(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のポリウレタン樹脂は、数平均分子量(以下、Mnと略記)が500以上の高分子ジオール成分(a1)及び化学式量又はMnが500未満の鎖伸長剤(a2)を含有する活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させて得られる。
【0009】
弾性回復率、残留歪率及び伸びのいずれの伸縮特性にも優れるポリウレタン樹脂を得るためには、以下の条件(1)又は(2)を満たす必要がある。
(1)前記高分子ジオール成分(a1)の融点が10℃以下であり、(a1)の40℃における粘度が700〜10,000mPa・sであり、ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度とウレア基濃度の和がポリウレタン樹脂の重量を基準として1.75〜2.2mmol/gである。
(2)前記高分子ジオール成分(a1)の融点が10℃以下であり、(a1)の40℃における粘度が3,000〜10,000mPa・sであり、ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度とウレア基濃度の和がポリウレタン樹脂の重量を基準として1.5〜1.75mmol/gである。
【0010】
前記条件(1)及び(2)のいずれにおいても、高分子ジオール成分(a1)の融点の上限は弾性回復率の観点から10℃である必要があり、好ましくは5℃以下、更に好ましくは0℃以下であり、下限は−90℃であることが好ましい。
【0011】
(a1)の融点は、TA Instruments社製DSC Q20を使用して以下の方法により算出される。
(1)測定条件
サンプルを室温から100℃まで20℃/分のスピードで昇温し、−100℃まで90℃/分のスピードで冷却し、更に100℃まで20℃/分のスピードで昇温する。
(2)融点の算出方法
−80℃から100℃まで昇温するときのDSC曲線における融解による吸熱開始前のベースラインの延長線と、吸熱ピーク上の吸熱開始から吸熱のピークトップまでにおける変曲点を通過する接線との交点の温度を融点とする。
【0012】
本発明における高分子ジオール成分(a1)の融点及び粘度は、高分子ジオール成分(a1)が2種以上の高分子ジオールからなる場合、用いる高分子ジオールを用いる重量比で混合した混合物の融点及び粘度を意味する。
【0013】
前記条件(1)及び(2)のいずれにおいても、高分子ジオール成分(a1)の粘度が前記範囲の下限未満では伸びが低下し、前記範囲の上限を超えると残留歪率が低下する。また、条件(1)及び(2)のいずれにおいても、ウレタン基濃度とウレア基濃度の和が前記範囲の下限未満では弾性回復率が低下し、前記範囲の上限を超えると残留歪率が増加し、また、伸びが低下する。
【0014】
ウレタン基濃度とウレア基濃度の和は、前記条件(1)においては更に1.85〜2.1mmol/gであることが、前記条件(2)においては更に1.55〜1.7mmol/gであることが好ましい。
【0015】
前記条件(1)及び(2)の内、弾性回復率、残留歪率及び伸び等の伸縮特性の観点から、前記条件(1)を満たすことが好ましく、更にその粘度範囲は1,000〜5,000mPa・sであることが好ましい。
【0016】
本発明において高分子ジオール成分(a1)の40℃における粘度はBL型回転粘度計により測定され、ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度とウレア基濃度の和は
1H−NMR分析又は活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)の仕込み量から算出される。
【0017】
Mnが500以上の高分子ジオール成分(a1)としては、ポリエーテルジオール(a11)、ポリエステルジオール(a12)及びポリエーテルエステルジオール(a13)等が挙げられる。
【0018】
Mnが500以上のポリエーテルジオール(a11)としては、炭素数2〜20の2価アルコールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールS及びビスフェノールF等)のAO付加物及びジヒドロキシナフタレンのAO付加物等が挙げられる。
【0019】
