特許第5797692号(P5797692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797692
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】圧電センサおよび圧力検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/16 20060101AFI20151001BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20151001BHJP
   H01L 41/113 20060101ALI20151001BHJP
   H01L 41/047 20060101ALI20151001BHJP
   H01L 41/193 20060101ALI20151001BHJP
   H01L 41/29 20130101ALI20151001BHJP
【FI】
   G01L1/16 C
   G01L5/00 101Z
   H01L41/113
   H01L41/047
   H01L41/193
   H01L41/29
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-118296(P2013-118296)
(22)【出願日】2013年6月4日
(65)【公開番号】特開2014-235133(P2014-235133A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2015年7月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】日本写真印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡津 裕次
(72)【発明者】
【氏名】末▲富▼ 喜子
(72)【発明者】
【氏名】角谷 栄二
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】柴田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼野 勝己
(72)【発明者】
【氏名】奥村 秀三
(72)【発明者】
【氏名】面 了明
【審査官】 羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/095581(WO,A1)
【文献】 特開2000−321013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/16
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電層が上部電極と下部電極に挟まれた圧電センサであって、
前記上部電極が、
一の方向に延在する第1パターン電極を複数備え、
前記下部電極が、
前記一の方向と交差する他の方向に延在する第2パターン電極を複数備え、
前記第1パターン電極が、
間隔をあけて積層される複数の第1電極部と、
複数の前記第1電極部の間に形成され、前記第1電極部どうしを電気的に接続する第1接続部とを備え、
前記第2パターン電極が、
前記第1電極部と重なるよう前記圧電層の下に積層される複数の第2電極部と、
前記第2電極部どうしを電気的に接続する第2接続部とを備え、
前記第1電極部が、前記圧電層を介して複数の前記第2電極部と重なるように配置された圧電センサ。
【請求項2】
前記圧電層が、
前記上部電極と接する第1圧電層と、
前記下部電極と接する第2圧電層とを備え、
前記第1圧電層と前記第2圧電層の間に基準電極を備える請求項1の圧電センサ。
【請求項3】
前記圧電層が活性圧電部と不活性圧電部とからなり、前記第1パターン電極は前記活性圧電部の上に積層された請求項1又は請求項2のいずれかの圧電センサ。
【請求項4】
前記圧電層が活性圧電部と不活性圧電部とからなり、前記第2パターン電極は前記活性圧電部の上に積層された請求項1又は請求項2のいずれかの圧電センサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの圧電センサとタッチパネルを備える圧力検出装置。
【請求項6】
前記タッチパネルが静電容量型タッチパネルである請求項5の圧力検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重に応じた圧電信号を発生する圧電センサに関し、特に荷重が与えられた位置を検出できる圧電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
