(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797700
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】先端工具取付アダプタ
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20151001BHJP
B25F 1/02 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
H02G1/02
B25F1/02
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-155122(P2013-155122)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2015-27168(P2015-27168A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2014年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 裕之
【審査官】
北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−102629(JP,A)
【文献】
特開2009−278716(JP,A)
【文献】
特開2011−135625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
B25F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端工具の取付部に連結接続するヘッド部と、操作棒の先端部に連結接続するジョイント部とが一体に形成された先端工具取付アダプタであって、
前記ヘッド部は、先端工具の取付部を挿入可能とする間隙を間にあけて互いに平行に立設された対をなす支持プレートと、
それぞれの支持プレートに前記間隙に出没可能に設けられ、前記間隙に挿入された前記取付部の嵌合孔に挿着可能となる連結ロッドと、
それぞれの支持プレートに設けられ、前記支持プレートに押し込むことで前記連結ロッドを前記間隙から後退させる操作ロッドと、
を備え、
前記操作ロッドにその移動方向に沿ってラックが形成された第1ラック部を形成し、前記連結ロッドにその移動方向に沿ってラックが形成された第2ラック部を形成し、前記操作ロッドと前記連結ロッドとの間に前記第1ラック部と前記第2ラック部とに噛合するピニオンを設けて前記連結ロッドを後退させる動きを前記操作ロッドから前記ピニオンを介して供給し、
前記操作ロッドの前記支持プレートから外側に突出した端部と前記支持プレートとの間に、前記操作ロッドを前記支持プレートから外側に突出させる方向へ常時付勢する付勢部材を設け、この付勢部材の付勢力を前記第1のラック部及び前記ピニオンを介して前記第2のラックに伝達することにより前記連結ロッドを前記間隙へ突出させる方向へ常時付勢していることを特徴とする先端工具取付アダプタ。
【請求項2】
前記対をなす支持プレートに設けられたそれぞれの連結ロッドの先端部は、前記間隙に突出させた状態で前記連結ロッドの軸方向と垂直方向に互いに重なり合い、重なり合った部分で前記嵌合孔の断面形状を呈することを特徴とする請求項1記載の先端工具取付アダプタ
【請求項3】
前記嵌合孔の内周面と前記連結ロッドの先端部の外周面とには、互いに噛合する平目のローレットが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の先端工具取付アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端工具を絶縁操作棒に取り付けるために用いられる取付アダプタに関し、特に、先端工具をワンタッチで着脱させることが可能な先端工具取付アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧配電線の活線作業においては、充電部からの距離を保って作業を行う間接活線工法が採用されているが、このような間接活線工法においては、各種先端工具を絶縁操作棒の先端に取り付けるために、特許文献1及び2等に示される菊座アダプタが用いられる。
【0003】
この菊座アダプタ100は、