炭素数2〜20の2価アルコールとしては、炭素数2〜12の脂肪族2価アルコール[エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール及びジエチレングリコール等の直鎖アルコール;1,2−、1,3−又は2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,7−ヘプタンジオール、3−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,8−オクタンジオール及び4−メチルオクタンジオール等の分岐アルコール];炭素数6〜20の脂環式2価アルコール[1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等];炭素数8〜20の芳香環含有2価アルコール[m−又はp−キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等];等が挙げられる。2価アルコールは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
2価アルコールに付加するAOとしては、炭素数2〜12のAO[エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド、1,2−,1,3−又は2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記)、3−メチルテトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド及びエピクロルヒドリン等]が挙げられる。
【0021】
AOは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。AOを2種以上併用する場合、炭素数2〜20の2価アルコール等への結合順序は任意であり、その結合形式はランダム形式でもブロック形式でもこれらの併用でもよい。
【0022】
ポリエーテルジオール(a11)の内、弾性回復率の観点から好ましいのは、一般式(1)で表される基及び/又はオキシ−1,2−プロピレン基を有するポリエーテルジオール(a111)並びにポリオキシテトラメチレングリコールである。
【0024】
一般式(1)におけるR
1はメチル基又はエチル基であり、ポリエーテルジオール(a111)中にR
1が複数個有る場合はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R
1として弾性回復率の観点から好ましいのはメチル基である。
一般式(1)におけるaは0又は1である。
【0025】
一般式(1)で表される基及び/又はオキシ−1,2−プロピレン基を有するポリエーテルジオール(a111)は、炭素数2〜20の2価アルコール等に付加するAOの少なくとも一部に、一般式(1)において末端のメチレン基と酸素原子が結合したAO及び/又は1,2−プロピレンオキサイドを用いることにより得られる。
【0026】
ポリエーテルジオール(a111)における全オキシアルキレン単位中の一般式(1)で表される基の量は、伸縮特性の観点から、好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、オキシ−1,2−プロピレン基の量は、伸縮特性の観点から、好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上である。
【0027】
ポリエーテルジオール(a111)は、構成単位として更にオキシ−1,4−ブチレン基を含有することができる。オキシ−1,4−ブチレン基を含有することにより、引張強度が向上する。
【0028】
ポリエーテルジオール(a111)における全オキシアルキレン単位中のオキシ−1,4−ブチレン基の量は、引張強度の観点から、好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上である。
【0029】
炭素数2〜20の2価アルコール等に付加するAOにTHFを併用することにより、ポリエーテルジオール(a111)にオキシ−1,4−ブチレン基を導入することができる。
【0030】
ポリエーテルジオール(a111)の内、得られるポリウレタン樹脂の伸縮特性の観点から好ましいのは、オキシアルキレン基が一般式(1)で表される基及びオキシ−1,2−プロピレン基からなるポリエーテルジオール;オキシアルキレン基が一般式(1)で表される基及びオキシ−1,4−ブチレン基からなるポリエーテルジオール;オキシアルキレン基が一般式(1)で表される基、オキシ−1,2−プロピレン基及びオキシ−1,4−ブチレン基からなるポリエーテルジオール;オキシアルキレン基がオキシ−1,2−プロピレン基及びオキシ−1,4−ブチレン基からなるポリエーテルジオール;並びにオキシアルキレン基がオキシ−1,2−プロピレン基のみからなるポリエーテルジオールである。
【0031】
オキシアルキレン基が一般式(1)で表される基及びオキシ−1,2−プロピレン基からなるポリエーテルジオールにおける全オキシアルキレン単位中の一般式(1)で表される基の量は、伸縮特性の観点から、好ましくは5〜95モル%、更に好ましくは10〜70モル%であり、オキシ−1,2−プロピレン基の量は、伸縮特性の観点から、好ましくは5〜95モル%、更に好ましくは30〜90モル%である。
【0032】
