(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797519
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】プリンタ装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/04 20060101AFI20151001BHJP
B41J 2/32 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
B41J11/04
B41J2/32 C
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-223034(P2011-223034)
(22)【出願日】2011年10月7日
(65)【公開番号】特開2013-82112(P2013-82112A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高畠 秀斎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 寿美男
(72)【発明者】
【氏名】森 幸博
(72)【発明者】
【氏名】木原 優
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅広
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲寛
【審査官】
西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−179087(JP,A)
【文献】
特開2011−056956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00 − 11/70
B41J 2/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に印字をするプリントヘッドと、
前記プリントヘッドをプラテンローラの側に加圧するバネと、
前記プラテンローラを回転可能な状態で筐体フレームに固定する開閉アームと、
を有し、
前記開閉アームは、アーム回転軸を中心に可動するように前記筐体フレームに取り付けられており、
前記筐体フレームにはフレーム背面支持板が設けられており、
前記バネの一方の端は、前記フレーム背面支持板に接しており、他方の端は、前記プリントヘッドに接していることを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】
前記プラテンローラの近傍には、記録紙をガイドする用紙ガイドが設けられており、
前記用紙ガイドは、前記開閉アームと一体に形成されているものであることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ装置。
【請求項3】
前記開閉アームの開閉状態を検知するセンサを有し、
前記センサは光学式センサであって、前記用紙ガイドを検知することにより開閉状態を検知するものであることを特徴とする請求項2に記載のプリンタ装置。
【請求項4】
前記開閉アームの開閉状態を検知するセンサを有し、
前記センサは光学式センサであって、前記開閉アームを検知することにより開閉状態を検知するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ装置。
【請求項5】
前記用紙ガイドは、付勢部材により前記プラテンローラの設けられている側に力が加えられているものであることを特徴とする請求項2または3に記載のプリンタ装置。
【請求項6】
前記付勢部材はバネであることを特徴とする請求項5に記載のプリンタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レシート等を発行するプリンタは、商店等のレジスタ、銀行等におけるATM(Automated Teller Machine)やCD(Cash dispenser)等の用途に幅広く用いられている。このようなレシート等を発行するプリンタにおいては、通常、記録紙となる感熱紙を搬送しながら、サーマルヘッド等により記録紙の所定の位置に印字等が行なわれる。
【0003】
サーマルヘッド等により記録紙に印字等を行なうプリンタにおいては、記録紙をサーマルヘッドとプラテンローラとの間に介在させて印字等を行なうが、サーマルヘッドとプラテンローラとの間に、記録紙を容易に介在させることができるよう、プラテンローラを脱離させることができるような構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3734753号公報
【特許文献2】特許第3599595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通常のサーマルヘッド等により記録紙に印字等を行なうプリンタにおいては、サーマルヘッドがプラテンローラの設けられている側に押されることにより、記録紙がサーマルヘッドとプラテンローラとにより挟まれ、この状態で記録紙に印字等が行なわれる。
【0006】
