(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記決定するステップおよび修正するステップの少なくとも1つは、前記複数のVSBショットを決定するための最適化技術を用いるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
集積回路のような半導体装置の生産または製造において、光リソグラフィが半導体装置を製造するために用いられ得る。光リソグラフィは、レチクルから製造されるリソグラフマスクを用いて半導体やシリコンウェハのような基板にパターンを転写し集積回路を創出する印刷プロセスである。他の基板としては、フラットパネルディスプレイや他のレチクルも含まれる。また、極紫外線(extreme ultraviolet:EUV)リソグラフィまたはX線リソグラフィは、光リソグラフィの種類と考えられる。単数または複数のレチクルは集積回路の個々の層に対応する回路パターンを含み、このパターンは、フォトレジストまたはレジストとして知られる放射線感受性材料の層でコーティングされた基板上の特定の領域上に結像され得る。パターン化された層が転写されると、その層は、エッチング、イオン注入(ドーピング)、金属化、酸化、および研磨などの、さまざまな他のプロセスを受ける。これらのプロセスは、基板における個々の層を仕上げるために採用される。いくつかの層が必要とされる場合は、全体のプロセスまたはその変形が、各新しい層に対して繰り返される。最終的に、複数の装置の組み合わせまたは集積回路が、基板上に存在する。これらの集積回路は、ダイシングまたはソーイングによって互いに分離され、個々のパッケージ内に実装され得る。より一般的な場合においては、基板上のパターンは、表示画素や磁気記録ヘッドのような加工物を定義するために用いられ得る。
【0004】
集積回路のような半導体装置の生産または製造において、半導体装置を製造するためにマスクレス直接描画も用いられ得る。マスクレス直接描画は、荷電粒子ビームリソグラフィを用いて半導体またはシリコンウェハのような表面にパターンを転写して集積回路を創出する印刷プロセスである。他の基板としては、フラットパネルディスプレイ、ナノインプリントのためのインプリントマスク、またはレチクルも含み得る。層の所望パターンは、表面上、この場合には基板上にも直接書き込まれる。パターン化された層が転写されると、その層は、エッチング、イオン注入(ドーピング)、金属化、酸化、および研磨などの、さまざまな他のプロセスを受ける。これらのプロセスは、基板における個々の層を仕上げるために採用される。いくつかの層が必要とされる場合は、全体のプロセスまたはその変形が、各新しい層に対して繰り返される。いくつかの層は、光リソグラフィを用いて書き込まれ、一方他のものは、同じ基板を製造するために、マスクレス直接描画を用いて書き込まれる。最終的に、複数の装置の組み合わせまたは集積回路が、基板上に存在する。これらの集積回路は、ダイシングまたはソーイングによって互いに分離され、個々のパッケージ内に実装され得る。より一般的な場合においては、基板上のパターンは、ディスプレイピクセルや磁気記録ヘッドのような加工物を定義するために用いられ得る。
【0005】
示したように、光リソグラフィにおいては、リソグラフマスクまたはレチクルは、基板上に集積されるべき回路要素に対応する幾何学的パターンを含む。レチクルを製造するために用いられるパターンは、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアまたはプログラムを利用して生成され得る。パターンの設計においては、CADプログラムは、レチクルを創出するために、予め定められた1組のデザインルールに従い得る。これらの規則は、処理、設計、および最終用途の制限によって設定される。最終用途制限の例は、必要とされる電源電圧において十分に動作することができないような態様における、トランジスタの配置を定義することである。特に、デザインルールは、回路装置間または相互接続線間のスペース許容値を決定し得る。たとえば、デザインルールは、回路装置および配線が、望ましくない態様で互いに相互作用しないことを保証するために用いられる。たとえば、デザインルールは、配線が、短絡を引き起こし得るような態様で互いに近接しないようにするために用いられる。デザインルールの制限は、とりわけ、確実に製造することができる最小寸法を反映する。これらの最小寸法に言及される場合、普通、限界寸法の概念が導入される。たとえば、これらは、最小配線幅、または、2つの配線間の最小スペースとして定義され、それらの寸法は、精巧な制御を必要とする。
【0006】
光リソグラフィによる集積回路製造の1つの目標は、レチクルの使用によって、基板上に元の回路デザインを再生することである。集積回路製造者は、できるだけ効率的に半導体ウェハの資源を使用することを常に試みている。技術者は、集積回路がより多くの回路要素を含むとともに、より少ない電力を使用することができるように、回路のサイズを縮小し続けている。集積回路の限界寸法の大きさは低減され、その回路密度は増加するにつれ、回路パターンまたは物理設計の限界寸法は、光リソグラフィに用いられる光露光ツールの解像度限界に到達する。回路パターンの限界寸法はより小さくなり、そして露光ツールの解像度限界に達すると、レジスト層上に現像される実際の回路パターンへの物理設計の正確な転写が困難になる。光リソグラフィの使用を促進して、光リソグラフィプロセスに用いられる光の波長よりも小さいフィーチャを有するパターンを転写するために、光近接効果補正(optical proximity correction:OPC)として知られるプロセスが開発された。OPCは、物理設計を変化させて、光回折や近接するフィーチャとのフィーチャとの光学的相互作用のような効果によって引き起こされる歪みを補償する。たとえば、規則に基づいたOPC(rule-based OPC)と呼ばれるOPCの種類においては、端部選択、領域交差または集合化、および形状の拡大または縮小−すなわち、各形状の内部方向または外部方向への端部の移動−のようなさまざまな幾何学演算が、設計されたパターンを修正するために用いられ、光リソグラフィによる転写後のパターンの品質を改善する。OPCはレチクルを用いて実行される、すべての超解像技術を含む。
【0007】