オキシアルキレン基が一般式(1)で表される基及びオキシ−1,4−ブチレン基からなるポリエーテルジオールにおける全オキシアルキレン単位中の一般式(1)で表される基の量は、伸縮特性の観点から、好ましくは5〜95モル%、更に好ましくは5〜70モル%であり、オキシ−1,4−ブチレン基の量は、引張強度の観点から、好ましくは5〜95モル%、更に好ましくは30〜95モル%である。
【0033】
オキシアルキレン基が一般式(1)で表される基、オキシ−1,2−プロピレン基及びオキシ−1,4−ブチレン基からなるポリエーテルジオールにおける全オキシアルキレン単位中の一般式(1)で表される基の量は、伸縮特性の観点から、好ましくは5〜50モル%、更に好ましくは5〜30モル%であり、オキシ−1,2−プロピレン基の量は、伸縮特性の観点から、好ましくは5〜90モル%、更に好ましくは10〜80モル%であり、オキシ−1,4−ブチレン基の量は、引張強度の観点から、好ましくは5〜90モル%、更に好ましくは10〜80モル%である。
【0034】
オキシアルキレン基がオキシ−1,2−プロピレン基及びオキシ−1,4−ブチレン基からなるポリエーテルジオールにおける全オキシアルキレン単位中のオキシ−1,2−プロピレン基の量は、伸縮特性の観点から、好ましくは10〜90モル%、更に好ましくは20〜80モル%であり、オキシ−1,4−ブチレン基の量は、引張強度の観点から、好ましくは10〜90モル%、更に好ましくは20〜80モル%である。
【0035】
一般式(1)で表される基及び/又はオキシ−1,2−プロピレン基を有するポリエーテルジオール(a111)を使用する場合、高分子ジオール成分(a1)の重量を基準として、10〜100重量%の範囲で(a111)を用いることが好ましい。
【0036】
ポリエーテルジオール(a11)を製造する際に酸素原子が2級炭素に結合するAO(1,2−プロピレンオキサイド等)を用いると通常2級炭素に結合した水酸基が生成するが、伸縮特性の観点から、(a11)が有する水酸基は1級炭素に結合した水酸基であることが好ましい。
【0037】
ポリエーテルジオール(a11)が有する水酸基の合計数に対する1級炭素に結合した水酸基の数の割合(X)は、伸縮特性の観点から40%以上であることが好ましく、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは80%以上であり、最も好ましくは90%以上である。
【0038】
ポリエーテルジオール(a11)の製造に、酸素原子が2級炭素に結合するAO(1,2−プロピレンオキサイド等)を用いるとその量によっては、(a1)が有する水酸基の合計数に対する1級炭素に結合した水酸基の数の割合(X)が小さくなり、(X)を所望の範囲とすることができなくなる場合がある。このような場合は、AOの付加反応を酸触媒[好ましくはルイス酸触媒、更に好ましくはホウ素含有ルイス酸、特に好ましくは3フッ化ホウ素及び/又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン]の存在下で行うか、得られた(X)の小さいポリエーテルジオールに更に酸素原子が1級炭素にのみ結合するAO(エチレンオキサイド及びTHF等)を付加反応することにより、(X)の値を調整することができる。
【0039】
本発明において、(a11)が有する水酸基の合計数に対する1級炭素に結合した水酸基の数の割合(X)は以下の方法により算出される。
【0040】
(1)試料の調製
測定試料約30mgを直径5mmの
1H−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加してエステル化し、分析用試料とする。前記重水素化溶媒としては、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド及び重水素化ジメチルホルムアミド等が挙げられ、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択する。
(2)NMR測定
通常の条件で
1H−NMR測定を行う。
(3)1級炭素に結合した水酸基の割合(X)の計算方法
試料中の水酸基は、添加した無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなる。その結果、重水素化クロロホルムを溶媒として使用した場合、1級炭素に結合した水酸基に結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級炭素に結合した水酸基に結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測される。(a11)が有する水酸基の合計数に対する1級炭素に結合した水酸基の数の割合(X)を次の計算式により算出する。
X(%)=[a/(a+2×b)]×100
但し、式中、aは4.3ppm付近の1級炭素に結合した水酸基に結合したメチレン基由来の信号の積分値、bは5.2ppm付近の2級炭素に結合した水酸基に結合したメチン基由来の信号の積分値である。
