特許第5797748号(P5797748)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797748
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】骨アンカー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/68 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   A61B17/58 310
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-511324(P2013-511324)
(86)(22)【出願日】2011年5月18日
(65)【公表番号】特表2013-526374(P2013-526374A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】US2011036966
(87)【国際公開番号】WO2011146593
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2014年4月22日
(31)【優先権主張番号】61/346,157
(32)【優先日】2010年5月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ミチェリ・マイケル・カール
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ・ブライアン・エス
(72)【発明者】
【氏名】ホール・マーク
(72)【発明者】
【氏名】コーミアー・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】サーハン・ハッサン
【審査官】 毛利 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−527279(JP,A)
【文献】 特開2009−240776(JP,A)
【文献】 特表2007−530216(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0187447(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨アンカーアセンブリであって、
近位ヘッドと、骨に係合するように構成された遠位シャフトとを有する骨アンカーであって、前記遠位シャフトが、遠位ねじ山付きセクションと、近位ねじ山付きセクションとを含み、前記遠位ねじ山付きセクションが、第1のピッチと、第1のねじ山の条数とを有し、前記近位ねじ山付きセクションが、前記第1のピッチ未満の第2のピッチと、前記第1のねじ山の条数を上回る第2のねじ山の条数とを有し、前記遠位ねじ山付きセクション及び前記近位ねじ山付きセクションが、一定のリードを有し、前記第1のねじ山の条数が2であり、前記第2のねじ山の条数が4である、骨アンカーと、
前記骨アンカーに連結されるように脊柱固定要素を受容するための受容部材であって、
間に陥凹を画定する一対の離間されたアームを有する近位端と、
前記骨アンカーの少なくとも一部分が通って延在する開口を画定する遠位端表面を有する遠位端と、を有する、受容部材と、
前記受容部材内で脊柱固定要素を捕捉し、前記受容部材に対して前記脊柱固定要素を固定するように、前記アーム間で位置付け可能であり、かつそれらに係合する閉鎖機構と、を備え、
前記遠位ねじ山付きセクションが山径を有し、前記近位ねじ山付きセクションが山径を有し、前記遠位ねじ山付きセクションの前記山径が、前記近位ねじ山付きセクションの前記山径と等しく、
前記遠位ねじ山付きセクションが谷径を有し、前記近位ねじ山付きセクションが谷径を有し、前記近位ねじ山付きセクションの前記谷径が、前記遠位ねじ山付きセクションの前記谷径より大きく、
前記遠位ねじ山付きセクションが軸長を有し、前記遠位ねじ山付きセクションの前記谷径が、前記遠位ねじ山付きセクションの軸長にわたり一定であり、
前記近位ねじ山付きセクションが軸長を有し、前記近位ねじ山付きセクションの前記谷径が、前記近位ねじ山付きセクションの軸長にわたり一定である、骨アンカーアセンブリ。
【請求項2】
前記第1のピッチがmmであり、前記第2のピッチが1.5mmであり、前記一定のリードが6mmである、請求項に記載の骨アンカーアセンブリ。
【請求項3】
前記骨アンカーが、前記近位ヘッドから前記遠位シャフトを通って延在する中央通路を含む、請求項1に記載の骨アンカーアセンブリ。
【請求項4】
前記シャフトが、前記中央通路と連通する、複数の側壁開口を含む、請求項に記載の骨アンカーアセンブリ。
【請求項5】
