特許第5797719号(P5797719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5797719接続端子対及び接続端子対による2本の電線端部間の接続構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797719
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】接続端子対及び接続端子対による2本の電線端部間の接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/11 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   H01R11/11 E
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-219247(P2013-219247)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-82382(P2015-82382A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(72)【発明者】
【氏名】奥村 宏成
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−101518(JP,A)
【文献】 実開昭59−118225(JP,U)
【文献】 特開2010−287354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 11/11
H01R 4/58
H01R 4/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電線の端部に接続される第一接続端子と、第二電線の端部に接続される第二接続端子と、から成る接続端子対であって、
前記第一接続端子は、前記第二接続端子の第二接合面と接合される第一接合面、及び前記第一電線と接続される第一接続部を備えた第一端子板と、前記第一接合面に設けられて前記第二接続端子に設けた第二ボルト挿通孔と連通する第一ボルト挿通孔と、前記第一接合面の端縁から該第一接合面内にかけて設けられて前記第二接続端子の第二接合面に設けた第二被ガイド部を受け入れる第一ガイドスリットと、前記第一接合面に突設された第一被ガイド部と、を備え、
前記第二接続端子は、前記第一接続端子の第一接合面と接合される第二接合面、及び前記第二電線と接続される第二接続部を備えた第二端子板と、前記第二接合面に設けられて前記第一接続端子に設けた第一ボルト挿通孔と連通する第二ボルト挿通孔と、前記第二接合面の端縁から該第二接合面内にかけて設けられて前記第一接続端子の第一接合面に設けた第一被ガイド部を受け入れる第二ガイドスリットと、前記第二接合面に突設された第二被ガイド部と、を備え、
前記第一ガイドスリットと前記第二ガイドスリットの前記各端子板上における形成位置は、前記第一ガイドスリットの開放部から該第一ガイドスリット内に前記第二被ガイド部を挿入させる際に、前記第二ガイドスリットの開放部から該第二ガイドスリット内に前記第一被ガイド部を同時に挿入することが可能となるように設定されており、
前記第一及び第二被ガイド部を、夫々前記第二及び第一ガイドスリットの終端部にて停止させた際に、前記第一ボルト挿通孔と前記第二ボルト挿通孔が整合状態で連通することを特徴とする接続端子対。
【請求項2】
前記第一及び第二ガイドスリットの各開放部内に前記第二及び第一被ガイド部を夫々挿入した状態で、前記第一及び第二接続部を互いに離間させるように前記第一及び第二接続端子を移動させたときに、
前記第二及び第一被ガイド部は、前記第一及び第二ガイドスリット内を前記各終端部に向けて夫々移動するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の接続端子対。
【請求項3】
前記第一ボルト挿通孔は、前記第一被ガイド部と前記第一ガイドスリットの終端部との間に配置され、前記第二ボルト挿通孔は、前記第二被ガイド部と前記第二ガイドスリットの終端部との間に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の接続端子対。
【請求項4】
前記各ガイドスリットの開放部側のスリット幅を、終端部側のスリット幅よりも広くしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の接続端子対。
【請求項5】
前記第一及び第二ボルト挿通孔の内面に雌ネジが形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載の接続端子対。
【請求項6】
前記第一端子板は、前記開放部を有する端縁とは対向する端縁において第一接合面から立ち上がる第一側壁を備え、
前記第二端子板は、前記開放部を有する端縁とは対向する端縁において第二接合面から立ち上がる第二側壁を備え、
