特許第5797623号(P5797623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5797623粘着テープ貼付け方法および粘着テープ貼付け装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797623
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】粘着テープ貼付け方法および粘着テープ貼付け装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20151001BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/304 622J
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-191757(P2012-191757)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-49626(P2014-49626A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2014年8月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】394016601
【氏名又は名称】日東精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(72)【発明者】
【氏名】金島 安治
(72)【発明者】
【氏名】長谷 幸敏
(72)【発明者】
【氏名】村山 拓
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅之
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−109008(JP,A)
【文献】 特開2012−060047(JP,A)
【文献】 特開2009−152363(JP,A)
【文献】 特開2009−194064(JP,A)
【文献】 特開2010−141254(JP,A)
【文献】 特開2006−187862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハの回路形成面に粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付け方法であって、
チャンバを構成する一対のハウジングのその一方に収納された保持テーブルに半導体ウエハを載置保持した後に、当該ハウジングの接合部に当該ハウジングの内径よりも大きい前記粘着テープを貼り付ける第1貼付け過程と、
前記粘着テープを挟み込んで一対のハウジングを接合した後に、当該粘着テープの粘着面に近接対向して配置されている前記半導体ウエハ側の空間を他方の空間よりも気圧を低くしながら当該粘着テープを半導体ウエハに貼り付ける第2貼付け過程と、
前記半導体ウエハの回路形成面に貼り付いた粘着テープの表面を加圧部材の扁平面によって加圧して平坦化する加圧過程を含み、
前記粘着テープを貼り付けた後に、粘着テープ表面に凹凸が生じるような半導体ウエハの回路状態および粘着テープの特性である場合、前記加圧過程の加圧処理を選択的に行う
ことを特徴とする粘着テープ貼付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載の粘着テープ貼付け方法において、
前記第1貼付け過程は、剥離部材により折り返されてセパレータから剥離して突き出される粘着テープの先端側から貼付け部材で押圧しながらハウジングの接合部に貼り付ける
ことを特徴とする粘着テープ貼付け方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の粘着テープ貼付け方法において、
前記加圧過程は、加熱器により粘着テープを加熱しながら加圧する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の粘着テープ貼付け方法において、
前記加圧過程は、チャンバ内を減圧状態に維持したまま粘着テープを加圧する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の粘着テープ貼付け方法において、
前記加圧過程は、両ハウジングの接合を解除した大気状態で粘着テープを加圧する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け方法。
【請求項6】
半導体ウエハの回路形成面に表面保護用の粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付け装置であって、
前記半導体ウエハを保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルを収納する一対のハウジングからなるチャンバと、
前記ハウジングの内径よりも大きい前記粘着テープを供給するテープ供給部と、
一方の前記ハウジングの接合部に粘着テープを貼り付けるテープ貼付け機構と、
一対の前記ハウジングの接合部によって挟み込まれた粘着テープにより仕切られたチャンバ内の2つの空間に差圧を生じさせて半導体ウエハに貼り付けられた粘着テープの表面を当該チャンバ内に配備した加圧部材の扁平面によって加圧する加圧機構と、
前記半導体ウエハの外形に沿って粘着テープを切断する切断機構と、
前記半導体ウエハの形状に切り抜いた粘着テープを剥離する剥離する剥離機構と、
剥離後の前記粘着テープを回収するテープ回収部とを備え、
差圧によって前記半導体ウエハに粘着テープを貼り付けた後に、粘着テープ表面に凹凸が生じるような半導体ウエハの回路状態および粘着テープの特性の場合に、加圧部材によって粘着テープを加圧するよう構成した
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項7】
請求項6に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記テープ貼付け機構は、セパレータから粘着テープを剥離して突き出す剥離部材と、
前記剥離部材から突き出た粘着テープの先端を押圧する貼付けローラと、
貼付け終端位置で粘着テープの後端を切断する切断機構と、
