(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記樹脂シートの他方端部と前記第1セパレータの捲き始め端部と前記第2セパレータの捲き始め端部とが重ねた状態で溶着される溶着領域において、前記第1セパレータの捲き始め端部と前記第2セパレータの捲き始め端部との間に前記樹脂シートの他方端部を介在させた構造を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
前記樹脂シートの他方端部と前記第1セパレータの捲き始め端部と前記第2セパレータの捲き始め端部とが重ねた状態で溶着される溶着領域において、前記第1セパレータの捲き始め端部の前記軸芯側に前記樹脂シートの他方端部を配置した構造を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
前記樹脂シートの他方端部と前記第1セパレータの捲き始め端部と前記第2セパレータの捲き始め端部とが重ねて接続される接続領域において、第2セパレータの捲き始め端部の前記軸芯から離れる側に前記樹脂シートの他方端部を配置した構造を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図面を用いて説明する。
【0011】
まず、二次電池の全体構成について説明し、次いで、各実施例の特徴構成について説明する。なお、以下の実施の形態では、板状の軸芯に電極を捲回した扁平状の電極群を有する角形二次電池の場合を例に説明するが、二次電池の形状は角形に限定されるものではなく、例えば丸棒状の軸芯に電極を捲回した円筒状の電極群を有する円筒形二次電池に適用することもできる。
【0012】
図1は、本実施形態における二次電池の外観斜視図、
図2は、
図1に示された二次電池の分解斜視図である。
【0013】
二次電池1は、薄型のほぼ直方体形状の電池容器2内に、電極群40が収容され、図示はしないが非水電解液が注入されて構成されている。電池容器2は、
図1に示すように、電池蓋3と電池缶4を有している。電池蓋3および電池缶4は、例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金などの金属製材料により構成されている。
【0014】
電池蓋3には、
図2に示すように、正極集電板21、負極集電板31等が一体的に組みつけられており、電池蓋ユニット10として構成されている。電池蓋ユニット10の正極集電板21および負極集電板31は、それぞれ、電極群40の正極金属箔41aまたは負極金属箔42aに、例えば、超音波溶接により接合されることにより、電池蓋・発電ユニット50とされ、電池缶4の上端部の開口部から収容される。
【0015】
なお、
図2においては、電池蓋・発電ユニット50は、直接電池缶4内に収容される図となっているが、電池缶・発電ユニット50を、一旦、電気的に絶縁性を有するシート等で包んでから収容する構造であってもよい。
【0016】
電池蓋3には、非水電解液を注入するための注液口(図示せず)が設けられており、注液栓11で密閉される。また、電池蓋3には過充電等でリチウムイオン二次電池1の内部圧力が予め設定された上限値を超えて上昇した際に、電池容器2を解放して圧力を抜くためのガス排出弁12が設けられている。ガス排出弁12には開裂用の破断溝12aが形成されている。
【0017】
非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比で1:2の割合で混合した混合液中に六フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いることができる。
【0018】
電池蓋3は、レーザー溶接によって電池缶4に接合されて、電池缶4の上端開口を閉塞する。そして、注液口(図示せず)から電解液を注入した後に、注液栓11で注液口を塞ぎ、注液栓11を電池蓋3にレーザー溶接して、外部から封口される。
【0019】
電池蓋ユニット10は、電池蓋3と正極側端子構成部20と、負極側端子構成部30を備える。正極側端子構成部20は、外部正極端子24、正極接続端子25、正極端子板26、絶縁板27、ガスケット(図示せず)および正極集電板21から構成される。外部正極端子24、正極端子板26、正極接続端子25および正極集電板21は、一体的に固定され、電池蓋3に取り付けられている。
