(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明のタッチパネルを適用した実施の形態について説明する。
【0032】
<実施の形態1>
図5は実施の形態1のタッチパネルの上部電極基板の構造図であり、
図6は実施の形態1のタッチパネルの下部電極基板における構造図であり、
図7は実施の形態1のタッチパネルの断面図であり、
図8は実施の形態1のタッチパネルの説明図である。
【0033】
実施の形態1のタッチパネルは、フィルム11の一方の面に透明導電膜12が形成された略長方形状の上部電極基板10と、上部電極基板10と略同じ形状のガラス基板21の一方の面に透明導電膜22が形成された下部電極基板20とを含む。
【0034】
また、タッチパネルは、座標検出回路50を有する駆動回路51をさらに含む。なお、
図7に示す座標検出回路50及び駆動回路51は一例であり、座標検出回路50及び駆動回路51の構成は
図7に示すものに限られない。
【0035】
上部電極基板10と下部電極基板20とは、上部電極基板10における透明導電膜12と下部電極基板20における透明導電膜22とが対向するように、スペーサ31等を介し、接着剤または両面テープにより接合されている。
【0036】
上部電極基板10における透明導電膜12は、全体の領域120のうち左側の3/4の領域120Aが短手方向である縦方向に4分割、長手方向である横方向に6分割されて24分割されている。全体の領域120のうち右側の1/4の領域120B内では、透明導電膜12は分割されていない。
【0037】
なお、全体の領域120よりも少し内側に二点鎖線で示す領域は、タッチパネルの下側に設置される液晶パネル等のディスプレイの表示領域を表す。
【0038】
透明導電膜12の各々の導電領域の分割は、導電領域となる領域間の透明導電膜12を除去することにより行われる。これにより、分割された導電領域間では電気的に絶縁することができる。各々の分割された透明導電膜12は、上部電極基板10の短手方向の両端に設けられた引出電極部13における各々の引出電極と接続されており、
引出電極部13は、上部電極基板10の周囲に配線され、上部電極基板10の長手方向の一方の端部においてフレキシブル基板14と接続されている。フレキシブル基板14の端部には、端子15が接続されている。端子15は、座標検出回路50を含む駆動回路51(
図7参照)に接続される。
【0039】
また、下部電極基板20は、
図8に示すように下部電極基板20を構成する4辺の端部において、透明導電膜22上に矩形環状の電極23が設けられている。電極23は、例えば、Ag又はAg−C製の抵抗膜で構成されており、4つの頂点部LL、LR、UL、URには、各頂点部の電位を制御するために引出線が接続されている。この引出線は、下部電極基板20の周囲より引出され、
図6に示すように、下部電極基板20の長手方向の一方の端部においてフレキシブル基板27に接続され、さらにフレキシブル基板27には端子28が接続されている。
【0040】
フレキシブル基板14の端子15とフレキシブル基板27の端子28はともに駆動回路51に接続されており、更に不図示のホストコンピュータに接続されている。尚、透明導電膜12及び透明導電膜22を構成する材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)にAlまたはGa等が添加された材料、SnO
2(酸化スズ)にSb等が添加された材料等が挙げられる。
【0041】
また、フィルム11は、PET(ポリエチレンテレフタレート:polyethylene terephthalate)、PC(ポリカーボネート:Polycarbonate)及び、可視領域において透明の樹脂材料が挙げられる。更に、ガラス基板21に代えて、樹脂基板を用いてもよい。
【0042】
実施の形態1のタッチパネルは、上部電極基板10を指等により押すことにより、上部電極基板10における透明導電膜12と、下部電極基板20における透明導電膜22とが接触し、接触した位置における電圧を検知することにより、上部電極基板10と下部電極基板20との接触位置、即ち、上部電極基板10が指等により押された位置が特定される。具体的には、上部電極基板10において、分割された透明導電膜12の各々について時分割による走査がされており、接触したタイミングにより接触位置が含まれる導電領域を特定することができる。
【0043】
尚、下部電極基板20における透明導電膜22上に設けられた矩形環状の電極23の頂点部LL、LR、UL、URに駆動回路51から印加する電圧を制御することにより、X軸方向、Y軸方向に交互に電圧が印加されるように構成されている。
【0044】
このように、上部電極基板10において透明導電膜12を分割し導電領域を形成することにより、上部電極基板10と下部電極基板20とが接触した接触位置が複数であっても、分割された透明導電膜12の導電領域毎に接触位置を座標検出回路50で特定することができるため、各々の接触位置を独立して検出することが可能である。
【0045】
即ち、
図8に示すように、上部電極基板10における透明導電膜12と下部電極基板20における透明導電膜22との接触位置が、矢印A、B、C、D、Eに示すように5つの場合であっても、各々の接触位置は、分割された透明導電膜12の領域が異なるため、各々独立して接触位置が検出することが可能なのである。具体的には、上部電極基板10と下部電極基板20との接触位置が矢印Aに示す位置である場合、透明導電膜12の導電領域12aにおいて接触しており、接触位置が矢印Bに示す位置である場合、透明導電膜12の導電領域12bにおいて接触しており、接触位置が矢印Cに示す位置である場合、透明導電膜12の導電領域12cにおいて接触しており、接触位置が矢印Dに示す位置である場合、透明導電膜12の導電領域12dにおいて接触しており、接触位置が矢印Eに示す位置である場合、透明導電膜12の導電領域12eにおいて接触しているが、透明導電膜12の導電領域12a、12b、12c、12d、12eは相互に絶縁された異なる領域であることから、各々を独立して検出することができる。よって、上部電極基板10と下部電極基板20との接触位置が5つの場合であっても、各々の接触位置を特定することが可能である。
【0046】
