(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797741
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】WLAN通信およびBluetooth通信を制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04W 4/00 20090101AFI20151001BHJP
H04W 72/02 20090101ALI20151001BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20151001BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20151001BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20151001BHJP
【FI】
H04W4/00 110
H04W72/02
H04W84/10 110
H04W84/12
H04W88/06
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-508046(P2013-508046)
(86)(22)【出願日】2011年4月20日
(65)【公表番号】特表2013-529431(P2013-529431A)
(43)【公表日】2013年7月18日
(86)【国際出願番号】US2011033288
(87)【国際公開番号】WO2011137007
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2012年12月19日
(31)【優先権主張番号】61/328,848
(32)【優先日】2010年4月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/956,782
(32)【優先日】2010年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ、ヴェイ−スン
(72)【発明者】
【氏名】ペトルス、ポール
【審査官】
深津 始
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0137206(US,A1)
【文献】
特開2011−082679(JP,A)
【文献】
特開2009−005195(JP,A)
【文献】
特表2009−508422(JP,A)
【文献】
特表2009−540632(JP,A)
【文献】
特開2006−295869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 −H04B 7/26
H04W 4/00 −H04W 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)通信とパーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)通信とを制御するためのデバイスによって実行される方法であって、
前記デバイスは、ハードウェア部分とソフトウェア部分とを有するWLANモジュールと、ハードウェア部分を有するPANモジュールと、前記WLANモジュールのハードウェア部分と前記PANモジュールのハードウェア部分との間のパケット・トラヒック・インタフェースと、前記WLANモジュールのソフトウェア部分と前記PANモジュールのソフトウェア部分との間で情報を転送する共存エージェントとを有し、
前記WLANモジュールのソフトウェア部分が、
利用可能な通信帯域幅を時間ブロックに分割することと、
時間ブロックにおける帯域幅を第1のセグメントと第2のセグメントとに割り当てることと、
前記第1のセグメントについて、PAN通信にプライオリティを割り当てることと、前記第2のセグメントについて、WLAN通信にプライオリティを割り当てることと、
前記第1のセグメントの間に、前記インタフェースを介して前記PANモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングすることとを備え、
前記第2のセグメントにおいて、前記PAN通信による高いプライオリティの送信が許可される一方、低いプライオリティの送信がブロックされるようにした、方法。
【請求項2】
前記WLANモジュールのソフトウェア部分が、前記第1のセグメントの間に、送信をバッファするようWLANアクセス・ポイントにシグナリングすることによって、WLAN通信を調整することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記WLANモジュールのソフトウェア部分が、前記送信をバッファするためのWLANアクセス・ポイントへのシグナリングは、パワー・セーブ信号を送ることを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記WLANモジュールのソフトウェア部分が、前記第1のセグメントの間に、WLAN信号の受信を許可することと、WLAN信号の送信をブロックすることとによって、WLAN通信を調整することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記帯域幅を割り当てることは、PANリンクに関する情報に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記帯域幅を割り当てることは、前記WLANモジュールの状態と前記PANモジュールの状態とに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記WLANモジュールのソフトウェア部分が、高いプライオリティのPAN送信が許可されるように、前記第2のセグメントの間に、前記インタフェースを介して、前記PANモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングすることをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のセグメントの間に、前記インタフェースを介して、前記PANモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングすることは、低いプライオリティのPAN送信を許可しない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のセグメントの間に、前記インタフェースを介して、前記PANモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングすることは、低いプライオリティのPAN送信を許可する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記共存エージェントによって転送される情報は、WLAN構成状態に関する情報と、PANリンクの数とタイプに関する情報と、からなるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)通信とパーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)通信とを制御するための装置であって、