【0020】
正極側端子構成部20を作成するには次のようにする。予め、正極集電板21を正極接続端子25にかしめて固定しておく。そして、電池蓋3の貫通孔にガスケットを嵌入しておく。そして電池蓋3上に絶縁板27を、電池蓋3の貫通孔と絶縁板27の貫通孔とを位置合わせして配置する。
【0021】
次に、外部正極端子24を正極端子板26に設けられた貫通孔に嵌入し、絶縁板27上で正極端子板26に固定する。外部正極端子24と正極端子板26にかしめてもよい。また、正極集電板21がかしめられた正極接続端子25を電池蓋3の裏側からガスケットの貫通孔に挿入し、正極接続端子25の先端部側を絶縁板27および正極端子板26の貫通孔に挿通する。正極接続端子25の先端側は、正極端子板26の貫通孔よりも僅かに小さい円筒形状を有しており、この正極接続端子25の先端部分をかしめることにより、正極側端子構成部20が電池蓋3に一体的に組み付けられる。
【0022】
この状態において、正極集電板21、正極接続端子25、正極端子板26および外部正極端子24は、電気的に接続されている。また、正極集電板21、正極接続端子25、正極端子板26および外部正極端子24は、絶縁板27およびガスケット(図示せず)によって電池蓋3と絶縁されている。
【0023】
負極側端子構成部30は、外部負極端子34、負極接続端子35、負極端子板36、絶縁板37、ガスケット(図示せず)および負極集電板31から構成される。外部負極端子34、負極端子板36、負極接続端子35および負極集電板31は、電池蓋3に一体的に組み付けられている。
【0024】
負極側端子構成部30を作成するには次のようにする。予め、負極集電板31を負極接続端子35にかしめて固定しておく。そして、電池蓋3の貫通孔にガスケットを嵌入しておく。そして、電池蓋3上に絶縁板37を、電池蓋3の貫通孔と絶縁板37の貫通孔とを位置合わせして配置する。
【0025】
次に、外部負極端子34を負極端子板36に設けられた貫通孔に嵌入し、絶縁板37上で負極端子板36に固定する。また、負極集電板31がかしめられた負極接続端子35を電池蓋3の裏側からガスケットの貫通孔に挿入し、負極接続端子35の先端部側を絶縁板37および負極端子板36の貫通孔に挿通する。
【0026】
負極接続端子35の先端側は、負極端子板36の貫通孔よりも僅かに小さい円筒形状を有しており、この負極接続端子35の先端部分をかしめることにより、負極側端子構成部30が電池蓋3に一体的に組み付けられている。
【0027】
この状態において、負極集電板31、負極接続端子35、負極端子板36および外部負極端子34は、電気的に接続されている。また、負極集電板31、負極接続端子35、負極端子板36および外部負極端子34は、絶縁板37およびガスケット(図示せず)により電池蓋3と絶縁されている。
【0028】
電池蓋ユニット10の正極集電板21および負極集電板31は、それぞれ、電極群40の正極金属箔41aまたは負極金属箔42aに、超音波溶接により接合されて電気的に接続され、電池蓋・発電ユニット50となる。
【0029】
以上により、二次電池1は、外部正極端子24および外部負極端子34に接続された外部電子機器に対して、充放電が可能な構造となる。
【0030】
図3は、
図2に示された電極群の詳細を示し、一部を展開した状態の外観斜視図である。
【0031】
電極群40は、正極電極41と、負極電極42と、第1セパレータ43と、第2セパレータ44を重ね合わせた状態で、軸芯40aの周りに扁平状に捲回して形成されたものである。
【0032】
軸芯40aは、合成樹脂材料からなり、一対の扁平面を有する矩形の平板部材によって構成されている。軸芯40aには、後述する樹脂シート45(
図5を参照)を間に介して第1セパレータ43および第2セパレータ44が接続されている。
【0033】
正極電極41は、例えば、アルミニウム箔等からなる正極金属箔41aの表裏両面に正極合剤層41bが塗布されたものである。正極合剤層41bは、一側縁に、正極金属箔41aが露出された正極合剤未処理部41cが形成されるように正極金属箔41aに正極合剤が塗布されて形成される。
【0034】