以上より、透明導電膜12と透明導電膜22との接触位置が複数であっても、接触した導電領域を特定することができるとともに、透明導電膜22における電位分布を検出することにより、より正確に座標位置も検出することが可能である。また、透明導電膜12と透明導電膜22との接触位置を移動させた場合においても、接触位置が移動したことを認識することができるとともに、透明導電膜22における電位分布を検出することにより、移動した接触位置の位置座標を検出することも可能である。
【0047】
次に、上部電極基板10における透明導電膜12の導電領域の分割について説明する。実施の形態1では、
図9(a)に示すように、透明導電膜12は、全体の領域120のうち左側の3/4の領域120Aが短手方向である縦方向に4分割、長手方向である横方向に6分割されて24分割されている。全体の領域120のうち右側の1/4の領域120B内では、透明導電膜12は分割されていない。
【0048】
これら分割された領域は、上側の2段と下側の2段に分けられている。
図5に示すように、上側の2段は上端となる短手方向(縦方向)の一方の端部において、引出電極部13における各々の引出電極と接続されており、下側の2段は下端となる短手方向(縦方向)の他方の端部において、引出電極部13における各々の引出電極と接続されている。尚、実施の形態1のタッチパネルは、各々の導電領域が長方形状又は正方形状に形成されており、主に指により操作するものであるため、複数の導電領域うち、最も大きな導電領域における長辺又は一辺の長さは、25mm以下であることが好ましく、より好ましくは20mm以下である。これは、指の太さに基づくものであり、指先と指先とにより複数の接触位置において接触する場合においても、一辺の長さが指先と指先との間隔よりも短ければ、各々の接触位置を独立して検出することが可能であるからである。このため、人間の指先と指先との間隔及び快適となる操作性等を基準として、導電領域の一辺の長さの範囲を定めることができる。また、あまり小さいと後述する引出部の領域が増加し、機能上支障をきたすため、上記観点を踏まえた場合、複数の導電領域うち、最も小さな導電領域における短辺又は一辺の長さは、5mm以上が好ましく、より好ましくは7mm以上である。
【0049】
尚、透明導電膜12において各々の導電領域は、各々の導電領域の周辺部に沿って透明導電膜12を除去することにより形成する。これにより、隣接する導電領域との間において絶縁性を保つことが可能である。
【0050】
透明導電膜12を除去する方法としては、透明導電膜12が除去される領域にレーザ光を照射し、レーザ光の照射された部分の透明導電膜12を熱又はアブレーションにより除去する方法、透明導電膜12上にフォトレジストを塗布し、露光装置により露光、現像を行うことにより導電領域となる領域上にレジストパターンを形成し、ドライエッチング又はウエットエッジングを行うことにより、レジストパターンの形成されていない領域の透明導電膜12を除去する方法、更には、透明導電膜12が除去される領域上にエッチングペーストを印刷等し除去する方法等が挙げられる。好ましくは、レーザ光の照射により透明導電膜12を除去する方法が好ましい。
【0051】
尚、導電領域を形成するために除去される透明導電膜12の幅は、1mm以下であることが好ましい。タッチパネルにおいては、形成される導電領域の幅が広くなると、検出不能領域が多くなってしまい、タッチパネルとしての機能を十分に発揮することができない。よって、タッチパネルに接触が想定されるものが指またはペン等であり、ペン等の先端は半径0.8mm程度であることから、透明導電膜12が除去される領域の幅が1mm以下であれば、タッチパネルとしての機能に支障をきたさないものと考えられるからである。実施の形態1では、よりタッチパネルの視認性を高めるとともに、機能を高めるため透明導電膜12が除去される領域の幅は約100μmで形成されている。
【0052】
実施の形態1のタッチパネルでは、上部電極基板10における透明導電膜12において、導電領域121と導電領域122からなる導電領域のパターンを反転させたパターンが上側にも形成されており、縦方向に並ぶ4つの導電領域のパターンと同様のパターンが横方向に8列形成されている。
【0053】
図9(a)において、破線で囲まれた領域の拡大図を
図9(b)に示す。
図9(b)に示されるように、透明導電膜12の下側において2つに分割されたうちの一方を導電領域121、他方を導電領域122とした場合、他方の導電領域122は、上部電極基板10の長手方向に沿った四辺の1つの辺と接しており、一方の導電領域121は、上部電極基板10の四辺のうち長手方向に沿った辺とは接していない。このため、一方の導電領域121の領域部121aから、上部電極基板10の長手方向に沿った辺の端まで延びる引出部121bを形成し、更に、この辺の端に接する接続部121cを形成する。尚、この引出部121bは、上部電極基板10の長手方向に沿った辺と接する2つの導電領域の間に形成されるものである。即ち、導電領域122と、導電領域122に隣接する辺と接する導電領域の間に形成されるものである。よって、本来は導電領域122となる領域に形成されるものである。このため、接触位置の誤認識を防ぐためにも、引出部121bはできるだけ細く形成することが好ましい。
【0054】
これにより、一方の導電領域121は、接続部121cにおいて引出電極131と接続することができ、他方の導電領域122は、導電領域122における上部電極基板10の辺の端部の近傍において引出電極132と接続することができる。
【0055】
導電領域121の接続部121cと引出電極131とは、接続部121c上に銀ペーストを形成し接続する。同様に、導電領域122と引出電極132とは、上部電極基板10の辺の端部の導電領域122上に銀ペーストを形成し接続する。尚、引出電極131及び132が複数集まることにより、
図5に示す引出電極部13が形成される。
【0056】
以上のように、実施の形態1のタッチパネルでは、透明導電膜12の全体の領域120のうち左側の3/4の領域120Aが縦方向に4分割、横方向に6分割されて24分割され、透明導電膜12の全体の領域120のうち右側の1/4の領域120Bは分割されておらず1つの領域となっている。
【0057】