ハードウェア部分とソフトウェア部分とを有するWLANモジュールと、
ハードウェア部分を有するPANモジュールと、
前記WLANモジュールのハードウェア部分と前記PANモジュールのハードウェア部分との間のパケット・トラヒック・インタフェースと、
前記WLANモジュールのソフトウェア部分と前記PANモジュールのソフトウェア部分との間で情報を転送するように構成された共存エージェントと
を有するデバイス
を含む装置であって、前記WLANモジュールのソフトウェア部分は、
利用可能な通信帯域幅を時間ブロックに分割し、
時間ブロックにおける帯域幅を第1のセグメントと第2のセグメントとに割り当て、
前記第1のセグメントについて、PAN通信にプライオリティを割り当て、前記第2のセグメントについて、WLAN通信にプライオリティを割り当て、
前記第1のセグメントの間に、前記インタフェースを介して、前記PANモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングする
ように構成され、
前記第2のセグメントにおいて、前記PAN通信による高いプライオリティの送信が許可される一方、低いプライオリティの送信がブロックされるようにした、装置。
【請求項12】
前記WLANモジュールのソフトウェア部分はさらに、前記第1のセグメントの間に、送信をバッファするようWLANアクセス・ポイントにシグナリングすることによって、WLAN通信を調整するように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記WLANモジュールのソフトウェア部分は、パワー・セーブ信号を送ることにより、送信をバッファするよう前記WLANアクセス・ポイントにシグナリングする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記WLANモジュールのソフトウェア部分は、前記第1のセグメントの間に、WLAN信号の受信を許可することと、WLAN信号の送信をブロックすることとによって、WLAN通信を調整するように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記WLANモジュールのソフトウェア部分は、PANリンクに関する情報に少なくとも部分的に基づいて帯域幅を割り当てる、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記WLANモジュールのソフトウェア部分は、前記WLANモジュールの状態と前記PANモジュールの状態と少なくとも部分的に基づいて帯域幅を割り当てる、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記WLANモジュールのソフトウェア部分はさらに、高いプライオリティのPAN送信が許可されるように、前記第2のセグメントの間に、前記パケット・トラヒック・インタフェースを介して、前記PANモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングするように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記WLANモジュールのソフトウェア部分はさらに、低いプライオリティのPAN送信が許可されないように、前記第2のセグメントの間に、前記パケット・トラヒック・インタフェースを介して、前記PANモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングするように構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記WLANモジュールのソフトウェア部分はさらに、低いプライオリティのPAN送信が許可されるように、前記第2のセグメントの間に、前記パケット・トラヒック・インタフェースを介して、前記PANモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングするように構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記共存エージェントによって転送される情報は、WLAN構成状態に関する情報と、PANリンクの数とタイプに関する情報と、からなるグループから選択される、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2010年4月28日に出願された米国仮特許出願番号第61/328,848号に基づく。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般的に、無線通信に関し、より詳細には、WLANネットワークとBluetooth(登録商標)ネットワークとの共存を改善するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信技術を用いるデバイスの最近の急増を受け、干渉を最小化し、サービス品質を改善するために、注意の行き届いた設計が必要とされている。たとえば、Bluetooth通信システムと無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)通信システムは、単一のデバイスに組み込まれることが多い。
【0004】
Bluetoothはしばしば、モバイル・フォン、コンピュータ、デジタル・カメラ、無線ヘッドセット、スピーカ、キーボード、マウスまたは他の入力周辺機器、および同様のデバイス間を接続し、これらのデバイス間で情報を交換するために使用される。Bluetoothは、マスタと7つまでのスレーブとの間でのパーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)の構築を可能にする。多くのBluetoothのアプリケーションでは、正しい順序で並べられたデータ・パケットが途切れることなく確実に送受される必要がある。
