特許第5797766号(P5797766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許5797766-水素化変換多金属触媒及びその作製方法 図000002
  • 特許5797766-水素化変換多金属触媒及びその作製方法 図000003
  • 特許5797766-水素化変換多金属触媒及びその作製方法 図000004
  • 特許5797766-水素化変換多金属触媒及びその作製方法 図000005
  • 特許5797766-水素化変換多金属触媒及びその作製方法 図000006
  • 特許5797766-水素化変換多金属触媒及びその作製方法 図000007
  • 特許5797766-水素化変換多金属触媒及びその作製方法 図000008
  • 特許5797766-水素化変換多金属触媒及びその作製方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797766
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】水素化変換多金属触媒及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/94 20060101AFI20151001BHJP
   B01J 23/88 20060101ALI20151001BHJP
   B01J 38/64 20060101ALI20151001BHJP
   B01J 38/74 20060101ALI20151001BHJP
   B01J 38/00 20060101ALI20151001BHJP
   B01J 49/00 20060101ALI20151001BHJP
   B01J 39/18 20060101ALI20151001BHJP
   B01J 41/12 20060101ALI20151001BHJP
   B01J 45/00 20060101ALI20151001BHJP
   C10G 45/08 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   B01J23/94 ZZAB
   B01J23/88 Z
   B01J38/64
   B01J38/74
   B01J38/00 301G
   B01J49/00
   B01J39/18
   B01J41/12
   B01J45/00
   C10G45/08 Z
【請求項の数】27
【全頁数】59
(21)【出願番号】特願2013-538739(P2013-538739)
(86)(22)【出願日】2011年10月18日
(65)【公表番号】特表2014-509924(P2014-509924A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】US2011056645
(87)【国際公開番号】WO2012064467
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年10月20日
(31)【優先権主張番号】61/412,765
(32)【優先日】2010年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クパーマン、アリグザンダー イー.
(72)【発明者】
【氏名】マエセン、テオドラス
(72)【発明者】
【氏名】ダイクストラ、デニス
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ピン
(72)【発明者】
【氏名】ウカング、ソイ
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/070778(WO,A2)
【文献】 国際公開第2009/058783(WO,A1)
【文献】 特開平07−252548(JP,A)
【文献】 特開昭63−011517(JP,A)
【文献】 特表平10−505277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
B01J 39/18
B01J 41/12
B01J 45/00
B01J 49/00
C10G 45/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物処理への最小量の金属を有するバルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを、反応条件下で共沈殿させて、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
前記混合物から前記触媒前駆体を単離し、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、
化学的沈殿、イオン交換、電気凝固法、及びこれらの組合せのいずれかで前記上澄みを処理して、少なくとも金属前駆体フィードと、前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンを50モル%未満含有する第1の流出流を生成するステップと、
前記第1の流出流を処理することによって、第1の流出流中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収するステップと、
少なくとも前記金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
前記触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップと
を含み、
前記プロセスから廃棄物処理への流出流が50ppm未満の金属イオンを含有する、前記プロセス。
【請求項2】
前記硫化ステップの前に、触媒前駆体を少なくとも150℃の温度で乾燥させるステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記硫化ステップの前に、触媒前駆体を少なくとも300℃の温度で乾燥させるステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記触媒前駆体を少なくとも325℃の温度で乾燥させることによって、触媒前駆体が式(X)(Mo)(W)(式中、XはNi又はCoであり、b:(c+d)のモル比は0.5/1〜3/1であり、c:dのモル比は>0.01/1であり、z=[2b+6(c+d)]/2である)を有するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記触媒前駆体を最大でも200℃の温度で乾燥させることによって、前記触媒前駆体が式A[(M)(OH)(L)(MVIB
(式中、Aは、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウム及びホスホニウムカチオンのうちの少なくとも1つであり、
は、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せの群から選択され、Pは、酸化状態であり、Mは、Mの選択に応じて+2又は+4のいずれかの酸化状態を有し、Lは、電荷n<=0を有する、少なくとも配位剤Lであり、MVIBは、+6の酸化状態を有する、少なくとも第VIB族金属であり、M:MVIBは、100:1〜1:100の原子比を有し、v−2+P×z−x×z+n×y×z=0であり、0<y≦−P/n;0<x≦P;0<v≦2;0<zである)
を有するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載のプロセス
【請求項6】
バルク触媒を形成する、触媒前駆体の前記硫化ステップが、前記触媒前駆体の水素化プロセッシング反応器への充填前又は充填後いずれかである、請求項1から3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
前記上澄みが、電源により提供される正電荷又は負電荷を有する複数の電極を有する反応容器内で処理され、前記電極が金属残留物の少なくとも1つと反応して、不溶性金属化合物を含有するスラリーを形成する、請求項1から3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
スラリーから不溶性金属化合物を回収し、上澄み中の金属残留物の少なくとも1つを20モル%未満含有する流出流を形成するステップをさらに含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
混合条件下で、少なくとも1つの金属残留物の少なくとも一部を第1の予め選択されたpHで沈殿させるだけの十分な時間をかけて、酸、スルフィド含有化合物、塩基、及びこれらの組合せの少なくとも1つを流出流に加えるステップをさらに含む、請求項1から3に記載のプロセス。
【請求項10】
前記金属残留物の少なくとも一部を含む沈殿物を単離及び回収し、前記金属残留物の少なくとも1つを1000ppm未満含有する第3の流出流を生成するステップをさらに含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記上澄み中の金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50%が交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて前記上澄みを前記樹脂に接触させ、そして未結合の金属残留物を含有する第1の流出流を形成する、請求項1から3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
電源により提供される正電荷又は負電荷を有する複数の電極を有する反応容器の中で第1の流出液を処理するステップであって、電極が金属残留物の少なくとも1つと反応して、少なくとも沈殿物を含有するスラリーを形成する前記ステップと、
前記スラリーから沈殿物を単離することによって、2000ppm未満の金属を含有する第2の流出液を回収するステップと
をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
少なくともカチオン交換樹脂が、金属イオンと交換されて前記金属イオンと結合するように提供される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
少なくともアニオン交換樹脂が、金属イオンと交換されて前記金属イオンと結合するように提供される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
少なくともカチオンキレート樹脂が、第VIB族金属残留物中の金属イオンの少なくとも50モル%と交換及び結合するように提供される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項16】
バルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを、反応条件で共沈殿させて、第1の触媒前駆体と、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する第1の上澄みとを含む生成混合物を形成するステップと、
少なくとも沈殿剤を、溶液中の沈殿剤と金属残留物とのモル比1.5:1〜20:1の範囲で、前記生成混合物に加えて、前記残留物の中の金属イオンの少なくとも50モル%を沈殿させて、追加の触媒前駆体を形成するステップと、
前記生成混合物から前記触媒前駆体を単離して、金属残留物の中の金属イオンの5000ppm未満を含有する第2の上澄みを形成するステップと、
前記触媒前駆体を硫化して、前記バルク触媒を形成するステップと
を含む、上記プロセス。
【請求項17】
水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させて、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
前記混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの中の金属イオンの少なくとも10モル%の総量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記金属残留物の中の金属イオンの少なくとも50モル%がイオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて上澄みを前記樹脂に接触させ、そして未結合の金属残留物を含有する第1の流出流を形成するステップと、
前記樹脂を溶出することによって、前記樹脂上に既に結合した金属イオンを含有する溶出液流を生成するステップと、
第1の流出流又は溶出液流を処理して、前記流れの中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
触媒前駆体を硫化してバルク触媒を形成するステップと
を含む、上記プロセス。
【請求項18】
バルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスにおいて、少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの中の金属イオンの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、触媒前駆体をか焼することによって、式(X)(Mo)(W)(式中、XはNi又はCoであり、b:(c+d)のモル比は0.5/1〜3/1であり、c:dのモル比は>0.01/1であり、z=[2b+6(c+d)]/2である)の触媒前駆体を形成するステップと、触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップとを含むプロセスであって、前記改良が、
上澄みの中の前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも50%がイオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、上澄みを前記樹脂に接触させて、未結合の金属残留物を含有する第1の流出流を形成するステップと、
前記樹脂を溶出することによって、前記樹脂上に既に結合した金属イオンを含有する溶出液流を生成するステップと、
第1の流出流又は溶出液流を処理して、前記流れの中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと
を含む、前記プロセス。
【請求項19】
水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させて、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10%の量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記上澄みを、少なくとも酸で、予め選択されたpHで処理することによって、少なくとも助触媒金属残留物及び第VIB族金属残留物を沈殿させ、前記助触媒金属残留物及び第VIB族金属残留物の少なくとも1つの50%未満を含有する第1の流出流を形成するステップと、
少なくとも交換樹脂を提供するステップと、
前記上澄み中の前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%がイオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、上澄みを前記樹脂に接触させ、そして未結合の金属残留物を含有する第1の流出流を形成するステップと、
