特許第5797577号(P5797577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5797577無線通信基地局装置、無線通信端末装置及びフィードバック方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797577
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】無線通信基地局装置、無線通信端末装置及びフィードバック方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 99/00 20090101AFI20151001BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20151001BHJP
   H04B 7/04 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   H04J15/00
   H04Q7/00 234
   H04B7/04
【請求項の数】20
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-29974(P2012-29974)
(22)【出願日】2012年2月14日
(65)【公開番号】特開2013-168751(P2013-168751A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】木村 良平
(72)【発明者】
【氏名】中尾 正悟
(72)【発明者】
【氏名】樋口 健一
【審査官】 菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−130438(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/098015(WO,A1)
【文献】 特開2011−233969(JP,A)
【文献】 特表2010−537598(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/019962(WO,A2)
【文献】 竹田朋弘、樋口健一,複数アンテナ受信時の上りリンクマルチアクセスにおける直交多元接続とMMSE-SICを用いた非直交多元接続のスループット特性比較,電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム,2011年11月 9日,111(289),pp.215-220
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 99/00
H04B 7/04
IEEE Xplore
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TDD−MIMOシステムにおける無線通信基地局装置であって、
無線通信端末装置から送信された参照信号に基づいて、チャネル推定値を算出するチャネル推定手段と、
前記チャネル推定値からSU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列を生成する第1送信ウェイト生成手段と、
MU−MIMOを用いた前記無線通信端末装置との通信時の伝送容量を最大化するように決定された第2送信ウェイト行列と、前記第1送信ウェイト行列との差分情報を生成する差分情報生成手段と、
前記差分情報を前記無線通信端末装置に送信する送信手段と、
MMSE−SIC(Minimum Mean Square Error Successive Interference Cancellation)基準とし、無線通信端末装置のアンテナ総数に関わらず、MIMO復調を行うMIMO復調手段と、
を具備する無線通信基地局装置。
【請求項2】
前記差分情報は、送信ウェイト変換行列である、
請求項1に記載の無線通信基地局装置。
【請求項3】
前記差分情報生成手段は、予め複数の送信ウェイト変換行列の候補を備え、前記候補及び前記第1送信ウェイト行列の乗算結果と、前記第2送信ウェイト行列との差分が最小となる前記候補を差分情報として選択する、
請求項2に記載の無線通信基地局装置。
【請求項4】
前記差分情報生成手段は、予め複数の送信ウェイト変換行列の候補を備え、前記チャネル推定値に前記候補及び前記第1送信ウェイト行列を乗算した結果を疑似チャネル行列とみなし、MMSE−SICに基づいて伝送容量を最大化するように決定された前記候補を差分情報として選択する、
請求項2に記載の無線通信基地局装置。
【請求項5】
レイヤ数及び送信アンテナ本数に応じて異なる値となる送信ウェイト変換行列の候補に予め対応付けられたインデックスを備え、前記送信ウェイト変換行列を対応するインデックスに変換する差分情報変換手段を具備し、
前記送信手段は、前記差分情報として前記インデックスを送信する、
請求項2に記載の無線通信基地局装置。
【請求項6】
複数の無線通信端末装置から受信した信号の受信品質に基づいて、MMSE−SICの復調順序を決定する復調順序決定手段を具備し、
前記差分情報生成手段は、MMSE−SIC基準の伝送容量が最大になるように送信ウェイト変換行列と復調順序を決定する請求項2に記載の無線通信基地局装置。
【請求項7】
前記差分情報は、位相回転量である、
請求項1に記載の無線通信基地局装置。
【請求項8】
前記差分情報生成手段は、前記チャネル推定値に位相成分を変数とする任意の送信ウェイト変換行列と前記第1送信ウェイト行列とを乗算した結果を擬似チャネル行列とみなし、MMSE−SICに基づいて伝送容量を最大化するように送信ウェイト変換行列を決定し、決定した前記送信ウェイト変換行列の対角成分の位相に、前記第1送信ウェイト行列の第1成分の位相を加えた位相回転量を差分情報として求める、
請求項7に記載の無線通信基地局装置。
【請求項9】
前記送信ウェイト変換行列は、対角行列であり、対角成分が全て同じ値に設定され、ユーザ間では、異なる対角成分が設定された、
請求項8に記載の無線通信基地局装置。
【請求項10】
