(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
役物装置の内部を経て排出された遊技球が通過可能な始動領域を備え、遊技球の前記始動領域の通過を契機として遊技者に有利な遊技状態を生起させるか否かの抽選を行い、当該抽選の結果、当選した場合に前記遊技者に有利な遊技状態を生起する遊技機であって、
打ち出された遊技球が流下する遊技領域が設けられた遊技盤と、
前記遊技領域に設けられ、内部領域と外部領域とを隔てる外周壁と、常時、遊技球が前記内部領域へと流入可能な開状態にある開口部と、前記開口部を介して前記内部領域に流入した遊技球を、前記外部領域における、遊技球が前記始動領域を通過する可能性の比較的高い領域と遊技球が前記始動領域を通過する可能性の比較的低い領域とのいずれか一方の領域へと機械的に誘導する遊技球誘導部とを備える役物装置と、
遊技球の前記開口部の通過を検出する通過検出手段と、
当該遊技機に発生する振動を検出する振動検出手段と、
遊技球の前記開口部の通過を検出したことに応じて前記役物装置に発生する振動の監視を開始し、振動の監視中に、前記振動検出手段で検出した振動の状態が予め設定された不正振動検出条件に合致したと判定すると、不正な振動の検出状態を示す不正振動検出情報を出力する振動監視手段と、を備え、
前記振動監視手段は、前記振動の監視を開始してからの経過時間が予め設定された、遊技球が前記開口部を通過してから前記始動領域を通過するまでに必要な最長時間である振動監視有効時間を経過したと判定すると、前記振動の監視を終了し、遊技球の前記開口部の通過を検出してから前記振動監視有効時間の経過後に、遊技球が前記始動領域を通過したと判定すると、前記役物装置の内部に遊技球を不正に滞在させる状態の発生を示す不正滞在情報を出力することを特徴とする遊技機。
前記振動監視手段は、前記振動監視有効時間内において、前記通過検出手段が遊技球の前記開口部の通過を検出する毎に、前記振動の監視を開始してからの経過時間の計測を初期値から実行することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1〜
図9は、本発明に係る遊技機の実施形態を示す図である。
本実施形態は、本発明に係る遊技機を、
図1に示すように、パチンコ機に適用したものである。
(遊技盤面の構成)
まず、パチンコ機1における遊技盤面10の構成を説明する。
図1は、遊技盤面の正面部、特に説明に必要な部分を模式的に示した図である。
図1に示すように、遊技盤面10には、遊技球(
図2、
図3に示す「P」)の発射路20を構成する外レール21及び内レール22が設けられている。遊技盤面10では、外レール21及び内レール22によって囲まれた円形状の領域が、遊技球Pを転動させる遊技領域30となっている。
【0019】
遊技領域30の中央部には、役物装置100が配設されている。役物装置100の内側には、中央転動経路31が形成されている。また、遊技領域30には、役物装置100の左側に左側転動経路32が形成され、役物装置100の右側に右側転動経路33が形成されている。
役物装置100の下方には、第一始動入賞口210が配設されている。第一始動入賞口210は、上向きに開口した入賞口(いわゆるヘソ)であり、常時、遊技球Pが入賞可能な状態となっている。
【0020】
第一始動入賞口210に入賞した遊技球は、所定領域(図示せず)に誘導される。この所定領域には、始動入賞口スイッチ310(
図5参照)が配設されている。始動入賞口スイッチ310は、遊技球Pの通過を検出して、検出信号を後述する主制御装置400に対して出力する。そして、主制御装置400は、始動入賞口スイッチ310からの検出信号が入力されることに応じて、特別図柄抽選を実行する。
【0021】
本実施形態において、入賞口に遊技球Pが入賞するとは、遊技球Pが入賞口を通過すると共に、遊技球Pの通過を検出するスイッチの設けられた領域を通過することと同義である。例えば、第一始動入賞口210の場合は、遊技球Pが第一始動入賞口210を通過すると共に、所定領域を通過することと同義である。このことは、以下に説明する第二始動入賞口220、大入賞口240、各種一般入賞口250a,250b,260a,260bについても同様である。
【0022】
右側転動経路33における役物装置100の右方には、始動ゲート230が設けられている。始動ゲート230は、常時、遊技球Pが通過可能な状態となっている。始動ゲート230の内部には、始動ゲートスイッチ311(
図5参照)が配設されている。始動ゲートスイッチ311は、始動ゲート230への遊技球Pの通過を検出して、検出信号を主制御装置400に対して出力する。そして、主制御装置400は、始動ゲートスイッチ311からの検出信号が入力されることに応じて、普通図柄抽選を実行する。
【0023】
右側転動経路33における始動ゲート230の下方には、第二始動入賞口220が配設されている。第二始動入賞口220は、開閉部材221を有する可変入賞口となっている。開閉部材221は、始動入賞口ソレノイド320(
図5参照)によって開閉される。
第二始動入賞口220は、通常時は、開閉部材221が閉止状態となり、遊技球Pが入賞することができない状態となっている。そして、第二始動入賞口220は、普通図柄抽選に当選した場合に、開閉部材221が所定パターンで開放状態となり、遊技球Pが入賞可能な状態となる。
【0024】
第二始動入賞口220に入賞した遊技球は、第一始動入賞口210に入賞した遊技球と同様に、所定領域に誘導される。そして、第二始動入賞口220に入賞した遊技球は、所定領域に配設されている始動入賞口スイッチ310によって検出され、特別図柄抽選の契機を与える。すなわち、本実施形態では、始動入賞口スイッチ310は、第一始動入賞口210への遊技球Pの入賞及び第二始動入賞口220への遊技球Pの入賞を検出して、特別図柄抽選の契機を与える。なお、第一始動入賞口210への遊技球Pの入賞を検出するスイッチ及び第二始動入賞口220への遊技球Pの入賞を検出するスイッチを、それぞれ別個に設けて、それぞれのスイッチによる遊技球Pの検出に応じて抽選を実行する構成としても構わない。
【0025】
右側転動経路33における第二始動入賞口220の下方には、大入賞口240が配設されている。大入賞口240は、開閉部材241を有する可変入賞口となっている。開閉部材241は、大入賞口ソレノイド321(
図5参照)によって開閉される。
大入賞口240は、通常時は、開閉部材241が閉止状態となり、遊技球Pが入賞することができない状態となっている。そして、大入賞口240は、特別図柄抽選に当選して特賞状態が生起された場合に、開閉部材241が所定パターンで開放状態となり、遊技球Pが入賞可能な状態となる。
【0026】
パチンコ機1の内部には、大入賞口スイッチ313(
図5参照)が配設されている。大入賞口スイッチ313は、大入賞口240への遊技球Pの入賞を検出して、検出信号を主制御装置400に対して出力する。そして、主制御装置400は、大入賞口スイッチ313からの検出信号が入力されることに応じて、賞球を払い出すための処理を実行する。これにより、大入賞口240に入賞した遊技球Pの数に応じた数の賞球が払い出される。
【0027】
第一始動入賞口210の左方には、左中一般入賞口250a及び左下一般入賞口250bが配設されている。また、第一始動入賞口210の右方には、右中一般入賞口260a及び右下一般入賞口260bが配設されている。左中一般入賞口250a、左下一般入賞口250b、右中一般入賞口260a及び右下一般入賞口260bは、それぞれ、上向きに開口した入賞口であり、常時、遊技球Pが入賞可能な状態となっている。
【0028】
パチンコ機1の内部には、左一般入賞口スイッチ314(
図5参照)及び右一般入賞口スイッチ315(
図5参照)が配設されている。左一般入賞口スイッチ314は、左中一般入賞口250a及び左下一般入賞口250bへの遊技球Pの入賞を検出して、検出信号を主制御装置400に対して出力する。右一般入賞口スイッチ315は、右中一般入賞口260a及び右下一般入賞口260bへの遊技球Pの入賞を検出して、検出信号を主制御装置400に対して出力する。そして、主制御装置400は、左一般入賞口スイッチ314及び右一般入賞口スイッチ315のそれぞれからの検出信号が入力されることに応じて、賞球を払い出すための処理を実行する。
【0029】
第一始動入賞口210の下方であって遊技領域30の最下方には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球Pを回収するためのアウト口270が設けられている。
役物装置100の左方には、パチンコ機1の遊技状態を表示する遊技状態表示装置280が配設されている。遊技状態表示装置280は、LEDランプ、7セグメントLED、ドットマトリクスLED等によって構成される。遊技状態表示装置280は、特別図柄表示部281と、普通図柄表示部282と、を有している。
【0030】
特別図柄表示部281は、数字や図柄等からなる特別図柄の変動表示及び停止表示を行うことが可能となっている。特別図柄表示部281では、特別図柄抽選が実行された場合に、特別図柄の変動表示が行われ、その後、当該特別図柄抽選の結果に応じた態様による特別図柄の停止表示が行われる。
普通図柄表示部282は、数字や図柄等からなる普通図柄の変動表示及び停止表示を行うことが可能となっている。普通図柄表示部282では、普通図柄抽選が実行された場合に、普通図柄の変動表示が行われ、その後、当該普通図柄抽選の結果に応じた態様による普通図柄の停止表示が行われる。
【0031】
また、遊技状態表示装置280には、特賞状態が生起されていること、当該特賞状態のラウンド数、特別図柄抽選の保留数、普通図柄抽選の保留数、時短状態が生起されていること、当該時短状態の時短回数等が表示される。