与えられた荷重を検出するため、圧電層を用いた圧電センサが知られている。例えば、特許文献1には、透明感圧層と、一対の透明導電層からなる透明圧電センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−125571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の透明圧電センサでは、与えられた荷重を検出できるものの、透明圧電センサ内において荷重がかかった位置を検出することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0006】
本発明の圧電センサは、圧電層が上部電極と下部電極に挟まれている。上部電極は第1パターン電極を複数備え、下部電極は第1パターン電極と交差する第2パターン電極を複数備えている。
上記構成によると、第1パターン電極と第2パターン電極が圧電層を介して交差する。すなわち、圧力センサは、圧電層を介して第1電極パターンと第2電極パターンが重なる箇所を複数有する。そうすると、圧電層で発生した電荷について、複数ある重なり箇所のうち、どの重なり箇所で発生したものであるかを検出することにより、荷重のかかった位置を特定できるようになる。
【0007】
上部電極と下部電極の間に、基準電極が設けられていてもよい。かかる場合、上部電極と基準電極の間には第1圧電層が設けられてもよく、下部電極と基準電極の間には第2圧電層が設けられていてもよい。
【0008】
そうすると、第1圧電層や第2圧電層で発生した電荷を上部電極と下部電極とで独立して検出できる。
【0009】
第1パターン電極は、第1電極部と第1電極部どうしを電気的に接続する第1接続部を備えていてもよい。第2パターン電極も、第2電極部と第2接続部を備えていてもよい。また、第1電極部は、圧電層を介して第2電極部と重なるように圧電層上に設けられていてもよい。
【0010】
そうすると、圧電センサ内に複数ある第1電極部と第2電極部の重なり部分で、圧電層から発生した電荷を検出できる。
【0011】
第1電極部は、圧電層を介して複数の第2電極部と重なるように積層されていてもよい。
【0012】
そうすると、第1電極部と第2電極部の重なり部分の数が、上述の場合よりも増える。その結果、圧電センサ内の位置検出精度と荷重検出精度が向上する。
【0013】
第1パターン電極と第2パターン電極は、帯状であってもよい。
【0014】
第1パターン電極の幅方向の大きさは、圧電層の周縁部に近づくにつれて大きくなっていてもよい。
【0015】
そうすると、荷重が掛かったときの撓み量が少なく、荷重の検出感度が悪い圧電層の周縁部について、荷重の検出感度が向上する。
【0016】
第2パターン電極の幅方向の大きさは、圧電層の周縁部に近づくにつれて大きくなっていてもよい。
【0017】
そうすると、荷重が掛かったときの撓み量が少なく、荷重の検出感度が悪い圧電層の周縁部について、荷重の検出感度が向上する。
【0018】
第1パターン電極のピッチ間隔は、一定であってもよい。
【0019】
そうすると、周縁部の感度を一定に保ったまま、与えられた荷重に対して位置の検出精度が向上する。
【0020】
第2パターン電極のピッチ間隔は、一定であってもよい。そうすると、周縁部の感度を一定に保ったまま、与えられた荷重に対して位置の検出精度が向上する。
【0021】
第1パターン電極は、凸部分と凹部分からなる凹凸形状を有し、第1パターン電極のピッチ間隔は、入力手段が前記圧電センサと接触したときに形成される接触面の短径の長さより短く設計されていてもよい。さらに、第1パターン電極の隣接する電極間は、上記凸部分と凹部分とが噛み合うように構成されていてもよい。
【0022】
そうすると、圧電センサと入力手段とが接触したときに、第1パターン電極と入力手段との接触個数が増える。その結果、上記の場合よりも高い精度で荷重のかかった位置と荷重量を検出できる。
【0023】
第2パターン電極は、凸部分と凹部分からなる凹凸形状を有し、第2パターン電極のピッチ間隔は、入力手段が前記圧電センサと接触したときに形成される接触面の短径の長さより短く設計されていてもよい。さらに、第2パターン電極の隣接する電極間は、上記凸部分と凹部分とが噛み合うように構成されていてもよい。
【0024】
そうすると、圧電センサと入力手段とが接触したときに、第2パターン電極と入力手段との接触個数が増える。その結果、上記の場合よりも高い精度で荷重のかかった位置と荷重量を検出できる。