負極電極42は、例えば、銅箔等からなる負極金属箔42aの表裏両面に負極合剤層42bが塗布されたものである。負極合剤層42bは、正極合剤未処理部41cが配置された側縁と対向する側縁である他側縁に、負極金属箔42aが露出された負極合剤未処理部42cが形成されるように負極金属箔42aに負極合剤が塗布されて形成される。
【0035】
正極合剤層41bは、正極活物質としてマンガン酸リチウム(化学式LiMn
2O
4)に対し、導電材として鱗片状黒鉛と結着材としてポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという)とを添加し、これに分散溶媒としてN-メチルピロリドン(以下、NMPという)を添加、混練して作成する。この正極合剤を厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に正極合剤未処理部41cを残して塗布する。その後、乾燥、プレス、裁断してアルミニウム箔を含まない正極活物質塗布部の厚さ(表裏両面の合計)90μmの正極電極41を得る。
【0036】
負極合剤層42bは、負極活物質として非晶質炭素粉末に対して、結着材としてPVDFを添加し、これに分散溶媒としてNMPを添加、混練して作成する。この負極合剤を厚さ10μmの銅箔の両面に負極合剤未処理部42cを残して塗布する。その後、乾燥、プレス、裁断して銅箔を含まない負極活物質塗布部の厚さ(表裏両面の合計)70μmの負極電極42を得る。
【0037】
第1セパレータ43は、樹脂層43aと耐熱層43bを有し、第2セパレータ44は、樹脂層44aと耐熱層44bを有する(例えば
図5を参照)。耐熱層43b、44bは、それぞれ樹脂層43a、44aの少なくとも一方の面(片面)に形成されている。樹脂層43a、44aは、例えばポリプロピレンの多孔質膜から形成されており、耐熱層43b、44bは例えばセラミックフィラーを主成分としており、厚さ方向に連通する空孔を有している。樹脂層43a、44aの厚みは、例えば20μmであり、耐熱層43b、44bの厚みは、例えば5μmである(樹脂層:耐熱層=4:1)。これら一対のセパレータである第1セパレータ43と第2セパレータ44は、互いの耐熱層43b、44bを対向させて重ねた状態で軸芯40aに捲回される。
【0038】
電極群40を形成するには、軸芯40aに各捲き始め端部が接続された第1、第2セパレータ43、44の間に、それぞれ、負極電極42の捲き始め端部と、正極電極41の捲き始め端部を、負極電極42が正極電極41よりも内側に位置するように配置して捲回する。
【0039】
この場合、負極合剤層42bの幅、換言すれば、捲回軸方向の長さは、正極合剤層41bの幅よりも広く形成されている。また、第1セパレータ43の幅は、正極電極41の正極合剤未処理部41cを、一側縁において外部に露出させる寸法とされている。同様に、第2セパレータ44の幅は、負極電極42の負極合剤未処理部42cを他側縁において外部に露出させる寸法とされている。
【0040】
図4は、電極群製造装置の構成を説明する図である。電極群製造装置73は、正極電極41と、負極電極42と、第1セパレータ43と、第2セパレータ44を重ね合わせた状態で扁平状の軸芯40aに捲回して角型二次電池1の電極群40を製造する構成を有する。
【0041】
電極群製造装置73は、第1セパレータ43および第2セパレータ44を接続するヒータブロック70と、軸芯40aを捲回軸回りに回転可能に保持する保持手段と、保持手段に保持された軸芯40aの扁平面に対して直交する方向にヒータブロック70を押圧する押圧手段を有している。
【0042】
保持手段は、
図4に示すように、装置中央に扁平な軸芯40aを捲回軸方向両側から位置決め把持し、回転させる把持回転機構66を備える。本実施形態では、把持回転機構66は、水平方向に沿って軸芯40aの回転軸が配置されるように把持する。
【0043】
押圧手段は、ヒータブロック70を所定位置まで上昇させ、軸芯40aに押圧するヒータ昇降機構71と、その押圧により軸芯40aが負けて曲がらないように軸芯40aを裏側から押さえる裏押さえ機構72とを備える。
【0044】
そして、把持回転機構66の側方には、上方から下方に向かって順番に負極電極42、第1セパレータ43、正極電極41、第2セパレータ44が、それぞれロール状態で配置されており、これらを把持回転機構66に供給できるようになっている。また、各々の電極やセパレータを所定の長さだけ供給する送りローラ60a〜60dと所定長さで切断するカッタ61a〜61dを備える。第1セパレータ43と、第2セパレータ44は、軸芯40aに捲回された際に、耐熱層43b、44bが互いに対向して間に正極電極41を挟み込むように把持回転機構66に供給される。