前記送信手段は、前記位相回転量を既知信号に乗算して送信する、
請求項7に記載の無線通信基地局装置。
【請求項11】
前記位相回転量の候補に予め対応付けられたインデックスを備え、前記位相回転量を対応するインデックスに変換する差分情報変換手段を具備し、
前記送信手段は、前記差分情報として前記インデックスを送信する、
請求項7に記載の無線通信基地局装置。
【請求項12】
前記差分情報は、電力配分行列における干渉成分の補正係数である、
請求項1に記載の無線通信基地局装置。
【請求項13】
前記差分情報生成手段は、予め複数の電力配分行列における干渉成分の補正係数を備え、前記チャネル推定値に前記候補及び前記第1送信ウェイト行列を乗算した結果を疑似チャネル行列とみなし、MMSE−SICに基づいて伝送容量を最大化するように決定された前記候補を差分情報として選択する、
請求項12に記載の無線通信基地局装置。
【請求項14】
前記送信手段は、干渉成分の補正係数を既知信号に乗算して送信する、
請求項12に記載の無線通信基地局装置。
【請求項15】
TDD−MIMOシステムにおける無線通信端末装置であって、
無線通信基地局装置から送信された参照信号に基づいて、チャネル推定値を算出するチャネル推定手段と、
前記チャネル推定値からSU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列を生成する第1送信ウェイト生成手段と、
MU−MIMOを用いた前記無線通信端末装置との通信時の伝送容量を最大化するように決定された第2送信ウェイト行列と、前記無線通信基地局装置において生成された第1送信ウェイト行列との差分情報を前記無線通信基地局装置から受信する差分情報受信手段と、
前記第1送信ウェイト生成手段によって生成された前記第1送信ウェイト行列と、前記差分情報とを用いて、前記第2送信ウェイト行列を生成する第2送信ウェイト生成手段と、
送信データに前記第2送信ウェイト行列を乗算するウェイト乗算手段と、
を具備する無線通信端末装置。
【請求項16】
前記差分情報は、送信ウェイト変換行列、位相回転量又は電力配分行列の干渉成分の補正係数である、
請求項15に記載の無線通信端末装置。
【請求項17】
前記差分情報は、前記送信ウェイト変換行列に予め対応付けられたインデックス、又は、位相回転量に予め対応付けられたインデックスである、
請求項16に記載の無線通信端末装置。
【請求項18】
レイヤ毎の送信データに対して、注水定理に基づく電力配分を行う電力制御手段を具備する請求項15に記載の無線通信端末装置。
【請求項19】
レイヤ毎の送信データに対して、干渉成分を補正した注水定理に基づく電力配分を行う電力制御手段を具備する請求項15に記載の無線通信端末装置。
【請求項20】
TDD−MIMOシステムの無線通信基地局装置におけるフィードバック方法であって、
無線通信端末装置から送信された参照信号に基づいて、チャネル推定値を算出するチャネル推定工程と、
前記チャネル推定値からSU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列を生成する第1送信ウェイト生成工程と、
MU−MIMOを用いた前記無線通信端末装置との通信時の伝送容量を最大化するように決定された第2送信ウェイト行列と、前記第1送信ウェイト行列との差分情報を生成する差分情報生成工程と、
前記差分情報を前記無線通信端末装置に送信する送信工程と、
を具備するフィードバック方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉ループMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)システムにおいて、送信信号を時分割多重(TDD:Time Division Duplex)して送受信する無線通信システムに関し、特に、上りリンクのMU(Multi-User)−MIMOを行う無線通信基地局装置、無線通信端末装置及びこれらの装置間におけるフィードバック方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP LTE(3rd Generation Partnership Project Long Term Evolution)では、双方向に送受信が可能な通信方式(デュプレックス)として、FDD(Frequency Division Duplex)とTDDの両方がサポートされている。FDDが上下リンクで異なるキャリア周波数帯を使用するのに対し、TDDは上下リンク共に同一のキャリア周波数帯を使用する。最近では、TDDを採用したTD−LTE(Time Division Long Term Evolution)の商用化を目指して試験サービスを開始するオペレータが増加してきている。
【0003】
TD−LTEのメリットとして、「上下リンクのトラヒック量に応じた柔軟な帯域幅の決定」、「チャネル推定のための参照信号を利用せずに、上下リンクの伝播チャネルを推定可能」などがある。一方、デメリットとして、「ガードタイム挿入による通信効率の低下」などがある。
【0004】
LTEは、空間分割多重MIMOについてもサポートしている。MIMOは、ユーザの多重方法により、SU(Single User)−MIMOとMU−MIMOに分類できる。SU−MIMOは、複数のアンテナを有する単一の基地局と、複数のアンテナを有する単一の端末とが複数の空間的なチャネルを同時に使用する技術である。一方、MU−MIMOは、複数のアンテナを有する単一の基地局と、複数のアンテナを有する複数の端末とが複数の空間的なチャネルを同時に使用する技術である。
【0005】
また、MIMOにはプリコーディング(pre-coding)という技術がある。これは、送信側と受信側とにおいて、それぞれ送信ウェイトと受信ウェイトを乗算し、各レイヤの受信SINR(Signal to Interference and Noise Ratio)もしくは合計スループット(伝送容量)が高くなるように、送受信側双方で指向性を形成する方法である。LTEでは、コードブック(codebook)基準のプリコーディングがサポートされている。コードブック基準とは、予め決められたプリコーディングウェイト行列のコードブック(候補)の中から最適なプリコーディングウェイト行列を選択して、そのインデックスであるPMI(Precoding Matrix Index)を受信側から送信側にフィードバックする方法である。