このため、通常は、サーマルヘッドの背後には、付勢部材としてコイルバネ等が設けられており、コイルバネ等の一方の端部はサーマルヘッドに接しており、他方の端部は背面支持板に接している。よって、コイルバネ等の復元力により、背面支持板を介して、サーマルヘッドがプラテンローラの設けられている側に押されるように力が加えられている。
【0007】
例えば、特許文献1に記載されているサーマルプリンタでは、プラテンローラを支持する開閉アームが設けられており、開閉アームを動かすことにより、プラテンローラを取り外すことができる。しかしながら、プラテンローラを取り外す際に開閉アームを動かすと、プリントヘッドがプラテンローラの設けられている側に押され、プリントヘッドとプラテンローラとの間で強い応力が発生し、この応力によりプリントヘッドやプラテンローラの形状が変形するため寿命が短くなり、また、破損等が生じやすくなる。
【0008】
また、このようなサーマルプリンタにおいては、開閉アームの開閉を検知するための光学式のセンサ等が設けられている場合があるが、通常、このようなセンサはギヤボックス等の内部に設けられている場合が多い。しかしながら、ギヤボックス等の内部は駆動する部分を有しているため、粉塵等が発生しやすく、この粉塵等により光が遮られてしまい、光学式のセンサ等が機能せず開閉アームの開閉を検知することができなくなってしまう場合がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、サーマルヘッド等により記録紙に印字等を行なうプリンタ装置において、サーマルヘッドやプラテンローラの寿命を高めることにより信頼性を高めることができ、また、開閉アームの開閉を安定して正確に検知することのできるプリンタ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、記録紙に印字をするプリントヘッドと、前記プリントヘッドをプラテンローラの側に加圧するバネと、前記プラテンローラを回転可能な状態で
筐体フレームに固定する開閉アームと、を有し、前記開閉アームは、アーム回転軸を中心に可動するように
前記筐体フレームに取り付けられており、前記筐体フレームにはフレーム背面支持板が設けられており、前記バネの一方の端は、前記フレーム背面支持板に接しており、他方の端は、前記プリントヘッドに接していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記プラテンローラの近傍には、記録紙をガイドする用紙ガイドが設けられており、前記用紙ガイドは、前記開閉アームと一体に形成されているものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記開閉アームの開閉状態を検知するセンサを有し、前記センサは光学式センサであって、前記用紙ガイドを検知することにより開閉状態を検知するものであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記開閉アームの開閉状態を検知するセンサを有し、前記センサは光学式センサであって、前記開閉アームを検知することにより開閉状態を検知するものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記用紙ガイドは、付勢部材により前記プラテンローラの設けられている側に力が加えられているものであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記付勢部材はバネであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、サーマルヘッド等により記録紙に印字等を行なうプリンタ装置において、サーマルヘッドやプラテンローラの寿命を高めることにより信頼性を高めることができる。また、開閉アームの開閉を安定して正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】第1の実施の形態におけるプリンタ装置の説明図(1)
【
図4】第1の実施の形態におけるプリンタ装置の説明図(2)
【
図5】第2の実施の形態におけるプリンタ装置の説明図(1)
【
図6】第2の実施の形態におけるプリンタ装置の説明図(2)
【
図7】第3の実施の形態におけるプリンタ装置の構造図
【
図8】第3の実施の形態における他のプリンタ装置の構造図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0019】
〔第1の実施の形態〕
最初に、
図1及び
図2プラテンローラを取り外す際に、サーマルヘッド及びプラテンローラに加わる力について説明する。
【0020】
図1に示されるように、サーマルプリンタ等のプリンタ装置は、プリントヘッドとなるサーマルヘッド910、プラテンローラ920、開閉アーム930、コイルバネ940、不図示の記録紙をガイドする用紙ガイド950及び記録紙を搬送するモータ960等を有している。開閉アーム930は、背面支持板931、操作部932等を有しており、プラテンローラ920のプラテン軸受921は開閉アーム930により支持されている。尚、サーマルヘッド910には、ヒートシンクが取り付けられている。