ここで、特別図柄抽選の保留数とは、連続して特別図柄及び数字及び図柄を含む演出図柄の変動表示を行うことが可能な回数である。また、普通図柄抽選の保留数とは、連続して普通図柄の変動表示を行うことが可能な回数である。
【0032】
また、時短状態とは、普通図柄抽選の当選確率が、通常時と比較して高確率(例えば、10倍)になるとともに、第二始動入賞口220の開閉部材221が開放状態となる時間が、通常時と比較して延長される状態をいう。時短状態は、所定の特賞状態の終了後に生起される。時短状態は、特別図柄抽選が設定された回数(時短回数)行われるか、新たに特賞状態が生起されるまで継続する。また、時短状態が生起中は、普通図柄の変動時間が通常時と比較して短くなる。
【0033】
パチンコ機1には、遊技者による操作に応じて、遊技球Pを発射することが可能な発射装置(図示せず)が配設されている。そして、発射装置によって発射された遊技球は、発射路20を介して、遊技領域30に打ち出される。
遊技領域30に打ち出された遊技球は、中央転動経路31、左側転動経路32及び右側転動経路33のうちいずれかの転動経路を、下方に向かって転動する。
【0034】
ここで、第一始動入賞口210は、遊技領域30に打ち出された遊技球Pのうち、役物装置100の内側に構成された中央転動経路31を通過した遊技球Pのみが入賞可能となるように配設されている。また、第二始動入賞口220、始動ゲート230及び大入賞口240は、それぞれ、遊技領域30に打ち出された遊技球Pのうち、右側転動経路33を通過した遊技球Pのみが入賞または通過可能となるように配設されている。
なお、遊技領域30には、第一始動入賞口210、第二始動入賞口220、始動ゲート230、大入賞口240等に向かって遊技球Pを導くように、複数の釘nが配設されている。
【0035】
(役物装置の構成)
次に、役物装置100の構成を説明する。
図2は、役物装置が備える遊技球搬送装置及び振分装置の斜視図である。
図3は、役物装置が備える遊技球搬送装置の正面図である。
図4は、
図3に示す遊技球搬送装置の背面図である。
図1に示すように、役物装置100は、外周壁101と、外周壁101の内側に形成された中央転動経路31と、遊技球Pを中央転動経路31へ流入させる流入口102と、中央転動経路31を通過した遊技球Pを排出する排出口103と、を有している。
流入口102は、左上方に向かって開口しており、常時、この開口部を介して遊技球Pが役物装置100の内部へと流入可能な状態となっている。排出口103は、下方に向かって開口しており、常時、役物装置100の内部を経た遊技球Pを排出可能な状態となっている。
【0036】
役物装置100は、流入口102以外の部分から、中央転動経路31へ遊技球Pが流入することがないように構成されている。また、役物装置100は、排出口103以外の部分から、遊技球Pが排出されることがないように構成されている。また、役物装置100の正面側は、透明な板材(図示せず)によって覆われている。
役物装置100は、遊技球搬送装置110と、遊技球搬送装置110の下流側に配設された振分装置150と、を有している。遊技球搬送装置110及び振分装置150は、中央転動経路31に配設されている。そして、役物装置100では、遊技球搬送装置110による遊技球Pの搬送経路が、中央転動経路31の一部を構成している。
【0037】
図1及び
図2に示すように、遊技球搬送装置110は、第一可動部120と、第一可動部120の下流側に配設された遊技球転動部130と、遊技球転動部130の下流側に配設された第二可動部140と、を有している。また、遊技球搬送装置110は、第一可動部120及び第二可動部140を駆動する駆動部160を有している。
図2及び
図3に示すように、第一可動部120は、流入口102から流入した遊技球Pが落下する落下通路121と、落下通路121の下流側に配設された周壁122と、周壁122の内側に配設された回転部材123と、を有している。
落下通路121は、上下方向(
図1に示す上下方向)に沿って延びるように構成されている。流入口102から流入した遊技球は、全て、落下通路121に誘導される。
【0038】
周壁122は、落下通路121の左側下端部及び右側下端部からそれぞれ平面視で円弧を描いて下方に伸びる壁体である。この左側及び右側下端部からそれぞれ伸びる円弧形状の壁は、平面視で双方によって円を描くように形成されており、双方の壁体の先端(下端)部が、落下通路121の通路幅と同幅の間隙を挟んで対向するように形成されている。周壁122の、落下通路121の左側下端部及び右側下端部と周壁122の上端部との接続部は、落下通路121を落下してきた遊技球Pを周壁122の内側に受け入れるための受入口122aを形成している。また、上記壁体の左右先端部間に形成された間隙は、周壁122の内側に受け入れた遊技球Pを周壁122の外側に排出するための排出口122bを形成している。また、遊技球搬送装置110における、上記円弧形状の壁体の略円中心の位置に、前後方向(
図1における奥行き方向)に貫通する軸穴122cが形成されている。
【0039】
回転部材123は、前後方向に延在し、円柱の外周面を均等な間隔で3箇所、平面視で円弧状に窪ませた形状に形成されている。また、窪ませた箇所以外の外周部は、窪ませた部分との隣接部の一方から他方に向かって(3箇所全て同じ方向に向かって)平面視で外側に徐々に迫り出していく曲線形状に形成されている。回転部材123には、回転軸123aが中心軸に沿って前後方向に延びるように形成されている。回転部材123は、回転軸123aを軸穴122cに回転可能に嵌合することによって軸回りに回転することが可能となっている。
【0040】
回転部材123の外周面の後方側には、遊技球Pを保持するための保持凹部123bが上記窪ませた箇所に沿って設けられている。各保持凹部123bは、遊技球Pを収容することが可能となるようにU字形のポケット形状に形成されている。本実施形態では、回転部材123の外周面には、窪み部分に合わせて3つの保持凹部123bが設けられている。3つの保持凹部123bは、回転部材123の外周面において、均等な間隔で設けられている。また、回転部材123の外周面における保持凹部123bが設けられていない部分は、遊技球Pが周壁122の内側に流入することを阻止する阻止部123cとなっている。
【0041】
第一可動部120は、周壁122の内側において回転する回転部材123によって、遊技球Pを搬送することが可能となっている。
具体的には、第一可動部120は、落下通路121を落下してきた遊技球Pを、回転部材123の保持凹部123bに収容する。ここで、第一可動部120では、回転部材123の阻止部123cのいずれかが周壁122の受入口122aの位置に回動した際には、遊技球Pが周壁122の内側に進入できない状態となる。このことは、回転部材123の阻止部123cの一部分が受入口122aの位置にあった場合でも同じである。一方、第一可動部120では、回転部材123の保持凹部123bのいずれかが周壁122の受入口122aの位置に回動した際には、遊技球Pが周壁122の内側(保持凹部123b)に進入できる状態となる。但し、保持凹部123bの全体が、受入口122aの位置に回動した状態となる必要がある。
【0042】
そして、第一可動部120は、回転部材123を回転軸123aの軸回りに回動させることによって、周壁122の内周面と保持凹部123bとの間に遊技球Pを保持した状態で、遊技球Pを下方に向かって搬送する。
さらに、第一可動部120は、遊技球Pを保持している保持凹部123bが周壁122の排出口122bの位置に回動することによって、遊技球Pの保持が解除される。これによって、第一可動部120は、周壁122の内周面と保持凹部123bとの間に保持していた遊技球Pを、周壁122の排出口122bから下方に向かって排出する。
【0043】
遊技球転動部130は、遊技球Pを一時的に滞在させることが可能な構成となっている。遊技球転動部130は、遊技球Pを滞在させる際に、滞在時間が不規則となるように構成されている。
図2及び
図3に示すように、遊技球転動部130は、排出口122bから排出された遊技球Pを受容する転動ステージ131と、転動ステージ131から排出された遊技球Pを誘導する誘導通路132と、を有している。
【0044】
転動ステージ131は、遊技球Pを転動させることが可能な転動面133を有している。転動面133は、遊技球Pを不規則に転動させる(遊技球Pの滞在時間が不規則となるように転動させる)ことが可能となるように構成される。転動面133は、平面であっても構わないが、位置によって傾斜する向き及び角度のうち少なくとも一方が変化する面であることが好ましい。例えば、転動面133は、互いに傾斜する向き及び角度のうち少なくとも一方が異なる複数の平面を組み合わせて構成することができる。また、転動面133は、曲面によって構成することができる。さらに、転動面133は、平面と曲面を組み合わせて構成することができる。
本実施形態では、転動面133は、第一転動面133aと、第二転動面133bと、第一転動面133a及び第二転動面133bの間に設けられた誘導溝133cと、を有している。
【0045】
第一転動面133a及び第二転動面133bは、それぞれ、誘導溝133c側に向かって低くなるように滑らかに傾斜する曲面である。誘導溝133cは、転動面133の左右方向(
図1に示す左右方向)の中心部に設けられている。誘導溝133cは、前後方向に沿って延びるように設けられている。誘導溝133cは、後側に向かって低くなるように傾斜している。これによって、転動面133は、正面から見て、誘導溝133cを中心として略V字形に形成されている。
誘導通路132は、樋状に形成されている。誘導通路132は、前後方向に沿って延びるように配設されている。誘導通路132は、後側に向かって低くなるように傾斜している。
【0046】