【0005】
IEEE802.11プロトコルによって定義されたもののようなWLANシステムは一般的に、より長距離の通信と、より大きなネットワークのためのものである。WLAN通信は、既存のネットワーク・インフラストラクチャへの容易なインタフェースを提供し、比較的長距離にわたり比較的高いデータ・レートを提供する。したがって、WLANトラヒックの大部分の性質は、WLANトラヒックがパケットの並び順および送受時間の問題の影響をさほど受けないようにしている。
【0006】
WLAN通信は、非同期プロトコルで動作し、キャリア検知多元接続/衝突回避(CSMA/CA:Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)メカニズムを使用して無線媒体にアクセスするが、これに対しBluetooth通信は、時分割多元接続(TDMA)メカニズムに依拠する。しかしながら両者は、2.4GHzの産業科学医療デバイス用バンド(ISM:Industrial, Scientific and Medical Device Band)の帯域を共有する。結果として、2つの通信システム間で干渉が生じ得る。この問題は、両者が単一のデバイスに組み込まれている場合、これらのシステムの物理的な配置によって悪化する。実際、最近の傾向は、各システムを別個の集積回路に保持することから、両者を単一のチップにマージすることに移行している。さらに、WLAN通信とBluetooth通信の典型的な性質の違いを考慮すると、ある特定のBluetoothリンクには、必要とされるサービス品質を保証するためにプライオリティが与えられなくてはならない。
【0007】
干渉の可能性を認識して、共存を改善するためにさまざまな技術が用いられてきた。第1のストラテジは、Bluetoothデバイスの周波数ホッピングの態様に依拠する。WLAN通信は、1つの周波数における中心と、そのスペクトラム内の幅とを有するといったように、一か所にまとめられる傾向がある一方で、Bluetoothデバイスは、利用可能な79個の1MHz帯域のうちの1つにおいて、625μsのタイム・スロットにわたって送信または受信しては、別のチャネルに切り替えるといった具合に、あちらこちらを「ホッピング」する。干渉が検出されると、適応周波数ホッピング(AFH)技術により、Bluetoothデバイスは、WLANチャネルと重複するBluetoothチャネルを回避することができる。
【0008】
AFHは大きなパフォーマンス利得を提供するが、アウトバンドのBluetooth信号は、特に両システムが並べて配置されている場合、WLAN信号になおも影響し得る。典型的には、WLANシステムが、比較的より遠方のアクセス・ポイントからパケットを受信しているあいだに、WLANフロント・エンドがBluetooth送信により飽和してしまう確率が高まる。したがって、WLANとBluetoothの同時トラヒックの量を最小化すること、または無くすことが所望される。この目的を達成するための1つのストラテジは、各システムのアクティビティに依存したパケット・トラヒック・アービトレーション(PTA:packet traffic arbitration)を可能にする、2つのシステム間のハードワイヤード・インタフェースに依拠するものである。当業者によって認識されるように、PTAプロトコルの例は、2ワイヤ・システム、3ワイヤ・システム、および4ワイヤ・システムを含む。これらのプロトコルの各々は、その状態をWLANデバイスに通信するBluetoothデバイスと、これらの入力状態とそれ自体の状態とに基づいてチャネルの使用をアービトレートするWLANデバイスとを含む。そのようにして、WLANデバイスとBluetoothデバイスは、2.4GHz帯の使用をタイム・シェアする。
【0009】
この実現によると、PTAプロトコルは、WLANシステムに、Bluetoothシステムのアクティビティ、Bluetoothの相対的なプライオリティ・レベルの情報、およびBluetoothが限られたチャネルで送信しているかどうか、についての情報を提供する。PTA接続によって受信された情報に基づいて、WLANシステムは、WLANがアクティブであることをPTAインタフェースによってシグナリングし、その期間のあいだBluetooth通信できないようにすること、または、WLANがインアクティブであることをPTAインタフェースによってシグナリングし、Bluetooth通信できるようにすること、のいずれかによって、通信システムの使用をアービトレートするだろう。
【0010】
PTAプロトコルの使用はさらに、WLANシステムとBluetoothシステムとの間の干渉を最小化する。しかしながら、たとえWLANシステムが進行中のBluetooth通信の存在と性質についての情報を有していたとしても、これらのプロトコルにはなおも共存の問題が存在する。特に、PTAスキームは、上りリンク・トラヒックに比べ、下りリンク・トラヒックを保護することについては、あまり効果的でない。
【0011】
たとえば、高いプライオリティのBluetoothアクティビティが存在する場合、ハードウェアは、任意の現在のWLANトラヒックを中止し、内部衝突として扱う。このサービス品質を実現することは、上述したように多くのタイプのBluetooth通信にとって必要なことであるが、WLANパケットの損失を大幅に増加させ得る。Bluetoothアクティビティを知っていることにより、WLANシステムは、上りリンク・トラヒックに対するこれらの影響を最小化することができる。しかしながら、これらの送信障害の結果、アクセス・ポイントは、より低い送信レートに戻し、下りリンクのスループットを大幅に落とす。さらに、アクセス・ポイントは、Bluetoothトラヒックがそれらの送信障害を引き起こしていることを知らないので、アクセス・ポイントは、より低いレートで、より長いエア・タイムを費やして、障害を受けたフレームを再試行し続け、Bluetoothトラヒックへの干渉の可能性を著しく増大させる。
【0012】
したがって、干渉を最小化しながらWLAN通信およびBluetooth通信を実現するためのシステムおよび方法が必要とされている。たとえば、WLANの下りリンク・トラヒックを保護するように構成されると同時に、Bluetooth通信にとって必要なサービス品質をも保証するシステムおよび方法を提供することが必要とされている。本開示は、これらのニーズおよび他のニーズに関するものである。