前記樹脂を溶出して、前記樹脂に既に結合した金属イオンを含有する溶出液を生成するステップと、
前記第1の流出流中の未結合の金属残留物中の金属イオンの少なくとも80モル%又は溶出液中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収して、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
前記金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
前記触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップと
を含む、前記プロセス。
【請求項20】
最小量の廃棄物処理への金属を有するバルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の総量で含有する上澄みを形成するステップと、
混合条件下で、周囲温度から90℃の温度で、前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも50モル%を沈殿させるだけの十分な時間をかけて、前記上澄みを、酸、スルフィド含有化合物、塩基、及びこれらの組合せの少なくとも1つと混合するステップであって、沈殿が予め選択されたpHで行われる上記ステップと、
沈殿物を単離することによって、前記上澄み中の前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの50モル%未満を含有する第1の流出流を回収するステップと、
沈殿物又は第1の流出流の中の金属イオンを少なくとも金属前駆体フィードに変換するステップと、
少なくとも金属前駆体フィードを共沈殿ステップへリサイクルするステップと、
触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップと
を含む、前記プロセス。
【請求項21】
バルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスにおいて、少なくとも第VIB族金属前駆体フィード並びに第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、触媒前駆体をか焼することによって、式(X)(Mo)(W)(式中、XはNi又はCoであり、b:(c+d)のモル比は0.5/1〜3/1であり、c:dのモル比は>0.01/1であり、z=[2b+6(c+d)]/2である)の触媒前駆体を形成するステップと、触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップとを含むプロセスであって、改良が、
混合条件下で、周囲温度から90℃までの温度で、前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも50モル%を沈殿させるだけの十分な時間をかけて、上澄みを、酸、塩基、及びこれらの組合せの少なくとも1つと混合するステップであって、沈殿が予め選択されたpHで行われる上記ステップと、
その沈殿物を単離することによって、上澄みの中の前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの20モル%未満を含有する第1の流出液を回収するステップと、
前記沈殿物を、少なくとも塩基で溶解することによって、沈殿物の中の金属イオンを、少なくとも金属前駆体フィードに変換するステップと、
前記少なくとも金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと
を含む、前記プロセス。
【請求項22】
最小量の廃棄物処理への金属を有する水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の総量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも50モル%を沈殿させるだけの十分な時間をかけて、上澄みを、少なくとも塩基又は酸と混合するステップであって、沈殿が予め選択されたpHで行われる上記ステップと、
その沈殿物を単離することによって、上澄みの中の前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンを50モル%未満含有する第1の流出液を回収するステップと、
前記第1の流出液の中の前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも50モル%がキレート化イオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、第1の流出液を前記樹脂に接触させることによって、前記金属残留物の少なくとも1つの金属イオンを1000ppm未満含有する第2の流出液を形成するステップと、
前記樹脂を溶出して、前記樹脂上に既に結合した金属イオンを含有する溶出液を生成するステップと、
前記第2の流出流又は溶出液を処理して、第2の流出流の中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収して、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
前記金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
前記触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップとを
含み、プロセスから廃棄物処理への流出流が50ppm未満の金属イオンを含有する、前記プロセス。
【請求項23】
水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記上澄みを、酸、スルフィド含有化合物、及びこれらの組合せの少なくとも1つと混合するステップと、
前記上澄み中の前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%がキレート化イオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、前記上澄みを、前記樹脂に接触させて、前記金属残留物の少なくとも1つを1000ppm未満含有する第1の流出液を形成するステップと、
前記樹脂を溶出することによって、前記樹脂上に既に結合した金属イオンを含有する溶出液を生成するステップと、
前記第1の流出流又は溶出液を処理して、前記流れの中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
前記金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
前記触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップと
を含む、前記プロセス。
【請求項24】
水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのプロセスであって、前記方法が、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも一部を沈殿させるだけの十分な時間をかけて、上澄みを、酸、スルフィド含有化合物、及びこれらの組合せの少なくとも1つと混合するステップであって、沈殿が第1の予め選択されたpHで行われる上記ステップと、
沈殿物を単離することによって、上澄み中の前記金属残留物の少なくとも1つの金属イオンを50モル%未満含有する第1の流出液を回収するステップと、
前記第1の流出液の中の前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%が第1のキレート化イオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、第1の流出液を前記樹脂と、第2の予め選択されたpHで接触させて、前記金属残留物の少なくとも1つの金属イオンを1000ppm未満含有する第2の流出液を形成するステップと、
前記第1の流出液の中の前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%が第2のキレート化イオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、第2の流出液を前記樹脂と第3の予め選択されたpHで接触させて、前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンを100ppm未満含有する第3の流出液を形成するステップと
を含む、前記プロセス。
【請求項25】
水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのプロセスであって、前記方法が、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させて、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記上澄み中の前記金属残留物の少なくとも1つの金属イオンの少なくとも50モル%がキレート化イオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、上澄みを、前記樹脂と予め選択されたpHで接触させて、前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンを1000ppm未満含有する第1の流出液を形成するステップと、
前記樹脂を溶出して、前記樹脂上に既に結合した金属イオンを含有する溶出液を生成するステップと、
第1の流出流又は溶出液を処理して、前記流れの中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
前記金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
前記触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップと
を含む、前記プロセス。
【請求項26】
バルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスであって、前記方法が、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
前記混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の総量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記上澄みを、電源により提供される正電極又は負電極を有する複数の電極を有する反応容器に供給するステップであって、電極が水に溶解して、電極溶解生成物を生成する上記ステップと、
前記電極溶解生成物を、前記金属残留物の少なくとも1つと反応させて、不溶性金属化合物を含有するスラリーを形成するステップと、
前記スラリーから不溶性金属化合物を単離して、前記金属残留物の中の金属イオンの50モル%未満を含有する第1の流出流を形成するステップと、
第1の流出流を処理して、金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
前記金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
前記触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップと
を含む、前記プロセス。
【請求項27】
バルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスにおいて、第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するプロセスであって、改良が、
前記上澄みを、電源により提供される正電荷又は負電荷を有する複数の電極を有する反応容器に供給するステップと、
前記電極を、前記金属残留物の少なくとも1つと反応させることによって、不溶性金属化合物を含有するスラリーを形成するステップと、
前記不溶性金属化合物を回収して、助触媒金属残留物及び第VIB族金属残留物の少なくとも1つの50モル%未満を含有する第1の流出流を形成するステップと、
前記第1の流出流を処理して、金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
前記少なくとも金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと
を含む、前記プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2010年11月11日の出願日を有する米国特許出願第61/412,765号の優先権を主張する。本出願は、その開示が本明細書に参照により組み込まれている、前述の出願の優先権及び利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
石油工業は、供給原料(フィードストック)として重質原油、残油、石炭及びタールサンド、すなわち、より低い等級の炭化水素へと次第に移行しつつある。これら供給原料のアップグレード又は精製は、該供給原料を触媒の存在下で水素処理することにより、フィードの少なくとも一部をより低い分子量の炭化水素へと変換させるように、又は望ましくない化合物を除去させるか、若しくは、これらをより望ましい化合物へと変換させるように、遂行される。
【0003】
水素化変換触媒は、担持されていても又は自己担持されていても(担持されていなくても)よい。担持されている触媒は普通、少なくとも1つの第VIB族金属を含み、アルミナなどの耐火性担体上に助触媒として1つ又は複数の第VIII族金属を有する。水素化変換プロセスに使用される非担持の(又は「バルク」)混合した第VIII族及び第VIB族金属触媒及び触媒前駆体は、米国特許第2,238,851号;第5,841,013号;第6,156,695号;第6,566,296号及び第6,860,987号で開示されているように本技術分野において公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水素化処理触媒を作製及び使用するプロセスにおいて、相当量の金属残渣及び廃棄物が、原料及び中間体材料の形態、例えば触媒前駆体沈殿物の回収で生成される上澄みの形態で生成され、流出流に放出される。水素化変換触媒を作製するためのいくつかのプロセスにおいて、60%までの金属フィード、例えばNi、Mo、Wなどが、廃棄され、流出流に放出されることがあり、下流の廃棄物処理プロセスに圧力を加えている。金属含有廃棄材などの廃棄物処分の環境へのインパクトがさらに精査されるにつれて、廃棄物を最小限に抑えた水素化変換触媒を作製するための改良プロセスが必要である。水素化処理触媒を作製するプロセスで再利用するため、反応流出物から残留貴金属を効果的に回収する必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本発明は、廃棄物処理への流出液の中に最小量の金属を有するバルク水素化プロセッシング触媒を形成するための改良された方法に関するものであって、該方法は、少なくとも1つの第VIB族金属前駆体フィード(供給物)と、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、この混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物と少なくとも第VIB族金属残留物を、金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、上澄みを、化学的沈殿、イオン交換、電気凝固法、及びこれらの組合せのうちのいずれかで処理することによって、金属残留物のうちの少なくとも1つを50モル%未満含有する第1の流出流を生成するステップと、金属残留物のうちの少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、金属前駆体フィードを形成するステップと、触媒前駆体を硫化してバルク触媒を形成するステップと、金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップとを含む。
