(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記距離測定手段は、光学式距離測定手段と、該光学式距離測定手段から出射された出射光を反射し前記第一の基準面または前記第二の基準面に照射させる反射板とからなることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
前記第一の基準面は、金型または固定盤、金型または固定盤に付随する部品、金型または固定盤に取り付けられた治具、に設けられた円筒面であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の射出成形機。
前記第二の基準面は、前記射出ノズルの外周、射出部構成品または射出部に取り付けられた治具に設けられた円筒面であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の射出成形機。
【背景技術】
【0002】
射出成形機においては、固定盤に取り付けた金型のスプルーブッシュに射出ユニットの射出ノズルを圧着させて、スプルーブッシュに設けられた金型スプルー穴を介して射出ノズルの穴から射出した溶融樹脂を金型内に射出するものである。そのため、金型スプルー穴と射出ノズル穴の軸心を一致させる必要があり、射出ノズルのノズル穴と金型のスプルー穴の芯出し、芯合わせの調整作業が行われる。
【0003】
一般に、この射出ノズルの芯出しは、射出ノズルのノズル穴を金型のスプルー穴に近づけて、それぞれの中心位置が同軸上(同一直線上)にあることを目視で確認しながら調整していた。また、一般に両者の突き当て面は互いに勘合する球R面のため、両者の中心位置が同軸上に無い場合は射出ユニットを前進させてノズルを圧着させたときに、射出ノズルが射出ユニットの前進方向と直交する方向に動く。この動きが無くなるように射出ノズルの位置を調整していた。
【0004】
近年、射出成形品の高精度化に伴い、金型および射出成形機の型締部の精度向上が進み、金型のスプルー穴と射出ノズルのノズル穴の芯出しについても高精度化の要求が高まっている。また、予め固定盤のロケート穴と射出ノズルのノズル穴の芯出しを高精度に調整したいという要求も増えている。しかし従来一般に行われていた方法は目視確認であり、高精度調整は困難である。
【0005】
従来、射出ノズル穴と金型スプルー穴を高精度に芯出しするために、変位センサを使用した方法が提案されている。射出成形機の固定盤の射出ノズル対面側に4個の位置検出センサを設け、固定盤に取り付けられている金型のスプルーランナーの中心軸線から等間隔かつ互いに90度の角度を成すように設置されている位置検出装置が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
また、ノズル先端の二次元方向位置を非接触状態で検出するノズル位置検出手段を金型取付け部材に設け、当該ノズル位置検出手段によるノズル先端の位置検出情報を表示する表示手段を有する射出成形機も知られている(特許文献2参照)。
【0007】
また、シリンダバレルの先端部または後端部に取り付けられている反射鏡と、この反射鏡にレーザー光線を照射するレーザー発振器と、前記反射鏡に対向して取り付けられたレーザー受信器からなるシリンダバレルの歪検出手段により検出される信号により、射出ノズルの水平方向と上下方向の位置が所定位置になるように制御される軽合金用射出成形機も知られている(特許文献3参照)。
【0008】
また、射出ノズルのノズル穴芯との距離が既知である基準点までの距離を測定する距離検出器と、該距離検出器で測定された距離に基づいて前記射出ノズル穴の穴芯と既知の前記金型スプルー穴の穴芯位置とのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいて前記射出ノズルの位置を調整する手段を具備した射出成形機も知られている。
【0009】
さらに、射出ノズルのノズル穴芯との距離が既知である基準点までの距離及び金型の金型スプルー穴芯との距離が既知である基準点までの距離を測定する距離検出器と、該距離検出器で測定された距離に基づいて前記射出ノズル穴の穴芯と前記金型スプルー穴の穴芯位置とのずれ量を求め、求めたずれ量に基づいて前記射出ノズルの位置を調整する手段を具備した射出成形機も知られている(特許文献4参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般的な射出ノズルの芯出し方法は、射出ノズル穴を金型スプルー穴に近づけて、それぞれの中心位置が同軸上(同一直線上)にあることを目視で確認しながらノズル位置を調整していた。しかし、目視確認では高精度な芯出しは出来ない。