すなわち、実施の形態1のタッチパネルの透明導電膜12は、左側の3/4の領域120Aが24分割された24個の領域と、右側の1/4の1つの領域120Bとの25個の領域を含む。
【0058】
実施の形態1のタッチパネルは、上部電極基板10において、透明導電膜12に含まれる25個の領域について時分割による走査を行うため、接触したタイミングにより接触位置が含まれる導電領域(25個の領域のいずれかの領域)を特定することができる。
【0059】
具体的には、例えば、
図9に示す透明導電膜12では、領域120A内の24分割された24個の領域の各々と、非分割の領域120Bとの25個の領域の各々を順番に選択して走査を行う時分割による走査を行うことにより、接触位置がいずれの領域に含まれるかを特定し、接触のあった位置の座標を特定することができる。
【0060】
また、上述のように透明導電膜12を25分割した導電領域を形成することにより、上部電極基板10と下部電極基板20とが接触した接触位置が複数であっても、分割された透明導電膜12の導電領域毎に接触位置を特定することができる。
【0061】
このため、複数箇所にタッチが行われた場合でも、各々の接触位置を独立して検出することが可能である。
【0062】
このため、例えば、実施の形態1のタッチパネルをスマートフォンのような携帯端末機に実装する場合に、分割した領域120Aと非分割の領域120Bの下に液晶パネル等のディスプレイを設置することができる。
【0063】
その際には、例えば、分割した領域120A内に、携帯端末機のメモリに格納したデータ(例えば、連絡先のリストや写真等)やネットワークを通じてダウンロードしたデータを表示し、非分割の領域120B内に、GUI(Graphical User Interface)によるボタン等を設置すればよい。
【0064】
携帯端末機のメモリに格納したデータ(例えば、連絡先のリストや写真等)やネットワークを通じてダウンロードしたデータは、例えば、携帯端末機の利用者がスクロールしたり拡大したりしながら見ることができると便利である。
【0065】
このため、複数の接触位置における利用者の入力を受け付けることのできる領域120A内にこれらのデータを表示すれば、利用者が領域120A内でデータのスクロールや拡大等の操作を行うことができる。
【0066】
また、同時に複数の入力が行われないような操作については、非分割の領域120B内にGUIによるボタン(以下、GUIボタンと称す)を表示し、GUIボタンで入力を受け付けるようにすればよい。
【0067】
以上のように領域120Aと領域120Bを使い分ければ、すべての領域(120Aと120Bの合計の領域)を分割しなくても、利用者にとって利便性の高いタッチパネルを提供することができる。
【0068】
<実施の形態2>
実施の形態2のタッチパネルは、上部電極基板の透明導電膜を分割せずに、下部電極基板の透明導電膜を分割する点が実施の形態1と異なる。
【0069】
図10(A)、(B)は、それぞれ、実施の形態2のタッチパネルの上部電極基板と下部電極基板を示す図である。
【0070】
図10(A)に示すように、実施の形態2のタッチパネルの上部電極基板210の透明導電膜212は、分割されておらず、下部電極基板220を構成する4辺の端部において、透明導電膜222上に矩形環状の電極223が設けられている。電極223は、例えば、Ag又はAg−C製の抵抗膜で構成されており、4つの頂点部LL、LR、UL、URには、各頂点部の電位を制御するために引出線が接続されている。
【0071】
図10(B)に示すように、下部電極基板220の透明導電膜222は、実施の形態1の上部電極基板10の透明導電膜12と同様に、25個の領域に分割されている。
【0072】
透明導電膜222の25個に分割された各領域は、下部電極基板220の周囲の配線を介して、下部電極基板220の長手方向の一方の端部においてフレキシブル基板2
24と接続されている。フレキシブル基板2
24の端部には、端子2
25が接続されている。
【0073】
以上のような実施の形態2のタッチパネルにおいても、実施の形態1のタッチパネルと同様に、25個の領域の各々において利用者の接触を検出することができる。また、実施の形態1のタッチパネルと同様に、複数の領域に対して同時に入力が行われた場合にも、複数の領域の各々における接触位置を検出することができる。
【0074】
このため、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、利用者にとって利便性の高いタッチパネルを提供することができる。
【0075】
<実施の形態3>
実施の形態3のタッチパネルは、上部電極基板の透明導電膜の分割の仕方が実施の形態1と異なる。
【0076】
図11は、実施の形態3のタッチパネルの上部電極基板を示す図である。
【0077】
実施の形態3のタッチパネルの上部電極基板310の透明導電膜312は、左側1/4の領域312Aが短辺に沿って4分割されており、右側3/4の領域311Bが非分割の1つの領域として構成されている。
【0078】
実施の形態3のタッチパネルの上部電極基板310は、実施の形態1の下部電極基板20と同一の下部電極基板20(
図6参照)に対向して配置される。
【0079】
このため、領域312A内の4個の領域の各々と、非分割の領域312Bとの5個の領域の各々を順番に選択して走査を行う時分割による走査を行うことにより、接触位置がいずれの領域に含まれるかを特定し、接触のあった位置の座標を特定することができる。
【0080】
また、上部電極基板310と下部電極基板20とが接触した接触位置が複数であっても、分割された透明導電膜312の導電領域毎に接触位置を特定することができる。
【0081】
このため、複数箇所にタッチが行われた場合でも、各々の接触位置を独立して検出することが可能である。
【0082】
このため、例えば、実施の形態3のタッチパネルをスマートフォンのような携帯端末機に実装する場合に、分割した領域312Aと非分割の領域320Bの下に液晶パネル等のディスプレイを設置し、分割した領域
312A内に、携帯端末機のメモリに格納したデータ(例えば、連絡先のリストや写真等)やネットワークを通じてダウンロードしたデータを表示し、非分割の領域312B内に、GUIによるボタン等を設置すればよい。
【0083】