【0021】
背面支持板931とサーマルヘッド910との間にはコイルバネ940が設置されており、コイルバネ940の復元力により、サーマルヘッド910は、背面支持板931に対し、プラテンローラ920の設けられている側に押されている。具体的には、サーマルヘッド910は、サーマルヘッド910に取り付けられたヒートシンクを介しコイルバネ940により押されている。開閉アーム930は、アーム回転軸933を中心に回転可能な状態で筐体フレーム970に取り付けられており、操作部932を矢印に示す方向に押すことにより、開閉アーム930がアーム回転軸933を中心に回転し、
図2に示す状態にすることができる。このように、プラテンローラ920のプラテン軸受921を支持していた開閉アーム930が、アーム回転軸933を中心に回転することにより、プラテンローラ920を取り外すことができる。
【0022】
背面支持板931は、開閉アーム930に形成されているものであるため、プラテンローラ920を取り外す際に、開閉アーム930がアーム回転軸933を中心に回転すると、背面支持板931もサーマルヘッド910が設けられている側に動く。これにより、コイルバネ940が縮み、コイルバネ940の復元力が強くなる。このようにコイルバネ940の復元力が強くなると、サーマルヘッド910に大きな力が加わり、同様に、取り外される直前のプラテンローラ920にも大きな力が加わる。このような大きな力が、サーマルヘッド910やプラテンローラ920に加わることにより、サーマルヘッド910やプラテンローラ920の形状が変形し、寿命を縮めたり、破損等が生じたりする。
【0023】
(プリンタ装置)
次に、本実施の形態におけるプリンタ装置について説明する。本実施の形態におけるプリンタ装置は、
図3に示すように、プリントヘッドとなるサーマルヘッド110、プラテンローラ120、開閉アーム130、コイルバネ140、不図示の記録紙をガイドする用紙ガイド150及び記録紙を搬送するモータ160等を有している。開閉アーム130は、操作部132等を有しており、開閉アーム130により、プラテンローラ120のプラテン軸受121が支持されている。尚、本実施の形態においては、サーマルヘッド110にはヒートシンクが取り付けられている。よって、本実施の形態においては、サーマルヘッド110には、サーマルヘッド及びヒートシンクが取り付けられている構造のサーマルヘッドが含まれる。
【0024】
筐体フレーム170にはフレーム背面支持板171が設けられており、フレーム背面支持板171とサーマルヘッド110との間にはコイルバネ140が設置されている。即ち、コイルバネ140の一方の端部はフレーム背面支持板171と接続されており、他方の端部はサーマルヘッド110と接している。このため、コイルバネ140の復元力により、サーマルヘッド110は、プラテンローラ120の設けられている側に押されている。尚、本実施の形態においては、サーマルヘッド110はサーマルヘッドに取り付けられたヒートシンクを介しコイルバネ140により押されている。
【0025】
開閉アーム130は、アーム回転軸133を中心に回転可能な状態で筐体フレーム170に取り付けられており、開閉アーム130の操作部132を矢印に示す方向に押すことにより、開閉アーム130がアーム回転軸133を中心に回転し、
図4に示す状態にすることができる。このように、プラテンローラ120のプラテン軸受121を支持していた開閉アーム130が、アーム回転軸133を中心に回転することにより、プラテンローラ120を取り外すことができる。尚、本実施の形態におけるプリンタ装置では、コイルバネ140に代えて、板バネ等の他のバネを用いてもよい。また、筐体フレーム170には、プラテンローラ120が取り外された状態においては、サーマルヘッド110が所定の位置に留まるように、不図示の構造物が設けられている。
【0026】
フレーム背面支持板171は、筐体フレーム170に形成されているものであるため、プラテンローラ120を取り外す際に、開閉アーム130がアーム回転軸133を中心に回転しても動くことはない。よって、コイルバネ140は殆ど伸縮しないため、サーマルヘッド110に加わる力には殆ど変化がない。即ち、本実施の形態においては、プラテンローラ120を取り外す際には、コイルバネ140の復元力により、サーマルヘッド110の位置が若干移動するのみであるため、コイルバネ140によりサーマルヘッド110に加わる力には殆ど変化がない。このため、サーマルヘッド110やプラテンローラ120に大きな応力が加わることはなく、形状等を変形させることもないため寿命が長くなり、これらの破損等の発生を防ぐことができる。
【0027】
また、本実施の形態においては、開閉アーム130と用紙ガイド150は一体に形成されており、開閉アーム130がアーム回転軸133を中心に回転する際には、用紙ガイド150も一体に動く構造のものである。このような開閉アーム130と用紙ガイド150とは、プレス加工等により一体に形成したものであってもよく、開閉アーム130と用紙ガイド150とを各々別々の部材で形成し接合等したものであってもよい。例えば、開閉アーム130をプレス加工により形成し、用紙ガイド150をモールド成型により形成し、各々を接合したものであってもよく、開閉アーム130をプレス加工により形成した後、用紙ガイド150をモールド成型する際にインサート成型したものであってもよい。
