字用紙をサーマルヘッドに押圧して挟持移送するプリンタ用プラテンローラであって、
前記印字用紙は、前記第一シートと前記第二シートとの間に、粘着剤と剥離剤とが、前記印字用紙の移送方向と平行な線状に交互に塗布され、
前記印字用紙の移送方向と交差する方向に回転可能に支持した軸と、
前記軸に配置した円柱状の本体ローラと、
前記本体ローラの径方向外方に前記粘着剤の厚さ相当分突出し、前記印字用紙を押圧して前記印字用紙の間隙を埋める複数の突出部と、を有し、
前記複数の突出部は、前記軸方向長さが隣り合う前記粘着剤同士の間隔の幅に対応し、突出部間の間隔が前記粘着剤の幅に対応することを特徴とするプリンタ用プラテンローラ。
【請求項2】
前記複数の突出部は、前記軸方向長さが隣り合う前記粘着剤同士の間隔の幅より短く、突出部間の間隔が前記粘着剤の幅より長いことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ用プラテンローラ。
【請求項3】
前記突出部は、前記印字用紙をサーマルヘッドに圧接挟持して、印字を施す際に、前記印字用紙の間隙を埋めることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリンタ用プラテンローラ。
【請求項4】
第一シートと、前記第一シートに間隙を開けて重合した第二シートとを有する印字用紙をサーマルヘッドに押圧して挟持移送するプリンタ用プラテンローラであって、
前記印字用紙は、前記第一シートと前記第二シートとの間に、粘着剤と剥離剤とが、前記印字用紙の移送方向と平行な線状に交互に塗布され、
前記印字用紙の移送方向と交差する方向に回転可能に支持した軸と、
前記軸に配置した円柱状の複数の本体ローラと、
前記本体ローラ間に配置し、前記本体ローラの径方向外方に前記粘着剤の厚さ相当分突出して、前記印字用紙を押圧して前記印字用紙の間隙を埋める突出ローラと、を有し、
前記突出ローラの前記軸方向長さが隣り合う前記粘着剤同士の間隔の幅に対応し、
前記本体ローラの前記軸方向の長さが前記粘着剤の幅に対応することを特徴とするプリンタ用プラテンローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ用プラテンローラに係り、詳しくは、印字用紙に、印字に適正な圧力を付与するためのプリンタ用プラテンローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第一シートおよび第二シートの裏面に粘着剤と剥離剤を、一方のシートの粘着剤と他方のシートの剥離剤が仮着する位置に、それぞれ交互に形成させ、両シートを重合した台紙の無い両面ラベル連続体が知られている。
【0003】
上述した台紙の無い両面ラベル連続体には、プラテンローラおよびサーマルヘッドで圧接挟持して印字される際、粘着剤がその押圧によって延び、隣りに配列する粘着剤や他方のシートに付着すること、ラベルの外縁から粘着剤がはみ出る等の問題がある。このような問題を防ぐため、隣に配列する粘着剤との間に、間隙を有した両面ラベル連続体が使用されている。
【0004】
図7は、所定の間隙58を開けて粘着剤52が配列する両面ラベル連続体Lを、プラテンローラ59とサーマルヘッド60とで圧接挟持し、印字および移送する際の、移送方向と直交する方向から見た図である。両面ラベル連続体Lは、第一シート50と、第二シート51と、粘着剤52と、剥離剤53とで構成されている。第一シート50は、第一発色層54と、第一基材55とで構成され、第一発色層54の裏面と第一基材55の表面は接着している。第二シート51は、第二発色層56と、第二基材57とで構成され、第一シート50と同様に第二発色層56の裏面と第二基材57の表面は接着している。第一基材55および第二基材57の裏面には、粘着剤52および剥離剤53が、移送方向と平行な線状に、交互に塗布され、一方のシートの粘着剤52が、他方の剥離剤53に仮着するようになっている。粘着剤52の塗布方向と直交する幅Gは、剥離剤53のその幅よりも小さく設定されており、仮着させた際に、塗布方向と直交する幅Hを有する間隙58を介して、配列するようになっている。粘着剤52の塗布厚Iは、剥離剤53の塗布厚よりも厚く、プラテンローラ59とサーマルヘッド60とで押圧されて粘着剤52が広がっても、隣の粘着剤52と接着しないようになっている。
【0005】