を備えたことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記粘着テープの貼り付けられた半導体ウエハを保持テーブルに保持しつつ、当該保持テーブルを収納しているハウジングと一体にしてテープ貼付け位置とテープ切断位置とにわたって移動させる移動機構と、
を備えたことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項9】
請求項8に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記移動機構は、回転駆動機と、
前記回転駆動機の回転軸に連結固定されたアームを備え
前記アームの少なくとも一端に前記保持テーブルを収納したハウジングを有する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項10】
請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記保持テーブルおよび加圧部材の少なくとも一方に加熱器を備えた
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項11】
半導体ウエハとリングフレームとにわたって支持用の粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付け装置であって、
前記半導体ウエハを保持するウエハ保持テーブルと、
前記リングフレームを保持するフレーム保持テーブルと、
前記ウエハ保持テーブルを収納する一対のハウジングからなるチャンバと、
前記チャンバを外囲するとともに、リングフレームを保持するフレーム保持テーブルと、
前記粘着テープを供給するテープ供給部と、
前記リングフレームと一方の前記ハウジングの接合部に粘着テープを貼り付けるテープ貼付け機構と、
一対の前記ハウジングの接合部によって挟み込まれた粘着テープにより仕切られたチャンバ内の2つの空間に差圧を生じさせて半導体ウエハに貼り付けられた粘着テープの表面を当該チャンバ内に配備した加圧部材の扁平面によって加圧する加圧機構と、
前記リングフレーム上で粘着テープを切断する切断機構と、
切断後の前記粘着テープを剥離する剥離する剥離機構と、
剥離後の前記粘着テープを回収するテープ回収部とを備え、
差圧によって前記半導体ウエハに粘着テープを貼り付けた後に、粘着テープ表面に凹凸が生じるような半導体ウエハの回路状態および粘着テープの特性の場合に、加圧部材によって粘着テープを加圧するよう構成した
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項12】
請求項11に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記テープ貼付け機構は、セパレータから粘着テープを剥離して突き出す剥離部材と、
前記剥離部材から突き出た粘着テープの先端を押圧する貼付けローラと、
貼付け終端位置で粘着テープの後端を切断する切断機構と、
を備えたことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記粘着テープの貼り付けられた半導体ウエハをウエハ保持テーブルに保持しつつ、当該ウエハ保持テーブルを収納しているハウジングとフレーム保持テーブルを一体にしてテープ貼付け位置とテープ切断位置とにわたって移動させる移動機構と、
を備えたことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項14】
請求項13に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記移動機構は、回転駆動機と、
前記回転駆動機の回転軸に連結固定されたアームを備え
前記アームの少なくとも一端に前記ウエハ保持テーブルを収納したハウジングとフレーム保持テーブルを有する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項15】
請求項11ないし請求項14のいずれかに記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記ウエハ保持テーブルおよび加圧部材の少なくとも一方に加熱器を備えた
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハに形成された回路パターンを保護する保護テープや、リングフレームと当該リングフレームの中央に載置された半導体ウエハの裏面とに亘って貼り付けるダイシングテープを含む粘着テープの貼付け方法および粘着テープ貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に半導体ウエハ(以下、適宜「ウエハ」という)は、その表面に多数の素子の回路パターンが形成されている。例えば、バンプや微細回路がウエハ表面に形成されている。そこで、当該回路面を保護するために保護テープが貼り付けられている。
【0003】
ウエハ表面のバンプなど凹凸の影響により貼り付けた保護テープの表面にも同様の凹凸が生じている。そこで、保護テープの貼付け処理の後に当該保護テープの表面側から押圧して保護テープを構成する基材の表面を平坦化している(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−45189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来方法では次のような不都合が生じている。
【0006】
近年、TSV(Through-Silicon Via)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMEMS(Micro Electro Mechanical System)などのパッケージにより、ウエハ面に形成される回路が、従来よりも狭いピッチのバンプ、嵩高いバンプを含む微細化が要求されている。また、製造するこれらのパッケージに応じて異なる特性の保護テープを使い分けている。例えば、基材の硬度やテープ厚みなどの特性が異なる。
【0007】
特許文献1に記載の従来の装置は、大気状態のもとで保護テープがウエハ表面に貼り付けられている。このとき、帯状の保護テープを搬送方向にテンションをかけつつ、当該保護テープの表面に貼付けローラを転動させて押圧し、ウエハ表面に貼り付けている。したがって、保護テープの幅方向に比べて長手方向のテンションが強く、皺の発生しやすい状態でウエハ表面に保護テープが貼り付けられている。それ故に、ウエハ表面上のバンプの狭いピッチなどによって形成される凹凸に粘着剤が追従して侵入しきれない。換言すれば、保護テープがウエハ表面に密着していない。
