(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797654
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】骨粗鬆症骨の上腕骨頭の固定デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/68 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
A61B17/58 310
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-528805(P2012-528805)
(86)(22)【出願日】2010年8月16日
(65)【公表番号】特表2013-504371(P2013-504371A)
(43)【公表日】2013年2月7日
(86)【国際出願番号】US2010045598
(87)【国際公開番号】WO2011031416
(87)【国際公開日】20110317
【審査請求日】2013年7月29日
(31)【優先権主張番号】61/242,093
(32)【優先日】2009年9月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507215725
【氏名又は名称】シンセス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SYNTHES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】スカラー,コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】ニーデルベルガー,アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ファールベック,ヨハン
【審査官】
石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−518537(JP,A)
【文献】
米国特許第06558388(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨を治療するためのデバイスであって、前記デバイスは、
骨安定化インプラントと一体形成された細長本体であって、前記細長本体が前記骨安定化インプラントの一端に結合され、それにより、前記骨安定化インプラントが目的の骨に所望の位置で載置される場合、前記細長本体が目的の骨の部分へ所望の経路に沿って通過するように選択された角度で、前記細長本体が前記骨安定化インプラントから離れて伸び、前記細長本体が前記細長本体の遠位端内の開口部へ伸びる内腔を画定する、細長本体と、
第1の位置と第2の位置との間の移動のための、前記細長本体の内腔内に収容された展開部材と、
前記展開部材に結合された複数のワイヤであって、それにより、前記内腔を通じる前記展開部材の運動が、前記ワイヤの遠位端が前記内腔内に収容される挿入位置と、前記ワイヤの遠位端が前記細長本体の遠位端内の開口部の外側に遠位に伸びる展開位置との間で前記ワイヤを動かして、前記細長本体の遠位端に隣接する骨の部分を貫通し、前記ワイヤが細長本体の外側に伸びる場合、アンカー形状を呈するようにバイアスされた、ワイヤと、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記細長本体の近位端が、前記骨安定化インプラント内の開口部に選択的に結合するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記細長本体の近位端が、前記骨安定化インプラント内の開口部の内壁のネジ切り部に対応するネジ切り部を有する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記アンカー形状において、前記ワイヤが前記細長本体から遠位に第1の距離伸び、次いで前記細長本体の縦軸から離れて放射状にカーブする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記アンカー形状において、前記ワイヤの遠位端が近位に面する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記アンカー形状において、前記細長本体の遠位端内の開口部の外側に伸びる前記ワイヤの一部が90°と180°との間の角度にわたってカーブする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ワイヤの遠位端が骨貫通チップとして形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ワイヤが形状記憶材料を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記形状記憶材料がニチノールである、