(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の光学要素の位置制御装置において、上記撮影光学系に加わる振れに応じて、上記防振移動部材を光軸と直交する面に沿う任意の位置に駆動して像振れ補正を行う防振駆動手段を備え、上記後方支持部材は、上記防振駆動手段による上記防振移動部材の移動位置を検出する検出部材を保持している光学要素の位置制御装置。
請求項1または2記載の光学要素の位置制御装置において、上記挿脱移動部材は光軸と平行な第1の回動軸を中心として回動可能に上記防振移動部材に軸支されており、上記離脱駆動部材は、上記第1の回動軸と平行な第2の回動軸を中心として回動可能に上記後方支持部材に軸支されている光学要素の位置制御装置。
請求項3記載の光学要素の位置制御装置において、上記後方支持部材は上記第2の回動軸の周囲に、上記離脱駆動部材が上記離脱強制位置から上記挿入許容位置に回動したときに該離脱駆動部材に当接してそれ以上の回動を規制する回動規制壁部を有する光学要素の位置制御装置。
請求項3または4記載の光学要素の位置制御装置において、上記後方支持部材は、周方向の一部が接続せずに開かれた光軸を囲む開放枠状体であり、該開放枠状体の周方向の一端部に設けた軸座部から上記第2の回動軸が突出形成されている光学要素の位置制御装置。
請求項3ないし5のいずれか1項記載の光学要素の位置制御装置において、上記挿脱移動部材は、光軸と平行な軸線の円筒状突起の外周面からなる被押圧部を有し、上記離脱駆動部材は、その回動半径方向に向く平面からなる離脱押圧部を有し、
上記挿脱移動部材が上記挿入位置にありかつ上記離脱駆動部材が上記挿入許容位置にあるとき、上記被押圧部と上記離脱押圧部が離間して対向し、上記離脱駆動部材が上記挿入許容位置から上記離脱強制位置に向けて回動すると、上記離脱押圧部が上記被押圧部に当接する光学要素の位置制御装置。
請求項7記載の光学要素の位置制御装置において、上記分力付与部材は、撮影状態で上記進退環よりも像面側に位置する固定部材に設けられ、該固定部材から物体側に突出された突出部からなる光学要素の位置制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のレンズ鏡筒では、光軸方向に移動可能なレンズ群筒内に固定枠を備え、この固定枠との間に鋼球(転動体)を挟んで振動枠が光軸と直交する面内で移動可能に支持されている。振動枠上には、ブレ補正レンズ群を保持するブレ補正レンズ群室が、軸線を光軸と平行とする回転軸を中心として回転可能に軸支されている。振れ補正時には、アクチュエータによって、振動枠が鋼球による支持部分を介して固定枠に対してスムーズに移動される。レンズ鏡筒を収納するときには、レンズ群筒が像面側(光軸方向後方)に移動されてCCD台に接近する。すると、CCD台に設けた駆動部のカム面部に対してブレ補正レンズ群室の当接部が当接し、カム面部に対して当接部を摺動させることでブレ補正レンズ群室が回転軸回りに回転する。この回転によりブレ補正レンズ群が光軸上から退避される。このような構成では、レンズ鏡筒の収納動作時にカム面部と当接部が当接した状態で、ブレ補正レンズ群室に光軸方向の負荷がかかり、この負荷が振動枠にも伝わる。前述の通り、振動枠と固定枠の間には鋼球が挟持されており、光軸方向の負荷が作用すると、振動枠や固定枠における挟持面に鋼球の打痕が形成されるおそれがある。このような打痕は振動枠の動作精度に悪影響を与えてしまう。特許文献1ではその対策として、固定枠の物体側(光軸方向前方)に振動枠を配置し、付勢バネによって振動枠を、鋼球を加圧する方向(固定枠への接近方向)に付勢している。カム面部によりブレ補正レンズ室に光軸方向の負荷が加えられると、振動枠は付勢バネの付勢力に抗して物体側に移動し、鋼球に過大な負荷がかかることが防止される。
【0005】
特許文献1の構成では、固定枠に対する振動枠の物体側への移動の自由度が高すぎると、挟持状態を維持できずに鋼球が脱落してしまうおそれがあるので、付勢バネには所定以上の付勢力が必要とされる。一方で、付勢バネによる付勢力が強すぎると、固定枠に対する振動枠の移動負荷が過大になってしまう。そのため、カム面部による押圧力が伝達されて振動枠が固定枠から離間しようとする状況下でも鋼球の保持を確実にさせつつ、像振れ補正時における振動枠への移動抵抗を抑制するという二律背反的な要求を満たすべく、付勢バネの力の調整が非常に難しくなる。
【0006】
また特許文献1の構成では、ブレ補正レンズ群室をカム面部で押圧するため、ブレ補正レンズ群室に対して光軸方向の負荷がかかることが避けられない。ブレ補正レンズ群室はレンズ群の保持部材であり、その位置精度が直接的に光学性能に影響するので、位置精度の管理の観点からはできるだけ負荷をかけないことが望ましい。加えて、ブレ補正レンズ群室は振動枠上に保持されているため、振動枠の移動位置によってはブレ補正レンズ群室側の当接部とCCD台側のカム面部の相対位置がずれてしまい、互いの当接箇所を精度良く決めることが難しい。そのため、ブレ補正レンズ群室の退避動作がスムーズに行われなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、像振れ補正のための移動と、光軸上への挿脱移動が可能な光学要素の位置制御装置において、設計の自由度に優れた簡単な構成で負荷の少ない高精度な駆動を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による光学要素の位置制御装置は、撮影光学系の光軸方向に移動可能で、撮影状態から撮影を行わない収納状態になるとき光軸方向における物体側から像面側に移動される進退環と、進退環に対して光軸と直交する面に沿って移動可能に支持される防振移動部材と、光学要素を保持して防振移動部材上に支持される挿脱移動部材を備える。防振移動部材上で挿脱移動部材は、撮影光学系の光軸上に光学要素を位置させる挿入位置と、該光軸上から光学要素を離脱させる離脱位置に移動可能に支持されており、撮影状態では挿入保持手段によって挿入位置に保持されている。さらに、防振移動部材及び挿脱移動部材よりも像面側に位置させて進退環に対して固定された後方支持部材と、この後方支持部材に対して光軸と直交する面に沿って移動可能に支持された離脱駆動部材を備えている。離脱駆動部材は、挿入位置にある挿脱移動部材に対して当接せず防振移動部材の可動範囲内での該挿脱移動部材の移動を規制しない挿入許容位置と、挿脱移動部材に当接して挿入位置から離脱位置へ押圧移動させる離脱強制位置に移動可能であり、挿脱制御手段によって、撮影状態では挿入許容位置に保持され、進退環が撮影状態の位置から収納状態の位置へ光軸方向に移動するとき挿入許容位置から離脱強制位置へ移動される。