前記第一及び第二被ガイド部を、夫々前記第二及び第一ガイドスリットの終端部にて停止させた際に、前記第一側壁は前記第二ガイドスリットの開放部を有する端縁に当接し、前記第二側壁は前記第一ガイドスリットの開放部を有する端縁に当接することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の接続端子対。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項記載の接続端子対による2本の電線端部間の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の電線の各端部に接続されることにより、電線間の電気的、機械的な接続、及び分離を自在に行いうる一対の接続端子からなる接続端子対に係り、特に、間接活線工法による電線の接続作業時において接続端子同士の位置決めを容易に行うと共に、接続端子同士のずれを効果的に防止して作業性を向上させた接続端子対、及びこの接続端子対による2本の電線端部間の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電線の接続、及び分離を自在に行うための接続端子として、いわゆる羽子板状の接続端子からなる接続端子対が知られている。
例えば、特許文献1に記載された接続端子対(接続端子装置)は、2つの接続端子から構成されている。一方の接続端子は、他方の接続端子との接合面を備え、この接合面に2つのボルト挿通孔が貫通形成された概略矩形状の端子板を備えている。他方の接続端子は、一方の接続端子との接合面を備え、この接合面の端縁から接合面内にかけてスリット状に形成された2つのボルト通し部を有する概略矩形状の端子板を備えている。また、各接続端子は、端子板の一端部に電線の端部を圧縮接続する圧縮接続部を備えている。
この接続端子対では、まず一方の接続端子のボルト挿通孔にボルトの軸部を挿通し、ボルトの軸部先端にナットを螺着した状態とする。2つの接続端子の接合面を対向させた状態にて、ボルト挿通孔に挿通されたボルトの軸部を他方の接続端子のボルト通し部に挿入する。ボルトの軸部をボルト通し部の終端部(位置決め部)にて停止させたとき、2つの接続端子が正しい位置に位置決めされるので、接続作業を効率的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−101518公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においてボルトは、接続端子を正しい位置に案内する手段として機能すると共に、2つの接続端子を締結する手段としても機能する。ボルト挿通孔に挿通されたボルトは、その軸方向に自在に移動するため、絶縁ヤットコ等を用いた間接活線作業ではボルトの軸部をボルト通し部に挿入すること自体が困難であり、作業性に問題がある。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、間接活線工法による電線の接続作業においてその作業性を向上させることが可能な接続端子対及び接続端子対による2本の電線端部間の接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第一電線の端部に接続される第一接続端子と、第二電線の端部に接続される第二接続端子と、から成る接続端子対であって、前記第一接続端子は、前記第二接続端子の第二接合面と接合される第一接合面、及び前記第一電線と接続される第一接続部を備えた第一端子板と、前記第一接合面に設けられて前記第二接続端子に設けた第二ボルト挿通孔と連通する第一ボルト挿通孔と、前記第一接合面の端縁から該第一接合面内にかけて設けられて前記第二接続端子の第二接合面に設けた第二被ガイド部を受け入れる第一ガイドスリットと、前記第一接合面に突設された第一被ガイド部と、を備え、前記第二接続端子は、前記第一接続端子の第一接合面と接合される第二接合面、及び前記第二電線と接続される第二接続部を備えた第二端子板と、前記第二接合面に設けられて前記第一接続端子に設けた第一ボルト挿通孔と連通する第二ボルト挿通孔と、前記第二接合面の端縁から該第二接合面内にかけて設けられて前記第一接続端子の第一接合面に設けた第一被ガイド部を受け入れる第二ガイドスリットと、前記第二接合面に突設された第二被ガイド部と、を備え、前記第一ガイドスリットと前記第二ガイドスリットの前記各端子板上における形成位置は、前記第一ガイドスリットの開放部から該第一ガイドスリット内に前記第二被ガイド部を挿入させる際に、前記第二ガイドスリットの開放部から該第二ガイドスリット内に前記第一被ガイド部を同時に挿入することが可能となるように設定されており、前記第一及び第二被ガイド部を、夫々前記第二及び第一ガイドスリットの終端部にて停止させた際に、前記第一ボルト挿通孔と前記第二ボルト挿通孔が整合状態で連通することを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、前記第一及び第二ガイドスリットの各開放部内に前記第二及び第一被ガイド部を夫々挿入した状態で、前記第一及び第二接続部を互いに離間させるように前記第一及び第二接続端子を移動させたときに、前記第二及び第一被ガイド部は、前記第一及び第二ガイドスリット内を前記各終端部に向けて夫々移動するように構成されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記第一ボルト挿通孔は、前記第一被ガイド部と前記第一ガイドスリットの終端部との間に配置され、前記第二ボルト挿通孔は、前記第二被ガイド部と前記第二ガイドスリットの終端部との間に配置されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記各ガイドスリットの開放部側のスリット幅を、終端部側のスリット幅よりも広くしたことを特徴とする。