図6に示されるように、先端に円盤形状に形成されたヘッド部101が設けられ、基端に図示しない絶縁操作棒の先端部に連結接続するジョイント部102が設けられているもので、ヘッド部101には、中心に蝶ボルト103が螺合するネジ穴104が形成され、このネジ穴104を中心として放射状に突出する突起105が周方向に複数形成されている。
これに対して先端工具の取付部106には、菊座アダプタ100のヘッド部101と対面接続可能な円盤形状に形成された菊座部107を備え、この菊座部107には、先端から内方に向かって切り欠かれたU字形状の連結溝108と、この連結溝108の終端部を中心として放射状に突出する突起109が周方向に複数形成されている。
【0004】
そして、菊座アダプタ100のヘッド部101に先端工具の取付部106を取り付けるには、取付部106の突起109が形成された面をヘッド部101の突起105が形成された面に対峙させつつ連結溝108に蝶ボルト103を貫通させるように配置し、取付部106の菊座部107を先端工具の取付アダプタに対する取付け角度を調整しながら取付部106とヘッド部101とを互いの突起105,109を噛み合わせるように重ね合わせ、その状態で蝶ボルト103を締め付けることで先端工具を菊座アダプタ100に固定するようにしている(特許文献1、2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−021866号公報
【特許文献2】特開2010−011578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の先端工具取付アダプタによれば、先端工具の取り付け角度が悪かった場合には、蝶ボルト103を緩めて角度を調整し、しかる後に再び蝶ボルト103を締め付けなければならず、非常に手間が掛かると共に時間を要するものであった。
しかも従来の先端工具取付アダプタは、蝶ボルト103の操作だけで片手が専有されるため、取付アダプタとこれに取り付けられる先端工具を保持した状態で蝶ボルト103を回す作業は、両手で行う場合であっても、非常にやりにくいものであった。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、上述した不都合を解消し、先端工具の取付アダプタへの取り付け、取り外しをワンタッチで行うことができ、また、先端工具の取付アダプタへの着脱操作と取付アダプタ及び先端工具の保持操作とを同時に行う場合でも容易に行うことが可能な先端工具取付アダプタを提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明に係る先端工具取付アダプタは、先端工具の取付部に連結接続するヘッド部と、操作棒の先端部に連結接続するジョイント部とが一体に形成された先端工具取付アダプタであって、 前記ヘッド部は、先端工具の取付部を挿入可能とする間隙を間にあけて互いに平行に立設された対をなす支持プレートと、それぞれの支持プレートに前記間隙に出没可能に設けられ、前記間隙に挿入された前記取付部の嵌合孔に挿着可能となる連結ロッドと、それぞれの支持プレートに設けられ、前記支持プレートに押し込むことで前記連結ロッドを前記間隙から後退させる操作ロッドと、を備え、
前記操作ロッドにその移動方向に沿ってラックが形成された第1ラック部を形成し、前記連結ロッドにその移動方向に沿ってラックが形成された第2ラック部を形成し、前記操作ロッドと前記連結ロッドとの間に前記第1ラック部と前記第2ラック部とに噛合するピニオンを設けて前記連結ロッドを後退させる動きを前記操作ロッドから前記ピニオンを介して供給し、前記操作ロッドの前記支持プレートから外側に突出した端部と前記支持プレートとの間に、前記操作ロッドを前記支持プレートから外側に突出させる方向へ常時付勢する付勢部材を設け、この付勢部材の付勢力を前記第1のラック部及び前記ピニオンを介して前記第2のラックに伝達することにより前記連結ロッドを前記間隙へ突出させる方向へ常時付勢していることを特徴としている。
【0009】
したがって、操作ロッドを支持プレートに押し込んで連結ロッドを間隙から後退させることで、ヘッド部の間隙に操作ロッドを突出させない状態を形成し、その状態で先端工具の取付部をヘッド部の間隙に挿入し、取付部の嵌合孔と連結ロッドの位置とを整合させ、しかる後に操作ロッドを押し込む力を解除すれば、付勢部材により連結ロッドが間隙に突出して嵌合孔に挿着するので、操作ロッドを押し込む操作およびその解除により先端工具の取付部を取付アダプタに着脱させることが可能となる。