【0009】
撮影光学系に加わる振れに応じて、防振駆動手段によって防振移動部材を光軸と直交する面に沿う任意の位置に駆動させて像振れ補正を行わせ、後方支持部材は、この防振駆動手段による防振移動部材の移動位置を検出する検出部材の保持手段として用いるとよい。
【0010】
挿脱移動部材と離脱駆動部材はそれぞれ、光軸と平行な第1の回動軸と第2の回動軸を中心として回動可能に防振移動部材と後方支持部材に軸支された回動部材として構成することが好ましい。
【0011】
この場合、後方支持部材において離脱駆動部材を支持する第2の回動軸の周囲に、離脱駆動部材が離脱強制位置から挿入許容位置に回動したときに該離脱駆動部材に当接してそれ以上の回動を規制する回動規制壁部を形成することが好ましい。
【0012】
後方支持部材は任意の形状とすることができるが、具体的な態様として、周方向の一部が接続せずに開かれた光軸を囲む開放枠状体として後方支持部材を形成し、その周方向の一端部に設けた軸座部から離脱駆動部材を支持する第2の回動軸を突出形成させることができる。
【0013】
挿脱移動部材には、光軸と平行な軸線の円筒状突起の外周面からなる被押圧部を備え、離脱駆動部材には、その回動半径方向に向く平面からなる離脱押圧部を備え、挿脱移動部材が挿入位置にあって離脱駆動部材が挿入許容位置にあるときに被押圧部と離脱押圧部が離間して対向し、離脱駆動部材が挿入許容位置から離脱強制位置に向けて回動すると、離脱押圧部が被押圧部に当接するように構成するとよい。
【0014】
挿脱制御手段の構成要素として、離脱駆動部材を挿入許容位置方向に移動付勢する付勢部材と、進退環が撮影状態の位置から収納状態の位置へ光軸方向に移動するときに付勢手段に抗して離脱駆動部材を離脱強制位置に押圧移動させる分力付与部材を設けるとよい。分力付与部材は、撮影状態では離脱駆動部材に対して光軸方向に離間しており、撮影状態から収納状態になるときの進退環の光軸方向移動によって離脱駆動部材に当接し、離脱駆動部材に対して挿入許容位置から離脱強制位置への移動分力を与える。分力付与部材の具体的な構成として、撮影状態で進退環よりも像面側に位置する固定部材に物体側への突出部を設けるとよい。
【0015】
進退環に対する防振移動部材の支持構造として、像面側を向く対向面を進退環に形成し、物体側を向く対向面を防振移動部材に形成した上で、これらの対向面間に、進退環に対する防振移動部材の光軸直交面内での移動を許す防振案内部材を挟持し、両対向面を接近させる方向に防振移動部材を移動付勢するとよい。
【0016】
挿脱移動部材の挿入保持手段は、挿脱移動部材を挿入位置に移動付勢する付勢部材と、防振移動部材に設けられ、付勢部材の付勢力によって挿脱移動部材が当接して挿入位置を定めるストッパとを備えた構成にするとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光学要素に像振れ補正のための移動を行わせる防振移動部材と、該光学要素を光軸上に挿脱移動させる挿脱移動部材を進退環内に支持させた光学要素の位置制御装置において、進退環に対して固定される後方支持部材に支持させた離脱駆動部材によって挿脱移動部材を離脱位置へ押圧移動させる構造としたため、光学要素を保持する挿脱移動部材や、この挿脱移動部材を支持する防振移動部材に対して光軸方向の負荷をかけずに撮影状態から収納状態への動作を行わせることができる。また、防振移動部材の位置に影響されずに挿脱移動部材の離脱動作を行わせることができる。さらに、防振移動部材よりも像面側に位置させて進退環に固定されている後方支持部材によって離脱駆動部材を支持したことにより、進退環や防振移動部材による制約を受けずに離脱駆動部材を配置することが可能となり、進退環や防振移動部材の形状の設定自由度も高くなる。よって、設計の自由度に優れた簡単な構成で、光学要素の防振動作や挿脱動作を低負荷かつ高精度に行わせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図に示す防振レンズブロック10は、レンズ鏡筒の撮影光学系の一部を構成する防振挿脱レンズ(光学要素)12を支持するものであり、直進移動環(進退環)14内にシャッタユニット(進退環)16、防振枠(防振移動部材)18、挿脱枠(挿脱移動部材)20、センサホルダ(後方支持部材)22、離脱駆動レバー(離脱駆動部材)24、防振駆動アクチュエータ(防振駆動手段)26などを備えた構造になっている。
【0020】
防振レンズブロック10が設けられるレンズ鏡筒の全体構造については図示を省略しているが、直進移動環14はレンズ鏡筒内で撮影光学系の撮影光軸O(
図7ないし
図10に示す)に沿う方向に直進移動可能に支持されており、レンズ鏡筒を撮影状態から収納状態にするときに物体(被写体)側から像面側に向けて移動される。以下の説明では撮影光軸Oに沿う方向のうち物体側を前方、像面側を後方と呼ぶ。直進移動環14の光軸方向移動を行わせる機構は、周知のカム機構などを適用することができる。
【0021】