請求項5の発明は、前記第一及び第二ボルト挿通孔の内面に雌ネジが形成されていることを特徴とする。
請求項6の発明は、前記第一端子板は、前記開放部を有する端縁とは対向する端縁において第一接合面から立ち上がる第一側壁を備え、前記第二端子板は、前記開放部を有する端縁とは対向する端縁において第二接合面から立ち上がる第二側壁を備え、前記第一及び第二被ガイド部を、夫々前記第二及び第一ガイドスリットの終端部にて停止させた際に、前記第一側壁は前記第二ガイドスリットの開放部を有する端縁に当接し、前記第二側壁は前記第一ガイドスリットの開放部を有する端縁に当接することを特徴とする。
【0007】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか一項に記載の接続端子対による2本の電線端部間の接続構造である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各接続端子のボルト挿通孔を互いに連通させるためのガイド手段として、夫々の接続端子がガイドスリットと、他方のガイドスリットによって案内される被ガイド部を備えている。2つの接続端子を締結するボルトと、ガイド手段を別個の構成としたので、被ガイド部をガイドスリットの開放部からガイドスリット内に挿入することが容易となり、作業性が向上する。また、接続端子は、一対のガイドスリットと被ガイド部とによって2点で位置決めされ、2つのボルト挿通孔が整合状態で連通することから、接続端子同士のずれを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一の実施形態に係る接続端子対を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は平面図である
図2】(a)〜(c)は、ガイドスリットの例を示す平面図である。
図3】端子板のボルト挿通孔部分を拡大して示した側面図である。
図4】接続端子が取り付けられた電線を示す図であり、(a)は接続端子が分離された状態を示し、(b)は接続端子が接続された状態を示す図である。
図5】(a)、(b)は、電線に加わる張力と2つの接続端子の位置関係について説明するための平面図である。
図6】間接ラチェットを用いてボルトを締結する様子を示した模式図である。
図7】接続端子による接続部分を示した一部拡大側面図である。
図8】本発明の第二の実施形態に係る接続端子を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は2つの接続端子を係合させた様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0011】
〔第一の実施形態〕
本発明の第一の実施形態に係る接続端子対について図1に基づいて説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係る接続端子対を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。
本実施形態に係る接続端子対は、第一電線の端部に接続される第一接続端子と、第二電線の端部に接続される第二接続端子と、から成る接続端子対である。各接続端子を組み合わせた状態にて、各接続端子に接続された第一及び第二電線に対して引っ張る方向の張力を加えたときに、2つの接続端子のボルト挿通孔が整合状態で連通する点に特徴がある。
【0012】
接続端子対1は、第一電線(不図示)の端部に接続される第一接続端子2Aと、第二電線(不図示)の端部に接続される第二接続端子2Bと、から構成されている。第一接続端子2Aと第二接続端子2Bは対称形状であり、各接続端子を構成する各部の配置が異なる以外は同一の構成を有する。以下、第一接続端子2Aに関わる構成については大文字のアルファベット符号Aを付し、第二接続端子2Bに関わる構成については大文字のアルファベット符号Bを付して説明する。また、特に第一接続端子2Aと第二接続端子2Bとを区別しない場合は、アルファベット符号A、Bを省略して記載する。
【0013】
接続端子2(第一接続端子2A、第二接続端子2B)は、アルミニウムなどの導体からなる羽子板状の導体接続用金具である。
第一接続端子2Aは、第二接続端子2Bの第二接合面11Bと接合される第一接合面11A、及び第一電線(不図示)と接続される第一接続部30Aを備えた第一端子板10Aと、第一接合面11Aに設けられて第二接続端子2Bに設けた第二ボルト挿通孔25Bと連通する第一ボルト挿通孔25Aと、第一接合面11Aの端縁から第一接合面11A内にかけて設けられて第二接続端子2Bの第二接合面11Bに設けた第二被ガイド部19Bを受け入れる第一ガイドスリット13Aと、第一接合面11Aに突設された第一被ガイド部19Aと、を備えている。
第二接続端子2Bは、第一接続端子2Aの第一接合面11Aと接合される第二接合面11B、及び第二電線(不図示)と接続される第二接続部30Bを備えた第二端子板10Bと、第二接合面11Bに設けられて第一接続端子2Aに設けた第一ボルト挿通孔25Aと連通する第二ボルト挿通孔25Bと、第二接合面11Bの端縁から第二接合面11B内にかけて設けられて第一接続端子2Aに設けた第一被ガイド部19Aを受け入れる第二ガイドスリット13Bと、第二接合面11Bに突設された第二被ガイド部19Bと、を備えている。
【0014】