【0028】
尚、取り外したプラテンローラ120を再び取り付ける場合には、開閉アーム130が
図3に示す位置になるように、
図3に示される矢印の方向とは逆方向に操作部132に力を加える。これにより、再びプラテンローラ120を取り付けることができる。
【0029】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、開閉アーム130の開閉を検知するセンサを設けた構造のものである。
図5及び
図6に基づき、本実施の形態について説明する。
【0030】
本実施の形態におけるプリンタ装置では、第1の光学式センサ281と第2の光学式センサ282とを有している。
【0031】
第1の光学式センサ281及び第2の光学式センサ282は、反射型の光学式センサである。第1の光学式センサ281は、用紙ガイド150の内側に設けられており、用紙ガイド150に設けられた不図示の開口部より、記録紙200が設置される側に光を照射することにより、記録紙200の有無を検出するものである。
【0032】
第2の光学式センサ282は、用紙ガイド150の外側に設けられており、
図5及び
図6の紙面に対し略垂直方向、即ち、開閉アーム130の設けられている側に光を照射することにより、開閉アーム130の開閉を検知するものである。具体的には、
図5に示されるように、開閉アーム130が閉じられている状態では、第2の光学式センサ282より出射された光は、開閉アーム130において反射され、この反射光は第2の光学式センサ282において検出される。これにより、開閉アーム130が閉じられている状態を検知することができる。また、
図6に示すように開閉アーム130が開いている状態では、第2の光学式センサ282より出射された光は、開閉アーム130において反射されることなく直進するため、第2の光学式センサ282において反射光は検出されない。これにより、開閉アーム130が開いている状態を検知することができる。
【0033】
また、本実施の形態におけるプリンタ装置は、開閉アーム130と用紙ガイド150は一体に形成されているものであるため、第2の光学式センサ282において、
図5及び
図6の紙面の右側、即ち、用紙ガイド150の設けられている側に光を照射することにより、用紙ガイド150の有無を検出し、開閉アーム130の開閉を検知するものであってもよい。具体的には、開閉アーム130が閉じられている状態では、第2の光学式センサ282より出射された光は、用紙ガイド150において反射され、この反射光は第2の光学式センサ282において検出される。よって、用紙ガイド150が検出されるため、開閉アーム130が閉じられている状態であることを検知することができる。また、開閉アーム130が開いている状態では、第2の光学式センサ282より出射された光は、用紙ガイド150において反射されることなく直進するため、第2の光学式センサ282において反射光は検出されない。よって、用紙ガイド150が検出されないため、開閉アーム130が開いている状態であることを検知することができる。
【0034】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0035】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるプリンタ装置は、
図7に示すように、用紙ガイド150の下にバネ390を設け、用紙ガイド150がプラテンローラ120の設けられている側に力が加わるように形成されているものである。このように、用紙ガイド150がプラテンローラ120の設けられている側に力が加わるような構造とすることにより、用紙ガイド150とプラテンローラ120との間においても、記録紙200を挟み込むことができ、記録紙200の搬送力を向上させることができる。尚、本実施の形態では、バネ390を用いたが、用紙ガイド150がプラテンローラ120の設けられている側に力が加わるような付勢部材であれば、他の部材を用いてもよい。
【0036】
また、本実施の形態は、
図8は、プラテンローラ120に接するピンチローラ391を用紙ガイド150の近傍に設け、ピンチローラ391をプラテンローラ120の設けられている側に力が加わるようにバネ392を設けた構造のプリンタ装置であってもよい。これにより、記録紙200と用紙ガイド150等との摩擦を防ぐことができ、記録紙200の搬送力を向上させつつ、円滑に記録紙200を搬送することができる。
【0037】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同様である。
【0038】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0039】
110 サーマルヘッド(プリントヘッド)
120 プラテンローラ
121 プラテン軸受
130 開閉アーム
132 操作部
133 アーム回転軸
140 コイルバネ
150 用紙ガイド
160 モータ
170 筐体フレーム
171 フレーム背面支持板