【0041】
本発明におけるポリエーテルジオール(a11)は、AOの付加反応後、触媒残渣を除去してから用いることが好ましい。触媒残渣の除去方法は、通常用いられる方法でよく、吸着剤を使用してろ過により除去する方法等が例示できる。
【0042】
Mnが500以上のポリエステルジオール(a12)としては、脱水縮合型ポリエステルジオール(a121)、ポリラクトンジオール(a122)及びポリカーボネートジオール(a123)等が挙げられる。
【0043】
脱水縮合型ポリエステルジオール(a121)としては、化学式量又はMnが500未満の低分子ジオールとジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級(炭素数1〜4)アルキルエステル及び酸ハライド等]との縮合により得られるもの等が挙げられる。
【0044】
化学式量又はMnが500未満の低分子ジオールとしては、前記炭素数2〜20の2価アルコール、ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールS及びビスフェノールF等)のAO付加物(Mn500未満)、ジヒドロキシナフタレンのAO付加物(Mn500未満)及びビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート等が挙げられる。
【0045】
化学式量又はMnが500未満の低分子ジオールの内でポリウレタン樹脂の引張強度の観点から好ましいものは、炭素数2〜12の脂肪族2価アルコールである。化学式量又はMnが500未満の低分子ジオールは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0046】
ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、炭素数4〜15の脂肪族ジカルボン酸[コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸及びフマル酸等]、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸[テレフタル酸及びイソフタル酸等]及びこれらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキルエステル(ジメチルエステル、ジエチルエステル等)、酸ハライド(酸クロライド等)等]等が挙げられる。これらの内で好ましいものは脂肪族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体である。ジカルボン酸は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0047】
ポリラクトンジオール(a122)としては、前記炭素数2〜20の2価アルコールを開始剤としてラクトンモノマー(γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン及びこれらの2種以上の混合物等)を開環重合したもの等が挙げられる。
【0048】
ポリカーボネートジオール(a123)としては前記炭素数2〜12の脂肪族2価アルコール(好ましくは炭素数3〜8、更に好ましくは炭素数4〜6の脂肪族2価アルコール)の1種又は2種以上と、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)から、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートジオールが挙げられる。
【0049】
(a123)の製造に用いる炭素数2〜12の脂肪族2価アルコールの内、ポリウレタン樹脂の伸縮特性の観点から好ましいのは、直鎖のものでは1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,9−ノナンジオール、分岐のものでは3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び2−メチル−1,8−オクタンジオールである。
【0050】
ポリカーボネートジオール(a123)には、結晶性のポリカーボネートジオールと非晶性のポリカーボネートジオールが含まれ、結晶性のポリカーボネートジオールの市販品としては「デュラノール T6002」[旭化成ケミカルズ(株)製]、「ETERNACOLL UH−200」[宇部興産(株)製]、「ニッポラン−980R」[日本ポリウレタン(株)製]及び「プラクセルCD220」[ダイセル(株)製]等が挙げられ、非晶性ポリカーボネートジオールの市販品としては「PCDL G4672」[旭化成ケミカルズ(株)製]、「PCDL T5652」[旭化成ケミカルズ(株)製]及び「クラレポリオールC−2090」[クラレ(株)製]等が挙げられる。
【0051】