端子板10は、概略矩形平板状であり、アルミニウムなどの導体から形成されている。端子板10は、一方の面に他方の接続端子の端子板と密着、接合する接合面11を備えている。
端子板10は、長手方向一端部に、電線を圧縮接続するスリーブ状の接続部30を備えている。接続部30は端子板10の長手方向に沿って端子板10の外側に向かって伸びており、接続部30に接続された電線の軸方向と端子板10の長手方向とが一致する構成である。
接続部30は、電線の端部導体の外面を包囲するとともに、圧縮による塑性変形により電線の端部導体を接続端子に電気的、機械的に接続する。電線の端部導体を電気的、機械的に接続可能な構成であれば、図示以外の構造とすることもできる。
なお、接続部30に接続される電線は、被覆電線でも裸電線でもよい。被覆電線の場合は、電線端部の被覆を剥離することで端部から露出させた導体部分を接続部に接続する。
【0015】
端子板10は、接合面11の長手方向に伸びる端縁から接合面11内に向けて、端子板10を所定の幅及び長さにて切り欠くことにより形成されたガイドスリット13を備える。また、端子板10は、接合面11に突設された被ガイド部19を備える。一方の端子板10(10A)のガイドスリット13(13A)は、他方の端子板10(10B)に設けられた被ガイド部19(19B)を端縁に設けられた開放部15からその内部に受け入れると共に、被ガイド部19(19B)を終端部17に向けて案内する。
【0016】
上述のように、第一接続端子2Aと第二接続端子2Bは対称形状である。このため、第一ガイドスリット13Aと第二ガイドスリット13Bの各端子板(10A、10B)上におけるその形成位置は、第一ガイドスリット13Aの開放部15から第一ガイドスリット13A内に第二被ガイド部19Bを挿入する際に、第二ガイドスリット13Bの開放部15から第二ガイドスリット13B内に第一被ガイド部19Aを同時に挿入することが可能となるように設定されている。また、第一被ガイド部19Aを第二ガイドスリット13Bの終端部17にて停止させたとき、第二被ガイド部19Bは第一ガイドスリット13Aの終端部17にて停止する。
【0017】
ガイドスリット13は、接続部30から離間する方向に向かって形成されている。即ち、第一ガイドスリット13Aの開放部15内に第二被ガイド部19Bを挿入し、第二ガイドスリット13Bの開放部15内に第一被ガイド部19Aを挿入した状態で、第一接続部30Aと第二接続部30Bを互いに離間させるように、第一接続端子2A及び第二接続端子2Bを矢印A方向に夫々移動させたときに、第二被ガイド部19B及び第一被ガイド部19Aは、夫々第一ガイドスリット13A及び第二ガイドスリット13B内を各終端部17に向けて夫々移動するように構成されている。逆にいえば、第一ガイドスリット13Aは開放部15から終端部17に向けて第二被ガイド部19Bをガイドし、第二ガイドスリット13Bは開放部15から終端部17に向けて第一被ガイド部19Aをガイドするように構成されている。
従って、各接続端子の接続部30に夫々接続した電線120(図5(a))に対して図5(a)中、矢印A方向の張力が働いたとき、一方の被ガイド部19は他方のガイドスリット13内を開放部15から終端部17に向けて移動する。
【0018】
接続端子2に設けられた被ガイド部19は、接合面11から突出形成された突起であり、接合面11側に小径部21を備え、接合面11から離間した先端部に大径部23を備える。
一方の被ガイド部19A(又は19B)の小径部21は、他方のガイドスリット13B(又は13A)に係合してガイドスリット13B(又は13A)によって案内される。このとき、一方の被ガイド部19A(又は19B)の大径部23は、他方の接続端子2B(又は2A)の接合面11B(又は11A)の裏面側に突出する。
小径部21の接合面11からの突出量(長さ)は、端子板10の厚さと略同等であり、大径部23はガイドスリット13の幅よりも大きいため、ガイドスリット13に被ガイド部19を係合させた状態にて、各接続端子2を接合面11と直交する方向に離間させることはできない。このように、被ガイド部19に大径部23を備えることにより、被ガイド部19のガイドスリット13からの脱落を効果的に防止できる。
【0019】
なお、端子板10の厚さを接合面10内において変化させてもよい。具体的には、開放部15が設けられた端子板10の端縁側の厚さよりも、終端部17側の端子板10の厚さ、即ち開放部15が設けられた端子板10の端縁と対向する端縁側の厚さを厚く設定してもよい。言い換えれば、開放部15側の端子板10の厚さを小径部21の接合面11からの突出量(長さ)に比べて薄く設定し、終端部17側の端子板10の厚さを小径部21の接合面11からの突出量(長さ)と同等程度に設定してもよい。このように設定することで、被ガイド部19のガイドスリット13への挿入を容易とし、被ガイド部19がガイドスリット13の終端部17にて停止したときには、各接続端子2の接合面11と直交する方向への離間を困難とする。
【0020】
接続端子2は、接合面11に設けられたボルト挿通孔25を有する。ボルト挿通孔25は、端子板10に貫通形成されている。第一接続端子2Aに設けた第一ボルト挿通孔25Aと、第二接続端子2Bに設けた第二ボルト挿通孔25Bとは互いに連通する孔であり、第一ボルト挿通孔25Aと第二ボルト挿通孔25Bとを連通させたとき、両孔に跨がってボルト40を挿通することができる。