しかしながら、上記の間隙58を有した両面ラベル連続体Lに印字を行うと、印字を施す発色層の、プラテンローラ59に間隙58を介して押圧される部分には、印字に適切な押圧力が掛からずサーマルヘッド60の発熱が発色層に伝わらないため、その部分では印字されず、印字精度が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-272623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、第一シートと、前記第一シートに間隙を介して重合した第二シートを有する印字用紙に対し、印字に適した圧力を付与する構成を有するプリンタ用プラテンローラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本体ローラに径方向外方に突出した突出部を設けたプラテンローラに関するもので、第一の発明の要旨は、第一シートと、この第一シートに間隙を開けて重合した第二シートとを有する印字用紙をサーマルヘッドに押圧して挟持移送するプリンタ用プラテンローラであって、前記印字用紙の移送方向と交差する方向に回転可能に支持した軸と、この軸に配置した円柱状の本体ローラと、この本体ローラの径方向外方に突出し、前記印字用紙を押圧して前記印字用紙の間隙を略埋める状態にする突出部と、を有することを特徴としている。
また、前記突出部は、前記印字用紙をサーマルヘッドに圧接挟持して、印字を施す際に、前記印字用紙の間隙を略埋める状態にするという構成にしてもよい。
第二の発明の要旨は、第一シートと、この第一シートに間隙を開けて重合した第二シートとを有する印字用紙をサーマルヘッドに押圧して挟持移送するプリンタ用プラテンローラであって、前記印字用紙の移送方向と交差する方向に回転可能に支持した軸と、この軸に配置した円柱状の複数の本体ローラと、この本体ローラ間に配置し、この本体ローラの径方向外方に突出して、前記印字用紙を押圧して間隙を略埋める状態にする突出ローラと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプリンタ用プラテンローラによれば、第一シートと、前記第一シートに間隙を介して重合した第二シートとを有する印字用紙を印字する際、印字に適切な圧力を略均一に付与することを可能にする。特に第一の発明のプリンタ用プラテンローラによれば、印字用紙の間隙を埋める突出部を有するので、印字面に印字に適切な圧力がかかり、所定レベルの印字品質を保持する事ができる。特に第二の発明のプリンタ用プラテンローラによれば、本体ローラおよび突出ローラを分離してそれぞれ交換可能としたので、間隙や粘着剤等の寸法が異なる印字用紙に、印字に適切な圧力をかける場合に、それぞれの間隙や粘着剤等の寸法に合った、本体ローラおよび突出ローラを組み合わせればよいので、コストや部品数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1に係るプリンタを両面ラベルプリンタ1に応用した側面図である。
図2】同、図1の第一プラテンローラ17の正面図である。
図3】同、図1のII―II線断面図である。
図4】同、図1の第一プラテンローラ17がサーマルヘッド20に押圧された際のI−I線断面図である。
図5】本発明の実施例2の第一プラテンローラ40の正面図である。
図6】同、第一プラテンローラ40が第一サーマルヘッド18に押圧された際の正面図である。
図7】従来の、間隙58を有した両面ラベル連続体Lが、プラテンローラ59とサーマルヘッド60に押圧された際の移送方向と直交する方向から見た図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施例1を図1ないし図4に基づいて説明する。なお、以下において、従来と同様の部分は、同一符号を付すに止め、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係る両面ラベルプリンタ1の側面図であって、図示のように両面ラベルプリンタ1は、ラベル供給部2と、ラベル移送部3と、ラベル検出部4と、ラベル印字部5と、ラベル切断部6と、制御部7とから構成されている。
【0013】
ラベル供給部2は、ラベル供給リール8に、ロール状の両面ラベル連続体Lを装填させ、ラベル移送部3に両面ラベル連続体Lを供給するよう構成されている。
【0014】