直進移動環14は撮影光軸Oを囲む筒状部14aを有し、その内側に内壁14bが形成されている。内壁14bは、直進案内環14の径方向(撮影光軸Oと略直交する方向)に向けて形成された壁部であり、光軸方向に向けて貫通する開口部として、中央開口14cと2つ(
図1、
図4及び
図5には一つのみ図示されている)のコイル挿入孔14dを有する。内壁14bには周方向に位置を異ならせて3つ(
図1、
図4及び
図5には一つのみ示されている)のばね掛け突起14eが設けられ、内壁14bの後面には、2つの移動制限突起14fと3つ(
図4と
図5には一つのみ示されている)のボール支持孔14gが形成されている。移動制限突起14fは後方に向けて突出する突起であり、ボール支持孔14gは後方に向けて開口された有底の凹部である。
【0022】
直進移動環14の筒状部14aの内側には、内壁14bの前方にシャッタユニット16が固定されている。シャッタユニット16はシャッタ(図示略)を内蔵するシャッタハウジング16aの中央に光軸方向へ貫通する撮影開口16bを有し、内蔵のシャッタアクチュエータでシャッタを駆動して撮影開口16bを開閉させる。
【0023】
直進移動環14の筒状部14aの内側にはさらに、内壁14bの後方に防振枠18が支持される。防振枠18を構成する枠本体18aは、筒状部14aの内周面に対して所定のクリアランスをもって対向する外周形状を有しており、筒状部14a内で撮影光軸Oと直交する方向への移動が許されている。枠本体18aの前面側には、直進移動環14の3つのボール支持孔14gに対向する位置に3つのボール支持孔18sが形成されている(
図1、
図2)。ボール支持孔18sは前方に向けて開口された有底の凹部であり、このボール支持孔18sの底面とボール支持孔14gの底面によって構成される光軸方向の前後の対向面の間に球状の転動体であるガイドボール(防振案内部材)28を挟持している。以下では、ガイドボール28を挟持するボール支持孔14gの底面とボール支持孔18sの底面をそれぞれボール当接面と呼ぶ。これらのボール当接面はいずれも撮影光軸Oと略直交する平滑な平面である。ガイドボール28は光軸直交方向にはボール支持孔14g、18sに対して遊嵌しており、ガイドボール28はボール支持孔14g、18s内の中央付近に位置するときにはボール支持孔14g、18sの内側壁に当接しない。
【0024】
防振枠18の枠本体18aの外周部には周方向に位置を異ならせて3つのばね掛け突起18bが設けられ、各ばね掛け突起18bと直進移動環14に3つ設けたばね掛け突起14e(
図1、
図4及び
図5には一つのみ示されている)との間に引張ばね(接近付勢部材)30が張設されている。防振枠18は、3つの引張ばね30の付勢力によって直進移動環14の内壁14bに接近する方向(前方)に付勢され、3つのボール支持孔18sのボール当接面を3つのガイドボール28に当接させることで防振枠18の前方への移動が規制される。この状態で各ボール支持孔18sのボール当接面が対応するガイドボール28に対してそれぞれ点接触しており、この点接触部分を摺接させることで(もしくは、ガイドボール28がボール支持孔14g、18sの内側壁に当接していないときはガイドボール28を転動させながら)、防振枠18は撮影光軸Oと直交する方向へ自在に移動可能になっている。
【0025】
防振枠18にはまた、直進移動環14に設けた2つの移動制限突起14fを挿入させる2つの移動制限孔18cが形成されている。
図8と
図10に示すように、各移動制限孔18cは、撮影光軸Oと直交する平面内において概ね正方形をなす矩形内面形状を有している。以下では、光軸直交平面内における各移動制限孔18cの内側壁の一方の対角線方向をX軸、他方の対角線方向をY軸と呼ぶ。防振枠18は、移動制限孔18cの内面に移動制限突起14fを当接させるまでの範囲で、撮影光軸Oと直交する平面内で直進移動環14に対して自在に移動することができる。
【0026】
防振枠18は防振駆動アクチュエータ26によって駆動される。防振駆動アクチュエータ26は、シャッタユニット16側に支持される2つのコイル31、32と、防振枠18側に支持される2つの永久磁石34、36を有する。2つのコイル31、32はシャッタハウジング16aの後面側に固定されており、シャッタユニット16を直進移動環14内に固定した状態で、各コイル31、32が2つのコイル挿入孔14d内に嵌っていて、内壁14bに遮られることなく防振枠18側に露出している。永久磁石34と36はそれぞれ、防振枠18に設けた磁石保持部18d、18eに固定されている。永久磁石34と36の形状及び大きさは略同一であり、それぞれ細長矩形の薄板状をなし、撮影光軸Oを通りかつY軸に沿う仮想平面P(
図7ないし
図10)に関して対称の関係で配置される。より詳しくは、永久磁石34と36はそれぞれ、短手方向の略中央を通り長手方向に向く磁極境界線M1、M2(
図7ないし
図10)で分割される半割領域の一方がN極で他方がS極となっており、永久磁石34の磁極境界線M1と永久磁石36の磁極境界線M2が、Y軸方向の上方(後述する挿脱枠20の挿入位置側)から下方(後述する挿脱枠20の離脱位置側)に向かうにつれて、互いに離間するように傾斜している。仮想平面Pに対する永久磁石34の磁極境界線M1と永久磁石36の磁極境界線M2の傾斜角は、正逆で約45度に設定されている。つまり、永久磁石34と永久磁石36は互いの長手方向(磁極境界線M1、M2)を略直交させる関係にある。
【0027】
図4、
図8及び
図10に示すように、コイル31、32は、略平行な一対の長辺部と該長辺部を接続する一対の湾曲部を有する空芯コイルであり、その形状及び大きさは略同一である。シャッタハウジング16aの後面側に支持された状態で、コイル31の長軸方向が永久磁石34の磁極境界線M1と略平行になり、コイル32の長軸方向が永久磁石36の磁極境界線M2と略平行になる。コイル31とコイル32はシャッタユニット16から延出されるフレキシブル基板25に接続され、更にレンズ鏡筒内の別のフレキシブル基板を中継してカメラの制御基板に接続されていて、この制御基板上の制御回路によってコイル31とコイル32の通電制御が行われる。