遊技球転動部130は、転動ステージ131によって、遊技球Pを不規則に転動させることが可能となっている。具体的には、遊技球転動部130は、排出口122bから落下する遊技球Pを、転動面133で受容する。そして、転動面133は、第一転動面133a及び第二転動面133bによって、受容した遊技球Pを、不規則に転動させた後、誘導溝133cの後端から誘導通路132に排出する。さらに、誘導通路132は、遊技球Pを、後側に向かって誘導した後、後端から排出する。
【0047】
図2及び
図3に示すように、第二可動部140は、誘導通路132の下流側に配設された周壁142と、周壁142の内側に配設された回転部材143と、を有している。
周壁142は、誘導通路132の左側後端部及び右側後端部からそれぞれ平面視で円弧を描いて下方に伸びる壁体である。この左側及び右側後端部からそれぞれ伸びる円弧形状の壁は、平面視で双方によって円を描くように形成されており、双方の壁体の先端(下端)部が、誘導通路132の通路幅と略同幅の間隙を挟んで対向するように形成されている。周壁142の、誘導通路132の左側後端部及び右側後端部と周壁142の上端部との接続部は、誘導通路132の後端から排出された遊技球Pを周壁142の内側に受け入れるための受入口142aを形成している。また、上記壁体の左右先端部間に形成された間隙は、周壁122の内側に受け入れた遊技球Pを周壁142の外側に排出するための排出口142bを形成している。また、遊技球搬送装置110における、上記円弧形状の壁体の略円中心の位置に、前後方向に貫通する軸穴142cが形成されている。
【0048】
回転部材143は、回転部材123と同形状に形成されている。回転部材143には、回転軸143aが中心軸に沿って前後方向に延びるように形成されている。回転部材143は、回転軸143aを軸穴142cに回転可能に嵌合することによって軸回りに回転することが可能となっている。
回転部材143の外周面には、回転部材123と同様に、遊技球Pを保持するための保持凹部143bが設けられている。各保持凹部143bは、遊技球Pを収容することが可能となるようにU字形のポケット形状に形成されている。本実施形態では、回転部材143の外周面には、3つの保持凹部143bが設けられている。3つの保持凹部143bは、回転部材143の外周面において、均等な間隔で設けられている。また、回転部材143の外周面における保持凹部143bが設けられていない部分は、遊技球Pが周壁142の内側に流入することを阻止する阻止部143cとなっている。
【0049】
本実施形態では、回転部材143は、回転部材123と同一の構成(形状及び寸法が同一)となっている。また、回転部材143の回転軸143aは、回転部材123の回転軸123aと並行に配設されている。回転部材143の回転する向きは、回転部材123の回転する向きに対して逆向きとなっている。回転部材143及び回転部材123は、位置が前後方向にずれるように配置されている。具体的には、回転部材143の位置は、回転部材123の位置に対して後側となっている。なお、回転部材143の回転軸143aの左右方向の位置及び回転部材123の回転軸123aの左右方向の位置は、互いに一致している。
【0050】
第二可動部140は、周壁142の内側において回転する回転部材143によって、遊技球Pを搬送することが可能となっている。
具体的には、第二可動部140は、誘導通路132の後端から排出された遊技球Pを、回転部材143の保持凹部143bに収容する。ここで、第二可動部140では、回転部材143の阻止部143cの一部分でも周壁142の受入口142aの位置に回動している際には、遊技球Pが周壁142の内側に進入できない状態となる。一方、第二可動部140では、回転部材143の保持凹部143bが周壁142の受入口142aの位置に全体が回動している際には、遊技球Pが周壁142の内側(保持凹部143b)に進入できる状態となる。
【0051】
そして、第二可動部140は、回転部材143を回転軸143aの軸回りに回動させることによって、周壁142の内周面と保持凹部143bとの間に遊技球Pを保持した状態で、遊技球Pを下方に向かって搬送する。
さらに、第二可動部140では、遊技球Pを保持している保持凹部143bの全体が周壁142の排出口142bの位置に回動することによって、遊技球Pの保持が解除される。これによって、第二可動部140は、周壁142の内周面と保持凹部143bとの間に保持していた遊技球Pを、周壁142の排出口142bから下方に向かって排出する。
【0052】
図4に示すように、駆動部160は、第二役物モータ324と、第二役物モータ324の動力を第一可動部120及び第二可動部140に伝達する5つのギア161,162,163,164,165と、を有している。
第二役物モータ324は、主制御装置400からの制御信号に応じて駆動する。本実施形態では、第二役物モータ324として、ステッピングモータを用いている。
【0053】
モータギア161は、第二役物モータ324の回転軸に固定されている。ドライブギア162は、第一可動部120の回転部材123の回転軸123aに固定されている。ドライブギア163は、第二可動部140の回転部材143の回転軸143aに固定されている。モータギア161とドライブギア162との間には、アイドルギア164及びアイドルギア165が配設されている。一方、モータギア161とドライブギア163との間には、アイドルギア164が配設されている。
【0054】
駆動部160は、第二役物モータ324の動力を、モータギア161、アイドルギア164、アイドルギア165及びドライブギア162を介して、第一可動部120の回転部材123の回転軸123aに伝達する。また、駆動部160は、第二役物モータ324の動力を、モータギア161、アイドルギア164及びドライブギア163を介して、第二可動部140の回転部材143の回転軸143aに伝達する。これによって、第一可動部120の回転部材123が回転する向きと、第二可動部140の回転部材143が回転する向きとは、逆向きとなる。
【0055】
図2に示すように、振分装置150は、第二可動部140の排出口142bから排出された遊技球Pを受容する受容部151と、受容部151と一体に形成された誘導部152と、を有している。
受容部151は、円筒状に形成されている。受容部151は、回転軸154が上下方向に沿って延びるように配設されている。
【0056】
受容部151は、遊技球Pを転動させることが可能な底面153を有している。底面153は、遊技球Pを不規則に転動させる(遊技球Pの滞在時間が不規則となるように転動させる)ことが可能となるように構成される。底面153は、平面であっても構わないが、位置によって傾斜する向き及び角度のうち少なくとも一方が変化する面であることが好ましい。例えば、底面153は、互いに傾斜する向き及び角度のうち少なくとも一方が異なる複数の平面を組み合わせて構成することができる。また、底面153は、曲面によって構成することができる。さらに、底面153は、平面と曲面を組み合わせて構成することができる。
【0057】
誘導部152は、樋状に形成されている。誘導部152は、受容部151から前側に向かって突出するように設けられている。
受容部151の底面153及び誘導部152の底面には、連続する誘導溝155が設けられている。受容部151の底面153は、誘導溝155に向かって低くなるように傾斜している。誘導溝155は、前側(誘導部152の先端側)に向かって低くなるように傾斜している。
【0058】
振分装置150は、回転軸154によって回転することが可能に構成されている。回転軸154は、第一役物モータ323(
図5参照)によって回転される。第一役物モータ323は、主制御装置400からの制御信号に応じて駆動する。本実施形態では、第一役物モータ323として、ステッピングモータを用いている。振分装置150は、第一役物モータ323によって、誘導部152の先端を左右方向に揺動させるように回転される。
【0059】
振分装置150は、受容部151によって、遊技球Pを不規則に転動させることが可能となっている。また、振分装置150は、誘導部152の先端を左右方向に揺動することによって、遊技球Pを排出する位置及び向きを変化させることが可能となっている。具体的には、振分装置150は、排出口142bから落下する遊技球Pを、受容部151の底面153によって受容する。そして、受容部151は、受容した遊技球Pを、底面153によって不規則に転動させた後、誘導溝155に沿って誘導部152に誘導する。さらに、誘導部152は、遊技球Pを、前側に向かって誘導した後、先端から役物装置100の排出口103に向けて排出する。
【0060】
ここで、役物装置100の排出口103の左右方向の寸法は、第一始動入賞口210の左右方向の寸法よりも大きく形成されている。そして、第一始動入賞口210は、役物装置100の排出口103の下方における、排出口103の左右方向の中央部に対応する位置に配設されている。従って、振分装置150では、誘導部152の先端が左右方向の中央(第一始動入賞口210の真上)に位置している際に排出される遊技球は、第一始動入賞口210への入賞の可能性が高くなる。一方、振分装置150では、誘導部152の先端が左右方向の中央からずれている際に排出される遊技球は、第一始動入賞口210への入賞の可能性が低くなる。
また、本実施形態では、
図4に示すように、駆動部160の左側、基板上に、役物装置100に発生する振動を検出する振動検知センサ600が配設されている。
【0061】
(制御系の構成)
次に、パチンコ機1における制御系の構成を説明する。
図5は、パチンコ機の制御系の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、パチンコ機1は、流入口スイッチ309と、始動入賞口スイッチ310と、始動ゲートスイッチ311と、大入賞口スイッチ313と、左一般入賞口スイッチ314と、右一般入賞口スイッチ315と、振動検知センサ600とを備えている。
