【文献】
STRAUSBERG RL et al., Database GenBank[online], Accession No.BC002490, <http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/33876754?sat=15&satkey=5955153>, 19-MAR-2007 uploaded, 29-NOV-2013 retrieved, Title: Homo sapiens CXXC finger 5, mRNA (cDNA clone MGC:915 IMAGE:3050465), complete cds
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0031】
実験の節
材料および方法
細胞培養、処置およびRNA調製
ヒト乳癌細胞(MCF7)および骨髄細胞(NB4、NB4−LR1、NB4−LR2、K562、LAMA−84およびHL60)を、10%ウシ胎児血清(Biochrom AG)、2mM L−グルタミン、50単位/mlペニシリンGおよび50μg/mlストレプトマイシン(lnvitrogen)を添加したRPMI 1640培地(lnvitrogen)で培養し、5%CO
2/加湿雰囲気中暗所にて37℃でインキュベートした。ヒト骨髄一次CD34+細胞(StemCell technologies)のin vitro増加のため、本発明者らは、上記培地に20ng/mLのインターロイキン3(IL3)、20ng/mLの顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)およびPeprotechから購入した幹細胞因子(SCF)50ng/mLを添加した。Duprez E, Ruchaud S, Houge G, et al. A retinoid acid 'resistant’ t(15;17) acute promyelocytic leukemia cell line: isolation, morphological, immunological, and molecular features. Leukemia. 1992; 6: 1281-1287.において従前に記載されているようにMay−Grunwald−Giemsa(MGG)染色による形態学によりおよびニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元解析により成熟を評価した。細胞密度は、コールターカウンター(Beckman)を使用して決定した。細胞増殖は、式:PD=Log(N/N
0)/Log2(式中、Nは計数した細胞数であり、N
0は第0日目に播種した細胞数である)により算出される集団倍加数(PD)として表した。ATRA(Sigma)により処置した細胞または処置していない細胞を一緒に集め、Trizol(Invitrogen)またはRNeasy mini kit(Qiagen)を用いるRNA調製のためにそのまま−80℃で保存した。抽出されたRNAの収量および品質をNanoDrop(登録商標)ND−1000分光光度計(NanoDrop Technologies)により評価した。
【0032】
マイクロアレイハイブリダイゼーション
マイクロアレイ実験は総て、化学発光検出に基づいているApplied Biosystems(AB)Expression Array systemを使用して行った。ABヒトマイクロアレイは、27,868の個別ヒト遺伝子を表す31,700のオリゴヌクレオチドプローブ(60量体)を含む。標識する前に、抽出されたRNAの量および品質をNanoDrop(登録商標)ND−1000分光光度計およびAgilent 2100バイオアナライザ(Agilent technologies)により確認した。AB Chemiluminescent RT−IVT labelling kit version 2.0(PN 4363252, Roche)を利用して各サンプルから2μgの全RNAを(DIG−dUTPを用いて)ジゴキシゲニン(DIG)標識cRNAに変換した。DIG標識cRNAの量(50〜70μg)および品質は、NanoDrop分光光度計およびAgilent 2100バイオアナライザにより制御した。20μgのDIG標識cRNAをAB Human Genome Survey Microarray version 1.0と製造業者の使用説明書によりハイブリダイズした。マイクロアレイの化学発光シグナル検出、画像取得および画像解析は、AB 1700 Chemiluminescent Microarray Analyser(PN 4338036)において製造業者のプロトコール(PN 4339629)に従って行った。画像に自動グリッド表示し、化学発光シグナルを定量し、バックグラウンドについて補正し、最後に、AB 1700 Chemiluminescent Microarray Analyser software v1.03(PN 4336391)を使用してスポットおよび空間的に正規化した。解析には合計6つのマイクロアレイを用いた。3時間の時点においてNB4サンプルについて2つのレプリケート(独立した標識および独立したハイブリダイゼーション工程)を作成した。アレイ間正規化のため、各アレイについて同じシグナル強度中央値を達成するために本発明者らは総てのマイクロアレイでグローバルな中央値正規化を行った。マイクロアレイ実験についてのMIAME対応の資料は、欧州バイオインフォマティクス研究所(the European Bioinformatics Institute) (www.ebi.ac.uk/arrayexpress)のArray Expressに受託番号E−BASE−7で寄託されている。
【0033】
マイクロアレイデータ解析および遺伝子分類
Applied Biosystems Expression System softwareを使用してシグナルおよびシグナル対ノイズ比(SIH)を抽出した。研究には5,000を超える平均正規化シグナル強度と600より低いバックグラウンド中央値を示すマイクロアレイだけを含めた。シグナル強度をDysvik B, Jonassen I. J-Expressに従ってJ−Express Pro V2.7ソフトウェア(MolMine, Bergen, Norway)にインポートし:Java. Bioinformatics. 2001 ;17:369-370.を用いて遺伝子発現データを探索し、この際、データに導入される外部変数の影響を最小にするためにアレイ間分位点正規化を行った。適切な場合には、正規化の前に信頼性に欠けるスポットのクオリティーフィルタリング(S/N<3)を行った。同定された総ての遺伝子を、PANTHER(商標)(Protein ANalysis THrough Evolutionary Relationships)およびGene Ontology(商標)(GO)を用いて分類した。
【0034】
定量RT−PCR
オリゴdTプライマーをTranscriptor Reverse Transcriptase(Roche)とともに用い製造業者の使用説明書に従って20−μl容量において全RNA(0,1〜1μg)から一本鎖cDNA合成(RT)を実施した。Light Cycler 480装置(Roche)においてSYBRgreen検出キットを用い製造業者の使用説明書に従って定量PCRを行った。各遺伝子(cxxc5、cd34、gcsfrおよびcd11b)について、相対mRNA発現をrpP2遺伝子発現に対して正規化した。cxxc5(5'-tccgctgctctggagaag-3'および5'-cacacgagcagtgacattgc-3')、rpP2(5'-atgcgctacgtcgcc-3'および5'-ttaatcaaaaaggccaaatcccat-3')、cd34(5'-cagctggagccccacag-3'および5'-gaggtcccaggtcctgagc-3')、gcsfr(5'-gtgcccacaatcatggaggag-3'および5'-catcctcctccagcactgtg-3')、およびcd11b(5'-ctgctcctggccctcatc-3'および5'-gacccccttcactcatcatgtc-3')の検出用プライマーは総て、同じリアルタイムPCR増幅条件で用いられるように設計した:95℃で10秒の変性;58℃で10秒のアニーリング;72℃で12秒の伸長。
【0035】
図12、図13および図14に示した結果については、定量RT−PCRに患者材料を使用している
様々な血液疾患に罹患している94名の患者および13名の健康ドナーから一連の105の骨髄または血液のサンプルを採取した。様々な病状をthe French-American-British分類(FAB. Bennet et al. 1982)およびWHO分類(Vardiman et al. 2002)により分類し次のとおりであった:5 染色体5q欠失を有するMDS、14 染色体5q欠失がないMDS、20 AML(骨髄サンプル)および37 AML(血液サンプル)、14 ALL B(血液)および2 ALL T(血液)。総ての患者がインフォームド・コンセントに署名した。
【0036】
患者サンプルにおけるRINFの定量RT−PCR(図12、図13および図14)
オリゴdTプライマーおよびランダムヘキサマープライマーをTranscriptor Reverse Transcriptase(Roche−05 531 287 001)とともに用い製造業者の使用説明書に従って20−μl容量において全RNA(0,1〜1μg)から一本鎖cDNA合成(RT)を実施した。Light Cycler 480装置(Roche)においてCXXC5遺伝子を標的とする特異的ハイブリダイゼーションプローブを用い、キットLightcycler(登録商標)480 ProbesMaster(04 707 494 001)の製造業者の使用説明書に従って定量PCRを行った。相対mRNA発現をrpP2遺伝子発現に対して正規化した。cxxc5(5'-tccgctgctctggagaag-3'、5'-cacacgagcagtgacattgc-3’および6FAM-AACCCAAAgCTgCCCTCTCC-BBQ)、rpP2(5'-atgcgctacgtcgcc-3'、5'-ttaatcaaaaaggccaaatcccat-3’およびCy5-AgCTgAATggAAAAAACATTgAAgACgTC-BBQ)の検出用プライマーは総て、95℃で5分間の最初の変性後に同じリアルタイムPCR増幅条件で用いられるように設計した。よって、次のとおり44サイクルの間処理される:変性95℃で10秒間;および伸長55℃で20秒間。
【0037】
CXXC5の配列決定
配列決定の前にPCR産物をExoSAP−ITキット(GE healthcare−78201)を用いて製品の使用説明書により精製に付した。BigDye(登録商標)v3.1 cycle sequencing Kit(ABI−4337456)を特異的なフォワード(5
'-gcacaaaagtggtgctgtg-3
')およびリバース−(5