OPCは、マスクパターンにサブ解像度リソグラフフィーチャ(sub-resolution lithographic feature)をマスクパターンに付加し、もとの物理設計つまりデザインと、最終的に基板上に転写された回路パターンとの間の差を低減し得る。サブ解像度リソグラフフィーチャは、もとの物理設計におけるパターンとおよび互いに相互作用し、近接効果を補償して最終的に転写される回路パターンを改善する。パターンの転写を改善するために用いられる1つの特徴は、サブ解像度アシストフィーチャ(sub-resolution assist feature:SRAF)である。パターン転写を改善するために追加される他のフィーチャは、「セリフ(serif)」と称される。セリフは、最終的に転写された像における角を鋭くするために、パターンの角に配置される小さなフィーチャである。光リソグラフィの限界は、サブ波長レジームにまで拡張されるので、OPCフィーチャは、より微細な相互作用および効果でさえも補償するために、ますます複雑にされなければならない。しかしながら、結像システムはその限界により近づけられるにつれて、十分に微細なOPCフィーチャを有するレチクルを生成する能力が重要となってくる。セリフまたは他のOPCフィーチャをマスクパターンに追加することは利点があるが、マスクパターンにおける全体のフィーチャの数も実質的に増加する。たとえば、従来の技術を用いて正方形の角の各々にセリフを追加することは、マスクまたはレチクルパターンに、さらに8つの長方形を追加する。OPCフィーチャの追加は、非常に根気のいる仕事であり、コストのかかる演算時間を必要とし、結果としてより高価なレチクルをもたらす。OPCパターンが複雑になるだけでなく、光近接効果が、最小のラインおよびスペースの寸法と比較して長い範囲になるので、与えられた位置における正しいOPCパターンは、何の他の形状が近隣にあるかに非常に依存する。したがって、たとえば、ライン端は、レチクル上でそれに何が隣接しているかに依存して、異なる大きさを有する。これは、たとえ、その目的が、ウェハ上に全く同じ形状を生成することであったとしてもである。これらのわずかではあるが重大な変化が重要であり、その他のものがレチクルパターンを形成し得ることを防止する。OPC装飾の前のデザインを反映するフィーチャである主要なフィーチャ、ならびにセリフ、ジョグ、およびSRAFを含み得るOPCフィーチャの点について、レチクル上に描画されるべきOPC装飾パターンを議論することは従来法である。わずかな変化によって意味されるものが何であるかを定量化するために、近隣から近隣への、OPC変化における典型的なわずかな変化は、主要なフィーチャの5%から80%までであり得る。明確化のために、OPCのデザインにおける変化は、何が参照されるか、ということであることに注意すべきである。ライン端の粗さおよび角の丸みのような製造上の変化も、実際の表面パターンにおいて存在する。これらのOPC変化が、ウェハ上に同じパターンを実質的に生成する場合、それが意味するところは、ウェハ上の配置が、規定された誤りの範囲内で同じであることを目標とするということであり、それは、その形状が、たとえばトランジスタまたは配線などを機能させるために設計された、機能の詳細に依存する。それにもかかわらず、典型的な仕様は、主要なフィーチャの範囲の2%〜50%である。変化を引き起こす多くの製造要因があるが、その全体の誤りのOPC要素は、しばしば、列挙された範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】表面を製造するために用いられる、可変整形ビーム荷電粒子ビーム描画システムを示す図である。
【
図3A】基板上に配置されるべきパターンのデザインを示す図である。
【
図3B】
図3Aに示されるデザインからレチクル内に形成されるパターンを示す図である。
【
図3C】
図3Bのレチクルを用いる基板のフォトレジスト内に形成されるパターンを示す図である。
【
図4A】
図3Aに示されるパターンの光近接効果補正されたバージョンを示す図である。
【
図4B】レチクル内に形成された後の、
図4Aに示されるパターンの光近接効果補正されたバージョンを示す図である。
【
図4C】
図4Bのレチクルを用いてシリコンウェハのフォトレジスト内に形成されたパターンを示す図である。
【
図5A】基板上に形成されるべきパターンのデザインを示す図である。
【
図5B】通常ドーズを用いて表面上に形成された
図5Aのパターンを示す図である。
【
図5C】通常より少ないドーズを用いて表面上に形成された
図5Aのパターンを示す図である。
【
図5D】通常より多いドーズを用いて表面上に形成された
図5Aのパターンを示す図である。
【
図6A】互いに近接近した2つのVSBショットを示す図である。
【
図6B】
図6Aの形状を通して描かれるラインに沿った、ドーズのグラフを示す図である。
【
図6C】
図6Aのショットから表面上に結果としてもたらされるパターンを示す図である。
【
図7】VSBショットフラクチャリングの概念的なフロー図の実施形態を示す図である。
【
図8A】正方形パターンのデザインを示す図である。
【
図8C】従来の重なり合わない長方形への、
図8Bのパターンのフラクチャリングを示す図である。
【
図8D】
図8Bのパターンの、スライバを用いずに従来の重なり合わない長方形へのフラクチャリングを示す図である。
【
図8E】
図8Bのパターンの、本開示に従う、重なり合わない長方形への例示的なフラクチャリングを示す図である。
【
図9A】45°回転した長方形のパターンを形成し得る、従来の重なり合わないVSBショットの組を示す図である。
【
図9B】本開示の例示的な方法を用いて45°回転した長方形のパターンを形成し得る、重なり合わないVSBショットの組を示す図である。
【
図10A】表面上に形成されるべきパターンを示す図である。
【
図10B】
図10AのパターンのOPC処理の結果である曲線パターンを示す図である。
【
図10C】本開示の例示的な方法を用いて、表面上に
図10Bの曲線パターンを形成し得る、重なり合わないVSBショットの組を示す図である。
【
図11A】シリコンウェハ上の集積回路のような基板の製造に使用するための表面の準備の仕方の、概念的なフロー図の実施形態を示す図である。
【
図11B】シリコンウェハ上の集積回路のような基板の製造に使用するための表面の準備の仕方の、概念的なフロー図の他の実施形態を示す図である。
【
図12】シリコンウェハ上の集積回路のような基板の製造に使用するための表面の準備の仕方の、概念的なフロー図のさらに他の実施形態を示す図である。
【
図13A】長方形のVSBショットからのグリフドーズマップを示す図である。
【
図13B】正方形のVSBショットからのグリフドーズマップを示す図である。
【
図14A】パラメータ化されたグリフドーズマップを示す図である。
【
図14B】
図14Aのパラメータ化されたグリフについての他のドーズマップを示す図である。
【
図15】シリコンウェハ上の集積回路のような基板の製造に使用するための表面の準備の仕方の、概念的なフロー図のさらになる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態の詳細な説明
本開示の改善点および利点は、通常以外のドーズを可能にすること、および、ショットの集合体を目標パターンから逸脱させることによって達成され得、完全に目標パターンを覆う通常ドーズのVSBショットを用いる多くの従来の実行と比較して、低減されたショット数から生成されるべきパターンを可能にする。したがって、方法およびシステムは、表面の準備に関連する長い描画時間および結果として生じる高いコストのような従前の問題に対処する、表面の製造のために提供される。