【0012】
そこで、射出ノズル穴と金型スプルー穴の芯出しを高精度に行うために、変位センサを使用して射出ノズルの位置を調整する方法が提案されている。例えば、特許文献1に開示された技術は、4個の位置検出センサを金型のスプルーランナーの中心軸から等間隔かつ互いに90度を成すように設置し、前記位置検出センサが検出する信号を用いてノズル芯出し調整を行うものであるが、正確に金型のスプルーランナーの中心軸から等間隔に位置検出センサを設置するためには、位置調整に時間がかかる。
【0013】
また、特許文献2に開示された技術は、ノズル先端の二次元方向位置を非接触状態で検出するノズル位置検出手段を設け、ノズル位置検出情報を表示するものであるが、この方法でノズル芯出しを行うには、ノズル位置検出手段と金型のスプルー穴中心の距離が既知である必要がある。
【0014】
また、特許文献3に開示された技術は、レーザー光線と反射鏡を用いた歪検出手段により、シリンダバレルが熱膨張により歪または撓んでも、ノズルが所定位置を維持するように制御するものである。しかし、この特許文献3には所定位置の設定方法が説明されておらず、この開示された技術を用いてノズル芯出しを行うことは出来ない。
【0015】
さらに、特許文献4に開示された技術は、金型スプルー穴の穴芯位置が既知である距離測定器を用いて、ノズル穴の穴芯位置までが既知である基準点までの距離を測定し、ノズル芯出しを行うものである。または、金型スプルー穴の穴芯位置との距離が既知である基準点と、ノズル穴の穴芯位置までが既知である基準点までの距離を測定し、ノズル芯出しを行うものである。この方法でノズル芯出しを行うには距離測定器を精度良く設置する必要があるため、位置調整に時間がかかる。
【0016】
つまり、従来提案されている距離測定手段を用いたノズルの芯出し調整方法は、距離測定手段と金型スプルー穴中心または基準点との位置関係が既知であることを前提としている。そもそも金型スプルー穴の中心と射出ノズル穴の中心を位置合わせするには、それぞれを同じ座標系で測定する必要がある。そのためには、例えば距離測定手段の測定軸と金型スプルー穴の中心軸が交差するように距離測定手段を設置し、前記2軸(距離測定手段の測定軸と金型スプルー穴の中心軸)の交点である金型スプルー穴中心を基準として、射出ノズル穴中心を測定する必要がある。しかし、3次元測定機などを用いて、予め距離測定手段を高精度に設置するには、位置調整に時間がかかる。
【0017】
一方、成形中の樹脂飛散による距離測定手段の故障を考慮すると、距離測定手段は着脱可能であることが望ましい。しかし従来提案されている方法では、一度取り外した距離測定手段を高精度に再設置するには、位置調整に時間がかかる。
【0018】
そこで、本発明の目的は、射出ノズル穴と金型のスプルー穴または固定盤のロケート穴の芯出しを、距離測定手段を用いて、容易にかつ正確に芯出し、芯合わせができる射出成形機及び芯出し方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、射出ノズルのノズル穴と金型スプルー穴または固定盤のロケート穴とを芯出しする芯出し機能を備えた射出成形機であって、請求項1に係わる発明は、前記金型または前記射出成形機上に
金型スプルー穴の中心軸に平行な軸を回転軸として回転可能に設置された距離測定手段と、該距離測定手段で、金型スプルー穴中心または固定盤のロケート穴中心との距離が既知である点をその面上に有する第一の基準面と距離測定手段との距離を、前記距離測定手段の回転角度を変更しながら測定し、該測定した距離が最大または最小になるように距離測定手段の回転角度を調整する手段と、前記距離測定手段で、射出ノズル穴中心との距離が既知である点をその面上に有する第二の基準面と距離測定手段との距離を測定し、該測定した距離から射出ノズル穴中心と金型スプルー穴中心または固定盤のロケート穴中心のずれ量を求める手段と、該求めたずれ量に基づいて前記射出ノズルの位置を調整する手段、とを具備したことを特徴とするものである。
又、請求項2に係わる発明は、前記回転可能に設置された距離測定手段が、該光学式距離測定手段から出射された出射光を反射し前記第一の基準面または前記第二の基準面に照射させる光学式距離測定手段と反射板とからなるとした。
