(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797657
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】熱交換器のヘッダ
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20151001BHJP
F28F 9/16 20060101ALI20151001BHJP
F28F 9/26 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
F28F9/02 Z
F28F9/16
F28F9/26
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-534649(P2012-534649)
(86)(22)【出願日】2010年10月18日
(65)【公表番号】特表2013-508659(P2013-508659A)
(43)【公表日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】EP2010065632
(87)【国際公開番号】WO2011048050
(87)【国際公開日】20110428
【審査請求日】2013年10月18日
(31)【優先権主張番号】09/05069
(32)【優先日】2009年10月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100096895
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 淳平
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ラブニュ
(72)【発明者】
【氏名】リオネル、トパン
(72)【発明者】
【氏名】アラン、バウアーハイム
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、モロー
【審査官】
西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−008603(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第04232018(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102006040848(DE,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02108909(EP,A1)
【文献】
特開2000−154993(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01813902(EP,A1)
【文献】
実開昭61−154487(JP,U)
【文献】
国際公開第2006/035165(WO,A1)
【文献】
仏国特許出願公開第02914052(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02 − 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの縦エッジ部(7)を有する下方部(3)と、
カバーを形成する上方部(4)と、
少なくとも1つのフランジ部(9、10、30)と、
を備え、
前記フランジ部(9、10、30)が前記カバー(4)に押し付けられ得ると同時に前記カバー(4)が前記下方部(3)に保持され得るように、当該フランジ部(9、10、30)は、前記縦エッジ部(7)が少なくとも局所的に湾曲されてその側面(12、19、38)で受けられることを可能にする輪郭(11、17、37)を有し、
前記輪郭(11)は、一方の側面(12)において、第一の湾曲された縦エッジ部(7)の端部を受け得る溝部(13)を有すると共に、他方の側面(12)において、第二の湾曲された縦エッジ部(7)の端部によって少なくとも部分的に覆われ得る突出部(14)を有し、
前記溝部(13)と前記突出部(14)とは、前記フランジ部(9)と当該ヘッダ(2)との間の傾きの取り付け角度に対応するような寸法である
ことを特徴とする熱交換器用のヘッダ。
【請求項2】
前記フランジ部が、
流体入口及び/又は流体出口を規定すると共にパイプを受け得る接続フランジ(9)と、
前記熱交換器を支持部に固定するために使用され得る固定タブと、
当該ヘッダと流体接続するように設計された筒部(40)を取り付けるための固定フランジ(30)と、
から選択される