【0045】
第1セパレータ43、第2セパレータ44を、送り出し機構60a、60cで軸芯40aとヒータブロック70の間に送り込んだ後、軸芯40aに第1セパレータ43、第2セパレータ44を押し付け仮位置決めするセパレータ仮押さえ68を備える。
【0046】
捲回は、まず、第1セパレータ43と第2セパレータ44を重ねて軸芯40aに一体的に接続する。このときに必要となる熱と押圧はヒータブロック70によって得ることができる。次に、第1セパレータ43の耐熱層43bと第2セパレータ44の耐熱層44bとの間に正極電極41を配置して捲回する。このとき、負極電極42を正極電極41よりも内側に挿入することで最内周の正極電極41の内側に負極電極42を配置できる。
【0047】
電極群40を捲回した後、解けないようにテープ63を貼り付ける貼り付け手段67を備える。テープ63は送り出し機構64を介し、カッタ65で所定長さにカットされる。前述した送り機構60a〜60dは、捲回中に正極電極41、第1セパレータ43、負極電極42、第2セパレータ44に対し、バックテンションをかける役割も合わせ持つ。
【0048】
(実施例1)
図5は、実施例1の構成を説明する分解斜視図、
図6は、実施例1の構成を説明する模式図、
図7は、実施例1において軸芯を半周回転させた状態を示す図である。
【0049】
第1セパレータ43および第2セパレータ44は、樹脂層43a、44aの片面にそれぞれ耐熱層43b、44bを有する2層構造になっている。そして、互いの耐熱層43b、44bが対向して軸芯40aに捲回される。第1セパレータ43と第2セパレータ44は、耐熱層43bと耐熱層44bを対向させて重ね合わせた状態とされ、互いの捲き始め端部が同じ位置に揃えられている。第1セパレータ43および第2セパレータ44は、第1セパレータ43の捲き始め端部が軸芯40a側(以下、内側という)に配置され、第2セパレータ44の捲き始め端部が軸芯40aから離反する側(以下、外側という)に配置される。
【0050】
第1セパレータ43及び第2セパレータ44と軸芯40aは、樹脂シート45を介して一体に接続されている。樹脂シート45は、捲き始め端部(一方端部)が軸芯40aに接続され、捲き終わり端部(他方端部)が第1セパレータ43と第2セパレータ44に重ねた状態で接続されている。樹脂シート45の幅は、軸芯40aの捲回部分の幅以上でかつセパレータ43、44の幅以下の大きさに設定され、樹脂シート45の長さは、軸芯40aの半周以上の捲回長さに設定されている。
【0051】
樹脂シート45は、第1セパレータ43の捲き始め端部と第2セパレータ44の捲き始め端部に重ねた状態で溶着される。この溶着領域では、第1セパレータ43の捲き始め端部と第2セパレータ44の捲き始め端部との間に樹脂シート45の他方端部を介在させている。樹脂シート45の捲き終わり端部は、第1セパレータ43と第2セパレータ44の互いに対向する耐熱層43bと44bとの間に挟み込まれる。そして、樹脂シート45の捲き始め端部は、第1セパレータ43の捲き始め端部および第2セパレータ44の捲き始め端部より、捲回方向に突出して軸芯40aに接続されている。
【0052】
樹脂シート45を接続する順番は、第1セパレータ43及び第2セパレータ44と、軸芯40aの何れを先に行っても良く、本実施の形態では、最初に、第1セパレータ43及び第2セパレータ44に接続し、次いで、軸芯40aに接続している。
【0053】
樹脂シート45の捲き始め端部と軸芯40aとの接続は、
図6に示すように、樹脂シート45の捲き始め端部を軸芯40aの扁平面に重ね合わせて溶着することによって行われる。樹脂シート45の捲き始め端部は、ヒータブロック70のヒータヘッド70aを所定の押圧力で押し付けることによって部分的に加熱されて溶融され、その溶融した樹脂が軸芯40aに溶け込むことによって溶着され、その溶着強度は、捲回中のバックテンションによって剥がれない程度の所定の強度とされる。
【0054】
樹脂シート45の捲き終わり端部と第1セパレータ43及び第2セパレータ44との接続は、樹脂シート45の捲き終わり端部を第1セパレータ43の捲き始め端部と第2セパレータ44の捲き始め端部との間に挟み込んだ状態で溶着することによって行われる。