ここで、第一被ガイド部19Aを第二ガイドスリット13Bの終端部17にて停止させ、第二被ガイド部19Bを第一ガイドスリット13Aの終端部17にて停止させたとき、第一ボルト挿通孔25Aと第二ボルト挿通孔25Bが整合状態で連通するため、両孔に跨がってボルト40を挿通することができる。
特に、本実施形態のボルト挿通孔25は内面に雌ネジが形成されたネジ穴であり、ボルト挿通孔25にはボルト40の軸部が螺着される。一方の被ガイド部19が他方のガイドスリット13の終端部17にて停止したとき、夫々の接続端子2に形成されたネジ穴としてのボルト挿通孔25同士が整合状態で連通するので、両孔に跨がって容易にボルト40を螺着することができる。
【0021】
なお、間接活線工法においてボルト40の締結作業には、いわゆる間接ラチェット110(図6参照)が使用される。このため、被ガイド部19は、間接ラチェットと干渉しないように、端子板10における位置及び大きさが設定され、また他方の端子板の接合面11の裏面からの突出量が設定されている。
なお、本実施形態において接続部30は接合面11側に突出した構成であるが、接続部30が接合面11の裏面側に突出する構成としてもよい。
【0022】
ここで、ガイドスリット13の終端部17は端子板10の長手方向一端部に配置され、被ガイド部19は、長手方向他端部に配置されている。また、ボルト挿通孔25は、端子板10の長手方向中間部に配置されている。言い換えれば、ボルト挿通孔25は、ガイドスリット13の終端部17と被ガイド部19との間に配置されている。
本実施形態では、ガイドスリット13の終端部17と被ガイド部19とを端子板10の長手方向(接続部30の軸方向に沿った方向、又は接続部30に接続された電線の軸方向に沿った方向)に離間させて配置している。このため、夫々のボルト挿通孔25が整合状態で連通した2つの接続端子2に対して、ボルト挿通孔25の軸心を中心として端子板10の長手方向に交差する方向へのモーメントを加えた場合であっても、2つの接続端子2は整合位置からずれにくいという特徴を有する。
なお、図1に示す接続端子2においては、被ガイド部19を接続部30側の端部に配置しているが、被ガイド部19と終端部17の長手方向位置を入れ替えて、終端部17を接続部30側の端部に配置してもよい。
【0023】
図2(a)〜(c)は、ガイドスリットの例を示す平面図である。ガイドスリット13の開放部15は、接続部30が配置された接続端子の端縁(長手方向一端)、又は接続部30の長手方向に沿った方向に伸びる端縁(短手方向一端)の何れかに配置することができる。
図1図2(a)、(b)に示す接続端子2、3、4のガイドスリット13は、その開放部15が接続部30の長手方向に沿った方向に延びる端縁に配置されている。ガイドスリットは、図1に示したガイドスリット13のように直線形状としてもよいし、図2(a)に示すガイドスリット13のように屈曲形状としてもよいし、図2(b)に示すガイドスリット13のように湾曲形状としてもよい。
図2(a)、(b)では、接続端子3、4に対するガイドスリット13の角度を開放部15側と終端部17側とで変化させている。具体的には、開放部15側の角度(傾斜)を、開放部15が形成された端子板10の端縁と直交するか又はこれに近い角度に設定し、終端部17側の角度(傾斜)を接続部30の長手方向に沿った角度又はこれに近い角度に設定している。言い換えれば、ガイドスリット13の端子板10に対する傾斜角度は、開放部15から終端部17に向かうにつれて、接続部30の軸方向と交差する方向から徐々に接続部30の軸方向に沿った方向に変化するように構成している。
このように設定することで、開放部15では被ガイド部19のガイドスリット13への挿入が容易となる。また、終端部17では、接続部30に接続された電線120に働く張力の方向(図5(a)中、矢印A方向)に沿って被ガイド部19がガイドされることとなり、被ガイド部19のガイドスリット13からの脱落を効果的に防止する。
また、被ガイド部19のガイドスリット13への挿入が容易となるように、ガイドスリット13の開放部15側のスリット幅Wを、終端部17側のスリット幅W(或いは開放部15を除いた部分のスリット幅W)よりも広くしてもよい(図1(b)参照)。さらに、終端部17側のスリット幅Wを被ガイド部19の小径部21の直径と略同一となるようにして、被ガイド部19と小径部21との遊びを極力少なくなるようにしてもよい。このように構成することで、ボルト挿通孔25とボルト40とを確実に整合状態で連通させることができる。
またガイドスリットは、図2(c)に示す接続端子5のガイドスリット13のように、接続部30が形成された端子板10の端縁(長手方向一端縁)から形成してもよい。
【0024】
図1に示すように、端子板10は、ボルト40の雄ネジ部41と螺着する雌ネジが形成されたボルト挿通孔25を備えている。端子板10に形成するボルト挿通孔25は、単数でも複数でもよい。複数のボルト挿通孔25を形成することで、2つの接続端子2の接続強度を高めることができる。ボルト40の雄ネジ部41の一部は、予めボルト挿通孔25に螺着しておくことができるので、接続端子2の接続又は分離作業時に接続端子2からのボルト40の脱落を防止することができる。
間接活線工法においてボルト40を締結する間接ラチェット110は、図6に示すようにボルトの頭部に嵌合するソケット部115を操作アーム111によりボルトの軸周り(図中矢印B1又はB2方向)にボルトと共に回転させる構造である。このため、間接ラチェット110を使用するには、ボルトを回転させる一方で、ボルトが螺着する雌ネジ(ネジ穴或いはナット)を回転させないようにする必要がある。本実施形態に係る接続端子2は、図4(b)や図6に示すように、張架される電線120の端部に接続して使用するものであり、ネジ穴としてのボルト挿通孔25は回転しない構成である。接続端子2は、ネジ穴としてのボルト挿通孔25を備えたので、間接活線工法による作業に好適である。