【発明の概要】
【0013】
上記のニーズ、および下記において説明され、明らかにされるニーズにしたがい、本開示は、WLAN通信とBluetooth通信とを制御するための方法に関するものであり、この方法は、ハードウェア部分を有するWLANモジュールと、ハードウェア部分を有するBluetoothモジュールと、WLANハードウェア部分とBluetoothハードウェア部分との間のパケット・トラヒック・インタフェースと、を有するデバイスを提供することと、利用可能な通信帯域幅を時間ブロックに分割することと、時間ブロックにおける帯域幅を第1のセグメントと第2のセグメントとに割り当てることと、第1のセグメントについて、Bluetooth通信にプライオリティを割り当て、第2のセグメントについて、WLAN通信にプライオリティを割り当てることと、第1のセグメントの間にインタフェースを介してBluetoothハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングすることと、を含む。
【0014】
一態様において、この方法はまた、第1のセグメントの間に、送信をバッファするようWLANアクセス・ポイントにシグナリングすることによって、WLAN通信を調整することを含む。好ましくは、これは、パワー・セーブ信号を送ることを含む。別の態様において、この方法は、第1のセグメントの間に、WLAN信号の受信を許可することと、WLAN信号の送信をブロックすることとによって、WLAN通信を調整することを含む。
【0015】
好ましくは、帯域幅を割り当てることは、Bluetoothリンクについての情報、または、WLANモジュールおよびBluetoothモジュールの状態に基づく。好ましくは、Bluetoothハードウェア部分への無線アクセスは、高いプライオリティのBluetooth送信が許可されるように、第2のセグメントの間にもシグナリングされる。WLANモジュールおよびBluetoothモジュールのそれぞれの状態に依存して、低いプライオリティのBluetooth送信は、第2の期間の間、許可されるか許可されないかのいずれかである。
【0016】
別の態様において、この方法はまた、共存エージェントを用いて、WLANモジュールのソフトウェア部分とBluetoothモジュールのソフトウェア部分との間で情報を転送することを含む。好ましくは、そのような情報は、WLANの構成状態、または、Bluetoothリンクの数とタイプを示すプロファイルに関するものである。
【0017】
本開示はまた、WLAN通信とBluetooth通信とを制御するための装置であって、ハードウェア部分とソフトウェア部分とを有するWLANモジュールと、ハードウェア部分を有するBluetoothモジュールと、WLANハードウェア部分とBluetoothハードウェア部分との間のパケット・トラヒック・インタフェースと、を有するデバイスを含む装置に関するものであり、ここにおいて、WLANソフトウェア部分は、利用可能な通信帯域幅を時間ブロックに分割し、時間ブロックにおける帯域幅を第1のセグメントと第2のセグメントとに割り当て、第1のセグメントについて、Bluetooth通信にプライオリティを割り当て、第2のセグメントについて、WLAN通信にプライオリティを割り当て、第1のセグメントの間にインタフェースを介してBluetoothハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングするように構成される。好ましくは、WLANソフトウェア部分はさらに、たとえばパワー・セーブ信号を送ることにより、第1のセグメントの間に、送信をバッファするようWLANアクセス・ポイントにシグナリングすることによって、WLANを調整するように構成される。また、好ましくは、WLANソフトウェア部分は、WLANがBluetoothリンクについての情報に基づいて帯域幅を割り当てることをシグナリングする。WLANソフトウェア部分はまた、WLANモジュールおよびBluetoothモジュールの状態に基づいて帯域幅を割り当てることができる。所望のとおり、WLANソフトウェア部分はまた、第1のセグメントの間に、WLAN信号の受信を許可することと、WLAN信号の送信をブロックすることとによって、WLAN通信を調整するように構成されることができる。
【0018】
別の態様において、WLANソフトウェア部分はさらに、高いプライオリティのBluetooth送信が許可されるように、第2のセグメントの間に、インタフェースを介してBluetoothハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングするように構成される。WLANモジュールおよびBluetoothモジュールのそれぞれの状態に依存して、WLANソフトウェア部分はさらに、低いプライオリティのBluetooth送信が許可されるか許可されないかのいずれかであるように、第2のセグメントの間に無線アクセスをシグナリングするように構成される。
【0019】
さらなる別の態様において、この装置はまた、WLANモジュールのソフトウェア部分とBluetoothモジュールのソフトウェア部分との間で情報を転送するように構成された共存エージェントを含む。好ましくは、転送される情報は、WLANの構成状態に関する情報、または、Bluetoothリンクの数とタイプに関する情報を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
さらなる特徴および利点が、付属の図面において示された本発明の好ましい実施形態についての下記のより詳細な説明から明らかになるだろう。なお、すべての図面を通して、同一の参照番号は、概して同一の部品または要素を指すものとする。
【
図1】
図1は、本発明に係る、統合されたBluetoothおよびWLAN通信システムのアーキテクチャの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る、WLANの下りリンク・トラヒックを保護するためのBluetooth送信の抑制を示す通信トラヒックを表した図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る、帯域幅マルチプレクサによる、時間ブロックの連続した割り当ての一実施形態の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態において使用される、3ワイヤPTAプロトコルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