前記側壁開口が、前記中央通路から前記遠位シャフトの側壁を通って半径方向に延在する、請求項に記載の骨アンカーアセンブリ。
【請求項6】
前記遠位ねじ山付きセクションが軸長を有し、前記遠位ねじ山付きセクションの前記山径が、前記遠位ねじ山付きセクションの軸長にわたり一定である、請求項に記載の骨アンカーアセンブリ。
【請求項7】
前記近位ねじ山付きセクションが軸長を有し、前記近位ねじ山付きセクションの前記山径が、前記近位ねじ山付きセクションの軸長にわたり一定である、請求項に記載の骨アンカーアセンブリ。
【請求項8】
前記近位ねじ山付きセクションが、14mm〜26mmの軸長を有する、請求項1に記載の骨アンカーアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
骨アンカーは整形外科手術において、治癒又は融合プロセス中に骨を固定するために使用され得る。脊椎手術において、骨アンカーは、堅固に(椎骨間の相対運動が所望されない)、及び動的に(椎骨間の制限された、制御された運動が所望される)のいずれかで、複数の椎骨を安定化するように、脊椎ロッドといった脊柱固定要素とともに使用され得る。骨アンカーを使用することの問題の1つは、治癒又は融合プロセス完了の前に骨アンカーが骨から抜け得る又は転置し得ることである。この問題は、骨粗鬆症の骨などの低品質の骨に骨アンカーが配置された場合に特によく起こる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
したがって、アンカーが抜け出る事例を最小化する、改善された骨アンカーに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
改善された骨アンカーアセンブリ、特に、堅固に又は動的にのいずれかで、複数の椎骨を固定するように脊柱固定要素と併せて使用される、改善された骨アンカーアセンブリを本明細書において開示する。
【0004】
一態様によると、骨アンカーアセンブリは、骨アンカーと、骨アンカーに連結されるように脊柱固定要素を受容するための受容部材と、受容部材内で脊柱固定要素を捕捉し、受容部材に対して脊柱固定要素を固定するための閉鎖機構とを備えてもよい。骨アンカーは、近位ヘッドと、骨に係合するように構成された遠位シャフトとを有してもよい。遠位シャフトは、遠位ねじ山付きセクションと、近位ねじ山付きセクションとを含んでもよい。遠位ねじ山付きセクションは、第1のピッチと、第1のねじ山の条数(first number of thread starts)とを有してもよく、近位ねじ山付きセクションは、第1のピッチ未満の第2のピッチと、第1のねじ山の条数を上回る第2のねじ山の条数とを有してもよい。遠位ねじ山付きセクション及び近位ねじ山付きセクションは、一定のリードを有してもよい。受容部材は、間に陥凹を画定する一対の離間されたアームを有する近位端と、骨アンカーの少なくとも一部分が通って延在する開口を画定する遠位端表面を有する遠位端とを有してもよい。閉鎖機構は、受容部材内で脊柱固定要素を捕捉し、受容部材に対して脊柱固定要素を固定するように、受容部材間で位置付け可能であってもよく、かつそれらに係合してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に開示される装置及び方法のこれら及び他の特徴及び利点は、添付の図面とともに以下の「発明を実施するための形態」を参照することによって、より十分に理解され、これらにおいて、同様の参照番号は、異なる視点での同様の要素を指す。図面は、本明細書に開示される装置及び方法の原理を例解するものであり、縮尺は正確ではないが、相対的な寸法を示している。
図1】骨アンカーアセンブリの例示的な実施形態の斜視図。
図2図1の骨アンカーアセンブリの側面図。
図3図1の骨アンカーアセンブリの断面における側面図。
図4図1の骨アンカーアセンブリの骨アンカーの側面図。
図5図1の骨アンカーアセンブリの骨アンカーの遠位ねじ山付きセクションの断面図。
図6図1の骨アンカーアセンブリの骨アンカーの近位ねじ山付きセクションの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書に開示される装置並びに方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が与えられるよう、特定の例示的実施形態について以下に説明する。これらの実施形態の1以上の例を添付図面に示す。通常の当業者は、本明細書に明確に記載され、添付の図面に示される装置及び方法が、非限定の代表的な実施形態であり、本発明の範囲は、「特許請求の範囲」のみにより定義されることを理解するであろう。ある例示的実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。そのような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0007】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、1つ又は1つを超える(即ち、少なくとも1つ)の目的語たる物品を指すものとして使用される。例えば「an element」は、1つの要素又は1つを超える要素を意味する。
