(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797550
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】スクロール制御装置およびスクロール制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0485 20130101AFI20151001BHJP
G06F 3/0482 20130101ALI20151001BHJP
G06F 3/0488 20130101ALI20151001BHJP
【FI】
G06F3/048 656D
G06F3/048 654B
G06F3/048 620
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-289585(P2011-289585)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-140416(P2013-140416A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】鷺 優
【審査官】
菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−215791(JP,A)
【文献】
特開2010−146506(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/084368(WO,A1)
【文献】
特開平09−258947(JP,A)
【文献】
特開2006−338599(JP,A)
【文献】
特開2007−257650(JP,A)
【文献】
特開2006−134288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0485
G06F 3/0482
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル付きディスプレイにリストを含む画像を表示させる画像表示制御部と、
上記タッチパネルに対するなぞり操作を検出する操作検出部と、
上記ディスプレイに表示された画像上の第1の領域において上記タッチパネルに対して一の方向になぞり操作が行われたことが上記操作検出部により検出されたときには上記リストを上記一の方向にスクロールさせる一方、上記ディスプレイに表示された画像上の第2の領域において上記タッチパネルに対して上記一の方向になぞり操作が行われたことが上記操作検出部により検出されたときには上記リストを上記一の方向とは異なる方向にスクロールさせるように制御するスクロール制御部とを備えたことを特徴とするスクロール制御装置。
【請求項2】
上記画像表示制御部は、上記リストを含む画像として、ループの表面と裏面とが現れるようにループ形状を立体的に描画するとともに、当該ループの表面に上記リストの各項目を上下方向に並べて描画して成る画像を表示させ、
上記スクロール制御部は、上記ループの表面が表示されている領域を上記第1の領域として、当該第1の領域において上記タッチパネルに対して下方になぞり操作が行われたことが上記操作検出部により検出されたときには上記リストを下方にスクロールさせる一方、上記ループの裏面が表示されている領域を上記第2の領域として、当該第2の領域において上記タッチパネルに対して下方になぞり操作が行われたことが上記操作検出部により検出されたときには上記リストを上方にスクロールさせるように制御することを特徴とする請求項1に記載のスクロール制御装置。
【請求項3】
上記画像表示制御部は、上記リストを含む画像として、ループの表面と裏面とが現れるようにループ形状を立体的に描画するとともに、当該ループの表面に上記リストの各項目を左右方向に並べて描画して成る画像を表示させ、
上記スクロール制御部は、上記ループの表面が表示されている領域を上記第1の領域として、当該第1の領域において上記タッチパネルに対して右方になぞり操作が行われたことが上記操作検出部により検出されたときには上記リストを右方にスクロールさせる一方、上記ループの裏面が表示されている領域を上記第2の領域として、当該第2の領域において上記タッチパネルに対して右方になぞり操作が行われたことが上記操作検出部により検出されたときには上記リストを左方にスクロールさせるように制御することを特徴とする請求項1に記載のスクロール制御装置。
【請求項4】
車載装置の画像表示制御部が、タッチパネル付きディスプレイにリストを含む画像を表示させる第1のステップと、
上記車載装置の操作検出部が、上記タッチパネルに対するなぞり操作を検出する第2のステップと、
上記車載装置のスクロール制御部が、上記操作検出部による検出結果に基づいて、上記ディスプレイに表示された画像上の第1の領域において上記タッチパネルに対して一の方向になぞり操作が行われたか、上記ディスプレイに表示された画像上の第2の領域において上記タッチパネルに対して上記一の方向になぞり操作が行われたかを判定する第3のステップと、
上記車載装置のスクロール制御部が、上記第1の領域において上記一の方向に対するなぞり操作が行われたと判定した場合に、上記リストを上記一の方向にスクロールさせる第4のステップと、