【0016】
図面を参照して、同じ番号は同じ事項を参照し、
図1は、荷電粒子ビーム描画システムのようなリソグラフィシステムの実施形態を特定し、この場合は、本開示に従って表面12を製造するために可変整形ビーム(VSB)を採用する電子ビーム描画システム10である。電子ビーム描画システム10は、開口プレート18に向けて電子ビーム16を投射する電子ビーム源14を有する。プレート18は、電子ビーム16が通過できるように形成された開口部20を有する。電子ビーム16が開口20を通過すると、レンズシステム(図示せず)によって、電子ビーム22として、他の開口プレートまたはステンシルマスク21に向けて方向付けられまたは屈折される。ステンシルマスク24は、その中に形成された、長方形や三角形のような多くの単純な形状を定める複数の開口部26を有する。ステンシルマスク24内に形成された各開口部26は、表面12においてパターンを形成するために用いられ得る。電子ビーム30は、開口部26のうちの1つから現れ、パターン28として表面12上に向けられる。表面12は、電子ビーム30と反応するレジスト(図示せず)でコーティングされている。電子ビーム22は、開口部26の多くの部分が重なるように方向付けられ、パターンの大きさおよび形状に影響を与える。表面12は、移動可能なプラットフォーム32上に取付けられる。最大屈折能力または荷電粒子ビーム30の視野サイズよりも大きいパターンが表面12上に書き込まれ得るように、表面12は、プラットフォーム32によって再位置決めすることができる。1つの実施形態においては、表面12はレチクルであり得る。この実施形態においては、レチクルは、パターンが露光された後、さまざまな製造ステップを受け、それを通してリソグラフィマスクになる。その後、マスクは、
図2に示される、光リソグラフィ装置または機械34において用いられ得る。光リソグラフィ機械34は、照明光源36と、マスク37と、概してサイズが低減されるレチクルパターン28の像をシリコンウェハ39上に投射して集積回路を生成するための1つまたはより多くのレンズ38とを備える。より一般的には、マスク37は、他の装置または機械において用いられ、パターン28を基板39上に転写する。他の実施形態においては、表面12はシリコンウェハのような基板である。
【0017】
上記に示されるように、半導体製造および他のナノテクノロジ製造は、光リソグラフィの限界に達しており、基板上に理想パターンを転写することが困難である。たとえば、
図3Aは、基板のレジスト内に形成されるべき回路を表わす理想パターン40を示す。その上に形成されるパターンを有するように企図されたレチクルおよびマスクが生成されると、レチクルはパターン40の完全な表現ではない。パターン40を表わすように企図された、レチクル内に形成され得るパターン42が
図3Bに示される。パターン42は、パターン40と比べると、より丸みを帯び、かつより短くされたフィーチャを有する。光リソグラフィプロセスにおいてパターン42が採用されると、
図3Cに示されるように、パターン44が、基板上のフォトレジストに形成される。パターン44は、理想パターン40にはあまり近くはなく、なぜ光近接効果補正が必要であるかを実証している。
【0018】
パターン40および44の間の違いを補償する取り組みにおいて、光近接効果補正が用いられる。光近接効果補正はデザインパターンを変化させ、レチクルを変化して、光回折、近接形状との光干渉、およびレジストプロセス効果によって生成される歪みを補償する。
図4A〜
図4Cは、パターン44のより良いバージョンを開発するために、どのように光近接効果補正が採用されて光リソグラフィプロセスが拡張されるかを示す。特に、
図4Aは、パターン40の変形バージョンであるパターン50を示す。角の鋭さを低下させる光学的およびプロセス効果を低減するために余分な領域が設けるため、パターン50は、パターン50のさまざまな角に付加されたセリフ(serif)要素52を有する。パターン50のレチクルが生成されると、
図4Bに示されるようなパターン54として、レチクル内に現れ得る。光近接効果補正されたパターン54が光リソグラフィ装置において用いられると、
図4Cに示されるような出力パターン56が生成される。パターン56は、パターン44よりも理想パターン40によく似ており、これは光近接効果補正によるものである。光
近接効果補正を用いることは有用であるが、すべてのパターンが変形され、または装飾されることが必要とされ、それはレチクルを生産するための時間およびコストを増加する。また、レチクル上に形成されるさまざまなパターンは、正確には、それらの間でわずかな違いがあり、OPCが適用される場合に、これは、レチクルの処理において、時間と費用を追加する。
【0019】
図1を参照して、パターンが、レジストがコーティングされた表面12へ描画される場合、表面上に結果として得られるパターンは、露光量またはドーズと呼ばれる、レジストに到達する粒子の量に依存する。可変整形ビームショットのドーズはシャッタ速度で、すなわち与えられたショットが表面上に投射される時間の長さである。「ドーズ補正」は、所与のショットについてのドーズが、たとえば、近接効果補正(proximity effect correction:PEC)のために若干修正されるプロセスステップである。このため、最適なまたは「通常の」ドーズは、全てのショットについて同じであるわけではない。
図5Aは、表面上に描画されるべき多角形パターン60のサンプルを示す。
図5Bは、通常のドーズの場合にレチクル上にもたらされるパターン62を示す。パターン62の角が、理想パターン60に比べていくらか丸みを帯びていることに注意すべきである。
図5Cは、通常より少ないドーズの場合にレチクル上にもたらされ得るパターン64を示す。パターン64は概してより細く、パターンの長手方向の端部が、通常ドーズのパターン62と比べて、いくらか短くなっている。
図5Dは、通常より多いドーズの場合にレチクル上にもたらされ得るパターン66を示す。パターン66は「より太く」、通常ドーズのパターン62と比べて、全ての寸法がわずかに大きくなっている。パターン62、64および66間の違いは、変化するドーズに対するレジストの反応によるものである。
【0020】
本開示は、VSBショットのサイズを修正するとともに、ショットドーズを変化することによって、レチクルのような表面へ異なるパターンが描画され得るという特性の利点を有する。本開示は、可変ドーズと、ショットが目標パターンを完全に覆うとともにいかなる非目標パターン領域も覆ってはいけないという従来の制約の除去とを組み合わせる。これらの技術を用いることによって、従来技術よりも少ないショットで、パターンを表面上に形成することができる。しかしながら、これらの技術の使用は、レジストにおいて通常以外のドーズから記録されるパターンを計算するために、粒子ビームシミュレーションのような正確な方法に依存する。しかしながら、完全なデザインに適用される場合は、粒子ビームシミュレーションおよびショット最適化に含まれる計算の複雑さは高い。計算の複雑さは、これまで、一律の通常ドーズを用いることを人々に強いており、完全なデザインの粒子ビームシミュレーションは必要とされない。