'-gcgtggtgcaggagcat-3
')配列決定プライマーとともに用いて全容量10μlで次の反応条件により配列決定を行った:変性 96℃、10秒;50℃で5秒のアニーリング;60℃で4分の伸長、25サイクルの間実施。
【0038】
固形腫瘍
固形腫瘍に関して、本発明者らは、乳癌に罹患している患者の35サンプル(および7つの健康対照)、転移性黒色腫に罹患している患者の40サンプル(および8つの健康母斑対照)ならびに腫瘍および良性対応対の両方を含む28の甲状腺癌サンプルにおけるRINF mRNA発現レベルを調査した。
【0039】
クロマチン免疫沈降実験
2000万のNB4細胞をRPMI培地(Invitrogen)中でホルムアルデヒド(1%v/v)により37℃で10分間架橋し、氷冷PBSで2回洗い流し、低張細胞溶解バッファー(0.25%Triton X−100、10mM Na−EDTA、0.5mM Na−EGTA、10mM Tris−HCl、pH8.0、およびプロテアーゼ阻害剤カクテル)に再懸濁した。Dounce(20ストローク)を使用して原形質膜を破壊し、集めた核(650g、4℃で5分の遠心分離)を1200μlのChIPバッファー(0.1%SDS、0.1%デオキシコール酸Na、1%Triton x−100、1mM EDTA、140mM NaCl、10mM Tris pH8、およびプロテアーゼ阻害剤カクテル)に再懸濁し、その後超音波処理して500〜1000bp長のDNA断片を得た。各IPでは、200μlの超音波処理産物を回収し、希釈バッファー(20mM Tris pH8、2mM EDTA、150mM NaCl、1%Triton x−100)で10倍希釈した。特異的結合を減少させるために、ハイブリダイゼーションの前に回転板上で70μlのサケ精子DNA/プロテインAアガロース50%スラリー(Upstate)を4℃で2時間加えることにより前清浄工程を行った。免疫沈降(IP)では断片化したクロマチン混合物に4μgの抗RARα抗体(Abcam−H1920)、または抗PML抗体(Santa Cruz、sc−966)を加えることによりハイブリダイゼーションを行った(4℃で一晩)。回転板上で70μlのサケ精子DNA/プロテインAアガロース50%スラリー(Upstate)を4℃で4時間加えることにより免疫沈降を行った。遠心分離により免疫複合体を回収し、十分な洗浄後に200μlの溶出バッファー(1%SDS、100mM NaHCO3)で溶出した。DNA−タンパク質架橋を外すために、溶出液に8μlの5M NaClを加え、続いて65℃で一晩加熱した。次いで、これらの画分をRNアーゼA(10μg/ml)およびプロテイナーゼKにより42℃で2時間処理した。各IPから結果として得られたDNAをフェノール/クロロホルム抽出により精製し、40μlのTE(10mM Tris−HCl、pH8.0、1mM EDTA、pH8.0.に再懸濁した。インプット分として、前清浄工程後に20μlの架橋クロマチンを確保し、H2Oで10倍希釈し、DNA−タンパク質架橋を外すために同じ工程に付した。インプット、IPおよび無Abの画分を、RINFまたはRARh2のプロモーター領域に位置するレチノイン酸応答性エレメントを含むプライマー対を用いるPCRにより解析した。RINFプロモーターのプライマー(105bp)5'-gcagtctgagatggttcccagg-3'/5'-tgcatgtaccattccctctgcc-3’およびRARb2プロモーターのプライマー(247bp)5'-tcctgggagttggtgatgtcag-3'/5'-aaaccctgctcggatcgctc-3'。
【0040】
細胞質および核の画分の調製
細胞分画を4℃で行った。NB4細胞を200gでの遠心分離により集め、PBSで2回洗浄し、プロテアーゼおよびホスファターゼの阻害剤を含有する低張溶解バッファー(25mM Tris−HCl pH7.5、12.5mM NaF、0.2mMオルトバナジン酸ナトリウム、1%プロテアーゼ阻害剤カクテル、Sigma P8340)に懸濁し、40分間膨潤させた。マイクロチューブ(Eppendorf)中での円錐形乳棒による細胞懸濁液のホモジナイゼーションにより原形質膜を破壊した。1,000gで3分間の遠心分離の直前にTriton−X 100を0.1%終濃度に加えた。細胞質画分からなる上清が、核からなるペレットから分離される。プロテアーゼおよびホスファターゼの阻害剤を含有する溶解バッファーで核を2回洗浄し、1,000gでの遠心分離により回収し、4xサンプルバッファー(Laemmli 1970)で100℃で8分間抽出した。
【0041】
ウエスタンブロット
Wu YL, Dudognon C, Nguyen E, et al. Immunodetection of human telomerase reverse-transcriptase (hTERT) re-appraised: nucleolin and telomerase cross paths. J Cell Sci. 2006;119:2797-2806により従前に記載されているようにウエスタンブロッティングを実施した。
【0042】
RINFに対する特注ウサギポリクローナルペプチド特異的抗体は、Biogenes GmBHにより生産されたものである。免疫原ペプチドは、RINFタンパク質のアミノ酸45〜48に相当する。一次抗体溶液への免疫原ペプチドの添加によるウエスタンブロットシグナルの競合阻害により抗体特異性を確認した。要するに、ブロットをRINFに対する一次抗体(ポリクローナル抗体)、PARP(モノクローナルマウスIgG、Calbiochem、n°AM30)またはアクチン(ポリクローナルウサギIgG、Sigma、n°A2066)とともにインキュベートした後、適当なペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体とともにインキュベートした。化学発光検出システム(Amersham Pharmacia Biotech)を用いてタンパク質の検出を行った。ヒト組織抽出物を含むブロットはMilliporeから購入した(TB300)。
【0043】
細胞質および核の画分の調製
細胞分画を4℃で行った。NB4細胞を200gでの遠心分離により集め、PBSで2回洗浄し、プロテアーゼおよびホスファターゼの阻害剤を含有する低張溶解バッファー(25mM Tris−HCl pH7.5、12.5mM NaF、0.2mMオルトバナジン酸ナトリウム、1%プロテアーゼ阻害剤カクテル、Sigma P8340)に懸濁し、40分間膨潤させた。マイクロチューブ(Eppendorf)中での円錐形乳棒による細胞懸濁液のホモジナイゼーションにより原形質膜を破壊した。1,000gで3分間の遠心分離の直前にTriton−X 100を0.1%終濃度に加えた。細胞質画分からなる上清が、核からなるペレットから分離される。プロテアーゼおよびホスファターゼの阻害剤を含有する溶解バッファーで核を2回洗浄し、1,000gでの遠心分離により回収し、4xサンプルバッファー(Laemmli 1970)で100℃で8分間抽出した。
【0044】
免疫蛍光
FLAGタグ付きRINFをコードするプラスミドをNB4細胞 cDNAから構築した。PCR産物をpFLAG−CMV−4発現ベクター(Sigma)に挿入した。MCF7細胞をカバースリップ上で増殖させ、Fugene HD製造業者のプロトコール(Roche)によりFLAGタグ付きRINF構築物でトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後に、細胞をPBSで1回洗浄し、2%パラホルムアルデヒド中で15分間固定した。固定した細胞をPBSで3回洗浄し、0.1%Triton X−100で10分間透過処理した後、ブロッキングバッファー(PBS、2%BSA)中で30分間インキュベートした。次いで、細胞を、ブロッキングバッファー(PBS、2%BSA)で1:3,000希釈した一次抗体(ウサギポリクローナル抗Flag M2、Sigma)とともに一晩インキュベートし、PBSで2回洗浄し、1:1,000希釈(PBS、2%BSA)した二次抗体(Molecular ProbesのAlexa−488コンジュゲート抗ウサギ、Invitrogen)とともに室温で1時間インキュベートした。続いて、細胞をPBSで3回洗浄し、Vectashield封入剤4’,6−ジアミニジン−2−フェニルインドール(DAPI、Vector Laboratories)で封入して核を対比染色した。Plan Apochromat 63X N.A.1.4油浸対物レンズを搭載したZeiss LSM510 META共焦点レーザー顕微鏡において共焦点顕微鏡によりLSM510ソフトウェアv4.0(Zeiss)を用いて免疫蛍光像を取得した。
【0045】
レンチウイルス感染のためのプラスミド
RINF発現を標的とするレンチウイルスプラスミド(pLKO.1/shRNA/RINF)は、Sigmaから購入し(MISSION(登録商標)shRNA大腸菌グリセロールストック)、対照ベクター(pLKO.1/TRCおよびpLKO.1/shRNA/スクランブル対照)は、マテリアル移転契約を通じてDavid RootおよびDavid M. Sabatiniにより厚意で提供されたものである(Addgeneプラスミド10879および1864)。要するに、レンチウイルス粒子の作製は、HEK 293T細胞と、Trono's labにより開発された第二世代のパッケージングシステム(例えば、パッケージングプラスミドpsPAX2およびエンベローププラスミドpMD2.G)(Addgeneプラスミド12260および12259)との一過性同時トランスフェクション(Fugene HD、Roche)により行った。トランスフェクションの2日後にウイルス上清を回収し濾過した後、スピン感染のために増殖細胞に適用し(2400rpm、室温で1時間)、そしてそれは硫酸プロテアミン(5μg/mL)の存在下で実施した。感染の2日後に、1μg/mLのピューロマイシン (Sigma)を用いて少なくとも2日間NB4細胞を選抜した。
【0046】
プラスミドおよびレトロウイルス感染
脳心筋炎ウイルス内部リボソーム進入配列とリポーター遺伝子としての緑色蛍光タンパク質(GFP)を含むネズミ幹細胞ウイルスレトロウイルスベクターMig−R1は、W. S. Pear(University of Pennsylvania, Philadelphia, PA)により厚意で提供されたものである。5’ウイルス長い末端反復配列(LTR)プロモーターがRINFの発現を駆動できるようにMig−R1にRINFを挿入した。Mig−R1構築物(Mig−R1/エンプティおよびMig−R1/RINF)をPhoenixレトロウイルスパッケージング細胞系統にトランスフェクトして(VSV−G偽型)ウイルス上清を生成し、このウイルス上清をトランスフェクションの2日後に回収した。次いで、4μg/mlの硫酸プロテアミンの存在下で感染を実施した。感染の9日後に感染した細胞をGFP蛍光について選別した。
【0047】
URL