【0006】
TDDを用いたMIMOシステム(TDD−MIMO)では、上下リンクが同一周波数を使用するため、参照信号を利用することなく、チャネルの対称性を利用してチャネル情報を推定し、送受信ウェイトを生成できる。そのため、一般的には、MCS(Modulation and Coding Scheme)のためのチャネル品質指標CQI(Channel Quality Indicator)又はPMIなどの送受信ウェイトをフィードバックする必要がない。ただし、LTEでは、TDDモードの場合においても、CQI及びPMIをフィードバックしている。
【0007】
図1にTDD−MIMOシステムの概念図を示す。この図では、基地局のアンテナ本数がM本、端末のアンテナ本数がN本とする。
【0008】
TDD−MIMOシステムでは、上下リンクが同一周波数を使用するため、上下リンクのチャネルが対称の関係(上下リンクのチャネルを行列で表現する場合には、互いに転置の関係)となる。この性質を利用すれば、受信側で参照信号を利用し、その結果を送信側にフィードバックすることなく、送信側でチャネル情報を推定して送信ウェイト行列を生成することができる。
【0009】
LTEにおける上りリンクMIMOでは、伝送容量を増大させるために、SU−MIMO及びMU−MIMOをサポートしている。非特許文献1には、図2に示すように、上りリンクMIMOにおけるコードブック基準のプリコーディングを用いるMIMOシステムが開示されている。プリコーディングにおける理想的(最適)な送信ウェイト行列は、チャネル行列Hの共分散行列Hの固有ベクトル(もしくは、Hの特異ベクトル)になる。しかしながら、送信ウェイト行列情報をそのままフィードバックすることは、オーバヘッド量が増大することから現実的ではない。そのため、予め決められたプリコーディング行列のコードブックを用意し、基地局は端末に対して、コードブックの中から伝送容量が最大となるようプリコーディング行列を選択し、そのインデックス(PMI)をフィードバックしている。
【0010】
なお、TDDシステムでは、上下リンクのチャネルが対称になるため、PMIをフィードバックせず、基地局と端末それぞれが送受信ウェイトを推定できる。
【0011】
図3(a)、(b)及び(c)に、上りリンクにおけるPMIとプリコーディング行列の対応関係を示す。図3(a)は送信アンテナ数2本、図3(b)は送信アンテナ数4本、レイヤ数1、図3(c)は送信アンテナ数4本、レイヤ数2の場合を示している。図3(a)において、レイヤ(ランク)数Lとは、生成できる独立した空間チャネルを表している。一般的に、送信アンテナ本数がN、受信アンテナ本数がMの場合、L≦min{M,N}の独立した空間チャネル(レイヤ)を生成できることが知られている。レイヤ数は動的に変更できる。使用するプリコーディング行列及びPMIのフィードバックビット数は、レイヤ数及び利用可能な送信アンテナ数によって異なる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Juho Lee, Jin-Kyu Han, and Jianzhong (Charlie) Zhang, “MIMO Technologies in 3GPP LTE and LTE-Advanced”, Hindawi Publishing Corporation EURASIP Journal on Wireless Communications and Networking Volume 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、端末kにおいて、TDDシステム特有のチャネル対称性を利用してプリコーディングウェイト(送信ウェイト)行列を求めたとしても、その送信ウェイト行列では伝送容量を最大化することが困難である。そこで、ある端末が独立した空間チャネルを独占する場合(SU−MIMO)においては、チャネル対称性を利用することにより伝送容量を理論上最大化できる送信ウェイトを生成できることが知られている。
【0014】
一方、MU−MIMOシステムのように、レイヤを複数の端末間で共有する場合は、端末kは自身のMIMO信号を復調するために自身と基地局間のチャネル情報だけでなく、他の端末と基地局間のチャネル情報も必要となる。しかしながら、端末kは他の端末と基地局間のチャネル情報を推定することはできないため、伝送容量を最大化する最適な送信ウェイト行列を求めることができない。
【0015】
そこで、次のような方法が考えられる。基地局は、通信中の全ての端末のチャネルを把握できるため、他の端末の干渉も考慮して伝送容量を最大化できる送信ウェイト行列を推定できる。よって、基地局において伝送容量を最大化できる上りリンク送信ウェイト行列を推定し、端末kにフィードバックすればよい。
【0016】
この方法によれば、伝送容量を理論上最大化することはできるものの、基地局から端末kへのフィードバック情報のオーバヘッドが増大してしまい、その結果、下りリンクの伝送容量を圧迫してしまう。
【0017】
本発明の目的は、上りリンクTDD−MIMOシステムのMU−MIMOにおいて、伝送容量を最大化または増大化しつつ、フィードバック情報のオーバヘッドを低減する無線通信基地局装置、無線通信端末装置及びフィードバック方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の無線通信基地局装置は、TDD−MIMOシステムにおける無線通信基地局装置であって、無線通信端末装置から送信された参照信号に基づいて、チャネル推定値を算出するチャネル推定手段と、前記チャネル推定値からSU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列を生成する第1送信ウェイト生成手段と、MU−MIMOを用いた前記無線通信端末装置との通信時の伝送容量を最大化するように決定された第2送信ウェイト行列と、前記第1送信ウェイト行列との差分情報を生成する差分情報生成手段と、前記差分情報を前記無線通信端末装置に送信する送信手段と、MMSE−SIC(Minimum Mean Square Error Successive Interference Cancellation)基準とし、無線通信端末装置のアンテナ総数に関わらず、MIMO復調を行うMIMO復調手段と、を具備する構成を採る。