【0055】
第1セパレータ43及び第2セパレータ44を捲回中のバックテンションに対しても剥がれることなく所定の強度で接続させるためには、ヒータブロック70のヒータヘッド70bの熱を第2セパレータ44から第1セパレータ43まで十分に伝達させる必要がある。
【0056】
本実施形態では、第1セパレータ43と第2セパレータ44の間、すなわち、互いに対向する耐熱層43bと44bとの間に樹脂シート45を介在させた状態で、ヒータブロック70のヒータヘッド70bと裏押さえ70cとの間に挟み込み、ヒータヘッド70bにより、第2セパレータ44の樹脂層44aを部分的に加熱して溶融させる。
【0057】
そして、その樹脂層44aの溶融樹脂を耐熱層44bの空孔に溶け込ませて樹脂シート45まで到達させ、樹脂層44aの溶融樹脂の熱を樹脂シート45に伝達させ、その樹脂層44aの溶融樹脂の熱により樹脂シート45を溶融させる。そして、その樹脂シート45の溶融樹脂を第1セパレータ43の耐熱層43bの空孔に溶け込ませて樹脂層43aまで到達させ、樹脂シート45の溶融樹脂の熱を樹脂層43aに伝達させ、その樹脂シート45の溶融樹脂の熱により樹脂層43aを部分的に溶融させる。そして、樹脂シート45の溶融樹脂を樹脂層43aの溶融樹脂に溶け込ませて樹脂シート45を樹脂層43aに接続することができる。
【0058】
したがって、耐熱層43b、44bの空孔に、樹脂を十分な量だけ溶け込ませることができ、軸芯40aと第1セパレータ43および第2セパレータ44とを、樹脂シート45を介して所定の強度で一体的に接続させることができる。第1セパレータ43及び第2セパレータ44と樹脂シート45との溶着は、第1セパレータ43及び第2セパレータ44の幅方向に沿って溶接部分と非溶接部分が形成されるように行われる。以上により、耐熱層43b、44bが対向する2枚のセパレータ43、44を容易かつ十分な強度で軸芯40aに接続することができる。したがって、
図7に示すように、軸芯40aを回転させることによって2枚のセパレータ43、44を軸芯40aの周りに捲回することができる。
【0059】
このとき、第1セパレータ43の樹脂層43aと第2セパレータ44の樹脂層44aの厚みは、一定であり、変化させる必要がないので、二次電池1の内部抵抗が上昇する懸念はない。
【0060】
第2セパレータ44の耐熱層44bを第1セパレータ43の耐熱層43bに対向させて互いに重ねても、耐熱層44bと耐熱層43bの各空孔は必ずしも重ならないが、本実施例では、耐熱層43bと44bの間に樹脂シート45を介在させているため、溶融樹脂が耐熱層43bに溶け込む経路を十分に確保できる。
【0061】
また、樹脂シート45は、セパレータ43、44の樹脂層43a,44aの厚さ20μmに対して、セパレータのように空孔を設ける必要が無い分だけ、その厚さを薄くすることができ、例えば10〜15μmとすることができる。樹脂シート45の材質は、例えばセパレータ43、44の樹脂層43a,44aと同じポリプロピレンである。
【0062】
電極群40の製作過程において、セパレータの先捲きの後に、90〜100μmの厚みを有する負極電極42、正極電極41が挿入される。樹脂シート45の厚みは、正極電極41、負極電極42の厚みに対し、十分に小さいため、電極群40の形状及び性能への影響はない。したがって、接続部分の厚みは電極の厚みより小さければ良い。そして、本実施例では、樹脂シート45の厚みは、第2セパレータ44の耐熱層の厚さ以上の厚さに設定されている。
【0063】
(実施例2)
図8は、実施例2の構成を説明する分解斜視図、
図9は、実施例2の構成を説明する模式図、
図10は、実施例2において軸芯を半周回転させた状態を示す模式図である。
【0064】
本実施形態において特徴的なことは、第1セパレータ43よりも軸芯40aに対し内側、つまり軸芯40aに近接する方向に樹脂シート45を配置させていることである。
【0065】
第1セパレータ43と第2セパレータ44は、
図8に示すように、耐熱層43bと耐熱層44bを対向させて重ね合わせかつ互いの捲き始め端部を同じ位置に揃えた状態とされ、軸芯40aに対して内側に第1セパレータ43の捲き始め端部が配置され、外側に第2セパレータ44の捲き始め端部が配置される。