【0021】
本開示において説明される様々なフローは、演算装置として、適切なコンピュータソフトウェアを有する汎用コンピュータを用いて実現され得る。大量の計算が必要とされるために、複数のコンピュータまたはプロセッサコアが並列に用いられ得る。1つの実施形態においては、計算は、フローにおける1つまたはより多くの計算集中ステップについて、複数の二次元幾何学領域に分割され、並列処理をサポートする。他の実施形態においては、単一あるいは複数のいずれかで用いられる特殊目的のハードウェア装置が用いられ、汎用コンピュータまたはプロセッサコアを用いるよりも、大きな速度で1つまたはより多くのステップの計算を実行する。1つの実施形態においては、本開示において説明される最適化およびシミュレーション処理は、可能性のある解の書き換えおよび再計算の繰り返し処理を含み得、VSBショットの全体数または荷電粒子ビームの全体描画時間、あるいはいくつかの他のパラメータを最小化する。他の実施形態においては、VSBショットの初期セットは、ショット修正が必要とされないように、検証並行型設計(correct-by-construction)法において決定され得る。
【0022】
変化するドーズショットを用いる1つの複雑さは、パターンの各部についてのレジスト応答を計算することである。荷電粒子ビームシステムは、自然のぼかし半径(blurring radius)(概して20〜30nmの大きさ)を有し、各ショットの公称境界を越えて、転写エネルギをガウス分布させる。したがって、重なり合わないショットであっても、または隣接しないショットであっても、レジストの領域は、複数のショットからのドーズを受けるかもしれない。この場合、ショットの各々からのドーズは、トータルドーズを決定するために組み合わされなければならない。たとえば、単純な加算が、ドーズを組み合わせるために用いられ得る。たとえば、
図6Aは、近接近した2つのVSBショットパターン500および502を示す。
図6Bは、パターン500および502に交差するライン503に沿って受けるドーズを示す。
図6Bにおいては、パターン500についてVSBショットからのレジスト上に記録されるドーズは504であり、パターン502についてVSBショットからのレジスト上に記録されるドーズは506である。破線508は、しきい値508を示し、それより上では、レジストがパターンを記録する。点線510は、504および506が十分である領域における、504および506の組み合わせを示す。組み合わされたドーズ510は、パターン500および502の間のいかなる点においても、レジストしきい値508より下方へは行かないことに注意すべきである。組み合わせドーズ曲線510は、したがって、
図6Cに図示されるように、レジストが単一の組み合わされたパターン512としてパターン500および502を記録することを示す。他のより複雑な数学的機能も、ショットドーズを組み合わせるために用いられ、たとえば、前のショットからレジスト上に蓄積された負の電荷が、後のショットの変形および歪みを生じさせるレジスト帯電を補償する。
図6Bは、単一の寸法に沿ったドーズの計算を示す。二次元領域におけるドーズの計算は、領域を同じサイズの正方形のX−Yグリッドに分割し、各グリッド正方形についてのドーズを計算し、これらの値をドーズマップと呼ばれる二次元行列に記憶することによって行なわれる。単一のVSBショットまたはVSBショットの組み合わせによって表面上に生成されることが知られたドーズマップは、グリフと称される。グリフのライブラリは事前演算され、光近接効果補正またはマスクデータ準備機能で利用可能とされる。たとえば、パターン512は、ショット500および502からもたらされるグリフとして記憶され得る。
【0023】
領域が、通常より十分に大きいまたは十分に小さいドーズをレジスト上に受ける場合に、表面上に結果として得られるパターンを予測することは、非常に困難なことである。粒子ビーム露光シミュレーションが、結果として得られるパターンを決定するために用いられる。このプロセスは、レジストコーティングされた表面の、荷電粒子ビームシステムによる露光をシミュレートし、荷電粒子ビームシステムの物理特性、ならびに、レジストおよびレジスト下層の表面の電気光学特性および化学特性を説明する。粒子ビーム露光シミュレーションは、前方散乱、後方散乱、レジスト拡散、クーロン効果、エッチング、フォギング、装荷(loading)、およびレジスト帯電を含む荷電粒子ビーム露光プロセスの様々な理想的でない効果をモデル化するために用いられる。これらの効果のほとんどは、短い範囲の効果であり、各VSBショットはパターンに隣接する部分にのみ影響を与えることを意味する。しかしながら、後方散乱、フォギング、および装荷は、長い範囲の効果であり、パターンの小さい部分のみが考慮される場合には、正確にはシミュレートすることができない。レジスト帯電は、短い範囲の効果であるが、最終ショット露光シーケンスが知られた後に計算されなくてはならない。
【0024】
たとえば、
図7は、フラクチャリングと呼ばれるプロセスである、グリフを事前計算する事によりパターンについてのVSBショットを生成するためのフローの1つの実施形態を示す。
図7のフロー900においては、所望パターン902は、表面上に形成されるべ
きパターンであり、プロセスへの一次入力である。ステップ904にて、エッチング補正が、エッチングモデル906に基づいて計算され得る。ステップ904は、エッチング前にレジスト上に形成されるべき所望パターンである、所望のレジストパターン908を生成する。したがって、所望レジストパターン908は、グリフと一致するための目標パターンである。個別に、ステップ922にて、VSBショット920の組み合わせがシミュレートされ、グリフ926のライブラリへ追加するためのグリフを生成する。粒子ビームシミュレーションステップ922は、1つまたはより多くの短い範囲の露光効果924についてのモデルを用いる。したがって、グリフライブラリ926内の結果として得られるグリフは、グリフ内のショットについて、短い範囲の露光効果を事前補償される。ステップ910においては、グリフライブラリ910からのグリフが選択され、かつ配置され、組み合わされたドーズマップからレジスト上に形成されるパターンが、エッチング補正された所望パターン908に予め定められた許容範囲で一致するように、グリフドーズマップが組み合わされる。ステップ910は、グリフの選択および配置において、1つまたはより多くの長い範囲の露光効果912を用いる。ステップ910の出力は、VSBショット914の初期リストであり、それは選択されたグリフの各々からのショットである。その後、VSBショット914の初期セットがステップ916にてシミュレートされ、さらに補正されまたは修正される。任意的なステップ917において、