Mnが500以上のポリエーテルエステルジオール(a13)としては、前記ポリエーテルジオール(a1)の1種以上と前記脱水縮合型ポリエステルジオールの原料として例示したジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体の1種以上とを縮重合させて得られるもの等が挙げられる。
【0052】
高分子ジオール成分(a1)としてポリウレタン樹脂の伸縮特性の観点から好ましいのは、(a11)、(a12)及びこれらの混合物であり、更に好ましいのは(a11)及び(a11)と(a12)との混合物である。
【0053】
(a11)、(a12)及び(a13)のMnは、伸度の観点から、通常500以上、好ましくは700以上、更に好ましくは1000以上であり、強度の観点から、好ましくは5000以下、更に好ましくは4500以下、特に好ましくは4000以下である。本発明における活性水素成分(A)の各成分のMnは水酸基価より求めることができる。尚、水酸基価はJIS K 0070−1992(電位差適定方法)に規定された方法で測定する。
【0054】
鎖伸長剤(a2)としては、前記脱水縮合型ポリエステルジオール(a121)の原料として例示した化学式量又はMnが500未満の低分子ジオール、水、炭素数2〜10のジアミン(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン及びピペラジン)、ポリ(n=2〜6)アルキレン(炭素数2〜6)ポリ(n=3〜7)アミン(例えばジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン)、ヒドラジン又はその誘導体(例えばアジピン酸ジヒドラジド等の二塩基酸ジヒドラジド)及び炭素数2〜10のアミノアルコール類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。
【0055】
これらの内で、ポリウレタン樹脂の残留歪率、引張強度及び伸びの観点から好ましいのは炭素数2〜12の脂肪族2価アルコール及び炭素数2〜10のアミノアルコール類であり、更に好ましいのはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオール及びエタノールアミンであり、特に好ましいのはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及びエタノールアミンである。
【0056】
鎖伸長剤(a2)の使用量は、ポリウレタン樹脂の耐熱性、引張強度及び残留歪率の観点から、高分子ジオール成分(a1)の当量の0.1〜10倍の当量であることが好ましい。
【0057】
活性水素成分(A)は、更に反応停止剤(a3)を含有することができる。反応停止剤(a3)としては炭素数1〜8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、セロソルブ類及びカルビトール類等)及び炭素数1〜10のモノアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、モノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。
【0058】
活性水素成分(A)の各成分(a1)〜(a3)はそれぞれ1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0059】
有機ポリイソシアネート成分(B)としては、従来ポリウレタン製造に使用されているものが使用でき、具体的には炭素数8〜26の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜22の鎖状脂肪族ジイソシアネート、炭素数8〜18の脂環式ジイソシアネート、炭素数10〜18の芳香脂肪族ジイソシアネート及びこれらのジイソシアネートの変性体(カーボジイミド変性体、ウレタン変性体及びウレトジオン変性体等)等が挙げられる。
【0060】
炭素数8〜26の芳香族ジイソシアネートの具体例としては、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン及び1,5−ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0061】
炭素数4〜22の鎖状脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート及びビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート等が挙げられる。
【0062】
炭素数8〜18の脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート及び2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0063】