【0066】
樹脂シート45は、第1セパレータ43の内側、すなわち第1セパレータ43の樹脂層43aの上に重ねた状態で溶着される。この溶着領域では、第1セパレータ43の捲き始め端部の軸芯側に樹脂シート45の捲き終わり端部を配置している。そして、樹脂シート45の捲き始め端部は、第1セパレータ43の捲き始め端部および第2セパレータ44の捲き始め端部より、捲回方向に突出している。
【0067】
樹脂シート45の捲き始め端部と軸芯40aとの接続は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0068】
樹脂シート45の捲き終わり端部と第1セパレータ43及び第2セパレータ44との接続は、樹脂シート45の捲き終わり端部を第1セパレータ43の樹脂層43aに重ね合わせた状態で溶着することによって行われる。本実施形態では、第1セパレータ43の樹脂層43aに樹脂シート45を重ねた状態で、ヒータヘッド70bと裏押さえ70cとの間に挟み込み、ヒータヘッド70bにより、第2セパレータ44の樹脂層44aを部分的に加熱して溶融させる。
【0069】
そして、その樹脂層44aの溶融樹脂を耐熱層44bの空孔に溶け込ませて第1セパレータ43との境界面まで到達させ、その境界面から第1セパレータ43の耐熱層43bの空孔に溶け込ませて第1セパレータ43の樹脂層43aまで到達させる。そして、第1セパレータ43の樹脂層43aに、樹脂層44aの溶融樹脂の熱を伝達させ、その樹脂層44aの溶融樹脂の熱により第1セパレータ43の樹脂層43aを溶融させ、樹脂層44aの溶融樹脂を樹脂層43aの溶融樹脂に溶け込ませて第2セパレータ44に第1セパレータ43を溶着する。
【0070】
そして、樹脂層43aの溶融樹脂の熱を樹脂シート45に伝達させて、樹脂シート45を部分的に溶融させる。そして、樹脂層43aの溶融樹脂を樹脂シート45の溶融樹脂に溶け込ませて第1セパレータ43を樹脂シート45に溶着することができる。
【0071】
したがって、耐熱層43b、44bの空孔に、樹脂を十分な量だけ溶け込ませることができ、軸芯40aと第1セパレータ43および第2セパレータ44とを、樹脂シート45を介して所定の強度で一体的に接続することができる。第1セパレータ43及び第2セパレータ44と樹脂シート45との溶着は、第1セパレータ43及び第2セパレータ44の幅方向に沿って溶接部分と非溶接部分が形成されるように行われる。以上により、耐熱層43b、44bが対向する2枚のセパレータ43、44を容易かつ十分な強度で軸芯40aに接続することができる。したがって、
図10に示すように、軸芯40aを回転させることによって樹脂シート45を軸芯40aの周りに捲回し、続いて2枚のセパレータ43、44を捲回することができる。
【0072】
第2セパレータ44の耐熱層44bを第1セパレータ43の耐熱層43bに対向させて互いに重ねても、耐熱層44bと耐熱層43bの各空孔は必ずしも重ならないが、本実施例では、第2セパレータ44の樹脂層44aの溶融樹脂が、第2セパレータ44の耐熱層44bの空孔を通って、耐熱層44bと耐熱層43bとの境界面に流れ込み、境界面に沿って拡がることで、溶融樹脂が第1セパレータ43の耐熱層43bの空孔に溶け込む経路を十分に確保できる。
【0073】
本実施例によれば、
図10に示すように、樹脂シート45を凹凸なく軸芯40aの外周に沿って滑らかに捲回することができる。したがって、その外側に、第1セパレータ43及び第2セパレータ44、正極電極41、負極電極42を凹凸なく滑らかに捲回することができる。
【0074】
(実施例3)
図11は、実施例3の構成を説明する分解斜視図、
図12は、実施例3の構成を説明する模式図、
図13は、実施例3において軸芯を半周回転させた状態を示す図である。
【0075】
本実施形態において特徴的なことは、第2セパレータ44よりも軸芯40aに対し外側、つまり軸芯40aから離反する側に樹脂シート45を配置させていることである。
【0076】
第1セパレータ43と第2セパレータ44は、