【0028】
以上の構成の防振駆動アクチュエータ26では、コイル31と永久磁石34が光軸方向に対向しており、コイル31に通電すると、撮影光軸Oと直交する平面内で永久磁石34の磁極境界線M1(コイル31の長軸方向線)と略直交する方向への駆動力が作用する。この駆動力の作用方向をF1とする(
図7ないし
図10参照)。また、コイル32と永久磁石36が光軸方向に対向しており、コイル32に通電すると、撮影光軸Oと直交する平面内で永久磁石36の磁極境界線M2(コイル32の長軸方向線)と略直交する方向への駆動力が作用する。この駆動力の作用方向をF2とする(
図7ないし
図10参照)。これら駆動力の作用方向F1、F2はいずれもX軸とY軸の両方に対して約45度の角度で交差する関係にあり、各コイル31、32への通電制御によって、撮影光軸Oと直交する平面内で防振枠18を任意の位置に移動させることができる。前述の通り、その移動範囲は移動制限孔18cの内面が移動制限突起14fに当接することによって規制される。
【0029】
直進移動環14内には、防振枠18の後方に位置させて防振センサホルダ22が固定されている。防振センサホルダ22は、防振枠18の枠本体18aの後方を覆いかつ周方向の一部が接続せずに開放された、撮影光軸Oを囲む開放枠状体からなるホルダ本体部22aを有しており、この開放部分を挟むホルダ本体部22aの一方の端部に、外径方向へ突出する嵌合片部22bが形成され、他方の端部に、撮影光軸Oと直交する板状の軸座部22dが形成されている。軸座部22dから後方へ向けて、撮影光軸Oと平行に回動軸(第2の回動軸)50が突設されている。ホルダ本体部22aには、軸座部22dと回動軸50の外周側を囲む位置に、後方へ向けて突出する立壁状の回動規制壁部22cが形成されている。また、ホルダ本体部22aには、前方へ向けて突出する一対の外周嵌合突起22eと、後方へ向けて突出する一対の内周嵌合突起22fがそれぞれ周方向位置を異ならせて形成されている。
【0030】
直進移動環14の筒状部14aの後端部には、防振センサホルダ22の嵌合片部22bと回動規制壁部22cが嵌合可能な嵌合凹部14h、14iが形成される。また筒状部14aの後端付近の外周面上には、防振センサホルダ22の一対の外周嵌合突起22eが嵌合可能な一対の外周嵌合凹部14jが形成されている。それぞれの外周嵌合突起22eと嵌合凹部14jには、
図3や
図6のように嵌合させた状態で直進移動環14と防振センサホルダ22の光軸方向の離間移動を防ぐ係止凸部が形成されている。さらに、筒状部14aの後端付近には、径方向へ貫通する一対の嵌合孔14kが形成されている。防振センサホルダ22の一対の内周嵌合突起22fには、この嵌合孔14kに嵌合可能な外径方向への凸部が形成されている。
【0031】
防振センサホルダ22のホルダ本体部22aは直進移動環14の筒状部14a内に挿入可能な外周形状を有しており、以下に述べるそれぞれの嵌合部分の位置関係を合わせた上で、防振センサホルダ22が直進移動環14に対して後方から組み付けられる。嵌合片部22bと回動規制壁部22cはそれぞれ嵌合凹部14hと嵌合凹部14iに対して嵌合する。一対の外周嵌合突起22eは一対の外周嵌合凹部14jに挿入されて互いの係止凸部を嵌合させる。一対の内周嵌合突起22fは筒状部14aの内周面に接し、それぞれの内周嵌合突起22f上の凸部が対応する嵌合孔14kに嵌合する。これらの嵌合部の嵌合関係によって、直進移動環14に対して防振センサホルダ22が、撮影光軸Oを中心とする相対回転や光軸方向の相対移動を規制された状態で固定される(
図3、
図6、
図7及び
図9参照)。この固定状態で防振センサホルダ22は、直進移動環14の内壁14bから離れる方向(後方)への防振枠18の脱落(浮き上がり)を防ぐことができる。なお、直進移動環14に対する防振センサホルダ22の光軸方向前方へ向けての挿入位置は、直進移動環14の内周部分に形成した挿入規制部や、移動制限突起14fなどに対して防振センサホルダ22の前面を当て付けることで規制される。この防振センサホルダ22における直進移動環14への光軸方向当て付け部分には、回動規制壁部22cや軸座部22dの付近も含まれる。つまり、防振センサホルダ22で回動軸50付近に対して加わる光軸方向前方への負荷を直進移動環14で受けることができる。
【0032】
防振センサホルダ22のホルダ本体部22aには、嵌合片部22bと外周嵌合突起22eの間の周方向位置にセンサ保持部22gが形成され、回動規制壁部22cと外周嵌合突起22eの間の周方向位置にセンサ保持部22hが形成されている。センサ保持部22g、22hにはそれぞれ、防振枠18上の永久磁石34の後方に位置する位置検出センサ(検出部材)38と、防振枠18上の永久磁石36の後方に位置する位置検出センサ(検出部材)40が保持されている。位置検出センサ38と位置検出センサ40は、シャッタユニット16から延出されるフレキシブル基板25に接続され、更にレンズ鏡筒内の別のフレキシブル基板を中継してカメラの制御基板に接続されている。位置検出センサ38と位置検出センサ40はホールセンサであり、永久磁石34、36の発生する磁界の変化を電気信号に変換し出力することによって、防振駆動アクチュエータ26による防振枠18の駆動位置を検出することができる。
【0033】
防振枠18上には、撮影光軸Oと平行な回動軸(第1の回動軸)42を中心として回動(揺動)可能に挿脱枠20が支持されている。回動軸42の両端部は、防振枠18に設けた軸支持部18fと、固定ネジ45によって防振枠18に固定される抜止部材44とに支持されている。挿脱枠20は、防振挿脱レンズ12を保持するレンズ保持筒部20aと、回動軸42を挿通させる軸孔を有する軸孔部20bと、レンズ保持筒部20aと軸孔部20bを接続するアーム部20cを備えている。挿脱枠20は、
図7及び
図8に示す挿入位置と、