上記車載装置のスクロール制御部が、上記第2の領域において上記一の方向に対するなぞり操作が行われたと判定した場合に、上記リストを上記一の方向とは異なる方向にスクロールさせる第5のステップとを有することを特徴とするスクロール制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール制御装置およびスクロール制御方法に関し、特に、タッチパネルのなぞり操作によってリストのスクロールを行うように制御する装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーション装置やカーオーディオ装置などの車載装置では、操作手段としてタッチパネルを用いたものが増えている。この種の車載装置では、タッチパネル付きディスプレイ(以下、単にタッチパネルという)上に表示されたユーザインタフェースに対するユーザのタッチ操作やなぞり操作によって、車載装置の各種動作を指示することができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ユーザインタフェースとして球体をタッチパネル上に表示させ、球体を回転させるような操作が行われた場合に、上下方向に並べてリスト形式で表示されたボタン群におけるフォーカスを球体の回転に合わせて移動させることが記載されている。具体的には、ユーザが球体を画面の上方に転がすように操作した場合は、フォーカスを上方に移動させる。一方、ユーザが球体を画面の下方に転がすように操作した場合は、フォーカスを下方に移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−42029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、タッチパネルのなぞり操作によってリストのスクロールを行う場合、リストを上方にスクロールさせたいときはタッチパネルを上方になぞり、下方にスクロールさせたいときはタッチパネルを下方になぞるのが普通である。ところで、車載装置の場合、タッチパネルはセンターコンソール付近に固定されており、ユーザが運転席または助手席からタッチパネルを操作するときの姿勢はほぼ決まっている。しかも、タッチパネルは、表示画面を見易くするために、ほぼ垂直に起立した状態で設置されている。
【0006】
そのため、タッチパネルを下方になぞる場合は比較的滑らかに操作することができるものの、上方になぞる場合は、どうしても指が引っ掛かりやすく、なぞり操作が行いにくいという問題があった。通常、リストの各項目は上から昇順で表示されることが多い。そのため、リストを上方にスクロールさせるために、タッチパネルを上方へなぞるケースが多い。しかしながら、この上方へのなぞり操作が行いにくく、スクロールがうまくできないことがあった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、タッチパネルのなぞり操作によってスクロールを行う場合に、上方へのスクロールを行うときの操作も行いやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、タッチパネルに表示された画像上の第1の領域において一の方向になぞり操作が行われたときにはリストを一の方向にスクロールさせる一方、第2の領域において一の方向になぞり操作が行われたときにはリストを一の方向とは異なる方向にスクロールさせるように制御する。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、リストを一の方向にスクロールさせる場合も、一の方向とは異なる方向にスクロールさせる場合も、異なる領域において同じ一の方向になぞり操作を行えばよく、スクロールの方向に合わせてなぞり操作の方向を変える必要がなくなる。これにより、比較的滑らかになぞり操作を行うことができる方向に一の方向を設定しておけば、リストをどの方向にスクロールさせるときでもなぞり操作を行いやすくすることができ、スクロールをスムーズに行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態によるスクロール制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態のタッチパネルに表示される画像の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態によるスクロール動作を説明するための図である。
【
図4】本実施形態によるスクロール制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態のタッチパネルに表示される画像の他の例を示す図である。
【
図6】本実施形態のタッチパネルに表示される画像の更に別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態によるスクロール制御装置の機能構成例を示すブロック図である。なお、本実施形態のスクロール制御装置は、例えば、カーナビゲーション装置やカーオーディオ装置などの車載装置に実装される。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のスクロール制御装置は、その機能構成として、画像表示制御部11、操作検出部12およびスクロール制御部13を備えている。これらの各機能構成11〜13は、ハードウェア構成、DSP、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、上記各機能構成11〜13は、コンピュータのCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。