【0008】
当該状態で保護テープ表面を再加圧する場合、保護テープの種類によってはその表面を平坦化できたとしても、当該平坦化に要する荷重よりも大きい荷重を保護テープに付与しなければウエハ表面への保護テープの密着性を高めることができない。しかしながら、荷重を高めるとバンプなどを含む回路を破損させるといった問題がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、半導体ウエハに形成された回路の状態に関わらず、粘着テープを精度よく貼り付けることのできる粘着テープ貼付け方法および粘着テープ貼付け装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、半導体ウエハの回路形成面に粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付け方法であって、
チャンバを構成する一対のハウジングのその一方に収納された保持テーブルに半導体ウエハを載置保持した後に、当該ハウジングの接合部に当該ハウジングの内径よりも大きい前記粘着テープを貼り付ける第1貼付け過程と、
前記粘着テープを挟み込んで一対のハウジングを接合した後に、当該粘着テープの粘着面に近接対向して配置されている前記半導体ウエハ側の空間を他方の空間よりも気圧を低くしながら当該粘着テープを半導体ウエハに貼り付ける第2貼付け過程と、
前記半導体ウエハの回路形成面に貼り付いた粘着テープの表面を加圧部材の扁平面によって加圧して平坦化する加圧過程を含み、
前記粘着テープを貼り付けた後に、粘着テープ表面に凹凸が生じるような半導体ウエハの回路状態および粘着テープの特性である場合、前記加圧過程の加圧処理を選択的に行うことを特徴とする。
【0011】
(作用・効果) この方法によれば、チャンバ内で半導体ウエハを収納している側の空間を他方の空間より気圧を低くすることにより、一対のハウジングに挟み込まれている粘着テープの全面に均一な押圧が作用する。したがって、皺など発生させることもなければ、過剰な押圧によって表面のバンプなどを破損させることなく半導体ウエハに粘着テープを貼り付けることができる。また、減圧作用により半導体ウエハ表面の凹部から気泡を脱気させるとともに、当該半導体ウエハ表面の凹凸形状に粘着剤を追従させて密着させることができる。
【0012】
また、チャンバ内の差圧を利用して半導体ウエハに貼り付けた粘着テープの表面にバンプなどの影響で凹凸が形成されている場合、加圧過程の加圧処理を選択して行うことにより、粘着テープの表面のみを平坦にできる程度の加圧を付与するだけでよい。したがって、当該加圧処理によって半導体ウエハの回路を破損させることがない。
【0013】
さらに、粘着テープがバックグラインド前にウエハの回路形成面に貼り付けられる表面保護用の粘着テープである場合、バックグラインド後のウエハの厚みのバラツキを抑制することができる。すなわち、粘着テープの特性やウエハの回路形成面の状態に関わらず粘着テープの表面を平坦化することができる。
【0014】
上記方法において、第1貼付け過程では、剥離部材により折り返されてセパレータから剥離して突き出される粘着テープの先端側から貼付け部材で押圧しながらハウジングの接合部に貼り付けることが好ましい。
【0015】
この場合、帯状の粘着テープの長手方向にテンションを付与しながらウエハに貼り付けル従来方法に比べてよりテンションの偏りのない状態でハウジングの接合部に粘着テープを貼り付けることができる。したがって、チャンバ内で差圧を利用して均一なテンションを付与しながら粘着テープをウエハの回路形成面に貼り付けることができる。
【0016】
上記方法において、加圧過程では、加熱器により粘着テープを加熱しながら加圧することが好ましい。
【0017】
この場合、粘着テープを構成する粘着剤および基材を加熱によって軟化させることができるので、粘着テープを変形させやすくなる。
【0018】
なお、上記方法において、加圧過程での加圧処理は、次のように実施することができる。例えば、チャンバ内を減圧状態に維持したまま粘着テープを加圧する。或いは、両ハウジングの接合を解除した大気状態で粘着テープを加圧する。
【0019】
また、この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0020】
すなわち、半導体ウエハの回路形成面に表面保護用の粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付け装置であって、
前記半導体ウエハを保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルを収納する一対のハウジングからなるチャンバと、
前記ハウジングの内径よりも大きい前記粘着テープを供給するテープ供給部と、
一方の前記ハウジングの接合部に粘着テープを貼り付けるテープ貼付け機構と、
一対の前記ハウジングの接合部によって挟み込まれた粘着テープにより仕切られたチャンバ内の2つの空間に差圧を生じさせて半導体ウエハに貼り付けられた粘着テープの表面を当該チャンバ内に配備した加圧部材の扁平面によって加圧する加圧機構と、
前記半導体ウエハの外形に沿って粘着テープを切断する切断機構と、
前記半導体ウエハの形状に切り抜いた粘着テープを剥離する剥離する剥離機構と、
剥離後の前記粘着テープを回収するテープ回収部とを備え、
差圧によって前記半導体ウエハに粘着テープを貼り付けた後に、粘着テープ表面に凹凸が生じるような半導体ウエハの回路状態および粘着テープの特性の場合に、加圧部材によって粘着テープを加圧するよう構成した
を備えたことを特徴とする。
【0021】
(作用・効果) この装置によれば、半導体ウエハの表面の回路の凹凸により表面保護用の粘着テープの表面に生じた凹凸を加圧機構によって平坦化すすることができる。したがって、バックグラインド処理時に生じがちな厚みのバラツキを抑制させることができる。すなわち、上記方法を好適に実施することができる。
【0022】
上記装置において、テープ貼付け機構は、セパレータから粘着テープを剥離して突き出す剥離部材と、
前記剥離部材から突き出た粘着テープの先端を押圧する貼付けローラと、