図11に示すように、耐熱層43bと耐熱層44bを対向させて重ね合わせかつ互いの捲き始め端部を同じ位置に揃えた状態とされている。樹脂シート45は、第2セパレータ44の外側、すなわち樹脂層44aの表面に樹脂シート45の捲き終わり端部を重ねた状態で溶着される。この溶着領域では、第2セパレータ44の捲き始め端部の外側に樹脂シート45の捲き終わり端部を配置している。そして、樹脂シート45の捲き始め端部は、第1セパレータ43の捲き始め端部および第2セパレータ44の捲き始め端部より、捲回方向に突出している。
【0077】
樹脂シート45の捲き始め端部と軸芯40aとの接続は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0078】
樹脂シート45の捲き終わり端部と第1セパレータ43及び第2セパレータ44との接続は、樹脂シート45の捲き終わり端部を第2セパレータ44の樹脂層44aに重ね合わせた状態で溶着することによって行われる。本実施形態では、第2セパレータ44の樹脂層44aに樹脂シート45を重ねた状態で、ヒータヘッド70bと裏押さえ70cとの間に挟み込み、ヒータヘッド70bにより、樹脂シート45を部分的に加熱して溶融させる。
【0079】
そして、第2セパレータ44の樹脂層44aに、樹脂シート45の溶融樹脂の熱を伝達させ、その熱により第2のセパレータ44の樹脂層44aを溶融させ、樹脂シート45の溶融樹脂を樹脂層44aの溶融樹脂に溶け込ませて樹脂シート45を第2セパレータ44に溶着する。
【0080】
そして、樹脂層44aの溶融樹脂を耐熱層44bの空孔に溶け込ませて第1セパレータ43との境界面まで到達させ、その境界面から第1セパレータ43の耐熱層43bの空孔に溶け込ませて第1セパレータ43の樹脂層43aまで到達させる。そして、第1セパレータ43の樹脂層43aに、樹脂層44aの溶融樹脂の熱を伝達させ、その樹脂層44aの溶融樹脂の熱により第1セパレータ43の樹脂層43aを溶融させ、樹脂層44aの溶融樹脂を樹脂層43aの溶融樹脂に溶け込ませて第2セパレータ44に第1セパレータ43を溶着する。
【0081】
したがって、耐熱層43b、44bの空孔に、樹脂を十分な量だけ溶け込ませることができ、軸芯40aと第1セパレータ43および第2セパレータ44とを、樹脂シート45を介して所定の強度で一体的に接続することができる。第1セパレータ43及び第2セパレータ44と樹脂シート45との溶着は、第1セパレータ43及び第2セパレータ44の幅方向に沿って溶接部分と非溶接部分が形成されるように行われる。以上により、耐熱層43b、44bが対向する2枚のセパレータ43、44を容易かつ十分な強度で軸芯40aに接続することができる。したがって、
図13に示すように、軸芯40aを回転させることによって樹脂シート45を軸芯40aの周りに捲回し、続いて2枚のセパレータ43、44を捲回することができる。
【0082】
第2セパレータ44の耐熱層44bを第1セパレータ43の耐熱層43bに対向させて互いに重ねても、耐熱層44bと耐熱層43bの各空孔は必ずしも重ならないが、本実施例では、樹脂シート45および第2セパレータ44の樹脂層44aの溶融樹脂が、第2セパレータ44の耐熱層44bの空孔を通って、第2セパレータ44の耐熱層44bと第1セパレータ43の耐熱層43bとの境界面に流れ込み、境界面に沿って拡がることで、溶融樹脂が第1セパレータ44の耐熱層43bの空孔に溶け込む経路を十分に確保できる。
【0083】
本実施例によれば、樹脂シート45を第2セパレータ44の外側、つまり軸芯40aに対し離反する方向に配置しているので、電極群製造装置73を用いて製造する際に、樹脂シート45のハンドリングが容易になる。したがって、電極群製造装置73に簡単な構造のハンドリング装置を付加するだけで実現することができ、設備費やメンテナンス費等のコストを低く抑えることができる。
【0084】
また、軸芯40aを半周回転させることによって、軸芯40aと樹脂シート45との間に、第1セパレータ43と第2セパレータ44の各捲き始め端部を挟み込んで保持することができ、第1セパレータ43と第2セパレータ44を軸芯40aに確実に固定することができる。
【0085】
(実施例4)
図14は、実施例4の構成を説明する分解斜視図、
図15は、実施例4の構成を説明する模式図、
図16は、実施例4において軸芯を半周回転させた状態を示す図である。
【0086】