【0019】
本発明の無線通信端末装置は、TDD−MIMOシステムにおける無線通信端末装置であって、無線通信基地局装置から送信された参照信号に基づいて、チャネル推定値を算出するチャネル推定手段と、前記チャネル推定値からSU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列を生成する第1送信ウェイト生成手段と、MU−MIMOを用いた前記無線通信端末装置との通信時の伝送容量を最大化するように決定された第2送信ウェイト行列と、前記無線通信基地局装置において生成された第1送信ウェイト行列との差分情報を前記無線通信基地局装置から受信する差分情報受信手段と、前記第1送信ウェイト生成手段によって生成された前記第1送信ウェイト行列と、前記差分情報とを用いて、前記第2送信ウェイト行列を生成する第2送信ウェイト生成手段と、送信データに前記第2送信ウェイト行列を乗算するウェイト乗算手段と、を具備する構成を採る。
【0020】
本発明のフィードバック方法は、TDD−MIMOシステムの無線通信基地局装置におけるフィードバック方法であって、無線通信端末装置から送信された参照信号に基づいて、チャネル推定値を算出するチャネル推定工程と、前記チャネル推定値からSU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列を生成する第1送信ウェイト生成工程と、MU−MIMOを用いた前記無線通信端末装置との通信時の伝送容量を最大化するように決定された第2送信ウェイト行列と、前記第1送信ウェイト行列との差分情報を生成する差分情報生成工程と、前記差分情報を前記無線通信端末装置に送信する送信工程と、を具備するようにした。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上りリンクTDD−MIMOシステムのMU−MIMOにおいて、伝送容量を最大化または増大化しつつ、フィードバック情報のオーバヘッドを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】TDD−MIMOシステムを示す概念図
図2】コードブック基準のプリコーディングを用いるMIMOシステムを示す概念図
図3-1】上りリンクにおけるPMIとプリコーディング行列の対応関係を示す図
図3-2】上りリンクにおけるPMIとプリコーディング行列の対応関係を示す図
図4】本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置の構成を示すブロック図
図5】本発明の実施の形態1に係るTMIと送信ウェイト変換行列との対応表を示す図
図6】TDD−MIMOにおけるSU−MIMOを示す概念図
図7】本発明の実施の形態1に係る無線通信基地局装置の構成を示すブロック図
図8】本発明の実施の形態1に係る基地局から端末へのフィードバック方法の手順を示すシーケンス図
図9】本発明の実施の形態2に係る端末の構成を示すブロック図
図10】本発明の実施の形態2に係る基地局の構成を示すブロック図
図11】本発明の実施の形態2に係る基地局から端末へのフィードバック方法の手順を示すシーケンス図
図12】PRIと位相との対応表を示す図
図13】本発明の実施の形態3に係る基地局の構成を示すブロック図
図14】本発明の実施の形態3に係るTMIと送信ウェイト変換行列との対応表を示す図
図15】本発明の実施の形態4に係る端末の構成を示すブロック図
図16】本発明の実施の形態4に係る基地局の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、実施の形態において、同一機能を有する構成には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
(実施の形態1)
図4は、本発明の実施の形態1に係る無線通信端末装置(以下、「端末」という)100の構成を示すブロック図である。以下、図4を用いて端末100の構成について説明する。
【0025】
誤り訂正符号化部101は、入力された情報データ(情報ビット)に誤り訂正符号化処理を施し、符号化ビット(システマチックビット及びパリティビット)を生成する。生成された符号化ビットはデジタル変調部102に出力される。
【0026】
デジタル変調部102は、誤り訂正符号化部101から出力された符号化ビットをデジタル変調し、変調シンボルに変換する。変換された変調シンボルはS/P変換部103に出力される。
【0027】
S/P変換部103は、デジタル変調部102から出力された変調シンボルをレイヤ毎の変調シンボルに並べ替えて、電力制御部104に出力する。
【0028】
電力制御部104は、S/P変換部103から出力されたレイヤ毎の変調シンボルにSU−MIMO基準の固有ベクトル(以下、「第1送信ウェイト行列」という)を乗算することを前提とした、注水定理(Water Filling Principal)に基づく電力配分をレイヤ毎の変調シンボルに対して行って、送信ウェイト乗算部105に出力する。なお、電力制御部104の詳細については後述する。
【0029】
送信ウェイト乗算部105は、電力制御部104から出力された変調シンボルに、第2送信ウェイト生成部109から出力された第2送信ウェイト行列を乗算し、空間多重して無線通信基地局装置(以下、「基地局」という)に送信する。
【0030】
フィードバック情報復調部106は、基地局から送信されたフィードバック情報を復調し、送信ウェイト変換行列インデックス(以下、「TMI:Transform Matrix Index」という)を取得し、取得したTMIに対応する送信ウェイト変換行列を第2送信ウェイト生成部109に出力する。なお、フィードバック情報復調部106の詳細については後述する。