炭素数10〜18の芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0064】
これらの内、ポリウレタン樹脂の引張強度向上の観点から、炭素数8〜26の芳香族ジイソシアネートが好ましく、特に好ましいものはMDIである。
有機ポリイソシアネート成分(B)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0065】
本発明のポリウレタン樹脂のMnは、引張強度の観点から、好ましくは40,000〜400,000、更に好ましくは45,000〜200,000である。
【0066】
ポリウレタン樹脂のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:「Guardcolumn α」(1本)、「TSKgel α−M」(1本)[いずれも東ソー(株)製]
試料溶液:0.125重量%のジメチルホルムアミド溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン
【0067】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は特に限定されないが、ウレタンプレポリマーと好ましくは溶剤を静止型混合機で連続的にライン混合し、更に瞬間混合機でこの溶剤希釈ウレタンプレポリマーと鎖伸長剤とを瞬間混合して反応させる方法やバッチ式反応槽に(A)、(B)及び必要により溶剤を一括して仕込み加熱反応させる方法等が挙げられる。
ウレタンプレポリマーの製造方法は特に限定されないが、例えば無溶剤下、ニーダー中で(A)及び(B)を混合、加熱反応させる方法や攪拌機付きバッチ式反応槽中で溶剤の存在下又は非存在下に、(A)及び(B)を混合、加熱反応させる方法が挙げられる。
【0068】
本発明の製造方法においては、その任意の製造工程において有機溶剤を使用することができる。有機溶剤としては特に限定されず、例えば炭素数3〜10のケトン系溶剤(例えばアセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン)、炭素数2〜10のエステル系溶剤(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル及びγ−ブチロラクトン)、炭素数4〜10のエーテル系溶剤(例えばTHF及びジエチレングリコールジメチルエーテル)、炭素数3〜10のアミド系溶剤[例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMACと略記)、N−メチル−2−ピロリドン及びN−メチルカプロラクタム]、炭素数2〜10のスルホキシド系溶剤(例えばジメチルスルホキシド)、炭素数1〜8のアルコール系溶剤(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びオクタノール)及び炭素数4〜10の炭化水素系溶剤(例えばn−ブタン、シクロヘキサン、トルエン及びキシレン)が挙げられる。
【0069】
これらの内、ポリウレタン樹脂の引張強度及び残留歪率の観点から好ましいのは炭素数3〜10のアミド系溶剤及び炭素数2〜10のスルホキシド系溶剤であり、更に好ましいのは炭素数3〜10のアミド系溶剤、特に好ましいのはDMACである。
【0070】
有機溶剤を使用する場合、その使用量は樹脂濃度が10〜90重量%となる量が好ましく、更に好ましくは30〜80重量%となる量である。
【0071】
また、ポリウレタン樹脂の製造に際し、反応促進のため必要により通常ポリウレタンに用いられる触媒を含有することができる。触媒の具体例としては、例えば有機金属化合物[ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ビスマスカルボキシレート、ビスマスアルコキシド及びジカルボニル基を有する化合物とビスマスとのキレート化合物等]、無機金属化合物[酸化ビスマス、水酸化ビスマス、ハロゲン化ビスマス等];アミン[トリエチルアミン、トリエチレンジアミン及びジアザビシクロウンデセン等]及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0072】
更に、本発明のポリウレタン樹脂の製造方法における任意の工程で、顔料、安定剤及びその他の添加剤(融着防止剤及び難燃剤等)を添加することができる。
【0073】
顔料としては特に限定されず、公知の有機顔料及び/又は無機顔料を使用することができ、ポリウレタン樹脂に対して、通常0〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%配合する。有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料及びキナクリドン系顔料等が挙げられ、無機系顔料としては例えばクロム酸塩、フェロシアン化合物、金属酸化物、硫化セレン化合物、金属塩(硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩及び燐酸塩等)、金属粉末及びカーボンブラック等が挙げられる。