【0025】
図3は、端子板のボルト挿通孔部分を拡大して示した側面図である。接合面11側のボルト挿通孔25には、その内径をテーパ状に拡径したテーパ部27を形成している。このため、ボルト40の軸部をボルト挿通孔25内に容易に挿入することができる。
【0026】
図3に示すようにボルト40は、その軸部の先端側に雄ネジ部41を備えているが、軸部の頭部側には雄ネジが形成されていない円柱部43を備えている。また、円柱部43は、端子板10の厚さ方向の長さよりもやや長く設定され、且つボルト挿通孔25よりも小径である。
第一端子板10Aの接合面11Aの裏面からボルト挿通孔25Aに螺着されたボルト40の雄ネジ部41がボルト挿通孔25Aを通過すると、ボルト挿通孔25Aには円柱部43が挿通された状態となる。この状態にて、雄ネジ部41が第二端子板10Bの接合面11Bからボルト挿通孔25Bに螺着されると、第一端子板10Aは第二端子板10Bとボルト40頭部との間を円柱部43の軸方向に自由に移動できる。さらに雄ネジ部41をボルト挿通孔25Bに螺着していけば、第一端子板10Aと第二端子板10Bの各接合面11A、11Bを密着させた状態で固定できる。
また、ボルト40の軸部をボルト挿通孔25内に容易に挿入可能となるように、ボルト40の軸部先端に面取り加工を施した面取部45を設けてもよい。
【0027】
本実施形態に係る接続端子の使用方法について説明する。図4は、接続端子が取り付けられた電線を示す図であり、(a)は接続端子が分離された状態を示し、(b)は接続端子が接続された状態を示す図である。図5(a)、(b)は、電線に加わる張力と2つの接続端子の位置関係について説明するための平面図である。図6は、間接ラチェットを用いてボルトを締結する様子を示した模式図である。図7は、接続端子による接続部分を示した一部拡大側面図である。
【0028】
本実施形態に係る接続端子は、予め電線120の端部に取り付けて使用するものであり、図4に示すように、接続端子2が取り付けられた電線120では、電路の開路(図4(a))及び閉路(図4(b))を自由に行うことができる。
接続端子を被覆電線に装着する場合は、電線端部の被覆を所定長剥離し、電線の端部から内部の導体を露出させておく必要がある。裸電線の場合も被覆電線の場合も、接続端子2のスリーブ状の接続部30に電線120の導体の端部を挿入し、圧縮器(不図示)にて順次圧縮して、電線120の導体の端部と接続部30とを圧縮接続しておく。
【0029】
本実施形態に係る接続端子による電線の接続、分離作業について説明する。
2つの電柱間に張架された電線には張力(図6の矢印A方向)が働くため、張架された電線を接続又は分離する場合は、図4に示すように、予め活線用張線器100にて作業対象部分の電線の張力を調整しておく。即ち、接続端子2A、2Bから夫々離間した電線120A、120Bの適所を活線用張線器100のクランプ101A、101Bにて夫々挟持し、クランプ101A、101B間の距離を短縮することにより、電線120に働く張力の一部又は全部を活線用張線器100に分担させた状態にて作業を行う。
図4(a)に示す分離状態から、(b)に示す接続状態とする場合について説明する。
まず、絶縁ヤットコ等を用いて、図5(a)に示すように、接続端子2A、2Bの夫々の被ガイド部19A、19Bを、各ガイドスリット13B、13Aの開放部15からガイドスリット13B、13A内に挿入する。このとき、2つの被ガイド部19A、19Bは、開放部15からガイドスリット13B、13Aに同時に挿入される。
【0030】
続いて、活線用張線器100(図4参照)を緩めて、電線120の張力の一部を接続端子対1に移行させる。このとき、各接続端子2A、2Bには、図中矢印A方向の張力が働く。この張力により、夫々の被ガイド部19A、19Bはガイドスリット13B、13Aによって案内され、夫々の被ガイド部19A、19Bは最終的には図5(b)に示すように終端部17に到達する。被ガイド部19A、19Bを終端部17にて停止させたとき、各接続端子2A、2Bのボルト挿通孔25A、25Bが整合状態で連通するので、2つのボルト挿通孔25A、25Bに跨がってボルト40(不図示)を螺着することができる。
【0031】
間接活線工法においてボルト40の螺着には、図6に示す間接ラチェット110を用いる。間接ラチェット110は、作業員が操作する絶縁性の操作アーム111と、操作アーム111の先端に一端を回転自在に支持された連結アーム113と、連結アーム113の他端によって回転自在に支持されたソケット部115とを備えている。
間接ラチェット110は、操作アーム111を操作して連結アーム113をボルトの軸周り(ソケット部の軸周り)に回転させることにより、ソケット部115に嵌合したボルトを回転させる構造である。このため、図6の姿勢をとる間接ラチェット110によって図中矢印B1方向への回転力をボルトに対して加える場合、電線120の軸方向と交差する矢印C方向の力が、接続端子対1に加えられることとなる。
【0032】