【0031】
チャネル推定部107は、基地局から送信された参照信号からチャネル推定値(チャネル行列)を求め、求めたチャネル推定値を第1送信ウェイト生成部108に出力する。
【0032】
第1送信ウェイト生成部108は、チャネル推定部107から出力されたチャネル推定値から共分散行列を求め、求めた共分散行列を固有値分解して、SU−MIMO基準の固有ベクトル、すなわち、第1送信ウェイト行列を生成する。生成された第1送信ウェイト行列は第2送信ウェイト生成部109に出力される。なお、第1送信ウェイト生成部108の詳細については後述する。
【0033】
第2送信ウェイト生成部109は、第1送信ウェイト生成部108から出力された第1送信ウェイト行列に、フィードバック情報復調部106から出力された送信ウェイト変換行列を乗算し、第2送信ウェイト行列を生成する。生成された第2送信ウェイト行列は送信ウェイト乗算部105に出力される。
【0034】
次に、上述した電力制御部104の詳細について説明する。ここで、変換行列Mk,ij、第1送信ウェイト行列V(ms)とした場合、電力配分実施後の送信信号は次式(1)によって表される。
【数1】
【0035】
式(1)において、‖X‖={tr(XX)}1/2、Ptotalは各レイヤの合計送信電力である。また、電力配分行列Pは次式(2)によって表される。
【数2】
【0036】
式(2)において、μは各レイヤの合計電力がPtotalになるように決定される値であり、Zは雑音電力と干渉電力の合計値である。また、Aは、Aが正の数である場合はAとなり、Aが負の数である場合は0となる。
【0037】
次に、上述したフィードバック情報復調部106の詳細について説明する。フィードバック情報復調部106は、図5に示す最大レイヤ(ランク)数が2の場合のTMIと送信ウェイト変換行列との対応表を有する。この対応表は基地局と共有しているものである。フィードバック情報復調部106では、図5を参照して、基地局からフィードバックされたTMIk,jと、別途通知されるRI(Rank Indicator)に含まれるランク数とから送信ウェイト変換行列Mk,ijを選択する。ここで、kは端末番号、iはランク数、jはTMIをそれぞれ表している。なお、図5では、TMIを任意のランク数に対して0〜4(2bit)で表現している。
【0038】
次に、上述した第1送信ウェイト生成部108の詳細について説明する。図6にTDD−MIMOにおけるSU−MIMOの概念図を示す。図6では、基地局のアンテナ本数をM、端末kのアンテナ本数をN、基地局と端末間のチャネルをH、送信信号をs、基地局における受信信号をrで表している。
【0039】
端末の第1送信ウェイト生成部108で生成した上りリンクのSU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列V(ms)Hは、端末において下りリンクのチャネル行列Hの転置行列Hを特異値分解(もしくは共分散行列Hを固有値分解)することにより求めることができる。
【数3】
【0040】
ここで、Uは左特異ベクトル(受信ウェイト、)、Σは固有値行列である。
【0041】
なお、基地局では、受信信号rに対して、上りリンクのチャネル行列Hを固有値分解して得られるUを乗算することにより、所望信号が求まる。
【0042】
図7は、本発明の実施の形態1に係る無線通信基地局200の構成を示すブロック図である。以下、図7を用いて基地局200の構成について説明する。
【0043】
チャネル推定部201は、端末100から送信された参照信号からチャネル推定値(チャネル行列)を求め、求めたチャネル推定値を第1送信ウェイト生成部202及び第2送信ウェイト生成部203に出力する。
【0044】
第1送信ウェイト生成部202は、チャネル推定部201から出力されたチャネル推定値から共分散行列を求め、求めた共分散行列を固有値分解して、SU−MIMO基準の固有ベクトル、すなわち、第1送信ウェイト行列を生成する。生成された第1送信ウェイト行列は送信ウェイト変換行列選択部204に出力される。
【0045】
第2送信ウェイト生成部203は、チャネル推定部201から出力されたチャネル推定値にIWFA(Iterative Water Filling Algorithm)を適用して、伝送容量が最大となる最適な第2送信ウェイト行列を生成し、送信ウェイト変換行列選択部204に出力する。
【0046】
送信ウェイト変換行列選択部204は、第1送信ウェイト生成部202から出力された第1送信ウェイト行列V(bs)と送信ウェイト変換行列Mk,ijとの乗算結果と、第2送信ウェイト生成部203から出力された第2送信ウェイト行列V(i)との差分を算出する。送信ウェイト変換行列選択部204は、全てのコードブックMk,ijについて差分を算出し、算出した差分が最小となるMk,ijを決定(次式(4)よりjを決定)して、TMI選択部205に出力する。なお、送信ウェイト変換行列選択部204は差分情報生成手段として機能する。
【数4】
【0047】
TMI選択部205は、図5に示す最大レイヤ(ランク)数が2の場合のTMIと送信ウェイト変換行列との対応表を有し、送信ウェイト変換行列選択部204から出力されたMk,ijに対応するTMIk,jを選択し、選択したTMIk,jを端末100に送信する。なお、TMI選択部205は差分情報変換手段として機能する。
【0048】
MIMO復調部206は、端末100から送信された信号にMMSE−SIC(Minimum Mean Square Error Successive Interference Cancellation)基準のMIMO復調を施し、MIMO信号をレイヤ毎の信号(受信変調シンボル)に分離する。分離されたレイヤ毎の受信変調シンボルはP/S変換部207に出力される。
【0049】
P/S変換部207は、MIMO復調部206から出力されたレイヤ毎の受信変調シンボルを直列の受信変調シンボルに並べ替えて、デジタル復調部208に出力する。
【0050】