【0074】
安定剤としては特に限定されず公知の酸化防止剤及びは紫外線吸収剤を使用することができ、ポリウレタン樹脂に対して、通常0〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%配合される。
酸化防止剤としては、フェノール系[2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール及びブチル化ヒドロキシアニソール等];ビスフェノール系[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等];リン系[トリフェニルフォスファイト及びジフェニルイソデシルフォスファイト等]等が挙げられる。
【0075】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等];ベンゾトリアゾール系[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等];サリチル酸系[フェニルサリシレート等];ヒンダードアミン系[ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等]等が挙げられる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部を示す。
【0077】
製造例1
撹拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に、THF514.4部、3−メチルテトラヒドロフラン92.7部、三フッ化ホウ素THF錯体24.9部、フッ化水素酸10.9部及び無水酢酸42.6部を仕込み、反応温度を10〜30℃制御しながら、3時間反応させた。続いて48重量%の水酸化ナトリウム水溶液68.3部を加えて中和後分液操作を行い、三フッ化ホウ素THF錯体及びフッ化水素酸由来の触媒残渣と未反応のAOを除去した。続いて48重量%の水酸化ナトリウム水溶液50.3部を加え、90〜110℃で3時間撹拌後分液操作を行い、無水酢酸由来の触媒残渣を除去した。更にキョーワード600(協和化学社製合成ケイ酸塩系吸着剤)2.9部、キョーワード1000(協和化学社製ハイドロタルサイト系吸着剤)5.8部及び水17.2部を仕込み、70〜90℃で1時間触媒残渣を吸着処理し、保留粒子径5ミクロンのろ紙でろ過した後、脱水して淡黄色透明液状のポリエーテルジオール(a11−1)を得た。(a11−1)の水分含有率は0.03重量%、水酸基価は57.8mgKOH/g、(a11−1)が有する水酸基の合計数に対する1級炭素に結合した水酸基の数の割合(X)は100%であった。
【0078】
製造例2
THFの仕込み量を549.6部に、3−メチルテトラヒドロフランの仕込み量を99.1部に、三フッ化ホウ素THF錯体の仕込み量を19.3部に、フッ化水素酸の仕込み量を11.8部に、無水酢酸の仕込み量を39.0部に代える以外は製造例1と同様にして、淡黄色透明液状のポリエーテルジオール(a11−2)を得た。(a11−2)の水分含有率は0.03重量%、水酸基価は37.5mgKOH/g、(a11−2)が有する水酸基の合計数に対する1級炭素に結合した水酸基の数の割合(X)は100%であった。
【0079】
製造例3(a11−3)
撹拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に2−メチル−1,4−ブタンジオール26.5部、3−メチルテトラヒドロフラン487.2部及び三フッ化ホウ素THF錯体2.2部を仕込み、1,2−プロピレンオキサイド275部を、反応温度を45〜55℃に制御しながら、5時間かけて滴下した後、50℃で2時間熟成した。続いて48重量%の水酸化ナトリウム水溶液2.8部を加えて中和し、温度を70〜90℃に制御しながら、未反応のアルキレンオキサイドを減圧下で留去した。続いて、キョーワード600(協和化学社製合成ケイ酸塩系吸着剤)4.0部、キョーワード1000(協和化学社製ハイドロタルサイト系吸着剤)8.0部及び水23.9部を仕込み、70〜90℃で1時間触媒残渣を吸着処理し、保留粒子径5ミクロンのろ紙で触媒残渣をろ過した後、脱水して淡黄色透明液状のポリエーテルジオール(a11−3)を得た。(a11−3)の水分含有率は0.05重量%、水酸基価は59.3mgKOH/g、(a11−3)が有する水酸基の合計数に対する1級炭素に結合した水酸基の数の割合(X)は45%であった。
【0080】
製造例4(a11−4)