貼付け終端位置で粘着テープの後端を切断する切断機構と、
を備えることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、テンションの偏りを抑制した状態でハウジングの接合部に粘着テープを貼り付けることができる。したがって、半導体ウエハへのテープ貼付け時に、チャンバ内で差圧によって粘着テープの全面に均一なテンションを付与することができる。
【0024】
上記装置において、粘着テープの貼り付けられた半導体ウエハを保持テーブルに保持しつつ、当該保持テーブルを収納しているハウジングと一体にしてテープ貼付け位置とテープ切断位置とにわたって移動させる移動機構を備えることが好ましい。
【0025】
例えば、移動機構は、回転駆動機と、
前記回転駆動機の回転軸に連結固定されたアームを備え
前記アームの少なくとも一端に前記保持テーブルを収納したハウジングを有するように構成する。
【0026】
この構成によれば、例えば、保持テーブルを収納したハウジングをアームの両端のそれぞれに備えることにより、一方の保持テーブルをテープ貼付け位置に、他方の保持テーブルをテープ切断位置に同時に移動させることができる。すなわち、粘着テープの貼付け処理と切断処理を同時平行して実行することができる。
【0027】
また、半導体ウエハとリングフレームとにわたって支持用の粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付け装置であって、
前記半導体ウエハを保持するウエハ保持テーブルと、
前記リングフレームを保持するフレーム保持テーブルと、
前記ウエハ保持テーブルを収納する一対のハウジングからなるチャンバと、
前記チャンバを外囲するとともに、リングフレームを保持するフレーム保持テーブルと、
前記粘着テープを供給するテープ供給部と、
前記リングフレームと一方の前記ハウジングの接合部に粘着テープを貼り付けるテープ貼付け機構と、
一対の前記ハウジングの接合部によって挟み込まれた粘着テープにより仕切られたチャンバ内の2つの空間に差圧を生じさせて半導体ウエハに貼り付けられた粘着テープの表面を当該チャンバ内に配備した加圧部材の扁平面によって加圧する加圧機構と、
前記リングフレーム上で粘着テープを切断する切断機構と、
切断後の前記粘着テープを剥離する剥離する剥離機構と、
剥離後の前記粘着テープを回収するテープ回収部とを備え、
差圧によって前記半導体ウエハに粘着テープを貼り付けた後に、粘着テープ表面に凹凸が生じるような半導体ウエハの回路状態および粘着テープの特性の場合に、加圧部材によって粘着テープを加圧するよう構成した
ことを特徴とする。
【0028】
(作用・効果) この装置によれば、半導体ウエハの両面に回路パターンが形成されている場合に有効に機能する。すなわち、支持用の粘着テープの基材面に生じた凹凸を加圧機構によって平坦化することができる。したがって、ウエハを平坦に保ったままダイシング処理を精度よく行うことができる。
【0029】
上記装置において、粘着テープの貼り付けられた半導体ウエハを保持テーブルに保持しつつ、当該保持テーブルを収納しているハウジングと一体にしてテープ貼付け位置とテープ切断位置とにわたって移動させる移動機構を備えることが好ましい。
【0030】
例えば、テープ貼付け機構は、セパレータから粘着テープを剥離して突き出す剥離部材と、
前記剥離部材から突き出た粘着テープの先端を押圧する貼付けローラと、
前記貼付け終端位置で粘着テープの後端を切断する切断機構と、
を備えることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、テンションの偏りを抑制した状態でハウジングの接合部に粘着テープを貼り付けることができる。したがって、半導体ウエハへのテープ貼付け時に、チャンバ内で差圧によって粘着テープの全面に均一なテンションを付与することができる。
【0032】
上記装置において、粘着テープの貼り付けられた半導体ウエハをウエハ保持テーブルに保持しつつ、当該ウエハ保持テーブルを収納しているハウジングと一体にしてテープ貼付け位置とテープ切断位置とにわたって移動させる移動機構を備えることが好ましい。
【0033】
例えば、移動機構は、回転駆動機と、
前記回転駆動機の回転軸に連結固定されたアームを備え
前記アームの少なくとも一端にウエハ保持テーブルを収納しているハウジングとフレーム保持テーブルを有するように構成する。
【0034】
ウエハ保持テーブルを収納したハウジングとフレーム保持テーブルをアームの両端のそれぞれに備えることにより、一方のウエハ両保持テーブルとフレーム保持テーブルをテープ貼付け位置に、他方のウエハ保持テーブルとフレーム保持テーブルをテープ切断位置に同時に移動させることができる。すなわち、粘着テープの貼付け処理と切断処理を同時平行して実行することができる。
【0035】
なお、上記各装置において、ウエハ保持テーブルおよび加圧部材の少なくとも一方に加熱器を備えることが好ましい。
【0036】
加熱器によって粘着テープを構成する粘着剤および基材を加熱によって軟化させて変形させやすくなる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の粘着テープ貼付け装置および粘着テープ貼付け方法によれば、半導体ウエハの面に形成された回路の状態に関わらず粘着テープを半導体ウエハに精度よく貼付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】表面保護用の粘着テープ貼付け装置の全体を示す正面図である。
図2】表面保護用の粘着テープ貼付け装置の全体を示す正面図である。
図3】回転駆動機構に備わった構成を示す正面図である。
図4】チャンバの構成を示す正面図である。
図5】チャンバの構成を示す縦断面図である。
図6】実施例装置の動作を示す正面図である。
図7】実施例装置の動作を示す正面図である。
図8】実施例装置の動作を示す正面図である。
図9】実施例装置の動作を示す正面図である。
図10】実施例装置の動作を示す正面図である。
図11】実施例装置の動作を示す正面図である。
図12】実施例装置の動作を示す正面図である。
図13】実施例装置の動作を示す正面図である。
図14】実施例装置の動作を示す正面図である。
図15】実施例装置の動作を示す正面図である。
図16】実施例装置の動作を示す正面図である。
図17】実施例装置の動作を示す正面図である。
図18】支持用の粘着テープ貼付け装置の正面図である。