Cxxc5遺伝子のエキソン−イントロン構築およびゲノム組織化は、de Ia Grange P, Dutertre M, Martin N, Auboeuf D. FAST DB: a website resource for the study of the expression regulation of human gene products. Nucleic Acids Res. 2005;33:4276-4284に従ってfast DB(http://www.fast-db.com)を利用して行った。RINFタンパク質の理論分子量は、ExPASy(
Expert
Protein
Analysis
System)proteomic serverウェブサイト(www.expasy.ch/tools/pi_tool.html)において計算した。推定NLSモチーフのコンピュータによる解析は、PredictNLS(cubic.bioc.columbia.edu/predictNLS/)を利用して行った。
【0048】
結果
本発明および本発明につながる実験の結果を、以下の図を参照してさらに記載する。
【0049】
実験結果
NB4細胞系統における、レチノイン酸により早期に誘導される遺伝子であるCxxc5の同定
APLにおける新規レチノイン酸標的遺伝子についての本発明者らの探索において、本発明者らは、ATRA(1μM)により短時間(90分および3時間)処置したNB4細胞を用いてマイクロアレイ実験を行った。マイクロアレイ発現解析によって本発明者らは35個の遺伝子を同定でき、それらの遺伝子は、処置90分の時点において一貫してアップレギュレートされ、未処置対照と比べて少なくとも2倍の誘導があり、3時間後もアップレギュレートされたままであった(表1)。これらの35個の遺伝子の慎重な解析と分類によって、周知の転写因子または推定転写因子をコードする9個の遺伝子を同定した。他の26個の遺伝子は、遺伝子オントロジーおよび/または配列解析による推定転写因子であるための基準を満たさなかった。9個の候補遺伝子のうちの7個は、顆粒球または単球への分化時に骨髄組織において発現されることが分かっている、明確に特徴付けられた転写因子をコードする。重要なことには、これらの遺伝子のうちの6個はNB4細胞においてレチノイン酸により早期に誘導され、5個は直接標的であることはこれまでに確認されている。本発明者らのマイクロアレイスクリーニングの精度はこれらの観察により確認され、証明された。
【0050】
【表1】
【0051】
本発明は、これまでのところ機能的特性評価を受けていないゲノム配列であるCxxc5に関する。
【0052】
本発明者らの選択は2つの決定的な実験的発見後に行った。第1に、定量RT−PCR解析(
図1A)により、Cxxc5 mRNA発現のATRAによる誘導が見事に確認された(ここではレチノイン酸処置4時間において観察された)。第2に、レチノイド添加の30分前に4時間続けたタンパク質合成阻害剤シクロヘキシミドによるNB4細胞の前処置は、ATRAによるCXXC5 mRNAアップレギュレーションを阻止しなかった(
図1A)。これらの実験は、Cxxc5のATRA媒介性転写がデノボタンパク質合成を必要としないことを示しており、Cxxc5がレチノイン酸の一次標的であることを示唆している。これは、NB4細胞におけるレチノイド受容体(RARおよび/またはPML−RARqとCxxc5遺伝子のプロモーターとの直接結合を証明したChIP実験(
図1B)により確認された。
【0053】
Cxxc5遺伝子のコンピュータによる特性評価
データベースから入手可能なCxxc5(ENSG00000171604)の主なゲノムの特徴を
図2に簡潔にまとめた。Cxxc5遺伝子は、5番染色体の長腕、5q31.3に位置する(
図2A)。この遺伝子は35.5kbpに及び、4つのエキソンに組織化されている(
図2B)。この遺伝子の上流プロモーター領域は、まだ機能的に解析されていないが本発明者らの研究に関連しており、転写開始部位から−3116bpに潜在的レチノイド応答性エレメントを含む。2つの潜在的代替転写開始部位(エキソン1に1つとエキソン2にもう1つ)が存在するにもかかわらず、それらの2つのmRNA配列はエキソン3に開始コドンを有する同じオープンリーディングフレームを示す。概念翻訳により、322個のアミノ酸からなるタンパク質(
図2C)であり理論分子量が32.98kDaであると予測される。タンパク質配列解析により、C末端の近位において、独特の保存されたドメイン、アミノ酸257〜302間に典型的なCXXC亜鉛フィンガーモチーフ(CX
2CX
2CX
4-5CX
2CX
2C
9-15Cx
2Cx
4C)が示された。2個の亜鉛イオンに配位している8個の保存されたシステイン残基を含むことが分かっているこのモチーフは、11個の他のタンパク質(多くの場合クロマチン関連タンパク質)において見られ、非メチル化CpGを認識すると考えられている。
図2Dは、このモチーフを有するタンパク質ファミリーの既知メンバー総てのアラインメントを示している。
【0054】
レチノイド類により処置した前骨髄球細胞におけるCxxc5の遺伝子発現プロフィール
本発明者らのマイクロアレイデータに一致して、CXXC5 mRNAレベルの経時的解析(定量RT−PCRによる)により、早くもATRA処置90分に2倍の誘導が示された(
図3A)。Cxxc5の転写レベルは、処置12時間の時点においてその最大レベルに達した(未処置対照において観察された発現レベルのおよそ6倍)。その後、そのレベルは少なくとも48時間の間安定にアップレギュレートされたままであった(
図3A)。本発明者らは、Cxxc5発現およびそのタンパク質レベルの誘導を確認するために、予測されるCXXC5ポリペプチド鎖のアミノ酸45〜48に対するポリクローナル抗体を特別注文した(方法参照)。CXXC5タンパク質の基礎発現レベルは未処置NB4細胞抽出物において非常に低かったが(
図3B)、ATRA処置開始後4時間以内に予想分子量33kDaにCXXC5タンパク質に対して特異的な強いバンド(その免疫原性ペプチドとの競合により確認された、示していない)が現われた。CXXC5タンパク質の誘導動態は、mRNAレベルにおいて観察された誘導に一致している。興味深いことに、NB4細胞と比較すると、成熟耐性サブクローンNB4−LR1およびNB4−LR2のATRA処置後にはCXXC5タンパク質の非常に弱い誘導しか認められなかった(
図7)。これらの観察は、APL細胞の最終成熟時にCXXC5が参加する可能性があることと一致する。さらに、公的に利用可能なマイクロアレイデータセットから抽出したデータ(
図8)により、APL患者の一次細胞におけるATRAによるCxxc5 mRNAの早期誘導が確認され、NB4細胞系統を用いて得たデータが証明された。
【0055】
レチノイド誘導核因子、RINF(CXXC5)の細胞内局在性
ATRA処置NB4細胞の核および細胞質の画分のウエスタンブロット解析により、核抽出物におけるCXXC5の発現がはっきりと検出された(
図3C)。この増加した発現レベルは少なくとも48時間続いた。本発明者らのポリクローナル抗体では折り畳まれた天然タンパク質の関連エピトープ(アミノ酸45〜48)がほとんど検出されなかったため、本発明者らは、in situ免疫化学実験のためにFLAGタグ付きCXXC5をコードするプラスミドを作製した。この構築物で一過性にトランスフェクトしたMCF7細胞のin situ共焦点解析により強い核の染色が示され(
図3D)、CXXC5タンパク質の核局在パターンが確認された。注目すべきは、細胞によっておよび過剰発現レベルによって、蛍光パターンが核内の微細クロマチンマトリックス、核質および/または不連続断続構造(discrete punctured structures)と少しは関係していたことである。しかしながら、核膜においても核小体内においても蛍光シグナルは検出されなかった。
【0056】
これらの実験的証拠に基づいて、本発明者らは、レチノイド誘導核因子(
Retinoid-
Inducible
Nuclear
Factor)にちなんでCXXC5をRINFと新たに命名することを提案する。この提案した名前にふさわしく、RINF(CXXC5)配列の詳細な解析により、亜鉛フィンガードメインのN末端側に位置する、アミノ酸残基257〜262間の推定核局在シグナル(
Nuclear
Localization
Signal)(NLS)(KKKRKR)が明らかになった。
【0057】
異なる骨髄細胞系統および様々なヒト組織におけるRINFの発現パターン
本発明者らは、他の骨髄細胞系統(
図3E−F)および様々なヒト組織(
図3G)におけるRinf遺伝子の基礎発現レベル、ならびにレチノイド類によるその潜在的調節も評価した。検証したより未成熟な細胞系統、K562細胞およびLAMA−84細胞は最大のRINF mRNAレベル(それぞれ、NB4細胞の基礎レベルの16倍および12倍)と、さらに最大のRINFタンパク質発現も示した。これらの細胞系統ではATRA処置によりRINF mRNAレベルもタンパク質レベルもアップレギュレートされないように思われた(
図3E−F)。相対的に、HL60(M2−サブタイプ)細胞系統とNB4(M3−サブタイプ)細胞系統は両方ともRINF mRNAおよびタンパク質の基礎レベルが低い。重要なことには、ATRAによる後者の細胞系統の処置により、HL60細胞(かかる処置により最終分化を始めることが分かっている)がRINF誘導に関してmRNAレベルとタンパク質レベルの両方においてNB4細胞に似た挙動をする(ここでは4時間の時点において観察された)ことが示された。重要なことには、キメラ受容体PML−RARqの発現が起こらない細胞系統であるHL60におけるこの誘導により、ATRAによるRINF誘導にPML−RARαが必要でないことが証明された。この観察に一致して、本発明者らは、NB4細胞に似た基礎発現レベル(データは示していない)を有する2つの他の細胞系統、A549肺癌細胞(3倍増加)およびHeLa頸癌細胞(2倍増加)においてもATRAによりRINF mRNA発現を誘導されることに注目した。最後に、RINF発現が骨髄組織に限定されないという事実を実証するために、本発明者らは異なる器官からの様々なタンパク質抽出物においてウエスタンブロット解析を行った(
図3G)。RINFタンパク質は検証したヒト組織において種々の発現レベルを示し、胎盤において発現レベルが最大であり、脳において最小であった。要するに、これらのデータは、RINFの調節発現および推定機能はPML−RARα発現に依存しておらず、APL病理学よりもずっと広範な関心分野を含むことを示している。
【0058】
RINF発現は前骨髄球性白血病細胞の分化に必要である
ATRA処置後のNB4細胞最終分化へのRINFの潜在的関与を調査するために、本発明者らは、レンチウイルスベクターにより送達されるshRNAを用いてRNA干渉アプローチを行った(
図4A)。RINF mRNAに対して向けられた5つの異なるshRNA構築物のそれぞれを安定に発現するNB4細胞の感染および選抜後に、(基礎RINF mRNA発現レベルを標的とするための)それらの有効性を対照ベクター、すなわち、スクランブルドshRNAを発現する対照ベクターおよびエンプティベクターである対照ベクターと比較した。2つの最高ノックダウン効率がshRNA/RINF−3(61%)およびshRNA/RINF−4(85%)で観察され、それらに関してはレチノイドの不在下ではNB4細胞において増殖変化も形態学的変化も認められなかった。かかるサイレンシング効率に関し(