【0020】
又、請求項3に係わる発明は、前記金型または前記射出成形機上に
金型スプルー穴の中心軸に平行な軸を回転軸として回転可能に設置された距離測定手段と、該距離測定手段の回転角度を測定する手段と、該距離測定手段で、
金型スプルー穴中心または固定盤のロケート穴中心との距離が既知である点をその面上に有する第一の基準面と距離測定手段との距離を回転角度毎に測定し、該測定した距離と回転角度から金型スプルー穴中心または固定盤のロケート穴中心を求め、
射出ノズル穴中心との距離が既知である点をその面上に有する第二の基準面と距離測定手段との距離を回転角度毎に測定し、該測定した距離と回転角度から射出ノズル穴中心を求め、前記求めた金型スプルー穴中心または固定盤のロケート穴中心と射出ノズル穴中心のずれ量を求める手段と、該求めたずれ量に基づいて前記射出ノズルの位置を調整する手段、とを具備したことを特徴とするものである。
【0021】
又、請求項4に係わる発明は、前記第一の基準面は、金型または固定盤、金型または固定盤に付随する部品、金型または固定盤に取り付けられた治具に設けられた円筒面であるとした。
又、請求項5に係わる発明は、前記第二の基準面は、前記射出ノズルの外周、射出部構成品または射出部に取り付けられた治具に設けられた円筒面であるとした。
【0022】
又、請求項6に係わる発明は、前記金型または前記射出成形機上に
金型スプルー穴の中心軸に平行な軸を回転軸として距離測定手段を回転可能に設置し、該距離測定手段で、
金型スプルー穴中心または固定盤のロケート穴中心との距離が既知である点をその面上に有する第一の基準面と距離測定手段との距離を、前記距離測定手段の回転角度を変更しながら測定し、該測定した距離が最大または最小になるように距離測定手段の回転角度を調整し、前記距離測定手段で、
射出ノズル穴中心との距離が既知である点をその面上に有する第二の基準面と距離測定手段との距離を測定し、該測定した距離から射出ノズル穴中心と金型スプルー穴中心または固定盤のロケート穴中心のずれ量を求め、該求めたずれ量に基づいて前記射出ノズルの位置を調整する射出成形機の芯出し方法である。
【0023】
又、請求項7に係わる発明は、前記金型または前記射出成形機上に
金型スプルー穴の中心軸に平行な軸を回転軸として距離測定手段を回転可能、且つ回転角度測定可能に設置し、該距離測定手段で、
金型スプルー穴中心または固定盤のロケート穴中心との距離が既知である点をその面上に有する第一の基準面と距離測定手段との距離を回転角度毎に測定し、該測定した距離と回転角度から金型スプルー穴中心または固定盤のロケート穴中心を求め、
射出ノズル穴中心との距離が既知である点をその面上に有する第二の基準面と距離測定手段との距離を回転角度毎に測定し、該測定した距離と回転角度から射出ノズル穴中心を求め、前記求めた金型スプルー穴中心または固定盤のロケート穴中心と射出ノズル穴中心のずれ量を求め、該求めたずれ量に基づいて前記射出ノズルの位置を調整する射出成形機の芯出し方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、射出ノズル穴と金型のスプルー穴または固定盤のロケート穴の芯出しを、距離測定手段を用いて、容易にかつ正確に芯出し、芯合わせができる射出成形機及び芯出し方法を提供できる。
【0025】
距離測定手段を用いて、容易にかつ正確に射出ノズルの芯出しができる。3次元測定機などを用いて距離測定手段を正確に、金型または射出成形機上に設置する必要は無い。また、射出ノズルの芯出しを行うときだけ距離測定手段を使用し、その後は取り外して他の射出成形機の射出ノズルの芯出しに使用できるので、経済的である。また、距離測定手段に溶融樹脂が飛散することによる故障を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、変位センサを回転可能に設置し、変位センサの測定軸が金型スプルー穴の中心軸と交差するように変位センサの回転角度を調整できるようにした。さらに、前記2軸の交点である金型スプルー穴中心を基準にして射出ノズル穴の中心を求め、前記2つの中心が一致するように射出ノズルの位置調整を行う。
【0028】
具体的には、まず、金型または射出成形機上に変位センサを、測定軸が一平面上を移動するように、回転可能に設置する。次に、この変位センサを用いて、金型スプルー穴の基準面と変位センサとの距離を測定する。前記金型スプルー穴の基準面は、金型スプルー穴中心との距離が既知である点をその面上に有する円筒面とする(後述するように、ロケートリング34の内周面、治具112の外周面などである)。