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッダ。
【請求項3】
少なくとも2つの前記フランジ部(9、10、30)を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のヘッダ。
【請求項4】
前記接続フランジの前記輪郭、前記固定タブの前記輪郭、及び/又は、前記固定フランジの前記輪郭は、全て同一である
ことを特徴とする請求項3に記載のヘッダ。
【請求項5】
前記縦エッジ部(7)は、前記ヘッダの全長に亘って湾曲されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のヘッダ。
【請求項6】
前記輪郭(11)は、各側面(12)に溝部(13)を有しており、
各溝部(13)は、縦エッジ部(7)の前記湾曲された端部を受け得る
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のヘッダ。
【請求項7】
前記輪郭(11、37)は、各側面(12)に突出部(14)を有しており、
各突出部(14)は、縦エッジ部(7)の前記湾曲された端部を受け得る
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のヘッダ。
【請求項8】
前記固定タブ(10)の前記輪郭(17)は、くさび部(19)を形成する2つの端部(18)を有しており、
各くさび部(19)は、前記湾曲された縦エッジ部(7)によって覆われるように、前記カバー(4)の表面に適合すると共に、前記カバー(4)と当該ヘッダの縦壁部(6)との間に形成された空間内にちょうど挿入されるようになっている
ことを特徴とする請求項2に記載のヘッダ。
【請求項9】
前記固定タブ(10)の前記くさび部(19)の一方は、当該ヘッダの縦軸の方向に連続していると共に、他方は、中央部分で中断されており、
前記固定タブは、当該中央部分で、前記カバーから逸れる取り付け面を有する
ことを特徴とする請求項8に記載のヘッダ。
【請求項10】
少なくとも1つの、請求項1乃至9のいずれかに記載のヘッダを備える
ことを特徴とする熱交換機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器用のヘッダと、そのようなヘッダが設けられた熱交換器と、関連する組み立て方法と、に関する。
【0002】
本発明は、原動機付き乗り物の加熱装置または冷却装置のための凝縮器の分野への適用を特に見いだすであろう。
【0003】
しかしながら、そのような適用が特に意図されているものの、本件熱交換器は、2つの部分に形成されたヘッダを備える熱交換器を利用する他の分野においても使用され得る。
【背景技術】
【0004】
ある熱交換器は、2つの部分に形成されたタイプのヘッダを使用する。当該ヘッダは、2部分ヘッダ、または、2部分ヘッダタンクとして知られている。
【0005】
より具体的には、このタイプのヘッダは、底部と縦壁部とを有する下方第一部分、すなわち収集板を備える。
【0006】
このタイプのヘッダは、また、カバーを形成する上方部を備える。この上方部は、熱交換器を通過する流体のための入口、及び/または、出口を形成するフランジ部を受容し、及び/または、熱交換器が支持部に固定されることを可能にする固定タブを形成するフランジ部を受容する。
【0007】
管タイプの熱交換器は、通常、1つ又は2つのヘッダを備えており、その下方部分が、当該熱交換器を通過する流体が流れる管の端部を受容するための平行なスロットを有する。当該流体は、当該管の当該端部を介して、当該ヘッダの内部容積に流入する。
【0008】
熱交換器の様々な構成要素は、通常、金属、特にアルミニウム合金で形成されており、ロウ付けによって組み立てられる。高品質のロウ付けを保証するために、構成要素が互いに事前に精確に組み立てられることが必要である。
【0009】
従って、熱交換器の組み立ては、多くの従来の組み立て工程を含んでいる。2部分ヘッダの場合には、当該ヘッダの下方部と上方部との間の第一の組み立てと、当該ヘッダの入口/出口のフランジ部と当該上方部との間の第二の組み立てと、当該上方部と様々な固定タブとの間の第三の組み立てとが、金属管の組み立てに加えて行われる。
【0010】
これらの様々な組み立て作業は、当業者にとって既知の組み立て様式によれば、2工程または3工程を必要とする。すなわち、熱交換器の組み立ての過程は、特に組み立て技術が異なる技術、中でもクリンピング(crimping)、クリンチング(clinching)、または溶接さえも使用するため、複雑である。
【0011】