【0008】
用語「備える」、「含む」及び「有する」並びにこれらの派生語は、本明細書では包括的な、制限のない用語として、互換可能に使用される。例えば、「備える」、「含む」又は「有する」の使用は、要素を備え、有し、又は含むことを意味し、動詞を含む節の主語によってその要素だけが包含されていることを意味するものではない。
【0009】
図1〜3は、骨アンカー12と、骨アンカー12に連結されるように、脊椎ロッドといった脊柱固定要素を受容するための受容部材14と、受容部材14内で脊柱固定要素を捕捉し、受容部材14に対して脊柱固定要素を固定するための閉鎖機構16と含む、骨アンカーアセンブリ10の例示的な実施形態を例解する。骨アンカー12は、近位ヘッド18と、骨に係合するように構成された遠位シャフト20とを含む。遠位シャフト20は、遠位ねじ山付きセクション22と、近位ねじ山付きセクション24とを有する。遠位ねじ山付きセクション22は、第1のピッチと、第1のねじ山の条数とを有してもよく、近位ねじ山付きセクション24は、第1のピッチ未満の第2のピッチと、第1のねじ山の条数を上回る第2のねじ山の条数とを有してもよい。遠位ねじ山付きセクション22及び近位ねじ山付きセクション24は、一定のリードを有してもよい。受容部材14は、間に陥凹30を画定する一対の離間されたアーム28A、28Bを有する近位端26と、骨アンカー12の少なくとも一部分が通って延在する開口を画定する遠位端表面34を有する遠位端32とを有する。閉鎖機構16は、受容部材14内で脊柱固定要素を捕捉し、受容部材14に対して脊柱固定要素を固定するように、アーム28A、28B間で位置付け可能であってもよく、かつそれらに係合してもよい。
【0010】
図1〜3への参照を続け、図4も参照すると、例示的な実施形態における骨アンカー12の近位ヘッド16は、概して、平面近位表面36と、ほぼ球面形状の遠位表面38とを有する切頂球体の形状である。例示的な骨アンカーアセンブリは、椎骨の椎弓根又は外側塊に後方埋め込みのために設計される多軸骨スクリュである。この点において、骨アンカー12の近位ヘッド18は、近位ヘッド18、ひいては遠位シャフト20が、受容部材14に対して枢動することができる、ボールソケット様配設において、受容部材14の遠位端32に係合する。骨アンカー12の近位ヘッド18の遠位表面38、及び受容部材14の遠位端32の嵌合表面は、例えば、球状(例解されるように)、トロイダル、円錐、円錐台形、及びこれらの形状の任意の組み合わせを含む、このボールソケット様配設を容易にする任意の形状を有してもよい。
【0011】
骨アンカー12の遠位シャフト20は、例えば、低侵襲手技において、ガイドワイヤにわたって骨アンカー12の送達を容易にするように、骨アンカー12の長さに延在する中央通路又はカニューレ40を有する、カニューレを取り付けられてもよい。遠位シャフト20はまた、骨内部成長を可能にするように、又は骨アンカー10を通して骨セメント若しくは他の材料の分注を可能にするようにカニューレ40と連通する、1つ以上の側壁開口42又は開窓を含んでもよい。側壁開口42は、カニューレ40から遠位シャフト20の側壁を通って、半径方向に延在する。骨セメントを骨アンカーアセンブリ10に送達するための例示的なシステム、及びセメント送達を容易にするための代替的な骨アンカー構成は、本明細書において参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2010/0114174号に説明される。骨アンカー12の遠位シャフト20はまた、例えばヒドロキシルアパタイトといった、骨成長を可能にする材料で被覆されてもよく、骨アンカーアセンブリ10は、例えばトリクロサンといった、抗感染材料で全部又は一部が被覆されてもよい。
【0012】
図1〜3への参照を続けると、例示的な骨アンカーアセンブリ10の受容部材14の近位端26は、脊柱固定要素を受容するための、間にU形状の陥凹30を画定する一対の離間されたアーム28A、28Bを含む。受容部材14の遠位端32は、略円筒形状であり、骨アンカー12の少なくとも一部分が通って延在する円形開口を画定する略環状形状である、遠位端表面34を含む。例えば、骨アンカー12の遠位シャフト20は、開口を通って延在してもよい。受容部材14の近位端26の各アーム28A、28Bは、受容部材14の遠位端32から自由端に延在する。各アーム28A、28Bの外面は、受容部材14、ひいては骨アンカーアセンブリ10の、機器への接続を容易にするように、陥凹、ディンプル、ノッチ、突起、又は同等のものといった特徴を含んでもよい。例示的な実施形態において、例えば、各アーム28A、28Bの外面は、アームのそれぞれの自由端に弓状の溝44A、44BAを含む。かかる溝は、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第7,179,261号に説明される。