ステップ916からのシミュレートされたパターンが所望レジストパターン908と比較されて、2つのパターンが予め定められた許容範囲内に一致するかどうかを決定する。本発明のいくつかの実施形態においては、ステップ910および916は、検証並行型設計法を用いて、検証されたショットリストを直接生成し、ステップ917をスキップする。予め定められた許容範囲内の一致が見出せない場合は、ステップ916からのシミュレートされた粒子ビームパターンがエッチング補正された所望パターン908の予め定められた許容範囲内になるまで、ステップ916において、追加の補正およびシミュレーションがなされ得る。予め定められた許容範囲内の一致を達成することができない場合は、ステップ917において用いられる許容値も調整され得る。ステップ917の結果は、荷電粒子ビームシステムを用いた、レジストコーティングされた表面への描画に適した、検証されたショットリスト918である。
【0025】
図8A〜
図8Eは、ショットができるだけ近く目標パターンを満たすようには制約されない場合に、変化するドーズのショットの使用がどのようにショット数を低減するかの例を示す。
図8Aは、電子自動設計ソフトウェアシステムによって生成され得るコンタクト(contact)のような、基板上にパターンを形成する光リソグラフィで用いられるべき所望パターン118を示す。パターン118は、正方形の形状である。
図8Bは、パターン118のOPC処理によって生成され得る曲線パターン120を示す。パターン120は、光リソグラフィプロセスを用いるためのマスクをつくることにおいて用いるためにレチクル上に形成されるべきものである。
図8Cは、従来技術によるVSBショットを用いてレチクル上にパターン120を書き込むために用いられ得る、重なり合わない長方形の1つの組122を示す。理解されるように、長方形122の組の集合体は、形状120にほぼ近似する。しかしながら、スライバ(sliver)と呼ばれる、幅に対する長さの高いアスペクト比を有するショットが照射される場合は、いくつかの荷電粒子ビームシステムは、比較的不正確となる。したがって、長方形122の組は、フラクチャリングソフトウェアによって従来的には生成されない。
図8Dは、表面へ形状120を描画するために従来的に用いられ得る、重なり合わない形状の他の組−長方形と三角形−を示す。この形状の組は、スライバを使用せずにVSB技術を用いて照射することができる。ショットグループ124には7つのショットがある。しかしながら、理解できるように、集合化されていないショットの組124は、パターン120にはあまり類似していない。
図8Eは、適当なドーズを用いて、所望パターン120近いレチクル上のパターンを記録することができる、本開示の5ショットのグループ130を示す。ショットグループ130は、ショット132と、ショット134と、ショット136と、ショット138と、ショット140とからなる。ショットグループ130内のショットのドーズは、互いに対して変化し得る。レジスト上に記録されたパターンは形状142であり、予め定められた許容範囲内で所望パターン120と等価である。5ショットのグループ130は、7ショットのグループ124よりも所望パターン120に近いパターンを、レジスト上に記録することができる。この例は、変化するドーズの使用、および、ショットの集合体が目標パターンと異なることを可能にすることが、ショット数を低減するためにどのように効果的に用いられ得るかを示す。単純なショットの集合体によって形成されるパターンとは実質的に異なるパターンが形成され得る。さらに、デカルト平面の軸に平行なショットを用いても、曲線形状が形成され得る。ショットグループ130は、事前計算され、コンタクトパターン118と一致するすべてのコンタクトで用いるためのグリフとして利用可能とされ得る。
【0026】
図9A〜
図9Bは、従来法と比較して、本開示の技術を用いる場合に、どのようにショット数が低減されるかをさらに示す。
図9Aは、集積回路デザインについての相互接続ワイヤのような、45°回転した長方形のパターンを形成するために、従来のVSBショットがどのように用いられ得るかの例150を示す。例150においては、長方形および三角形の両方のVSBショットが用いられる。VSBショットの組の幾何学的集合体は、目標パターン領域をちょうど覆っている。全てのショットは通常ドーズを用い得る。このパターンを形成するために、5個の長方形と13個の三角形とを含む18個のショットが必要とされる。
図9Bは、本開示に従う、重なり合わないショットの組を用いて、
図9Aと同じ45°の長方形パターンが、どのように形成され得るかの例152を示す。
図9においてわかるように、ショットの集合体は、いくつかのショットが所望パターンの境界を越えて拡がっており、かつ、所望パターンの全てが完全に覆われているわけではないという点で、目標パターン領域から逸脱している。通常とは異なるショットドーズが用いられ得る。粒子ビームシミュレーションが用いられて、ショットの組から形成されるであろうパターンを計算し、形成されるであろうパターンが、所望の許容範囲内で目標パターンと等価である検証を可能とする。この例152においては、このパターンを形成するために、13個の重なり合わないショットが用いられる。また、
図9Bの技術は、30°回転した長方形のような、全ての角度のパターンに用いられ得ることに注意すべきである。これに対して、
図9Aの従来法は、端部が45°の倍数でない角度を有する場合には、良く機能し得ない。なぜなら、多くのVSB荷電粒子ビームシステムについての三角形の開口部は、45°の直角三角形だからである。
【0027】
図10A〜
図10Cは、VSBショットの集合体が目標パターンと等しくない場合に、より複雑なパターンが、どのようにVSBショットで形成され得るかの例を示す。
図10Aにおいては、パターン180は、たとえば、光リソグラフィプロセスの使用のためにコンピュータ支援設計ソフトウェアによって生成され得る2つの正方形182および184で構成される。
図10Bは、パターン180のOPC処理によって生成され得る対応するパターン186を示す。この例は、2つの全く同じ形状182および184のOPC処理が、わずかに異なる形状の組を結果として生成し得ることを示す。多くの従来的のVSBショットが、パターン186をレチクル上に形成するために必要とされる。
図10Cは、本開示に従う、曲線パターン186をレチクル上に生成し得る、重なり合う可変ドーズVSBショット196の組を示す。ショット196の組の集合体は、できるだけ近く目標パターンに一致しているわけでない。
図10Cにおいては、最小ショットサイズまたは最大ショットアスペクト比の制限は観察されなかった。