図9及び
図10に示す離脱位置の間で揺動が可能であり、防振枠18に設けたストッパ(挿入保持手段)18gにレンズ保持筒部20aに設けたストッパ当接部20dを当接させることで挿入位置が決まる。一端部と他端部を防振枠18と挿脱枠20に係止させたトーションコイルばねからなる挿脱枠付勢ばね(挿入保持手段、付勢部材)46が挿脱枠20を挿入位置方向へ付勢している。また挿脱枠20は、軸孔部20bと抜止部材44の間に挿入した圧縮ばねからなる光軸方向付勢ばね48によって前方に付勢されて光軸方向の位置が安定している。
【0034】
挿脱枠20が挿入位置にあるとき、防振挿脱レンズ12が撮影光軸O上に位置する。防振枠18が移動制限孔18cの内面のうち挿入位置側の端部(
図8及び
図10の上端部)に対して移動制限突起14fを当接させるY軸方向の移動規制位置(以下、離脱補助位置と呼ぶ)にある状態で、挿脱枠20が離脱位置に回動すると、防振挿脱レンズ12の中心が撮影光軸Oに対してY軸方向に変位する。防振枠18の枠本体18aには、このときのレンズ保持筒部20aの移動軌跡(回動軸42を中心とする円弧状軌跡)に対応する形状をなす逃げ孔18hが光軸方向に貫通形成されており、逃げ孔18hにレンズ保持筒部20aの前端部が進入している。逃げ孔18hは防振枠18の枠本体18aの外周部に貫通(開口)しており、この逃げ孔18hの開口部分を補強する橋絡部18iが設けられている。橋絡部18iは後方にオフセットして形成されており、挿脱枠20が離脱位置に回動したときにレンズ保持筒部20aと干渉しないようになっている。前述のように、防振センサホルダ22のホルダ本体部22aは、嵌合片部22bと軸座部22dが設けられる周方向の両端部の間が開放された開放枠状体であり、このホルダ本体部22aにおける開放部分によって、防振枠18の橋絡部18iとの干渉が防止される。
【0035】
図8や
図10に示すように、防振センサホルダ22を直進移動環14に取り付けた状態では、回動軸50が回動軸42の近傍に位置する。この防振センサホルダ22に対して、回動軸50を中心として
図7及び
図8に示す挿入許容位置から
図9及び
図10に示す離脱強制位置の間で回動(揺動)可能に離脱駆動レバー24が支持されている。回動軸50は離脱駆動レバー24の軸孔部24aに形成した軸孔に挿通されている。離脱駆動レバー24は、軸座部22dと、該軸座部22dの後部に固定した抜止板52とで軸孔部24aの前後端部を挟まれることによって、防振センサホルダ22に対する前後方向の移動が規制される。抜止板52は、回動軸50の端部を嵌合させ、かつ回動規制壁部22cに連続する防振センサホルダ22上の壁部に当接して固定位置が定められている。離脱駆動レバー24は、軸孔部24aから外径方向に延出されるアーム24bの先端付近に離脱押圧部24cを有していて、この離脱押圧部24cが挿脱枠20のアーム部20cに設けた被押圧部20eに当接可能である。離脱押圧部24cは離脱駆動レバー24の回動半径方向に向く平面を被押圧部20eに対向させている。被押圧部20eは、軸線を撮影光軸Oと平行とした円筒状突起の外周面として形成されており、離脱押圧部24cを構成する上記平面に対向している。そのため、離脱押圧部24cと被押圧部20eは、離脱駆動レバー24から挿脱枠20へ回動方向の力を伝達するが、撮影光軸Oと平行な方向への力を伝達しない関係にある。離脱駆動レバー24にはさらに、軸孔部24aから外径方向に突出する被押圧部24dが設けられている。
【0036】
前述した挿脱枠付勢ばね46の付勢力は離脱位置から挿入位置方向(
図7ないし
図10の時計方向)へ挿脱枠20を回動付勢しており、離脱駆動レバー24も、これと同方向(
図7ないし
図10の時計方向)の挿入許容位置へ向けて離脱駆動レバー付勢ばね(挿脱制御手段、付勢部材)54によって回動付勢されている。防振センサホルダ22の回動規制壁部22cは、この離脱駆動レバー付勢ばね54による付勢方向への離脱駆動レバー24の回動端、すなわち離脱駆動レバー24の挿入許容位置を決めるストッパとして機能する。離脱駆動レバー24の挿入許容位置を決める際には、この回動規制壁部22cの内面に対して被押圧部24dの一部が当接する。一方、挿脱枠付勢ばね46による付勢方向への挿脱枠20の回動は、ストッパ当接部20dとストッパ18gの当接によって規制される。挿脱枠20と離脱駆動レバー24がそれぞれのストッパに当接している状態が
図7及び
図8であり、このとき被押圧部20eと離脱押圧部24cが互いに離間している。この被押圧部20eと離脱押圧部24cの間のクリアランスは、シャッタユニット16に対する防振枠18の可動範囲(移動制限孔18cの内面に移動制限突起14fが当接するまでの範囲)内では、被押圧部20eを離脱押圧部24cに接触させない大きさに設定されている。換言すれば、離脱駆動レバー24は、挿入許容位置にあるときに、防振駆動アクチュエータ26による防振枠18と挿脱枠20の防振用の駆動を規制しない。そして、挿脱枠20と離脱駆動レバー24に外力が加わらなければ、挿脱枠付勢ばね46の付勢力で挿脱枠20を挿入位置に保持する
図7及び
図8の状態に維持される。
【0037】
図3に示すように、レンズ鏡筒内には防振レンズブロック10の後方に位置するイメージセンサホルダ(固定部材)21が配されている。イメージセンサホルダ21は移動しない固定部材であり、撮像用の受光媒体となるイメージセンサがセンサ保持部21a内に保持されている。イメージセンサホルダ21には、センサ保持部21aの側部に位置させて離脱押圧突起(挿脱制御手段、分力付与部材)58が設けられている。離脱押圧突起58は前方へ向けて突出しており、先端部には端面カム58aが形成され、端面カム58aに続く側面には撮影光軸Oと略平行な離脱保持面58bが形成されている。なお、離脱押圧突起58は、以下に述べる離脱駆動レバー24の動作を行わせることが可能な位置であれば、イメージセンサホルダ21以外にもレンズ鏡筒を構成する任意の部材に設けることができる。