まずはじめに、本開示は、特に例示的なマテリアル、アーキテクチャ、ルーチン、方法、または構造に限定されず、言うまでもなく多様であり得るということが、理解されるべきである。したがって、ここに説明されるオプションと同様または同等の多数のオプションが本開示の実施形態の実現において使用され得るが、本明細書においては、好ましいマテリアルおよび方法が説明されている。
【0022】
また、ここで使用される専門用語は、単に本開示の特定の実施形態を説明する目的で使用されているにすぎず、限定を意図するものではないということが理解されるべきである。
【0023】
そうでないと定義されていない限り、ここに使用される、すべての技術用語および科学用語は、本開示に係る当業者によって一般的に理解される意味と同一の意味を有する。
【0024】
さらに、上記下記問わず、ここに引用されるすべての刊行物、特許公報、および特許出願は、その全内容が引用によりここに組み込まれる。
【0025】
最後に、本明細書および付属の特許請求の範囲において使用される場合、“a”、“an”、および“the”といった単数形の指示語は、そうでないことが内容から明示されない限り、複数形の指示対象を含むものとする。
【0026】
上述したように、単一のデバイス内におけるWLAN通信システムとBluetooth通信システムとの効率的な共存を可能にするシステムおよび方法を提供することが必要とされている。
図1に示すように、本開示の共存の解決に適したアーキテクチャ100が、WLAN通信能力とBluetooth通信能力の両方を有するデバイス内に示されている。一般的に、WLANモジュール102は、ハードウェア部分104とソフトウェア部分106とを含む。理解されるように、ソフトウェア部分106は、デバイスとハードウェア部分104との間の通信に必要なドライバ・ソフトウェアを含む。ソフトウェア部分106はまた、下記において詳細に説明される帯域幅マルチプレクサ108を含む。同様に、Bluetoothモジュール110は慣例的に、デバイスに存在するBluetoothスタック・ソフトウェア116と通信する、ハードウェア部分112とファームウェア部分114とを含む。
【0027】
パケット・トラヒック・インタフェース118が、WLANハードウェア部分104とBluetoothハードウェア部分112とを接続する。インタフェース118についてのさらなる詳細が下記において説明されるが、一実施形態において、インタフェース118は、当該技術で周知の3ワイヤPTAインタフェースを含む。ソフトウェアに基づいた共存エージェント120が、WLANのソフトウェア部分106とBluetoothスタック116との間で情報を受け渡しするように構成される。
【0028】
共存エージェント120は、WLANシステムとBluetoothシステムとの間で有用な情報を伝達するアプリケーション・ソフトウェア・モジュールである。たとえば、接続されたBluetoothクライアントの数およびタイプと、Bluetoothスキャニングの開始時刻および終了時刻と、基本データ・レート(BDR)能力または拡張データ・レート(EDR)能力と、に関連するBluetoothプロファイル情報が、WLANシステムに伝達される。下記において説明されるように、帯域幅マルチプレクサ108が、そのような情報を使用して、時間ブロックを設定し、WLANシステムとBluetoothシステムとの間で使用を割り当てる。また、WLANの構成に関する情報もBluetoothシステムに渡される。たとえば、WLANシステムの中心周波数とチャネル幅がBluetoothシステムに伝達され、AFHアルゴリズムを改善するのに役立ち、WLANによって使用されるスペクトラムに干渉しそうなチャネルでのBluetooth送信を回避するのに役立つ。共存エージェントの動作および実現についてのさらなる詳細は、2009年12月8日に出願された同時係属中の米国特許出願番号第12/633,150号において説明されており、その全内容は、引用によりここに組み込まれる。
【0029】
WLANシステムの下りリンク・トラヒックを保護することは、Bluetooth通信とWLAN通信の共存を改善するのに役立つことができる。上述したように、WLANアクセス・ポイントがBluetoothトラヒックのことを知らずに、非常に多くのドロップしたパケットが生じた場合、WLANアクセス・ポイントは、送信レートを低下させ、それに応じて、より多くのエア・タイムを消費するだろう。したがって、本開示のシステムおよび方法は、Bluetooth送信を、選択された時間期間の間、選択的に抑制、すなわち「ストンピング」することにより、WLANトラヒックが、物理層レートを回復し、アクセス・ポイントによる低下を回避できるようにするためのものである。WLANの上りリンク・トラヒックもまた、これらの時間期間の間、容易となる。
【0030】
図2は、この機能の効果を概略的に示したものである。上段200は、WLANトラヒックを示し、上矢印は上りリンク・パケットを、下矢印は下りリンク・トラヒックを、両矢印はその両方を示す。中段202は、WLANアクティビティの状態を示す。下段204は、Bluetoothアクティビティの状態を示す。すなわち、Bluetoothアクティビティがアサートにされ、WLANアクティビティがディアサートにされた場合、WLANの上りリンク・パケットは許可されないが、下りリンク・パケットであるグループ206、208、210、および212は受信されることができる。Bluetoothアクティビティがディアサートにされ、WLANアクティビティがディアサートにされた場合、WLANの上りリンク・パケット214および216が許可される。最後に、WLANアクティビティがアサートにされた場合、すべてのWLANパケット、すなわち、グループ218および220が許可され、Bluetooth送信であるグループ222および224がストンピングされる。下記において説明されるように、WLANアクティビティ期間の間、すべてのBluetooth送信がブロックされるか、または、ある特定のBluetoothアプリケーションに対する所望のサービス品質を保証し続けるために高いプライオリティの送信が許可される一方で、低いプライオリティの送信はブロックされることができる。
【0031】