図4A)、本発明者らは、細胞の大きな割合においてATRAによるRINF mRNA誘導を効率的に阻止することをかなり期待することができ、このようにして、ATRA処置後の細胞表現型にもたらす影響を評価することができた。
【0059】
特筆すべきは、これらの2つのshRNA構築物の発現により薬理学的用量のATRAの存在下で増殖する能力がNB4細胞集団に与えられることである(
図4B)。実際には、対照ベクターを発現する細胞はATRA処置によって1週間以内に不可避に分化し死滅したが、一方shRNA/RINF−4レンチウイルスベクターまたはshRNA/RINF−3レンチウイルスベクターのいずれかに感染させた細胞培養物はどちらも増殖停止(
図4B)および最終分化プロセス(
図4C)を回避した。ATRA誘導性RINF mRNA発現を阻止するための本発明者らのRNA干渉戦略の有効性を定量RT−PCRにより、RINF mRNA発現が最大であった(
図3Aも参照)処置12時間の時点において評価した(
図4C)。重要なことには、ATRAにより処置した対照ベクターと比べてshRNA/RINF−3(約50%)およびshRNA/RINF−4(60%)に関して得たノックダウンレベルは、NBT還元および形態学的解析によって評価された通りNB4細胞のおよそ30%〜50%を最終分化から救うのに十分であった(
図4C、左パネル)。
【0060】
注目すべきは、これらの細胞(shRNA/RINF−3および−4)がレチノイド類の存在下で増殖し続け、ATRAなしでの2週間の培養後も(第6日〜第20日)ATRAに対するそれらの耐性が確認され、RINF mRNA発現における効率的な阻止と密接に関連していた(
図4C、右パネル)ことである。要するに、これらの結果は、shRNA媒介性RINFノックダウンが前骨髄球性白血病細胞のATRA誘導性最終分化を障害することを示しており、NB4細胞のレチノイド誘導性最終成熟にRINF発現が必要であることを強く示唆している。
【0061】
次に、薬理学的用量のATRAにより顆粒球分化経路に委任されたHL60細胞系統においてRINFの関与を評価した(
図9)。NB4細胞で観察された通り、2つのshRNAはRINF発現を効率的に標的とし(
図9)、成熟プロセス(NBTおよび形態学的解析により評価される)を遅延させ、顆粒球分化時のRINFの機能的関与が実証された。しかしながら、レチノイド類の存在下で増殖し続けたNB4−shRNA/RINF細胞とは対照的に、ATRA処置HL60−shRNA/RINF細胞は不可避に衰弱し12日以内に死滅した。
【0062】
最後に、本発明者らは、RINF過剰発現はATRAの不在下でNB4細胞またはHL60細胞の顆粒球成熟を誘導するのに十分であろうかと考えた(
図10)。本発明者らのデータは、異所性RINF発現(
図10B)は白血病細胞の顆粒球分化を引き起こすために必要であるが十分ではないことを示している。実際には、RINF過剰発現の10日後でも、形態学的レベルにおいても(
図10、パネルC)、分子レベルにおいても(抗CD11b表面マーカーを使用、データは示していない)分化の徴候は認められなかった。
【0063】
正常CD34+前駆細胞のサイトカインによる骨髄造血時のRINF発現および機能
本発明者らの上記発見は、造血組織および他のヒト組織における様々なRINF発現を明確に示している。これらのデータは、RINF発現は、薬理学的濃度のATRAにより誘導でき、一部の骨髄性白血病細胞の分化に必要であるが、正常前駆体骨髄造血時にはサイトカインにより生理学的に調節され得るということを示している。この場合、その調節発現は顆粒球系統に沿った正常発生時にも起こるより一般的な事象を意味することもあり得る。
【0064】
この仮説を検証するために、本発明者らは、健康成人ドナーの骨髄から単離されたCD34+細胞のサイトカイン誘導性顆粒球分化時のRINF発現を検証した。形態学的変化(
図5A)と、RINFとの比較によるCD34、CD11bおよびG−CSFRの発現の解析(
図5B)により分化を評価した。RINF mRNAレベルの経時的発現プロフィールを定量RT−PCR解析により決定した。RINF mRNAレベルは、初期低下(第2日〜第4日)後、第4日〜第6日の間にその最小発現に達し、その時点において培養細胞の大部分は芽球段階と前骨髄球段階にあった。その後、第6日〜第8日の間に、RINF mRNA発現は、骨髄球、後骨髄球へ、最後には短寿命多核好中球への最終細胞成熟と同時に、その最小レベルからおよそ3.5倍増加した(
図5A−B)。サイトカインによる分化時のCD34+前駆体および正常造血細胞におけるRINF mRNAの検出により、その発現がAPL細胞に限定されない(それゆえPML−RARα発現に依存していない)こと、最も重要なことには、その誘導がATRAの薬理学的シグナル伝達に限定されないことが確認される。これらのデータは、正常骨髄造血時のその潜在的役割に一致している。
【0065】
正常骨髄造血時のRINF発現の機能的関連性を評価するために、サイトカイン処置により顆粒球系統に向けたCD34+前駆細胞をレンチウイルスshRNA構築物に感染させて、RINF発現をノックダウンした。非感染細胞同様に、対照ベクター(shRNA/スクランブルおよび模擬対照)に感染させた細胞の大部分は多核顆粒球へと成熟した(
図5Aおよび
図6)後死滅し、細胞培養物に徐々に分解された(示していない)。異なるドナー由来の検証した3つの細胞培養物では、異なる動態で顆粒球への分化が起こり(
図6参照)、総ての培養物は、急速に死滅する多核好中球の細胞成熟で終わった。寿命がずっと長いことが分かっている単球と付着性マクロファージは培養物中にわずかしか存在しなかった。重要なことには、shRNA/RINF−3およびshRNA/RINF−4に同じ条件下で感染させた細胞集団(
図6)は、成熟していない細胞(前骨髄球および骨髄球)の著しい蓄積を示した。対照培養物と比べて2つのshRNAで観察された顆粒球成熟におけるこの違いは、ATRAにより処置した白血病細胞系統NB4およびHL60に関して得た結果を見事に映し、正常骨髄造血時のRINFの同様の役割を示唆している。
【0066】
考察
造血細胞分化の多段プロセスは、長年、腫瘍病因の理解のためや治療戦略の設計のためのモデル研究として扱われてきた。成熟機能細胞の産生を制御する発生プログラムの攪乱は、シグナル変換および/または遺伝子転写制御をその選好機能とする限られた重要な調節遺伝子における遺伝子変化または後成的変化(遺伝子欠失、突然変異、メチル化など)によって頻繁に起こる。造血器悪性腫瘍の特定の症例では、この10年間でこれらの重要な調節遺伝子の発見に関して大きな進歩がもたらされたがそれらの機能階層については不確実性が残っている。
【0067】
本研究において、本発明者らは、亜鉛フィンガーファミリーの新規メンバーであるCXXC5(RINF)を同定し特徴付け、骨髄球性白血病細胞のレチノイド誘導性最終分化時だけでなくサイトカインによる正常骨髄造血時のそのかかわりも示した。亜鉛フィンガーを含むタンパク質は、哺乳類ゲノムにおいて最大のタンパク質スーパーファミリーの1つを構成し、DNA、RNA、脂質、または他のタンパク質と相互作用する構造的に異なる保存されたドメインを有する、進化タンパク質ファミリーおよび機能的に多様なタンパク質ファミリーに分類することができる。CXXC型亜鉛フィンガーは、該タンパク質のヒストンメチル−トランスフェラーゼ(MLL、MLL2)、ヒストンデメチラーゼ(FBXL−10、−11、−19)、DNA−メチル−トランスフェラーゼ(DNMT1)、またはCpG結合(CGBP、MBD1)の活性によってクロマチン再構築に関与するというタンパク質の小サブセットにおいて見られる(
図2)。MLL、CGBP、およびMBD1のCXXCドメインは、非メチル化CpGと結合することがわかっており、この認識には保存されたKFGGモチーフ(亜鉛フィンガーの2番目のリンカー中にある)が不可欠である。KFGGモチーフを欠いているパラログ(CXXC−4、−5、−6、および−10、
図2)は後の特性を共有しないと予想され、今後の課題の1つは、保存されているがKFGGモチーフを欠いているCXXCドメインを有するこの特異的サブセットのタンパク質により認識される分子標的(群)を同定することであろう。興味深いことに、CXXC型ファミリーの3メンバー(KFGGモチーフを含むまたは含まない)、MLL、MLL2、およびLCXは、これまで、染色体転座や内部再配列によって白血病誘発に関与してきた。MLLは、白血病において最も高頻度で転座される遺伝子の1つであり、記載されている種々の融合パートナーが30を超えるにもかかわらずCXXCドメインは既知MLL融合タンパク質総ての中に残り、CXXCドメインは骨髄変化に不可欠であると思われ、作用機序がまだ解明されていなくてもこの亜鉛フィンガー亜型の生物学的重要性を実証している。
【0068】
ここで報告したCxxc5(Rinf)遺伝子の発現および誘導のパターンにより、正常骨髄造血および腫瘍性骨髄造血の両方における、少なくとも成熟プロセスの最終段階(前骨髄球、骨髄球)におけるRINFの機能的関与が裏付けられた。特異的RNAiターゲッティングを用いたノックダウン実験により、前骨髄球性白血病細胞の最終分化プロセスにRINF発現が必要であることもさらに示された。しかしながら、重要なことには、本発明者らの研究は、Rinf病態生理学がAPLに限定されず、他の造血器悪性腫瘍および正常造血においてより広いかかわりを有する可能性があるという概念をはっきりと裏付けている。よって、Rinfの状態(例えば突然変異、異常な発現/誘導)はATRA応答性を予測するのに役に立つ可能性があり、それゆえ、AML患者の治療計画に関する決定に重要なツールとなる可能性がある。
【0069】
臨床状況において、Cxxc5(Rinf)生物学に関する刺激的な見通しはその脱調節発現がいくつかの血液疾患の病因となり得るかどうかを評価することである。実際には、5番染色体の長腕の中間部欠失または完全喪失は、骨髄異形成(MDS、多くの場合前白血病性疾患として記載される)および急性骨髄性白血病(AML)のような、異常骨髄造血および骨髄中の芽球過剰を特徴とする悪性骨髄疾患における再発性染色体異常である。染色体バンド5q31の主要な共通欠失領域(CDR)を明らかにした広範囲な研究にもかかわらず、白血病誘発の一因となると推測された候補腫瘍抑制遺伝子は、4Mbpサイズのこの領域においてまだ確認されていない。このセグメント内部において、Rinfは、今日記載されている(described at his date)最も小さい(1Mbp未満)CDRを表す遠位マーカーD5S594から20kbpまでに局在することに注目することが重要である。驚くべきことに、Rinf遺伝子は、恐らくCDRの外側に局在すると考えられていたため、これまでのところ遺伝学的および機能的調査を免れてきた。それでも、RinfとCDRとが極めて接近していることで、同定遺伝子の上流における調節配列の喪失と、さらに5q31内でのより遠位の欠失を理由にRinf発現に影響を与える可能性がある。本発明者らの発見により、文献中のデータと合わせて考えて、本発明者らはRinfを骨髄細胞形質転換についての強力な腫瘍抑制遺伝子候補であると考えるに至った。興味深いことに、骨髄病変について公的に利用可能なマイクロアレイデータベースを調べて、本発明者らは正常な健康ドナーと比べて、欠失5qを有する骨髄異形成患者のCD34+細胞でのより低いRINF mRNA発現を明らかにした(