以上のように領域312Aと領域312Bを使い分ければ、すべての領域(312Aと312Bの合計の領域)を分割しなくても、利用者にとって利便性の高いタッチパネルを提供することができる。
【0084】
<実施の形態4>
実施の形態4のタッチパネルは、上部電極基板の透明導電膜の分割の仕方が実施の形態1と異なる。
【0085】
図12は、実施の形態4のタッチパネルの上部電極基板を示す図である。
【0086】
実施の形態4のタッチパネルの上部電極基板410の透明導電膜412は、中心Oから放射状に14分割された領域412A〜412Nを含む。領域412A〜412Nは、引出電極部13を通じてフレキシブル基板14及び端子15(
図5参照)に接続されている。
【0087】
透明導電膜412を中心Oから放射状に分割したのは、一般的に、タッチパネルの周囲の部分よりも中央寄りの部分の方が複数の位置に接触による入力が行われる可能性が高いと考えられるからである。
【0088】
実施の形態4のタッチパネルの上部電極基板410は、実施の形態1の下部電極基板20と同一の下部電極基板20(
図6参照)に対向して配置される。
【0089】
このため、領域412A〜412Nの各々を順番に選択して走査を行う時分割による走査を行うことにより、接触位置がいずれの領域に含まれるかを特定し、接触のあった位置の座標を特定することができる。
【0090】
また、上部電極基板410と下部電極基板20とが接触した接触位置が複数であっても、分割された透明導電膜412の導電領域(412A〜412N)毎に接触位置を特定することができる。
【0091】
このため、複数箇所にタッチが行われた場合でも、各々の接触位置を独立して検出することが可能である。
【0092】
例えば、実施の形態4のタッチパネルをスマートフォンのような携帯端末機に実装する場合に、領域412A〜412Nの下に液晶パネル等のディスプレイを設置し、領域412A〜412N内に、携帯端末機のメモリに格納したデータ(例えば、連絡先のリストや写真等)やネットワークを通じてダウンロードしたデータを表示すれば、複数箇所に接触による入力を独立して検出することのできる利便性の高いタッチパネルを提供することができる。
【0093】
特に、実施の形態4のタッチパネルは、透明導電膜412を中心Oから放射状に分割したので、分割数を少なくすることができ、製造工程を簡略化することができる。
【0094】
<実施の形態5>
実施の形態5のタッチパネルは、上部電極基板の透明導電膜の分割の仕方が実施の形態4と異なる。
【0095】
図13は、実施の形態5のタッチパネルの上部電極基板を示す図である。
【0096】
実施の形態5のタッチパネルの上部電極基板510の透明導電膜512は、全領域のうちの左半分の領域512L内において中心Oから放射状に8分割された領域512A〜512Hと、全領域のうちの右半分の領域512Rとを含む。すなわち、透明電極512は、領域512A〜512Hと領域512Rとの9個の領域を含む。
【0097】
領域512A〜512H、512Rは、それぞれ、引出電極部13を通じてフレキシブル基板14及び端子15(
図5参照)に接続されている。
【0098】
実施の形態5のタッチパネルの上部電極基板510は、実施の形態1の下部電極基板20と同一の下部電極基板20(
図6参照)に対向して配置される。
【0099】
このため、領域512A〜512H、512Rの各々を順番に選択して走査を行う時分割による走査を行うことにより、接触位置がいずれの領域に含まれるかを特定し、接触のあった位置の座標を特定することができる。
【0100】
また、上部電極基板510と下部電極基板20とが接触した接触位置が複数であっても、分割された透明導電膜512の導電領域(512A〜512H、512R)毎に接触位置を特定することができる。
【0101】
従って、複数箇所にタッチが行われた場合でも、各々の接触位置を独立して検出することが可能である。
【0102】
例えば、実施の形態5のタッチパネルをスマートフォンのような携帯端末機に実装する場合に、8分割した領域512Lと非分割の領域512Rの下に液晶パネル等のディスプレイを設置し、8分割した領域512L内に、携帯端末機のメモリに格納したデータ(例えば、連絡先のリストや写真等)やネットワークを通じてダウンロードしたデータを表示し、非分割の領域512R内に、GUIによるボタン等を設置すればよい。
【0103】
以上のように領域512Lと領域512Rを使い分ければ、すべての領域(512Lと512Rの合計の領域)を分割しなくても、利用者にとって利便性の高いタッチパネルを提供することができる。
【0104】
また、実施の形態5のタッチパネルは、透明導電膜512の左半分を中心Oから放射状に分割したので、分割数を少なくすることができ、製造工程を簡略化することができる。
【0105】
<実施の形態6>
実施の形態6のタッチパネルは、上部電極基板の透明導電膜の分割の仕方が実施の形態4と異なる。
【0106】
図14は、実施の形態6のタッチパネルの上部電極基板を示す図である。
【0107】
実施の形態6のタッチパネルの上部電極基板610の透明導電膜612は、四隅のうちの1つ(LR)から放射状に7分割された領域612A〜612Gを含む。領域612A〜612Gは、引出電極部13を通じてフレキシブル基板14及び端子15(
図5参照)に接続されている。
【0108】
このように、透明導電膜612を四隅のうちの1つ(LR)から放射状に分割したのは、例えば、四隅のうちの1つ(LR)に近い領域において、複数の位置への接触による入力が行われる用途に対応したものである。このため、
図14には四隅のうちの1つ(LR:図中の
右下)から放射状に分割した透明導電膜612を示すが、用途に応じて他の隅から放射状に分割するように形状を変更してもよい。
【0109】
実施の形態4のタッチパネルの上部電極基板610は、実施の形態1の下部電極基板20と同一の下部電極基板20(
図6参照)に対向して配置される。
【0110】
このため、領域612A〜612Gの各々を順番に選択して走査を行う時分割による走査を行うことにより、接触位置がいずれの領域に含まれるかを特定し、接触のあった位置の座標を特定することができる。
【0111】
また、上部電極基板610と下部電極基板20とが接触した接触位置が複数であっても、分割された透明導電膜612の導電領域(612A〜612G)毎に接触位置を特定することができる。