【0013】
画像表示制御部11は、タッチパネル付きディスプレイ(以下、単にタッチパネル20という)に対して、リストを含む画像を表示させる。ここで表示する画像は、例えば、ループの表面と裏面とが現れるようにループ形状を立体的に描画するとともに、当該ループの表面にリストの各項目を上下方向に並べて描画して成る画像である。
【0014】
図2は、画像表示制御部11により表示される画像の具体例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態では、ループ形状の一例として円筒状のドラム100を表示する。具体的には、ドラム100をその表面101と裏面102とが現れるように立体的に斜視図として表し、ドラムの表面101にリストの各項目を上下方向に並べて表示する。タッチパネル20の全領域のうち、ドラム100の表面101が表示される領域が特許請求の範囲の「第1の領域」に相当し、ドラム100の裏面102が表示される領域が特許請求の範囲の「第2の領域」に相当する。
【0015】
操作検出部12は、タッチパネル20に対するなぞり操作を検出する。スクロール制御部13は、操作検出部12により検出されるなぞり操作に応じて、ドラム100の表面101に表示されたリストのスクロールを制御する。
図3は、スクロール制御部13によって制御される本実施形態のスクロール動作を説明するための図である。
【0016】
図3(a)に示すように、スクロール制御部13は、ドラム100の表面101が表示されている第1の領域において、矢印Aのようにタッチパネル20に対して下方へのなぞり操作が行われたことが操作検出部12により検出されたときは、矢印Bに示すようにリストを下方にスクロールさせる。すなわち、この場合のなぞり操作は、ドラム100の外側を下方向へ回すという操作に相当するため、ドラム100は正回転し、ドラム100の外側に表示されているリストは下方にスクロールする。
【0017】
一方、
図3(b)に示すように、スクロール制御部13は、ドラム100の裏面102が表示されている第2の領域において、矢印Cのようにタッチパネル20に対して下方へのなぞり操作が行われたことが操作検出部12により検出されたときは、矢印Dに示すようにリストを上方にスクロールさせる。すなわち、この場合のなぞり操作は、ドラム100の内側を下方向へ回すという操作に相当するため、ドラム100は逆回転し、ドラム100の外側に表示されているリストは上方にスクロールする。
【0018】
図4は、上記のように構成した本実施形態によるスクロール制御装置の動作例を示すフローチャートである。この
図4に示すフローチャートは、リストを含む画像の表示をユーザが指示したときに開始する。例えば、本実施形態のスクロール制御装置がカーナビゲーション装置に実装されている場合において、リスト操作によって目的地を設定することが指示されたときなどに、
図4に示すフローチャートの処理が開始する。あるいは、本実施形態のスクロール制御装置がカーオーディオ装置に実装されている場合において、リスト操作によって楽曲を選択することが指示されたときなどに、
図4に示すフローチャートの処理が開始する。
【0019】
まず、画像表示制御部11は、
図2に示すようなリストを含む画像をタッチパネル20に表示させる(ステップS1)。次に、操作検出部12は、タッチパネル20に対するなぞり操作が行われたか否かを判定する(ステップS2)。なぞり操作が行われていない場合、処理はステップS1に戻る。
【0020】
一方、タッチパネル20に対するなぞり操作が操作検出部12により検出された場合、スクロール制御部13は、ドラム100の表面101、すなわち第1の領域においてなぞり操作が行われたか否かを判定する(ステップS3)。ここで、ドラム100の表面101におけるなぞり操作であると判定された場合、スクロール制御部13は、そのなぞり操作の方向(上方または下方)と同じ方向にリストをスクロールさせるように制御する(ステップS4)。
【0021】
すなわち、なぞり操作の方向が下方であればスクロールの方向も下方であり、なぞり操作の方向が上方であればスクロールの方向も上方である。なお、車載装置に使われるタッチパネル20は、センターコンソール付近においてほぼ垂直に起立した状態で設置されているため、上方になぞる操作は行いにくい。よって、ドラム100の表面101でのなぞり操作は下方に行うことが推奨される。
【0022】
上記ステップS3において、ドラム100の表面101におけるなぞり操作ではないと判定された場合、スクロール制御部13は、ドラム100の裏面102、すなわち第2の領域においてなぞり操作が行われたか否かを判定する(ステップS5)。ここで、ドラム100の裏面102におけるなぞり操作であると判定された場合、スクロール制御部13は、そのなぞり操作の方向とは逆の方向にリストをスクロールさせるように制御する(ステップS6)。