本実施形態において特徴的なことは、両面に耐熱層を有する2枚のセパレータの間に樹脂シート45を介在させた構成としたことである。第1セパレータ43と第2セパレータ44は、樹脂層43a、44aの両面にそれぞれ耐熱層43b1、43b2、44b1、44b2が設けられた3層構造を有している。上記構成を有する第1セパレータ43と第2セパレータ44を重ねて接続する場合、必ず、互いの耐熱層同士が対向する。この領域において、対向する耐熱層43b2、44b1の間に、樹脂シート45の捲き終わり端部を介在させている。樹脂シート45の捲き始め端部は、第1セパレータ43の捲き始め端部および第2セパレータ44の捲き始め端部より、捲回方向に突出して配置される。
【0087】
樹脂シート45の捲き始め端部と軸芯40aとの接続は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0088】
樹脂シート45の捲き終わり端部と第1セパレータ43及び第2セパレータ44との接続は、樹脂シート45の捲き終わり端部を第1セパレータ43の捲き始め端部と第2セパレータ44の捲き始め端部との間に挟み込んだ状態で溶着することによって行われる。
【0089】
第1セパレータ43及び第2セパレータ44を捲回中のバックテンションに対しても剥がれることなく所定の強度で接続させるためには、ヒータブロック70のヒータヘッド70bの熱を第2セパレータ44から第1セパレータ43まで十分に伝達させる必要がある。
【0090】
本実施形態では、第1セパレータ43と第2セパレータ44の間、すなわち、互いに対向する耐熱層43bと44bとの間に樹脂シート45を介在させた状態で、ヒータブロック70のヒータヘッド70bと裏押さえ70cとの間に挟み込み、ヒータヘッド70bにより、第2セパレータ44の樹脂層44aを部分的に加熱して溶融させる。
【0091】
そして、その樹脂層44aの溶融樹脂を耐熱層44b1の空孔に溶け込ませて樹脂シート45まで到達させ、樹脂層44aの溶融樹脂の熱を樹脂シート45に伝達させ、その樹脂層44aの溶融樹脂の熱により樹脂シート45を溶融させ、樹脂層44aの溶融樹脂を樹脂シート45の溶融樹脂に溶け込ませて第2セパレータ44を樹脂シート45に溶着する。
【0092】
そして、樹脂シート45の溶融樹脂を、第1セパレータ43の耐熱層43b2の空孔に溶け込ませて樹脂層43aまで到達させ、樹脂シート45の溶融樹脂の熱を樹脂層43aに伝達させて、樹脂層43aを部分的に溶融させる。そして、樹脂シート45の溶融樹脂を樹脂層43aの溶融樹脂に溶け込ませて樹脂シート45を第1セパレータ43に溶着する。
【0093】
したがって、耐熱層43b2、44b1の空孔に、樹脂を十分な量だけ溶け込ませることができ、軸芯40aと第1セパレータ43および第2セパレータ44とを、樹脂シート45を介して所定の強度で一体的に接続させることができる。第1セパレータ43及び第2セパレータ44と樹脂シート45との溶着は、第1セパレータ43及び第2セパレータ44の幅方向に沿って溶接部分と非溶接部分が形成されるように行われる。以上により、両面に耐熱層を有する2枚のセパレータ43、44を容易かつ十分な強度で軸芯40aに接続することができる。したがって、
図7に示すように、軸芯40aを回転させることによって2枚のセパレータ43、44を軸芯40aの周りに捲回することができる。
【0094】
このとき、第1セパレータ43の樹脂層43aと第2セパレータ44の樹脂層44aの厚みは、一定であり、変化させる必要がないので、二次電池1の内部抵抗が上昇する懸念はない。
【0095】
第2セパレータ44の耐熱層44b1を第1セパレータ43の耐熱層43b2に対向させて互いに重ねても、耐熱層44b1と耐熱層43b2の各空孔は必ずしも重ならないが、本実施例では、耐熱層43b1と44b2の間に樹脂シート45を介在させているため、溶融樹脂が耐熱層43bに溶け込む経路を十分に確保できる。
【0096】
前述の実施形態は、角形二次電池の構造を前提に説明したが、耐熱層を有するセパレータが軸芯に接続される構造であれば角形に拘る必要は無く、円筒形二次電池においても適用可能である。
【0097】
また、上述の各実施例では、樹脂層43aと44aとの厚さが同じであり、また、耐熱層43bと44bとの厚さが同じである場合を例に説明したが、これらの厚さは同一に限定されるものではなく、相違していてもよい。
【0098】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。