【0112】
このため、複数箇所にタッチが行われた場合でも、各々の接触位置を独立して検出することが可能である。
【0113】
例えば、実施の形態6のタッチパネルをスマートフォンのような携帯端末機に実装する場合に、領域612A〜612Gの下に液晶パネル等のディスプレイを設置し、領域612A〜612G内に、携帯端末機のメモリに格納したデータ(例えば、連絡先のリストや写真等)やネットワークを通じてダウンロードしたデータを表示すれば、複数箇所に接触による入力を独立して検出することのできる利便性の高いタッチパネルを提供することができる。
【0114】
特に、実施の形態6のタッチパネルは、透明導電膜612を四隅のうちの1つ(LR)から放射状に分割したので、分割数を少なくすることができ、製造工程を簡略化することができる。
【0115】
<実施の形態7>
実施の形態7のタッチパネルは、上部電極基板の透明導電膜の分割の仕方が実施の形態4と異なる。
【0116】
図15は、実施の形態7のタッチパネルの上部電極基板を示す図である。
【0117】
実施の形態7のタッチパネルの上部電極基板710の透明導電膜712は、矩形状の透明導電膜712の中心Oを含む中央部712Aと、中央部712Aを除いた周囲部712Bとを含む。中央部712Aは、引出部712Cを介して、図中左側の短辺に引き出されている。なお、引出部712Cの幅(引出方向に対する幅)は、約1mm程度にすることが望ましい。引出部712Cの幅が広いと、引出部712Cで位置検出が行われてしまい、周囲部712
Bのうちの引出部712Cに近い領域において、操作性が低下するのを防止するために、引出部712Cにおける位置検出の感度を低下させるためである。
【0118】
中央部712A、周囲部712
Bは、引出電極部13を通じてフレキシブル基板14及び端子15(
図5参照)に接続されている。
【0119】
実施の形態7のタッチパネルの上部電極基板710は、実施の形態1の下部電極基板20と同一の下部電極基板20(
図6参照)に対向して配置される。
【0120】
このため、中央部712A、周囲部
B712の各々を順番に選択して走査を行う時分割による走査を行うことにより、接触位置がいずれの領域に含まれるかを特定し、接触のあった位置の座標を特定することができる。
【0121】
また、上部電極基板710と下部電極基板20とが接触した接触位置が複数であっても、分割された透明導電膜712の導電領域(712A、712B)毎に接触位置を特定することができる。
【0122】
このため、複数箇所にタッチが行われた場合でも、各々の接触位置を独立して検出することが可能である。
【0123】
特に、中央部712Aは透明導電膜712の中心Oを含む中央寄りに位置しているので、実施の形態7のタッチパネルは、例えば、利用者が一本の指(例えば親指)を中央部712Aに接触させるとともに、周囲部712
Bに他の指(例えば人差し指)を接触させ、中央部712Aに接触させた指を軸として、周囲部712
Bに接触させた他の指を回転させるような動作に適している。
【0124】
例えば、実施の形態7のタッチパネルをスマートフォンのような携帯端末機に実装する場合に、領域712A、712B、712Cの下に液晶パネル等のディスプレイを設置し、領域712A、712B、712C内に、携帯端末機のメモリに格納したデータ(例えば、連絡先のリストや写真等)やネットワークを通じてダウンロードしたデータを表示すれば、複数箇所に接触による入力を独立して検出することのできる利便性の高いタッチパネルを提供することができる。
【0125】
<実施の形態8>
図16は実施の形態8のタッチパネルの上部電極基板の構造図であり、
図17は実施の形態8のタッチパネルの下部電極基板における構造図であり、
図18は実施の形態8のタッチパネルの断面図であり、
図19は実施の形態8のタッチパネルの説明図である。
【0126】
実施の形態8のタッチパネル800は、上部電極基板810に形成される透明導電膜812を縦4行×横8列に分割した点と、平面視で外側に位置する導電領域と座標検出回路50との間
の抵抗値と、平面視で
内側に位置する導電領域と座標検出回路50との間の抵抗値とを等しくした点が実施の形態1乃至7のタッチパネルと異なる。
【0127】
その他の構成は実施の形態1乃至7のタッチパネルと同様であるため、同様の構成要素には同一符号を付す。
【0128】
実施の形態8のタッチパネル800は、フィルム811の一方の面に透明導電膜812が形成された略長方形状の上部電極基板810と、上部電極基板810と略同じ形状のガラス基板821の一方の面に透明導電膜822が形成された下部電極基板820とを含む。
【0129】
また、タッチパネル800は、座標検出回路50を有する駆動回路51をさらに含む。
【0130】
上部電極基板810と下部電極基板820とは、上部電極基板810における透明導電膜812と下部電極基板820における透明導電膜822とが対向するように、スペーサ31等を介し、接着剤または両面テープにより接合されている。
【0131】
上部電極基板810における透明導電膜812は、短手方向である縦方向に4分割、長手方向である横方向に8分割されて32分割されている。
【0132】
なお、引出電極部813よりも少し内側に二点鎖線で示す領域は、タッチパネルの下側に設置される液晶パネル等のディスプレイの表示領域を表す。
【0133】
透明導電膜812の各々の導電領域の分割は、導電領域となる領域間の透明導電膜812を除去することにより行われる。これにより、分割された導電領域間では電気的に絶縁することができる。各々の分割された透明導電膜812は、上部電極基板810の短手方向の両端に設けられた引出電極部813における各々の引出電極と接続されており、
引出電極部813は、上部電極基板810の周囲に配線され、上部電極基板810の長手方向の一方の端部においてフレキシブル基板14と接続されている。フレキシブル基板14の端部には、端子15が接続されている。端子15は、座標検出回路50を含む駆動回路51(
図18参照)に接続される。
【0134】
また、下部電極基板820は、