図2に示した振る舞いは、帯域幅マルチプレクサ108を使用して、時間ブロックを設定し、その使用をWLAN通信とBluetooth通信との間で割り当てる、本開示のシステムおよび方法によって実現される。マルチプレクサ108は、好ましくは約10〜100msの長さの時間ブロックを確立し、その時間ブロックの間、帯域幅は、BluetoothとWLANとの間でアクティブに割り当てられる。
図3は、マルチプレクサ108の演算を示したものであり、帯域幅300は、時間ブロック302に分割され、そのうちの2つが示されている。この実施形態において、時間ブロックは40msの長さである。各ブロック内で、帯域幅は、セグメント304とセグメント306とに割り当てられ、セグメント304は、Bluetooth通信のために予約され、セグメント306は、WLAN通信のために予約される。理解されるように、Bluetoothのインアクティビティにより未使用のままのセグメント304の任意の部分は、WLANトラヒックによって満たされることができる。示された実施形態において、帯域幅300の70%までに相当するセグメント304では、Bluetoothにプライオリティが与えられ、帯域幅300の30%に相当するセグメント306では、低いプライオリティのBluetooth通信はストンピングされ、WLANの下りリンク・トラヒックが保護されるだろう。セグメント304とセグメント306が隣接して示されていても、当業者は、これらが単に帯域幅の相対的なパーセンテージの割り当てを示す表現にすぎないことを理解するだろう。実際、アクセスは、WLANトラヒックとBluetoothトラヒックとの間で、各時間ブロック302の間に、繰り返し入れ替わり得るが、全体の割り当ては、所望のパーセンテージに対応するだろう。
【0032】
好ましくは、マルチプレクサ108は、部分的には、WLANの下りリンク・トラヒックと上りリンク・トラヒックの両方を制御することによって、所望の帯域幅の割り当てを実現する。マルチプレクサ108は、所望の帯域幅の割り当てに対応する長さの時間の間、送信をバッファするようWLANアクセス・ポイントにシグナリングすることによって、下りリンク・トラヒックを調整する。好ましい実施形態において、マルチプレクサ108は、このシグナリング機能を実現するために、既存のパワー・セービング・プロトコルを利用する。たとえば、マルチプレクサ108は、アクセス・ポイントに対し、送信が保留にされねばならないことを通知するセット・パワー・セーブ(PS)ビットを送り、ついで、送信を再開するためにクリアPSビットを送ることができる。従来のパワー・セーブ・モードと違って、WLANハードウェア104はアウェイクのままなので、アクセス・ポイントに対しシグナリングが行われ送信が再開されたときに遅延が生じない。
【0033】
オプションで、アクセス・ポイントが送信を保留にしている時間期間の間、衝突するBluetoothアクティビティが存在しない場合、マルチプレクサ108は、アクセス・ポイントに対し、単一のフレームの送信を要求する信号を送信することができる。同様に、マルチプレクサ108は、Bluetoothトラヒックが、割り当てられた帯域幅を消費するに足らない場合、その時間ブロックの間、WLAN送信の合計の長さを制限しながら、WLANパケットのスケジューリングを許可することにより、WLANの上りリンク・トラヒックを調整する。また、レガシーPSM(パワー・セーブ・モード(Power Save Mode))、PSポールおよび連続アウェイク・モード/パワー・セーブ・モード(PS-Poll and Continually Awake Mode/Power Save Mode)(CAM/PSMの切り替え(CAM/PSM switching))、またはスケジューリング外の非同期パワー・セーブ・デリバリ(U−APSD:Unscheduled Asynchronous Power Save Delivery)に関連する、アクセス・ポイントにシグナリングするための他のストラテジも使用され得ることに注意すべきである。
【0034】
理解されるように、WLANリンクおよびBluetoothリンクの状態を反映させるために、マルチプレクサによって実行された帯域幅の割り当てを調節することが所望される。WLANシステムには、4つの主な状態がある。すなわち、接続、切断、スキャニング、対応付け(associating)である。同様に、Bluetoothシステムは、3つの主な状態を有するものと考えられ得る。すなわち、オン、オフ、管理である。これらの可能な状態から、WLANの状態とBluetoothの状態との組み合わせが12個作られる。WLANが切断されているか、Bluetoothがオフであるか、のいずれかの状況では、共存は不要であるので、マルチプレクサ108は全帯域幅を割り当てる。WLANの対応付け状態は、比較的重要な処理であるので、この状態の間は、WLANシステムに対する帯域幅のプライオリティにスキューを生じさせることが望ましい。一方で、WLANのスキャニング状態は、さほど重要ではないので、Bluetoothシステムに、より多くの帯域幅が割り当てられることができる。さらに、Bluetoothの管理状態もまた、オン状態と比較すると、さほど重要でないので、Bluetoothの管理の間は、WLANシステムに、より多くの帯域幅が割り当てられることができる。表1は、40msの時間ブロックでの使用に適した、WLANの状態とBluetoothの状態とに基づいた適切な帯域幅の割り当てスキームの一例を示す。
【表1】
【0035】
たとえば、Bluetoothがオンの場合、比較的低いプライオリティであるWLANのスキャニング状態は、好ましくは、より多くの帯域幅の割り当てをBluetoothに許可するという結果をもたらし、たとえば、高いプライオリティのBluetooth送信はすべて許可され、低いプライオリティのBluetooth送信はその時間の40%の間ストンピングされ、その時間の残りの60%の間は、どのBluetooth送信もストンピングされない。比較的より高いプライオリティであるWLANの対応付け状態の場合、すべてのBluetooth送信がその時間の60%の間ストンピングされ、低いプライオリティのBluetooth送信は、その時間の残りの40%の間もストンピングされる。
【0036】
最後に、WLANが接続で、Bluetoothがオンの場合、接続されたBluetoothクライアントの数と、それらの能力と、必要とされるサービスのタイプとに基づいて帯域幅を割り当てることが望ましい。表1においてこれは、デバイスに依存、と示されている。
