(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797667
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】エネルギー変換端末装置を接続する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H04B 3/54 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
H04B3/54
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-551522(P2012-551522)
(86)(22)【出願日】2010年12月20日
(65)【公表番号】特表2013-518538(P2013-518538A)
(43)【公表日】2013年5月20日
(86)【国際出願番号】EP2010070175
(87)【国際公開番号】WO2011091910
(87)【国際公開日】20110804
【審査請求日】2012年9月3日
(31)【優先権主張番号】102010001445.1
(32)【優先日】2010年2月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】クラウス−ミヒャエル マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】フリードリッヒ シェプフ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ブラントシュテッター
【審査官】
前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0177580(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0035729(US,A1)
【文献】
特開2008−182851(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/125915(WO,A2)
【文献】
特開2009−071723(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/132553(WO,A2)
【文献】
特開2009−130585(JP,A)
【文献】
特開平06−224246(JP,A)
【文献】
特開2010−011704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー変換端末装置を電気エネルギー供給網(61)に接続し、該エネルギー供給網(61)を介してデータを交換するための装置において、
前記エネルギー供給網(61)に接続するための配電網端子(11)と、前記エネルギー供給網(61)を介してデータを受信及び送信する通信ユニット(20)と、データ交換を制御し、かつ、前記エネルギー変換端末装置の電力、複数のセンサ(41)の電力及び前記エネルギー変換端末装置を監視する割り当てられた信号処理部(42)の電力を開又は閉ループ制御するための論理ユニット(30)と、前記エネルギー変換端末装置との間のエネルギーの流れを制御する電源ユニット(50)とが設けられており、
前記配電網端子(11)と、前記通信ユニット(20)と、前記論理ユニット(30)と、複数のセンサ(41)を有するセンサユニット(40)と、前記複数のセンサ(41)に割り当てられた前記信号処理部(42)と、前記電源ユニット(50)とが、1つの特定用途向け集積回路(10)(ASIC)に統合されており、
前記通信ユニット(20)は、無線インタフェース(22)を有しており、
前記電源ユニット(50)は、光起電力モジュールを前記エネルギー供給網(61)に接続可能であり、
前記電源ユニット(50)はエネルギー供給モジュール(53)を有し、前記エネルギー供給モジュール(53)はエネルギーの電力変換を行う、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記論理ユニット(30)は、少なくとも前記エネルギー変換端末装置を開及び閉ループ制御及び診断し、センサデータを処理し、前記エネルギー供給網(61)から前記通信ユニット(20)を介して受信した設定情報及び制御情報を処理し、ログインデータとステータス情報を前記通信ユニット(20)を介して前記エネルギー供給網(61)に送信するための計算ユニット(31)を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサユニット(40)は加速度、姿勢、温度、電流及び/又は電圧を測定するための集積センサ(41)を有している、及び/又は、前記センサユニット(40)は外部センサデータを受け取るためのインタフェース(43)を有しておりかつ前記センサユニット(40)は前記複数のセンサ(41)から供給される信号の信号処理部(42)を有している、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記電源ユニット(50)は、消費デバイス駆動制御モジュール(51)及び/又