【0062】
流入口スイッチ309は、流入口102の遊技球Pの通過を検出し、検出信号を主制御装置400に対して出力する。始動入賞口スイッチ310は、第一始動入賞口210及び第二始動入賞口220のそれぞれへの遊技球Pの入賞を検出し、検出信号を主制御装置400に対して出力する。始動ゲートスイッチ311は、始動ゲート230への遊技球Pの通過を検出し、検出信号を主制御装置400に対して出力する。大入賞口スイッチ313は、大入賞口240への遊技球Pの入賞を検出し、検出信号を主制御装置400に対して出力する。左一般入賞口スイッチ314は、左一般入賞口250への遊技球Pの入賞を検出し、検出信号を主制御装置400に対して出力する。右一般入賞口スイッチ315は、右一般入賞口260への遊技球Pの入賞を検出し、検出信号を主制御装置400に対して出力する。振動検知センサ600は、役物装置100に発生する振動を検出し、検出信号を主制御装置400に対して出力する。
【0063】
また、パチンコ機1は、制御部として、主制御装置400と、副制御装置500と、を備えている。不正行為防止等のため、主制御装置400及び副制御装置500は、それぞれ別々の基板に実装される。また、制御部では、主制御装置400から副制御装置500への一方向にのみデータの送信が可能となっている。
主制御装置400は、主として、始動入賞口スイッチ310からの検出信号の入力に応じて、各種の乱数カウンタから乱数を取得する(各種の抽選を実行する)。そして、主制御装置400は、取得した各種乱数に基づいて、制御コマンドの送信及び遊技全体の制御を行う。
【0064】
また、主制御装置400は、遊技状態表示装置280、賞球払出制御装置350、始動入賞口ソレノイド320、大入賞口ソレノイド321、第一役物モータ323、第二役物モータ324等を直接制御する。
特に、主制御装置400は、パチンコ機1の稼働中において、常時、第一役物モータ323及び第二役物モータ324を駆動させる。この際、主制御装置400は、振分装置150の誘導部152の先端が一定の周期で左右方向に揺動されるように、第一役物モータ323を駆動させる。
【0065】
また、主制御装置400は、第一可動部120の回転部材123及び第二可動部140の回転部材143のそれぞれが一定の周期で回転するように、第二役物モータ324を駆動させる。これによって、第一可動部120及び第二可動部140は、それぞれ、一定の周期で遊技球Pを搬送することが可能となる。本実施形態では、回転部材123の回転周期及び回転部材143の回転周期は、互いに同一となっている。
【0066】
また、主制御装置400は、パチンコ機1の稼働中において、流入口スイッチ309からの流入口通過検出信号と、振動検知センサ600からの検出信号とに基づき、役物装置100に発生する振動を監視する。これによって、役物装置100に対して人為的に引き起こされる不正な振動(以下、単に不正振動と称す)を検知し、不正振動検出情報を出力する。本実施形態において、不正振動検出情報は、外部端子板650を介してホールコンピュータ800に出力する不正振動を検出したことを示す情報(振動エラー情報)を含む。さらに、不正振動情報は、副制御装置500に対して出力する、副制御装置500に不正振動検出時の動作をさせる振動検出状態コマンドを含む。不正振動検出時の動作としては、不正振動の発生を通知(または警告)するメッセージの表示、不正振動発生時用の点灯パターンによるランプの点灯、不正振動発生時用の効果音の出力などがある。
【0067】
また、主制御装置400は、パチンコ機1の稼働中において、役物装置100に発生する遊技球Pの滞在状態を監視する。これによって、人為的に引き起こされる役物装置100の内部での遊技球Pの不正な滞在(以下、単に不正滞在と称す)を検知し、不正滞在検出情報を出力する。本実施形態において、不正滞在検出情報は、外部端子板650を介してホールコンピュータ800に出力する、不正滞在を検出したことを示す情報(滞在エラー情報)を含む。さらに、不正滞在情報は、副制御装置500に対して出力する、副制御装置500に不正滞在検出時の動作をさせる滞在検出状態コマンドを含む。不正滞在検出時の動作としては、不正滞在の発生を通知(または警告)するメッセージの表示、不正滞在発生時用の点灯パターンによるランプの点灯、不正滞在発生時用の効果音の出力などがある。
【0068】
主制御装置400は、CPU410と、ROM420と、RAM430と、入力ポート440と、出力ポート450とを備える。
入力ポート440は、流入口スイッチ309、始動入賞口スイッチ310、始動ゲートスイッチ311、大入賞口スイッチ313、左一般入賞口スイッチ314、右一般入賞口スイッチ315及び振動検知センサ600のそれぞれから入力された検出信号をCPU410に出力する。
【0069】
出力ポート450は、副制御装置500、遊技状態表示装置280及び賞球払出制御装置350のそれぞれに対して制御コマンドを出力するとともに、始動入賞口ソレノイド320、大入賞口ソレノイド321、第一役物モータ323及び第二役物モータ324のそれぞれに対して制御信号を出力する。また、出力ポート450は、パチンコ機1の出玉情報や異常信号(振動エラー情報、滞在エラー情報を含む)等を外部端子板650を介してホールコンピュータ800に対して出力する。
【0070】
ROM420には、主制御装置400で実行されるパチンコ機1を制御するためのプログラム、遊技制御用のデータ等が記憶されている。特に、ROM420には、第一役物モータ323及び第二役物モータ324のそれぞれを制御するための制御プログラムが記憶されている。さらに、ROM420には、役物装置100に発生する不正振動及び不正滞在を監視するための監視プログラムが記憶されている。
RAM430は、主制御装置400に対する入出力データ、演算処理のためのデータ、遊技に関連する乱数カウンタを始めとする各種カウンタ、抽選結果や遊技状態を管理するフラグ等を一時的に記憶する。さらに、RAM430は、役物装置100に発生する不正振動を監視するためのフラグ等も一時的に記憶する。
【0071】
また、RAM430は、特別図柄用の始動情報記憶領域及び普通図柄用の始動情報記憶領域を有する。特別図柄用の始動情報記憶領域には、第一始動入賞口210への遊技球Pの入賞を契機として取得される始動情報及び第二始動入賞口220への遊技球Pの入賞を契機として取得される始動情報が、それぞれ個別に所定上限数(本実施形態では、4つ)まで記憶される。
【0072】
ここで、始動情報とは、第一始動入賞口210,第二始動入賞口220への遊技球Pの入賞を契機として取得された各種乱数値等の情報(例えば、当たり決定乱数、当たり種別決定乱数、停止図柄決定乱数、リーチ決定乱数、変動パターン決定乱数等)をいう。主制御装置400は、始動情報記憶領域に記憶されている始動情報について、所定の順序(本実施形態では、取得された順序)により当たり判定を行い、判定を行った始動情報を始動情報記憶領域から削除する。また、主制御装置400は、始動情報記憶領域に記憶されている始動情報の数を、遊技状態表示装置280に表示する。
【0073】
また、普通図柄の始動情報記憶領域には、始動ゲート230の遊技球Pの通過を契機として取得された乱数等の情報が、所定上限数(本実施形態では、4つ)まで記憶される。主制御装置400は、この記憶された乱数等の情報について、所定の順序により当たり判定を行い、判定を行った始動情報を始動情報記憶領域から削除する。また、主制御装置400は、始動情報記憶領域に記憶されている始動情報の数を、始動情報記憶数表示器107cに表示する。
【0074】
また、主制御装置400には、電源供給を行うための電源回路900が接続されている。
副制御装置500は、主制御装置400と同様に、CPU、ROM、RAM、入力ポート及び出力ポートを備える。
副制御装置500のROMには、演出を制御するためのプログラム、各種データ等が記憶されている。さらに、役物装置100に不正振動が発生した際に、主制御装置400からの振動検出状態コマンドに応じて実行する動作を制御するためのプログラム、各種データ等が記憶されている。
【0075】
副制御装置500のRAMには、主制御装置400から入力された制御コマンド、演算処理を行うためのデータ等が一時的に記憶される。副制御装置500のCPUは、主制御装置400から受信した制御コマンドに応じて、ROMに記憶されたプログラムにしたがった処理を実行する。これにより、副制御装置500のCPUは、ランプ530の点灯、点滅の制御、スピーカ540からの効果音の出力の制御等を行う。
【0076】
(制御系の機能構成)
次に、主制御装置400のCPU410において、ROM420に記憶された監視プログラムを実行することによって実現される、不正振動等の監視機能について説明する。
図6は、主制御装置400の不正振動等の監視に係る機能構成である監視機能構成部700の一例を示すブロック図である。
監視機能構成部700は、通過検出部710と、振動監視部720と、滞在監視部730とを備える。
通過検出部710は、流入口スイッチ309から入力ポート440を介して入力される流入口通過検出信号に基づき、振動検出信号確認有効状態フラグの設定を行うと共に、振動検出有効時間監視タイマの設定を行う。監視機能構成部700は、これら設定値を、RAM430に格納する。
【0077】
ここで、振動検出信号確認有効状態フラグは、ON状態(例えば、値「1」)のとき、振動検知センサ600からの振動検出信号を有効な信号として確認を行う状態を示す。一方、OFF状態(例えば、値「0」)のとき、振動検知センサ600からの振動検出信号を無効な信号として確認を行わない状態を示す。換言すると、振動検出信号確認有効状態フラグは、ON状態のとき、振動の監視を行う状態を示し、OFF状態のとき振動の監視を行わない状態を示す。また、振動検出有効時間監視タイマは、振動検出信号を有効な信号とする期間を計測するためのタイマである。