【0029】
変位センサの回転角度を変更しながら、変位センサと金型スプルー穴の基準面との距離を測定し、距離が最大または最小になるように変位センサの回転角度を調整する。すると、変位センサの測定軸と金型スプルー穴の基準面の中心軸が交差する。さらに、金型スプルー穴の基準面上の点と金型スプルー穴中心との距離が既知なので、その分の回転角度を補正すれば、変位センサの測定軸と金型スプルー穴の中心軸が交差する。
【0030】
次に変位センサの回転角度を保持したまま、射出ノズル穴の基準面と変位センサとの距離を測定する。前記射出ノズル穴の基準面(後述するように、射出ノズル18の外周面)は、射出ノズル穴中心との距離が既知である点をその面上に有する円筒面とする。変位センサの測定軸と射出ノズル穴の中心軸が交差し、かつ射出ノズル穴の基準面と変位センサの距離が所定の値になるように、射出ノズル位置を調整する。あるいは、複数の変位センサと射出ノズル穴の基準面との距離が、それぞれ所定の値になるように、射出ノズル位置を調整する。
【0031】
上記は、金型スプルー穴と射出ノズル穴の芯出しの例であるが、固定盤のロケート穴と射出ノズル穴を芯出しするときは、固定盤のロケート穴中心との距離が既知である点をその面上に有する円筒面を基準面とする。
【0032】
また、変位センサが光学式変位センサで反射板を用いて測定する場合、変位センサを固定して反射板のみを回転可能に設置しても良いし、変位センサと反射板の両方を回転可能に設置しても良い。また、変位センサと各基準面の回転角度毎の距離から、基準面の切断面形状を求め、金型スプルー穴中心または固定盤のロケート穴中心と射出ノズル穴中心を求め、この2つの中心が一致するように射出ノズルの位置を調整しても良い。
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
<第一の実施形態>
図1は本発明の第一の実施形態の説明図である。射出成形機10の射出部と金型部を縦方向に切断して水平方向から図示したものである。固定盤14には成形するための金型16が取り付けられている。また、射出ユニット12には射出ノズル18の上下方向位置を調整するアクチュエータ44と、図示しない射出ノズルの左右方向位置を調整するアクチュエータが設置されている。
【0034】
また、距離測定手段22として、回転ステージ24に搭載された光学式変位センサ26と反射板28が、その測定軸30が金型スプルー穴の基準面32であるロケートリング34の内周面に合うように、金型面に設置されている。距離測定手段22は、回転ステージ24の回転軸と金型スプルー穴の中心軸36が一致しない位置であって且つ両者が平行になるように設置する。アクチュエータ44と回転ステージ24と光学式変位センサ26には制御表示装置42が接続され、制御表示装置42はアクチュエータ44と回転ステージ24を駆動するとともに、光学式変位センサ26で測定した測定距離データ等を表示するようにしている。この実施形態では、制御表示装置42を、射出成形機10を制御する制御装置で構成し、該制御装置が備える表示器に測定距離データ等を表示するようにしている。
【0035】
本実施形態では、まず、距離測定手段22の測定軸30が、金型スプルー穴の中心軸36と交差するように、距離測定手段22の回転角度を調整する。次に、前記2軸(距離測定手段22の測定軸30と金型スプルー穴の中心軸36)の交点である金型スプルー穴中心40を基準として射出ノズル穴中心46を求める(
図4参照)。さらに、前記2つの中心(金型スプルー穴中心40と射出ノズル穴中心46)が一致するように射出ノズル18の位置を調整する。以上の手順により、射出ノズル穴19と金型スプルー穴38の芯出しを行っている。
【0036】
以下、具体的な手順を説明する。
まず、
図1において射出ノズルが実線で図示するように後退した状態で、金型スプルー穴の基準面32(つまり、ロケートリングの内面)と測定軸30との交点と距離測定手段の回転中心50との距離Dsを計測する(
図2参照)。
図2は
図1に示す実施形態をノズル側から図示したものである。制御表示装置42は、
図2に破線で図示するように、回転ステージ24の回転角度を変更しながら前記距離Dsを計測し、該距離Dsが最大になるように回転角度を調整する。なお、回転ステージ24の回転軸は金型スプルー穴の中心軸36に平行になるように設置されている。