はオンオフスイッチ(52)を含んでいる、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記通信ユニット(20)は、前記エネルギー供給網(61)にデータを入力し、前記エネルギー供給網(61)からデータを出力するためのデータモジュール(21)を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記配電網端子(11)と前記通信ユニット(20)、ならびに前記通信ユニット(20)と前記電源ユニット(50)は、エネルギー供給回線(60)を介して接続されており、前記論理ユニット(30)は前記通信ユニット(20)、前記電源ユニット(50)及び前記センサユニット(40)に接続されており、前記センサユニット(40)はデータ回線(70、71、72、73、74、75)を介して前記電源ユニット(50)に接続されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記特定用途向け集積回路(10)(ASIC)はトランスファ成形されたモジュールとして実現されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
電気エネルギー供給網(61)に接続されたエネルギー変換端末装置を動作させ、前記エネルギー供給網(61)を介してデータを交換し、交換されたデータとセンサデータとに依存して前記エネルギー変換端末装置を開又は閉ループ制御する方法において、
前記エネルギー供給網(61)と前記エネルギー変換端末装置との間に設けられた特定用途向け集積回路(10)(ASIC)内で、集積された通信ユニット(20)によって、集積された配電網端子(11)を介して接続された前記エネルギー供給網(61)からデータを出力し、前記エネルギー供給網(61)にデータを入力し、前記エネルギー供給網(61)を介して交換されるデータを集積された論理ユニット(30)によって生成及び処理し、前記集積された論理ユニット(30)によって、集積された複数のセンサ(41)と集積された信号処理部(42)とを有する集積センサユニット(40)のセンサデータを受信及び評価し、前記集積された論理ユニット(30)によって、前記エネルギー供給網(61)を介して交換されるデータと受信したセンサデータとに依存して、接続されている前記エネルギー変換端末装置を集積された電源ユニット(50)を介して開又は閉ループ制御し、
前記通信ユニット(20)は、無線インタフェース(22)を有しており、
前記電源ユニット(50)は、光起電力モジュールを前記エネルギー供給網(61)に接続可能であり、
前記電源ユニット(50)はエネルギー供給モジュール(53)を有し、前記エネルギー供給モジュール(53)はエネルギーの電力変換を行う、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー変換端末装置を電気エネルギー供給網に接続し、該エネルギー供給網を介してデータを交換する装置に関する。なお、この装置には、前記エネルギー供給網に接続するための配電網端子と、前記エネルギー供給網を介してデータを受信及び送信する通信ユニットと、データ交換を制御し、かつ、前記エネルギー変換端末装置の電力、センサの電力及び前記エネルギー変換端末装置を監視する専用の信号処理部の電力を開又は閉ループ制御する論理ユニットと、前記エネルギー変換端末装置へのエネルギーの流れを制御する電源ユニットとが設けられている。
【0002】
本発明はさらに、電気エネルギー供給網に接続されたエネルギー変換端末装置を動作させ、前記エネルギー供給網を介してデータを交換し、交換されたデータ及びセンサデータとに依存して前記エネルギー変換端末装置を開又は閉ループ制御する方法に関する。
【0003】
先行技術
電気エネルギー使用時の効率を向上させるために、エネルギー生成時にも、エネルギーを消費するデバイスにおいても、能動的な制御を行うことが益々増えてきている。このためにビル管理技術においては、中央の開及び閉ループ制御部がプロプライエタリな通信規格を介して端末装置と通信する解決手段が公知である。センサとアクチュエータはフィールドバス構造を介して相互に配線されており、センサとアクチュエータの相互の帰属は中央でプログラムされる。エネルギー供給網内の装置の自主的な登録は行われず、また可能でもない。制御アルゴリズムは中央で実行され、そうしてデータトラフィックに負荷が掛かる。例えば、迅速な制御のためには、「セキュア・プロフィバス」や「インターバス」のような安全なリアルタイムの通信ソリューションを使用しなければならない。
【0004】
通常、周波数変換器、センサ、前縁制御器及び電力回路遮断器のようなモジュールと、通信モジュールとは、制御されるべき装置に別々に取り付けられるか、または別個の測定箇所に設けられる。しかし、種々の要素から成るこの構造はシステムの診断可能性を強く制限する。なぜならば、簡単に記述できる目標状態が知られておらず、目標状態からの偏差も簡単に求めることができないからである。
【0005】