【0078】
振動監視部720は、振動検出信号確認有効状態フラグのON設定に応じて、振動の監視を開始し、振動の監視中に、役物装置100の不正振動の発生を監視する。
具体的に、振動監視部720は、振動検知センサ600からの振動検出信号と、振動検出タイマの値とに基づき、役物装置100に発生する不正振動を検出する。不正振動の検出は、振動の監視を開始してから、振動検出有効時間監視タイマで設定された時間が経過するまでの期間内で行われる。さらに、振動監視部720は、不正振動を検出すると、振動検出フラグをON設定し、不正振動検出時間監視タイマで設定された時間が経過するまでの期間、不正振動検出情報を出力する。
【0079】
ここで、振動検出タイマは、振動の検出継続時間を計測するためのタイマである。また、振動検出フラグは、ON状態(例えば、値「1」)のとき、役物装置100に不正振動を検出した状態を示す。一方、OFF状態(例えば、値「0」)のとき、役物装置100に不正振動を検出していない状態を示す。不正振動検出時間監視タイマは、不正振動の監視を行う期間を計測するためのタイマである。
滞在監視部730は、振動検出信号確認有効状態フラグと、振動検出有効時間監視タイマとに基づき、役物装置100の内部における、遊技球Pの不正滞在の発生を監視する。
【0080】
具体的に、滞在監視部730は、振動監視部720において振動の監視が開始され、振動検出有効時間監視タイマで設定された時間が経過後における、第一始動入賞口210への遊技球Pの入賞を検出する。そして、滞在監視部730は、遊技球Pの入賞を検出した場合に、遊技球Pが役物装置100の内部に人為的に不正に滞在させられた(以下、単に不正滞在と称す)と検出する。さらに、滞在監視部730は、不正滞在を検出すると、不正滞在検出フラグをON設定し、不正滞在検出時間監視タイマで設定された時間が経過するまでの期間、不正滞在検出情報を出力する。
ここで、不正滞在検出フラグは、ON状態(例えば、値「1」)のとき、不正滞在を検出した状態を示す。一方、OFF状態(例えば、値「0」)のとき、不正滞在を検出していない状態を示す。
【0081】
(通過検出処理)
次に、通過検出部710によって実行される通過検出処理の処理手順について説明する。
図7は、通過検出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
CPU420によって監視プログラムが実行されると、通過検出部710は、
図7に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、通過検出部710において、流入口スイッチ309から入力ポート440を介して入力される流入口通過検出信号に基づき、流入口102を遊技球Pが通過したか否かを判定する。遊技球Pが流入口102を通過したと判定した場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
【0082】
ステップS102に移行した場合は、通過検出部710において、振動検出信号確認有効状態フラグをONに設定して、ステップS104に移行する。
ステップS104では、通過検出部710において、振動検出有効時間監視タイマの値ct1にt1秒を設定して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。本実施形態では、後述する振動監視処理の繰り返し周期に基づき、振動検出有効時間監視タイマの値ct1を設定する。例えば、4[ms]周期であれば、ct1=t1/4[ms]に設定する。
【0083】
(振動監視処理)
次に、振動監視部720によって実行される振動監視処理の処理手順について説明する。
図8は、振動監視処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
CPU420によって監視プログラムが実行されると、振動監視部720は、
図8に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、振動監視部720において、RAM430から振動検出信号確認有効状態フラグを読み出して、ステップS202に移行する。
【0084】
ステップS202では、振動監視部720において、ステップS200で読み出した、振動検出信号確認有効状態フラグがON状態であるか否かを判定する。そして、ON状態であると判定した場合(Yes)は、ステップS204に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS232に移行する。
ステップS204に移行した場合は、振動監視部720において、振動検出有効時間監視タイマの値ct1をαだけ減算(ct1=ct1−α)して、ステップS206に移行する。
【0085】
ステップS206では、振動監視部720において、振動検出有効時間監視タイマの値ct1が0になったか否かを判定し、0になったと判定した場合(Yes)は、ステップS208に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS212に移行する。
ステップS208に移行した場合は、振動監視部720において、振動検出信号確認有効状態フラグをOFFに設定して、ステップS210に移行する。
【0086】
ステップS210では、振動監視部720において、RAM430に格納された振動検出タイマの値ct2を0にクリア(ct2=0)して、ステップS232に移行する。
ステップS212では、振動監視部720において、RAM430から振動検出フラグを読み出して、ステップS214に移行する。
ステップS214では、振動監視部720において、ステップS212で読み出した振動検出フラグがON状態か否かを判定し、ON状態であると判定した場合(Yes)は、ステップS232に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS216に移行する。
【0087】
ステップS216に移行した場合は、振動監視部720において、振動検知センサ600から入力ポート440を介して入力される振動検出信号を取得して、ステップS218に移行する。
ステップS218では、振動監視部720において、ステップS216で取得した検出信号の振動レベルと予め設定された振動レベル閾値とを比較することで、振動検出信号がON状態であるか否かを判定する。具体的に、取得した振動検出信号のレベルが振動レベル閾値以上である場合に、振動検出信号がON状態であると判定し、一方、振動レベル閾値未満である場合に、振動検出信号がOFF状態(例えば、値「0」)であると判定する。そして、ON状態であると判定した場合(Yes)は、ステップS220に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS230に移行する。
【0088】
ステップS220に移行した場合は、振動監視部720において、振動検出タイマの値ct2に1を加算(ct2=ct2+1)して、ステップS222に移行する。
ステップS222では、振動監視部720において、振動検出タイマの値ct2が予め設定された振動の継続時間t4秒に対応する値OCT以上になったか否かを判定し、OCT以上になったと判定した場合(Yes)は、ステップS224に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。本実施形態では、振動監視処理の繰り返し周期に基づき、OCTを設定する。例えば、4[ms]周期であれば、OCT=t4/4[ms]などの値に設定する。
【0089】
ステップS224に移行した場合は、振動監視部720において、振動検出フラグをONに設定して、ステップS226に移行する。
ステップS226では、振動監視部720において、不正振動検出時間監視タイマの値ct3にt2秒を設定して、ステップS228に移行する。本実施形態では、振動監視処理の繰り返し周期に基づき、不正振動検出時間監視タイマの値ct3を設定する。例えば、4[ms]周期であれば、ct3=t2/4[ms]に設定する。
ステップS228では、振動監視部720において、不正振動検出情報を出力して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
【0090】
一方、ステップS218において、振動検出信号がOFF状態であってステップS230に移行した場合は、振動監視部720において、振動検出タイマの値を0にクリアして、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
また、ステップS232に移行した場合は、振動監視部720において、RAM430から振動検出フラグを読み出して、ステップS234に移行する。
ステップS234では、振動監視部720において、ステップS232で読み出した振動検出フラグがOFF状態か否かを判定する。そして、OFF状態であると判定した場合(Yes)は、一連の処理を終了して、元の処理に復帰し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS236に移行する。
【0091】
ステップS236に移行した場合は、振動監視部720において、不正振動検出時間監視タイマの値ct3をβだけ減算(ct3=ct3−β)して、ステップS238に移行する。
ステップS238では、振動監視部720において、不正振動検出時間監視タイマの値ct3が0になったか否かを判定し、0になったと判定した場合(Yes)は、ステップS240に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了して、元の処理に復帰する。
【0092】