【0038】
離脱押圧突起58は、レンズ鏡筒が撮影状態にあるときは離脱駆動レバー24の後方に位置しており、収納状態になるときの直進移動環14の後方移動に応じて離脱押圧突起58に対して離脱駆動レバー24が接近する。すると離脱駆動レバー24の被押圧部24dが端面カム58aに当接し、光軸方向後方への直進移動環14の移動力から離脱駆動レバー24を離脱駆動レバー付勢ばね54の付勢力に抗する方向(挿入許容位置から離脱強制位置の方向)へ回動させる分力が生じ、前述のクリアランス分だけ離脱駆動レバー24が単独で回動してから離脱押圧部24cが挿脱枠20の被押圧部20eに当接する。この離脱押圧部24cと被押圧部20eの当節箇所を介して離脱位置方向への押圧力が挿脱枠20に伝達され、挿入付勢ばね46と離脱駆動レバー付勢ばね54の両方の付勢力に抗して離脱駆動レバー24が挿脱枠20を離脱方向へ押圧回動させる。挿脱枠20が離脱位置に達した後、離脱押圧突起58に設けた離脱保持面58bが被押圧部24dの側面に係合して離脱駆動レバー24が離脱強制位置に保持され、その結果、挿脱枠20が離脱位置に保持される(
図9及び
図10)。
【0039】
以上の構造からなる防振レンズブロック10の動作を説明する。
図7及び
図8に示す撮影状態では、挿脱枠20は挿脱枠付勢ばね46の付勢力によって挿入位置に保持されており、防振挿脱レンズ12の中心が撮影光軸Oと一致している。また、離脱駆動レバー24は、離脱駆動レバー付勢ばね54の付勢力によって挿入許容位置に保持されている。撮影状態では、レンズ鏡筒に加わる振れの方向と大きさに応じて、防振駆動アクチュエータ26によって防振枠18を光軸直交平面内で駆動することで防振挿脱レンズ12を撮影光軸Oに対してシフトさせ、結像面上での被写体像のずれ(像振れ)を抑制することができる。詳細には、カメラに内蔵したジャイロセンサによってレンズ鏡筒の移動角速度を検出し、その振れの角速度を時間積分して移動角度を求め、該移動角度から結像面上での像の移動量を演算すると共に、この像振れをキャンセルするための防振挿脱レンズ12(防振枠18)の駆動量及び駆動方向を演算する。そして、この演算値に基づいてコイル31とコイル32の通電制御を行う。すると、3つのガイドボール28に対して枠本体18a前面のボール当接面が支持案内を受けながら防振枠18が移動される。防振枠18に防振駆動を行わせるとき、挿脱枠20はストッパ当接部20dをストッパ18gに当接させる挿入位置に保持されており、防振枠18と挿脱枠20(防振挿脱レンズ12)は一体に移動される。前述の通り、被押圧部20eと離脱押圧部24cの間にクリアランスが設けられているため、離脱駆動レバー24は、防振駆動アクチュエータ26による防振枠18と挿脱枠20の防振用の駆動を規制しない。
【0040】
撮影状態では、移動制限突起14fと移動制限孔18cの内面の当接による防振枠18の移動端位置を用いて位置検出センサ38、40の校正を行うことができる。防振駆動アクチュエータ26を構成するコイル31、32と永久磁石34、36の各ペアの駆動力の作用方向F1、F2はX軸及びY軸と略45度の関係で交差しており、移動制限突起14fに対して移動制限孔18cのX軸方向の両端部を当接させる移動端を防振駆動アクチュエータ26のX軸の駆動基準位置とし、移動制限突起14fに対して移動制限孔18cのY軸方向の両端部を当接させる移動端をY軸の駆動基準位置とすることができる。撮影状態における防振枠18の実用上の防振駆動範囲は、移動制限突起14fが移動制限孔18cの内面に当接しない範囲で設定される。
【0041】
撮影状態から収納状態になるとき、レンズ鏡筒全体を進退駆動するモータによって防振レンズブロック10(直進移動環14)が光軸方向後方に移動され、やがて直進移動環14と共に後退している離脱駆動レバー24の被押圧部24dが、離脱押圧突起58の端面カム58aに当て付く。すると、被押圧部24dが端面カム58aに押圧されて、直進移動環14の後退移動力から分力が生じて離脱駆動レバー付勢ばね54の付勢力に抗して離脱駆動レバー24が挿入許容位置から離脱強制位置へ向けて回動され、離脱押圧部24cが被押圧部20eに当接する。前述の通り、挿脱枠20には挿脱枠付勢ばね46によって挿入位置側への付勢力が作用しており、離脱押圧部24cを被押圧部20eに当接させた離脱駆動レバー24は、挿脱枠付勢ばね46の付勢力に抗して挿脱枠20を挿入位置から離脱位置へ向けて押圧しようとする。加えて、挿脱枠20を支持する防振枠18に対して、3つの引張ばね30によって枠本体18aのボール当接面をガイドボール28に押し付けさせる方向の付勢力が作用している。つまり、挿脱枠20と防振枠18にはそれぞれ挿脱枠付勢ばね46と引張ばね30の付勢力による移動抵抗が作用している。ここで、挿脱枠付勢ばね46によって与えられる挿脱枠20の回動抵抗が、引張ばね30によって与えられる防振枠18の移動抵抗よりも大きく設定されている。そのため、挿脱枠20に作用する押圧力が防振枠18に伝わり、挿脱枠20の離脱位置方向への回動が開始されるよりも前に、防振枠18が挿脱枠20と共に離脱位置方向へ移動される。そして、移動制限突起14fに対して移動制限孔18cのY軸方向端部(挿入位置側の端部)を当接させる離脱補助位置(
図9及び
図10)まで防振枠18が移動される。前述の通り、撮影状態での防振枠18の実用上の防振駆動範囲は、移動制限孔18cの内面が移動制限突起14fに当接する箇所を含まないため、離脱補助位置は実用上の防振駆動範囲の外側に位置している。防振枠18が離脱補助位置に達してそれ以上の移動が規制されると、挿脱枠20が挿入位置から離脱位置へ単独で回動される。つまり、防振挿脱レンズ12の離脱移動は、防振枠18の離脱補助位置へのY軸方向の移動と、防振枠18に対する挿脱枠20の離脱位置への回動の合成移動として行われる。
【0042】
防振枠18の離脱補助位置への移動と挿脱枠20の離脱位置への回動によって、防振挿脱レンズ12が