図10Cに示されるように、ショット196の組は、スライバと呼ばれる多くの狭いショットを含む。重なり合うショットを用いる場合とは異なって、重なり合わないショットが、曲線パターンを生成するために用いられる場合、いくつかのスライバは、不可避であり得る。
【0028】
図11Aは、光リソグラフィを用いたシリコンウェハ上への集積回路のような基板の製造に用いる表面を準備するための、本開示の実施形態の概念的なフロー
図250である。
最初のステップ252において、集積回路の物理設計のような物理設計が設計される。これは、論理ゲート、トランジスタ、金属層、および集積回路のような物理設計に見出されるように要求される他の事項を決定することを含み得る。次に、ステップ254において、光近接効果補正が決定される。本開示の実施形態においては、これは、事前
計算されたグリフまたはパラメータ化されたグリフの入力を採用することを含み得、それは、有利にも、OPCを実行するための計算時間を低減し得る。本開示の実施形態においては、OPCステップ254は、ショット数または描画回数の同時最適化も含み得、そして、フラクチャリング演算(fracturing operation)、重なり合うショットを可能にするショット配置演算、通常ドーズ以外を可能とするドーズ割り当て演算も含み得、あるいは、ショットシーケンス最適化演算または他のマスクデータ準備演算も含み得る。OPCステップ254は、粒子ビームシミュレーションも用い得る。光近接効果補正が完了すると、ステップ256において、マスクデザインが現像される。ステップ258において、フラクチャリング演算、ショット配置演算、ドーズ割り当て演算、またはショットシーケンス最適化を含み得る、マスクデータ準備が実行され得る。OPCステップ254またはMDPステップ258のいずれか、あるいはこれら2つのステップ254または258と独立した分離プログラムが、要求されるパターンのすべてまたは大部分をレチクル上に描画するために表面上に照射され得る、多くのグリフまたはパラメータ化されたグリフを決定するためのプログラムを含み得る。OPCと、1つのステップにおけるマスクデータ準備のさまざまな演算のいくつかまたはすべての組み合わせが、本開示において意図される。マスクデータ準備(mask data preparation:MDP)ステップ258は、通常以外のドーズ割り当てが可能とされ、かつ生成されたショットの組の集合体がレチクル上の目標パターンの組と異なり得る、フラクチャリング演算を含み得、粒子ビームシミュレーションも含み得る。MDPステップ258は、決定されたグリフの組の組み合わせに基づいて、表面上のパターンを計算するような演算、および、マスクデザインに近く一致する計算された表面パターンを創出するためにグリフの組を修正するような演算も含み得る。マスクデータ準備は、表面上に形成されるべきパターンを、わずかに異なるいくつかのパターンとともに入力すること、およびショット数またはトータル描画回数を低減するためのショットドーズの変化またはショットの重なり合いの変化を計算するための、粒子ビーム露光シミュレーションを用いることも含み得る。表面上のわずかに異なるパターンの組は、基板上に実質的に同じパターンを生成するように設計され得る。マスクデータ準備が完了すると、表面が、電子ビーム描画システムのようなマスク描画機械において生成される。この特定のステップは、ステップ262として定義される。ステップ264に示されるように、電子ビーム描画システムは、表面上にパターンを形成するために、表面上のステンシルマスクにおける開口部を通して電子のビームを投射する。完成した表面は、その後、光リソグラフィ機械において用いられ得、それはステップ266に示される。最後に、ステップ268において、シリコンウェハのような基板が製造される。グリフ生成ステップ274は、ステップ276におけるグリフまたはパラメータ化されたグリフの組に対して情報を提供する。上述のように、グリフ生成ステップ274は、粒子ビームシミュレーションを用い得る。また、論じたように、グリフまたはパラメータ化されたグリフステップ276は、OPCステップ254またはMDPステップ258に情報を提供する。
【0029】
図11Bは、シリコンウェハ上の集積回路のような基板の製造に使用するための表面の
演算方法の、より詳細なフロー
図280であり、OPCおよびMDP演算が単一のステップに有利にも組み合わされている。最初のステップ282において、集積回路の物理設計のような物理設計が取得される。物理設計は、従来のCAD物理設計ソフトウェアから直接的に取得される集積回路デザインであり得、あるいは、たとえば、ブール演算、サイジング、バイアシング、または1つまたは複数の設計層の再標的化(retargeting)を実行
することによる集積回路設計から生成され得る。次に、ステップ284において、OPCおよびMDP演算が、マスクデータ補正(Mask Data Correction:MDC)と称される単一のステップにおいて実行される。荷電粒子ビーム描画システムおよびマスク製造プロセ
スの特性に関する情報296が、MDCステップに供給される。情報296は、たとえば、前方散乱、後方散乱、レジスト拡散、クーロン効果、レジスト帯電、フォギング、最大ショットサイズ、最大ショットアスペクト比、およびショットの幾何学的記述を含み得る。情報296は、有望なVSBショットのライブラリも含み得る。他の実施形態においては、事前演算された、または事前計算されたグリフ297のライブラリも、MDCステップに供給される。OPCを実行するために必要とされる情報298も、MDCステップ284に供給される。MDCステップ284は、光近接効果補正298を実行するときに、荷電粒子ビームシステムおよびプロセスに関する、利用可能な情報296を使用する。MDCステップ284は、所望のウェハイメージ294を達成するために、生成されたVSBショットの組を最適化する。所望のウェハイメージ、すなわちMDCステップの目標は物理設計282であり得、または物理設計282から抽出され得る。最適化は、VSBショット、それらの配置、およびそれらのドーズの選択を含み得る。VSBショット、それらの配置、およびそれらのドーズの選択は、荷電粒子ビームシステム情報296、VSBショットのデータベース、グリフのライブラリ、またはそれらの組み合わせに基づき得る。分割されたデータの最適化は、マスクデータイメージのシミュレーション、シミュレートされたマスクイメージに基づくウェハイメージのシミュレーション、シミュレートされたウェハイメージと目標ウェハイメージとの比較を含み得る。そのような比較の結果は、最適化基準として用いられ得る。他の最適化基準は、さらに、VSBショット数、VSBショットの最小サイズ(すなわち、スライバ)、同一環境における同一の目標ウェハイメージについての同一のVSBショットの組の生成、および物理設計282に対称パターンを描画するための対称的なVSBショットの組の生成を含み得る。次に、MDCステップ284によって生成された準備されたマスクレイアウト286が、マスク描画システム288において用いられ、表面290上にパターンを生成する。その後、完了した表面は、光リソグラフィ機械において用いられ、ステップ292に示される。最後に、ウェハ上のイメージがステップ294にて生成される。