従って、カバーが下方部に設けられた留め具によってクリンピングされ、入口/出口のフランジ部がカバーと接合される裾広がりの接合部によって所定の位置に保持され、タブがカバーの壁部を通過するタブの留め具によって固定される、という第一の既知の組み立て様式がある。
【0012】
また、カバーが下方部に配置された留め具を使用して当該下方部にクリンピングされると共に、入口/出口のフランジ部もカバーに配置された留め具を使用してクリンピングされ、固定タブがTIG溶接を使用してカバーに取り付けられる、という第二の組み立て様式が知られている。
【0013】
また、カバーがヘッダの下方部内にクリンピングされると共に、入口/出口のフランジ部と固定タブとがクリンチング作業を使用してカバーにしっかり固定される、という第三の組み立て様式が知られている。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、様々な構成要素の構造が、ヘッダの下方部と、カバーと、少なくとも入口/出口のフランジ部と、及び/または、固定タブとを、一旦前述の構成要素が互いに相対的に位置決めされた後、一つのクリンピング(押し付け)作業で組み立てることを可能にする、熱交換器を提供することである。
【0015】
この目的を達成するために、本発明は前述のヘッダに関しており、前記フランジ部が前記カバーにクリンピングされ(押し付けられ)得ると同時に前記カバーが前記下方部に保持され得るように、当該フランジ部は、前記縦エッジ部が少なくとも局所的に湾曲されてその側面で受けられることを可能にする輪郭を有する。
【0016】
様々な実施の形態によれば、
・前記フランジ部は、
流体入口及び/又は流体出口を規定すると共にパイプを受け得る接続フランジと、
前記熱交換器を支持部に固定するために使用され得る固定タブと、
当該ヘッダと流体接続するように設計された筒部を取り付けるための固定フランジと、
から選択される。
・前記ヘッダは、少なくとも2つの前記フランジ部を有する。
・前記接続フランジの前記輪郭、前記固定タブの前記輪郭、及び/又は、前記固定フランジの前記輪郭は、全て同一である。
・前記縦エッジ部は、前記ヘッダの全長に亘って湾曲されている。
・前記輪郭は、一方の側面において、第一の湾曲された縦エッジ部の端部を受け得る溝部を有すると共に、他方の側面において、第二の湾曲された縦エッジ部の端部によって少なくとも部分的に覆われ得る突出部を有する。
・前記溝部と前記突出部とは、前記フランジ部と当該ヘッダとの間の傾きの取り付け角度に対応するような寸法である。
・前記輪郭は、各側面に溝部を有しており、各溝部は、縦エッジ部の前記湾曲された端部を受け得る。
・前記輪郭は、各側面に突出部を有しており、各突出部は、縦エッジ部の前記湾曲された端部を受け得る。
・前記固定タブの前記輪郭は、くさび部を形成する2つの端部を有しており、各くさび部は、前記湾曲された縦エッジ部によって覆われるように、前記カバーの表面に適合すると共に、前記カバーと当該ヘッダの縦壁部との間に形成された空間内にちょうど挿入されるようになっている。
・前記固定タブの前記くさび部の一方は、当該ヘッダの縦軸の方向に連続していると共に、他方は、中央部分で中断されており、前記固定タブは、当該中央部分で、前記カバーから逸れる取り付け面を有する。
【0017】
また、本発明は、少なくとも1つの前述のヘッダを備える熱交換器に関する。
【0018】
更に、本発明は、そのようなヘッダの組み立て方法に関し、当該組み立て方法では、前記ヘッダの前記カバーを前記下方部上に配置する工程と、少なくとも1つの前記フランジ部を配置する工程と、前記縦エッジ部を、前記フランジ部の側面に向けて湾曲させる工程と、が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明により製作された熱交換機の部分の一実施の形態の概略斜視図である。
【
図3】
図1に示された熱交換器の実施の形態の第一の断面図である。
【
図4】
図1に示された熱交換器の実施の形態の第二の断面図である。
【
図5】
図3及び
図4と同じ角度から断面が取得された、別の実施の形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、非限定的な例示として与えられた添付の図面を参照して、詳細な例示の実施の形態を読むことにより、より良く理解されるであろう。
【0021】
熱交換器1を部分的に図示している
図1が参照される。熱交換器1は、一束の管100を備えている。これらの管は、熱交換器を通過する気流と熱を交換する流体を通過させることが意図されており、熱交換領域を増大させるために、管100の間に配置された分離部110と交互に並べられている。
【0022】