図11)。この観察は推定ハプロ不全機構と一致し、不応性貧血、5q−症候群を含むMDSのもう1つのサブグループにおいてリボソーム遺伝子rpS14(特徴的なCDRの5q32に位置する)について最近記載されたため、これらの血液疾患におけるrinf脱調節の真の寄与を評価することが重要であろう。
【0070】
Rinf発現が骨髄組織に限定されないことから、この遺伝子は他の組織の発生および/またはホメオスタシスにも関与する可能性がある。レチノイド類によるその直接誘導は、中間タンパク質レギュレーターのデノボ合成を必要とせず、これは、分化と関係なくてもRinfが少なくともある程度はレチノイド類の多面発現効果のいくつか、例えば、様々な固形腫瘍におけるそれらの抗増殖作用などを媒介する可能性があることを示唆している。まとめると、本発明者らの発見により、異なる組織においてレチノイド類により薬理学的に誘導できるRinf発現は、いくつかの発生プロセスおよび病変において予想されるそのかかわりから、幅広い利益がある可能性があるという仮説が裏付けられる。
【0071】
配列表
SEQUENCE LISTING
<110> AS Bergen Teknologioverforing AS
<120> Novel reinoid inducible factor, and uses thereof
<130> P11828NO01
<160> 37
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 2778
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 1
gttttgccgg cagcccccgg gcagcgttca tagctcctgc ccgggcgggc gcgcggcggc 60
ggcggcagag gcggctgagc ctgagcgggg atgtagaggc ggcggcagca gaggcggcac 120
tggcggcaag agcagacgcc cgagccgagc gagaagagcg gcagagcctt atcccctgaa 180
gccgggcccc gcgtcccagc cctgcccagc ccgcgcccag ccatgcgcgc cgcctgctga 240
gtccgggcgc cgcacgctga gccctccgcc cgcgagccgc gctcagctcg ggggtgatta 300
gttgcttttt gttgtttttt aatttgggcc gcggggaggg ggaggagggg caggtgctgc 360
aggctccccc ccctccccgc ctcgggccag ccgcggcggc gcgactcggg ctccggaccc 420
gggcactgct ggcggctgga gcggagcgca ccgcggcggt ggtgcccaga gcggagcgca 480
gctccctgcc ccgcccctcc ccctcggcct cgcggcgacg gcggcggtgg cggcttggac 540
gactcggaga gccggttcgg tgcgcggccg gggccggagt tcgctgcaag tcggcggaaa 600
gtttggctgc gcgggttccc ccgaagttca gagtgaagac atttccacct ggacacctga 660
ccatgtgcct gccctgagca gcgaggccca ccaggcatct ctgttgtggg cagcagggcc 720
aggtcctggt ctgtggaccc tcggcagttg gcaggctccc tctgcagtgg ggtctgggcc 780
tcggccccac catgtcgagc ctcggcggtg gctcccagga tgccggcggc agtagcagca 840
gcagcaccaa tggcagcggt ggcagtggca gcagtggccc aaaggcagga gcagcagaca 900
agagtgcagt ggtggctgcc gccgcaccag cctcagtggc agatgacaca ccaccccccg 960
agcgtcggaa caagagcggt atcatcagtg agcccctcaa caagagcctg cgccgctccc 1020
gcccgctctc ccactactct tcttttggca gcagtggtgg tagtggcggt ggcagcatga 1080
tgggcggaga gtctgctgac aaggccactg cggctgcagc cgctgcctcc ctgttggcca 1140
atgggcatga cctggcggcg gccatggcgg tggacaaaag caaccctacc tcaaagcaca 1200
aaagtggtgc tgtggccagc ctgctgagca aggcagagcg ggccacggag ctggcagccg 1260
agggacagct gacgctgcag cagtttgcgc agtccacaga gatgctgaag cgcgtggtgc 1320
aggagcatct cccgctgatg agcgaggcgg gtgctggcct gcctgacatg gaggctgtgg 1380
caggtgccga agccctcaat ggccagtccg acttccccta cctgggcgct ttccccatca 1440
acccaggcct cttcattatg accccggcag gtgtgttcct ggccgagagc gcgctgcaca 1500
tggcgggcct ggctgagtac cccatgcagg gagagctggc ctctgccatc agctccggca 1560
agaagaagcg gaaacgctgc ggcatgtgcg cgccctgccg gcggcgcatc aactgcgagc 1620
agtgcagcag ttgtaggaat cgaaagactg gccatcagat ttgcaaattc agaaaatgtg 1680
aggaactcaa aaagaagcct tccgctgctc tggagaaggt gatgcttccg acgggagccg 1740
ccttccggtg gtttcagtga cggcggcgga acccaaagct gccctctccg tgcaatgtca 1800
ctgctcgtgt ggtctccagc aagggattcg ggcgaagaca aacggatgca cccgtcttta 1860
gaaccaaaaa tattctctca cagatttcat tcctgttttt atatatatat tttttgttgt 1920
cgttttaaca tctccacgtc cctagcataa aaagaaaaag aaaaaaattt aaactgcttt 1980
ttcggaagaa caacaacaaa aaagaggtaa agacgaatct ataaagtacc gagacttcct 2040
gggcaaagaa tggacaatca gtttccttcc tgtgtcgatg tcgatgttgt ctgtgcagga 2100
gatgcagttt ttgtgtagag aatgtaaatt ttctgtaacc ttttgaaatc tagttactaa 2160
taagcactac tgtaatttag cacagtttaa ctccaccctc atttaaactt cctttgattc 2220
tttccgacca tgaaatagtg catagtttgc ctggagaatc cactcacgtt cataaagaga 2280
atgttgatgg cgccgtgtag aagccgctct gtatccatcc acgcgtgcag agctgccagc 2340
agggagctca cagaagggga gggagcacca ggccagctga gctgcaccca cagtcccgag 2400
actgggatcc cccaccccaa cagtgatttt ggaaaaaaaa atgaaagttc tgttcgttta 2460
tccattgcga tctggggagc cccatctcga tatttccaat cctggctact tttcttagag 2520
aaaataagtc ctttttttct ggccttgcta atggcaacag aagaaagggc ttctttgcgt 2580
ggtcccctgc tggtgggggt gggtccccag ggggccccct gcggcctggg cccccctgcc 2640
cacggccagc ttcctgctga tgaacatgct gtttgtattg ttttaggaaa ccaggctgtt 2700
ttgtgaataa aacgaatgca tgtttgtgtc acgaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa 2760
aaaaaaaaaa aaaaaaaa 2778
<210> 2
<211> 969
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 2
atgtcgagcc tcggcggtgg ctcccaggat gccggcggca gtagcagcag cagcaccaat 60
ggcagcggtg gcagtggcag cagtggccca aaggcaggag cagcagacaa gagtgcagtg 120
gtggctgccg ccgcaccagc ctcagtggca gatgacacac caccccccga gcgtcggaac 180
aagagcggta tcatcagtga gcccctcaac aagagcctgc gccgctcccg cccgctctcc 240
cactactctt cttttggcag cagtggtggt agtggcggtg gcagcatgat gggcggagag 300
tctgctgaca aggccactgc ggctgcagcc gctgcctccc tgttggccaa tgggcatgac 360
ctggcggcgg ccatggcggt ggacaaaagc aaccctacct caaagcacaa aagtggtgct 420
gtggccagcc tgctgagcaa ggcagagcgg gccacggagc tggcagccga gggacagctg 480