図19に示すように下部電極基板820を構成する4辺の端部において、透明導電膜822上に矩形環状の電極823が設けられている。電極823は、例えば、Ag又はAg−C製の抵抗膜で構成されており、4つの頂点部LL、LR、UL、URには、各頂点部の電位を制御するために引出線が接続されている。この引出線は、下部電極基板820の周囲より引出され、
図17に示すように、下部電極基板820の長手方向の一方の端部においてフレキシブル基板27に接続され、さらにフレキシブル基板27には端子28が接続されている。
【0135】
フレキシブル基板14の端子15とフレキシブル基板27の端子28はともに駆動回路51に接続されており、更に不図示のホストコンピュータに接続されている。尚、透明導電膜812及び透明導電膜822を構成する材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)にAlまたはGa等が添加された材料、SnO
2(酸化スズ)にSb等が添加された材料等が挙げられる。
【0136】
また、フィルム811は、PET(ポリエチレンテレフタレート:polyethylene terephthalate)、PC(ポリカーボネート:Polycarbonate)及び、可視領域において透明の樹脂材料が挙げられる。更に、ガラス基板821に代えて、樹脂基板を用いてもよい。
【0137】
実施の形態8のタッチパネルは、上部電極基板810を指等により押すことにより、上部電極基板810における透明導電膜812と、下部電極基板820における透明導電膜822とが接触し、接触した位置における電圧を検知することにより、上部電極基板810と下部電極基板820との接触位置、即ち、上部電極基板810が指等により押された位置が特定される。具体的には、上部電極基板810において、分割された透明導電膜812の各々について時分割による走査がされており、接触したタイミングにより接触位置が含まれる導電領域を特定することができる。
【0138】
尚、下部電極基板820における透明導電膜822上に設けられた矩形環状の電極823の頂点部LL、LR、UL、URに駆動回路51から印加する電圧を制御することにより、X軸方向、Y軸方向に交互に電圧が印加されるように構成されている。
【0139】
このように、上部電極基板810において透明導電膜812を分割し導電領域を形成することにより、上部電極基板810と下部電極基板820とが接触した接触位置が複数であっても、分割された透明導電膜812の導電領域毎に接触位置を座標検出回路50で特定することができるため、各々の接触位置を独立して検出することが可能である。
【0140】
即ち、
図19に示すように、上部電極基板810における透明導電膜812と下部電極基板820における透明導電膜822との接触位置が、矢印A、B、C、D、Eに示すように5つの場合であっても、各々の接触位置は、分割された透明導電膜812の領域が異なるため、各々独立して接触位置が検出することが可能なのである。具体的には、上部電極基板810と下部電極基板820との接触位置が矢印Aに示す位置である場合、透明導電膜812の導電領域812aにおいて接触しており、接触位置が矢印Bに示す位置である場合、透明導電膜812の導電領域812bにおいて接触しており、接触位置が矢印Cに示す位置である場合、透明導電膜812の導電領域812cにおいて接触しており、接触位置が矢印Dに示す位置である場合、透明導電膜812の導電領域812dにおいて接触しており、接触位置が矢印Eに示す位置である場合、透明導電膜812の導電領域812eにおいて接触しているが、透明導電膜812の導電領域812a、812b、812c、812d、812eは相互に絶縁された異なる領域であることから、各々を独立して検出することができる。よって、上部電極基板810と下部電極基板820との接触位置が5つの場合であっても、各々の接触位置を特定することが可能である。
【0141】
以上より、透明導電膜812と透明導電膜822との接触位置が複数であっても、接触した導電領域を特定することができるとともに、透明導電膜822における電位分布を検出することにより、より正確に座標位置も検出することが可能である。また、透明導電膜812と透明導電膜822との接触位置を移動させた場合においても、接触位置が移動したことを認識することができるとともに、透明導電膜822における電位分布を検出することにより、移動した接触位置の位置座標を検出することも可能である。
【0142】
図20は、実施の形態8のタッチパネル800の上部電極基板810の透明導電膜812の一部分(
図16に4行8列示すうちの3列分)と引出電極部813を示す図である。説明の便宜上、
図20には3列分の12個の導電領域を示すが、ここでは、
図16に示すように32個の導電領域が透明導電膜812に形成されているものとして説明を行う。
【0143】
透明導電膜812に形成される複数の導電領域は、平面視で外側に位置する16個の導電領域821と、平面視で内側に位置する16個の導電領域822とに分けられる。
【0144】
導電領域821は、上部電極基板810の長手方向に沿った二辺のうちの一辺と接しており、導電領域822は、上部電極基板810の四辺のうち長手方向に沿った辺とは接していない。このため、引出電極部813との位置関係では、導電領域821は平面視で外側に位置しており、導電領域822は平面視で内側に位置している。
【0145】
導電領域822の領域部822aから、上部電極基板810の長手方向に沿った辺の端まで延びる引出部822bを形成し、更に、この辺の端に接する接続部822cを形成する。引出部822bは、上部電極基板810の長手方向に沿った辺と接する2つの導電領域821の間に形成されるものである。このため、接触位置の誤認識を防ぐためにも、引出部822bはできるだけ細く形成することが好ましい。
【0146】
また、導電領域821は、領域部821a及び迂回部821bを有する。迂回部821bは、引出電極部813Aと接続するための接続部であり、切り込み部821c、821dを形成することによってコの字型に迂回している。迂回部821bは、線路長を長くするとともに線路幅を細くして抵抗値を増大させてある。
【0147】
このようにして、タッチパネル800の透明導電膜812は、平面視で外側に位置する導電領域821と座標検出回路50との間の抵抗値と、平面視で内側に位置する導電領域822と座標検出回路50との間の抵抗値とが等しくなるように構成されている。