ラベル移送部3は、ガイドローラ9と、ラベル幅規制ガイド10と、従動ローラ11と、駆動ローラ12で構成されている。ガイドローラ9は、ラベル印字部5の上流側に回動自在に配置されており、台紙無しラベル連続体Lがラベル印字部5へ移送されるよう案内させる。ラベル幅規制ガイド10は、ガイドローラ9と従動ローラ11および駆動ローラ12の間に配置されており、両面ラベル連続体Lの横幅を規制することよって、後述する第一プラテンローラ17の複数の突出部32が、対応する間隙58に嵌り合うように、両面ラベルLを蛇行させることなく、ラベル印字部5へ移送させるよう配置してある。従動ローラ11と駆動ローラ12は、ラベル印字部5の上流側、ラベル幅規制ガイド10の下流側に、台紙無しラベル連続体Lを挟持し、蛇行およびたるみを防止しながらラベル印字部5へ移送するよう対向配置されている。駆動ローラ12の軸の一端は、図示しないモータと、ベルトを介して接続されており、駆動源からの力が伝達され、移送方向およびその逆方向に回動するようになっている。なお、ラベル幅規制ガイド10、従動ローラ11、および駆動ローラ12は、第一および第二プラテンローラ17、19の複数の突出部32が、それぞれ対応する間隙58にズレなく合うように、ラベル検出部4と第一印字部15の間や、第一印字部15と第二印字部16の間に配置も良い。
【0015】
ラベル検出部4は、発光器13と、受光部14とで構成されている。発光器13と受光部14は、ラベル印字部5の上流側、ラベル移送部3の下流側に、両面ラベル連続体Lの裏面側に配置されている。両面ラベル連続体Lの裏面には、この発光器13から発光される光を反射するマーク(図示せず)が等間隔に印字されており、前記ラベル検出部4は、発光器13から両面ラベル連続体Lの裏面に発光させ、受光部14で前記マークからの反射光を受光させることによって、両面ラベル連続体Lの位置と移送量を検知する。
【0016】
ラベル印字部5は、第一印字部15と、第二印字部16とで構成されている。第一印字部15は、第一プラテンローラ17と、第一サーマルヘッド18とで構成され、第一プラテンローラ17は、両面ラベル連続体Lの裏面側、第一サーマルヘッド18は、両面ラベル連続体Lの表面側にそれぞれ対向配置し、両面ラベル連続体Lを所定の押圧力で挟みこみ、両面ラベル連続体Lの表面に印字を行うとともに、両面ラベル連続体Lを第二印字部16へ移送するようになっている。第二印字部16は、第二プラテンローラ19と、第二サーマルヘッド20とで構成され、第二プラテンローラ19は、両面ラベル連続体Lの表面側に、第二サーマルヘッド20は、両面ラベル連続体Lの裏面側にそれぞれ対向配置し、両面ラベル連続体Lを所定の押圧力で挟みこみ、両面ラベル連続体Lの裏面に印字を行うとともに、両面ラベル連続体Lをラベル切断部6へ移送するようになっている。
【0017】
ラベル切断部6は、上カッタ21と、下カッタ22とを備え、上カッタ21の刃と下カッタ22の刃が噛み合うようラベル印字部5の下流側に対向配置されている。上カッタ21と下カッタ22との間に両面ラベル連続体Lを挟み、下カッタ22を駆動することにより、両面ラベル連続体Lを切断するようになっている。
【0018】
制御部7は図示省略のCPUやROM、RAMなどを備えており、前記各部2、3、4とデータバス(図示せず)で接続されており、各部の動作の制御を行う。
【0019】
次に、第一および第二プラテンローラ17、19について詳細に説明する。図2は、本実施例1に係るプリンタの第一プラテンローラ17の正面図である。第二プラテンローラ19は、第一プラテンローラ17と同様の構成であるので、その説明を省略する。
【0020】
軸30は、円柱形状のステンレス等の金属である。形状は円柱形状に限定されず、例えば円筒形状等であってもよい。素材は金属に限らず、樹脂などでもよい。軸の両端は、図示しない両面ラベルプリンタ1の軸受けに、サーマルヘッド18と対向配置するよう軸支されている。また、軸30の一端は、図示しないモータ等の駆動源と、ベルトを介して接続されており、駆動源からの力が伝達され、搬送方向およびその逆方向に回動するようになっている。
【0021】
本体ローラ31は、中心軸が空孔の、例えばウレタンゴムやシリコーンゴムなどでできた弾性体である。空孔に軸30が挿通して固定されており、軸30が回転駆動されると、本体ローラ31も共に回転駆動するようになっている。
【0022】
複数の突出部32は、図示のように、本体ローラの周縁に、所定の間隔を空けて設けられており、径方向外方に軸方向断面が長方形状に突出している。突出部32の軸方向断面形状は、長方形でなくとも、第一発色層54に印字に適切な圧力が掛かるものであれば良く、例えば円形状、楕円形状等であっても良い。複数の突出部32間の所定間隔の軸30方向長さAは、印字の際にその突出部32の間隔で粘着剤52を囲むように、粘着剤52の幅Gに対応しており、突出部32が第二シート51を押圧することによって、剥離剤53は粘着剤52方向へ巻き込まれるため、Gに加え、さらに剥離剤53を巻き込める程度の長さを有していることが望ましい。突出部32の軸30方向長さBは、両面ラベル連続体Lの間隙幅Hに対応しており、第二シート51に塗布された粘着剤52に、突出部32の押圧によって突出した第二基材57が付着することを防止するため、Hよりも短く、かつ第一発色層54に、適切な印字圧がかかる程度の長さを有していることが望ましい。図3に示した径方向外方に突出した長さCは、両面ラベル連続体Lが第一プラテンローラ17と第一サーマルヘッド18で押圧された際の粘着剤52の厚さIと対応しており、第一発色層54に均一な印字圧がかかるようにするため、CはIと略一致する長さであることが望ましい。