acgctgcagc agtttgcgca gtccacagag atgctgaagc gcgtggtgca ggagcatctc 540
ccgctgatga gcgaggcggg tgctggcctg cctgacatgg aggctgtggc aggtgccgaa 600
gccctcaatg gccagtccga cttcccctac ctgggcgctt tccccatcaa cccaggcctc 660
ttcattatga ccccggcagg tgtgttcctg gccgagagcg cgctgcacat ggcgggcctg 720
gctgagtacc ccatgcaggg agagctggcc tctgccatca gctccggcaa gaagaagcgg 780
aaacgctgcg gcatgtgcgc gccctgccgg cggcgcatca actgcgagca gtgcagcagt 840
tgtaggaatc gaaagactgg ccatcagatt tgcaaattca gaaaatgtga ggaactcaaa 900
aagaagcctt ccgctgctct ggagaaggtg atgcttccga cgggagccgc cttccggtgg 960
tttcagtga 969
<210> 3
<211> 322
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 3
Met Ser Ser Leu Gly Gly Gly Ser Gln Asp Ala Gly Gly Ser Ser Ser
1 5 10 15
Ser Ser Thr Asn Gly Ser Gly Gly Ser Gly Ser Ser Gly Pro Lys Ala
20 25 30
Gly Ala Ala Asp Lys Ser Ala Val Val Ala Ala Ala Ala Pro Ala Ser
35 40 45
Val Ala Asp Asp Thr Pro Pro Pro Glu Arg Arg Asn Lys Ser Gly Ile
50 55 60
Ile Ser Glu Pro Leu Asn Lys Ser Leu Arg Arg Ser Arg Pro Leu Ser
65 70 75 80
His Tyr Ser Ser Phe Gly Ser Ser Gly Gly Ser Gly Gly Gly Ser Met
85 90 95
Met Gly Gly Glu Ser Ala Asp Lys Ala Thr Ala Ala Ala Ala Ala Ala
100 105 110
Ser Leu Leu Ala Asn Gly His Asp Leu Ala Ala Ala Met Ala Val Asp
115 120 125
Lys Ser Asn Pro Thr Ser Lys His Lys Ser Gly Ala Val Ala Ser Leu
130 135 140
Leu Ser Lys Ala Glu Arg Ala Thr Glu Leu Ala Ala Glu Gly Gln Leu
145 150 155 160
Thr Leu Gln Gln Phe Ala Gln Ser Thr Glu Met Leu Lys Arg Val Val
165 170 175
Gln Glu His Leu Pro Leu Met Ser Glu Ala Gly Ala Gly Leu Pro Asp
180 185 190
Met Glu Ala Val Ala Gly Ala Glu Ala Leu Asn Gly Gln Ser Asp Phe
195 200 205
Pro Tyr Leu Gly Ala Phe Pro Ile Asn Pro Gly Leu Phe Ile Met Thr
210 215 220
Pro Ala Gly Val Phe Leu Ala Glu Ser Ala Leu His Met Ala Gly Leu
225 230 235 240
Ala Glu Tyr Pro Met Gln Gly Glu Leu Ala Ser Ala Ile Ser Ser Gly
245 250 255
Lys Lys Lys Arg Lys Arg Cys Gly Met Cys Ala Pro Cys Arg Arg Arg
260 265 270
Ile Asn Cys Glu Gln Cys Ser Ser Cys Arg Asn Arg Lys Thr Gly His
275 280 285
Gln Ile Cys Lys Phe Arg Lys Cys Glu Glu Leu Lys Lys Lys Pro Ser
290 295 300
Ala Ala Leu Glu Lys Val Met Leu Pro Thr Gly Ala Ala Phe Arg Trp
305 310 315 320
Phe Gln
<210> 4
<211> 18
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 4
cgagttcatg aggtgagc 18
<210> 5
<211> 5000
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 5
ccccaagcac tgtctgagca ccccattcct tggagtctga agggaagggc agagtagggg 60
gtggtagctg gggtcttggg gccccaggtc tgaagagaaa gaggctgggc cattttcgga 120
agtctcagtg cgggccattt ctgaccctgc actgccctcc aggaccagat ttgtagagag 180
gaggctgagc cccaccctgc ctcctccagc aggcctcccc cacaccacca caccctagcc 240
ttcaggcttt gggtcgggca gggcactttc agggcaggct ggcttctcct gcccagggca 300
cccctcctcc aggtgcaggg ctccagattg ggacactgtg cctctgcctc ccctaaggcc 360
ccattcagtt acctccccac ctctcagcaa tgctctccct ccctcttcct gaagtgtggc 420
agggaggctg gagccacagc tttggcctct gggagcactc agtcccactc ccataggaca 480
gagttgaacc atgattgtgt ctagagaagc caagggttat tgtcaggggc acaacagccc 540
ccaaactgtc cctctcccca tcaatatccc atatacaggc tgagttccct gtgcctcact 600
gagaacaggg ctgtatctgg ttgtctatgg cgtgtatgta gctgtgcctg ggcaatggga 660
aatatagctt gcttcctgct ttctctcagc ctctgtcccc agagtcattt tgttctggga 720
ctggagtctt ccttctgtcc tcatcccttc ccctctgttt acacaggtca aggccaggca 780
ttggccacca aactgacttc tcaggaatgg gcaagcctgg gttacttgag agacttggct 840
ttttgaattt tcatttcaca gctctctgct ccttcagacg tcatgggggt ggggtgggga 900
ggacctaaag tccagtggtc agtgcgtgag ggcccagacc caaaggcccg gggccacagt 960
ctggtgcggt taggctcctc cctgcctctg cccgtgtttg cacccccagg cctgccctgg 1020
gattttggct gaggtcacag tccagcatga ccccactgaa cactatcctg tgccctgccc 1080
cagcaggcag ggtttcaaat gcctttgctc ccatcctttg tgatacaggt gacagaactg 1140
gggcccaaag aagggtaaac cttagactga gttccaaatt ggccatcttt attggagatc 1200
ctaactccca cactcctctc catgtggcca tttccagtca ctggatgttt aatcaatgac 1260
agatattagc agataaatgg cagtcatgga aaatgcctca gacaaggcat ggattgaaat 1320
cctggttttg ctactttgta acctcacaca ggtgtccaag cctgtggatt taataagcct 1380
atgttcaaaa agcaattagc atggtccctg acaagcaaga gctcagaaag attctggcta 1440
caattgttat tactggtacc tctttggagg ccaagcttcg ggcccaaggc aggtagggga 1500
ctcctcctta ccttcaaaga attttcatgg cgggaggtgg tggcgagggg acaagtagtg 1560
agatgagcaa ataaaagcta tttctgtgca ttgtggtcac tgtggccata ggaggggtcc 1620
caaagccaga tgaaggaccc aaagccaggc cacagagtac atctgtcctg tgcatgcact 1680
gcaaaaaggc acctagcaaa gggagctagg aagctgaaag gcagtctgtg acctccttca 1740
tggtttcctg tatctgccaa aagtgggtac ctttttctga tttgcacaaa ggctagtggt 1800
ggccctgtag gtatggccca aactcaggct ggaagtggca gtctgagatg gttcccaggt 1860
gatatgtgct cctggtcttc catgaggagt tcatgaggtg agcttgatga ggcctatctt 1920
ggcagaggga atggtacatg caaagctctg gaaatctgga gaggagtctt ggggtgtcag 1980
agggaactgc cagtgttaga tggcattggt cagcagggcc tggcagggaa gagagtcagt 2040
tagggaagcc aggctgagta gggtagtctg tgaggaacca ctgcaggatg tgaagcagat 2100
gagcctcact ggaggctgtg gaaagcctcc ctagaatagc acatggcctc aggggtttga 2160