【0006】
一態様では、本発明は、バルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスに関するものであって、該方法は、少なくとも1つの第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、第1の触媒前駆体と、助触媒金属残留物及び第VIB族金属残留物を金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する第1の上澄みとを含む混合物を形成するステップと、少なくとも沈殿剤をこの混合物に、添加される沈殿剤と該金属残留物とのモル比を1.5:1〜20:1の範囲で加えることによって、該金属残留物の少なくとも1つにおいて少なくとも50モル%の金属イオンを沈殿させて、第2の触媒前駆体を形成するステップと、その第1及び第2の触媒前駆体を単離して、2000ppm未満の金属イオンを含有する第2の上澄みを形成するステップと、第1及び第2の触媒前駆体を硫化して、バルク触媒を形成するステップとを含む。
【0007】
バルク水素化プロセッシング触媒組成物を形成するための改良された方法に関する別の態様において、該方法は、第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、この混合物から触媒前駆体を単離して、助触媒金属残留物及び第VIB族金属残留物を、金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、少なくとも交換樹脂を提供するステップと、上澄み中の金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%が交換されて樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて上澄みをイオン交換樹脂と接触させ、そして未結合の金属残留物を含有する第1の流出流を形成するステップと、該樹脂を溶出させて、既に結合した該金属を含有する溶出液を生成するステップと、第1の流出流中の未結合の金属残留物の中の金属イオンの少なくとも80モル%又は溶出液中の既に結合した金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、共沈殿ステップで使用するための、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、触媒前駆体を硫化してバルク触媒を形成するステップとを含む。
【0008】
バルク水素化プロセッシング触媒組成物を形成するための改良された方法のための別の態様において、該方法は、第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、この混合物から触媒前駆体を単離して、助触媒金属残留物及び第VIB族金属残留物を、金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、この上澄みを、電源により提供される正電荷又は負電荷を有する複数の電極を有する容器に供給するステップと、電極を金属前駆体の少なくとも1つと反応させて、不溶性金属化合物を含有するスラリーを形成するステップと、不溶性金属化合物を回収して、金属残留物の少なくとも1つを20モル%未満含有する第1の流出流を形成するステップと、第1の流出流から、金属残留物の少なくとも1つを少なくとも80モル%回収することによって、共沈殿ステップで使用するための、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、1000ppm未満の、金属前駆体の1つを含有する第2の流出流を形成するステップと、触媒前駆体を硫化してバルク触媒を形成するステップと、金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップとを含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、バルク水素化プロセッシング触媒組成物を形成するための改良された方法であって、第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、この混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、混合条件下で、周囲温度から90℃の温度で、金属残留物の少なくとも1つの少なくとも50%を沈殿させるだけの十分な時間をかけて、上澄みを、酸、スルフィド含有化合物、塩基、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つと混合するステップであって、この沈殿が予め選択されたpHで行われるステップと、沈殿物を単離することによって、上澄み中の金属残留物の少なくとも1つを50モル%未満含有する第1の流出液を回収するステップと、沈殿物を少なくとも金属前駆体フィードへと変換するステップと、少なくとも金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、触媒前駆体を硫化してバルク触媒を形成するステップとを含む方法に関する。
【0010】
別の態様では、本発明は、バルク水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのさらに別の方法であって、少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、この混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、周囲温度から90℃の温度で、混合条件下で、上澄みを、少なくとも酸、スルフィド含有化合物、塩基と混合することによって、そのpHを調整するステップと、上澄み中の金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%が交換されて樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、上澄みをキレート化イオン交換樹脂と接触させ、そして金属残留物の少なくとも1つを1000ppm未満含有する第1の流出液を形成するステップと、樹脂を溶出して、既に樹脂に結合した該金属を含有する溶出液を生成するステップと、第1の流出流中の未結合の金属残留物の少なくとも80モル%又は溶出液中の既に樹脂に結合した該金属の少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、触媒前駆体を硫化してバルク触媒を形成するステップとを含む方法に関する。弱酸樹脂に関わる一実施形態では、この樹脂は、第VIB族金属残留物の回収に対しては、酸性の上澄みでアニオン交換樹脂として機能し、助触媒金属残留物の回収に対しては、塩基性の上澄みでカチオン交換樹脂として機能する。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、水素化プロセッシング触媒組成物を形成するための方法に関する。本方法は、少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、この混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも一部を沈殿させるだけの十分な時間をかけて、上澄みを、酸、スルフィド含有化合物、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つと混合するステップであって、この沈殿が第1の予め選択されたpHで行われるステップと、沈殿物を単離することによって、上澄みの中の金属残留物のうちの少なくとも1つの中の金属イオンを50モル%未満含有する第1の流出液を回収するステップと、第1の流出液の中の金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%が樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、第1の流出液を第1のキレート化イオン交換樹脂と第2の予め選択されたpHで接触させて、金属残留物のうちの少なくとも1つにおける金属イオンを1000ppm未満含有する第2の流出液を形成するステップと、第1の流出液の中の金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%が樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、第2の流出液を第2のキレート化イオン交換樹脂と、第3の予め選択されたpHで接触させ、そして金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンを100ppm未満含有する第3の流出液を形成するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】図は、金属成分を回収するステップを含む、金属廃棄物の損失を最小に抑えたバルク多金属触媒を作製するためのプロセスの実施形態の概観を提供する。
【0013】
図2】図は、追加の(第2の)触媒前駆体の形成を用いて金属成分を回収するためのステップを含む、バルク多金属触媒を作製するためのプロセスの別の実施形態の概観を提供する。
【0014】
図3】図は、電気凝固技術を利用することによって、図1の上澄み流から金属成分を回収する実施形態のブロック図である。
【0015】
図4】図は、電気凝固技術を利用することによって、金属成分を回収するさらに別の実施形態のブロック図である。
【0016】
図5】図は、イオン交換技術を利用することによって、上澄み流から金属成分を回収する実施形態のブロック図である。
【0017】
図6】図は、アニオン交換器とカチオン交換器の組合せであるイオン交換技術を利用することによって、金属成分を回収する別の実施形態のブロック図である。
【0018】
図7】図は、イオン交換技術を利用することによって、金属成分を回収する第3の実施形態のブロック図である。
【0019】
図8】図は、イオン交換と電気凝固法の両方を利用することによって、金属成分を回収する実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の用語は、本明細書全体を通して使用され、特に示さない限り以下の意味を有することになる。
【0021】
SCF/BBL(又はscf/bbl、又はscfb又はSCFB)は、炭化水素フィードの1バレル(0.116立方メートル)当たりの気体(N、H、など)の標準立方フィート(0.028立方メートル)の単位を指す。
【0022】
LHSVは、液空間速度を意味する。
【0023】
本明細書中で言及されている周期表は、IUPAC及び米国規格基準局(U.S. National Bureau of Standards)で認可された表であり、例は、ロスアラモス国立研究所化学部門(Los Alamos National Laboratory’s Chemistry Division)による2001年10月の元素周期表である。
【0024】
「バルク触媒」は、「非担持の触媒」又は「自己担持触媒」と交換可能なように使用することができ、この触媒組成物は、予め形成されて、成形された触媒担体を有し、次いでこの触媒担体に含浸触媒又は蒸着触媒を介して金属化合物を充填した、従来の触媒の形態ではないことを意味する。一実施形態では、バルク触媒は、沈殿を介して形成される。別の実施形態では、バルク触媒は、触媒組成物へ組み込まれた結合剤を有する。さらに別の実施形態では、バルク触媒は、金属化合物から、いかなる結合剤無く、形成される。
【0025】
「沈殿剤」は、添加物又は化合物を指し、これは任意の形態、例えば、液体又は固体形態であってよいが、組成物から所望の金属(単数又は複数)を選択的に抽出するように使用する。
【0026】
「ゲル」又は「共ゲル」とは、少なくとも2つの金属前駆体フィードの間での沈殿、共沈、又は共ゲル化反応で形成された固体の、ゼラチン状の材料を指す。
【0027】
「共沈殿」又は共沈殿するとは、少なくとも2つの金属前駆体フィードの間で反応して、ゲル又は共ゲルの形態で触媒前駆体を形成することを指す。
【0028】
「金属前駆体フィード」とは、触媒前駆体を形成するための共沈反応物への反応物質フィード(供給物)を意味し、この反応物質フィードは、固体、液体、又は部分的に固体でよく、この反応物質フィードは、単金属又は多金属のいずれかであってよい。
【0029】
「金属残留物」は、複数又は単数のいずれかの形態で、金属前駆体フィードの共沈反応から溶液中に残された残留金属化合物(単数又は複数)を指す。
【0030】
「上澄み」(又は「上澄み流」)とは、触媒前駆体を単離後の、残りの液体を指し、この液体は、金属残留物、例えば、触媒前駆体を形成するための反応から溶液中に残された残留金属化合物(単数又は複数)を含有する。一実施形態では、上澄みは、金属前駆体フィードの金属イオンの60モルパーセント(モル%)までの量で金属残留物を含有する。
【0031】
「第2の触媒前駆体」(又は「追加の触媒前駆体」)は、上澄み中の残留金属化合物(例えば、金属残留物)で形成された追加の触媒前駆体を指す。
【0032】
「結合した金属イオン」とは、交換され、イオン交換樹脂上に結合した金属イオンを指す。
【0033】
「未結合の金属残留物」とは、反応せず、イオン交換樹脂上に結合していない金属残留物を指す。
【0034】
「流出液」(又は「流出流」)は、金属回収ステップから放出された排水の流れを指す。一実施形態では、流出液は、排水処理に送られる。
【0035】
流出流又は溶出液を処理する状況で「処理する」とは、例えば、化学的沈殿、電気凝固法、蒸発、又はこれらの組合せなどを介して、沈殿物が形成されるように、流れが処理されるステップを指す。該処理ステップは、沈殿物及び溶液を回収するための単離ステップを含んでもよい。
【0036】
上澄み又は流出流の中の金属の「ppm」とは、流れの中の金属イオンの百万分率を指す。
【0037】
金属の%(組成物又は流れの中の金属濃度として表現)は、別途示されていない限り、そのモル%を指す。
【0038】
「1つ又は複数の」又は「少なくとも1つの」は、数種の元素又は元素のクラス、例えばX、Y及びZ又はX〜X、Y〜Y及びZ〜Zなどの前置きとして使用される場合、X又はY又はZから選択される単一の元素、同じ共通のクラスから選択される元素の組合せ(例えばX及びXなど)、並びに異なるクラスから選択される元素の組合せ(例えばX、Y及びZnなど)を指すことを意図する。