【0010】
しかも操作ロッドを支持プレートに押し込むことで連結ロッドを間隙から後退させることが可能となるので、取付アダプタを手で握って保持する操作と操作ロッドを押し込む操作とを同じ片手で行うことが可能となり、取付アダプタ及び先端工具を保持しつつ先端工具の取付アダプタへの着脱操作を容易に行うことが可能となる。
【0011】
また、前記対をなす支持プレートに設けられたそれぞれの連結ロッドの先端部は、取付部に設けられた別々の嵌合孔にそれぞれ嵌合させるようにしてもよいが、前記間隙に突出させた状態で前記連結ロッドの軸方向と垂直方向で互いに重なり合い、重なり合った部分で前記嵌合孔の断面形状を呈する構成とすることで、先端工具の取付部に設けられた1箇所の嵌合孔にそれぞれの連結ロッドの先端部を嵌合させるようにしてもよい。
【0012】
また、先端工具の取付角度を任意に調節できるようにするために、前記嵌合孔の内周面と前記連結ロッドの先端部の外周面とに、互いに噛合する平目のローレットを形成するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、本発明によれば、先端工具の取付部に連結接続するヘッド部と、操作棒の先端部に連結接続するジョイント部とを一体に備えた先端工具取付アダプタにおいて、ヘッド部を、先端工具の取付部を挿入可能とする間隙を間にあけて互いに平行に立設された対をなす支持プレートと、それぞれの支持プレートに前記間隙に出没可能に(他方の支持プレートに向けて進退可能に)設けられて取付部に形成された嵌合孔に挿着可能となる連結ロッドと、連結ロッドを間隙から後退させる方向へ動かす操作ロッドと、連結ロッドを間隙へ突出させる方向へ常時付勢する付勢部材とを具備して構成するようにしたので、先端工具の取付アダプタへの取り付け、取り外しをワンタッチで行うことが可能となり、容易かつ短時間で先端工具の着脱が可能となる。
しかも、操作ロッドを支持プレートに押し込む操作とその解除によって、先端工具の取付アダプタへの着脱が可能となるので、取付アダプタと先端工具とを保持しつつ先端工具の着脱操作を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明に係る先端工具取付アダプタを示す図であり、(a)は、一部切欠きの側断面図、(b)は、(a)を90度横から見た側面図、(c)は、その平面図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る先端工具取付アダプタに設けられて先端工具の取付部を着脱する機構を示す断面図であり、(a)は操作ロッドが押されていない通常時の状態を示す図、(b)は操作ロッドが押された状態を示す図である。
【
図3】
図3は、一対の操作ロッドを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、一対の連結ロッドを示す図であり、(a)はその斜視図、(b)は(a)のA方向から見た図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る先端工具取付アダプタに装着される先端工具の取付部を示す図であり、(a)はその側面図、(b)は(a)を90度横から見た側面図、(c)は先端工具取付アダプタに装着した状態を示す一部切欠きの側断面図である。
【
図6】
図6は、従来の先端工具取付アダプタを示す図であり、(a)は先端工具を取り付ける前の状態を示す図、(b)は先端工具を取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る先端工具取付アダプタの実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1において、先端工具取付アダプタ1は、先端工具の取付部を連結接続するヘッド部2と、共用操作棒の先端部(アタッチメント部)と着脱可能に連結接続するジョイント部3とを一体に形成して構成されている。
ジョイント部3は、それ自体公知のもので、共用操作棒の先端部(アタッチメント部)が差込可能となるよう基端が開口された有底円筒状に形成され、その周面には、対向する2箇所にT字状の係合溝4が形成されている。
【0017】