【0037】
一般的に、Bluetoothリンクには、2つのタイプがある。すなわち、SCO(同期コネクション指向(Synchronous Connection-Oriented))リンクと、ACL(非同期コネクション・レス(Asynchronous Connection-Less))リンクである。拡張SCO(eSCO:Extended SCO)リンクは、SCOリンクと同様であるが、再送を可能にする。SCOリンクは、マスタと単一のスレーブとの間の対称的なポイント・ツー・ポイント・リンクであり、SCOリンクは、規則的な間隔で、予約されたスロットを使用することにより維持される。主として、SCOリンクは、たとえば、ヘッドセットのアプリケーションにおいて、音声情報を搬送するために使用される。ACLリンクは、マスタと、関連づけられた複数のスレーブとの間のポイント・ツー・マルチポイント・リンクである。
【0038】
理解されるように、ある特定のタイプのBluetooth通信は、高いサービス品質を必要とする。たとえば、オーディオ情報の正常な送信は、ヘッドセットのアプリケーションでの双方向の送信にせよ、音楽をストリーミングする場合の一方向の送信にせよ、パケット損失の問題またはタイミングの問題に対する耐性が比較的低い。しばしば、特定のタイプのBluetooth通信に関連づけられた共通の特性の組み合わせが、対応するプロファイルにおいて指定される。たとえば、アドバンスト・オーディオ・ディストリビューション・プロファイル(A2DP:Advanced Audio Distribution Profile)が、高品質のオーディオをストリーミングするために使用される一方で、ヘッドセット・プロファイル(HSP:Headset Profile)およびハンズ・フリー・プロファイル(HFP:Hands-Free Profile)が、モバイル・フォンとの通信のために使用される。したがって、相対的な帯域幅の割り当て、ならびに時間ブロックのサイズは、存在しているBluetooth通信のタイプを最適化するように構成されることができる。
【0039】
好ましくは、上記ファクタのうちのいずれか、またはすべてが、WLANシステムとBluetoothシステムとの間で帯域幅を割り当てるために、マルチプレクサ108によって使用される。たとえば、一実施形態において、BDRを使用するBluetoothリンクには、EDRリンクよりも多い帯域幅の割り当てが与えられる。また、好ましくは、Bluetoothに割り当てられる帯域幅の量は、約90%までに制限され、そうでなければ、共存可能なWLANリンクを維持することが非常に難しくなり得る。一実施形態では、Bluetooth接続の数とタイプが、表2に示すように、帯域幅を割り当てるために使用される。
【表2】
【0040】
図1に示すように、WLANモジュールの送信状態とBluetoothモジュールの送信状態とに関する情報が、インタフェース118によって伝達される。好ましい実施形態において、インタフェース118は、従来の3ワイヤPTA、すなわち、
図4に概略的に示したスロット・モード・プロトコルに準拠する。WLANハードウェア104とBluetoothハードウェア112は、3つのワイヤによりリンクする。Bluetoothモジュール110が、WLANに対し、BT_アクティブ・ワイヤ402とBT_プライオリティ・ワイヤ404とによって、アクティビティとプライオリティとをシグナリングする一方で、WLANモジュール102は、WLAN_アクティブ・ワイヤ406を使用して、WLANアクティビティをシグナリングする。
【0041】
BT_アクティブ・ワイヤ402は、Bluetooth通信が存在するかどうかを示し、BT_プライオリティ・ワイヤ404は、その通信のプライオリティが高いか低いかを示す。オプションで、BT_プライオリティ・ワイヤ404は、Bluetoothアクティビティの開始時にプライオリティをシグナリングするために使用され、その後、そのアクティビティが送信または受信されたかどうかを示すために使用される。
【0042】
3ワイヤPTAプロトコルにおいては、どのシステムが媒体へのアクセスを許可されるかを決定する処理が、媒体アクセス制御(MAC)層において、WLANモジュールにより実行される。このアービトレーションの結果は、WLAN_アクティブ・ワイヤ406を使用してシグナリングされる。このように、マルチプレクサ108が、時間ブロックにわたる所望の帯域幅の割り当てを生成するためにWLANトラヒックを調整する一方で、PTAロジックが、所望の割り当てを満足するために、パケットごとに、WLANとBTとの間で、媒体へのアクセスをアービトレートする。たとえば、WLANとBluetoothの両方がアクティブである状況では、セグメント304の間、すべてのBluetoothトラヒックが許可され、ギャップがあればそのギャップはWLANトラヒックによって満たされ、セグメント306の間、低いプライオリティのBluetoothトラヒックはすべてブロックされるものの、高いプライオリティのBluetoothトラヒックは許可され、WLANトラヒックが許可される。WLANおよびBluetoothの考えられる他の状態、たとえば、WLANが対応付けで、Bluetoothが管理の間、上述した割り当てを実現するために、同じ技法が適用される。
【0043】
あるいは、本開示は、4ワイヤPTAプロトコルに適用されることができ、4ワイヤPTAプロトコルでは、限られたチャネルで通信が行われているかどうかを示すために使用されるBluetooth周波数の第4のワイヤが、ゼロに接地される。PTA技法の実現についてのさらなる詳細は、IEEE802.15プロトコルにおいて得られることができる。
【0044】
本開示の好ましい実施形態がここに説明された。しかしながら、本発明に係る当業者は、本開示の原理が、適切な修正により、他の応用例に容易に拡張され得ることを理解するだろう。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
WLAN通信とBluetooth通信とを制御するための方法であって、
a)ハードウェア部分を有するWLANモジュールと、ハードウェア部分を有するBluetoothモジュールと、前記WLANモジュールのハードウェア部分と前記Bluetoothモジュールのハードウェア部分との間のパケット・トラヒック・インタフェースと、を有するデバイスを提供することと、
b)利用可能な通信帯域幅を時間ブロックに分割することと、
c)時間ブロックにおける帯域幅を第1のセグメントと第2のセグメントとに割り当てることと、