【0039】
「水素化変換」又は「水素化プロセッシング」は、水素の存在下で行われる任意のプロセスを意味し、これらに限定されないが、メタン生成、水性ガスシフト反応、水素化、水素化処理、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱金属、水素化脱芳香族化合物、水素化異性化、水素化脱ろう及び選択的水素化分解を含めた水素化分解などが含まれる。水素化プロセッシングのタイプ及び反応条件に応じて、水素化プロセッシングの生成物は、改良された粘度、粘度指標、飽和脂肪酸含有量、低温特性、揮発度及び脱分極などを示すことができる。
【0040】
700°F+変換率とは、水素化変換法における、700°F+超の沸点を有する原料の、700°F(371.℃)未満の沸点を有する材料への変換を指し、これは、(100%×(フィード中の700°F超で沸騰する材料(重量%)−生成物の中の700°F超で沸騰する材料(重量%))/フィード中の700°F超で沸騰する材料(重量%))として計算される。
【0041】
「成形された触媒前駆体」とは、スプレードライ、ペレッティング、ピリング、造粒、ビーディング、タブレットプレス、ブリケティング、押出しを介した圧縮法の使用、若しくは本技術分野における公知の他の手段、又は湿式混合物の凝集により形成された(又は成形された)触媒前駆体を意味する。成形された触媒前駆体は、これらに限定されないが、ペレット、シリンダー、直線状若しくはライフル(ねじれた)トリローブ、マルチホールシリンダー、タブレット、リング、立方体、ハニカム、星形、トリローブ、クアドラローブ、ピル、顆粒などを含めた任意の形態又は形状にすることができる。
【0042】
「助触媒金属」(又は「promoter metal」)は、Mと交換可能なように使用することができ、(助触媒金属なしの触媒、例えば、第VIB族金属だけを有する触媒と比較して)触媒の活性を増強する材料を指す。
【0043】
以下のセクションにおいて、「モリブデン」及び/又は「タングステン」への言及は、上澄みにおいて回収されるべき第VIB族金属のみに対する例証であり、回収用の他の第VIB族金属/化合物及び第VIB族金属/化合物の混合物を排除することを意図するものではない。同様に、「ニッケル」の言及は、回収のための助触媒金属成分(単数及び複数)のみに対する例証であり、それに続く回収のための上澄み中に存在し得る、他の第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族金属及びこれらの組合せを排除することを意図するものではない。
【0044】
触媒前駆体は、水酸化物又は酸化物材料であってよく、少なくとも助触媒金属前駆体フィード及び少なくとも第VIB族金属前駆体フィードから調製される。作製されたバルク又は非担持の触媒前駆体は、硫化によって(触媒として活性となる)水素化変換バルク触媒へと変換することができる。バルク触媒は、水素化脱硫(HDS)、水素化脱芳香族化合物(HDA)、及び水素化脱硝(HDN)プロセスにおける使用のためのものである。触媒前駆体及びそこに形成されたバルク触媒の記載についてのさらなる詳細は、触媒前駆体及び触媒組成物に対して該当する開示が、本明細書中で参照により含まれている、米国特許US7,544,285、US7,615,196、US6,635,599、US6,635,599、US6,652,738、US7,229,548、US7,288,182、US6,566,296、US6,860,987、US6,156,695、US6,162,350、US6,299,760、US6,620,313、US6,758,963、US6,783,663、US7,232,515、US7,179,366、US6,274,530;米国特許公開US20090112011A1、US20090112010A1、US20090111686A1、US20090111685A1、US20090111683A1、US20090111682A1、US20090107889A1、US20090107886A1、US20090107883A1、US2007090024;米国特許出願第12/432,719号、米国特許出願第12/432,721号、米国特許出願第12/432,723号、米国特許出願第12/432,727号、米国特許出願第12/432,728号、及び米国特許出願第12/432,728号を含めたいくつかの特許出願及び特許において記載されている。
【0045】
一実施形態では、触媒前駆体は、少なくとも1つの第VIII族非貴金属材料及び少なくとも2つの第VIB族金属を含むバルク多金属酸化物である。一実施形態では、前駆体中の第VIB族金属と第VIII属非貴金属との比は、約10:1〜約1:10の範囲である。別の実施形態では、酸化物触媒前駆体は、一般式:(X)(Mo)(W)(式中、XはNi又はCoであり、b:(c+d)のモル比は0.5/1〜3/1であり、c:dのモル比は、>0.01/1であり、z=[2b+6(c+d)]/2である)の酸化物触媒前駆体である。さらに別の実施形態では、酸化物触媒前駆体は、1つ又は複数の配位剤Lをさらに含む。「リガンド」という用語は、「配位剤」、「キレート剤」又は「錯生成剤」(又はキレーター、又はキラント)と交換可能なように使用することができ、金属イオン、例えば、第VIB族及び/又は助触媒金属などと合わせて、より大きな錯体、例えば、触媒前駆体などを形成する添加物を指す。
【0046】
別の実施形態では、触媒前駆体は、少なくとも1つの第VIII族非貴金属材料及び少なくとも2つの第VIB族金属を含む水酸化物化合物の形態である。一実施形態では、水酸化物触媒前駆体は、一般式A[(M)(OH)(L)(MVIB)(式中、Aは、1つ又は複数の一価カチオン種であり、Mは、これらの元素形態又は化合物形態での少なくとも金属を指し、Lは、1つ又は複数の配位剤を指す)の触媒前駆体である。一実施形態では、Aは、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウム及びホスホニウムカチオンのうちの少なくとも1つである。一実施形態では、Aは、NHなどの一価カチオン、他の第四級アンモニウムイオン、有機ホスホニウムカチオン、アルカリ金属カチオン、及びこれらの組合せから選択される。
【0047】
一実施形態では、任意の配位剤Lは、中性又は負電荷n<=0を有する。「電荷−中性の」という用語は、触媒前駆体がいかなる正味の正電荷又は負電荷も担持していないという事実を指す。配位剤Lの例として、これらに限定されないが、カルボキシレート、カルボン酸、アルデヒド、ケトン、エノレート形態のアルデヒド、エノレート形態のケトン、及びヘミアセタール;有機酸付加塩、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルコン酸(cluconic acid)、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グリオキシル酸、アスパラギン酸、アルカンスルホン酸、例えばメタンスルホン酸及びエタンスルホン酸など、アリールスルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸など並びにアリールカルボン酸;カルボキシレートを含有する化合物、例えば、マレエート、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、ジカルボキシレート、及びこれらの組合せが、挙げられる。
【0048】
一実施形態では、MVIBは、+6の酸化状態を有する、少なくとも第VIB族金属である。別の実施形態では、MVIBは、少なくとも2つの第VIB族金属、例えば、モリブデンとクロムの混合物である。MVIBは、溶液又は部分的に固体の状態にすることができる。
【0049】
一実施形態では、Mは少なくとも助触媒金属である。一実施形態では、Mは、+2又は+4のいずれかの酸化状態を有する。Mは、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される。一実施形態では、Mは、少なくとも第VIII族金属であり、Mは+2の酸化状態Pを有する。別の実施形態では、Mは、第IIB族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される。一実施形態では、Mは、IIB及びVIA金属のこれらの元素、化合物、又はイオンの形態で、例えば亜鉛、カドミウム、水銀、ゲルマニウム、スズ又は鉛、及びこれらの組合せなどの群から選択される。別の実施形態では、Mはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム化合物の群から選択される、第IIA族金属化合物である。Mは、溶液又は部分的に固体の状態、例えば、水不溶性化合物、例えばカーボネート、ヒドロキシド、フマレート、ホスフェート、ホスフィット、スルフィド、モリブデート、タングステート、酸化物、又はこれらの混合物であってよい。
【0050】
非担持の触媒前駆体又はバルク触媒前駆体を作製するためのプロセスの実施形態は、上述された参考文献に記載されている通りであり、本明細書に参照により組み込まれる。一実施形態では、第1ステップは、混合ステップであり、このステップにおいて、少なくとも1つの第IVB族金属前駆体フィード及び少なくとも1つの助触媒金属前駆体フィードが、沈殿ステップ(共ゲル化又は共沈とも呼ばれる)において一緒に混合され、触媒前駆体がゲルとして形成される。沈殿(又は「共ゲル化」)は、助触媒金属化合物及び第VIB族金属化合物が沈殿する(例えば、ゲルを形成する)温度及びpHで行われる。一実施形態では、温度は、25〜350℃の間であり、圧力は0〜3000psig(0〜20685kPa)の間である。この反応混合物のpHを変えることによって、触媒前駆体生成物の所望の特性に応じて、沈殿(共ゲル化)の速度を増加又は減少させることができる。一実施形態では、この混合物は、反応ステップ(単数又は複数)中はその自然のpHのままである。別の実施形態では、pHは、0〜12の範囲で維持される。
【0051】
一実施形態では、これらに限定されないが、希釈剤(又は結合剤)を含めた少なくとも1つのキレート(配位)剤及び/又は他の物質を、触媒前駆体の形成における沈殿ステップに加えることができる。添加物は、金属前駆体原料と同時に、又は触媒前駆体ゲル形成の後で加えることができる。
【0052】
共沈ステップの後、触媒前駆体は、液体除去ステップにおいて、濾過、デカンター、遠心分離などの公知の分離プロセスを使用して、単離又は回収する。残りの液体、すなわち、上澄みは、一実施形態では、金属前駆体フィード中に、一般的に「金属」と呼ばれる元素金属又は金属化合物として、金属イオンの少なくとも10モル%且つ60モル%までの量で金属残留物を含有する。別の実施形態では、上澄みは、金属前駆体フィード中に金属イオンの15〜40モル%の量で金属残留物を含有する。Ni−Mo−W触媒を作製するための一実施形態では、上澄みは、5000〜10000ppmのMo、1000〜5000のW、及び500〜3000ppmのNiを含有する。
【0053】
触媒前駆体の単離後、一実施形態では、上澄みの中の金属は、化学的沈殿、電気凝固法、イオン交換、蒸発、膜濾過、及びこれらの組合せのうちのいずれかを使用して回収することができる。別の実施形態では、金属回収ステップはまた、少なくとも沈殿剤の添加を用いて行うことによって、第2の触媒前駆体を形成することができる。金属の回収は、バッチモード、連続モード、又はこれらの組合せで行うことができる。
【0054】
触媒前駆体へのリサイクル/組込みのための様々な金属回収プロセスのステップの記載が、以下に続く。このステップのいずれもが、単独で利用することもできるし、又は他のステップと併用して利用することもでき、廃棄物処理への流出流の中の金属を、一実施形態では5000ppm未満に、第2の実施形態では1000ppm未満に、第3の実施形態では500ppm未満に、及び第4の実施形態では50ppm未満に減少させる。
【0055】
化学的沈殿:一実施形態では、上澄みを処理することによって、金属残留物のうちの少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも一部の選択的沈殿が起こるレベルにpHを調整する(「予め選択されたpH」)。一実施形態では、少なくとも一部とは、少なくとも25モル%、第2の実施形態では、少なくとも50%を意味する。金属残留物のうちの少なくとも1つの中の金属イオンの99%までを、それに続く沈殿ステップで回収することによって、溶液中に残っているいずれの金属化合物も沈殿させることができる。沈殿のための最適なpHは、回収する金属(単数又は複数)、及び沈殿剤に使用される対イオン(例えば、水酸化物イオン、炭酸イオン、硫化物イオンなど)に依存する。NiとCrの両方の金属残留物を含有する上澄みを用いた一つの例では、pHは、両方の金属を沈殿させるように予め選択してもよい。
【0056】
一実施形態では、少なくとも酸を利用することによって、上澄みのpHを予め選択されたpHに調整する。上澄みを沈殿させるために使用する酸として、比較的高い電離定数を有する任意の酸を挙げることができる。一実施形態では、酸は、1.0〜12.0の規定濃度の範囲の強度で使用される。一実施形態では、酸は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、硝酸、及びこれらの混合物の群から選択される。
【0057】
一実施形態では、上澄みは、少なくとも沈殿剤で処理することによって、少なくとも1つの金属を沈殿物として抽出する。沈殿剤(単数又は複数)の選別は、これらに限定されないが、沈殿物として回収される金属(単数又は複数)を含めたいくつかの要素に依存する。これらの物質は、一度に全部又は順に加えることができる。化学的沈殿は、バッチ又は連続モードで行うことができる。
【0058】
モリブデン、クロムなどの第VIB族金属を、回収すべき金属の1つとして用いた一実施形態では、沈殿剤は水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム及び酸化マグネシウムの群から選択され、MgOが好ましい。別の実施形態では、沈殿剤は、炭酸ナトリウム及び過酸化水素の混合物である。
【0059】
一実施形態においては、少なくとも95%の第VIB族金属が沈殿するように上澄みのpHを調整する。別の実施形態においては、予め選択されたpHは、3.5未満で設定することによって、少なくとも90%の可溶性モリブデン金属化合物を沈殿させる。タングステンを共触媒として用いた別の実施形態においては、少なくとも95%の可溶性金属化合物の沈殿を開始させるための予め選択されたpHは1〜2である。さらに別の実施形態においては、上澄みに硝酸を加えることによってpHを1〜2にし、Mo及びWをそれぞれHMoO及びHWOとして沈殿させ、少なくとも75%の未反応の第VIB族前駆体を溶液から取り除く。一般的に、数種の金属が、与えられたpHで沈殿物を形成することができる。例えば、3未満のpHレベルでは、ニッケルと比較してより多くのモリブデンが沈殿するが、MoとNiの両方(もしあれば、更にCo)が沈殿する。さらに、本明細書中に記載されている沈殿の概念は、他の金属を沈殿させるため別の予め選択されたpH又はpH範囲で繰り返すことができる。
【0060】