例えば家電品の中のブラシレスモータのモータ駆動制御のような現在の統合型ソリューションは、フェアチャイルド社の型番FSB50250のマルチチップモジュールを利用する。この場合には、しかし、センサ系も論理ユニットも設けられていない。その一方で、マサチューセッツ工科大学の「モノのインターネット」のコンセプトは、各端末装置にローカルインテリジェンスを備え付け、例えば家電、安全モニタ及びエネルギー源の自己組織化を可能にする。しかし、このコンセプトは、現状では、一般に既存の装置構成に含ませることのできない高価な電子部品が端末装置に存在していることを前提としている。
【0006】
「デジタルストリーム」のような現在公知の第1の解決手段は、統合化の一部しかカバーしておらず、さらに約60ワットのスイッチング電力に限定されている。
【0007】
エネルギー消費デバイス又はエネルギー生成デバイスに存在する「ローカルインテリジェンス」によるこれらのコンセプトの実現は、小さなサイズの、規格化された安価なソリューションによって促進される。
【0008】
公知の装置における欠点は、ソリューションが複数の部品から組み立てられているために、比較的大きなスペースを取り、かなりの設置コストを要することにある。
【0009】
本発明の課題は、電力線を介して駆動されるデータネットワークにエネルギー変換端末装置を低コストかつ省スペースで接続できる装置及び方法を提供することである。
【0010】
発明の概要
装置に関する本発明の課題は、配電網端子と、通信ユニットと、論理ユニットと、複数のセンサを有するセンサユニットと、前記複数のセンサに割り当てられた信号処理部と、電源ユニットが、1つの特定用途向け集積回路(ASIC)に統合されていることによって解決される。この集積回路により、エネルギー変換を行う電気的端末装置はデータネットワークを介して接続された環境内で動作することが可能となる。データネットワークの様々な加入者のデータ伝送は、エネルギー供給網の回線を介して行われる。その結果、データ伝送のための特別なデータネットワークを構築するのに比べて、設置コストが明らかに低下する。データ交換はネットワーク加入者間ならびに例えば中央制御装置及びエネルギー管理部との通信を可能にする。本発明による装置は、通信、インテリジェンス、パワーエレクトロニクス、センサ系、及び独立した制御アルゴリズムの機能を、ASICとして実現された集積モジュールに統合している。この集積回路は多くの適用分野で使用することができる。例えば、家電品や、エネルギー節約と例えば診断やメンテナンスなどの通信のために益々その場でインテリジェンスを必要とする他の工業及び商業機器において、電動消費デバイスの穏やかな始動、複数の温度データを同時に受け取った場合のポンプ動作などに使用することができる。複数の機能を特定用途向け集積回路に統合することによって、低い部品コスト及び設置コストで、かつ各エネルギー変換端末において可能な限り小さなスペースしか要せずに、大ロット生産技術を広めることができる。エネルギー変換端末装置に固有のインテリジェンスが設けられていることによって、例えばモータの2次インダクタンスを利用する高スイッチング電力の周波数変換器のコンセプトも実現可能である。なぜならば、その場合、システム全体に負荷の掛かる中央の開及び閉ループ制御部とのデータトラフィックを要さずに、計算、制御及び評価に高いコストを投じることが可能だからである。
【0011】
複数のエネルギー変換端末装置のデータ交換と開又は閉ループ制御とに必要なインテリジェンスは、論理ユニットが、少なくとも、エネルギー変換端末装置の閉ループ制御、開ループ制御及び診断、センサデータの処理、エネルギー供給網から通信ユニットを介して受信した設定情報及び制御情報の処理、エネルギー供給網への通信ユニットを介してのログインデータ及びステータス情報の送信を行うための計算ユニットを有していることによって提供される。この計算ユニットは、手元にあるセンサデータを考慮して、ローカルな開及び閉ループ制御タスクと診断タスクを引き受ける。計算ユニットはデータネットワークから設定及び制御命令を受け取り、逆にステータス情報、ログイン情報、センサデータ、アラームないし他の関連イベントをエネルギー管理部又は他のネットワーク加入者へ通信する。
【0012】
本発明の特に有利な実施形態によれば、センサユニットは加速度、姿勢、温度、電流及び/又は電圧を求めるための集積センサを有している、及び/又は、センサユニットは外部センサデータを受け取るためのインタフェースを有しており、かつセンサユニットはセンサから供給される信号の信号処理部を有している。複数のセンサを特定用途向け集積回路に統合することによって、多くの使用場面で必要なセンサ機能を手頃なコストで提供することができる。インタフェースは他の任意選択的な外部センサの接続を可能にする。集積センサ及び外部センサの信号処理は統合された信号処理部によって行ってよい。
電源ユニットが、消費デバイス駆動制御モジュール、オンオフスイッチ及び/又はエネルギー供給モジュールを含んでいるならば、電源ユニットは、消費デバイス駆動制御モジュールとオンオフスイッチとを介したエネルギー変換端末装置へのエネルギー供給も、任意選択的に、端末装置がエネルギーを生成する場合には、エネルギー変換端末装置からエネルギー供給モジュールを介してエネルギー供給網へのエネルギー逆供給の制御も引き受ける。消費デバイス駆動制御モジュールでは、様々な駆動制御の形態、例えば周波数変換や前縁制御が実現可能である。それゆえ、接続されたエネルギー変換端末装置の電力は、データネットワークを介して中央で制御することも、論理ユニットにおいてローカルに実行されている最適化規則に従って制御することもできる。