gaacagctct gatgccaatc tcatttcagt ttcctcatct gaataatggg gatgacatta 2220
ttgcaggggc tgctataagg gctaaataag ataatgtacc ttaactgttt agcacaatgc 2280
cctgctcagg gtaagggctg cacaaatacc agccatgggt attatcagca ggatccagga 2340
gagcacactc cagggtcccg ggtggacgca cccctcccta gaagacaagg ctggtgatgc 2400
aggggccatc tcccccagcg gtgctggaga ctgaaggagc ttcttcctga cttgaaggct 2460
gattggttca aaaaactcag caaaaagttt aatagcaagg tgagacttca attctccttt 2520
ttgaggtagg cagaggtggg agaatagtga accaagcttc ccttcttctt ggggaagggg 2580
gctgtggtgg ggacagtctc acccaagggc agagatcctc accccatcct tcctggatgt 2640
cccccgcttg tctcattggc atctgtggtg gagagttctt tgtggatggc ttgcacatga 2700
cattttctgt ttctgtaaca ctttctgtgt ggacaattct gtccttttcc tctgtggctc 2760
ccatatgggt tggataggtg acagtctagg tctccctccc aaggtgttaa tttccagcaa 2820
gggaaaactc caagatccac cccctaaact gggccagaca agtcaacacc ccttccctga 2880
ggaagccatc accactggga ccacctggcc ttcctccatt gcagcctgtg gatccctggc 2940
ctcccgcctg agttgggggt gggggtggag gcataagtct gaaaaaaaag tgggtaatag 3000
tcagcagttc cctaaagtag aattactacc caccctctgc catggacccc agcataaagc 3060
tttttgtggg gcgtgcatga cctgactctg tactggcgtt aggcttcagg agatctgtgg 3120
aatagagttt gacttcatgg atcctaaccc tctgagacct gctgctgact cccagggagc 3180
aggtcctccc tcacagtctg tgcctcagct tccccagaaa aggtagatgg aggtgagtta 3240
aatgcttgga gatcctacac ctgggctttt gcttcctttt tccttgcacg gtcagtgccc 3300
aacacagtgc ctgacattca cactgaggcc cagcatacct atctttaagc agtttggaag 3360
tgatcttctg ggggtgatgg gcgtcttaaa acggtttcca tagcaagcac cttactttta 3420
ctcacatggg atgtttgttt ggaggggggc attaaaagga ctgctggcaa ggaggagaga 3480
gactaaacgc ctccccaagg gagccatttc ttggcatagt agttaaggga gaccacttct 3540
cagcattcgg aaggaactgg ttgggagcag gtgtccacga tgtctgggga ggggtcactt 3600
cgtgtggtct tggatatcag gagtggcaga gaggcaacac attccagatg agctctgccc 3660
tttgacacct ccccccaccc caccccggct gggtcaaggc cccaaggcca catatagaag 3720
gcgtggaagg tgggcaccag ctgctgctgc caggagatcc atgctccata agccctcgcg 3780
ccagcctcgg agacagccag gctgcgcaga gcagaggaga ggaagcagcg aggtgggaga 3840
cagtttcgct tctcccaccg aggccgcgcc tgtggctgca ggcgcccgga tcgccacagt 3900
taactccctg ttatctgggc cccaatcgat ctcaggctgt aacgtttaac cctaggctga 3960
cttccccaac cgccctcccc ctctccctcc cctgcttggg tctggggact gcgttttctt 4020
cgcctcgcag aggaaggtcg gccttgcaca aatccgcccc cacgaatccc aaagaattgg 4080
agaaaacttc cactttggga ttatatgcag ttgggattat atgagcccgg ggcttgcacc 4140
atgggtacgt gaggtgaaga catctgcagc agcaggatta attagcctaa gatgggcata 4200
tggaggccac tgatggagtg aaagcgggat atgcgggccc aactctgtcc ccactgggcg 4260
cctactctgg caaggctgag ttttccttct gtctttcaat cagtacctat tgagcgctgc 4320
tgttccaagc attgtttcgg gttttgagtg cgtaggccat ggtctcaggg caccaaatgt 4380
acgtagtcgt tttagccccg ggactcaaga gttgaggctg atgcctgcct gagagataaa 4440
atatcctttc tcggatcagt ttcctcacct gagaaatggg aacgggaatc tccgcccctt 4500
ttctcccggg gccctagtgc ccactgaatc cattaaggag ctcttggaag ggtggggtct 4560
tggaacacgc gtctacctcc caggaccctc gactaggaat ctctggcccg ccgcgcacct 4620
gagctggggg gcgcggccaa attctccctc ccggtcctcg aagcttctgg ccccgctcta 4680
gagggggcag aaagatagca gatttccccg gaggtgcgtc tctaaaccca gaccgcctca 4740
ccaaagcggg gaggtcgtcc tttttttttt ttttttgtaa agttgcggga aataggcgaa 4800
gacggggcgc gcaagggagc tgagcctggg tggaccgcgt cagggcgcgg ggagctcgag 4860
gcgcagcggc tgcagctccg gcctcagagc ccgcggcgtc caagtggccc gagctgcgct 4920
gggagggagg cggcgggagg agggagggga gccgaggtgg agggggttgg ggggaggagg 4980
gagcggcgag tccggtccgg 5000
<210> 6
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic primer
<400> 6
tccgctgctc tggagaag 18
<210> 7
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic primer
<400> 7
cacacgagca gtgacattgc 20
<210> 8
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic primer
<400> 8
atgcgctacg tcgcc 15
<210> 9
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic primer
<400> 9
ttaatcaaaa aggccaaatc ccat 24
<210> 10
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic primer
<400> 10
cagctggagc cccacag 17
<210> 11
<211> 19
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic primer
<400> 11
gaggtcccag gtcctgagc 19
<210> 12
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthtic primer
<400> 12
gtgcccacaa tcatggagga g 21
<210> 13
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic primer
<400> 13
catcctcctc cagcactgtg 20
<210> 14
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic primer
<400> 14
ctgctcctgg ccctcatc 18
<210> 15
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthtic primer
<400> 15
gacccccttc actcatcatg tc 22
<210> 16
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> artificial sequence
<400> 16
aacccaaagc tgccctctcc 20
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> artificial sequence
<400> 17
agctgaatgg aaaaaacatt gaagacgtc 29
<210> 18
<211> 19
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> artificial sequence
<400> 18
gcacaaaagt ggtgctgtg 19
<210> 19
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> artificial sequence
<400> 19
gcgtggtgca ggagcat 17