【0025】
圧電層は、活性圧電部と不活性圧電部を有し、活性圧電部の上には第1パターン電極が積層されていてもよい。そうすると、クロストーク現象の発生を防止できる。その結果、圧電センサにかかった位置と荷重の検出精度が向上する。
【0026】
圧電層は、活性圧電部と不活性圧電部を有し、活性圧電部の上には第2パターン電極が積層されていてもよい。
【0027】
そうすると、クロストーク現象の発生を防止できる。その結果、圧電センサの位置検出精度が向上する。
【0028】
上部電極は、酸化インジウム錫、またはポリエチルジオキソチオフェンを含んでいてもよい。
【0029】
そうすると、上部電極の透明性が高くなるので、液晶や有機ELなどの表示装置の上に圧電センサを配置できる。
【0030】
下部電極は、酸化インジウム錫、またはポリエチルジオキソチオフェンを含んでいてもよい。
【0031】
そうすると、下部電極の透明性が高くなるので、液晶や有機ELなどの表示装置の上に圧電センサを配置できる。
【0032】
圧電層は、有機圧電材料から構成されていてもよい。
【0033】
そうすると、圧電層の柔軟性が大きくなるので、圧電センサの耐屈曲性が向上する。その結果、上記圧電センサをR曲面などに配置できる。
【0034】
有機圧電材料は、ポリフッ化ビニリデンまたはポリ乳酸を含んでいてもよい。
【0035】
そうすると、圧電層の透明性が高くなるので、液晶や有機ELなどの表示装置の上に圧電センサを配置できる。
【0036】
圧電層は、無機材料から構成されていてもよい。
【0037】
そうすると、圧電層の圧電定数が大きくなるため力を検出する検出感度が向上する。
【0038】
圧力検出装置は、圧電センサとタッチパネルを備えていてもよい。
【0039】
そうすると、圧電センサに対し荷重がほとんどかからないような場合でも、荷重の位置検出ができる。
【0040】
上記タッチパネルが静電容量型のタッチパネルであってもよい。そうすると、圧力検出装置全体の透明性が向上する。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る圧電センサでは、圧電センサ内で位置検出ができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】圧力検出装置の概念図である。
図2図1のA-A’断面図である。
図3】圧電センサの平面図である。
図4】圧電センサの平面図である。
図5】圧電センサの平面図である。
図6図5のB-B’断面図である。
図7】圧電センサの平面図である。
図8図7のC-C’断面図である。
図9】圧電センサの断面図である。
図10】圧電センサの断面図である。
図11】圧電センサの断面図である
図12】圧電センサと静電容量型タッチパネルを組合せた圧力検出装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
下記で、本発明に係る実施形態を図面に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本発明の実施例に記載した部位や部分の寸法、材質、形状、その相対位置などは、とくに特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。
【0044】
1. 第1実施形態
(1)圧力検出装置の全体構造
図1図2を用いて、本発明の第1実施形態に係る圧力検出装置の全体構造を説明する。図1は圧力検出装置の概略図である。図2は圧電センサの断面図である。
【0045】
圧力検出装置は、与えられた荷重の量と位置を検出する機能を有している。
図1に示すように、圧力検出装置1は、圧電センサ10と、検出部20と、制御部30を有している。圧電センサ10は、与えられた荷重に応じて電荷を発生させる装置である。検出部20は、圧電センサ10で発生した電荷を検出する装置である。制御部30は、圧電センサ10に設置されたスイッチSを制御する装置である。以下で、圧力検出装置1の構成を詳細に説明する。
【0046】
(2)圧電センサ
図2に示すように、圧電センサ10は、圧電層11が上部電極12と下部電極13に挟まれた構成からなる。上部電極12は圧電層11の上面に積層され、下部電極13は圧電層11の下面に積層されている。
【0047】
再び図1に示すように、上部電極12は、帯状の第1パターン電極14を備えている。なお、第1パターン電極14は、Y軸方向に複数配列されている。下部電極13も帯状の第2パターン電極15を備えている。第2パターン電極15は、X軸方向に複数配列されている。