ステップS240に移行した場合は、振動監視部720において、振動検出フラグをOFFに設定して、ステップS242に移行する。
ステップS242では、振動監視部720において、不正振動検出解除情報を出力して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
ここで、不正振動検出解除情報は、不正振動の検出状態を解除する情報である。不正振動検出解除情報としては、外部端子板650を介してホールコンピュータ800に出力する、不正振動の検出状態の解除を通知する情報を含む。さらに、不正振動検出解除情報は、副制御装置500に対して出力する、副制御装置500に不正振動検出時の動作を停止させる振動検出状態解除コマンドを含む。
【0093】
(滞在監視処理)
次に、滞在監視部730によって実行される滞在監視処理の処理手順について説明する。
図9は、滞在監視処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
CPU420によって監視プログラムが実行されると、滞在監視部730は、
図9に示すように、まず、ステップS300に移行する。
ステップS300では、滞在監視部730において、RAM430から不正滞在検出フラグを読み出して、ステップS302に移行する。
【0094】
ステップS302では、滞在監視部730において、不正滞在検出フラグがOFF状態か否かを判定し、OFF状態であると判定した場合(Yes)は、ステップS304に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS328に移行する。
ステップS304に移行した場合は、滞在監視部730において、RAM430から振動検出信号確認有効状態フラグを読み出して、ステップS306に移行する。
【0095】
ステップS306では、滞在監視部730において、振動検出信号確認有効状態フラグがON状態であるか否かを判定し、ON状態であると判定した場合(Yes)は、ステップS308に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS312に移行する。
ステップS308に移行した場合は、滞在監視部730において、状態検出フラグをONに設定して、ステップS310に移行する。
ここで、状態検出フラグは、ON状態(例えば、値「1」)のときに、前回の振動検出信号確認有効状態フラグがON状態であったことを示すフラグである。一方、OFF状態(例えば、値「0」)のときに、前回の振動検出信号確認有効状態フラグがOFF状態であったことを示すフラグである。
【0096】
ステップS310では、滞在監視部730において、移行状態検出フラグをOFFに設定して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
ここで、移行状態検出フラグは、ON状態(例えば、値「1」)のときに、振動検出信号確認有効状態フラグがON状態からOFF状態に変化したことを示すフラグである。一方、OFF状態(例えば、値「0」)のときに、振動検出信号確認有効状態フラグがON状態からOFF状態に変化していないことを示すフラグである。
【0097】
一方、ステップS312に移行した場合は、滞在監視部730において、振動検出信号確認有効状態フラグがON状態からOFF状態へと変化したか否かを判定する。そして、変化したと判定した場合(Yes)は、ステップS314に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了して、元の処理に復帰する。
ステップS314に移行した場合は、滞在監視部730において、状態検出フラグをOFFに設定して、ステップS316に移行する。
ステップS316では、滞在監視部730において、移行状態検出フラグをONに設定して、ステップS320に移行する。
【0098】
ステップS320では、滞在監視部730において、始動入賞口スイッチ310から入力ポート440を介して入力される始動口通過検出信号に基づき、遊技球Pが第一始動入賞口210を通過したか否かを判定する。そして、通過したと判定した場合(Yes)は、ステップS322に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了して、元の処理に復帰する。
ステップS322に移行した場合は、滞在監視部730において、不正滞在検出フラグをONに設定して、ステップS324に移行する。
【0099】
ステップS324では、滞在監視部730において、不正滞在検出時間監視タイマの値ct4にt3秒を設定して、ステップS326に移行する。本実施形態では、滞在監視処理の繰り返し周期に基づき、不正滞在検出時間監視タイマの値ct4を設定する。例えば、4[ms]周期であれば、ct4=t3/4[ms]に設定する。
ステップS326では、滞在監視部730において、不正滞在検出情報を出力して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
【0100】
一方、ステップS302において、不在検出フラグがON状態であって、ステップS328に移行した場合は、不正滞在検出時間監視タイマの値ct4をγ秒だけ減算(ct4=ct4−γ)して、ステップS330に移行する。
ステップS330では、滞在監視部730において、不正滞在検出時間監視タイマの値ct4が0になったか否かを判定し、0になったと判定した場合(Yes)は、ステップS332に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
【0101】
ステップS332に移行した場合は、滞在監視部730において、不正滞在検出フラグをOFFに設定して、ステップS334に移行する。
ステップS334では、滞在監視部730において、不正滞在検出解除情報を出力して、一連の処理を終了し、元の処理に復帰する。
ここで、不正滞在検出解除情報は、不正滞在の検出状態を解除する情報である。本実施形態において、不正滞在検出解除情報としては、外部端子板650を介してホールコンピュータ800に出力する、不正滞在の検出状態の解除を通知する情報を含む。さらに、不正滞在検出解除情報は、副制御装置500に対して出力する、副制御装置500に不正滞在検出時の動作を停止させる滞在検出状態解除コマンドを含む。
【0102】
(動作)
次に、本実施形態に係るパチンコ機1の動作を説明する。
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御装置400により、遊技制御処理が実行され、遊技可能な状態となる。遊技者は、貸し出しを受けた遊技球Pをパチンコ機1に装填し、発射装置を操作して遊技球Pを遊技盤面10に発射する(打ち出す)ことにより遊技を行うことができる。本実施形態において、主制御装置400は、遊技制御処理(メインルーチン)を、4[ms]周期で繰り返し実行する。
【0103】
また、パチンコ機1に電源が投入されると、主制御装置400により、遊技制御処理のサブルーチンとして、監視制御処理が実行され、通過検出処理、振動監視処理、滞在監視処理がそれぞれ実行される。これらの処理が実行されると、振動検出信号確認有効状態フラグ、振動検出フラグ、不正滞在検出フラグ、状態検出フラグ等の各種フラグが初期化され、RAM430に格納される。この初期化によって、各フラグがOFFに設定される。
そして、遊技盤面10に発射された遊技球Pが役物装置100の流入口102に流入したとする。これにより、流入口スイッチ309から遊技球Pの通過検出を示す流入口通過検出信号が入力ポート440を介して主制御装置400に入力される。
【0104】
通過検出部710は、遊技球Pの流入口102の通過を検出すると(S100のYes)、RAM430に記憶された振動検出信号確認有効状態フラグをONに設定する(S102)。さらに、通過検出部710は、RAM430の振動検出有効時間監視タイマの値ct1にt1秒(例えば、10秒)を設定する(S104)。ここで、メインルーチンが4[ms]周期で繰り返し実行されるので、振動監視処理も4[ms]周期で繰り返し実行される。従って、振動検出有効時間監視タイマの値ct1の初期値として、ct1=10[s]/4[ms]=250を設定する。なお、秒数t1は、遊技球Pが、役物装置100の流入口102を通過してから内部を通って排出口103から排出され、第一始動入賞口210に入賞するまでにかかる最長の時間(または、最長時間に数秒のマージンを加えた時間)とすることが望ましい。
【0105】
一方、振動監視部720は、RAM430から振動検出信号確認有効状態フラグを読み出す(S200)。そして、読み出した振動検出信号確認有効状態フラグがON状態であるか否かを判定する(S202)。振動監視部720は、ON状態であると判定すると(S202のYes)、振動の監視を開始すると共に、振動検出有効時間監視タイマの値ct1をα秒分(ここでは、4[ms]分)だけ減算する(S204)。具体的に、現在のct1=250からα=1(4[ms])を減算する。これにより、振動検出有効時間監視タイマの値ct1は「ct1=250−1=249」となる。
【0106】
そして、減算後の振動検出有効時間監視タイマの値ct1が0になったか否かを判定する(S206)。
現在、振動検出有効時間監視タイマの値ct1は249であるため、振動監視部720は、振動検出有効時間監視タイマの値ct1は0では無いと判定し(S206のNo)、RAM420から振動検出フラグを読み出す(S212)。振動検出フラグは、初期化によりOFF状態となっているので、振動監視部720は、OFF状態であると判定し(S214のNo)、入力ポート440を介して振動検出信号を取得する(S216)。振動監視部720は、取得した振動検出信号の示す振動レベルと、予め設定された振動レベル閾値とを比較する。そして、振動監視部720は、振動レベルが振動レベル閾値未満であると判定すると(S218のNo)、振動検出タイマの値ct2を0にクリアする(S230)。その後、一連の処理を終了し、元の処理(メインルーチン)へと復帰する。