【0013】
他のネットワーク加入者との外部データ交換は電気エネルギー供給網を介して行われる。したがって、通信ユニットはエネルギー供給網へのデータの入力とエネルギー供給網からのデータの出力のためのデータモジュールを有している、及び/又は、通信ユニットは無線インタフェースを有しているとしてよい。エネルギー供給網を介したデータ交換は、電力線に適した公知の通信規格を介して、例えばTCP/IPを介して行うことができる。データモジュールはそのために通信ストリームをエネルギーストリームから切り離し、通信ストリームを後続の論理モジュールに供給する。さらに、データモジュールは論理モジュールから情報を受け取り、これらの情報をエネルギー供給網中に分配する。例えば任意選択的に設けられる無線インタフェースは、エネルギー供給網には接続されていないアクチュエータ又はセンサとの通信を可能にする。この場合、無線インタフェースが付加的なゲートウェイ機能を引き受ける。好ましくは、無線インタフェースに対して、電波自体からのエネルギー供給又は必要な測位サービスもサポートする無線規格が割り当てられる。なお、測位サービスも同様にローカルに評価することができる。
【0014】
エネルギー供給網からエネルギー変換端末装置へのエネルギーストリームと、特定用途向け集積回路内の種々の組み込みモジュール間のデータストリームは、配電網端子と通信ユニットとが、また通信ユニットと電源ユニットとがエネルギー供給回線を介して接続されており、論理ユニットが通信ユニット、電源ユニット及びセンサユニットと接続されており、センサユニットがデータ回線を介して電源ユニットと接続されていることによって実現することができる。
【0015】
本発明の有利な実施形態によれば、特定用途向け集積回路(ASIC)はトランスファ成形されたモジュールとして実現されている。システム・イン・パッケージとして知られるこの形態は、手頃なコストで、コンパクト性、天候の影響と機械的影響に対するロバスト性、電気的絶縁及び損失熱の排出を保証する。
【0016】
方法に関する本発明の課題は、エネルギー供給網とエネルギー変換端末装置との間に設けられた特定用途向け集積回路(ASIC)内で、集積された通信ユニットにより、集積された配電網端子を介して接続された前記エネルギー供給網からデータが出力され、前記エネルギー供給網にデータが入力され、前記エネルギー供給網を介して交換されるデータは集積された論理ユニットにより生成及び処理され、前記集積された論理ユニットにより、集積された複数のセンサと集積された信号処理部とを有する集積センサユニットのセンサデータが受信及び評価され、前記集積化された論理ユニットにより、前記エネルギー供給網を介して交換されるデータと受信したセンサデータとに依存して、接続されているエネルギー変換端末装置の消費デバイス制御部が集積化された電源ユニットを介して開又は閉ループ制御されるようにすることで解決される。この方法によれば、種々のエネルギー変換端末装置、例えばポンプ、家電品、電動消費デバイス又は他の工業及び商業機器は、エネルギー供給網と融合したデータネットワーク(電力線)の枠内で動作することが可能となる。その際、開及び閉ループ制御タスクは端末装置においてローカルに実行してもよいし、中央の制御装置又はエネルギー管理装置を介して実行してもよい。データ交換、端末装置への電力供給の開又は閉ループ制御、及びセンサによる動作データの捕捉は、特定用途向け集積回路において行われるので、低コストかつ大ロットで実現可能である。
【0017】
以下に、図面に示された実施例に基づいて本発明をより詳しく説明する。
【実施例】
【0019】
図1に示されている集積回路10(ASIC)は、図示されていないエネルギー変換端末装置を電気エネルギー供給網61に接続し、このエネルギー供給網61を介してデータを交換するために用いられる。
【0020】
集積回路10は配電網端子11、通信ユニット20、論理ユニット30、センサユニット40及び電源ユニット50を含んでいる。
【0021】
通信ユニットは、データモジュール21と集積化アンテナ23に接続されている無線インタフェース22とから構成されている。無線インタフェース22と、接続された積化アンテナ23は、任意選択的に設けられる構成要素である。
【0022】
論理ユニット30はμコントローラの形態の計算ユニット31を含んでいる。
【0023】
センサユニット40内には、集積センサ41、信号処理部42及び図示されていない外部センサとの接続のためのインタフェース43が組み込まれている。
【0024】
電源ユニット50は、消費デバイス駆動制御モジュール51、オンオフスイッチ52及びエネルギー供給モジュール53を含んでいる。エネルギー供給モジュール53を設けるか否かは任意である。
【0025】
配電網端子11はエネルギー供給網61に接続されている。この接続は単相又は三相で行うことができる。出力側で、配電網端子11はエネルギー/データ接続62を介して通信ユニット20のデータモジュール21に接続されている。エネルギー供給網61もエネルギー/データ接続62も、エネルギーとデータを輸送するための電力線接続として設けられている。