【0023】
実施例1に係る両面ラベルプリンタ1は、以上の構成を有し、両面ラベル連続体Lは、ラベル供給部2にて供給され、供給された両面ラベル連続体Lは、ラベル移送部3にて幅規制ガイド12により、幅を規制され、また従動ローラ11と駆動ローラ12によって圧接挟持されることによって、蛇行および斜行を防止されながらラベル印字部5へ移送される。ラベル印字部5に移送された台紙無しラベル連続体Lは、第一印字部15にて、図4に示すように、第一プラテンローラ17と押圧スプリング33によって押圧された第一サーマルヘッド18に圧接挟持され、間隙58方向に突出部32が第二シート51を押圧し、第二シート51を間隙58に突出させることによって、両面ラベル連続体Lの間隙58が略埋まる。これにより第一発色層54には、印字に適切な圧力がかかり、サーマルヘッド18の発熱体と発色層54の接触点で熱を受け、設定した所定位置に設定した情報が印字される。第一発色層54に印字が施された後は、第二印字部16に移送され、第二プラテンローラ19と第二サーマルヘッド20に圧接挟持され、上記第一印字部15と同様の動作で、第二発色層56に印字が施される。両面に印字が施された後、両面ラベル連続体Lは、ラベル切断部6にて、上カッタ21と下カッタ22とが駆動され、設定された位置で切断が行われる。
【0024】
このように実施例1に係れば、両面ラベル連続体Lの第一シート50と第二シート51との間に間隙58があり、印字を施す発色層(第一発色層54)に、印字に適切な圧力がかからない場合でも、他方のシート(第二シート51)に、プラテンローラ17周縁に設けられた突出部32を間隙58部分に押圧し、他方のシートを、間隙58に突出させることによって、間隙58が略埋まる状態になり、印字に適切な圧力をかけることができる。また、複数の突出部32間の間隔軸30方向長さAを、粘着剤52の軸30方向長さGよりも長く設定し、突出部32の軸30方向幅Bを、適切な印字圧がかかる程度の長さ、かつ間隙58の軸30方向幅Hよりも短くすることによって、突出した他方のシートが粘着剤52に付着することを防ぎ、それによる他方のシート表面の平滑性が阻害されることを防ぎ、スムーズに印字を施こすことができる。また、突出部32の径方向外方に突出した長さCを、両面ラベル連続体Lが第一プラテンローラ17と第一サーマルヘッド18で押圧された際の粘着剤52の厚さIと略一致させることによって、突出する他方シートの長さCは粘着剤52の厚さIと略一致し、印字を施す発色層に均一な圧力をかけることができる。また、印字に適切な圧力をかけ、印字精度を所定レベルに保持することを、コスト高で場所をとる制御装置等を用いることなく、プラテンローラ17に突出部32を設けるのみで可能とする。また、粘着剤52、間隙58、剥離剤53の各寸法が異なる両面ラベル連続体Lを使用する場合でも、突出部32の各寸法を両面ラベル連続体Lの各寸法に対応させることにより、プラテンローラ17を交換するだけで、それぞれの両面ラベル連続体Lに対応することができる。
【0025】
なお、突出部32の径方向外方に突出した長さCを、両面ラベル連続体Lが第一プラテンローラ17と第一サーマルヘッド18で押圧された際の粘着剤52の厚さIと略一致としたが、プラテンローラ40とサーマルヘッド18で圧接挟持して、印字を施す際に、本体ローラ42に押圧される部分と略同じ圧力が掛かればよく、粘着剤の弾性率等に応じて、その長さを適宜変更可能である。
【0026】
次に実施例2に係る第一プラテンローラ40を図5および図6に基づいて説明する。なお、実施例1と同様の部分は、同一符号を付すに止め、重複する説明は省略する。
【0027】
図5は、本実施例2に係る第一プラテンローラ40の正面図であって、図示のように第一プラテンローラ40は、軸41と、本体ローラ42と、突出ローラ43とで構成されている。軸41は前記軸30と同じ構成であるので説明を省略する。
【0028】
本体ローラ42は、中心軸が空孔の、例えばウレタンゴムやシリコーンゴムなどでできた弾性体である。空孔に軸41が所定の間隔を持って挿通して固定されており、軸41が回転駆動されると、本体ローラ42も共に回転駆動するようになっている。本体ローラ42の軸41方向長さDは、粘着剤52の幅Gに対応しており、突出ローラ43が第二シート51を押圧することによって間隙58を略埋める状態にする過程において、剥離剤53が粘着剤52方向へ巻き込まれるため、幅Gの長さに加え、剥離剤53を巻き込める程度の長さを有することが望ましい。