【0030】
図12を参照して、光リソグラフィを用いてシリコンウェハ上への集積回路のような基板の製造に用いるための表面の準備方法の、他の概念的フロー
図300が示され、マスクデータ準備出力から生成されたマスクデザインが、等価基準に基づくポストOPCマスクデザインと比較される。第1のステップ302において、集積回路の物理設計のような物理設計が設計される。これは、設計者が基板上に転写されることを望んでいる理想パターンであり得る。次に、ステップ304において、ステップ302において生成された理想パターンの光近接効果補正が決定される。これは、準備に必要とされるグリフを選択することを含み得る。光近接効果補正は、有望なグリフを入力することも含み、そのグリフは、変化するショットのドーズまたは変化するショットの重なり合いを計算するために、粒子ビーム露光シミュレーションを用いて決定される。さらに、光近接効果補正は、有望なグリフから1つのグリフを選択すること、選択されたグリフに基づいて基板上に転写されるパターンを演算すること、および、演算されたパターンが予め定められたしきい値より大きい程度に所望の補正されたパターンと異なっている場合に他のグリフを選択することを含み得る。光近接効果補正が完了すると、ステップ304においてマスクデザインが現像される。その後、ステップ306において、マスクデザインが準備される。マスクデザインが準備されると、マスクデザインのさらなる拡張がマスクデータ準備ステップ308において実行される。マスクデータ準備は、選択されたグリフの組の組み合わせに基づいて表面上のパターンを計算するような演算、および、そのグリフの組を修正してマスクデザインに近く一致する表面パターンを創出するような演算も含み得る。検証並行型設計(correct-by-construction)「決定性」計算が実行される潜在的には1回だけの反復を含む、パターンマッチング、ドーズ割り当て、および等価性検証の反復も実行され得る。これらのステップは、拡張された等価マスクデザインの準備を支援する。
【0031】
マスクが拡張されると、VSBショットの組のような等価マスクデザインが、ステップ310にて生成される。等価マスクデザインが、マスクデザインと本当に等価であるかどうかを決定するために用いられ得る試験のための2つの動機付けがある。1つの動機付けは、マスク検査を通過することである。他方の動機付けは、チップまたは集積回路が、製造されたときに適切に機能することを確認することである。パターンマッチング演算が一致を宣言する緊密さは、一組の等価基準によって決定され得る。等価基準は、少なくとも部分的に、リソ等価(litho-equivalence)によって駆動され得る。リソ等価は、予め定められた一組の幾何学的規則、一致、一部一致または不一致を宣言する一組の数学式によって、あるいは、マスクデザインのリソグラフィシミュレーションおよび等価マスクデザインのリソグラフィシミュレーションを実行するとともに、2つの結果を予め定められた一組の幾何学的規則または一致、一部一致または不一致を宣言する一組の数学式と比較することによって決定され得る。MDPステップ308は、予め決定されたグリフの組、またはパラメータ化されたグリフを用いて、結果として得られる等価マスクデザイン310が等価基準を満たすことを保証しつつ、ショット数または描画時間について最適化し得る。他の実施形態においては、OPCおよびMDPは、検証並行型設計において組合わされ得、そのような場合においては、等価マスクデザイン310から別個に生成されるマスクデザイン306はなくてもよい。
【0032】
等価マスクデザインが正しいことが決定されると、電子ビーム描画システムのような荷電粒子ビーム描画システムにおいて表面が処理される。このステップは、ステップ314マスク描画として認識される。電子ビーム描画システムは、表面上のステンシルマスクにおける開口部を通して電子のビームを投影して、表面上にパターンを形成する。表面は、ステップ316において、マスクイメージが完成する。完成した表面は、その後、光リソグラフィ機械で用いられ、それはステップ318に示されており、表面上に見出されるパターンをシリコンウェアのような基板に転写して集積回路を製造する。最後に、ステップ320にて、半導体ウェハのような基板が生産される。グリフ生成ステップ326は、ステップ328における一組のグリフまたはパラメータ化されたグリフに情報を提供する。先述のように、グリフ生成ステップ326は、粒子ビームシミュレーションを用い得る。また、論じたように、グリフまたはパラメータ化されたグリフステップ328は、OPCステップ304またはMDPステップ308のいずれかに情報を提供する。
【0033】
再び
図11Aを参照して、上述のように、1つの実施形態においては、OPCステップ254は、MDPステップ258の様々な機能を含み得る。光近接効果補正システムは、事前演算されたまたは事前計算されたグリフの大きなライブラリとともに開始し得る。光近接効果補正システムは、その後、集積回路の元の物理設計のレチクル設計への光近接効果補正変換の実行において、できるだけ多くの利用可能なグリフを用いるように試みる。グリフは、関連するショット数および描画時間最適値を用いて各々印付けられ、光近接効果補正システム、マスクデータ準備システム、またはいくつかの従属プログラムは、より少ないショット数または描画時間を選択することによって、ショット数または描画時間を最適化し得る。最適化は、各グリフが、パターンが一致するようにグリフを選択する特定の順序で、ショット数または描画時間を選択するための最良のグリフであるものを最適化するように選択される欲深い(greedy)手法で、あるいは、グリフ選択の交換が全体のショット数または描画時間を最適化する、シミュレートされたアニーリング(annealing)を用いるような反復最適化手法で実行され得る。いくつかの所望パターンは、利用可能なグリフの組を用いて、レチクル上に形成することができないという可能性があり、そのようなパターンは事前演算されたグリフの一部ではない個々のVSBショットの使用によって形成されることを必要とする。
【0034】
図15を参照して、シリコンウェハのような基板上に直接描画される表面の準備方法の他の概念的なフロー