図19】支持用の粘着テープ貼付け装置の平面図である。
図20】チャンバの構成を示す正面図である。
図21】変形例装置の動作を示す正面図である。
図22】変形例装置の動作を示す正面図である。
図23】変形例装置の動作を示す正面図である。
図24】変形例装置の動作を示す正面図である。
図25】変形例装置の動作を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。なお、本実施例では、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という)の回路形成面に表面保護用の粘着テープを貼り付ける場合を例にとって説明する。
【0040】
図1は、この発明の一実施例に係り、粘着テープ貼付け装置の全体構成を示した正面図、図2は、粘着テープ貼付け装置の平面図である。
【0041】
粘着テープ貼付け装置は、ウエハ供給/回収部1、ウエハ搬送機構2、アライメントステージ3、テープ供給部4、貼付けユニット5、テープ切断機構6、チャンバ7、加圧ユニット8、剥離ユニット9およびテープ回収部10などが備えられている。以下、上記各構造部および機構などについての具体的な構成を説明する。
【0042】
ウエハ供給/回収部1には2台のカセットC1、C2が並列して載置される。各カセットCには、多数枚のウエハWが回路形成面(表面)を上向きにした水平姿勢で多段に差込み収納されている。
【0043】
ウエハ搬送機構2は、2台のロボットアーム11A、11Bを備えている。両ロボットアーム11A、11Bは、水平に進退移動可能に構成されるとともに、全体が旋回および昇降可能になっている。そして、ロボットアーム11A、11Bの先端には、馬蹄形をした真空吸着式のウエハ保持部が備えられている。ウエハ保持部は、カセットCに多段に収納されたウエハW同士の間隙に差し入れられ、ウエハWを裏面から吸着保持する。吸着保持したウエハWは、カセットCから引き出されて、アライメントステージ3、保持テーブル37およびウエハ供給/回収部1の順に搬送される
【0044】
アライメントステージ3は、ウエハ搬送機構2によって搬入載置されたウエハWを、その外周に形成されたノッチやオリエンテーションフラットに基づいて位置合わせを行うよう。
【0045】
テープ供給部4、貼付けユニット5、セパレータ回収部12および切断ユニット23が、図1に示すように、同一の縦プレート14に装着されている。当該縦プレート14は、可動台15を介して上部のフレーム16に沿って水平移動する。
【0046】
テープ供給部4には、ロール巻きした幅広の粘着テープPTが供給ボビン17に装填されている、当該供給ボビン17からら繰り出されたセパレータs付きの保護テープPTをガイドローラ18群に巻回案内し、セパレータsを剥離した保護テープPTを貼付けユニット5に導くように構成されている。また、供給ボビン17に適度の回転抵抗を与えて過剰なテープ繰り出しが行われないように構成されている。
【0047】
セパレータ回収部12は、保護テープPTから剥離されたセパレータsを巻き取る回収ボビン19が巻き取り方向に回転駆動されるようになっている。
【0048】
貼付けユニット5は、図3に示すように、剥離部材20、昇降ローラ21および貼付けローラ22を備えている。なお、貼付けユニット5は、本発明のテープ貼付け機構に相当する。
【0049】
剥離部材20は、先端が先鋭なエッジを有する。当該エッジを斜め下向きにした当該剥離部材20により、セパレータsを折り返して粘着テープPTを剥離する。すなわち、粘着テープPTを剥離部材20から前方に突き出す。
【0050】
昇降ローラ21は、剥離部材20と協働して粘着テープPTを適時に把持する。
【0051】
貼付けローラ22は、剥離部材20の先端から突き出される粘着テープPTの先端を押圧して後述する下ハウジング33B、33Cの接合部70に貼り付けてゆく。
【0052】
切断ユニット23は、剥離部材20の前側に設けられたフレーム24に沿って移動する可動台25と、当該可動台25の下部にカッタホルダを介してカッタ26を備えている。すなわち、切断ユニット23は、粘着テープPTを幅方向に切断する。
【0053】
テープ切断機構6は、図1および図2に示すように、フレーム27に沿って昇降可能な可動台28から片持ち支持されたアームの先端下部で径方向に伸びる支持アーム29を介してカッタユニット30を備えている。カッタユニット30には、刃先を下向きにしたカッタ31がカッタホルダを介して装着されている。なお、カッタユニット30は、支持アーム29を介して旋回半径を調整可能になっている。なお、テープ切断機構6は、本発明の切断機構に相当する。
【0054】
チャンバ7は、粘着テープTの幅よりも小さい外形を有する上下一対のハウジングによって構成される。本実施例では、1個の上ハウジング33Aと2個の下ハウジング33B、33Cを備えている。
【0055】
下ハウジング33B、33Cは、モータなどの回転駆動機34の回転軸35に連結固定され旋回アーム36の両端にそれぞれ備えられている。すなわち、例えば、一方の下ハウジング33Bが上ハウジング33Aとチャンバ7を形成するとき、他方の下ハウジング33Cが貼付けユニット5側のテープ貼付け位置に位置するようこうに構成されている。また、下ハウジング33B、33Cの上面および下面は、フッ素加工などの離型処理が施されている。
【0056】
両下ハウジング33B、33C内には、昇降可能な保持テーブル37が備えられている。保持テーブル37は、下ハウジング33B、33Cを貫通するロッド38と連結されている。ロッド38の他端は、モータなどから成るアクチュエータ39に駆動連結されている。したがって、保持テーブル37は、下ハウジング33B、33C内で昇降する。また、保持テーブル37には、ヒータ49が埋設されている。
【0057】
上ハウジング33Aは、図4に示すように、昇降駆動機構40に備えてられている。この昇降駆動機構40は、縦壁41の背部に縦向きに配置されたレール42に沿って昇降可能な可動台43この可動台43に高さ調節可能に支持された可動枠44、この可動枠44から前方に向けて延出されたアーム45を備えている。このアーム45の先端部から下方に延出する支軸46に上ハウジング33Aが装着されている。
【0058】
可動台43は、ネジ軸47をモータ48によって正逆転することでねじ送り昇降されるようになっている。
【0059】