図9及び
図10に示すように光路(撮影光軸O)上から離脱される。直進移動環14が後方への移動を続けると、離脱押圧突起58の離脱保持面58bが被押圧部24dに当接して離脱駆動レバー24が離脱強制位置に保持され、挿脱枠20は離脱駆動レバー24と共に離脱押圧突起58によって離脱位置に保持されて挿入位置への回動が規制される。図示しないが、レンズ鏡筒が収納状態まで達すると、防振挿脱レンズ12(レンズ保持筒部20a)の離脱によって空いた直進移動環14内の空間に後方の部材(例えば、撮影状態で防振挿脱レンズ12の後方に位置する別の光学要素)が進入する。これにより、複数の光学要素を光軸上に直列状に並べて収納するタイプのレンズ鏡筒に比べて、収納時の光軸方向サイズを小さくすることができる。
【0043】
収納状態から撮影状態に移行するときには逆に、直進移動環14が前方に移動されて離脱押圧突起58による離脱駆動レバー24の押圧(離脱強制位置への保持)が解除され、離脱駆動レバー24が離脱駆動レバー付勢ばね54の付勢力によって
図7及び
図8に示す挿入許容位置に戻る。すると、挿脱枠付勢ばね46の付勢力によって挿脱枠20が離脱位置から挿入位置へと回動される。これに伴って防振枠18に対する離脱補助位置への保持も解除され、防振枠18は防振駆動アクチュエータ26によって駆動可能な状態になる。そして、撮影状態になるときに前述した位置検出センサ38、40の校正が行われる。
【0044】
以上の防振レンズブロック10では、防振挿脱レンズ12を保持する挿脱枠20や防振枠18とは別に、直進移動環14と固定関係にある防振センサホルダ22により離脱駆動レバー24を支持し、撮影状態から収納状態になるときに、この離脱駆動レバー24を離脱押圧突起58で押圧することによって離脱強制位置へ動作させ、離脱駆動レバー24を介して挿脱枠20を離脱位置へ押圧移動させている。離脱駆動レバー24は、挿脱枠20の回動軸42と平行な回動軸50によって軸支されて撮影光軸Oと直交する平面に沿って回動されるため、離脱押圧突起58の押圧力を受けて光軸方向の負荷が伝わる部位は離脱駆動レバー24までとなり、挿脱枠20や防振枠18に対して光軸方向への負荷が作用しない。前述したように、離脱押圧部24cと被押圧部20eは、撮影光軸Oと平行な方向への力を伝達しない形状の面として形成されているため、仮に離脱押圧突起58によって押圧された離脱駆動レバー24が回動軸50の軸線に沿う方向に若干量移動しても、挿脱枠20が回動軸42の軸線に沿う方向に押圧されることがない。これにより、挿脱枠20や防振枠18の支持機構への負荷を軽減させ、防振挿脱レンズ12の高精度な駆動が保証される。特に、離脱押圧突起58により離脱駆動レバー24を押圧したときに、防振枠18側のボール当接面(ボール支持孔18sの底面)と直進移動環14側のボール当接面(ボール支持孔14gの底面)の間に挟持されるガイドボール28に対して光軸方向に過大な負荷がかからず、これらのボール当接面上にガイドボール28による打痕が形成されるおそれがない。
【0045】
また、離脱駆動レバー24を介在させることで、離脱押圧突起58による光軸方向の押圧力が挿脱枠20や防振枠18へ直接的に作用しない構成になっているため、防振枠18と直進移動環14の間にガイドボール28を挟持させるための引張ばね30の付勢力は、離脱押圧突起58からの押圧力による負荷変動を考慮に入れずに設定することができる。具体的には、引張ばね30の付勢力が強すぎると、防振枠18を駆動する防振駆動アクチュエータ26に対する負荷が大きくなってしまい、引張ばね30の付勢力が小さすぎるとガイドボール28が脱落するおそれがあるので、そのバランスに留意して引張ばね30の付勢力を設定すればよい。仮に、本実施形態と異なり離脱押圧突起58による光軸方向の押圧力が防振枠18へ作用するような構成であると、引張ばね30で設定した上記のような付勢力のバランスが崩れてしまうが、本実施形態の構成によれば、そのような不具合を避けることができる。
【0046】
また、離脱押圧突起58によって押圧される離脱駆動レバー24は、防振枠18の移動に応じて回動軸42の位置を変化させる挿脱枠20とは異なり、直進移動環14に対する位置が変化しない防振センサホルダ22の回動軸50に支持されているため、防振枠18の移動位置に影響されることなく離脱押圧突起58との位置関係を一定に保つことができる。これにより、離脱駆動レバー24の被押圧部24dと離脱押圧突起58の端面カム58aの相対位置がずれることがなく、離脱駆動レバー24を高精度に駆動することができる。離脱駆動レバー24と挿脱枠20の間の当接箇所は、離脱駆動レバー24の回動半径方向に向く平面状の離脱押圧部24cと、円筒状外面の突起部である被押圧部20eによって構成されているため、防振枠18の防振用移動によって挿脱枠20の位置が変化しても、挿入許容位置から離脱強制位置への離脱駆動レバー24の回動に際して離脱押圧部24cを被押圧部20eに確実に当接させ、挿脱枠20を離脱位置まで回動させることができる。
【0047】
また、離脱駆動レバー24を直進移動環14に直接的に支持させるのではなく、防振センサホルダ22を介して支持させた構成にも特徴がある。離脱駆動レバー24を支持する回動軸50は、離脱押圧突起58に対する光軸直交面内での相対位置が変化しないことが求められる。つまり、防振枠18は回動軸50を形成箇所として不適である。さらに、離脱駆動レバー24は、直進移動環14の後方(像面側)への移動に応じて、後方に位置する離脱押圧突起58に当接して駆動されるため、離脱駆動レバー24と離脱押圧突起58との間を遮る位置に他の部材を配置することはできない。一方、
図6、
図7及び