前記熱交換器1は、また、下方部3及び上方部4を有する2部分ヘッダ2を備えている。ここで、単語「下方」及び「上方」は、ヘッダの方向、または、当該ヘッダが使用された熱交換器の方向、を予め示していない。当該熱交換器は、その管を通る流体が鉛直方向に流れることを可能にするように方向付けられ得るのと同じように、水平方向に流れることを可能にするような方向にも方向付けられ得る。
【0023】
下方部3は、ヘッダ2の台座部を形成しており、底部5と、縦エッジ部7(例えば直線状の縦エッジ部)で終端する縦壁部6と、横壁部8と、を有している。
【0024】
上方部4は、ヘッダ2のカバーを形成している。カバー4の寸法は、縦エッジ部7が直線状の姿勢にある際に、当該カバー4が縦壁部6の間に挿入されて受容されることが可能であるように設計されている。
【0025】
熱交換器1は、流体管(添付の図面には図示されていない)をそれぞれ受容し得る2つの入口/出口のフランジ部9を更に備えている。
【0026】
熱交換器1は、2つの固定タブ10を形成する2つの他のフランジ部も備えている。これらの固定タブ10は、当業者によく知られた様々な固定の可能性に従って、熱交換器1を支持部(添付の図面には図示されていない)に固定するために使用され得る。
【0027】
次に、
図2及び
図3を参照して、入口/出口のフランジ部9が特有の輪郭11を有していることが視認され得る。この輪郭11は、縦エッジ部7が、一旦これらの縦エッジ部が湾曲された後で、フランジ部9の側面12で受容されることを可能にする。
【0028】
より具体的には、輪郭11は、縦エッジ部7が直線状の姿勢にある際に入口/出口のフランジ部9が縦エッジ部7の間に挿入されることを可能にすると共に、当該縦エッジ部7を前記側面12に向けて湾曲することによってフランジ部9がクリンピングされることを可能にする。
【0029】
添付の図面における例示の実施の形態では、輪郭11は、フランジ部9の一方の側面12に形成された溝部13と、他方の側面12上の突出部14と、を有している。
【0030】
突出部14は、カバー4の形状に多かれ少なかれ適合する下側部15と、下方部3の縦壁部6の内部に対して当接した状態になる側面部16と、を有している。これにより、縦エッジ部7が湾曲されて、縦エッジ部7の一方が溝部13に挿入され、他方が突出部14に当接される時に、一方では、フランジ部9がカバー4上にクリンピングされ、他方では、カバー4がフランジ部9と下方部3との間に捕捉される。
【0031】
フランジ部9のクリンピングは、それ故に、一回のクリンピング作業において、カバー4が下方部3とフランジ部9との間で確実に保持されることを可能にする。
【0032】
有利には、溝部13と突出部14とは、フランジ部9の側面12の全長に亘って延ばされている。
【0033】
有利には、固定タブ10も、フランジ9のクリンピング作業と同時に、カバー4及び下方部3にしっかりと固定されるように設計されている。
【0034】
そのために、主に
図4を参照し、固定タブ10の輪郭17が、例えば、くさび部19の形態の2つの端部18を有するという設定がなされている。
【0035】
各くさび部19は、カバー4の表面に適合すると共に、カバー4と下方部3の縦壁部6との間に形成された空間にちょうど挿入される。縦エッジ部7がくさび部19に向けて湾曲される際に、固定タブ10とカバー4と下方部とは一緒にしっかりと固定され、タブ10のカバー4から遠ざかる動きと下方部3から遠ざかる動きとが防止される。
【0036】
有利には、溝部13の寸法と突出部14の寸法とが、フランジ部9とヘッダ2の対称面との間の傾きの取り付け角度(設定角度)に対応するように計算されている、ということを指摘することは重要である。
【0037】
本件傾きは、突出部14の長さと溝部13の深さとを変更することにより得られる。従って、ヘッダ2に対するフランジ部9の異なる傾きを精確に得ることが可能である。そのために、
図3は、フランジ部9とヘッダ2との間の傾きの一つの可能な例を示しており、当該傾きは、溝部13の寸法と突出部14の寸法とによって制御される。
【0038】
同様に、ヘッダ2に対する固定タブ10の方向付けは、くさび部19の長さを変更することによって制御される。添付の図面の実施の形態では、
図4においてより詳細に視認できるように、くさび部19は実質的に同一であるけれども、異なる傾きを得るために、くさび部19に非同一の長さを与えることは可能であろう。
【0039】
図5に図示されたように、本発明による熱交換器は、ヘッダと流体接続するように設計された筒部40も備え得る。当業者にとって既知の方法では、そのような筒部はヘッダ2と平行に方向付けられると共に、内部容積44を規定する壁部42を有している。そのような筒部は特に、流体の貯留容積を規定するために、及び/または、凝縮器と連結される際に相の分離を促進するために、使用される。前記筒部は、フィルタと、及び/または、乾燥剤カートリッジと(どちらの部品も図示はされていない)、適合され得る。