この係合溝4は、ジョイント部3の軸線に沿った方向に切れ込んだ第1の係合部4aと、この第1の係合部4aの先端から周方向に沿って両側に延設された第2の係合部4bと、この第2の係合部4bの両端部からジョイント部3の開口端に向かって延設された第3の係合部4cとから構成されている。
【0018】
ヘッド部2は、後述する先端工具30の取付部31を挿入可能とする間隙20を間にあけて互いに平行にジョイント部3の頂部から立設された対をなす支持プレート5を備えている。この支持プレート5は、互いに対峙する面に、突起は形成されておらず、この例では、平坦な面に形成されている。
【0019】
それぞれの支持プレート5には、
図2にも示されるように、互いに対峙する面と反対側の面(外側の面)から操作ロッド6を摺動自在に挿入する操作ロッド用挿入孔7が取付アダプタの軸方向(支持プレート5の立設方向)に対して垂直方向に形成されている。また、それぞれの支持プレート5には、操作ロッド用挿入孔7と並行に連結ロッド8を挿入する連結ロッド用挿入孔9が形成されている。それぞれの操作ロッド6が挿入される操作ロッド用挿入孔7は、互いに整合させた位置に形成され、また、それぞれの連結ロッド8が挿入された連結ロッド用挿入孔9も、互いに整合させた位置に形成されている。また、この例においては、連結ロッド用挿入孔9は、操作ロッド用挿入孔7よりもジョイント部側に所定の間隔をあけて形成されている。
【0020】
さらに、それぞれの支持プレート5の内部には、操作ロッド用挿入孔7と連結ロッド用挿入孔9との間に位置し、これら挿入孔と連通する連通空間10が形成されている。
【0021】
前記操作ロッド6は、
図3にも示されるように、直線状に形成された断面略矩形状のもので、支持プレート5から外側に突出する端部には、操作ロッド用挿入孔7よりも大きく形成されたフランジ部11が形成され、このフランジ部11と支持プレート5の外面との間には、圧縮スプリング12が弾装され、この圧縮スプリング12により、操作ロッド6を操作ロッド用挿入孔7から突出させる方向へ常時付勢している。
【0022】
また、操作ロッド6の挿入端部には、ロッド6の軸方向に対して垂直方向に突出する係止片13が形成され、この係止片13は、支持プレート5の操作ロッド用挿入孔7の内壁に形成された係止溝14内を摺動し、前記圧縮スプリング12により操作ロッド6が外方へ付勢されて移動した場合でも係止溝14の終端に係止片13が当接して操作ロッド6がそれ以上に外側へ移動しないようになっている。
【0023】
そして、この操作ロッド6の連通空間10と対峙する面(
図4では下面)には、ロッドの移動方向(軸方向)に沿って延びるラックが形成された第1のラック部15が設けられている。
【0024】
これに対して連結ロッド8は、
図4にも示されるように、断面略矩形の直線状に形成された動力伝達部16と、この動力伝達部16と一体に形成されて、断面半円状に形成された連結部17とを有しているもので、動力伝達部16の前記連通空間10と対峙する面(
図4では上面)には、ロッドの移動方向(軸方向)に沿って延びるラックが形成された第2のラック部18が設けられている。
【0025】
この連結ロッド8の連結部17は、動力伝達部16の軸心を通り、第2のラック部18が形成されている面と垂直に形成された平面を側面の一部とする半円柱状に形成されているもので、この連結部17の長さは間隙20の幅に略等しく形成され、対をなす連結ロッド8の連結部17は、通常時においては、それぞれの支持プレート5から間隙20に突出し、互いの平面を重ね合わせて円柱状に形成されるようになっている。
【0026】
それぞれの連結部17の湾曲面には、平目からなるローレット19が形成され、後述する先端工具の取付部に設けられた嵌合孔32の内周面に形成されたローレット33と嵌合可能となっている。
【0027】
そして、各支持プレート5の連通空間10には、操作ロッド6に形成された第1のラック部15と連結ロッド8に形成された第2のラック部18との間に配置され、これらラック部と噛合するピニオン21が回転自在に支持されている。
【0028】
操作ロッド6が最も外側に位置している(操作ロッド6の係止片13が係止溝14の終端部に当接している)通常時においては、
図2(a)に示されるように、ピニオン21は、操作ロッド6(第1のラック部15)の先端部に噛合し、また、連結ロッド8の連結部17が間隙20に最も突出した状態となるよう第2のラック部18の連結部17から最も離れた部位で噛合するようになっている。