【0023】
すなわち、なぞり操作の方向が下方であればスクロールの方向は上方であり、なぞり操作の方向が上方であればスクロールの方向は下方である。上述したように、タッチパネル20を上方になぞる操作は行いにくいため、ドラム100の裏面102でのなぞり操作に関しても、下方に行うことが推奨される。要するに、本実施形態では、ユーザがなぞり易い方向である下方に対してなぞり操作をすれば、その操作位置に応じてリストを下方または上方の何れかにスクロールさせることができる。
【0024】
なお、上記ステップS5において、ドラム100の裏面102におけるなぞり操作でもないと判定された場合、画面上でドラム100が表示されている領域以外の部分においてなぞり操作が行われたことになる。その場合は、そのなぞり操作が行われた領域に表示されているユーザインタフェースに応じたその他の処理が実行される(ステップS7)。ステップS4,S6,S7の何れかの処理を実行することにより、
図4に示すフローチャートの処理は終了する。
【0025】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、タッチパネル20に表示されたドラム100の画像における表面101の領域において下方になぞり操作が行われたときには、リストを下方にスクロールさせる。一方、ドラム100の裏面102の領域において下方になぞり操作が行われたときには、リストを上方にスクロールさせるようにしている。
【0026】
このように構成した本実施形態によれば、リストを下方にスクロールさせる場合も、上方にスクロールさせる場合も、ドラム100の表面101または裏面102の領域において同じ下方になぞり操作を行えばよく、スクロールの方向に合わせてなぞり操作の方向を変える必要がなくなる。下方へのなぞり操作は、比較的滑らかになぞり操作をすることができる方向なので、上下どちらの方向にリストをスクロールさせるときでもなぞり操作を行いやすくすることができる。
【0027】
しかも、本実施形態によれば、リストのスクロール方向がドラム100の回転方向と一致するので、ドラム100の表面101または裏面102のどちらを操作すればリストがどちらの方向にスクロールするのかについて、ユーザが直感的に把握することができるというメリットも有する。
【0028】
なお、上記実施形態では、リストの各項目を上下方向に並べて描画し、当該リストを上下方向にスクロールさせる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図2に示したドラム100を90度回転させた状態で描画するとともに、その表面101にリストの各項目を左右方向に並べて描画し、当該リストを左右方向にスクロールさせるようにしてもよい。
【0029】
この場合、スクロール制御部13は、例えば、ドラム100の表面101が表示されている領域において右方になぞり操作が行われたときにはリストを右方にスクロールさせる一方、裏面102が表示されている領域において右方になぞり操作が行われたときにはリストを左方にスクロールさせるように制御する。タッチパネル20より右側の運転席から操作する場合、右方になぞる場合は比較的滑らかに操作することができるものの、左方になぞる場合は指が引っ掛かりやすく、なぞり操作が行いにくいからである。
【0030】
また、上記実施形態では、ループ形状の一例として円筒状のドラム100を表示する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図5に示すように、ベルトコンベア200のようなループ形状を表示し、その表面201にリストを表示させるようにしてもよい。この場合も、ベルトコンベア200の表面201の領域を下方になぞり操作したときにはリストを下方にスクロールさせ、裏面202の領域を下方になぞり操作したときにはリストを上方にスクロールさせる。
【0031】
また、上記実施形態では、タッチパネル20上に表示させる画像をループ形状の画像とする例について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、タッチパネル20に表示された画像上に、第1の領域と、それとは異なる第2の領域とを設定し、どちらの領域において一の方向になぞり操作が行われたかに応じてスクロールの方向を変えるようにするものであれば、表示する画像はループ形状の画像に限定されない。
【0032】
例えば、
図6に示すように、各項目を上下方向に平面的に並べて表示させた通常のリスト300の左側に第1の領域301を設定し、リスト300の右側に第2の領域302を設定する。そして、第1の領域301において下方になぞり操作が行われたときにはリスト300を下方にスクロールさせる一方、第2の領域302において下方になぞり操作が行われたときにはリスト300を上方にスクロールさせるように制御してもよい。
【0033】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0034】
11 画像表示制御部
12 操作検出部
13 スクロール制御部
20 タッチパネル
100 ドラム(ループ形状)の画像
101 ドラムの表面(第1の領域)
102 ドラムの裏面(第2の領域)