一実施形態においては、沈殿剤は、スルフィド含有化合物、例えば、水溶性スルフィド、水溶性ポリスルフィド、又はこれらの混合物であり、これらを利用することによって、上澄みのpHを金属の沈殿が起こるレベルに調整する。一実施形態においては、硫化水素、硫化水素及び苛性ソーダの組合せ、硫化アンモニウム、NaHS、若しくはNaS、又はこれらの混合物を、約0.05〜0.2モルで使用して、モリブデン、タングステンなどを沈殿させることができる。
【0061】
上澄み及び使用される沈殿剤の中に存在する金属残留物に応じて、一実施形態では、化学的沈殿を単一ステップで行う。別の実施形態では、化学的沈殿を多段階プロセスとして行う。このマルチプロセスは、塩基及び酸沈殿ステップの組合せとし、塩基性沈殿又は酸性沈殿ステップのいずれかを第1のステップとすることができる。
【0062】
酸性沈殿ステップの一実施形態では、酸を上澄みに加えることによってpHを調整し、スラリー混合物の中の大部分の金属を、モリブデン酸塩、タングステン酸塩などの金属化合物として沈殿させる。金属沈殿物は、本技術分野で公知の分離手段を使用してスラリーから単離し、上澄み中にもともとあった金属残留物中の金属イオンを25%未満含有する濾液流が生じる。塩基性沈殿ステップでは、アルカリ土類金属化合物、例えば、アルカリハロゲン化物、特にカルシウムハロゲン化物を、濾液に加えることによってさらに金属を抽出することができる。沈殿物を分離器の中で回収することによって、CaMoW、CaWOなどの金属を分離して廃棄物処分する。100ppm未満の金属を含有する流出液を下水管に送ることができる。
【0063】
一実施形態では、金属錯体の化学的沈殿(酸性又は塩基性)は、混合条件下で、50〜95℃の範囲の温度で、第VIB族及び第VIII族金属の少なくとも75%が沈殿するだけの十分な時間、例えば、少なくとも1時間をかけて行う。一実施形態では、沈殿は、70℃の温度で、1.2〜2.5の間のpHレベルで行う。別の実施形態では、pHは、1〜4の間のレベルで調整する。一実施形態では、添加物、例えば、酸、酸化カルシウム、水酸化カリウム溶液、スルフィド含有化合物などを連続的に添加しながら、沈殿ステップの少なくとも一部の間で、pHを持続的に調節することによって、沈殿速度並びに沈殿する金属錯体のタイプを制御する。一実施形態では、十分な量の硫酸(20〜100重量%)を使用することによって、pHを所望の標的レベルに調整し、この混合物を、60〜90℃の温度で、1〜3時間の間、少なくとも75%の第VIB族金属が沈殿するまで維持する。本技術分野で公知のpHコントローラーを使用して、pHを自動的に測定及び制御し、沈殿する金属の量を最大限にすることができる。電解電量計センサーを使用することによって、pHを制御することができる。
【0064】
沈殿後、金属錯体を含有する固体沈殿物は、沈降、濾過、デカンター、遠心分離、磁気分離、溶解空気浮上、ボルテックス分離、傾斜板分離など、又はこれらの組合せを含めた公知の手段により流出液から分離又は単離することができるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、固体沈殿物は、第VIB族金属錯体、例えば、モリブデン酸塩、クロム酸塩、タングステン酸塩などを主に含む。一実施形態では、塩基性溶液、例えば、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、水酸化カリウム、ギ酸カリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、又は水酸化アンモニウム溶液を加えることによって、沈殿物を溶解し、pH約5〜約7を有する飽和溶液を生成する。溶液は、その飽和温度から室温へと冷却することができ、室温で、ポリモリブデン酸アンモニウム(例えば、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、即ちAHM)及びポリタングステン酸アンモニウム(例えば、ヘプタタングステン酸アンモニウム、即ちAHT)が沈殿する。溶液は、金属前駆体フィードとして、共沈反応へと経路を取る又はリサイクルすることができる。
【0065】
モリブデン又はクロムなどの第VIB族金属を含有する多金属触媒を作製するためのプロセスに対する一実施形態では、上澄みは、レドックス反応において一酸化炭素又は低分子量の酸素化した炭化水素を用いて還元することができる。この還元によって、第VIB族酸化物の生成物、例えば、水和した酸化クロムなど、及び炭酸塩又は炭酸水素塩のアルカリ金属塩を含有する使用済み液の沈殿が生じ、これを脱水することによって、アルカリ金属塩、及び下水管への50ppm未満の第VIB族金属を含有する排水の流出液が生じる。
【0066】
電気凝固法:一実施形態では、バッチ又は連続モードのいずれかで実行する電気凝固法を利用することによって、犠牲電極を使用して上澄みから金属を回収する。電極は、電解プロセスにおいてイオンを授ける又は供与することができる材料、例えば、鉄、チタン、白金、スチール、アルミニウム、銅炭素、金属含浸プラスチック、セラミックスなどから作ることができる。一実施形態では、鉄がカソードに使用される。別の実施形態では、アルミニウムがカソードに使用され、助触媒金属、例えばNi、Zn、Coなどの、一実施形態では少なくとも75モル%、第2の実施形態では90モル%の除去のため、上澄み中に様々な助触媒金属残留物を有する不溶性の錯体を形成する。一実施形態では、電極として、2次元プレートの代わりに3次元電極を使用して、有効面積を増加させる。別の実施形態では、電極は実質的に平行の金属電解プレートを含む。
【0067】
反応容器内で、上澄みは、電極を介して蛇行して流れ、電極へ供給される電流からの起電力の影響を受ける。一実施形態では、電力は、最小15ボルトで少なくとも150アンペアを供給する電圧源である。電源は、直流又は交流のいずれかにすることができる。金属錯体としての上澄みからの金属の除去は、いくつかの要素、例えば、アンペア数、電圧、電流密度、上澄みの流速、上澄みのpH、実行時間などを変動させることによって、最適化することができる。一実施形態では、電気凝固法プロセスを15分間〜5時間行う。第2の実施形態では、1/2〜3時間行う。第3の実施形態では、60〜90分行う。別の実施形態では、電気凝固法は、超音波及び撹拌と併用して行うことによって、金属除去を補助する。
【0068】
電極の選択に応じて、金属残留物、例えば、助触媒金属残留物又は第VIB族金属残留物の中の金属イオンのうちの少なくとも1つの少なくとも75%を金属錯体として取り除く。一実施形態では、助触媒金属残留物中の金属イオンの少なくとも90%を不溶性化合物として取り除き、第VIB族金属残留物中の金属イオンの本質的にすべて(例えば、少なくとも95%)は溶液中に依然として残っている。別の実施形態では、第VIB族金属残留物の中の金属イオンの少なくとも90%を上澄みから沈殿物として取り除き、助触媒金属残留物の本質的にすべては溶液中に依然として残っている。
【0069】
アルミニウムを電極として使用する一実施形態では、上澄み中の助触媒金属、例えば第VIII族化合物を接触させ、酸化/還元を介して溶解した金属イオンと反応させ、続いて不溶性副生成物、例えばNiAlOなどを含有するスラリーを形成する。スラリーのpHは、一実施形態では6〜10の範囲であり、第2の実施形態では4〜7の範囲である。不溶性副生成物は、沈降、濾過、デカンター、遠心分離など、又はこれらの組合せを含めた公知の手段で単離及び回収することができ、不溶性副生成物を実質的に含まない、例えば、50ppm未満の、Niなどの助触媒金属しか含まない流出流を生じる。回収後、回収した金属、例えば、NiAlOを含有する不溶性副生成物は、廃棄物処分へ送ることができる。
【0070】
一実施形態では、電気凝固法の容器の前に、塩基性又は酸性化学物質の添加により、上澄みのpHを特定の予め選択されたレベルに制御又は調整しながら、化学的沈殿法を利用する。一実施形態では、上澄みのpHは、5〜9の間に調整する。別の実施形態では、pHは約7に調整する。さらに別の実施形態では、電気凝固法の容器内での反応前に、酸化剤を上澄みに加え、この酸化剤は、酸素、塩素、過マンガン酸塩、過酸化水素及びオゾンの群から選択される。この酸化剤は、酸化/還元反応の増強を助けることによって、金属を沈殿させる。
【0071】
一実施形態では、電気凝固法ステップからの流出流は、pHを予め選択されたpH、例えば、3以下に調整するための混合条件下で、酸性沈殿剤中で、十分な量の酸などの添加を用いた化学的沈殿ステップでさらに処理し、第VIB族金属を、モリブデン酸塩、タングステン酸塩などとして沈殿させることができる。一実施形態では、沈殿物を水酸化アンモニウム水溶液に再溶解し、これを濾過し、続いて結晶化することによって、高い純度のモリブデン酸アンモニウム/タングステン酸アンモニウム生成物を生成する。これら生成物は、続いて回収し、金属前駆体フィードとして使用することができる。一実施形態におけるこの化学的沈殿ステップからの流出液は、2000ppm未満のMo、500ppm未満のW、及び最小量の助触媒金属残留物、例えば50ppm未満のNiを含有する。
【0072】
さらに別の実施形態では、化学的沈殿ステップからの流出流は、CaSO、CaCOなどのカルシウム化合物でさらに処理することによって、廃棄物処分用のカルシウム塩として任意の残留第VIB族金属を回収し、第VIB族金属又は助触媒金属のいずれかを10ppm未満有する、本プロセスからの流出流を得る。一実施形態では、加えるカルシウムの量は、少なくとも、第VIB族の値をCaMoO、CaWOなどに変換するための化学量論的量である。別の実施形態では、比は、2/1〜50/1の範囲である。一実施形態では、カルシウム処理は、75℃から、利用する溶液の沸点までの範囲の温度で、5分間から数時間である。
【0073】
処理すべき流れの中の金属残留物及び使用する電極に応じて、一実施形態における電気凝固法ステップからの流出流は、1000ppm未満の金属を含有する。第2の実施形態では、500ppm未満の金属を含有する。第3の実施形態では、100ppm未満の金属を含有する。第5の実施形態では、50ppm未満の金属を含有する。
【0074】
イオン交換:上澄みからの金属の回収はまた、イオン交換を介して行うこともできる。金属回収率は、これらに限定されないが、イオン交換ベッドに使用される樹脂のタイプ、上澄みの中の金属の濃度、上澄みのpH、並びにイオン交換樹脂を通る上澄みの流速を含めたいくつかの要素に依存する。
【0075】
上澄みから回収/取り除くべき金属に応じて、アニオン交換及び/又はカチオン交換技術のいずれかを利用することによって、上澄み中の金属残留物の少なくとも1つからの金属イオンの少なくとも50%に対して、樹脂上の水素及びヒドロキシルイオンなどのイオンを交換することができる。金属イオンは、「交換」されて、樹脂上に結合する。別の実施形態では、金属残留物の少なくとも1つの金属イオンの少なくとも80%が、樹脂内のイオンと交換され、樹脂上に結合する。未結合の金属残留物は、所望する場合、それに続く金属回収及び/又は水処理のため流出流の中にとどまる。
【0076】
一実施形態では、アニオン及びカチオン交換カラムの両方を回収用に使用する。一実施形態では、アニオン及びカチオン交換カラムは、同じタイプのイオン交換樹脂を利用して、各カラム内の上澄みのpHを調整し、樹脂の金属スカベンジング親和性を制御し、カラムがアニオン又はカチオン交換カラムとして機能するようにする。
【0077】
上澄みから回収すべき金属及び使用される樹脂に応じて、イオン交換は、一実施形態では周囲温度から90℃の範囲の温度で、別の実施形態では50〜80℃の範囲の温度で行うことができる。接触時間は、いくつかの要素に応じて、一実施形態では毎時1〜60ベッド容量の範囲で変化する。別の実施形態では、毎時2〜20ベッド容量の範囲で変化する。第3の実施形態では、毎時3〜10ベッド容量の範囲で変化する。
【0078】
一実施形態では、短いベッドカラムを金属回収に使用する。別の実施形態では、単一カラム又は一連のカラム若しくはベッドのいずれかを利用することができる。金属は、第1のベッド上に高レベルで蓄積し、第2のベッドは、残留金属を所望の標的へと取り除くために使用される。単一流路又は二重流路のいずれかのイオン交換システムを利用することができる。カラムは、バッチ、連続、又は半バッチモードで作動させることができる。一実施形態では、金属回収は、持続的に作動させ、上澄み流のための入口及び処理済みの流れを放出するための出口を有する。いくつかの実施形態では、実行後、樹脂は適切な酸又は適切なヒドロキシドの水溶液ですすぐことによって再生することができる。一実施形態では、上澄みは、50〜80℃の温度に最初に加熱することによって、交換プロセスに対する速度を改良する。
【0079】
イオン交換媒体は、イオン交換樹脂又はイオン交換樹脂の混合物を含む。適切なイオン交換樹脂は、強塩基アニオン交換樹脂、弱塩基アニオン交換樹脂、強酸カチオン交換樹脂、弱酸カチオン交換樹脂、キレート樹脂、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。一実施形態では、イオン交換樹脂は、150〜2000μmの平均粒度を有する。別の実施形態では、イオン交換樹脂は、300〜1200μmの平均粒度を有する。イオン交換樹脂の平均粒度は、ASTM E−11−61などを含めた、一般的に本技術分野で公知の様々な分析法で測定することができる。
【0080】
一実施形態では、カチオン樹脂は、水素イオンを、正の電荷をもつイオン、例えば助触媒金属、例えば、銅、ニッケルなどに交換するために利用する。別の実施形態では、アニオン樹脂は、ヒドロキシルイオンを、負の電荷をもつイオン、例えば第VIB族金属、例えば、クロム酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオンなどに交換するために利用することができる。さらに別の実施形態では、アニオン技術はカチオンのイオンキレート化樹脂を利用することによって、上澄みから第VIB族金属などのアニオンを取り除く。アニオン交換の一実施形態では、樹脂は、弱塩基性のタイプである。一実施形態では、アニオン交換樹脂は、交換部位として中間体アミンを含む。別の実施形態では、使用される樹脂は、第二級アミンと第三級アミンの混合物である。第3の実施形態では、樹脂はポリスチレンジビニルベンゼンである。アニオン交換樹脂の他の例として、これらに限定されないが、スチレンジビニルベンゼンマトリクスの中の第三級アミン、第三級アミンタイプの樹脂、エピクロロヒドリン−ポリアミン縮合−タイプ(脂肪族ポリアミンタイプ)のタイプの樹脂並びに同等のタイプなどが挙げられ、これらは、実質的に中性の媒体の中でモリブデン酸アニオン/タングステン酸アニオンを選択的に吸着させるのに効果的である。一実施形態では、樹脂は、高分子両性電解質(キレートイオン交換)である。キレートポリマー樹脂は、大部分の金属イオンと配位結合による結合を形成するために、1つ又は複数のドナー原子(ルイス塩基)を含有する、共有結合で連結された官能基を有するコポリマーを含む。一実施形態では、アミン官能基を有するキレート交換樹脂が利用される。別の実施形態では、アルカリ又はアルカリ土類カチオンよりも遷移金属カチオンに対する選択性を有するキレート交換樹脂が利用される。さらに別の実施形態では、キレート交換樹脂は、ヒドロキシ、エーテル、アミン、第四級アミン、二価硫黄置換基、アミン酸化物及びヒドロキシアミンから選択される少なくとも1つの置換基を有する。市販のキレート交換樹脂の例として、これらに限定されないがDOWEX(商標)G−26樹脂、DOWEX(商標)MAC−3樹脂、DOWEX(商標)M4195樹脂、Amberlite(商標)IRC86樹脂、及びAmberlite(商標)IRC748樹脂が挙げられる。