【0048】
このような圧電センサ10に荷重がかかると、かかった荷重に応じた電荷が発生する。発生した電荷は、荷重がかかった付近に存在する第1パターン電極14や第2パターン電極15を経由して検出部20で検出される。このとき、検出部20で検出された電荷量を測定することにより圧電センサ10に与えられた荷重量を特定できる。なお、荷重位置については、検出部20で検出された電荷が、複数存在する第1パターン電極14と第2パターン電極15のうち、どの第1パターン電極14と第2パターン電極15を経由したかを制御部30で検出することにより、特定できる。
【0049】
上記では、第1パターン電極14が圧電層11のY軸方向に、第2パターン電極15がX軸方向に配列された例を示したが、第1パターン電極14と第2パターン電極15の配列位置は、入れ替わっていてもよい。
【0050】
(3)圧電層
圧電層11を構成する材料としては、無機圧電材料や有機圧電材料が挙げられる。
無機圧電材料としては、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムなどが挙げられる。
有機圧電材料としては、フッ化物重合体又はその共重合体、キラリティーを有する高分子材料などが挙げられる。フッ化物重合体又はその共重合体としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。キラリティーを有する高分子材料としては、L型ポリ乳酸や、R型ポリ乳酸などが挙げられる。
【0051】
また、圧力検出装置1を、タッチパネルを備えた表示装置に適用する場合には、圧電部を透明な材料により構成するか、又は、光が十分に透過できる程度に薄く構成することが好ましい。
【0052】
(4)電極
上部電極12、下部電極13は、導電性を有する材料により構成できる。導電性を有する材料としては、インジウム−スズ酸化物(Indium−Tin−Oxide、ITO)、スズ−亜鉛酸化物(Tin−Zinc−Oxide、TZO)などのような透明導電酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン(Polyethylenedioxythiophene、PEDOT)などの導電性高分子、などを用いることができる。この場合、上記の電極は、蒸着やスクリーン印刷などを用いて形成できる。
【0053】
また、導電性を有する材料として、銅、銀などの導電性の金属を用いてもよい。この場合、上記の電極は、蒸着により形成してもよく、銅ペースト、銀ペーストなどの金属ペーストを用いて形成してもよい。
【0054】
さらに、導電性を有する材料として、バインダー中に、カーボンナノチューブ、金属粒子、金属ナノファイバーなどの導電材料が分散したものを用いてもよい。
【0055】
(5)検出部
図1に示すように、検出部20は2つの入力を有している。1つの入力は、上部電極12に接続されている。もう1つの入力は、下部電極13に接続されている。
以上の構成により、検出部20は、圧電層11が押圧されたときに、上部電極12と下部電極13との間(すなわち、圧電層11の両主面間)に発生する電荷を検出できる。なお、検出部20は、ADコンバータとアンプを組み合わせた検出機器を用いることができる。
【0056】
(6)制御部
制御部30は、上部電極12と検出部20を接続するスイッチS、および下部電極13と検出部20を接続するスイッチSに接続されている。制御部30は、上記スイッチSについて、ON-OFFの切替信号を出力できる機能を備えている。
【0057】
制御部30は、例えば、圧力検出装置1のドライブシステムに含めることができる。当該ドライブシステムは、CPU(Central Processing Unit)、記憶部、及び圧電センサをドライブするためのインターフェースなどを備えたマイコンであってもよい。又は、当該ドライブシステムは、カスタムICなどにより1つのICに集約されていてもよい。
【0058】
また、制御部30の上記機能は、上記マイコンやカスタムICなどの記憶部に記憶されたプログラムを、CPUやカスタムICなどに実行させることにより実現してもよい。
【0059】
上記のように、圧力検出装置1を構成すると、検出部20や制御部30を用いて上部電極12と下部電極13の間で発生した電荷を検出できる。そうすると、検出した電荷から荷重のかかった位置と量を計算することができる。荷重のかかった箇所が複数に及んだ場合も同様に、各箇所の位置と荷重のかかった量を検出できる。すなわち、圧力検出装置1は、マルチフォース検出が可能となる。