<210> 20
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> artificial sequence
<400> 20
gcagtctgag atggttccca gg 22
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<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> artificial sequence
<400> 21
tgcatgtacc attccctctg cc 22
<210> 22
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> artificial sequence
<400> 22
tcctgggagt tggtgatgtc ag 22
<210> 23
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> artificial sequence
<400> 23
aaaccctgct cggatcgctc 20
<210> 24
<211> 46
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 24
Lys Lys Lys Arg Lys Arg Cys Gly Met Cys Ala Pro Cys Arg Arg Arg
1 5 10 15
Ile Asn Cys Glu Gln Cys Ser Ser Cys Arg Asn Arg Lys Thr Gly His
20 25 30
Gln Ile Cys Lys Phe Arg Lys Cys Glu Glu Leu Lys Lys Lys
35 40 45
<210> 25
<211> 46
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 25
Lys Lys Lys Arg Lys Arg Cys Gly Val Cys Val Pro Cys Lys Arg Leu
1 5 10 15
Ile Asn Cys Gly Val Cys Ser Ser Cys Arg Asn Arg Lys Thr Gly His
20 25 30
Gln Ile Cys Lys Phe Arg Lys Cys Glu Glu Leu Lys Lys Lys
35 40 45
<210> 26
<211> 45
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 26
Arg Lys Lys Arg Lys Arg Cys Gly Thr Cys Glu Pro Cys Arg Arg Leu
1 5 10 15
Glu Asn Cys Gly Ala Cys Thr Ser Cys Thr Asn Arg Arg Thr His Gln
20 25 30
Ile Cys Lys Leu Arg Lys Cys Glu Val Leu Lys Lys Lys
35 40 45
<210> 27
<211> 46
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 27
Lys Lys Lys Arg Lys Arg Cys Gly Val Cys Glu Pro Cys Gln Gln Lys
1 5 10 15
Thr Asn Cys Gly Glu Cys Thr Tyr Cys Lys Asn Arg Lys Asn Ser His
20 25 30
Gln Ile Cys Lys Lys Arg Lys Cys Glu Glu Leu Lys Lys Lys
35 40 45
<210> 28
<211> 52
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 28
Gly Arg Arg Ser Arg Arg Cys Gly Gln Cys Pro Gly Cys Gln Val Pro
1 5 10 15
Glu Asp Cys Gly Val Cys Thr Asn Cys Leu Asp Lys Pro Lys Phe Gly
20 25 30
Gly Arg Asn Ile Lys Lys Gln Cys Cys Lys Met Arg Lys Cys Gln Asn
35 40 45
Leu Gln Trp Met
50
<210> 29
<211> 52
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 29
Lys Met Arg Met Ala Arg Cys Gly His Cys Arg Gly Cys Leu Arg Val
1 5 10 15
Gln Asp Cys Gly Ser Cys Val Asn Cys Leu Asp Lys Pro Lys Phe Gly
20 25 30
Gly Pro Asn Thr Lys Lys Gln Cys Cys Val Tyr Arg Lys Cys Asp Lys
35 40 45
Ile Glu Ala Arg
50
<210> 30
<211> 52
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 30
Met Phe Lys Arg Val Gly Cys Gly Glu Cys Ala Ala Cys Gln Val Thr
1 5 10 15
Glu Asp Cys Gly Ala Cys Ser Thr Cys Leu Leu Gln Leu Pro His Asp
20 25 30
Val Ala Ser Gly Leu Phe Cys Lys Cys Glu Arg Arg Arg Cys Leu Arg
35 40 45
Ile Val Glu Arg
50
<210> 31
<211> 50
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 31
Val Glu Arg Ser Arg Gly Cys Gly Val Cys Arg Gly Cys Gln Thr Gln
1 5 10 15
Glu Asp Cys Gly His Cys Pro Ile Cys Leu Arg Pro Pro Arg Pro Gly
20 25 30
Leu Arg Arg Gln Trp Lys Cys Val Gln Arg Arg Cys Leu Arg Gly Lys
35 40 45
His Ala
50
<210> 32
<211> 52
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 32
Arg Arg Gln Asn Arg Lys Cys Gly Ala Cys Ala Ala Cys Leu Arg Arg
1 5 10 15
Met Asp Cys Gly Arg Cys Asp Phe Cys Cys Asp Lys Pro Lys Phe Gly
20 25 30
Gly Ser Asn Gln Lys Arg Gln Lys Cys Arg Trp Arg Gln Cys Leu Gln
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Phe Ala Met Lys
50
<210> 33
<211> 52
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 33
Lys Arg Ser Ala Arg Met Cys Gly Glu Cys Glu Ala Cys Arg Arg Thr
1 5 10 15
Glu Asp Cys Gly His Cys Asp Phe Cys Arg Asp Met Lys Lys Phe Gly
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Gly Pro Asn Lys Ile Arg Gln Lys Cys Arg Leu Arg Gln Cys Gln Leu
35 40 45
Arg Ala Arg Glu
50
<210> 34
<211> 51
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 34
Ala Phe Lys Arg Arg Arg Cys Gly Val Cys Glu Val Cys Gln Gln Pro
1 5 10 15
Glu Cys Gly Lys Cys Lys Ala Cys Lys Asp Met Val Lys Phe Gly Gly
20 25 30
Ser Gly Arg Ser Lys Gln Ala Cys Gln Glu Arg Arg Cys Pro Asn Met
35 40 45
Ala Met Lys
50
<210> 35
<211> 51
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 35
Arg Arg Arg Arg Thr Arg Cys Arg Lys Cys Glu Ala Cys Leu Arg Thr
1 5 10 15
Glu Cys Gly Glu Cys His Phe Cys Lys Asp Met Lys Lys Phe Gly Gly
20 25 30
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Val Leu Pro
50
<210> 36
<211> 51
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 36
Arg Arg Arg Arg Val Arg Cys Arg Lys Cys Lys Ala Cys Val Gln Gly
1 5 10 15
Glu Cys Gly Val Cys His Tyr Cys Arg Asp Met Lys Lys Phe Gly Gly
20 25 30
Pro Gly Arg Met Lys Gln Ser Cys Val Leu Arg Gln Cys Leu Ala Pro
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Arg Leu Pro
50
<210> 37
<211> 51
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 37
Arg Arg Arg Arg Thr Arg Cys Arg Arg Cys Arg Ala Cys Val Arg Thr
1 5 10 15
Glu Cys Gly Asp Cys His Phe Cys Arg Asp Met Lys Lys Phe Gly Gly
20 25 30
Pro Gly Arg Met Lys Gln Ser Cys Leu Leu Arg Gln Cys Thr Ala Pro
35 40 45
Val Leu Pro
50