【0081】
弱酸キレート樹脂の使用を伴う一実施形態では、樹脂は、そのゼロ電荷の点より下の酸性のpH範囲においてアニオン交換樹脂として、そのゼロ電荷の点より上の中性から塩基性のpHでカチオン交換樹脂として作用する。一実施形態では、上澄みのpHは、樹脂との接触前に、6〜7などの塩基性の範囲に調整する。キレート交換樹脂の使用を伴う一実施形態では、上澄みの調整されたpH及び樹脂の選択に応じて、樹脂は、アニオン又はカチオン交換樹脂として機能することができる。一実施形態では、樹脂は、酸性のpH、例えば1〜3の範囲のpHでアニオン交換樹脂、及び6〜8の範囲の中性又は塩基性のpHでカチオン交換樹脂として作用する。一実施形態では、上澄みのpHは、アニオン交換カラムとして機能する交換カラム内でモリブデン酸イオンなどの第VIB族金属イオンを除去するための処理の前に、1〜1.5のレベルに調整する。アニオン交換カラムからの流出液は、直列に並んだ次のカラムにおいてpH6〜7に調整し、このカラムにおいて、pHを変更した同じキレート交換樹脂は、第VIII族金属イオン、例えばNi2+などを除去するためのカチオン交換樹脂として機能する。第2の交換カラムからの(廃棄物処理への)流出流は、一実施形態では50ppm未満の第VIB族及び助触媒金属を含有し、第2の実施形態では、10ppm未満を含有する。
【0082】
一実施形態では、カチオン樹脂は、例えば硫酸などの希酸で最初にプレコンディショニングすることによって、水素形態へのその変換を行う。別の実施形態では、アニオン樹脂は、最初にヒドロキシドでコンディショニングすることによって、金属イオンの吸収を促進させる。
【0083】
充填後、樹脂上に既に結合した金属イオンは、例えば、硝酸、硫酸などの酸を用いて、一実施形態では約5〜約10%酸の濃度で樹脂を溶出することによって取り去ることができる。一実施形態では、樹脂は、これらに限定されないが、炭酸塩/炭酸水素塩、例えば、0.05〜0.5モルの炭酸アンモニウムを含む溶離液で溶出することによって、その任意の第VIB族金属を溶出する。第3の実施形態では、弱塩基アニオン樹脂を水酸化ナトリウムで溶出することによって、樹脂を再生する。溶出は、既に樹脂結合したイオンの少なくとも95%を取り除くだけの十分な時間、例えば、少なくとも15分間、及び十分な温度で行うことによって、樹脂を再生する。
【0084】
一実施形態では、溶離液として使用される酸の量は、使用される酸に応じて、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケルなどの助触媒塩5〜25gplを含有する貴液(溶出液)を得るのに十分な量である。一実施形態では、助触媒金属塩、例えば、Ni(NOなどを含有する貴液は、金属前駆体フィードとして共ゲル化ステップへ戻すように経路が取られる。一実施形態では、処理されたプロセスの流れは、化学的沈殿ステップへと経路が取られることによって、共沈ステップでの使用のための前駆体フィードとして第VIB族金属を回収する。
【0085】
一実施形態では、カチオンキレート化樹脂を、アニオン交換を介した第VIB族金属の除去/回収のために利用する。続いて溶出液を化学的沈殿で処理することによって、第VIII族助触媒金属を取り除く。別の実施形態では、カチオン交換を使用することによって、助触媒金属、例えば、第VIII族、第IIB族金属、例えばニッケルなどを上澄みから最初に抽出する。カチオン交換器内で、樹脂を選択することによって、助触媒金属、例えばニッケル、コバルトなどを、流出流中で、>1000ppmから50ppm未満の流入レベルで選択的に交換する。別の実施形態では、流出流中の助触媒金属は、20ppm未満のレベルに減少する。一実施形態では、少なくとも90%の助触媒金属を取り除く。第2の実施形態では、少なくとも95%を取り除く。第3の実施形態では、イオン交換カラムからの流出流は、10ppm未満の、Niなどの助触媒金属を含有する。カチオン交換カラム内で使用される樹脂のタイプは、上澄みから取り除く助触媒金属(単数又は複数)の濃度やタイプに依存する。一実施形態では、樹脂は、ビス−ピコリルアミンを含有する。
【0086】
アニオン交換の使用を伴う一実施形態では、プロセス流中の第VIB族金属の少なくとも20〜99%を吸着媒体で取り除くことができる。別の実施形態では、第VIB族金属の60〜85%を樹脂で取り除くことができる。
【0087】
連続濾過:一実施形態では、上に記載されている金属回収ステップのいずれかに加えて又はこの代わりに濾過を利用する。一実施形態では、上澄みは、いくつかの直列のフィルターを介して誘導される。一実施形態では、第1のセットのフィルターは、上澄みの金属を取り除くためのいくつかのバッグフィルターを含む。バッグフィルターは、連続する濾過能力を段階付けることができ、例えば第1のバッグは、50ミクロンより大きな金属残留物を取り除くため、第2のバッグは、15ミクロン超の残留微粒子のため、第3のバッグは、0.5ミクロン以上の残留微粒子のため、などがある。バッグフィルターの後、上澄みは、複数の限外濾過装置を介するように経路を取られ、次いで最後に膜又はナノ−フィルターを介することによって、上澄みから金属をさらに取り除くことで、一実施形態では1000ppm未満の金属、別の実施形態では500ppm未満の金属を含有する流出流にする。本明細書中で利用した段階の数及びフィルターサイズは、代表的なものであり、金属が上澄みから取り除かれ、回収されるにつれて、フィルターサイズが連続的に減少することを単に示しているだけである。実際のサイズ及び段階の数は、上澄み中の金属残留物のサイズ及び量並びにそれに続く流出流に依存する。
【0088】
一実施形態では、下水管へ直接放出するよう、金属含有量を十分に低レベルまで減少させるために逆浸透(reverse osmosis:RO)が使用される。ROにおいて使用するための半透膜は、公知の材料、例えば、セルロース、酢酸セルロース、ポリアミド及びポリスルホンなどで作製することができる。一実施形態では、炭素ナノチューブを、ニッケル化合物などの金属の除去のために利用することができる。フィードゾーンを介して上澄み(一連の濾過後)が供給される最大圧力は、ROにおける膜の強度で決定される。圧力は、一実施形態では少なくとも50psiであり、第2の実施形態では少なくとも75psiであり、第3の実施形態では少なくとも100psiである。
【0089】
第2の触媒前駆体の形成:一実施形態では、溶液中の上澄みと触媒前駆体ゲルの混合物に少なくとも沈殿剤を加えることによって、上澄みの金属残留物の溶解度を変化させ、別のバッチの触媒前駆体、例えば、第2の触媒前駆体を形成する。沈殿剤は、バッチ式で又は持続的に、触媒前駆体の調製に使用した同じ機器へ(「ワンポットプロセス」)、又は別個の機器へ加えることができる。一実施形態では、沈殿剤は、上澄みの中の選択された金属残留物(単数又は複数)と反応するのに必要とされる量よりも化学量論的に過剰な量を加えることによって、追加の触媒前駆体を形成する。一実施形態では、金属残留物(単数又は複数)中の沈殿剤と金属イオンの比は、少なくとも1.1:1〜1.5:1である。第2の実施形態では、比は1.5:1〜20:1の範囲である。第3の実施形態では、2:1〜10:1の範囲である。
【0090】
一実施形態では、沈殿剤は、最初の触媒前駆体の視覚的な出現、例えば、煙霧の形成の出現の直後に加える。別の実施形態では、沈殿剤は、触媒前駆体ゲルを形成する共沈反応の完了から少なくとも15分間後、共沈反応物の完了を意味する煙霧がもはや形成されなくなった時点で加える。沈殿剤は、金属残留物を含有する混合物溶液の溶解度を変化させることによって、少なくとも第2の触媒前駆体を形成する。第2の触媒前駆体は、最初のバッチの触媒前駆体と共に単離及び回収することができる。
【0091】
一実施形態では、第2の触媒前駆体を生成するのに使用するための沈殿剤は、アルミナ、チタン酸塩、ケイ酸塩及びこれらの混合物の群から選択される。別の実施形態では、沈殿剤は、両性の挙動を示す金属の化合物から選択される。両性の挙動を示す金属の例として、これらに限定されないがNi、Zn、Al、Sn、及びNbが挙げられる。一実施形態では、沈殿剤は、アルミニウム塩及びケイ酸塩の群から選択される。別の実施形態では、沈殿剤は、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸亜鉛、アルミン酸アンモニウム、亜鉛酸アンモニウム、五酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、及びこれらの混合物から選択される。別の実施形態では、硫酸塩を加えることによって、上澄み中の金属を沈殿させる。
【0092】
一実施形態では、沈殿剤の添加の前に、上澄み及び触媒前駆体混合物のpHを予め選択されたpHに最初に調整することによって、第2の触媒前駆体の形成を促進する。調整は、塩基性又は酸性化学物質、例えば酸又は塩基、例えば水酸化アンモニウムなどの添加により行うことができる。一実施形態では、この混合物のpHを5〜9のレベルに調整する。別の実施形態では、pHを約7に調整する。一実施形態では、予め選択されたpHへのpHの調整は、沈殿剤の添加前に、上澄み中の金属の少なくとも一部を沈殿させるだけの十分な時間及び温度で行う。
【0093】
一実施形態では、沈殿剤の添加を周囲温度から約80℃の範囲の温度で行い、混合も同時に行う。別の実施形態では、50〜60℃の範囲の温度で行う。一実施形態では、一部の未反応の金属残留物の沈殿を引き起こす沈殿剤の添加後、この混合物を放置して、2〜8時間の間、触媒前駆体を沈降させる。一実施形態では、沈殿剤の添加後、この混合物のpHを予め選択されたpHに再び調整することによって、触媒前駆体(単数又は複数)のそれに続く単離を促進させる。一実施形態では、pHは、場合によって、アンモニアの添加により調整して、3未満のpHにする。別の実施形態では、第2の触媒前駆体、例えばモリブデン酸アルミニウム、タングステン酸アルミニウムなどがその場で形成するように、硝酸を加えることによってpHを約5〜6.5にする。
【0094】
触媒前駆体(さらには第2の又は追加の触媒前駆体)を含有する固体は、本技術分野で公知の分離手段を使用して単離することができ、上澄みが収集される。一実施形態では、上澄みは、それぞれ5000ppm未満の第VIB族金属及び助触媒金属を含有する。第2の実施形態では、2000ppm未満を含有する。一実施形態では、上澄みは、そのまま流出流として廃棄物処分に送られる。さらに別の実施形態では、上澄みには、既に論じた回収技法のいずれか、例えば化学的沈殿処理などを介してさらなる処理を施すことによって、流出液中の金属レベルを50ppm未満に減少させる。
【0095】
蒸発プロセス:一実施形態では、蒸発ステップを、別々に又は好ましくは、別の回収ステップ、例えば化学的沈殿、電気凝固法、イオン交換などと組み合わせて利用することによって、上澄みの中の金属を回収する。一実施形態では、酸性沈殿ステップの後に蒸発を利用し、硝酸などの酸を上澄みに加えることによって、金属残留物の中の金属イオンのうちの少なくともいくつかを硝酸塩として沈殿させる。硝酸塩は500℃未満の温度で通常分解するので、混合した硝酸塩を含有するスラリーを濃縮し、蒸発乾燥させることができる。この混合物の温度を一実施形態では200〜500℃に上げ、別の実施形態では400〜450℃に上げる。このより高い温度において、硝酸塩はこれらの酸化物へと分解し、さらなる処理のためのそれぞれの金属酸化物の混和物が生じ、例えばNHOHを添加して、金属前駆体フィードとして続いて使用する。
【0096】
上記されている金属回収法のいずれも、独立して又はこれと組み合わせて使用することができる。回収した金属は、金属前駆体フィードの一部として使用するためにリサイクルして、触媒前駆体を作製するための共沈ステップへ送られるか、又は希釈剤として触媒前駆体へ組み込むことができる。回収技術の選択は、他の要素の中でも、触媒を作製するのに利用した金属前駆体フィードのタイプ及び濃度、施設での排水処理能力に依存する。
【0097】
一実施形態では、金属成分の回収は、アニオン樹脂、カチオン樹脂、カチオンキレート化樹脂、又は組合せを使用するイオン交換技術を介して行うことができる。第2の実施形態では、回収は主に電気凝固法を介する。第3の実施形態では、回収プロセスは、イオン交換と電気凝固法の組合せを利用する。第4の実施形態では、化学的沈殿が単独で使用される。第5の実施形態では、化学的沈殿を、回収を最大限にするための上記回収技法のいずれかと組み合わせて使用することで、他の技法による処理の前に上澄み中の金属の一部を回収するか、又は他の技法のうちのいずれかからの流出流中の残留金属の一部を回収する。第6の実施形態では、金属は第2の触媒前駆体(単数又は複数)として回収される。第7の実施形態では、回収はイオン交換回収のためのカチオンキレート化樹脂の使用と併用した化学的沈殿を介する。
【0098】
一実施形態では、回収された金属は、プロセスへの第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも10%の割合を占める。別の実施形態では、回収された金属は、流入する第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも20%を構成する。第3の実施形態では、金属前駆体フィードの少なくとも30%は、回収された材料である。第5の実施形態では、触媒前駆体を作製するために使用される助触媒金属前駆体フィードの40%未満は、回収された金属からのものである。
【0099】
触媒前駆体(第2の触媒前駆体が形成される場合にはこれも)の単離及び回収後、これを乾燥することによって、水を取り除くことができる。本技術分野で公知のような結合剤(又は希釈剤)、細孔形成剤、成形補助剤など(総合的に「結合剤」と呼ばれる)は、意図する商業的使用に応じて様々な形状へと場合によって成形される前に、触媒前駆体へと組み込むことができる。結合剤は、セルロースエーテルタイプ及び/又は誘導体の有機結合剤、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、飽和若しくは不飽和脂肪酸又はその塩、多糖から誘導された酸又はその塩、グラファイト、デンプン、アルカリステアレート、ステアリン酸アンモニウム、ステアリン酸、鉱油、及びこれらの組合せとすることができる。再加工材料を含めた他の材料を、解膠剤、希釈剤、細孔形成剤などと共に加えることもできる。結合剤(単数又は複数)は、触媒前駆体に加えることができ、又はこれらを、触媒前駆体を形成するプロセスにおいて、溶液、懸濁液又はこれらの組合せで金属前駆体フィードを含有するこの反応混合物に加えることができることに注意されたい。
【0100】
一実施形態では、触媒前駆体は、熱処理するか、一実施形態では50℃〜200℃の温度で、別の実施形態では300℃で乾燥させる。別の実施形態では、触媒前駆体は少なくとも325℃の温度でか焼し、酸化物を形成する。最終ステップにおいて、触媒前駆体は、硫化し、バルク触媒を形成する。硫化剤は、単独使用での元素の硫黄;通常条件下で硫化水素に分解可能な硫黄含有化合物;単独使用でのHS又は不活性環境又は還元環境下でのHS、例えば、H、のいずれかにすることができる。一実施形態では、炭化水素原料は、触媒前駆体の硫化を実施するための硫黄源として使用する。触媒前駆体の硫化は、水素化プロセッシング中に1つ又は複数の反応器内で実施することができる。
【0101】