【0148】
なお、導電領域821は実際には
図16に示すように8列形成されており、各導電領域821と、端子15との間を接続する引出電極部813Aの長さは異なる。このため、引出電極部813Aの長さによる抵抗値の違いが問題になる場合は、引出電極部813Aの長さが長い導電領域821ほど迂回部821bの抵抗値を小さくし、引出電極部813Aの長さが短い導電領域821ほど迂回部821bの抵抗値を大きくしてもよい。このようにすれば、引出電極部813Aの長さの違いによる抵抗値の違いを相殺することができる。
【0149】
迂回部821bを含まない場合は、平面視で外側に位置する導電領域821と座標検出回路50との間の抵抗値と、平面視で内側に位置する導電領域822と座標検出回路50との間の抵抗値とが異なる。例えば、迂回部821bを含まない場合は、導電領域821と座標検出回路50との間の抵抗値は、導電領域822と座標検出回路50との間の抵抗値よりも、数百Ωから数キロΩ小さい。
【0150】
このため、迂回部821bを含まない場合は、導電領域822から座標検出回路50に入力される信号の波形は、導電領域821からから座標検出回路50に入力される信号の波形に比べて鈍る。
【0151】
従って、迂回部821bを含まない場合は、駆動回路51内のノイズフィルタ等を導電領域821と導電領域822とで別々に用意する必要があり、ノイズフィルタ等の回路点数が増える。
【0152】
これに対して、実施の形態8によれば、平面視で外側に位置する導電領域821と座標検出回路50との間の抵抗値と、平面視で内側に位置する導電領域822と座標検出回路50との間の抵抗値とが等しいため、導電領域821と導電領域822とに接続されるフィルタ回路等を共通化でき、回路の簡素化を図ることができる。
【0153】
なお、ここでは、迂回部821bを形成することにより、平面視で外側に位置する導電領域821と座標検出回路50との間の抵抗値と、平面視で内側に位置する導電領域822と座標検出回路50との間の抵抗値とを等しくする形態について説明した。
【0154】
しかしながら、抵抗値の調整はこのような手法に限定されない。例えば、迂回部821bを形成する代わりに、あるいは、迂回部821bに加えて、引出電極部813Aの抵抗値を引出電極部813Bの抵抗値よりも高く設定することにより、平面視で外側に位置する導電領域821と座標検出回路50との間の抵抗値と、平面視で内側に位置する導電領域822と座標検出回路50との間の抵抗値とを等しくしてもよい。
【0155】
引出電極部813Aと引出電極部813Bは、例えば、銀ペーストを印刷することによって形成されるため、引出電極部813Aを印刷する工程と、引出電極部813Bを印刷する工程を別々の工程にし、引出電極部813Aを形成する銀ペーストとして、引出電極部813Bを形成する銀ペーストよりも抵抗値の高いものを選べばよい。
【0156】
なお、引出電極部813Aの長さによる抵抗値の違いが問題になる場合は、例えば、引出電極部813Aの長さが長いほど引出電極部813Aを形成する銀ペーストの抵抗率を小さくし、引出電極部813Aの長さが短いほど引出電極部813Bを形成する銀ペーストの抵抗値を大きくしてもよい。
【0157】
また、導電領域821に接続される引出電極部813Bについても同様に抵抗値の調整を行ってもよい。
【0158】
また、抵抗値の調整は、
図21に示すように、導電領域821に接続される引出電極部813Aの線幅を、導電領域822に接続される引出電極部813Bよりも細くすることによって行ってもよい。
図21に示すように引出電極部813A、813Bの線幅による抵抗値の調整は、迂回部821bを形成する代わりに、あるいは、迂回部821bに加えて行えばよい。
【0159】
このうち、迂回部821bを形成する代わりに行う場合は、導電領域821が迂回部821bを含まずに、引出電極部813Aの線幅を、導電領域822に接続される引出電極部813Bよりも細くすることにより、平面視で外側に位置する導電領域821と座標検出回路50との間の抵抗値と、平面視で内側に位置する導電領域822と座標検出回路50との間の抵抗値とを等しくすればよい。
【0160】
なお、引出電極部813Aの長さによる抵抗値の違いが問題になる場合は、例えば、引出電極部813Aの長さが長いほど引出電極部813Aの線幅を広くし、引出電極部813Aの長さが短いほど引出電極部813Bの線幅の狭くしてもよい。
【0161】
また、導電領域821に接続される引出電極部813Bについても同様に抵抗値の調整を行ってもよい。
【0162】
また、抵抗値の調整は、
図22に示すように、導電領域821に接続される引出電極部813Aに迂回部813Cを挿入することによって行ってもよい。
【0163】
図22に示すように引出電極部813Aに迂回部813Cを挿入することによる抵抗値の調整は、迂回部821bを形成する代わりに、あるいは、迂回部821bに加えて行えばよい。
【0164】
このうち、迂回部821bを形成する代わりに行う場合は、導電領域821が迂回部821bを含まずに、引出電極部813Aに迂回部813Cを挿入することにより、平面視で外側に位置する導電領域821と座標検出回路50との間の抵抗値と、平面視で内側に位置する導電領域822と座標検出回路50との間の抵抗値とを等しくすればよい。
【0165】
なお、引出電極部813Aの長さによる抵抗値の違いが問題になる場合は、例えば、引出電極部813Aの長さが長いほど迂回部813Cの抵抗値を小さくし、引出電極部813Aの長さが短いほど迂回部813Cの抵抗値を大きくしてもよい。
【0166】
また、導電領域821に接続される引出電極部813Bについても同様に抵抗値の調整を行ってもよい。
【0167】
また、抵抗値の調整は、
図23に示すように、端子15の配線部分に抵抗器15Cを挿入することによって行ってもよい。
図23(A)は実施の形態8の変形例によるタッチパネルの上部電極基板の構造図であり、
図23(B)は
図23(A)の端子15を拡大して示す図である。
【0168】
図23に示す配線15Aは導電領域821に接続されており、配線15Bは導電領域822に接続されている。配線15Aには、抵抗調整用の抵抗器15Cが挿入されている。
【0169】