【0013】
受容部材14の近位端26は、内部セットスクリュ(閉鎖機構16)又は外部キャップ若しくはナットといった閉鎖機構を受容するように構成されてもよい。例えば、各アーム28A、28Bの内面は、受容部材14への閉鎖機構16の接続を容易にするように、陥凹、ディンプル、ノッチ、突起、ねじ山、又は同等のものといった特徴を含んでもよい。例示的な実施形態において、例えば、各アーム28A、28Bの内面は、閉鎖機構16に係合するために、各アーム28A、28Bの内面上に内部ねじ山46を含む。例示的な実施形態において、自由な、近位端のねじ山の条(starts)は、アーム28A、28Bの長さの少なくとも一部分に沿って、遠位に延在する。
【0014】
例示的な実施形態における閉鎖機構16は、受容部材の陥凹30内で脊柱固定要素を捕捉し、かつ完全に締め付けた時に、受容部材14に対して脊柱固定要素を固定するように、受容部材の内部ねじ山に係合する、外部ねじ山を有する内部セットスクリュである。代替的に、閉鎖機構は、例えばDePuy Spine,Inc.(Raynham,MA)から入手可能なExpedium Dual Innie Polyaxial Screwといった、内部及び外部セットスクリュを有する二重閉鎖機構であってもよい。加えて、閉鎖機構は、例えばDePuy Spine,Inc.(Raynham,MA)から入手可能なMonarch Typhoon Capといった、及び参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第6,755,829号に説明される、キャップにおいて非ねじ山付きツイストであってもよい。
【0015】
例示的な骨アンカーアセンブリ10は、堅固な脊椎ロッドといった脊柱固定要素とともに使用されてもよい。脊椎ロッドは、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム、PEEK、又は堅固な固定に好適な他の材料で構築されてもよい。代替的に、脊柱固定要素は、機器の付いた椎骨間で制御された可動性を可能にする動的安定化部材であってもよい。
【0016】
例示的な骨アンカーアセンブリは、脊柱固定要素が骨アンカーアセンブリの受容部材14に固定される時、骨アンカー12が、可動ではなくむしろ、固定される、堅固な多軸スクリュである。脊柱固定要素は、骨アンカー12の近位ヘッド18に直接接触してもよいか、又は中間要素、例えば、脊柱固定要素が、閉鎖機構によって骨アンカーアセンブリの受容部材16に固定される時、近位ヘッド18の遠位外面を圧縮して、受容部材18の遠位内面と直接、固定された係合にするように、脊柱固定要素と、骨アンカー12の近位ヘッド18との間に介在される、圧縮部材100と接触してもよい。代替的な実施形態において、骨アンカーアセンブリは、脊柱固定要素が受容部材14に固定される時、骨アンカー12の近位ヘッド18が、受容部材14に対して移動することができる、可動スクリュであってもよい。例示的な可動多軸スクリュは、本明細書において参照することにより本明細書に組み込まれる、2009年10月16日出願の米国特許出願第12/580,777号に説明される。代替的に、骨アンカーアセンブリは、一軸スクリュ、好まれる角度の(favored angle)スクリュ、又は一平面上スクリュであってもよい。
【0017】
骨アンカー12の遠位シャフトのねじ山付き遠位セクション22及びねじ山付き近位セクション24は、骨における骨アンカーアセンブリ10の固定を増加させるように構成されてもよい。例えば、椎骨の椎弓根を通って埋め込まれるように設計される骨アンカーアセンブリに関して、ねじ山付き遠位セクション22は、椎骨の前方椎体において海綿骨に係合するように構成されてもよく、ねじ山付き近位セクション24は、椎骨の椎弓根の皮質骨に係合するように構成されてもよい。特に、ねじ山付き遠位セクション22は、近位セクション24のピッチを上回る(即ち、より粗い)ピッチを有してもよい。椎骨への骨アンカー12の挿入を容易にする、及び椎弓根壁の剥離を防止するために、遠位シャフト20は、ねじ山付き遠位セクション22及びねじ山付き近位セクション24の両方とも、一定のねじ山リードを有することができる。ねじ山のリードは、遠位シャフト20が1回転(360°)で回転する時、遠位シャフト20がシャフトの長手方向軸50に平行の方向に移動する距離である。