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記展開部材はボルトであり、前記ボルトのネジ切り部は前記内腔の内壁にネジ切り部に対応して係合する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記展開部材が前記細長本体を通して長手方向に移動するために回転させると、前記ワイヤがこれに対して回転せずに前記内腔を通して長手方向に移動するように、前記ワイヤを前記細長本体に非回転自在に結合し、前記展開部材に回転自在に結合する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記骨安定化インプラントが骨プレート、釘、及びアンカーエレメントのうちの1つである、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により全体として本出願により組み込まれる、2009年9月14日出願の米国仮特許出願一連番号61/242,093号「骨粗鬆症骨の上腕骨頭の固定デバイス」に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、骨の治療に関し、特に、力がワイヤの近位端に働く時、骨を貫通する事前に形成されたワイヤを使用して骨粗鬆症骨を治療するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
インプラントが安定的な方法で骨を固定することができない場合、骨粗鬆症骨を有する高齢患者において、近位及び遠位骨の骨折の治療は非常に困難でありえる。しばしば骨折した近位及び遠位骨を治療するために使用する手術の技術は、結果として、例えば、変形治癒、癒着不能、骨端の骨壊死、ねじの弛緩、及び/又は整復の損失のような合併症になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は骨を治療するデバイスに関し、骨プレートが所望の位置で目的の骨に載置される場合、細長本体が所望の経路に沿って骨の目的の位置に通過するように、選択された角度で骨プレートから離れて伸びるように、骨プレートに結合して構成された細長本体を含む。細長本体は、本明細書において、細長本体の遠位端の開口部に伸びる内腔と定義する。さらに、デバイスは、第1の位置と第2の位置の間に移動のための細長本体の内腔内に収容した展開部材を含む。デバイスはまた、ワイヤの遠位端が内腔内に収容される挿入位置と、ワイヤの遠位端が細長本体の遠位端内の開口部の外側に伸びた展開位置との間を、細長本体の遠位端に隣接した骨の部分を貫通するように、展開部材が移動するとワイヤが移動するように、展開部材に結合した複数のワイヤを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明の実施の形態に係るシステムの斜視図である。
【
図2】第1形態における、
図1のシステムの垂直断面図である。
【
図3】第1形態における、
図1のシステムのデバイスの垂直断面図である。
【
図4】第2形態における、
図1のシステムの垂直断面図である。
【
図5】第2形態における、
図3のデバイスの遠位部の垂直断面図である。
【
図6】第1形態における、本発明の別の形態に係るデバイスの垂直断面図である。
【
図7】第2形態において、
図6のデバイスの垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、次の説明及び添付した図面によってさらに理解することができ、本明細書において、要素は同一の参照番号で参照される。本発明は、骨の治療に関し、特に、治療が困難な骨粗鬆症骨の治療に関する。本発明の実施の形態は、力がワイヤの近位端に働く時、骨を貫通する、事前に形成したワイヤを使用して骨を治療するシステム及び方法を説明する。記載されている実施形態は、上腕骨頭の骨折の治療に関するにもかかわらず、本発明は、体のあらゆる骨の治療に用いられることができることは、本発明の当業者によって、理解されるだろう。本明細書で使用されるように、近位及び遠位の用語はまた、外科医又はデバイスの別のユーザの方向(近位)及び遠く離れて(遠位)を説明する意図があることは留意すべきである。
【0007】
図1〜5に示すように、本発明の実施の形態に係るシステム100は、大腿骨又は上腕骨のような骨の骨折を治療するための長手方向のプレート104に結合可能か、一体形成されたデバイス102を備える。
図1に示すように、プレート104が所望の位置で目的の骨に載置される時、デバイス102が目的の骨のヘッド部に所望の経路に沿って伸びるように、デバイス102は、プレート104の第1の端部106に結合し、選択されたプレート104の縦軸に対してある角度に端106から離れて伸びる。プレート104は、第1の端部106から第2の端部108まで伸び、プレート104を目的の骨に固定するために骨固定エレメントを受け取るためにその長さに沿って複数の開口部110を含む。デバイス102は、プレート104に一体形成されることが示されるが、プレート104、釘、又は他のアンカーエレメントに結合するように構成される別々の部品として形成されることができる。別の実施例において、