【0037】
図3に示す通り、内接する2円の中心(金型スプルー穴の基準面の中心48と距離測定手段の回転中心50)と接点52の3つの点は同一直線を成すことが知られている。従って、距離Dsが最大になるように距離測定手段22の回転ステージ24の回転角度を調整すると、その測定軸30は金型スプルー穴の基準面の中心48を通過する。
【0038】
次に、
図1に破線で図示すように、距離測定手段22の測定軸30が射出ノズル穴の基準面20(つまり、射出ノズル18の外周面)に到達し、かつ射出ノズル18と金型16とが接触しない位置まで、射出ユニット12を前進させる。
図4は、そのときの状態をノズル側から見た断面図であり、金型スプルー穴の基準面32の中心と金型スプルー穴中心40とのずれ、および射出ノズル穴の基準面20の中心と射出ノズル穴中心46とのずれが無い、あるいは無視できる場合の例である。
【0039】
射出ノズル穴の基準面20と測定軸30との交点58と距離測定手段の回転中心50との距離Dnが、
Dn=Ds−(Ls+Ln)
となり、かつ距離測定手段22の回転角度を、金型スプルー穴中心40を通過するように調整した角度から、左右どちらの方向に動かしても、Dnが大きくなるように射出ノズル18の位置を調整する。ここで、Lsは金型スプルー穴の基準面32である円筒面の半径、Lnは射出ノズル穴の基準面20である円筒面の半径であり、図面または事前の形状測定で求めた値である。
【0040】
例えば、まず距離Dnが
Ds−(Ls+Ln)
になるように射出ノズル18の上下方向位置を調整するアクチュエータ44を駆動し、次に、回転ステージ24を左右に動かしたときの距離Dnをモニタする。
【0041】
例えば回転ステージ24を左に動かしたときに距離Dnが小さくなったとすると、射出ノズル穴中心46は測定軸30の左側にあるので、回転ステージ24を元の位置である距離Dn(=Ds−(Ls+Ln))となる位置に戻した後、射出ノズル18の左右方向位置を調整するアクチュエータ(図示せず)を駆動して、射出ノズル位置を右側に移動する。これを繰り返すことで射出ノズル穴の基準面20は
図4の破線部に移動し、射出ノズル穴中心46と金型スプルー穴中心40が一致する。
【0042】
金型スプルー穴の基準面32の中心と金型スプルー穴中心40がずれている場合は、ずれ量を図面または事前の測定で求め、制御表示装置42に予め入力しておくことで、前記ずれ量を補正する。この場合、距離測定手段22の回転角度を測定する手段が必要となる。以下に、前記ずれ量の補正方法を示す。
【0043】
例えば、
図5に示すように距離Dsが最大になる角度に調整したときの測定軸30をX軸、該X軸と直交し、かつ金型スプルー穴の中心軸36とも直交する軸をY軸とする。また、前述のずれ量を求めたとき(ずれ量を図面または事前の測定で求めたとき)の座標系をX
0−Y
0座標系とし、このときのずれ量を(Δx
0,Δy
0)とする。さらに、金型スプルー穴の基準面32とX
0軸の交点に、予め距離測定手段で認識可能な印62を付けておく。この印62は、距離測定手段22が回転角度を変更することで測定軸30を走査したとき、段差として認識できる凹凸部でも良いし、シール等を貼り付けても良い。また、距離測定手段22である光学式変位センサの反射光が戻らず測定不可になる材料を貼り付けるなど、距離測定手段22が認識できるものであれば何でも良い。
【0044】
距離Dsが最大となる角度に調整した後、距離測定手段22の測定軸30が前述の印62を通過するように回転角度を調整する。このときの測定軸とX軸のなす角をθとし、金型スプルー穴の基準面32と測定軸30の交点と距離測定手段22の回転中心との距離Ds
0とすると、X軸とX
0軸のなす角度θ
0と前記角度θとの関係は、
Ds
0・sinθ=Ls・sinθ
0
となるので、ずれ量(Δx
0,Δy
0)をθ
0だけ座標変換すれば良い。
【0045】
図6に示すように、X−Y座標に座標変換した前記ずれ量を(Δx,Δy)とすると、金型スプルー穴中心O´と距離測定手段の回転中心50を結ぶ線とX軸とのなす角は、
η=tan
−1(Δy/(Ds−Ls+Δx))
となるので、制御表示装置42は、この分だけ回転ステージ24の角度調整を行う。すると、距離測定手段22の測定軸30は、金型スプルー穴中心O´を通過する。また、金型スプルー穴中心O´と距離測定手段22の回転中心との距離は、
L=√(Δy