触媒前駆体の結合剤、熱処理及び硫化に関するさらなる詳細は、関連する開示が本明細書中に参照により含まれている、米国特許US7,544,285、US7,615,196、US6,635,599、US6,635,599、US6,652,738、US7,229,548、US7,288,182、US6,566,296、US6,860,987、US6,156,695、US6,162,350、US6,299,760、US6,620,313、US6,758,963、US6,783,663、US7,232,515、US7,179,366、US6,274,530;米国特許公開US20090112011A1、US20090112010A1、US20090111686A1、US20090111685A1、US20090111683A1、US20090111682A1、US20090107889A1、US20090107886A1、US20090107883A1、US2007090024;米国特許出願第12/432,719号、米国特許出願第12/432,721号、米国特許出願第12/432,723号、米国特許出願第12/432,727号、米国特許出願第12/432,728号及び米国特許出願第12/432,728号などを含めたいくつかの特許出願及び特許に記載されている。
【0102】
流出流の中で最小量の廃棄物/金属を用いて多金属触媒を作製するためのプロセスの異なる実施形態を概略的に例示するブロック図を用いた図について言及する。
【0103】
図1では、第1ステップ10は、共ゲル化ステップであり、この共ゲル化ステップは、金属前駆体フィード11、例えば助触媒金属前駆体フィードと、第VIB族金属前駆体フィードとを反応させることによって、ゲル(又は「共ゲル」)を得るステップを含む。次のステップ20では、本技術分野で公知の分離プロセス、例えば濾過、デカンター、遠心分離などを介して触媒前駆体ゲル(懸濁液)から少なくとも50重量%の液体(上澄み)を取り除き、約5〜50重量%の液体を有する、一般的に水又は他の溶媒、例えばメタノールなどを含まない、ウェットフィルターケーキの形態での触媒前駆体を得る。上澄み13は、微粒子(例えば、0.1〜10ミクロン)及びコロイド粒子(例えば、0.001〜1ミクロン)を含有し、60%までの金属前駆体試薬がステップ10(共ゲル化ステップ)へフィードとして供給される。一実施形態では、上澄み13は、0.1重量%〜0.2重量%のNi、0.2重量%〜0.8重量%のMo及び0.05重量%〜0.4重量%のWを含有する。
【0104】
任意のキレート化ステップ25では、触媒前駆体沈殿物は、少なくとも配位剤Lで処理するが、この配位剤Lは、沈殿ステップにおいて金属前駆体フィード(試薬)に使用する/組み込むことができるいずれの配位剤と同一でもよいし、異なってもよい。キレート化は、フィルターケーキに有機配位剤/溶媒気体を通すことによって行うことができ、又はフィルターケーキを、配位剤を含有する溶液中で洗浄することによってもできる。沈殿後のキレート化ステップの後で、乾燥ステップ26は、本技術分野で公知の任意の熱的乾燥技法、例えば、フラッシュ乾燥、ベルト乾燥、オーブン乾燥、フリーズドライ、流動床乾燥などでよい。一実施形態では、触媒前駆体の乾燥は、触媒前駆体が一定重量に到達するまで約50〜120℃で実施される。別の実施形態では、乾燥は、50℃〜200℃の温度で、1/2時間〜6時間の範囲の期間で行う。
【0105】
ステップ30において、触媒前駆体を水、並びに任意の他の材料32、例えば、解膠剤、細孔形成剤、希釈剤材料13、及び/又は再加工材料などと一緒に混合する。再加工材料は、フィルターケーキ材料、押出し可能な生地及び/又は乾燥粒子/前回の実行からの前駆体材料の小片の形態にすることができる。混合時間は、混合技法、例えば、粉砕、混練、スラリー混合、乾式/湿式混合、又はこれらの組合せなどのタイプ及び効率、並びに使用する混合装置、例えばパグミル、ブレンダー、ダブルアームニーディングミキサー、回転固定子ミキサー、又はミックスミュラーなどに依存する。
【0106】
ステップ40では、成形補助剤(結合剤又は希釈剤)をこの混合物に、100:1と10:1の間の比(触媒前駆体の重量%と成形補助剤の重量%の比)で加える。希釈剤は、前もって加えられた可能性のある任意の希釈剤と同じでも、異なってもよい。成形ステップ40は、押出成形、加圧成形、ペレタイジングなどのいずれかを介して行うことができる。
【0107】
成形後、触媒前駆体には、所望する場合、ステップ50における任意の熱処理(か焼)を施す。熱処理は、適切な大気内、例えば、不活性大気、例えば窒素若しくはアルゴン、又は水蒸気内において、約300℃〜750℃にすることができる。か焼プロセスでは、触媒前駆体は、酸化物前駆体に変換される。硫化ステップ60では、触媒前駆体は、バルク多金属触媒に変換される。示されていないが、触媒前駆体はまた、例えば、水素化プロセッシング中に同じ反応器内でその場で硫化することができる。
【0108】
図2は、既に形成された触媒前駆体に加えて追加の触媒前駆体が形成される別の実施形態を例示している。その図において、未反応の金属残留物は、追加の、又は第2の触媒前駆体(ステップ15)を形成することによって「回収される」。本実施形態では、ステップ10での触媒前駆体の形成後、少なくとも沈殿剤9を触媒前駆体ゲル/上澄み混合物21に加える。酸又は塩基11を加えることによって、回収された金属が第2の前駆体を形成するようにpHを調整する。追加の触媒前駆体を予め形成された(共沈ステップで)触媒前駆体へと組み込み、回収及びさらに処理することによって、バルク多金属触媒を形成する。
【0109】
図3〜8は、上澄み13から金属を回収するための図1のプロセスブロック70の様々な実施形態を概略的に例示している。図3〜4において、電気凝固法技術を利用することによって、上澄み13からの金属残留物の少なくとも90%の回収物を回収する。一実施形態では、これらのアニオン性形態における回収された第VIB族金属は、金属前駆体フィードとして共ゲル化ステップ10に送られる。別の実施形態では、助触媒金属の一部はまた、共ゲル化ステップにおいてそれに続く再利用のためのイオン性化合物として回収される。
【0110】
図3では、上澄み13は最初に電気凝固法ステップ71に送られる。上澄み13の中の助触媒金属残留物、例えば、第VIII族化合物は、溶解した金属のイオンと接触し、酸化/還元を介してこれらと反応して、不溶性副生成物、例えばNiAlOなどを形成する。不溶性副生成物の助触媒金属塩712は、溶液から取り除かれ、実質的に助触媒金属を含まない(例えば100ppm未満の金属を有する)流出流711を生じる。化学的沈殿ステップ72を次に利用することによって、酸の添加により、少なくとも75%の第VIB族金属を流出流711から回収する/取り除く。pHを調整することによって、流出流の中の第VIB族金属の少なくとも75%の選択的沈殿を引き起こす。一実施形態では、pHを3.5未満に減少することによって、75%より多くのMo及び/又はW可溶性錯体を沈殿させる。
【0111】
酸沈殿ステップ72の後、第VIB族金属錯体を含有する固体の沈殿物を公知の分離手段で分離ゾーン73において溶液から分離する。塩基性の溶液、例えば、水酸化アンモニウム濃縮溶液を加えることによって、ステップ76の固体金属酸化物沈殿物を溶解し、約5〜約7のpHを有する飽和溶液を生成する。溶液は、その飽和温度から室温へと冷却することができ、ここでポリモリブデン酸アンモニウム(例えば、ヘプタモリブデン酸アンモニウム)及びポリタングステン酸アンモニウム(例えば、ヘプタタングステン酸アンモニウム)が沈殿する。一実施形態では、溶液は、金属前駆体フィードとして共ゲル化ステップ10への経路を取る。
【0112】
残存する金属(一実施形態では流入する金属の25%未満、第2の実施形態では5%未満)を化学的沈殿ステップ74でさらに取り除く。濾液溶液731を沈殿ゾーン74において、アルカリ土類金属化合物、例えば約0.1〜80重量%の塩化カルシウムを含有するカルシウムイオン含有溶液などで処理することによって、第VIB族金属、例えば、モリブデン、タングステンなどを、モリブデン酸カルシウム(CaMoO)、タングステン酸カルシウム(CaWO)などとして選択的に沈殿させる。スラリーは、CaMoO、CaWOなどを単離及び回収して処分するために分離ゾーン75を通過させて、流出液81を排水処理又は下水管へ送る。流出液81は一酸化炭素又は低分子量の酸素化した炭化水素でさらに還元することができ、炭酸塩又は炭酸水素塩のアルカリ金属塩を含有する水和した酸化クロム生成物及び使用済み液の沈殿が生じ、これを脱水することによって、アルカリ金属塩及び下水管へ送る排水が生じる。
【0113】
図4は、電気凝固法による金属回収の別の変化型を例示しており、この場合上澄み13には最初に化学的沈殿を施す。沈殿ステップ72において、予め選択されたpHで、最初に存在する第VIB族金属の少なくとも75%を取り除く。第VIB族金属錯体を含有するスラリーは、分離ゾーン73へと進み、ここで、流入する第VIB族金属の25%未満を含有する流出液731は回収され、電気凝固法ステップ71に送られる。このステップでは、電極は流出液溶液731の中に様々な助触媒金属を有する不溶性錯体を形成し、少なくとも75%の助触媒金属を不溶性錯体、例えばNiAlOなどとして廃棄物処分のために取り除く。極めて低レベルの金属(第VIB族金属又は助触媒金属のいずれか)を含有する濾液711は、塩基性沈殿ステップ74において、アルカリ土類金属を含有する溶液を用いて、例えば、スラリーを形成して、場合によって処理される。分離ゾーン75から、CaMoO及びCaWOを含有する沈殿物を廃棄物処分に送り、第VIB族及び助触媒金属のそれぞれを10ppm未満含有する流出液又は濾液81を排水処理/下水管へ送ることができる。
【0114】
図5〜8は、上澄みの少なくとも90%の金属を回収するためのイオン交換技術の使用を例示している。金属回収率は、これらに限定されないが、イオン交換ベッドに使用される樹脂のタイプ、上澄みの中の金属の濃度、上澄みのpH、並びにイオン交換樹脂を通る上澄み13の流速を含めたいくつかの要素に依存する。
【0115】
図5では、カチオン交換器77が最初に使用されることによって、助触媒金属、例えば第VIII族、第IIB族金属、例えばニッケルなどを上澄み流れ13から抽出する。このステップでは、樹脂は、助触媒金属、例えばニッケル、コバルトなどを流出流771中で、>1000ppm〜50ppm未満の流入レベルで選択的に吸収する。流出流771に、化学的沈殿処理ステップ72を施すことによって、大部分の第VIB族金属を酸化物として回収する。固体沈殿物は、分離ゾーン73において溶液から分離する。ステップ76でNHOHを加えることによって、第VIB族金属錯体を溶解し、共ゲル化ステップ10において、金属前駆体原料であるポリモリブデン酸アンモニウム(例えば、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、即ちAHM)及びポリタングステン酸アンモニウム(例えば、ヘプタタングステン酸アンモニウム、即ちAHT)などとして使用する。分離ゾーン73からの流出液731は、アルカリ土類金属イオン、例えば、石灰などを含有する溶液で、プレシピテータ74内で処理することによって、第VIB族金属、例えばモリブデン、タングステンなどを選択的に沈殿させることによって、スラリーを形成する。分離ゾーン75から濾液81を回収し、これを、流出流として廃棄物処理又は下水管へ送る。モリブデン酸カルシウム/タングステン酸カルシウムを含有する沈殿物は、廃棄物処分に送ることができる。
【0116】
図6は、イオン交換を介した金属回収の別の実施形態を例示している。上澄み13には、予め選択されたpHで化学的沈殿72を最初に施し、金属錯体を含有するスラリーを形成する。分離ステップ73では、金属錯体を単離し、回収する。塩基性溶液、例えば、水酸化アンモニウム濃縮溶液を用いたさらなる処理を有するステップ76では、上澄み中に最初に存在する第VIB族金属の少なくとも75モル%を回収して、AHM及び/又はAHT金属前駆体フィードとして再利用する。
【0117】
分離ゾーン73から、第VIB族金属の25%未満を含有する濾液がカチオン交換カラム77に入り、このカチオン交換カラム77において、例えばニッケルなどの助触媒金属の少なくとも90%が回収され、共ゲル化ステップ10に送られる。カチオン交換カラムからの流出液771は、廃棄物処理に送ることができるか、又は示されているように、プレシピテータ74の中で、石灰などのアルカリ土類金属イオンを含有する溶液で処理し、沈殿物を形成し、これをそれに続く廃棄物処分のためにステップ75で単離及び回収することができる。
【0118】
図7では、化学的沈殿ステップ72(図6に示されている通り)の代わりに、又はこれに加えて、アニオン溶媒抽出又はアニオン交換カラム77Bを利用することによって、モリブデン酸及びタングステン酸アニオンを流出流771から選択的に取り除く。(任意の)pH処理ゾーン78では、アニオン交換カラム77Bに入る前の、水酸化ナトリウムなどの適切な塩基の添加により、流出流771を3〜6.5のpHに最初に中和する。モリブデン酸アニオン/タングステン酸アニオンなどの第VIB族金属錯体を充填した後、ステップ76において、水酸化アンモニウムの水溶液で樹脂を溶出するのが便利である。ポリモリブデン酸アンモニウム及び/又はポリタングステン酸アンモニウムを含有する生成した溶出液をリサイクルして、共ゲル化反応のための図1のステップ10に戻す。
【0119】
一実施形態では、アニオン交換カラム77Bからの流出流は、沈殿ゾーン74において、石灰などのアルカリ土類金属イオンを含有する溶液で処理することによって、いずれかの残存する第VIB族金属、例えばモリブデン、タングステンなどを選択的に沈殿させ、続いてこの化合物を分離ゾーン75で分離し、この流出液が廃棄物処理又は下水管へ向かうようにする。モリブデン酸カルシウム/タングステン酸カルシウムを含有する沈殿物を廃棄物処分に送ることができる。
【0120】
図7に例示されているように、カチオン交換ステップ77Aは、アニオン交換ステップ77Bに先行する。しかしながら、イオン交換技術の別の実施形態では(示されていない)及び処理すべき流れのpHに応じて、アニオン交換77Bを最初に行うことによって、上澄み13からポリモリブデン酸アンモニウム及び/又はポリタングステン酸アンモニウムを含有する溶液として第VIB族金属錯体を回収する/取り除くことができる。アニオン交換カラムからの流出流は、次にカチオン交換ゾーン77への経路を取り、そこで、Ni(NOなどの助触媒金属塩を含有する貴液(溶出液)が共ゲル化ステップ10において回収及び再利用される。カチオン交換ゾーン77Aからの流出流は、濃度及び含有されている金属成分、並びに排水処理施設の能力に応じて、アルカリ土類金属溶液(ステップ74のように)又は酸(ステップ72のように)のいずれを用いるかに関わらず、任意に化学的沈殿プロセスでさらに処理することができる。
【0121】
図8は、電気凝固法と併用してイオン交換技術を使用することによる、上澄み流れ13からの未反応の金属残留物の回収を例示している。上澄み流れ13は、イオン交換処理/電気凝固法の前に、最初に化学的沈殿ステップ72を施すことによって、残留金属成分を取り除く。酸プレシピテータ72では、上澄み流れ13を予め選択されたpHに調整することによって、酸化物として第VIB族金属の少なくとも75%を沈殿させる。分離ステップ73の後、ステップ76において金属錯体を、塩基性溶液、例えば水酸化アンモニウム濃縮溶液でさらに処理することによって、固体金属沈殿物を溶解する。第VIB族錯体、例えばクロム酸塩、モリブデン酸塩などは、回収及びリサイクルして、共ゲル化ステップ10に戻して金属前駆体フィードとして使用する。