【0060】
2.第2実施形態
第1実施形態では、第1パターン電極14や第2パターン電極15の幅方向の長さは一定であったが、上記長さは圧電層11の周縁部に近づくにつれて、長くなるように構成されていてもよい。
【0061】
図3は、第2実施形態にかかる圧電センサの平面図である。
【0062】
図3に示すように、圧電センサ10の周縁部上には、圧電センサ10を固定するための固定部材Wが設けられている。固定部材Wは、接着材料や固定枠である。かかる場合、圧電センサ10の周縁部に近づくにつれて、電極幅が広くなる第1パターン電極14が配置されていてもよい。これは、第2パターン電極15についても同様である。
【0063】
圧電センサ10を固定部材Wなどで固定すると、感圧センサ10に荷重が与えられたとき、固定部材Wが設けられた箇所、またはその付近の箇所には、撓みの力が伝わりにくくなる。そのため、上記のような箇所において荷重の検出は困難となる。
第2実施形態では、固定部材Wが設けられた箇所に近づくにつれて、電極幅の広い電極を配置し、物理的な検出感度を向上させることで、荷重の検出が難しい固定部材W付近の検出を可能にしている。
【0064】
また、第1パターン電極14は、第1パターン電極14のピッチ間隔Lが一定になるよう圧電層11の上に配列されている。なお、第2パターン電極15も、第2パターン電極15のピッチ間隔lが一定になるよう圧電層11の下に配列されている。このように構成すると、第1パターン電極14や第2パターン電極15が、圧電層11の上に等間隔に配列されるので、上記に加え正確な位置検出が可能となる。
【0065】
3.第3実施形態
第1パターン電極14と第2パターン電極15は、圧電層11を介して重なり部分があればよいので、第1パターン電極14と第2パターン電極15の形状は、帯状には特に限定されない。以下、電極の形状について説明する。
【0066】
図4は、第3実施形態にかかる圧電センサの平面図である。
【0067】
図4に示すように、第1パターン電極14は、凹凸形状を有している。この凹凸形状は、凸部分と凹部分の繰返し形状からなる。凸部分と凹部分は、隣接する第1パターン電極14どうしの間で噛み合うように配列されている。
【0068】
なお、第1パターン電極14のピッチ長さLは、入力手段(例えば、指やスタイラスペン)と圧力センサ10が接触した場合、その接触面の短径の長さよりも短くなるように設計されている。入力手段が指の場合、凸部分のピッチ長さLは、1mm〜16mmであり、スタイラスペンの場合、0.5mm〜4mmである。
【0069】
そうすると、入力手段と圧力センサが接触したとき、第1パターン電極14の形状が帯状である場合と比べて、入力手段はより多くの第1パターン電極14と接触する。その結果、上記の場合より、より正確な位置検出と荷重検出が可能となる。
【0070】
なお、上記の場合において、第2パターン電極15は、第1パターン電極14の形状に沿うように圧電層11を介して第1パターン電極14の下に配置されていてもよい。
【0071】
上記のように構成されていると、入力手段と圧力センサ10が接触した場合、入力手段がより多くの第1パターン電極14や第2パターン電極15と接触する。そのため、より正確な位置検出と荷重検出が可能となる。
【0072】
4.第4実施形態
第1パターン電極14と第2パターン電極15の他のパターン形状について、以下で説明する。
【0073】
図5は、第4実施形態にかかる圧電センサの平面図である。図6は、図5のB-B’断面図である。
【0074】
図5に示すように、第1パターン電極14は、X軸方向に複数配置される第1電極部16と、第1電極部16どうしを電気的に接続する第1接続部17を備えている。
第2パターン電極15は、Y軸方向に複数配置される第2電極部18(図5:ひし形点線部分)と、第2電極部18どうしを電気的に接続する第2接続部19(図5:点線部分)を備えている。なお、第1電極部16と第1電極部18の形状は、図5ではひし形形状で示したが、三角形や四角形などの多角形状や、円や楕円形状であってもよい。
【0075】
また、図5図6に示すように、第1電極部16は、第2電極部18の形状に沿うように圧電層11の上に積層されている。そうすると、第1電極部16に入力手段(例えば、指やスタイラスペン)が接触した場合、圧電層11で発生した電荷が第1電極部16と第2電極部18を介して検出器20で検出される。接触した位置の検出については、検出された電荷が、どの第1パターン電極14と第2パターン電極15を経由してきたかを制御部20で検出することで特定できる。荷重量については、検出部20で検出された電荷量を特定すること検出できる。