ここで接続端子2A、2Bは、夫々がガイドスリット13と被ガイド部19を備えた対称形状である。特に、端子板10の長手方向(電線120の軸方向)に所定距離だけ離間した位置にガイドスリット13の終端部17と被ガイド部19を配置している。このため、図6及び図7に示すように、2つの接続端子2A、2Bのガイドスリット13A、13Bの終端部17に被ガイド部19B、19Aを夫々係合させた状態で、接合面11A、11Bと平行且つ電線120の軸方向と交差する方向の力を加えたとしても、2つの接続端子2A、2Bは2点において互いの姿勢を拘束するように支持されるため、互いの位置関係を一定に保持することができる。さらに、ボルト挿通孔25が、ガイドスリット13の終端部17と被ガイド部19との間に位置するため、ボルト挿通孔25の軸線を中心として接合面11A、11Bと平行且つ電線120の軸方向と交差する方向の力を加えた場合の位置ずれを効果的に防止する。
このように、夫々の被ガイド部19を夫々のガイドスリット13の終端部17に係合させることにより2つの接続端子2A、2Bが一体化された状態では、接続端子2A、2B間のずれを効果的に防止し、ボルト40の締結作業を容易に行うことができる。特に、接続部30が、電線120の圧縮接続により湾曲変形している場合であっても、この変形に影響されず、接続端子2A、2Bを確実に締結、固定することができる。
【0033】
2つの接続端子2A、2Bを締結、固定した後、活線用張線器100を撤去して、接続作業を完了する。
なお、図4(b)に示す接続状態から、(a)に示す分離状態とする場合は、上記手順と逆の手順により作業を行えばよい。
【0034】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態に係る接続端子対について図8に基づいて説明する。図8は、本発明の第二の実施形態に係る接続端子を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は2つの接続端子を係合させた様子を示す平面図である。本実施形態に係る接続端子は、接合面側に側壁を立設した点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明省略する。
接続端子6の端子板10は、ガイドスリット13の開放部15を有する端縁(端面10a)とは対向する端縁において、接合面11から立ち上がる側壁50を備えている。側壁50は、端子板10の長手方向の全域にわたって形成されていてもよいし、長手方向の一部の領域にのみ形成されていてもよい。
図8(b)に示すように、第一接続端子6Aの第一被ガイド部19Aを第二ガイドスリット13Bの終端部17にて停止させ、第二接続端子6Bの第二被ガイド部19Bを第一ガイドスリット13Aの終端部17にて停止させたとき、第一側壁50Aは第二端子板10Bの端面10aに当接し、第二側壁50Bは第一端子板10Aの端面10aに当接する。
このように、側壁50を形成することで、2つのボルト挿通孔25A、25Bが整合状態で連通したとき、側壁50と端面10aが面接触するので、2つの接続端子6の姿勢をより効果的に保持することができる。また、接続部30に接続された電線120からの張力を、被ガイド部19、ボルト40、及び側壁50の間で分散させることができるので、これら各部の破損を防止できる。
【0035】
〔本発明の構成、作用、効果のまとめ〕
(態様1)
本発明の態様1に係る接続端子対は、第一電線120Aの端部に接続される第一接続端子2Aと、第二電線120Bの端部に接続される第二接続端子2Bと、から成り、第一接続端子2Aは、第二接続端子2Bの第二接合面11Bと接合される第一接合面11A、及び第一電線120Aと接続される第一接続部30Aを備えた第一端子板10Aと、第一接合面11Aに設けられて第二接続端子2Bに設けた第二ボルト挿通孔25Bと連通する第一ボルト挿通孔25Aと、第一接合面11Aの端縁から第一接合面11A内にかけて設けられて第二接続端子2Bの第二接合面11Bに設けた第二被ガイド部19Bを受け入れる第一ガイドスリット13Aと、第一接合面11Aに突設された第一被ガイド部19Aと、を備え、第二接続端子2Bは、第一接続端子2Aの第一接合面11Aと接合される第二接合面11B、及び第二電線120Bと接続される第二接続部30Bを備えた第二端子板10Bと、第二接合面11Bに設けられて第一接続端子2Aに設けた第一ボルト挿通孔25Aと連通する第二ボルト挿通孔25Bと、第二接合面11Bの端縁から第二接合面11B内にかけて設けられて第一接続端子2Aに設けた第一被ガイド部19Aを受け入れる第二ガイドスリット13Bと、第二接合面11Bに突設された第二被ガイド部19Bと、を備え、第一ガイドスリット13Aと第二ガイドスリット13Bの各端子板10A、10B上における形成位置は、第一ガイドスリット13Aの開放部15から第一ガイドスリット13A内に第二被ガイド部19Bを挿入させる際に、第二ガイドスリット13Bの開放部15から第二ガイドスリット13B内に第一被ガイド部19Aを同時に挿入することが可能となるように設定されており、第一及び第二被ガイド部19A、19Bを、夫々第二及び第一ガイドスリット13B、13Aの終端部17にて停止させた際に、第一ボルト挿通孔25Aと第二ボルト挿通孔25Bが整合状態で連通することを特徴とする。
本発明によれば、各接続端子のボルト挿通孔を互いに連通させるためのガイド手段として、夫々の接続端子がガイドスリットと、他方のガイドスリットによって案内される被ガイド部を備えている。2つの接続端子を締結するボルトと、ガイド手段を別個の構成としたので、被ガイド部をガイドスリットの開放部からガイドスリット内に挿入することが容易となり、作業性が向上する。また、接続端子は2点で位置決めされることから、接続端子同士のずれを効果的に防止することができる。