2+(Ds−Ls+Δx)
2)
となる。
【0046】
次に射出ユニット12を前進させて(
図1参照)、
図7に示すように、射出ノズル穴の基準面20と測定軸30の交点と距離測定手段の回転中心50との距離Dnを測定する。このDnが、Dn=L−Lnを満足し、かつ距離測定手段22の回転角度を金型スプルー穴中心40を通過するように調整した角度から、左右どちらの方向に動かしても、Dnが大きくなるように射出ノズル18の位置を調整する。すると、射出ノズル穴の基準面20の位置が
図7の破線部に移動し、金型スプルー穴中心40と射出ノズル穴の基準面の中心53が一致する。
【0047】
さらに、射出ノズル穴の基準面の中心53と射出ノズル穴中心46がずれている場合は、前述の金型スプルー穴の基準面の中心48と金型スプルー穴中心40がずれている場合と同様の方法で、調整角度と、射出ノズル穴中心46と距離測定手段の回転中心50との距離を求め、ずれ量を補正する。
【0048】
<第二の実施形態>
図8は本発明の第二の実施形態であり、金型スプルー穴38と射出ノズル穴19の芯出しを、1つの距離測定手段22と、距離測定手段22の回転角度を測定する手段を使って実行した例の概念図である。基本構成は第一の実施形態とほぼ同じであるが、回転ステージ24は距離測定手段22の回転角度データを出力し(距離,角度データ72)、制御表示装置42(
図1参照)は該回転角度データと距離測定手段22で測定した測定距離データを同時にモニタしている。
【0049】
まず、距離測定手段22の測定軸30を金型スプルー穴の基準面32に合わせ、距離測定手段22を回転する。制御表示装置42は、このときの測定軸30と金型スプルー穴の基準面32の交点と距離測定手段の回転中心50との距離データと、距離測定手段22の回転角度データを同時にモニタし、該2つのデータから求めた金型スプルー穴の基準面形状66を表示部70に表示する。
【0050】
さらに表示された形状と、予め制御表示装置42に入力した金型スプルー穴の基準面の中心48と金型スプルー穴中心40のずれ量から、金型スプルー穴中心40を求め、表示部70に表示する。
【0051】
次に射出ユニット12を前進させて、同様の操作を射出ノズル穴の基準面20に対しても行い、射出ノズル穴中心46を求め、表示部70に表示する。さらに射出ノズル18の位置を調整するアクチュエータ44(
図1参照)を駆動し、射出ノズル穴中心46と金型スプルー穴中心40が一致するように射出ノズル18の位置を調整する。上下方向の位置調整はアクチュエータ44を駆動する。
【0052】
なお、射出ノズル18の位置調整は、表示部70に表示されたデータを見ながら、前記アクチュエータ44の代わりに設置された位置調整用ボルト(図示せず)を用いて、手動で調整しても良い。また、アクチュエータ44を駆動して射出ノズルの位置を調整する場合、前記制御表示装置がモニタしたデータを、表示部に表示しなくても良い。
【0053】
<第三の実施形態>
図9は本発明の第三の実施形態であり、固定盤14のロケート穴106と射出ノズル18の穴の芯出しを実施した形態である。
図9は射出成形機10の射出部と金型部を縦方向に切断して水平方向から図示したものである。また、射出ユニット12には射出ノズル18の上下方向位置を調整する調整用ボルト122と、射出ノズル18の左右方向位置を調整する図示しない調整用ボルトが設置されている。
【0054】
本実施形態では、距離測定手段として変位センサ1,2を用いており(
図10参照)、回転ステージ120,120を介して固定盤14の金型取付け面110に回転可能に設置されている。変位センサ1,2は接触式変位センサでも良いし、光学式などの非接触変位センサでも良い。
【0055】
変位センサ1,2には演算表示装置124が接続され、演算表示装置124は変位センサ1,2で測定した測定距離データ等を表示するようにしている。演算表示装置124は、射出成形機10を制御する制御装置でも良いし、パソコンなどの計測装置を用いても良い。また、固定盤14のロケート穴106に取り付ける治具112として、3点式内測マイクロメータを用いている。
【0056】
また、
図10は
図9の実施形態を金型取付け面側から図示したものである。本実施形態では2個の変位センサ1,2を使用している。2個の変位センサ1,2の設置は、求めたい中心をその内部に含む円の中心に対してほぼ直交するように設置するのが望ましいが、少なくとも、変位センサ1の測定軸に直交する成分を、変位センサ2で測定出来るように設置されていれば良い。