【0029】
したがって、それぞれの操作ロッド6のフランジ部11を押圧して該操作ロッド6を圧縮スプリング12のバネ力に抗して支持プレート5に押し込むと、
図2(b)に示されるように、この操作ロッド6の直線動が第1のラック部15からピニオン21を介して第2のラック部18に伝達され、連結ロッド8を連結ロッド用挿入孔9に引き入れ、連結部17が間隙20に突出しない状態となる。
【0030】
そして、この状態から操作ロッド6の押し込む付勢力を解除すると、圧縮スプリング12のバネ力により、操作ロッド6は外方へ付勢されて操作ロッド用挿入孔7から突出するように変位すると共に、この動きが第1のラック部15からピニオン21を介して第2のラック部18に伝達され、連結ロッド8の連結部17が連結ロッド用挿入孔9から間隙20に突出した状態となる。
【0031】
このような先端工具取付アダプタ1に取り付けられる先端工具30の取付部31は、従来の菊座を備えたものであっても差し支えないが、この例では、
図5に示されるように、菊座を設けずに、両側面を平坦な面としている。したがって、この例では、取付部31の厚みは、従来の菊座が設けられている取付部に比べて薄くなるので、その分、先端工具取付アダプタ1の間隙20の幅を狭くすることができ、先端工具取付アダプタ1の大型化を避けることが可能となる。
また、取付部31の略中央には、前記連結ロッド8の連結部17が挿入可能となる嵌合孔32が形成されている。この嵌合孔32は、一対の連結ロッド8の連結部19を互いの平面を重ね合わせた状態で挿入できる程度の大きさを有する断面円形状に形成されているもので、内周面に平目からなるローレット33が形成され、連結ロッド8の連結部17の湾曲面に形成されたローレット19と嵌合可能となっている。
【0032】
以上の構成において、先端工具取付アダプタ1に先端工具を取り付ける場合には、先端工具取付アダプタ1を片手で握るように持ち、その状態を保ちつつ、親指と人差し指、又は、親指と中指で対をなす操作ロッド6のフランジ部11を押圧してそれぞれの操作ロッド6を支持プレート5に押し込む。すると、連結ロッド8の連結部17が連結ロッド用挿入孔9に入り込み、間隙20に連結部17が突出されない状態が形成される。その状態で、先端工具30の取付部31を間隙20に挿入し、取付部31の嵌合孔32の位置を連結ロッド用挿入孔9の位置に合わせ、しかる後に操作ロッド6から指を離すと、圧縮スプリング12のバネ力で操作ロッド6が支持プレート5から突出する方向に付勢され、この付勢力がピニオン21を介して連結ロッド8に伝達され、それぞれの連結ロッド8の連結部17が互いの平面を重ね合わせた状態で、かつ、それぞれ連結部17のローレット19が嵌合孔32のローレット33と噛み合った状態で取付部31の嵌合孔32に挿入され、先端工具30が先端工具取付アダプタ1に固定される。
【0033】
また、先端工具取付アダプタ1に装着されている先端工具30を取り外す場合は、先端工具取付アダプタ1を片手で握るように持ち、その状態を保ちつつ、親指と人差し指又は親指と中指で対をなす操作ロッド6のフランジ部11を押圧してそれぞれの操作ロッド6を支持プレート5に押し込むことで、連結ロッド8の連結部17による取付部31への嵌合状態を解除することが可能となる。
【0034】
したがって、従来の菊座アダプタのように、蝶ボルトを何回も回して先端工具を着脱させる操作が不要となり、操作ロッドを押し込んだり、離したりする操作だけで先端工具30を先端工具取付アダプタ1に着脱させることが可能となるので、先端工具30の取付アダプタ1への取り付け、取り外しをワンタッチで行うことができ、また、片手で取付アダプタ1を保持したまま、同じ手で操作ロッド6を操作することが可能となるので、先端工具30の取付アダプタ1への着脱操作と取付アダプタ及び先端工具の保持操作とを同時に行う場合でも容易に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0035】
1 先端工具取付アダプタ
2 ヘッド部
3 ジョイント部
5 支持プレート
6 操作ロッド
8 連結ロッド
12 圧縮スプリング
15 第1のラック部
18 第2のラック部
19、33 ローレット
20 間隙
21 ピニオン
30 先端工具
31 取付部
32 嵌合孔