【0107】
一方、滞在監視部730は、滞在監視処理が実行されると、まず、RAM430から不正滞在検出フラグを読み出す(S300)。滞在監視部730は、不正滞在検出フラグが、現在、初期化によってOFFに設定されているため(S302のYes)、次に、振動検出信号確認有効状態フラグをRAM430から読み出す(S304)。
本実施形態では、メインルーチンにおいて、通過検出処理、振動監視処理、滞在監視処理の順番で処理が実行されるとする。
【0108】
従って、滞在監視部730は、振動検出信号確認有効状態フラグがON状態になっていると判定し(S306のYes)、RAM430に記憶された状態検出フラグをONに設定する(S308)。さらに、滞在監視部730は、RAM430に記憶された移行状態検出フラグをOFFに設定する(S310)。その後、一連の処理を終了し、元の処理(メインルーチン)へと復帰する。
【0109】
また、役物装置100の流入口102に流入した遊技球Pは、遊技球搬送装置110によって搬送された後に、回転部材143を介して、遊技球搬送装置110の下流側に配設された振分装置150に搬出される。そして、振分装置150に搬出された遊技球Pは、振分装置150によって誘導された後に、排出口103から排出される。
なお、遊技球搬送装置110は、遊技球搬送装置110による遊技球Pの搬送周期が不規則となる構成を採用している。具体的には、一定の周期で遊技球Pを搬送する第一可動部120と、一定の周期で遊技球Pを搬送する第二可動部140との間に、滞在時間が不規則となるように遊技球Pを滞在させることが可能な遊技球転動部130を配設している。
【0110】
これにより、遊技球搬送装置110では、遊技球転動部130における遊技球Pの滞在時間が不規則となることで、遊技球搬送装置110全体として、遊技球Pの搬送周期が不規則となる。従って、役物装置100では、遊技球Pが流入口102に流入してから振分装置150に到達するまでの時間が不規則となる。先述した、振動検出有効時間監視タイマの値ct1に設定するt1秒を、遊技球Pが流入口102を通過したことを検出してから第一始動入賞口210に入賞するまでに必要な最長時間としたのは、この入賞するまでの時間が不規則となるからである。
【0111】
ここで、振分装置150は、誘導部152の先端が一定の周期で左右方向に揺動するように回転される。そして、振分装置150では、誘導部152の先端が左右方向の中央に位置している際に排出される遊技球Pが、第一始動入賞口210への入賞の可能性が高くなる(遊技者にとって有利な状態)。一方、誘導部152の先端が左右方向の中央からずれている際に排出される遊技球は、第一始動入賞口210への入賞の可能性が低くなる(遊技者にとって不利な状態)。
【0112】
つまり、回転部材143から排出口142bを通って遊技球Pが振分装置150に搬出されるタイミング、誘導部152の先端から遊技球Pが排出されるタイミングなどによって、第一始動入賞口210への入賞の可能性(入賞確率)が変化する。
そのため、回転部材143からの、第一始動入賞口210に入賞する可能性の高い遊技球Pの排出タイミングを、誘導部152の先端の位置から割り出せる場合など、排出タイミングを人為的に変化させるゴト行為が発生する可能性がある。例えば、役物装置100に遊技球が絡んでいるときに、パチンコ機1に人為的に振動を加えたり、役物装置100の内部に人為的に遊技球Pを滞在させたりすることによって排出のタイミングを変化させる。
【0113】
また、誘導部152の先端が中央に位置していない状態で、遊技球Pが排出口103から排出されそうなときなどに、パチンコ機1に人為的に振動を加えて、排出のタイミングを変化させるゴト行為が発生する可能性もある。
引き続き、振動監視処理が繰り返し実行されて、振動検出有効時間監視タイマの値ct1が減少し、例えば、残り100くらいになったとする。また、この時間経過によって、流入口102を通過した遊技球Pが、回転部材143に到達したとする。
【0114】
この状態において、振動監視処理が実行されると、振動監視部720は、RAM430から振動検出信号確認有効状態フラグを読み出す(S200)。そして、読み出した振動検出信号確認有効状態フラグがONであるため(S202のYes)、振動検出有効時間監視タイマの値ct1を1減算する(S204)。振動監視部720は、減算後のタイマの値ct1が0では無いため(S206のNo)、次に、RAM420から振動検出フラグを読み出す(S212)。振動検出フラグは、現在OFF状態となっていることとする。振動監視部720は、OFF状態であると判定すると(S214のNo)、次に、入力ポート440を介して振動検出信号を取得する(S216)。
【0115】
ここでは、パチンコ機1を叩いて役物装置100に人為的に振動を引き起こすゴト行為(叩きゴト)が発生したとする。これにより、振動レベル閾値以上の振動レベルの振動が発生したとする。これにより、振動監視部720は、取得した振動検出信号の振動レベルが振動レベル閾値以上であると判定する(S218のYes)。振動監視部720は、振動検出タイマの値ct2(現在は0)に1を加算し(S220)、加算結果がOCT以上になったか否かを判定する(S222)。ここでは、OCTが3に設定されていることとする。振動監視部720は、現在、ct2=1であるため(S222のNo)、一連の処理を終了し、元の処理(メインルーチン)へと復帰する。
【0116】
一方、滞在監視処理が実行されると、滞在監視部730は、まず、RAM430から不正滞在検出フラグを読み出す(S300)。滞在監視部730は、現在、不正滞在検出フラグがOFFに設定されているため(S302のYes)、次に、振動検出信号確認有効状態フラグをRAM430から読み出す(S304)。
滞在監視部730は、現在、振動検出信号確認有効状態フラグがON状態になっているため(S306のYes)、状態検出フラグをONに設定する(S308)。さらに、移行状態検出フラグをOFFに設定して、一連の処理を終了し、元の処理(メインルーチン)へと復帰する。
【0117】
引き続き、叩きゴトの発生によって、振動監視部720において、2周期連続して、取得した振動検出信号の振動レベルが振動レベル閾値以上であると判定したとする(S218のYes)。これにより、振動検出タイマの値ct2が3以上となる。つまり、振動レベル閾値以上の振動が8[ms]以上継続して発生したことになる。振動監視部720は、振動検出タイマの値ct2が3以上になったと判定すると(S222のYes)、振動検出フラグをONに設定する(S224)。ここで、3回連続して振動検出信号の振動レベルが振動レベル閾値以上とならなかった場合は、振動検出タイマの値ct2が0にクリアされる(S230)。
【0118】
本実施形態では、このように、振動監視部720は、振動レベル閾値以上の振動が、0.8[ms]以上継続する場合に、不正振動の検出条件に合致したと判定して不正振動の発生を検出する。一方、振動監視部720は、振動レベル閾値以上の振動が、0.8[ms]以上継続しない場合に、不正振動の検出条件に合致しないと判定して、不正振動の発生を検出しないようになっている。
【0119】
さらに、振動監視部720は、不正振動検出時間監視タイマの値ct3にt2秒を設定する(S226)。ここでは、t2として60秒(ct3=15000)を設定する。t2は、不正振動の検出状態(エラー状態)を監視するのに十分な時間に設定することが望ましい。
【0120】
不正振動検出時間監視タイマの値ct3にt2秒を設定すると、次に、振動監視部720は、不正振動検出情報を出力する(S228)。具体的に、振動監視部720は、振動検出状態コマンドを副制御装置500に出力すると共に、異常信号(振動エラー情報)を、外部端子板650を介してホールコンピュータ800に出力する。
これにより、副制御装置500は、不正振動が発生していることを、表示部へのメッセージの表示や、ランプの点滅、効果音の出力等により報知する。
なお、本実施形態において、パチンコ機1は、不正振動が検出されても遊技を停止しないようになっている。
【0121】
その後、遊技球Pの流入口102の通過も無く、振動検出有効時間監視タイマの値ct1が0になったとする。振動監視部720は、振動検出有効時間監視タイマの値ct1が0になったと判定すると(S206のYes)、振動検出信号確認有効状態フラグをOFFに設定する(S208)。さらに、振動監視部720は、振動検出タイマの値ct2を0にクリアする(S210)。引き続き、振動監視部720は、振動検出フラグを読み出し(S232)、振動検出フラグがOFF状態であるか否かを判定する(S234)。振動監視部720は、現在、振動検出フラグがON状態であるため(S234のNo)、不正振動検出時間監視タイマの値ct3をβ(=1)だけ減算する(S236)。振動監視部720は、不正振動検出時間監視タイマの値ct3が0になったか否かを判定し、現在は0では無いので(S238のNo)、一連の処理を終了し、元の処理(メインルーチン)へと復帰する。
【0122】
やがて、不正振動検出時間監視タイマの値ct3が0になったとする。振動監視部720は、不正振動検出時間監視タイマの値ct3が0になったと判定すると(S238のYes)、振動検出フラグをOFFに設定して(S240)、不正振動検出解除情報を出力する(S242)。具体的に、振動監視部720は、振動検出状態解除コマンドを副制御装置500に出力すると共に、不正振動の検出状態の解除を通知する情報を、外部端子板650を介してホールコンピュータ800に出力する。
これにより、副制御装置500は、不正振動を発生時の動作を停止して、通常の動作へと移行する。