【0057】
そのためには
図11に示すように、変位センサ1の回転中心126から、求めたい中心をその内部に含む円136に引いた2接線の外側に、変位センサ2の回転中心が設置されていれば良い(変位センサ2の回転中心設置範囲138)。そうでない場合は、変位センサを1個使用したときと同様の方法で調整することになる。
【0058】
本実施形態では
図10に示すように、ロケート穴の基準面116は円筒面外周となるので、各々の変位センサ(変位センサ1、変位センサ2)の回転角度を調整し、測定軸114とロケート穴の基準面116の交点と変位センサ1,2の回転中心126,128との距離が最小になったとき、測定軸114はロケート穴の基準面の中心軸118と交差する。このときの距離Dj1,Dj2を記録し、この回転角度を保持したまま、治具112(3点式内測マイクロメータ)を取り外す。
【0059】
次に、射出ユニット12を前進させて射出ノズル穴の基準面20である円筒面に、変位センサ1,2の測定軸114,114を合わせる。符号21は射出ノズル穴の基準面の中心軸である。
図12はそのときの状態を金型取付け面側から図示したものである。次に、2個の変位センサ1,2で測定した距離Dn1,Dn2がそれぞれ、Dn1=Dj1+Lj1−Ln1、Dn2=Dj2+Lj2−Ln2になるように射出ノズル18の位置を調整する。
【0060】
すると、ロケート穴中心と射出ノズル穴中心が一致し、高精度に芯出しができる。ここで、Lj1,Lj2はロケート穴の基準面116からロケート穴中心107までの距離、Ln1,Ln2は射出ノズル穴の基準面20から射出ノズル穴中心46までの距離であり、図面または事前の形状測定により求めた値である。
【0061】
変位センサを3個以上使用する場合、変位センサ1,2,3の設置は、求めたい中心をその内部に含む円の中心に対してほぼ同じ角度を成すように設置するのが望ましいが、少なくとも、射出ノズル18を上下左右のどちらかに動かしたとき、少なくともひとつの変位センサの測定軸と基準面の交点と変位センサの回転中心との距離が増加し、且つ少なくともひとつの変位センサの測定軸と基準面の交点と変位センサの回転中心との距離が減少するように設置されていれば良い。
【0062】
そのためには
図13に示すように、各変位センサの回転中心140を結んだ多角形の中に、求めたい中心134をその内部に含む円(求めたい中心をその内部に含む円136)が入るように変位センサを設置すれば良い。
【0063】
そうでない場合は、変位センサを1個または2個使用したときと同様の方法で調整することになる。まず、変位センサを2個使ったときと同じように、測定軸がロケート穴の中心軸を通過するように各変位センサの回転角度を調整する。次に射出ユニットを前進させて射出ノズル穴の基準面である円筒面に測定軸を合わせる。
【0064】
図14はそのときの状態を金型取付け面側から図示したものである。この例では変位センサを4個使用している。変位センサの測定軸1,2,3,4と射出ノズル穴の基準面102の交点と変位センサ1,2,3,4の回転中心126,128,130,132との距離Dn1,Dn2,Dn3,Dn4を測定しながら、Ln1+Dn1=Ln2+Dn2=Ln3+Dn3=Ln4+Dn4になるように射出ノズル位置を調整する。
【0065】
すると、固定盤のロケート穴の中心と射出ノズル穴の中心が一致し、高精度に芯出しができる。ここで、Ln1,Ln2,Ln3,Ln4は射出ノズル穴の基準面と射出ノズル穴中心との距離であり、図面または事前の形状測定により求めた値である。
【0066】
なお、距離測定手段22の回転角度を測定する手段を有する場合、すなわち回転ステージ24が回転角度データを出力できる場合は、演算表示装置124に回転角度データを入力し、前記第二の実施形態と同様の方法を用いて、ロケート穴中心と射出ノズル穴中心を演算表示装置124の表示部に表示し、ロケート穴と射出ノズル穴中心が一致するように射出ノズルの位置を調整しても良い。また、射出ノズル位置を調整する方法は、変位センサの出力信号や表示器を見ながら
図9に示すノズル位置調整用ボルト122などを用いて手動で調整しても良いし、図示しないアクチュエータを用いて自動調整しても良い。また、距離測定手段(変位センサ1〜4)の測定距離や回転角度が目視で読み取れる場合は、演算表示装置124は無くても良い。また、回転ステージ120は手動で動かしても良いし、制御装置を用いて回転駆動しても良い。