デジタル復調部208は、P/S変換部207から出力された変調シンボルに対して、IQ平面上での領域判定を行い、軟判定ビットを生成して、誤り訂正復号部209に出力する。
【0051】
誤り訂正復号部209は、デジタル復調部208から出力された軟判定ビットに誤り訂正復号を行い、復号ビット(復調データ)を取得する。
【0052】
次に、基地局から端末へのフィードバック方法について図8を用いて説明する。図8において、ステップ(以下、「ST」という)301では、端末から基地局に参照信号S(R)を送信し、ST302では、基地局は、端末から送信された参照信号S(R)を用いて、上りリンクのチャネル推定を行い、チャネル推定値Hを取得する。
【0053】
ST303では、チャネル推定値Hを用いて第1送信ウェイト行列Vを求め、ST304では、チャネル推定値を用いて第2送信ウェイト行列V(i)を求める。
【0054】
ST305では、第1送信ウェイト行列Vと送信ウェイト変換行列Mk,ijとの乗算結果と、第2送信ウェイト行列V(i)との差分が最小となる送信ウェイト変換行列Mk,ijを選択し、選択した送信ウェイト変換行列Mk,ijに対応するTMIk,jを選択する。
【0055】
ST306では、選択されたTMIk,jを端末にフィードバックすると共に、参照信号を端末に送信する。
【0056】
ST307では、下りリンクの参照信号からチャネル推定値Hを求め、ST308では、チャネル推定値Hから共分散行列を求め、求めた共分散行列を固有値分解して、第1送信ウェイト行列V’を生成する。
【0057】
ST309では、第1送信ウェイト行列V’に、基地局からフィードバックされたTMIk,jに対応する送信ウェイト変換行列Mk,ijを乗算し、第2送信ウェイト行列V”=Mk,ij’を生成し、ST310では、送信データに第2送信ウェイト行列V”を乗算して、基地局に送信する。
【0058】
このように、TDDシステムにおける上下リンクのチャネルの相関性に基づき、相関性の高いSU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列が基地局及び端末においてそれぞれ求められるので、MU−MIMO時の伝送容量を最大化するように決定された第2送信ウェイト行列と第1送信ウェイト行列との差分情報として送信ウェイト変換行列をフィードバックすることにより、フィードバック情報のオーバヘッドを低減することができる。また、送信ウェイト変換行列をTMIというインデックスに対応付けておき、TMIをフィードバックすることにより、フィードバック情報のオーバヘッドをさらに低減することができる。
【0059】
このように、実施の形態1によれば、基地局において、SU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列に乗算することによって、MU−MIMO時の伝送容量を最大化するように送信ウェイト変換行列を決定し、決定した送信ウェイト変換行列に予め対応付けておいたTMIを端末にフィードバックし、端末において、基地局からフィードバックされたTMIに対応する送信ウェイト変換行列をSU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列に乗算して、MU−MIMO時の伝送容量を最大化するように決定された第2送信ウェイト行列を生成し、送信データに第2送信ウェイト行列を乗算する。これにより、MU−MIMO時の伝送容量を最大化または増大化しつつ、送信ウェイトの生成に係るフィードバック情報のオーバヘッドを低減することができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、送信ウェイト変換行列選択部204において、第1送信ウェイト行列V(bs)と送信ウェイト変換行列Mk,ijとの乗算結果と、第2送信ウェイト行列V(i)との差分が最小となるMk,ijを決定する方法について示したが、本発明はこれに限らない。送信ウェイト変換行列選択部204は、例えば、基地局と端末k間のチャネルHに送信ウェイト変換行列Mk,ijと第1送信ウェイト行列V(bs)とを乗算した結果を擬似的なチャネル行列と見なして、伝送容量Ctotalを計算する。そして、全てのコードブック行列Mk,ijについて伝送容量Ctotalを計算し、その中で伝送容量が最大となるMk,ijを決定してもよい(式(5)及び式(6)参照)。
【数5】
【数6】
【0061】
ここで、V(bs)は第1送信ウェイト行列、Nは雑音の電力スペクトル密度である。
【0062】
また、本実施の形態において、第1送信ウェイト行列と第2送信ウェイト行列との間には相関があるため、変換行列をコードブック形式で表現する場合、無相関の場合と比較して、コードブック(候補)数を削減することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、注水定理による電力配分は、チャネル行列Hの固有値分解結果に基づくものとして説明したが、本発明はこれに限らず、チャネル行列と送信ウェイト変換行列との乗算結果Hk,ijに基づいてもよい。この場合、固有値分解は次式(7)によって表される。
【数7】
【0064】
また、注水定理に基づく電力配分行列Pは、次式(8)によって表される。
【数8】
【0065】
式(8)において、μは各レイヤの合計電力(次式(9)参照)がPtotalになるように決定される値である。
【数9】
【0066】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る端末400の構成を示すブロック図である。以下、図9を用いて端末400の構成について説明する。図9図4と異なる点は、フィードバック情報復調部106をフィードバック情報復調部401に、第2送信ウェイト生成部109を第2送信ウェイト生成部403に変更し、位相回転行列推定部402を追加した点である。
【0067】
フィードバック情報復調部401は、基地局から送信されたフィードバック情報を復調し、位相回転量pを取得し、取得した位相回転量pを位相回転行列推定部402に出力する。なお、位相回転量pは、基地局と端末間で既知の信号(例えば、参照信号など)に乗算されているため、その既知信号の複素共役を乗算することにより、検出することができる。