【0036】
(態様2)
本発明の態様2に係る接続端子対は、第一及び第二ガイドスリット13A、13Bの各開放部15内に第二及び第一被ガイド部19B、19Aを夫々挿入した状態で、第一及び第二接続部30A、30Bを互いに離間させるように第一及び第二接続端子2A、2Bを移動させたときに、第二及び第一被ガイド部19B、19Aは、第一及び第二ガイドスリット13A、13B内を各終端部17に向けて夫々移動するように構成されていることを特徴とする。
2つの電柱間に張架された電線の中間部を本発明に係る接続端子対1にて接続・分離自在に構成した場合においては、電線120に働く張力を活線用張線器100に分担させた上で電線120の接続又は分離作業を行う。接続端子2を分離した状態のときは(図4(a)参照)、電線120に働く張力を活線用張線器100に移行させている。
この状態にて、被ガイド部19を、ガイドスリット13の開放部15からガイドスリット13内に挿入した後、活線用張線器100を緩めて張力を接続端子対1に移行させるだけで、接続端子2A、2Bは、接続部30A、30Bを互いに離間させる方向に移動して、被ガイド部19が自動的にガイドスリット13の終端部17に移動する。
【0037】
(態様3)
本発明の態様3に係る接続端子対は、第一ボルト挿通孔25Aは、第一被ガイド部19Aと第一ガイドスリット13Aの終端部17との間に配置され、第二ボルト挿通孔25Bは、第二被ガイド部19Bと第二ガイドスリット13Bの終端部17との間に配置されていることを特徴とする。
ボルト挿通孔25にボルト40を螺着する場合には、ボルト挿通孔25の軸心を中心とするモーメントが加わる。本発明では、被ガイド部19とガイドスリット13の終端部17との間にボルト挿通孔25を配置したので、上記モーメントが加わった場合であっても、2つの接続端子2は整合位置からずれにくいという特徴を有する。
【0038】
(態様4)
本発明の態様4に係る接続端子対は、各ガイドスリット13の開放部15側のスリット幅Wを、終端部17側のスリット幅Wよりも広くしたことを特徴とする。
被ガイド部19は、ガイドスリット13の開放部15からガイドスリット13内に挿入される。ガイドスリット13の入口となる開放部15側のスリット幅を広くすることで、被ガイド部19をガイドスリット13内に容易に挿入することができる。
【0039】
(態様5)
本発明の態様5に係る接続端子対は、第一及び第二ボルト挿通孔25A、25Bの内面に雌ネジが形成されていることを特徴とする。
2つの接続端子2A、2Bは、ボルト挿通孔25A、25Bに跨がって挿通されたボルト40により締結、固定される。ボルト挿通孔25には雌ネジが形成されているので、ボルト40を予めボルト挿通孔25に螺着しておくことができ、ボルト40の脱落を効果的に防止する。また、間接活線作業において使用させる間接ラチェット110では、その構造上、ボルト40を回転させる一方で、ボルト40が螺着する雌ネジを回転させないようにする必要がある。本発明の接続端子2は図4(b)や図6に示すように、張架される電線120の端部に接続して使用するものであり、ネジ穴としてのボルト挿通孔25は回転しない構成である。接続端子2は、ネジ穴としてのボルト挿通孔25を備えたので、間接活線工法による作業に好適である。
【0040】
(態様6)
本発明の態様6に係る接続端子対において、第一端子板10Aは、開放部15を有する端縁10aとは対向する端縁において第一接合面11Aから立ち上がる第一側壁50Aを備え、第二端子板10Bは、開放部15を有する端縁10aとは対向する端縁において第二接合面11Bから立ち上がる第二側壁50Bを備え、第一及び第二被ガイド部19A、19Bを、夫々第二及び第一ガイドスリット13B、13Aの終端部17にて停止させた際に、第一側壁50Aは第二ガイドスリット13Bの開放部15を有する端縁10aに当接し、第二側壁50Bは第一ガイドスリット13Aの開放部15を有する端縁10aに当接することを特徴とする。
側壁50は、2つのボルト挿通孔25A、25Bが整合状態で連通したとき、端面10aと面接触するので、2つの接続端子6の姿勢をより効果的に保持することができる。また、接続部30に接続された電線120からの張力を、被ガイド部19、ボルト40、及び側壁50の間で分散させることができるので、これら各部の破損を防止できる。
【0041】
(態様7)
本発明の態様7に係る接続構造は、上記各接続端子対による2本の電線端部間の接続構造である。
この接続構造は、上記各接続端子対が有するそれぞれの特徴を享受することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…接続端子対、2〜6…接続端子、10…端子板、10a…端面、13…ガイドスリット、15…開放部、17…終端部、19…被ガイド部、21…小径部、23…大径部、25…ボルト挿通孔、27…テーパ部、30…接続部、40…ボルト、41…雄ネジ部、43…円柱部、45…面取部、50…側壁、100…活線用張線器、101…クランプ、110…間接ラチェット、111…操作アーム、113…連結アーム、115…ソケット部、120…電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8