図6〜7に示すようにデバイス102’では、当該技術の当業者に理解されるだろう。例えば、デバイス102’を、プレート104の開口部を介して、骨に挿入することができる。デバイス102’は、別々の部品であるため、デバイス102’の近位端114’はプレート104に結合して構成されることは、当該技術の当業者によって理解されるだろう。デバイス102’は、以下にさらに詳細に述べられている。プレート104の第1の端部106に取り付けられるようにデバイス102が示されるにもかかわらず、プレート104が所望の位置で目的の骨に結合される場合、デバイス102が所望の経路に沿って骨のヘッドに伸びる限り、デバイス102がプレート104の長さに沿っていかなる位置に取り付けることができるか又は係合することができるかは、当該技術の当業者によって理解されるだろう。
【0008】
デバイス102は、挿入形態において、本体112内で受け取り、且つ、目的の骨のヘッド部へ本体112の外へ伸びる展開形態のために移動自在である、ボルト120及び複数のワイヤ122を収容する細長本体112をさらに備えている。細長本体112は、近位端114から遠位端116へ伸び、それを通して伸びる内腔118を含む。細長本体112が骨に伸びている間、プレート104が目的の骨に外部的に配置されることができるように、細長本体112の近位端114をプレート104に取り付け、又は係合する。ボルト120及び複数のワイヤ122が細長本体112に対して長手方向に移動自在であるように、内腔118は大きさを設定され、ボルト120及び複数のワイヤ122に適応するように形成される。挿入形態において、
図2〜3に示すように、ワイヤ122を内腔内に実質的に収容する。デバイス102の縦軸の周りのボルト120の回転は、
図4〜5に示す展開形態の中へ細長本体112に対して遠位に、縦軸に沿って複数のワイヤ122を移動する。
【0009】
図2〜5に示すように、具体的には、複数のワイヤ122がボルト120の周りに間隔を置かれるように、各々のワイヤ122は、ボルト120のヘッド138の溝142に内部へ放射状に結合して伸びる突起150を含む近位端146から長手方向に伸びる。細長本体112によって回転するにつれて、ワイヤ122が回転しないように、ワイヤ122及びボルト120は互いに回転可能に結合する。ワイヤ122の近位端148には、好ましくは、ワイヤ122によって鋭くするか、さもなければ、海綿様骨の浸透促進の治療ための骨貫通チップ152を含む。
図5に示されるように、展開形態では、ワイヤ122の遠位部は、デバイス102が挿入された目的の骨のヘッド部を貫通するため、細長本体112の近位端116から外へ遠位に伸びる。本実施例において、本体112を出て、遠位端116から距離にわたって遠く離れて伸びる記憶された形状に向かって移動し、その後、目的の骨にデバイス102を固定するために近位に後ろに曲がるように、ワイヤ122をバイアスする。例えば、ワイヤ122を、ニチノールのような形状記憶材料で形成することができる。このような材料で形成されたワイヤ122は、予め曲がった構成に形成してもよく、その中でワイヤの遠位部154が約90
°と約180
°との間
にわたって曲がる。挿入形態において、ワイヤ122は、細長本体112内で実質的に真っ直ぐな構造に保たれる。しかしながら、ワイヤ122が展開形態へ移動すると、遠位部154は細長本体112の遠位端116を通過して伸び鋭いヘッド152が骨を貫くように湾曲構造に戻る。ワイヤ122の数及びワイヤ122の円周方向は、特定の患者の問題及びデバイス102の負荷運搬能に非常に依存しうる。
【0010】
ワイヤ122がこれらのカーブした経路に沿って展開形態へ移動すると、ワイヤ122が目的の骨のヘッド部の外面に極めて接近しないようにしながら、骨内のワイヤ122の長さを増加させる。ワイヤ122が目的の骨に埋め込まれた後、ヘッド部の外面から離れたこの湾曲したワイヤ122は、デバイス102の高荷重負荷、傘形固定抵抗運動に結果としてなることは、当業者によって理解されるだろう。鋭いヘッド152は、実質的にワイヤ122と同じ形及びサイズである凹部を形成するために骨を貫き、結果として安定的なインタフェースになる。さらに、湾曲した構造は骨の結合領域の軟骨から間隔をおいて配置されるワイヤ122を導き、結合表面の損傷を防止する。湾曲した構造もまた、圧縮及び剪断力の円滑な転換のために必要的に動的な挙動を促進する。このように、挿入形態から展開形態まで複数のワイヤ122を移動させることは、目的の骨内でデバイス102の安定化及び固定化を高めることであることは、当業者によって理解されるだろう。
【0011】
遠位部124を通して伸びる内腔118の部分は、近位部126を通って伸びる内腔118の部分より直径が大きいように、細長本体112の遠位部124の壁の厚みは、細長本体112の近位部126の壁の厚みより大きい。遠位部124は、ボルト120の軸136に係合するためにその内面130の少なくとも一部に沿って、