図9に示すように、直進移動環14を像面側から見ると、内壁14bの後方スペースは、ほぼ防振枠18によって覆われていて、離脱駆動レバー24を支持する回動軸50相当の部位を内壁14b上に設ける余地がない。直進移動環14において防振枠18や防振センサホルダ22と干渉しない位置に回動軸50相当の部位を形成するには、直進移動環14の筒状部14aの後端付近に外径方向や内径方向への突出部を設け、こうした径方向の突出部から像面側へ向けて回動軸を突設する態様が想定される。しかし、外径方向への突出部分を設ける態様では、直進移動環14を含む防振レンズブロック10の大型化を招いてしまう。また、内径方向への突出部分を設ける態様では、直進移動環14のような鏡筒構成部品の製造で一般的に用いられる樹脂成形の手法では製造(特に成形用の金型の構成)が難しく、製造コストが高くなるおそれがある。仮にそのような形態で直進移動環14を製造しても、直進移動環14内への防振枠18や防振センサホルダ22の挿入進路を妨げる形状となるので、部品の組み付け方向に制限が生じるおそれがある。また、離脱駆動レバー24を支持する回動軸50が挿脱枠20を支持する回動軸42からあまり遠く位置していると、離脱駆動レバー24が大型化して、スペース効率や駆動力の伝達効率において不利になるおそれがある。
【0048】
離脱駆動レバー24の支持に関しては以上のような条件と制約があるが、本実施形態の防振枠10では、直進移動環14ではなく防振センサホルダ22に回動軸50を形成したことにより、離脱駆動レバー24の駆動に必要な条件を満たしつつ、前述の問題点を解消することができる。まず、防振センサホルダ22は直進移動環14とは別に形成してから固定される部材であるため、直進移動環14の大型化や直進移動環14の複雑な形状加工を伴うことなく回動軸50を設けることができる。防振センサホルダ22における回動軸50は、前後方向(防振レンズブロック10の完成状態における光軸方向)に離型する成形型によって容易に形成することが可能であり、製造コストを抑えることができる。また、防振センサホルダ22は防振枠18の枠本体18aの後方に位置させて直進移動環14に固定される部材であるため、像面側から見て防振枠18の枠本体18aと重なる位置に回動軸50を配することが可能となり、挿脱枠20やその回動軸42との位置関係において最適な位置に回動軸50を配置しやすくなっている。つまり、回動軸50と離脱駆動レバー24の位置設定の自由度が高くなっている。
【0049】
また、防振センサホルダ22には、離脱駆動レバー24を挿入許容位置方向へ回動付勢する離脱駆動レバー付勢ばね54が組み付けられ、この離脱駆動レバー付勢ばね54の付勢方向への離脱駆動レバー24の回動端(挿入許容位置)を決める回動規制壁部22cも防振センサホルダ22に設けられている。そのため防振センサホルダ22のみで離脱駆動レバー24の支持構造が完結し、防振センサホルダ22と離脱駆動レバー24をユニット化した状態で取り扱うことができ、生産性の向上に寄与する。
【0050】
離脱押圧突起58によって離脱駆動レバー24を挿入許容位置から離脱強制位置へ回動させる際、離脱駆動レバー24には被押圧部24dを介して前方への押圧力が作用するが、離脱駆動レバー24は軸孔部24aの前端部を防振センサホルダ22の軸座部22dに当接させることで前方への移動が規制される。さらに防振センサホルダ22は、軸座部22d付近の前面側で直進移動環14の挿入規制部に当て付いている。つまり、離脱駆動レバー24に対する離脱押圧突起58による押圧力を、防振センサホルダ22の軸座部22dで受け、さらに直進移動環14に負荷を受け渡すようになっている。加えて、防振センサホルダ22には、軸座部22dに隣接して回動軸50を囲む立壁状の回動規制壁22cが形成されていて、軸座部22d付近の断面強度が高くなっている。つまり、回動規制壁22cは、離脱駆動レバー24を挿入許容位置で回動規制する部位であると共に、軸座部22d周りの補強部としても機能する。これらの構成によって、離脱押圧突起58から離脱駆動レバー24に対して強い負荷が作用しても軸座部22d付近が変形しにくく、離脱駆動レバー24を高精度に支持することができる。
【0051】
以上、図示実施形態に基づき説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図示実施形態では、離脱駆動レバー24を支持する防振センサホルダ22は、位置検出センサ38、40を保持する機能と、防振枠18の後方への浮き上がりを抑えるための抑え部材としての機能を有しているが、そのいずれかの機能を省いた態様の部材を本発明における後方支持部材とさせることも可能である。
【0052】
また図示実施形態では、像振れ補正用の移動を担う防振枠18は、ガイドボール28に支持されて撮影光軸Oと直交する面に沿って自在に移動可能であり、挿脱枠20は防振枠18上に回動軸42を介して軸支された回動部材となっているが、防振枠18に代えてX軸に沿って直進移動可能な第1ステージを備え、挿脱枠20に代えてY軸に沿って直進移動可能な第2ステージを備えた態様とすることもできる。この態様では、防振駆動アクチュエータ26の永久磁石34、36を第2ステージに支持させ、第1ステージと第2ステージを組み合わせた移動によって像振れ補正を行うとよい。
【0053】
また図示実施形態では、ガイドボール28を挟んで防振枠18を支持しているのが直進移動環14の内壁14bであるが、防振枠18を直進移動環14が直接的に支持する以外の構成をとることも可能である。例えば、直進移動環14から内壁14bを取り除き、シャッタユニット16の後面が防振枠18に対向するようにし、シャッタユニット16の後面によって防振枠18を可動に支持(シャッタユニット16の後面に移動制限突起14fやボール支持孔14gに相当する部位を形成)してもよい。
【0054】
また図示実施形態では、挿脱枠20を離脱位置に移動させる際に、防振枠18を離脱補助位置に移動させて離脱移動量を大きくさせている(挿脱枠20の小さい移動量で防振挿脱レンズ12の離脱を行えるようにしている)が、防振枠18がこのような離脱方向への補助的移動を行わない態様の光学機器にも本発明は適用が可能である。