上下ハウジング33A−33Cには、図5に示すように、流路50を介して真空装置51と連通接続されている。なお、上ハウジング33A側の流路50には、電磁バルブ52を備えている。また、各ハウジング33A−33Cには、大気開放用の電磁バルブ53、54を備えた流路55がそれぞれ連通接続されている。さらに、上ハウジング33Aには、一旦減圧した内圧をリークにより調整する電磁バルブ56を備えた流路57が連通接続されている。なお、これら電磁バルブ52、53、54、56の開閉操作および真空装置51の作動は、制御部60によって行われている。
【0060】
加圧ユニット8は、上ハウジング33A内に加圧部材61を備えている。加圧部材61は、扁平な底面を有するプレートである。当該加圧部材の上部にシリンダ62が連結されており、上ハウジン33A内で昇降する。また、加圧部材61にはヒータ63が組み込まれている。なお、加圧ユニット8は、本発明の加圧機構に相当する。
【0061】
剥離ユニット9は、図1図2および図16に示すように、案内レール64に沿って左右水平に移動する可動台65、当該可動台65上で昇降する固定受け片66、当該固定受け片66とシリンダ67で開閉される可動片68を備えている。すなわち、剥離ユニット9は、テープ切断機構6によってウエハWの形状に切る抜かれた不要な粘着テープPTの一端側を固定受け片66と可動片68によって把持して剥離してゆく。なお、剥離ユニット9は、本発明の剥離機構に相当する。
【0062】
テープ回収部10には、剥離ユニット9の剥離終了端側に位置し、当該剥離ユニット9によって剥離された粘着テープPTを回収する回収容器69が配置されている。
【0063】
次に、上述の実施例装置により、粘着テープPTをウエハWに貼り付ける一巡の動作を説明する。
【0064】
先ずロボットアーム11AによってカセットC1からウエハWを搬出し、アライメントステージ3に載置する。アライメントステージ3で位置合わせを行った後に、ロボットアーム11Aによって、テープ貼付け位置にある保持テープ37に搬送する。
【0065】
保持テーブル37は、図6に示すように、下ハウジング33Bの頂部(接合部)70よりも高く複数本の支持ピン71を突き上げてウエハWを受け取る。ウエハWを受け取った支持ピン71は下降し、当該ウエハWは保持テーブル37の保持面で吸着保持される。このとき、ウエハWの表面は、接合部70よりも低い位置にある。
【0066】
図7に示すように、貼付けユニット5を貼付け開始端に移動させる。粘着テープPTの供給と巻き取りの同期をとりながら剥離部材20から所定長だけ粘着テープPTを突き出す。貼付けローラ22を下降させて粘着テープPTの先端を下ハウジング33Bの接合部70に貼り付ける。その後、貼付けユニット5を移動させながら、当該接合部70の全面に粘着テープPTを貼り付けてゆく。このとき、ウエハWの表面と粘着テープPTの粘着面は、予め決めたクリアランスをもって近接対向されている。
【0067】
貼付け終端側の接合部70から所定距離を超えた位置で貼付けユニット5は停止する。切断ユニット23が作動し、図8および図9に示すように、カッタ26が粘着テープPTの後端側を幅方向に切断する。なお、図7図8および後述する図13は、貼付けユニット5によるテープ貼付け動作が分かりやすいように、左側に記載の下ハウジング33Bを90度回転させて記載している。
【0068】
図10および図11に示すように、回転駆動機34を作動させて下ハウジング33Bを上ハウジング33Aの下方に旋回移動させる。このとき、旋回アーム36の他端側に装着された下ハウジング33Cが、テープ貼付け位置に移動する。
【0069】
図12に示すように、上ハウジング33Aを下降させ、下ハウジング33Bとで粘着テープPTを挟み込んでチャンバ7を形成する。
【0070】
制御部60は、ヒータ49を作動させて下ハウジング33B側から粘着テープPTを加熱するとともに、電磁バルブ53、54、56を閉じた状態で、真空装置51を作動させて上ハウジング33A内と下ハウジング33B内を減圧する。このとき、両ハウジング33A、33B内が同じ速度で減圧してゆくように、電磁バルブ52の開度を調整する。
【0071】
両ハウジング33A、33B内が所定の気圧まで減圧されると、制御部60は、電磁バルブ52を閉じるとともに、真空装置51の作動を停止する。
【0072】
制御部60は、電磁バルブ56の開度を調整してリークさせながら上ハウジング33A内を所定の気圧まで徐々に高める。このとき、下ハウジング33B内の気圧が上ハウジング33A内の気圧よりも低くなりその差圧によって、粘着テープPTがその中心から下ハウジング33B内に引き込まれてゆき、近接配備されたウエハWの中心から外周に向けて徐々に貼り付けられてゆく。
【0073】
予め設定された気圧に上ハウジング33A内が達すると、制御部60は、電磁バルブ54の開度を調整して下ハウジング33B内の気圧を上ハウジング33A内の気圧と同じにする。この気圧調整に応じて保持テーブル37を上昇させて下ハウジング33Bの接合部70の表面とウエハWの上面とを同じ高さにする。
【0074】
図13に示すように、ヒータ63によって加熱されている加圧部材61を予め決めた高さまで下降させ、粘着テープPTの全面を所定時間にわたって加熱しながら加圧する。この高さは、粘着テープPTの厚み、ウエハW上のバンプの高さなどによって、当該バンプを含む回路が破損しない高さに予め設定されている。
【0075】
加圧処理が完了すると、制御部60は、上ハウジング33Aを上昇させて上ハウジング33A内を大気開放するとともに、電磁バルブ54を全開にして下ハウジング33B側も大気開放する。
【0076】
なお、チャンバ7内で粘着テープPTをウエハWに貼り付けている間に、ロボットアーム11BによってカセットC2から搬出されウエハWを下ハウジング33C内の保持テーブル37で吸着保持しつつ、当該下ハウジング33Cの接合部70に粘着テープPTが貼り付けられている。
【0077】
チャンバ7内でのウエハWへの粘着テープPTの貼付け処理および加圧処理と、貼付けユニット5による下ハウジング33Cへの粘着テープPTの貼付け処理が完了すると、図14に示すように、旋回アーム36を反転させる。すなわち、一方の下ハウジング33Bを貼付けユニット5側のテープ貼付け位置に移動させ、他方の下ハウジング33Cを上ハウジング33Aの下方の接合位置に移動させる。
【0078】