d)前記第1のセグメントについて、Bluetooth通信にプライオリティを割り当てることと、前記第2のセグメントについて、WLAN通信にプライオリティを割り当てることと、
e)前記第1のセグメントの間に、前記インタフェースを介して前記Bluetoothモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングすることと
を備える方法。
[C2]
前記第1のセグメントの間に、送信をバッファするようWLANアクセス・ポイントにシグナリングすることによって、WLAN通信を調整することをさらに備える、C1に記載の方法。
[C3]
前記送信をバッファするためのWLANアクセス・ポイントへのシグナリングは、パワー・セーブ信号を送ることを備える、C2に記載の方法。
[C4]
前記第1のセグメントの間に、WLAN信号の受信を許可することと、WLAN信号の送信をブロックすることとによって、WLAN通信を調整することをさらに備える、C1に記載の方法。
[C5]
前記帯域幅を割り当てることは、Bluetoothリンクについての情報に基づく、C1に記載の方法。
[C6]
前記帯域幅を割り当てることは、前記WLANモジュールの状態と前記Bluetoothモジュールの状態とに基づく、C1に記載の方法。
[C7]
高いプライオリティのBluetooth送信が許可されるように、前記第2のセグメントの間に、前記インタフェースを介して、前記Bluetoothモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングすることをさらに備える、C1に記載の方法。
[C8]
前記第2のセグメントの間に、前記インタフェースを介して、前記Bluetoothモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングすることは、低いプライオリティのBluetooth送信を許可しない、C7に記載の方法。
[C9]
前記第2のセグメントの間に、前記インタフェースを介して、前記Bluetoothモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングすることは、低いプライオリティのBluetooth送信を許可する、C7に記載の方法。
[C10]
共存エージェントを用いて、前記WLANモジュールのソフトウェア部分と前記Bluetoothモジュールのソフトウェア部分との間で情報を転送することをさらに備える、C1に記載の方法。
[C11]
前記共存エージェントによって転送される情報は、前記WLANの構成状態に関する情報と、Bluetoothリンクの数とタイプに関する情報と、からなるグループから選択される、C10に記載の方法。
[C12]
WLAN通信とBluetooth通信とを制御するための装置であって、
ハードウェア部分とソフトウェア部分とを有するWLANモジュールと、
ハードウェア部分を有するBluetoothモジュールと、
前記WLANハードウェア部分と前記Bluetoothハードウェア部分との間のパケット・トラヒック・インタフェースと
を有するデバイス
を含む装置であって、前記WLANモジュールのソフトウェア部分は、
利用可能な通信帯域幅を時間ブロックに分割し、
時間ブロックにおける帯域幅を第1のセグメントと第2のセグメントとに割り当て、
前記第1のセグメントについて、Bluetooth通信にプライオリティを割り当て、前記第2のセグメントについて、WLAN通信にプライオリティを割り当て、
前記第1のセグメントの間に、前記インタフェースを介して、前記Bluetoothモジュールのハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングする
ように構成される、装置。
[C13]
前記WLANモジュールのソフトウェア部分はさらに、前記第1のセグメントの間に、送信をバッファするようWLANアクセス・ポイントにシグナリングすることによって、WLAN通信を調整するように構成される、C12に記載の装置。
[C14]
前記WLANモジュールのソフトウェア部分は、パワー・セーブ信号を送ることにより、送信をバッファするよう前記WLANアクセス・ポイントにシグナリングする、C13に記載の装置。
[C15]
前記WLANモジュールのソフトウェア部分は、前記第1のセグメントの間に、WLAN信号の受信を許可することと、WLAN信号の送信をブロックすることとによって、WLAN通信を調整するように構成される、C12に記載の装置。
[C16]
前記WLANモジュールのソフトウェア部分は、Bluetoothリンクについての情報に基づいて帯域幅を割り当てる、C12に記載の装置。
[C17]
前記WLANモジュールのソフトウェア部分は、前記WLANモジュールの状態と前記Bluetoothモジュールの状態とに基づいて帯域幅を割り当てる、C12に記載の装置。
[C18]
前記WLANモジュールのソフトウェア部分はさらに、高いプライオリティのBluetooth送信が許可されるように、前記第2のセグメントの間に、前記インタフェースを介して、前記Bluetoothハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングするように構成される、C12に記載の装置。
[C19]
前記WLANモジュールのソフトウェア部分はさらに、低いプライオリティのBluetooth送信が許可されないように、前記第2のセグメントの間に、前記インタフェースを介して、前記Bluetoothハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングするように構成される、C18に記載の装置。
[C20]
前記WLANモジュールのソフトウェア部分はさらに、低いプライオリティのBluetooth送信が許可されるように、前記第2のセグメントの間に、前記インタフェースを介して、前記Bluetoothハードウェア部分に無線アクセスをシグナリングするように構成される、C18に記載の装置。
[C21]
前記WLANモジュールのソフトウェア部分と前記Bluetoothモジュールのソフトウェア部分との間で情報を転送するように構成された共存エージェントをさらに備える、C12に記載の装置。
[C22]
前記共存エージェントによって転送される情報は、前記WLANの構成状態に関する情報と、Bluetoothリンクの数とタイプに関する情報と、からなるグループから選択される、C21に記載の装置。