ネジ切り部128を含む。各々のワイヤ122が開口部132の1つに内面134に沿って伸びることができるように、遠位部124は、遠位部124の長さに沿って伸び、細長本体112の近位部126の内面134内に長手方向に整列配置している複数の開口部132をさらに含むことができる。このように、開口部132は、ワイヤ122に適応して開口部132の大きさを設定し、形成されることは、当業者によって理解されるだろう。
【0012】
ボルト120は、ヘッド138及び軸136を含み、そこから遠位に伸びる。ヘッド138は、挿入形態と展開形態の間にワイヤを移動するため細長本体112の内腔118を通して遠位にボルト120を動作するための駆動ツールを係合するために六角形の凹部のような駆動エレメント140を含む。ヘッド138はさらに、ワイヤ122の近位端146を結合するためにその円周に溝142を含む。軸136は、細長本体112の遠位部124の
ネジ切り部128を係合するために軸136の長さに沿って、
ネジ切り部144を含む。このように、デバイス102の縦軸の周りのボルト120の回転は、挿入形態と展開形態の間にデバイス102を移動させる。挿入形態において、ボルト120は実質的に細長本体112の内腔118内に収容され、一方、展開形態では、ボルト120の遠位端が本体112から遠位に伸びる。さらに、デバイス102が展開形態へ移動する時、ボルト120がさらに遠位に移動することができないように、ヘッド138が細長本体112の遠位部124の近位端156に隣接するように、ボルト120は構成されたヘッド138を含むことができる。
【0013】
デバイス102が展開形態にデバイス102を移動していた方向と反対の方向において、縦軸の周りのボルト120を回転させることによって骨から取り外すことができることは、当業者によって理解されるだろう。これは、挿入形態に内腔118を戻して展開させ、カーブした経路に沿ってワイヤ122を格納する細長本体112へ戻し、近位にボルト120を移動させる。この点で、当業者によって理解されるように、デバイス102は目的の骨のヘッド部においてもはや固定されず、そこから取り外されることができる。この点で、当業者によって理解されるように、デバイス102は目的の骨のヘッド部において、もはや固定されず、そこから取り外すことができる。
【0014】
図6〜7に示すように、システム100に関して上述したように、デバイス102’は、実質的にデバイス102に類似することができる。デバイス102’は、プレート104の開口部を介して目的の骨のヘッド部に挿入可能である釘、ネジ、又は他のアンカーエレメントでもよい。デバイス102と同様に、デバイス102’は、近位端114’から、そこを通して伸びる内腔118を’有する遠位端116’まで伸びる細長本体112’を含む。
図6に示す挿入形態と、
図7に示す展開形態との間に、ボルト120’及びワイヤ122’が内腔118’に対して長手方向に移動自在であるように、内腔118’は大きさを設定され、ボルト120及び複数のワイヤ122’に適応して形成される。細長本体112’の近位端114’は、プレート104に結合するためにカップリング機構を含む。例えば、近位端114’は、骨プレート104の開口部の
ネジ切り部を係合するためにその外面に沿って、
ネジ切り部115’を含むことができる。
【0015】
挿入形態において、ワイヤ122’は実質的に細長本体112’内に収容される。ボルト120と同様に、ボルト120’は、遠位部154’は細長ハウジング112’の遠位端116’
を通過して遠位に伸び、且つ骨のヘッド部へ伸びる展開形態にワイヤ122’を移動するために細長ハウジング112’に対して移動自在であり、次いで、遠位部154’のカーブした経路に続く。しかしながら、ボルト120’は、ワイヤ122’を展開するために、細長ハウジング112’に対して回転しない。ボルト120’は、ワイヤ122’の近位端146’に、非回転自在に結合している。ボルト120’は、ピン158’が内腔118’及び展開形態を通して遠位に、ボルト120’及びワイヤ122’を押すために用いることができる、その近位端でピン158’をさらに含むことができる。骨からデバイス102’を取り外すために、ボルト120’はピン158’を介して内腔118’を通して近位に引かれることができ、それらが展開されたカーブした経路に沿って挿入形態の中へと戻して、ワイヤ122’を格納する。この点において、デバイス102’がそこから取り除くことができるように、デバイス102’はもはやヘッド部に固定されない。
【0016】
本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲で、さまざまな修正及び変更が、本発明の構造及び手法においてなされることができることは、当該技術の当業者によって明らかであろう。このように、本発明は特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内になるこの発明の修正及び変更を包含することが意図されている。