テープ切断機構6を作動させ、図15に示すように、カッタユニット30を所定高さまで下降させ、ウエハWと下ハウジング33Bとの間の粘着テープPTにカッタ31を突き刺す。その状態で、ウエハWの外周に沿って粘着テープPTを切断する。このとき、粘着テープPTの表面は、水平に保たれている。粘着テープPTの切断が完了すると、カッタユニット30は上昇して待機位置に戻る。
【0079】
剥離ユニット9を剥離開始位置に移動させる。図16に示すように、下ハウジング33Bからはみ出ている粘着テープPTの両端側を固定受け片66と可動片68によって挟み込む。図17に示すように、その状態で斜め上方に所定距離移動させた後に、水平移動させながらウエハ形状に切り抜かれた粘着テープPTを剥離してゆく。
【0080】
剥離ユニット9がテープ回収部10に到達すると、粘着テープPTの把持を解除して回収容器69に粘着テープPTを落下させる。
【0081】
粘着テープPTの貼り付けられたウエハWは、ロボットアーム11AによってカセットC1のもと位置に収納させる。
【0082】
なお、下ハウジング33B側の粘着テープPTの切断および剥離処理を行っている間に、下ハウジング33C側のウエハへの粘着テープPTの貼付け処理が行われている。以上でウエハWへの粘着テープTの一巡の貼付け動作が終了し、以後、同じ処理が繰り返し行われる。
【0083】
上記実施例装置によれば、粘着テープPTの先端側を自由状態で下ハウジング33B、33Cの接合部70に貼り付けるの、貼付け方向へのテンションを抑制した状態で粘着テープPTを貼り付けることができる。したがって、テンションの偏りのない粘着テープPTに差圧を作用させることにより、当該粘着テープPTに放射状の均一なテンションを作用させることができる。したがって、皺など発生させることなくウエハWの表面に粘着テープPTを貼り付けることができる。
【0084】
また、貼付けローラなどの貼付け部材を利用したときのように過剰な押圧がウエハWに作用しないので、バンプなどを含む回路を破損させることなくウエハWに粘着テープPTを貼り付けることができる。
【0085】
減圧作用によりウエハWの凹部から気泡を脱気させるとともに、当該ウエハWの表面の凹凸形状に粘着剤を追従させて密着させることもができる。
【0086】
チャンバ7の差圧を利用してウエハWに貼り付けた粘着テープPTの表面にバンプなどの影響で凹凸が形成されている場合、加圧処理を選択して行うことにより、粘着テープPTの表面のみを平坦にできる程度の加圧を付与することができる。したがって、当該加圧処理によってウエハWの回路を破損させることがない。
【0087】
粘着テープPTを構成する基材の表面が平坦であるので、バックグラインド後のウエハWの厚みのバラツキを抑制することができる。すなわち、粘着テープPTの特性やウエハWの回路形成面の状態に関わらず粘着テープPTの表面を平坦化することができる。
【0088】
さらに、チャンバ7内でウエハWへの粘着テープPTの貼付け処理および加圧処理を行っている間に他方の下ハウジングへの粘着テープPTの貼付け処理やテープ切断およびテープ剥離処理を平行して同時に行うことができる。したがって、タクトタイムを短縮することができる。
【0089】
なお、本発明は以下のような形態で実施することも可能である。
【0090】
(1)上記実施例では、表面保護用の粘着テープPTを貼り付ける場合を例にとって説明したが、表裏面に回路形成されたウエハWとリングフレームとにわたって支持用の粘着テープ(ダイシングテープ)に貼り付ける場合にも適用することができる。したがって、上記実施例装置と同一構成には同一符号を付すに留め、異なる構成部分について詳述する。
【0091】
当該粘着テープ貼付け装置は、図18および図19に示すように、フレーム供給部75、ロボットアーム76、フレーム保持テーブル77および切断ユニット78を新たに備えている。
【0092】
フレーム供給部75は、カセットC1の横に設けられている。当該スペースにリングフレームfを積層収納したワゴンタイプの搬送車79が連結される。当該搬送車78は、その内部に昇降台が備えられている。当該昇降台にリングフレームfが積層されており、所定ピッチで昇降しつつ、上方の開口から1枚ずつリングフレームfをロボットアーム76に受け渡すように構成されている。
【0093】
ロボットアーム76は、馬蹄形をした保持部でリングフレームfの上面を吸着保持して搬送する。
【0094】
フレーム保持テーブル77は、下ハウジング33B、33Cの外周を囲う環状であり、旋回アーム36上に設けられている。したがって、下ハウジング33B、33Cと一体となって旋回する。当該フレーム保持テーブル77にリングフレームfを載置したとき、下ハウジング33B、33Cの接合面とリングフレームfの面が面一になるように高さが設定されている。
【0095】
切断ユニット78は、上ハウジング33Aを昇降させる昇降駆動機構40に配備されている。つまり、図20に示すベアリング79を介して支軸46周りに回転するボス部80を備えている。このボス部80に、中心に径方向に延伸する4本の支持アーム81から84を備えている。
【0096】
一方の支持アーム81の先端に、円板形のカッタ85を水平軸支したカッタブラケットが上下移動可能に装着されるとともに、他の支持アーム82から84の先端に押圧ローラ87が揺動アーム88を介して上下移動可能に装着されている。
【0097】
ボス部80の上部には連結部89を有し、この連結部89にアーム45に備わったモータ90の回転軸と駆動連結されている。
【0098】
次の当該実施例装置によって粘着テープDTをリングフレームfとウエハWに貼り付ける一巡の動作について説明する。
【0099】
ロボットアーム11AによってウエハWをカセットC1から搬出してアライメントステージ3で位置合わせを行っている間に、ロボットアーム76によってリングフレームfを搬出してテープ貼付け位置にあるフレーム保持テーブル77に載置する。
【0100】
位置合わせの完了したウエハWがロボットアーム11Aによって保持テーブル37への受け渡すと、図21に示すように、貼付けユニット5によってリングフレームfと下ハウジング33Bの接合部70とにわたって粘着テープDTを貼り付ける。このとき、ウエハWの表面と粘着テープDTの粘着面は、予め決めたクリアランスをもって近接対向されている。なお、図21は、貼付けユニット5によるテープ貼付け動作が分かりやすいように、左側に記載の下ハウジング33B側を90度回転させて記載している。
【0101】