【0040】
そして、前記ヘッダには、前述したように、フランジ部が設けられ得る。このとき、当該フランジ部は筒部40のための取り付けフランジ30を規定し、当該取り付けフランジ30は筒部40の材料の連続性として与えられ得る。図示された一例では、固定フランジ30は、突出部14またはくさび部19を有するタイプである。
【0041】
縦エッジ部を湾曲する時にカバー4を下方部3に位置決めするために、縦壁部6に、及び/または、横壁部8に局所的な変形または追加的な厚みが与えられる、ということを強調することも重要である。この局所的な変形または追加的な厚みは、カバー4が縦壁部6に力をかけることを介して下方部3の底部に落下することを防止する端部停止部20を構成する。
【0042】
ここで、既知の方法では、ヘッダ2は、その内部容積をいくつかの部分に分割し、各々の部分は所定の数の熱交換器の管に接続され、一の経路から次の経路へ交代する方向に流体を交互に循環させることを可能にする効果を有する流体循環経路を規定する仕切り部を有し得る、ということが指摘されるべきである。
【0043】
そのような場合及び図示されていない別の実施の形態によれば、カバー4は、端部停止部20を介して静止することの代わりに、及び/または、それに加えて、前記仕切り部を介して、及び/または、横壁部8を介して、下方部3に対して静止し得る。
【0044】
従って、提案された構造は、カバー4を所定位置に保持すると同時に、ヘッダ2に設けられた様々なタイプのフランジ部9、10、30が同時にクリンピングされることを可能にすることが理解され得る。
【0045】
より具体的には、湾曲されたエッジ部7は、例えば、前記フランジ部のうちの少なくとも一つの領域に少なくとも位置するフランジ部に存在するであろう。そして、湾曲されたエッジ部7による前記フランジ部のクリンピングが、カバー4を下方部3上の所定位置に保持するであろう。フランジ部によってだけでなくカバーに現在直接接触する湾曲された部分によっても当該カバーを所定位置に保持するために、湾曲されたエッジ部7は、当該フランジ部を越えた位置にも設けられ得る。
【0046】
熱交換器の組み立て方法は、ヘッダ2のカバー4を位置決めするという第一の工程を行うことを含む。それを行うために、カバー4は端部停止部20の位置まで下方部3内に挿入される。次に、様々な入口/出口のフランジ部9が、カバー4上に位置決めされる。要求される全ては、フランジ部9がカバー4と接触する状態になるまで垂直に移動され、カバー4に形成された開口をフランジ部9に形成された開口と適合させることだけであるので、フランジ部9のこの位置決めは容易である。
【0047】
図示された実施の形態では、熱交換器1はヘッダ2に固定タブ10を備えており、従って、固定タブ10も位置決めされる。しかしながら、この工程は、固定タブ10がヘッダ2のカバー上に配置されていないとき、または、固定タブ10が従来の方法によって、特に溶接またはクリンピングによって、カバー4に固定されるという本発明の格下げされた実施の形態においても、当然省略される。
【0048】
次に、熱交換器1の組み立て方法は、縦エッジ部7を湾曲する工程を行うことにある。この湾曲する工程は、縦エッジ部7の端部が、適切な場合にはくさび部19上に位置決めされるのと同様に、フランジ部9の溝部13内及び突出部14上に位置決めされることを可能にする。
【0049】
縦エッジ部7がフランジ部9の側面部12上に配置されて固定タブ10のくさび部19を覆う際に、フランジ部9及びタブ10はヘッダ2のカバー4を捕捉しながらクリンピングされる。従って、様々な構成要素3、4、9及び10の組み立ては、一回のクリンピング作業で同時に行われる。
【0050】
本発明の他の特徴も、請求項に規定された本発明の範囲から逸脱することなく想到され得る。
【0051】
特に一例として、他の実施の形態では、フランジ部9の輪郭11は異なり得る。例えば、各々の側面部12はクリンピングのための突出部14を有し得る、またはその代わりに、各々の側面部12は縦エッジ部7の湾曲された端部を受容する溝部13を有し得る。
【0052】
他の実施の形態では、フランジ部9の溝部13及び突出部14、及び/または、タブ10のくさび部19は、構成要素9及び10の長さに沿って部分的にのみ延設される。
【0053】
直線状である代わりに、縦エッジ部7は、例えば均等に、及び/または、フランジ部の溝部、突出部、及び/または、くさび部の位置に対応するように、側面部に沿って分配されたクリンピングタブの形態であり得て、当該クリンピングタブが湾曲された後に組み立てが行われ得る。