ねじ山のリードは、ねじ山の条数にねじ山のピッチを乗算したものに等しい。ねじ山付き遠位セクション22及びねじ山付き近位セクション24は、異なるピッチを有するため、ねじ山付き遠位セクション22及びねじ山付き近位セクション24は、一定の又は等しいリードを有するために、異なるねじ山の条数を有しなければならない。例示的な多軸骨アンカーアセンブリ10において、例えば、遠位シャフト20のリードは6mmであり、遠位ねじ山付きセクション22のピッチは3mmであり、遠位ねじ山付きセクション22は、2のねじ山を有し(即ち、遠位ねじ山付きセクション22は、二重のねじ山付きである)、近位ねじ山付きセクション24のピッチは1.5mmであり、近位ねじ山付きセクション24は、4のねじ山を有する(即ち、近位ねじ山付きセクション24は、四重のねじ山付きである)。図5は、遠位ねじ山付きセクション22の断面であり、遠位ねじ山付きセクション22の二重ねじ山の2つのねじ山クレスト52A及び52Bを例解する。図6は、近位ねじ山付きセクション24の断面であり、近位ねじ山付きセクション24の四重ねじ山の4つのねじ山クレスト54A〜54Dを例解する。表1は、例示的な骨アンカーアセンブリ10に関する概要を提供する。
【表1】
【0018】
ねじ山付き遠位セクション22及びねじ山付き近位セクション24のリードは、例えば、骨アンカーアセンブリのタイプ(例えば、多軸、一軸、一平面上)、及びアセンブリが埋め込まれるべき椎骨又は他の骨に依存して、変化することができる。腰椎又は胸椎の椎弓根を通って挿入されるように設計される多軸骨アンカーに関して、例えば、リードは、4mm〜8mmであってもよく、遠位ねじ山付きセクション22のピッチは、2mm〜4mmであってもよく、近位ねじ山付きセクション24のピッチは、1mm〜3mmであってもよい。一軸スクリュにおいて、例えば、リードは、2mm〜4mmであってもよい。
【0019】
遠位シャフト20の近位ねじ山付きセクション24の軸長(即ち、長手方向軸50に平行な方向における長さ)は、アセンブリが埋め込まれるべき椎骨又は他の骨に依存して変化することができ、かつ近位ねじ山付きセクション24が係合する骨の長さに対応するように選択されてもよい。腰椎又は胸椎の椎弓根を通って挿入されるように設計される骨アンカーに関して、近位ねじ山付きセクション24の軸長は、椎骨の後方表面から、椎弓根を通って、椎弓根及び椎骨の前方椎体の接合部までの距離を含む、椎弓根の長さに近似するように選択されてもよい。かかる骨アンカーにおいて、近位ねじ山付きセクション24の軸長L1は、14mm〜26mmであってもよく、好ましくは20mmである。遠位シャフト20の軸長もまた、骨アンカー12が挿入されるべき骨に依存して変化してもよい。腰椎又は胸椎の椎弓根を通って挿入されるように設計される骨アンカーに関して、遠位シャフト20の軸長L2は、20mm〜100mmであってもよい。腸骨を通って挿入されるように設計される骨アンカーに関して、遠位シャフト20の軸長L2は、60mm〜150mmであってもよい。
【0020】
遠位ねじ山付きセクション22及び近位ねじ山付きセクション24の径及び径は、骨アンカー12が挿入されるべき骨に基づいて選択されてもよい。腰椎又は胸椎の椎弓根を通って挿入されるように設計される骨アンカー(例示的な骨アンカー12といった)に関して、例えば、遠位ねじ山付きセクション22及び近位ねじ山付きセクション24の径は、4mm〜10mmであってもよい。例示的な実施形態において、遠位ねじ山付きセクション22の径及び近位ねじ山付きセクション24の径は、遠位ねじ山付きセクション22及び近位ねじ山付きセクション24の軸長にわたって等しい、かつ一定である。例示的な実施形態において、近位ねじ山付きセクション24の径は、遠位ねじ山付きセクション22の径より大きい。近位ねじ山付きセクション24の増加した径は、椎骨の椎弓根の骨を圧縮することによって、骨のつかみを増加させる、近位ねじ山付きセクション24のための低減されたねじ山の深さを提供する。遠位ねじ山付きセクション22の径は、遠位ねじ山付きセクション22の軸長にわたって一定であり、近位ねじ山付きセクション24の径は、近位ねじ山付きセクション24の軸長にわたって一定である。径は、段階的に、又は徐々に、遠位ねじ山付きセクション22から近位ねじ山付きセクション24に増加してもよい。表2は、遠位ねじ山付きセクション22及び近位ねじ山付きセクション24に関する例示的な径及び径を提供する。
【表2】
【0021】
代替的な実施形態において、遠位ねじ山付きセクション22の径及び近位ねじ山付きセクション24の径は、遠位ねじ山付きセクション22の軸長及び近位ねじ山付きセクション24の径にわたって等しい、かつ一定であってもよい。
【0022】