【0068】
位相回転行列推定部402は、フィードバック情報復調部401から出力された位相回転量pと、第1送信ウェイト行列V(ms)の第1ベクトルの第1要素の位相φk,11(ms)との位相差φを抽出する(次式(10)参照)。
【数10】
【0069】
ここで、第1送信ウェイト行列V(ms)とその第1ベクトルVk,1(ms)は、以下の式(11)で表現できる。
【数11】
【0070】
位相回転行列推定部402は、位相差φを各要素の位相とする位相回転行列(対角行列)Qを生成し(次式(12)参照)、生成した位相回転行列Qを第2送信ウェイト生成部403に出力する。
【数12】
【0071】
第2送信ウェイト生成部403は、第1送信ウェイト生成部108から出力された第1送信ウェイト行列V(ms)の各要素の位相に、位相回転行列推定部402から出力された位相回転行列Qを乗算し、第2送信ウェイト行列V(i)(=Q(ms))を生成する。生成された第2送信ウェイト行列は送信ウェイト乗算部105に出力される。
【0072】
図10は、本発明の実施の形態2に係る基地局500の構成を示すブロック図である。以下、図10を用いて基地局500の構成について説明する。図10図7と異なる点は、第2送信ウェイト生成部203を削除し、送信ウェイト変換行列選択部204を送信ウェイト変換行列選択部501に変更し、TMI選択部205をフィードバック情報決定部502に変更した点である。
【0073】
送信ウェイト変換行列選択部501は、基地局500と端末間のチャネルHに送信ウェイト変換行列Pk,ijと第1送信ウェイト行列V(bs)とを乗算した結果を擬似的なチャネル行列と見なして、伝送容量Ctotalを計算する。全てのコードブック行列Pk,ijについて伝送容量Ctotalを計算し、その中で伝送容量が最大となるPk,ijを決定(式(13)及び式(14)参照)して、フィードバック情報決定部502に出力する。なお、送信ウェイト変換行列選択部501は、差分情報生成手段として機能する。
【数13】
【数14】
【0074】
ここで、V(bs)は第1送信ウェイト行列、Nは雑音の電力スペクトル密度である。
【0075】
フィードバック情報決定部502は、第1送信ウェイト生成部202から出力された第1送信ウェイト行列V(bs)の第1ベクトルVk,lの第1要素の位相ak,11に、送信ウェイト変換行列選択部501から出力された送信ウェイト変換行列Pk,ijの対角成分の位相θijを加算し、位相回転量pを取得する(次式(15)参照)。
【数15】
【0076】
ここで、第1送信ウェイト行列V(bs)と、その第1ベクトルVk,1は次式(16)で表される。ただし、式(16)において、Lはレイヤ数を表している。
【数16】
【0077】
位相回転量pは、既知信号(例えば、参照信号)に乗算されて、端末400にフィードバックされる。なお、フィードバック情報決定部502は、差分情報変換手段として機能する。
【0078】
次に、基地局から端末へのフィードバック方法について図11を用いて説明する。図11において、ST601では、端末から基地局に参照信号S(R)を送信し、ST602では、基地局は、端末から送信された参照信号S(R)を用いて、上りリンクのチャネル推定を行い、チャネル推定値Hを取得する。
【0079】
ST603では、チャネル推定値Hに全てのコードブック行列Pk,ijを乗算し、伝送容量が最大となる送信ウェイト変換行列Pk,ijを決定する。
【0080】
ST604では、第1送信ウェイト行列V(bs)と送信ウェイト変換行列Pk,ijとに基づいて、端末にフィードバックする位相回転量rを決定し、ST605では、位相回転量rを既知信号(例えば、参照信号など)に乗算して、端末にフィードバックする。
【0081】
ST606では、フィードバック情報を復調し、位相回転量rを取得する。
【0082】
ST607では、下りリンクの参照信号からチャネル推定値Hを求め、ST608では、チャネル推定値Hから共分散行列を求め、求めた共分散行列を固有値分解して、第1送信ウェイト行列V’を生成する。
【0083】
ST609では、第1送信ウェイト行列V’に位相回転量pを乗算し、位相回転行列Qを生成する。ST610では、第1送信ウェイト行列V’に位相回転行列Qを乗算し、第2送信ウェイト行列V”=Q’を生成し、ST611では、送信データに第2送信ウェイト行列V”を乗算して、基地局に送信する。
【0084】
このように、実施の形態2によれば、基地局において、SU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列に乗算することによって、MU−MIMO時の伝送容量を最大化するように送信ウェイト変換行列を決定し、決定した送信ウェイト変換行列の対角成分の位相にSU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列の第1ベクトル第1要素の位相を加えた位相を端末にフィードバックし、端末において、基地局からフィードバックされた位相に基づいて、送信ウェイト変換行列を推定し、推定した送信ウェイト変換行列をSU−MIMO基準の第1送信ウェイト行列に乗算して、MU−MIMO時の伝送容量を最大化するように決定された第2送信ウェイト行列を生成し、送信データに第2送信ウェイト行列を乗算する。これにより、MU−MIMO時の伝送容量を最大化または増大化しつつ、送信ウェイトの生成に係るフィードバック情報のオーバヘッドを低減することができる。
【0085】
なお、本実施の形態では、基地局から端末へフィードバックする情報を位相回転量rとして説明したが、本発明はこれに限らず、図12に示すように、位相回転量rを例えばπ/4毎に範囲分けして、各範囲に対応付けたインデックス(PRI:Phase Rotation Index)をフィードバックしてもよい。これにより、フィードバック情報のオーバヘッドをさらに低減することができる。
【0086】