撹拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に、1,4−ブタンジオール36.0部、3−メチルテトラヒドロフラン63.5部、THF478.8部及び三フッ化ホウ素THF錯体2.8部を仕込み、1,2−プロピレンオキサイド357.2部を、反応温度を45〜55℃に制御しながら、5時間かけて滴下した後、50℃で2時間熟成した。続いて、製造例3における48重量%の水酸化ナトリウム水溶液による中和操作以降の操作と同様の操作を行い、淡黄色透明液状のポリエーテルジオール(a11−4)を得た。(a11−4)の水分含有率は0.04重量%、水酸基価は59.0mgKOH/g、(a11−4)が有する水酸基の合計数に対する1級炭素に結合した水酸基の数の割合(X)は45%であった。
【0081】
製造例5(a11−5)
撹拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に、1,4−ブタンジオール32.7部、THF482.2部及び三フッ化ホウ素THF錯体2.5部を仕込み、1,2−プロピレンオキサイド323.8部を、反応温度を45〜55℃に制御しながら、5時間かけて滴下した後、50℃で2時間熟成した。続いて、製造例3における48重量%の水酸化ナトリウム水溶液による中和操作以降の操作と同様の操作を行い、淡黄色透明液状のポリエーテルジオール(a11−5)を得た。(a11−5)の水分含有率は0.03重量%、水酸基価は58.4mgKOH/g、(a11−5)が有する水酸基の合計数に対する1級炭素に結合した水酸基の数の割合(X)は45%であった。
【0082】
実施例1〜12及び比較例1〜5
表1又は表2に記載の処方に基づいて、撹拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に高分子ジオール成分(a1)、鎖伸長剤(a2)、有機ポリイソシアネート成分(B)及び有機溶剤を仕込み、乾燥窒素雰囲気下70℃で10時間反応させた後、反応停止剤(a3)を加えて1時間末端停止反応を行い、実施例1〜12のウレタン樹脂溶液(P−1)〜(P−12)及び比較例1〜5のウレタン樹脂溶液(R−1)〜(R−5)を製造した。
【0083】
尚、表1及び表2における(a11)としてのPTMG2000は、三菱化学(株)製のMnが2,000のポリオキシテトラメチレングリコール(商品名:「PTMG2000」)を表し、PPG2000は、触媒としてパーフルオロトリスフェニルボランを使用して得られたMnが2,000で水酸基の合計数に対する1級炭素に結合した水酸基の数の割合(X)が70%であるポリ(オキシ−1,2−プロピレン)グリコールを表す。また、(a12)としてのサンエスター24625は三洋化成(株)製のMnが2500のポリエステルジオール(商品名:「サンエスター24625」を表し、G4672は旭化成ケミカルズ(株)製のMnが2,000のポリカーボネートジオール(商品名:「デュラノールG4672」)、PCL L220ALは(株)ダイセル製のMnが2,000のポリラクトンジオール(商品名:「プラクセル L220AL」)を表す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
実施例1〜12及び比較例1〜5で用いた高分子ジオール成分(a1)の粘度及び融点、実施例1〜12及び比較例1〜5で得られたポリウレタン樹脂溶液中のポリウレタン樹脂のウレタン基濃度とウレア基濃度の和、下記方法により測定したポリウレタン樹脂の切断時伸び、残留歪率及び弾性回復率の値を表3及び表4に示す。
【0087】
[1]フィルムの作製方法
ポリウレタン樹脂溶液を、離型処理したガラス板上に1.0mmの厚みで塗布し、70℃の循風乾燥機で3時間乾燥した後、ガラス板から剥がすことにより、厚さが約0.2mmのフィルムを作製した。
【0088】
[2]フィルムの伸びの測定方法
前記フィルムを温度25℃、湿度65%RHに調整した室内に1日間静置した後、JIS K 6251に準じて、切断時伸びを測定した。この値が大きい程、弾性繊維としての性質に優れている。尚、ダンベル状試験片の平行部分の厚さは200μm、平行部分の幅は5mm、初期の標線間距離は20mmである。
【0089】
[3]弾性回復率及び残留歪率の測定方法
前記フィルムから、縦100mm×横5mmの短冊状の試験片を切り出して標線間距離が50mmとなるように標線をつけた。この試験片をインストロン型引張り試験機(島津製作所製オートグラフ)のチャックにセットして、25℃の雰囲気下、500mm/分の一定速度で標線間の距離が300%になるまで伸長後、直ちに同じ速度で伸長前のチャック間の距離まで戻す操作を行った。この操作時の伸長過程における150%伸長時の応力(M
1)と戻り過程における150%伸長時の応力(M
2)を測定し、次式から弾性回復率を求めた。
弾性回復率(%)=M
2/M
1×100
また、前記操作後の標線間の距離(L
1)を測定してこの値と試験前の標線間の距離(L
0=50mm)を用いて下式から残留歪率(%)を求めた。
残留歪率(%)={(L
1−L
0)/L
0}×100
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】