図700が示される。最初のステップ702において、集積回路の物理設計のような物理設計が決定される。これは、設計者が基板上に転写されることを望んでいる理想パターンであり得る。次に、ステップ704において、近接効果補正(proximity effect correction:PEC)および他のデータ準備:(data preparation:DP)ステップが実行され、基板描画装置への入力データを準備し、ここで物理設計の結果は、わずかに異なる多くのパターンを含む。ステップ704は、ステップ724から有望なグリフまたはパラメータ化されたグリフを入力することも含み、そのグリフはVSBに基づいており、そのグリフは、グリフ生成ステップ722において、変化するショットドーズまたは変化するショット位置の計算を用いて決定される。ステップ704は、選択されたグリフの組の組み合わせに基づいてウェハ上のパターンを計算するような演算、および、そのグリフの組を修正して、ステップ702において創出された物理設計に近く一致する計算されたウェハパターンを創出するような演算も含み得る。検証並行型設計「決定性」計算が実行される潜在的には1回だけの反復を含む、パターンマッチング、ドーズ割り当て、および等価性検証の反復も実行され得る。ステップ704の結果は、一組のウェハ描画指令706である。ウェハ描画指令706は、その後、電子ビーム描画システムのような、ウェハ描画機械においてウェハを準備するために用いられる。このステップは、ステップ710として認識される。電子ビーム描画システムは、表面上の開口部を通して電子ビームを投影して、表面内にパターンを形成する。表面はステップ712において完成する。グリフ生成ステップ722は、ステップ724における一組のグリフまたはパラメータ化されたグリフへ情報を提供する。グリフまたはパラメータ化されたグリフは、PECおよびデータ準備ステップ704へ情報を提供する。ステップ710は、潜在的には、
図11Aおよび
図12に関連して説明された方法を用いたいくつかの処理、および
図15を参照して上記概説した方法を用いた他の処理、またはシリコンウェハ上に集積回路を生成するための他のウェハ描画方法を用いて生成された他のものを有する、各層の処理に必要とされる繰り返しアプリケーションを含み得る。
【0035】
グリフ生成は、ショットまたはショットのグループについての、ドーズマップを計算し、将来の使用のために、ショット情報および計算されたドーズマップを記憶するステップである。計算されたドーズマップは、グリフを備えるショットから、レジストコーティングされた表面によって受容されるドーズを表わす。
図13Aおよび
図13Bは、光近接効果補正、フラクチャリング、近接効果補正、またはマスクデータ準備の他のステップによって用いられ得るグリフの例を示す。
図13Aは、1つの長方形VSBショットの二次元ドーズマップ600の例を示す。ショットの公称輪郭602も示される。この例におけるVSBショットの公称ドーズは、通常ドーズの1.0倍である。各グリッドに示される値は、表面上のX,Yサンプルにおいて表面が受容する通常ドーズの計算された分割を表わす。理解されるように、VSBショットの公称境界外部においてかなりのエネルギが記録されている。このグリフが、十分なドーズを与える他のショットなしで、レジストしきい値0.6を有するレジストコーティングされた表面上に照射された場合、レジストは、長方形ショットの輪郭602と同じパターンを記録する。
図13Bは、単一の正方形のVSBショットのグリフドーズマップ620の例を示し、公称ショット輪郭622も示される。この例におけるショットの公称ドーズは、通常ドーズの0.6倍である。このグリフが、十分なドーズを与える他のショットなしで、レジストしきい値0.5を有するレジストコーティングされた表面上に照射された場合、レジストは、全ての側面について、ショットよりわずかに小さいパターンを記録し、それにおいては、パターンの角が丸くなっている。ドーズグリッド600および620は、例示のためだけであり、実際のものよりも粗い。1nmから40nmの間のグリッドサイズは、表面の縮尺において、現代の半導体プロセスについてのグリフドーズを計算するために有効であり得る。さらに、グリフ生成の1つの実施形態においては、ドーズは600および620に示されるような二次元ドーズマップとしては記憶されないが、ドーズ値の二次元の組を創出するための指令として記憶され得る。
【0036】
図14Aおよび
図14Bは、パラメータ化されたグリフの例を示す。
図14Aに示されるドーズマップは、幅812、またはこの例においては8グリッド単位の長方形ショット804のためのものである。2つの縦のライン806および808は、幅810またはこの例における4グリッド単位のドーズマップの領域を定める。ドーズマップ802のこの領域810内は、各行におけるすべてのグリッドの正方形は、同一のドーズ値を有する。
図14Bは、幅832またはこの例においては12グリッド単位の長方形ショット824のためのドーズマップ820を示す。ドーズマップ820は、縦のライン826と828との間において、ドーズマップ820がライン806と808との間に含むものより、4つ多くのグリッドコラムをドーズマップ820が含むことを除いては、グリッド正方形のドーズ値を含むドーズマップ802と類似する。ドーズマップ820の「伸縮可能な」部分は、幅830またはこの例においては8グリッド単位である。
図14Aのライン806および808間または
図14Bのライン826および828間のような、ドーズが伸縮可能な寸法に沿って同一である伸縮可能なまたはパラメータ化可能な領域を特定することによって、ショット804および824のような同じ高さの長方形ショットについてのドーズマップが、812よりも大きな任意の幅のショットについて生成され得る。荷電粒子ビームシステムの限界は、この方法がドーズマップを生成するために用いられ得る長方形ショットのサイズをさらに制限し得る。他の実施形態のおいては、ドーズマップ内の繰り返されるドーズパターンによって、ドーズマップが、単一のショットについて、または
図14Aおよび
図14Bの例のような連続的な長さというよりはむしろ離散的な長さのみのショットのグループについて生成されることを可能とする。この例は、パラメータ化されたグリフについてのドーズマップが、どのように生成され得るかを示す。他の例においては、高さあるいは半径のような、他の寸法がパラメータ化され得る。
【0037】
本明細書は、特定の実施形態に関して詳細を説明したが、当業者が、上述の理解に到達することについて、これらの実施形態の変更、修正、および均等物を容易に相当し得ることは明らかであろう。可変整形ビームリソグラフィを用いたレチクルの設計および製造のための本システムおよび方法についての、これらのおよび他の修正および変形は、添付の特許請求の範囲により特定的に記載される本主題の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって実現され得る。さらに、当業者は、上記説明は例示に過ぎず、限定されるべきことが意図されていないことを理解するであろう。したがって、本主題は、添付された特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内のものとして、そのような修正および変形に及ぶことが意図される。