【0076】
5.第5実施形態
第1パターン電極14と第2パターン電極15の積層方法は、第1電極部16が第2電極部18の形状に沿うように圧電層11の上に積層する場合に限定されない。以下で、他の配列方法について説明する。
【0077】
図7は、第5実施形態にかかる圧電センサの平面図である。図8は、図7のC-C’断面図である。
【0078】
図7に示すように、第1電極部16は、複数の第2電極部18に跨って圧電層11上に積層されている。上記のように構成することで、第1電極部16と第2電極部18の重なり部分の個数が、第4実施形態の場合と比べて増加する。その結果、入力手段が圧電センサ10に接触した場合の位置検出精度と荷重検出精度が向上する。
【0079】
6.第6実施形態
上部電極12や下部電極13だけでなく、圧電層11は活性な部分と不活性な部分を有するようにパターニングされていてもよい。
【0080】
図9図10は、第6実施形態にかかる圧電センサの断面図である。
【0081】
図9に示すように、圧電層11は、活性圧電部110と不活性圧電部111からなる。
活性圧電部110は、圧電センサ10に荷重が与えられたときに電荷が発生する部分である。反対に不活性圧電部111は、荷重が与えられても電荷が発生しない部分である。
【0082】
図9の例では、第1パターン電極14は、活性圧電部110の上に積層され、第2パターン電極15は、活性圧電部110と不活性圧電部111の下に積層されている。このように構成されていると、第1パターン電極14付近で発生した電荷が漏れて、他の第1パターン電極14に混入するのを防止できる(クロストーク現象を防止できる)。その結果、位置検出精度と荷重検出精度が向上する。
【0083】
なお、図10で示すように、第2パターン電極15が、活性圧電部110の下に積層され、第1パターン電極14が、活性圧電部110と不活性圧電部111の上に積層されていてもよい。また上記では、活性圧電部110の上に第1パターン電極14や第2パターン電極15が直接積層された例を示したが、活性圧電部110と第1パターン電極14の間、または活性圧電部110と第2パターン電極15の間には、接着剤やフィルムなどの絶縁材料が積層されていてもよい。
【0084】
7.第7実施形態
上記では、上部電極12と下部電極13に圧電層11が挟まれた構成について説明してきたが、上部電極12と下部電極13の間に基準電極40が設けられていてもよい。
【0085】
図11は、第6実施形態にかかる圧電センサの断面図である。
【0086】
図11に示すように、第7実施形態の圧電センサ10は、上部電極12と下部電極13の間に基準電極40が設けられている。上部電極12と基準電極40の間には、第1圧電層11aが設けられている。下部電極13と基準電極40の間には、第2圧電層11bが設けられている。第1圧電層11aと第2圧電層11bの材質は、圧電層11と同じである。基準電極40の材質も、上部電極12や下部電極13と同じである。
このように、上部電極12と下部電極13との間に基準電極40が設けられると、第1圧電層11aや第2圧電層11bで発生した電荷を上部電極12と下部電極13とで独立して検出できる。その結果、検出回路の設計が簡易になる。
【0087】
8.その他の実施形態
上記では、与えられた荷重の位置と量を圧電センサ10で検出する例を示した。しかし、図12に示すように、圧電センサ10の上にタッチパネル50を積層することで、与えられた荷重の位置と量を検出してもよい。
圧電センサ10の上にタッチパネル50を積層することにより、与えられた荷重が圧電センサ10で検出できないほど小さい場合(フェザータッチの場合)でも、圧電センサ10の上にタッチパネル50を積層することで、与えられた荷重の位置を検出できる。なお、タッチパネルの中でも、静電容量型タッチパネルを用いることが特に好ましい。
【符号の説明】
【0088】
1:圧力検出装置
10:圧電センサ
11:圧電層
11a :第1圧電層
11b:第2圧電層
12:上部電極
13:下部電極
14:第1パターン電極
15:第2パターン電極
16:第1電極部
17:第1接続部
18:第1電極部
19:第2接続部
20:検出部
30:制御部
40:基準電極
50:静電容量型タッチパネル
110:活性圧電部
111:不活性圧電部
S:スイッチ
L:第1パターン電極のピッチ間隔
l:第2パターン電極のピッチ間隔
W:固定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12