また、本実施の形態では、位相回転行列の対角成分の位相及び振幅を全て同じ値に設定する。これにより、同一ユーザ内のユニタリ性を担保することができる。また、ユーザ間では、対角成分の位相を異なる値に設定する。これにより、マルチユーザダイバーシチ効果を改善し、伝送容量を向上させることができる。
【0087】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3では、送信ウェイト変換行列Mが対角行列であり、各成分の振幅が異なるものとする。ただし、各レイヤの合計電力がPtotalになるように設定されている。なお、本発明の実施の形態3に係る端末の構成は、実施の形態1の図4に示した端末100の構成と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0088】
図13は、本発明の実施の形態3に係る基地局700の構成を示すブロック図である。図13図7と異なる点は、第2送信ウェイト生成部203を削除し、送信ウェイト変換行列選択部204を送信ウェイト変換行列選択及びMMSE−SIC復調順序決定701に変更した点である。
【0089】
送信ウェイト変換行列選択及びMMSE−SIC復調順序決定部701は、MMSE−SIC基準の伝送容量(式(5)のCtotalに相当)が最大になるように復調順序と送信ウェイト変換行列を決定する。具体的には、送信ウェイト変換行列選択及びMMSE−SIC復調順序決定部701は、図14に示すようなTMIと送信ウェイト変換行列の対応表を備えており、端末kの復調順序が早いほど、各レイヤに電力配分をより均等(M24)に割り当てる送信ウェイト変換行列を選択し、端末kの復調順序が遅いほど、電力配分をより第1レイヤに割り当てる(M11)送信ウェイト変換行列を選択する。選択された送信ウェイト変換行列はTMI選択部205に出力される。
【0090】
このように、実施の形態3によれば、実施の形態1における最適な送信ウェイト行列の選択による伝送容量の改善に加えて、異なる振幅の対角成分の送信ウェイト行列を用いるため、MMSE−SICによるMU−MIMOの復調順序の自由度を高めることができ、さらに伝送容量を高めることができる。
【0091】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4では、電力配分行列Pにおける干渉成分の補正係数αをフィードバックする。ただし、各レイヤの合計電力がPtotalになるように設定されている。
【0092】
図15は、本発明の実施の形態4に係る端末800の構成を示すブロック図である。図15図4と異なる点は、第2送信ウェイト生成部109を削除し、フィードバック情報復調部106をフィードバック情報復調部801に変更し、電力制御部104を電力制御部802に変更した点である。
【0093】
フィードバック情報復調部801は、基地局から送信されたフィードバック情報を復調し、電力配分行列の補正係数αを取得し、取得した補正係数αを電力制御部802に出力する。なお、補正係数αは、基地局と端末800間で既知の信号(例えば、参照信号など)に乗算されているため、その既知信号の複素共役を乗算することにより、検出することができる。
【0094】
電力制御部802は、S/P変換部103から出力されたレイヤ毎の変調シンボルに第1送信ウェイト行列を乗算することを前提とした、注水定理に基づく電力配分をレイヤ毎の変調シンボルに対して行って、送信ウェイト乗算部105に出力する。
【0095】
基地局における注水定理に基づく干渉成分を考慮した電力配分行列Pは次式(17)によって表される。
【数17】
【0096】
電力制御部802は、フィードバック情報復調部801から電力配分行列補正係数αを受け取り、電力配分行列Pを生成する。これをレイヤ毎の変調シンボルに乗算することにより、電力配分を実施する。
【0097】
図16は、本発明の実施の形態4に係る基地局900の構成を示すブロック図である。図16図7と異なる点は、第2送信ウェイト生成部203及びTMI選択部205を削除し、送信ウェイト変換行列選択部204を電力配分行列補正係数決定部901に変更した点である。
【0098】
電力配分行列補正係数決定部901は、次式(18)により電力配分行列Pにおける干渉成分の補正係数αを求める。
【数18】
【0099】
ここで、qはコードブックサイズ、βはMMSE−SICによるMIMO復調における干渉抑圧度を調整するパラメータである。SNR(Signal to Noise Ratio)は各端末の平均SNRである。例えば、コードブックサイズq=5、β=1の場合、αは次式(19)によって表される。
【数19】
【0100】
αの決定方法については、上記実施の形態と同様にMMSE−SICに基づく伝送容量を最大化するようαを選択する。
【0101】
なお、上記各実施の形態では、端末の総アンテナ本数が基地局のアンテナ本数Mよりも多くなる場合においても適用可能である。
【0102】
また、上記各実施の形態では、送信ウェイト変換行列を第1送信ウェイト行列に乗算するものとして説明したが、本発明はこれに限らず、送信ウェイト変換行列を第1送信ウェイト行列に加算してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明にかかる無線通信基地局装置、無線通信端末装置及びフィードバック方法は、TDD−MIMOシステム等の移動通信システムに適用できる。
【符号の説明】
【0104】
101 誤り訂正符号化部
102 デジタル変調部
103 S/P変換部
104、802 電力制御部
105 送信ウェイト乗算部
106、401、801 フィードバック情報復調部
107、201 チャネル推定部
108、202 第1送信ウェイト生成部
109、203、403 第2送信ウェイト生成部
204、501 送信ウェイト変換行列選択部
205 TMI生成部
206 MIMO復調部
207 P/S変換部
208 デジタル復調部
209 誤り訂正復号部
402 位相回転行列推定部
502 フィードバック情報決定部
701 送信ウェイト変換行列及びMMSE−SIC復調順序決定部
901 電力配分行列補正係数決定部
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16