【0026】
論理ユニット30は、第1データ回線70を介して通信ユニット20に、第2データ回線71によってセンサユニット40に、第3、第4及び第5データ回線72、73、74によって電源ユニット50に接続されている。ここで、第3データ回線72はエネルギー供給モジュール53を、第4データ回線73は消費デバイス駆動制御モジュール51を、第4データ回線74はオンオフスイッチ52を、論理ユニット30に接続している。エネルギー供給モジュール53と消費デバイス駆動制御モジュール51は第6データ回線75を介してセンサユニット40に接続されている。センサユニット40は信号線76を介して図示されていない任意選択的な外部センサに接続されている。
【0027】
図示されていないエネルギー変換端末装置は、端末装置端子67を介して電源ユニット50のオンオフスイッチ52に接続されている。エネルギー変換端末装置へのエネルギーストリームは、電源ユニット50の内部で、消費デバイス駆動制御モジュール51から第2エネルギー線65を介してオンオフスイッチ52へと生じる。端末装置端子67にエネルギー生成端末装置が接続されている場合には、エネルギーストリームはオンオフスイッチ52から第2逆供給回線66を介してエネルギー供給モジュール53へと生じる。
【0028】
電気エネルギーは、配電網端子11を介してエネルギー供給網61から受け取られるか、エネルギー生成端末装置の場合であれば、エネルギー供給網61に供給される。同時に、配電網端子11を介してエネルギー供給網61上で電力線通信規格に従って双方向通信が行われる。これにより、中央制御装置もしくはエネルギー管理装置とのデータ交換、ならびに、同じくデータ交換のためにこのような集積回路10を備えた他のエネルギー変換端末装置とのデータ交換が可能になる。
【0029】
通信ユニット20は、電力線通信規格、例えばインターネット向けのTCP/IPプロトコルに従った通信処理を引き受ける。通信モジュール20内に含まれているデータモジュール21は、通信ストリームをデータストリームから分離し、通信ストリームを後続の論理ユニット30に供給するか、又は論理ユニット30から情報を受け取り、これらの情報をエネルギー供給網61中に分配する。無線インタフェース22は、例えばエネルギー供給網61には接続されていない他の分散したアクチュエータ及びセンサとの通信を可能にするための任意選択的な補足である。このように、無線インタフェース22は付加的なゲートウェイの機能を引き受ける。無線インタフェース22の1つの有利な実施形態は、電波自体からのエネルギー供給又は必要な測位サービスもサポートする無線規格である。
【0030】
計算ユニット31が組み込まれた論理ユニット30は、ローカルな開及び閉ループ制御タスクと診断タスクの処理を引き受ける。論理ユニット30は、設定と制御をエネルギー供給網61から受け取り、逆にステータス情報、ログイン情報、センサデータ、アラームないし他の関連イベントを、通信ユニット20、配電網端子11及びエネルギー供給網61を介してエネルギー管理部又は他の付加価値サービス又は他のネットワーク加入者へ通信する。
【0031】
センサユニット40は組み込まれた集積センサ41の測定データを論理ユニット30に提供し、任意選択的に、例えばエネルギー変換端末装置内に設けられた外部センサに対するインタフェース43を提供する。集積センサ41と外部センサの信号は信号処理部42において処理される。
【0032】
図示された実施形態では、電源ユニット50はエネルギー消費端末装置の接続とエネルギー生成端末装置の接続を可能にする。接続されたエネルギー変換端末装置の電力は消費デバイス駆動制御モジュール51によって制御される。その際、単純なオンオフスイッチ機能の他に別の駆動制御機能、例えば前縁又は後縁制御が設けられていてもよい。エネルギー変換端末装置としてエネルギー生成端末装置が接続されている場合には、エネルギー供給モジュール53はエネルギー供給網61へのエネルギー逆供給を引き受ける。その際、エネルギー供給モジュール53において、電力限界に依存して少量のエネルギーの
電力変換が行われるようにしてよい。電源ユニット50はこのようにして例えばエネルギー変換端末装置として光起電力モジュールをエネルギー供給網61に接続することができる。オンオフスイッチ52は出力時にもエネルギー生成モードにおいてもエネルギーストリームのスイッチオン及びオフを確実にする。
【0033】
配電網端子11、通信ユニット20、論理ユニット30、センサユニット40及び電源ユニット50の機能ブロックは、相応の配線技術によって特定用途向け集積回路10(ASIC)に統合されている。特別な実施形態では、集積回路10はトランスファ成形された小型モジュール(システム・イン・パッケージ)の中に詰め込まれていてもよい。上記機能を集積素子に統合することによって、低コストかつ大ロットで上記機能を実現することが可能となる。集積回路10はこのように、種々のエネルギー変換端末装置をエネルギー供給網61に接続するため、及びエネルギー供給網61上に実現されたデータネットワークのために設けることができる。