【0029】
突出ローラ43は、本体ローラ42と同じく、中心軸が空孔の弾性体であり、空孔に本体ローラ42を介して挿通して固定されており、軸41の回転駆動と共に突出ローラ43も回転駆動するようになっている。突出ローラ43の軸41方向長さEは、両面ラベル連続体Lの間隙幅Hに対応しており、第二シート53に塗布された粘着剤52が、突出した第二基材57へ付着することを防止するため、Hよりも短く、かつ第一発色層54に、適切な印字圧がかかる程度の長さを有することが望ましい。突出ローラ43の径方向外方に突出した長さFは、印字時に、第一プラテンローラ40と第一サーマルヘッド18に圧接挟持された際の粘着剤52の厚さIと対応しており、発色層54に均一な印字圧がかかるようにするためFはIと略一致する長さであることが望ましい。
【0030】
実施例2に係る第一プラテンローラ40は、以上の構成を有し、図6に示すように、第一プラテンローラ40が両面ラベル連続体Lを押圧することによって、突出ローラ43が第二シート51を間隙58内に侵入するよう突出させ、間隙58が埋まり、印字に適切な圧力が第一の発色層54にほぼ均一にかかり、印字が精度よく施される。
【0031】
このように実施例2に係れば、両面ラベル連続体Lの第一シート50と第二シート51との間に間隙58があり、印字を施す発色層(第一発色層54)に、印字に適切な圧力がかからない場合でも、印字を施さないシート(第二シート51)に第一プラテンローラ40を押圧して、第二シート51を間隙58に突出させることによって、間隙58が埋まり、印字に適切な圧力をかけることができる。また、本体ローラ42の軸41方向長さDを、対応する粘着剤52の幅Gに加え、剥離剤53を巻き込める程度の長さを付与することによって、押圧によって生じる第二シート51の剥離剤53の粘着剤52への巻き込みを、負荷なく、スムーズに行うことができる。突出ローラ43の軸41方向長さEを、間隙58幅Hよりも短く、かつ印字に適切な圧力がかかるための長さに設定することによって、押圧による粘着剤52が軸41方向に延びて第二基材57に付着することを防ぐことができる。突出ローラ43の径方向外方に突出した長さFを、印字時に、第一プラテンローラ40と第一サーマルヘッド18に圧接挟持された際の粘着剤52の厚さIと略一致させることによって、第一発色層54の、間隙58を介して押圧される部分に、粘着剤52を介して押圧された部分とほぼ同じ圧力を付与することができる。また、突出ローラ43が磨耗等によって損傷したとしても、損傷した突出ローラ43のみ交換すればよく、コストを低減でき、また、作業効率も上げることができる。また、両面ラベル連続体Lの間隙、粘着剤、剥離剤の寸法等が異なる両面ラベル連続体Lに対しても、各寸法等に対応した本体ローラ42および突出ローラ43を組み合わせることによって、様々な両面ラベル連続体Lに対応することができる。
【0032】
なお、突出ローラ43の径方向外方に突出した長さFは、第一プラテンローラ40と第一サーマルヘッド18に圧接挟持された際の粘着剤52の厚さと略一致としたが、プラテンローラ40とサーマルヘッド18で圧接挟持して、印字を施す際に、本体ローラ42に押圧される部分と略同じ圧力が掛かればよく、突出ローラ43と本体ローラ42の弾性率が異なる等の場合には、特に限定されない。
【0033】
この実施の形態では、各構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施するうえで好適な数、位置、形状等にすることができる。本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。
【符号の説明】
【0034】
1 両面ラベルプリンタ(実施例1、図1
2 ラベル供給部
3 ラベル移送部
4 ラベル検出部
5 ラベル印字部
6 ラベル切断部
7 制御部
8 ラベル供給リール
9 ガイドローラ
10 ラベル幅規制ガイド
11 従動ローラ
12 駆動ローラ
13 発光器
14 受光器
15 第一印字部
16 第二印字部
17 第一プラテンローラ
18 第一サーマルヘッド
19 第二プラテンローラ
20 第二サーマルヘッド
21 上カッタ
22 下カッタ
30 軸
31 本体ローラ
32 突出部
33 押圧スプリング
40 第一プラテンローラ(実施例2 図5
41 軸
42 本体ローラ
43 突出ローラ
50 第一シート
51 第二シート
52 粘着剤
53 剥離剤
54 第一発色層
55 第一基材
56 第二発色層
57 第二基材
58 間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7