図23に示すように端子15の配線部分に抵抗器15Cを挿入することによる抵抗値の調整は、迂回部821bを形成する代わりに、あるいは、迂回部821bに加えて行えばよい。
【0170】
このうち、迂回部821bを形成する代わりに行う場合は、導電領域821が迂回部821bを含まずに、端子15の配線部分に抵抗器15Cを挿入することにより、平面視で外側に位置する導電領域821と座標検出回路50との間の抵抗値と、平面視で内側に位置する導電領域822と座標検出回路50との間の抵抗値とを等しくすればよい。
【0171】
なお、引出電極部813Aの長さによる抵抗値の違いが問題になる場合は、例えば、引出電極部813Aの長さが長いほど抵抗器15Cの抵抗値を小さくし、引出電極部813Aの長さが短いほど抵抗器15Cの抵抗値を大きくしてもよい。
【0172】
また、導電領域821に接続される引出電極部813Bについても同様に抵抗値の調整を行ってもよい。
【0173】
なお、端子15の配線部分に抵抗器15Cを挿入する代わりに、座標検出回路50内に
抵抗器15Cを挿入することによって、
図23に示す抵抗値の調整と同様に抵抗値を調整してもよい。
【0174】
<実施の形態9>
図24は、実施の形態9のタッチパネル900の上部電極基板の透明導電膜912に形成される導電領域921、922、923の配列を示す図である。
【0175】
図24に示すように、実施の形態9のタッチパネル900の上部電極基板の透明導電膜912には、6行8列で48個の導電領域921、922、923が透明導電膜912に形成されている。なお、
図24には説明の便宜上、引出電極部913の一本一本の幅を拡大して示すが、実際には
図23に示す引出電極部813と同様に、すべての引出電極部913が48個の導電領域921、922、923の周囲の幅の狭い領域に形成される。
【0176】
透明導電膜912に形成される複数の導電領域は、平面視で外側に位置する16個の導電領域921と、平面視で内側に位置する16個の導電領域922と、平面視で内側に位置する16個の導電領域923とに分けられる。導電領域922は、実施の形態8の導電領域822と同様に、平面視で内側に位置する導電領域であるが、実施の形態9では導電領域922よりもさらに内側に位置する導電領域923が形成されている。
【0177】
導電領域921は、上部電極基板910の長手方向に沿った二辺のうちの一辺と接しており、導電領域922、923は、上部電極基板910の四辺のうち長手方向に沿った辺とは接していない。このため、引出電極部913との位置関係では、導電領域921は平面視で外側に位置しており、導電領域922、923は平面視で内側に位置している。
【0178】
また、導電領域923は、導電領域922よりもさらに内側に位置している。
【0179】
導電領域922の領域部922aから、上部電極基板910の長手方向に沿った辺の端まで延びる引出部922bを形成し、更に、この辺の端に接する接続部922cを形成する。引出部922bは、接触位置の誤認識を防ぐためにも、できるだけ細く形成することが好ましい。
【0180】
同様に、導電領域923の領域部923aから、上部電極基板910の長手方向に沿った辺の端まで延びる引出部923bを形成し、更に、この辺の端に接する接続部923cを形成する。
【0181】
引出部923bは、接触位置の誤認識を防ぐためにも、できるだけ細く形成することが好ましいが、実施の形態9では、引出部923bの幅Bは、引出部922bの幅Aよりも広く設定されている。これは、導電領域923と座標検出回路50との間の抵抗値と、導電領域922と座標検出回路50との間の抵抗値とを等しくするためである。
【0182】
また、導電領域921は、領域部921a及び迂回部921bを有する。迂回部921bは、引出電極部913Aと接続するための接続部であり、切り込み部921c、921dを形成することによってコの字型に迂回している。迂回部921bは、線路長を長くするとともに線路幅を細くして抵抗値を増大させてある。
【0183】
迂回部921bの抵抗値は、引出部922b及び接続部922cの合成抵抗値と、引出部923b及び接続部923cの合成抵抗値と等しくなるように設定されている。
【0184】
以上のようにして、タッチパネル900の透明導電膜912は、平面視で外側に位置する導電領域921及び座標検出回路50の間の抵抗値と、平面視で内側に位置する導電領域922及び座標検出回路50の間の抵抗値と、平面視でさらに内側に位置する導電領域923及び座標検出回路50の間の抵抗値とがすべて等しくなるように構成されている。
【0185】
従って、実施の形態9によれば、平面視で外側に位置する導電領域921及び座標検出回路50の間の抵抗値と、平面視で内側に位置する導電領域922及び座標検出回路50の間の抵抗値と、平面視でさらに内側に位置する導電領域923及び座標検出回路50の間の抵抗値とがすべて等しいため、導電領域921、922、923に接続されるフィルタ回路等を共通化でき、回路の簡素化を図ることができる。
【0186】
なお、導電領域921は
図24に示すように8列形成されており、各導電領域921と、端子15との間を接続する引出電極部913Aの長さは異なる。このため、引出電極部913Aの長さによる抵抗値の違いが問題になる場合は、引出電極部913Aの長さが長い導電領域921ほど迂回部921bの抵抗値を小さくし、引出電極部913Aの長さが短い導電領域921ほど迂回部921bの抵抗値を大きくしてもよい。
【0187】
また、導電領域922、923に接続される引出電極部913B、913Cについても同様に抵抗値の調整を行ってもよい。
【0188】
また、上述のように、迂回部921b、引出部922b及び接続部922c、引出部923b及び接続部923cの抵抗値を調整することに代えて、あるいは、加えて、実施の形態8のタッチパネル800と同様に、引出電極部913A、913B、913Cを構成する銀ペーストの抵抗率や、線幅又は線長を調整することによって抵抗値の調整を行ってもよい。
【0189】
また、端子15又は座標検出回路に抵抗器を挿入することによって、抵抗値を調整してもよい。
【0190】
以上、本発明の例示的な実施の形態のタッチパネルについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。