貼付けユニット5が貼付け終端位置に到達すると、切断ユニット23によって粘着テープDTを切断する。このとき、切断後の粘着テープDTの後端は、リングフレームfから所定長さはみ出ている。
【0102】
回転駆動機34を作動させて下ハウジング33Bを上ハウジング33Aの下方に旋回移動させる。このとき、旋回アーム36の他端側に装着された下ハウジング33Cが、テープ貼付け位置に移動する。
【0103】
図22に示すように、上ハウジング33Aを下降させ、粘着テープDTを下ハウジング33Bと挟み込んでチャンバ7を形成する。
【0104】
制御部60は、上ハウジング33Aと下ハウジング33Bの両空間の気圧を調整して粘着テープDTをウエハWに貼り付ける。その後、下ハウジング33B内の気圧を上ハウジング33A内の気圧と同じにする。この気圧調整に応じて保持テーブル37を上昇させてリングフレームfの表面とウエハWの上面とを同じ高さにする。
【0105】
図23に示すように、ヒータ63によって加熱されている加圧部材61を予め決めた高さまで下降させ、粘着テープPTの全面を所定時間にわたって加熱しながら加圧する。この高さは、粘着テープPTの厚み、ウエハW上のバンプの高さなどによって、当該バンプを含む回路が破損しない高さに設定されている。
【0106】
なお、チャンバ7内で粘着テープDTの貼付け処理と加圧処理を行っている間に、切断ユニット78が作動する。このとき、カッタ85がリングフレームfに貼り付けられた粘着テープDTをリングフレームfの形状に切断するとともに、押圧ローラ87がカッタ85に追従してリングフレームf上のテープ切断部位を転動しながら押圧してゆく。つまり、下降した上ハウジング33Aと下ハウジング33Bとによってチャンバ7を構成したとき、切断ユニット78のカッタ85と押圧ローラ87も切断作用位置に到達している。
【0107】
加圧処理が完了すると、制御部60は、図24に示すように、上ハウジング33Aを上昇させて上ハウジング33A内を大気開放するとともに、電磁バルブ54を全開にして下ハウジング33B側も大気開放する。
【0108】
なお、チャンバ7内で粘着テープPTをウエハWに貼り付けている間に、ロボットアーム11A、76によってテープ貼付け位置にある下ハウジング33Cとフレーム保持テーブル77にウエハWとリングフレームfを載置し、粘着テープDTの貼り付け処理が行われる。
【0109】
チャンバ7内でのウエハWへの粘着テープの貼付け処理および加圧処理と、貼付けユニット5による下ハウジング33Cへの粘着テープPTの貼付け処理が完了すると、旋回アーム36を反転させる。
【0110】
剥離ユニット9を剥離開始位置に移動させる。図25に示すように、リングフレームfからはみ出ている粘着テープDTの両端側を固定受け片66と可動片68によって挟み込む。その状態で斜め上方に所定距離移動させた後に、水平移動させながらウエハ形状に切り抜かれた粘着テープPTを剥離してゆく。
【0111】
剥離ユニット9がテープ回収部10に到達すると、粘着テープPTの把持を解除して回収容器69に粘着テープPTを落下させる。
【0112】
なお、下ハウジング33B側の粘着テープDTの剥離処理および剥離処理が完了し、ウエハWとリングフレームfとが一体的に作成されたマウントフレームの搬出を行っている間に、下ハウジング33C側のウエハへの粘着テープPTの貼付け処理、加圧処理およい切断処理が行われている。以上でウエハWへの粘着テープTの一巡の貼付け動作が終了し、以後、同じ処理が繰り返し行われる。
【0113】
当該実施例装置によれば、ウエハWの両面に回路が形成されている場合であっても有効に機能する。すなわち、支持用の粘着テープDTの基材面に生じた凹凸を加圧機構によって平坦化することができる。したがって、ウエハWを平坦に保ったままダイシング処理を精度よく行うことができる。
【0114】
なお、当該実施例装置において、切断ユニット78をメイン実施例と同様に貼付けユニット5の備わったテープ貼付け位置側に設けた構成であってもよい。
【0115】
(2)上記両実施例装置では、2台の下ハウジング33B、33Cを備えた構成であったが、1台であってもよい。この場合、下ハウジングは、上記実施例と同様に旋回アーム36によって旋回移動させてもよし、直線レールに沿ってスライド移動させるよう構成してもよい。
【0116】
(3)上記実施例では、保持テーブル37と加圧部材61の両方にヒータ49、63を備えた構成であったが、いずれか一方に備えた構成であってもよい。
【0117】
(4)上記実施例では、カセットC1、C2に同じウエハWを収納していたが、異なる回路が形成されたウエハWをそれぞれのカセットC1、C2に分けて収納してもよい。例えば、回路形成面の凹凸が小さいウエハWと凹凸の大きいウエハWを分けてカセットに収納する。粘着テープPTおよび粘着テープDTは、両ウエハWに同じものを利用する。
【0118】
この場合、チャンバ7内で差圧を利用してウエハWに基材の堅い粘着テープ(例えばペット基材)を貼り付けたとき、表面凹凸の大きいウエハWに貼り付けた粘着テープ表面に凹凸が生じる。凹凸の小さいウエハに貼り付けた粘着テープ表面には、凹凸が生じない。
【0119】
したがって、粘着テープ表面に凹凸が生じるウエハWに対してチャンバ7内で加圧処理をし、粘着テープ表面に凹凸の生じないウエハWに対しては、差圧によるテープ貼付け処理のみをすることができる。換言すれば、異なる種類のウエハWへの粘着テープの貼り付けを、1台の装置で行うことができる。
【0120】
また、差圧による粘着テープ貼付け処理後に、粘着テープ表面の平坦度をセンサで測定し、凹凸の有無によって加圧処理を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0121】
4 … テープ供給部
5 … 貼付けユニット
6 … テープ切断機構
7 … チャンバ
8 … 加圧ユニット
9 … 剥離ユニット
10 … テープ回収部
20 … 剥離部材
22 … 貼付けローラ
23 … 切断ユニット
33A… 上ハウジング
33B、33C…下ハウジング
37 … 保持テーブル
60 … 制御部
61 … 加圧部材
77 … フレーム保持テーブル
PT … 表面保護用の粘着テープ
W … 半導体ウエハ
f … リングフレーム
DT … 支持用の粘着テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
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