【0123】
また、振動監視部720は、異常信号(振動エラー)のホールコンピュータ800への出力を停止する。
また、上記不正振動を引き起こすゴト行為ではなく、役物装置100の内部に人為的に遊技球Pを滞在させるゴト行為が発生したとする。
かかるゴト行為によって、遊技球Pが役物装置100の内部に滞在している期間に、新たな遊技球Pが流入口102を通過することも無く、振動検出有効時間監視タイマの値ct1が0になったとする。振動検出有効時間監視タイマの値ct1が0になると、振動検出信号確認有効状態フラグがOFFに設定される(S208)。
従って、滞在監視部730は、RAM430に記憶された前回の振動検出信号確認有効状態フラグのON状態と、今回のOFF状態とから、振動検出信号確認有効状態フラグがON状態からOFF状態へと変化したと判定する(S312のYes)。
【0124】
滞在監視部730は、状態検出フラグをOFFに設定すると共に(S314)、移行状態検出フラグをONに設定する(S316)。
引き続き、滞在監視部730は、始動入賞口スイッチ310から入力ポート440を介して入力される始動口通過検出信号に基づき、遊技球Pが第一始動入賞口210に入賞したか否かを判定する(S320)。ここでは、入賞していないとして、滞在監視部730は、流入口102を通過した遊技球Pが第一始動入賞口210に入賞していないと判定し(S320のNo)、一連の処理を終了して、元の処理(メインルーチン)へと復帰する。
【0125】
その後、滞在監視処理が繰り返し実行され、移行状態検出フラグがON状態となっているときに、遊技球Pが第一始動入賞口210に入賞したとする。滞在監視部730は、遊技球Pが第一始動入賞口210に入賞したと判定すると(S320のYes)、不正滞在検出フラグをONに設定する(S322)。
つまり、流入口102を通過してから、振動検出有効時間監視タイマの値ct1が0になった後(10秒経過後)に、遊技球Pが第一始動入賞口210に入賞した場合に、遊技球Pが役物装置100の内部に不正に滞在させられていた状態を検出したと判定する。
【0126】
次に、滞在監視部730は、不正滞在検出時間監視タイマの値ct4にt3秒を設定し(S324)、不正滞在検出情報を出力して、一連の処理を終了し、元の処理(メインルーチン)へと復帰する。ここでは、t3として60秒(ct4=15000)を設定する。t3は、不正滞在の検出状態(エラー状態)を監視するのに十分な時間に設定することが望ましい。
【0127】
不正滞在検出時間監視タイマの値ct4にt3秒を設定すると、次に、滞在監視部730は、不正滞在検出情報を出力する(S326)。具体的に、滞在監視部730は、滞在検出状態コマンドを副制御装置500に出力すると共に、異常信号(滞在エラー情報)を、外部端子板650を介してホールコンピュータ800に出力する。
これにより、副制御装置500は、不正滞在が発生していることを、表示部へのメッセージの表示や、ランプの点滅、効果音の出力等により報知する。
なお、本実施形態において、パチンコ機1は、不正滞在が検出されても遊技を停止しないようになっている。
【0128】
その後、遊技球Pの流入口102の通過も無く、不正滞在検出時間監視タイマの値ct4が0になったとする。滞在監視部730は、不正滞在検出時間監視タイマの値ct4が0になったと判定すると(S330のYes)、不正滞在検出フラグをOFFに設定する(S332)。さらに、滞在監視部730は、不正滞在検出解除情報を出力する(S334)。具体的に、滞在監視部730は、滞在検出状態解除コマンドを副制御装置500に出力すると共に、不正滞在の検出状態の解除を通知する情報を、外部端子板650を介してホールコンピュータ800に出力する。
これにより、副制御装置500は、不正滞在を発生時の動作を停止して、通常の動作へと移行する。
【0129】
また、滞在監視部730は、滞在エラー情報のホールコンピュータ800への出力を停止する。
このようにして、本実施形態のパチンコ機1は、通過検出部710において、流入口102の遊技球Pの通過を検出すると、振動検出信号確認有効状態フラグをONに設定し、さらに、振動検出有効時間監視タイマの値ct1にt1秒(例えば、10秒)を設定することができる。
【0130】
振動監視部720は、振動検出信号確認有効状態フラグのON設定に応じて、役物装置100に発生する振動の監視を開始する。振動監視部720は、振動の監視を開始すると、振動検知センサ600からの振動検出信号の示す振動レベルが振動レベル閾値以上であるか否かを判定する。そして、振動レベル閾値以上であると判定すると、振動検出タイマの値ct2(初期値0)に1を加算する。この加算は、連続して振動検出信号の示す振動レベルが振動レベル閾値以上である場合に加算され、途切れた場合は、振動検出タイマの値ct2を0にクリアする。そして、振動監視部720は、3回連続して、振動検出タイマの値ct2に1が加算されると、振動検出フラグをONに設定する。これにより、振動監視部720は、役物装置100に不正振動が発生したことを検出することができる。
【0131】
また、振動監視部720は、流入口102を遊技球Pが通過せず、かつ振動検出フラグがONにならないまま、振動検出有効時間監視タイマによって設定された時間(t1秒)を経過すると、振動の監視を終了する。つまり、振動監視部720は、流入口102の遊技球Pの通過を検出してから、振動検出有効時間監視タイマによって設定された時間を経過するまでの期間、振動の監視を実行することができる。これによって、日常的に発生する外来振動によって役物装置100に発生する振動を不正振動として誤検出することを低減することが可能となる。
【0132】
さらに、振動監視部720は、不正振動を検出すると、不正振動検出情報を出力して、不正振動の検出状態の監視を行うことができる。具体的に、副制御装置500に、不正振動検出時の動作を実行させる。また、振動監視部720は、外部端子板650を介して、振動エラー情報をホールコンピュータ800に出力する。そして、振動監視部720は、不正振動検出時間監視タイマで設定された時間(t2秒)が経過すると、不正振動検出解除情報を出力して、不正振動の検出状態の監視を終了することができる。
【0133】
従って、不正振動を検出後において、不正を行ったと思われる遊技者に対して警告を与えることができると共に、不正振動を検出後の遊技状態をホールコンピュータ800によって監視することが可能となる。
また、流入口102の遊技球Pの通過を検出する毎に、振動の監視を行うようにしたので、例えば、時短発生時などにおいて、第一始動入賞口210の不正振動による保留狙いで、流入口102を狙い打たれても、不正振動の検出を行うことが可能である。
【0134】
一方、滞在監視部730は、流入口102を新たな遊技球Pが通過しない状態で、振動検出有効時間監視タイマによって設定された時間(t3秒)を経過すると、第一始動入賞口210への遊技球Pの入賞の有無を判定する。この判定によって、遊技球Pが第一始動入賞口210に入賞したと判定すると、不正滞在が発生したことを検出することができる。
これにより、振動監視部720の振動の監視期間が終了するまで、役物装置100の内部に遊技球Pを不正に滞在させるゴト行為が行われたことを検出することが可能となる。
上記実施形態において、流入口102が、開口部を構成し、流入口スイッチ309が、通過検出手段を構成し、振動検知センサ600が、振動検出手段を構成し、監視機能構成部700が、振動監視手段を構成する。
【0135】
(変形例)
なお、上記実施形態において、振動検出有効時間監視タイマによって計測する時間を10秒に設定する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限らず、不正振動を検出できる範疇であれば、他の秒数に設定する構成としてもよい。
また、上記実施形態において、振動検出タイマの計測時間が0.8[ms]以上(ct≧3)となったときに不正振動の発生を検出する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限らず、0.4[ms]以上、又は1.2[ms]以上など、不正振動を検出できる範疇であれば、他の構成としてもよい。
【0136】
また、上記実施形態において、不正振動検出時間監視タイマによって計測する時間を60秒に設定する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限らず、不正振動を監視するのに有効な時間であれば、他の秒数に設定する構成としてもよい。
また、上記実施形態において、不正滞在検出時間監視タイマによって計測する時間を60秒に設定する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限らず、不正滞在を監視するのに有効な時間であれば、他の秒数に設定する構成としてもよい。
【0137】
また、上記実施形態において、上記構成の役物装置100に発生する不正振動及び不正滞在を監視する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、役物装置の入口である常時開口の開口部と、開口部を通過した遊技球を始動入賞口に入賞する可能性の高い遊技領域と、可能性の低い遊技領域とのいずれか一方に誘導する誘導部とを備え、役物装置の内部で機械的な抽選を行わない構成であれば、役物装置の構成はどのようなものであってもよい。
【0138】
また、上記実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
また、上記各実施の形態においては、パチンコ機である遊技機に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他のアミューズメントゲーム機等の遊技機にも適用可能である。