代替的な実施形態において、近位ねじ山付きセクション24の径は、遠位ねじ山付きセクション22の径より大きくてもよい。径は、段階的に、又は徐々に、遠位ねじ山付きセクション22から近位ねじ山付きセクション24に増加してもよい。
【0023】
本発明の装置及び方法は、その例示的な実施形態を参照して具体的に示され説明されているが、当業者には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書における形態及び詳細において、さまざまな変更を行えることが理解されるであろう。当業者は、単なる通常の実験を使用するだけで、本明細書に具体的に記載された代表的実施形態に対する数多くの同等物を認識するか、又は確認することができよう。かかる同等物は、本発明及び添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0024】
〔実施の態様〕
(1) 骨アンカーアセンブリであって、
近位ヘッドと、骨に係合するように構成された遠位シャフトとを有する骨アンカーであって、前記遠位シャフトが、遠位ねじ山付きセクションと、近位ねじ山付きセクションとを含み、前記遠位ねじ山付きセクションが、第1のピッチと、第1のねじ山の条数とを有し、前記近位ねじ山付きセクションが、前記第1のピッチ未満の第2のピッチと、前記第1のねじ山の条数を上回る第2のねじ山の条数とを有し、前記遠位ねじ山付きセクション及び前記近位ねじ山付きセクションが、一定のリードを有する、骨アンカーと、
前記骨アンカーに連結されるように脊柱固定要素を受容するための受容部材であって、
間に陥凹を画定する一対の離間されたアームを有する近位端と、
前記骨アンカーの少なくとも一部分が通って延在する開口を画定する遠位端表面を有する遠位端と、を有する、受容部材と、
前記受容部材内で脊柱固定要素を捕捉し、前記受容部材に対して前記脊柱固定要素を固定するように、前記アーム間で位置付け可能であり、かつそれらに係合する閉鎖機構と、を備える、骨アンカーアセンブリ。
(2) 前記第1のねじ山の条数が2であり、前記第2のねじ山の条数が4である、実施態様1に記載の骨アンカーアセンブリ。
(3) 第1のピッチが6mmであり、前記第2のピッチが1.4mmであり、前記一定のリードが6mmである、実施態様2に記載の骨アンカーアセンブリ。
(4) 前記骨アンカーが、前記近位ヘッドから前記遠位シャフトを通って延在する中央通路を含む、実施態様1に記載の骨アンカーアセンブリ。
(5) 前記シャフトが、前記中央通路と連通する、複数の側壁開口を含む、実施態様4に記載の骨アンカーアセンブリ。
(6) 前記側壁開口が、前記中央通路から前記遠位シャフトの側壁を通って半径方向に延在する、実施態様5に記載の骨アンカーアセンブリ。
(7) 前記遠位ねじ山付きセクションが径を有し、前記近位ねじ山付きセクションが径を有し、前記遠位ねじ山付きセクションの前記径が、前記近位ねじ山付きセクションの前記径と等しい、実施態様1に記載の骨アンカーアセンブリ。
(8) 前記遠位ねじ山付きセクションが軸長を有し、前記遠位ねじ山付きセクションの前記径が、前記遠位ねじ山付きセクションの軸長にわたり一定である、実施態様7に記載の骨アンカーアセンブリ。
(9) 前記近位ねじ山付きセクションが軸長を有し、前記近位ねじ山付きセクションの前記径が、前記近位ねじ山付きセクションの軸長にわたり一定である、実施態様8に記載の骨アンカーアセンブリ。
(10) 前記遠位ねじ山付きセクションが径を有し、前記近位ねじ山付きセクションが径を有し、前記近位ねじ山付きセクションの前記径が、前記遠位ねじ山付きセクションの前記径より大きい、実施態様9に記載の骨アンカーアセンブリ。
【0025】
(11) 前記遠位ねじ山付きセクションが軸長を有し、前記遠位ねじ山付きセクションの前記径が、前記遠位ねじ山付きセクションの軸長にわたり一定である、実施態様10に記載の骨アンカーアセンブリ。
(12) 前記近位ねじ山付きセクションが軸長を有し、前記近位ねじ山付きセクションの前記径が、前記近位ねじ山付きセクションの軸長にわたり一定である、実施態様11に記載の骨アンカーアセンブリ。
(13) 前記遠位ねじ山付きセクションが径を有し、前記近位ねじ山付きセクションが径を有し、前記近位ねじ山付きセクションの前記径が、前記遠位ねじ山付きセクションの前記径と等しい、実施態様9に記載の骨アンカーアセンブリ。
(14) 前記遠位ねじ山付きセクションが径を有し、前記近位ねじ山付きセクションが径を有し、前記近位ねじ山付きセクションの前記径が、前記遠位ねじ山付きセクションの前記径より大きい、実施態様1に記載の骨アンカーアセンブリ。
(15) 前記近位ねじ山付きセクションが、14mm〜26mmの軸長を有する、実施態様1に記載の骨アンカーアセンブリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6