【0122】
分離ゾーン73から、流入する助触媒金属の本質的にすべて及び流入する第VIB族金属の25%未満を含有する濾液は、カチオン交換カラム77Aに送られる。カチオン交換器77A内で、流出流771の中で、>1000ppm〜50ppm未満の流入レベルでニッケル、コバルトなどの助触媒金属を選択的に吸収するよう樹脂を選択する。
【0123】
カチオン交換ステップ77Aの後、流出流771は、そのままプレシピテータ74に送ることによって、廃棄物処分のため、モリブデン酸カルシウム、タングステン酸カルシウムなどとして大部分の第VIB族金属を取り除くことができる。一実施形態では、流出流771には、アニオン交換器カラム77B、電気凝固法容器71、又は流出流の中の金属の除去及び回収を最大にするため直列に構成された両方のプロセスステップのいずれかで、さらなる処理を施す。
【0124】
別の実施形態では、プレシピテータ74内でのアルカリ土類金属溶液を用いた化学的処理の前に、アニオン交換ゾーン77を脱出する流出流は、アニオン交換カラム77B、電気凝固法容器71において、(例示されている通り)両方における処理のための2つの別個の流れに分割して、さらに処理することができる。別の実施形態では(示されていない)、流出流は、アニオン交換カラム77B内で処理し、続いて電気凝固法容器71で金属回収を行うことができる。処理がアニオン交換77Bを介する場合、カチオン性樹脂は、水酸化アンモニウム水溶液で続いて溶出することができる(示されていない)。ポリモリブデン酸アンモニウム及び/又はポリタングステン酸アンモニウムを含有する生成した溶出液は、リサイクルして、金属前駆体フィードとして共ゲル化ステップに戻す。
【0125】
電気凝固法容器74を介した追加の金属回収ステップ、及びカソードとしてのアルミニウムの使用に関わる一実施形態では、アルミニウムは、流出流771の中で様々な第VIB族金属を有する不溶性錯体を形成し、Al(MoO、Al(WOなどの金属錯体を形成するが、これらは、共ゲル化ステップ10において金属前駆体フィードとして回収/再利用することができる。
【0126】
さらに別の実施形態では(示されていない)、金属除去は、電気凝固法及び化学的沈殿と併用したイオン交換(カチオン性及び/又はアニオン性交換)を介して、又は酸性又は塩基性溶液、例えばアルカリ土類金属イオンを含有する溶液の添加による予め選択されたpHへの調整を介して行うことができる。
【0127】
リサイクル/回収された金属を利用する触媒の使用:リサイクル/回収された金属を用いて調製した多金属触媒は、広い範囲の反応条件下で複数のフィードを処理するためにほぼすべての水素化プロセッシングプロセスで使用することができる。リサイクル/回収された金属を有する触媒はまた、優れた触媒活性を示し、VGOなどの重油原料の水素化処理において90%超のHDN(水素化脱窒素)変換率を付与する。
【0128】
上記に例示されているような金属前駆体フィードとして使用するための、金属成分を回収/リサイクルするための方法は、本発明の本質的な特性から逸脱することなく変化させることができることを理解されたい。例えば、異なる回収技術、例えば、化学的沈殿、イオン交換、又は電気凝固法などを、個々に又は組み合わせて使用することができる。利用する特定の回収技術の選択及び/又は順序付けは、回収すべき金属成分を有する上澄みの濃度及び組成、並びに施設の廃棄材取扱い能力に依存する。
【実施例】
【0129】
以下の実施例は、非限定的であることを意図する。実施例において、誘導結合プラズマ(inductivity coupled plasma:ICP)を使用して金属レベルを解析した。
【0130】
比較例:式(NH){[Ni2.6(OH)2.08(C2−0.06](Mo0.350.65}の触媒前駆体を、米国特許公開US2009−0112010A1の例1に従い以下の通り調製した。52.96gのヘプタモリブデン酸アンモニウム(NHMo244HOを2.4Lの脱イオン水中に室温で溶解した。次いで73.98gのメタタングステン酸アンモニウム粉末を上記溶液に加え、完全に溶解するまで室温で撹拌した。絶え間なく撹拌しながら、90mlの濃縮(NH)OHを溶液に加えた。150mlの脱イオン水中に溶解した174.65gのNi(NO.6HOを含有する第2の溶液を調製し、90℃に加熱した。高温のニッケル溶液を1時間にわたりモリブデン酸塩/タングステン酸塩溶液にゆっくりと加えた。生成した混合物を91℃に加熱し、撹拌を30分間継続した。1.8Lの脱イオン化(deionized:DI)水に溶解した10.54gのマレイン酸の溶液中に、沈殿物を分散させ、70℃に加熱した。生成したスラリーを70℃で30分間撹拌し、濾過した。
【0131】
濾過ステップからの上澄みは、7200ppmのMo、3600ppmのW、及び1450ppmのNiを含有した。この上澄みには、工場放出水に対する環境規制に従い高価な廃棄物処理を施さなければならない。
【0132】
(例1)
冷却器、オーバーヘッドスターラー、TC及びpHプローブを備えた、加熱した2L丸底(round−bottom:RB)フラスコへ800gの水を加えた。17.69gのヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物(AHM)をこのフラスコに加え、完全に溶解して18.9℃でpH=5.16となるまで撹拌した。24.68gのメタタングステン酸アンモニウム(ammonium metatungstate:AMT)を次に加え、完全に溶解して、18.9℃でpH5.13となるまで混合物を撹拌した。この混合物のpHを水酸化アンモニウムで調整して、23.7℃でpH9.6とした。この混合物を加熱し、この混合物のpHは、81.6℃で7.66と測定された。別に、58.24gの硝酸ニッケル六水和物を50gの水の中に溶解した。20分間にわたり激しく撹拌しながら、ニッケル溶液を前のステップの高温の混合物に加え、79.6℃で6.17のpHを有する混合物にした。次のステップでは、2.03gのマレイン酸をこの混合物に加えて、79℃で5.98のpHにした。濃縮水酸化アンモニウムを用いてこの混合物のpHを調整して、81.4℃で7.07にした。この混合物を80分間持続的に撹拌した。触媒前駆体が、溶液中でゲルとして形成された。
【0133】
それに続くステップにおいて、触媒前駆体ゲル混合物への40gの硝酸アルミニウムの添加によりさらなる(第2の)触媒前駆体が形成し、これを1時間撹拌した。次いで、2.9gの濃縮HNOを用いてpHを5.3(80℃)に調整した。この混合物を1時間撹拌することで、80℃で最終pHを5.39とした。高温スラリーを濾過して、816gの濾液及びフィルターケーキを回収し、続いてこれを空気中で乾燥させた。固体を120℃で、一晩にわたり空気中で乾燥させて、約80gの固体を得た。濾液の分析によって、850ppmのMo、46ppmのW及び652ppmのNiを得て、97%の金属を回収した。
【0134】
濾液を、約80℃で、CaOの水中の過剰の水和スラリーで処理し、沈殿物を形成した。固体液体分離を行うことによって、沈殿物を単離し、20ppm未満のMo及びW、並びに10ppm未満のNiを有する流出液を得た。
【0135】
(例2)
化学的沈殿に続く電気凝固法(electro coagulation(EC)):
例1を繰り返した。触媒前駆体を単離し、回収した後、上澄みを収集し、解析すると、7149ppmのMo、3591ppmのW及び1433ppmのNiを示した。上澄みのpHは、濃縮硝酸で3.0に調整した。約342gの上澄みを2つの長方形のアルミニウム電極を備えた500mlのECセルに入れた。6Vの電圧を電極に加えることによって、5アンペアのDC電流を、15分間セルを介して流し続けた。生成したスラリーは、78℃でpH5.6を有した。スラリーを濾過し、室温に冷却し、約86ppmのMo、6ppm未満のW及び117ppmのNiを含有する第1の濾液を得た。濾液のpHを、1MのNaOHを用いて7.5に調整した。次いでこれを、最初のECステップと同じ条件下で、ECセル内で処理した。生成したスラリーは、79℃でpH6.8を有した。固体液体分離を行い、第2の濾液を形成し、この第2の濾液は、約22ppmのMo、6ppm未満のW及び約5.2ppmのNiを含有した。
【0136】
(例3)
例1を繰り返した。触媒前駆体を単離し、回収した後、上澄みを収集し、解析すると、7149ppmのMo、3591ppmのW及び1433ppmのNiを示した。上澄みのpHは20℃で7.8であった。385gの上澄みを、2つの長方形アルミニウム電極を備えた500mlのECセルに入れた。4Vの電圧を電極に加えることによって、5AのDC電流を、15分間セルを介して流し続けた。生成したスラリーは、72℃でpH7.3を有した。スラリーを濾過し、室温に冷却し、6733ppmのMo、986ppmのW及び20ppmのNiを含有する第1の濾液を得た。第1の濾液を、オーバーヘッドスターラーを備えた500mlフラスコに入れ、次いで濃縮硝酸でそのpHを1.4に調整した。この酸調整の結果、白色沈殿物が直ちに形成された。撹拌を20分間保ち、次いで停止した。この混合物を2時間沈降させておいた。固体液体分離を行い、第2の濾液を得た。この第2の濾液は、1286ppmのMo、236ppmのW及び20ppmのNiを含有した。第2の濾液は、80℃で、水中で、過剰のCaOスラリーで処理することによって、pHを中和し、Mo及びWのレベルを20ppm未満、Niを10ppm未満に減少させた。
【0137】
(例4)
例1を繰り返した。触媒前駆体を単離し、回収した後、上澄みを収集し、解析すると、7149ppmのMo、3591ppmのW及び1433ppmのNiを示した。上澄みのpHは20℃で7.8であった。約1Lの上澄みを、オーバーヘッドスターラーを備えた2Lフラスコに入れた。濃縮硝酸で上澄みのpHを1.2に調整した。この酸調整の結果、白色沈殿物が直ちに形成された。撹拌を20分間継続し、次いで停止した。この混合物を氷浴内で10℃に冷却し、2時間沈降させた。この混合物を濾過し、396gの第1の濾液を得た。第1の濾液の試料を取り、ICPで金属分析すると、901ppmのMo、208ppmのW及び1511ppmのNiを示した。第1の濾液のpHを1MのNaOHで7.5に調整した。これを、例3に記載されているようにECセルに移し、6Vで5アンペアのセルDC電流下で15分間処理し、81℃でpH6.7を有するスラリーを得た。スラリーを濾過し、第2の濾液を得た。この第2の濾液は、115ppmのMo、20ppmのW及び2ppmのNiを含有した。第2の濾液は、80℃で、水中で、過剰のCaOスラリーで処理することによって、Mo及びWのレベルを20ppm未満に減少させた。
【0138】
(例5)
例1を繰り返した。触媒前駆体を単離し、回収した後、上澄みを得た。回収後、この上澄みを解析すると、3782ppmのMo、750ppmのW及び1868ppmのNiを示した。pHは、20℃で7.8であった。1Lの濾液上澄みを、オーバーヘッドスターラーを備えた2Lフラスコの中に入れた。濾液のpHを濃縮硝酸で1.2に調整した。この酸調整の結果、白色沈殿物が直ちに形成された。撹拌を20分間継続した。この混合物を氷浴内で10℃に冷却し、2時間沈降させておいた。この混合物を濾過し、第1の濾液を得た。第1の濾液を解析すると、901ppmのMo、208ppmのW及び1511ppmのNiを含有することを示した。
【0139】
200mlの第1の濾液を、H+形態の20mlのAmberlite(商標)748イオン交換樹脂に接触させた。この混合物を500ml瓶に入れ、2時間振とうした。この混合物を濾過し、第2の濾液を得た。第2の濾液を解析すると、<20ppmのMo及びW並びに1426ppmのNiを示した。第2の濾液のpHを水酸化アンモニウムの濃縮溶液で6.5に調整し、スラリーを形成した。200mlのスラリー混合物を、NH+形態の20mlのAmberlite(商標)748イオン交換樹脂に接触させた。この混合物を500ml瓶に入れ、2時間振とうした。これを前回のステップのように濾過することによって、第3の濾液として樹脂を含まない液体を得た。ICP金属分析において、第3の濾液は、3ppm未満のNiを示している。
【0140】
水酸化アンモニウム溶液で樹脂を再生することによってMo及びWを回収し、続いて硫酸でイオン交換することによって、樹脂をH+形態に変換した。硫酸溶液で樹脂を洗浄することによってNiを回収し、続いて水酸化アンモニウムでイオン交換することによって、アンモニウム形態の樹脂を得た。樹脂は、その弱酸性質により、そのゼロ電荷点より下の酸性のpH範囲においてアニオン交換樹脂として作用し、ゼロ電荷点より上の中性から塩基性のpHではカチオン交換樹脂として作用することをここで述べておく。
【0141】
(例6)
この例では、流出液を酸処理し、続いてカチオン交換及び/又は石灰処理した。例1を繰り返し、触媒前駆体単離ステップからの上澄みを収集し、解析すると、3782ppmのMo、750ppmのW及び1868ppmのNiを示した。上澄みのpHは20℃で7.8であった。1Lの濾液を、オーバーヘッドスターラーを備えた2Lフラスコに入れた。濃縮硝酸で上澄みのpHを1.2に調整した。この酸調整の結果、白色沈殿物が直ちに形成した。撹拌を20分間継続した。この混合物を氷浴内で10℃に冷却し、2時間沈降させておいた。この混合物を濾過し、第1の濾液を得た。第1の濾液の試料をICPによる金属分析用に取った。これは、901ppmのMo、208ppmのW及び1511ppmのNiを含有した。200mlの第1の濾液を、H+形態の、40mlのDowex G−26Hイオン交換樹脂に接触させた。この混合物を500mlポリプロピレン瓶の中に入れ、2時間振とうした。スラリーを濾過し、第2の濾液を得た。これを解析すると、890ppmのMo、201ppmのW及び573ppmのNiを示した。
【0142】
第2の濾液を、80℃で、水中で、過剰のCaOスラリーで処理することによって、Mo及びWのレベルを20ppm未満に、Niのレベルを10ppm未満に減少させた。製造者の提案する手順に従って酸で樹脂を再生し、再利用した。金属回収が酸沈殿後に十分とみなされた場合、石灰処理は必要とされないこともあることに注意されたい。
【0143】
本願発明を以下に示す。
[請求項1]
廃棄物処理への最小量の金属を有するバルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを、反応条件下で共沈殿させて、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
前記混合物から前記触媒前駆体を単離し、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、
化学的沈殿、イオン交換、電気凝固法、及びこれらの組合せのいずれかで前記上澄みを処理して、少なくとも金属前駆体フィードと、前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンを50モル%未満含有する第1の流出流を生成するステップと、
前記第1の流出流を処理することによって、第1の流出流中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収するステップと、
少なくとも前記金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
前記触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップと
を含み、
前記プロセスから廃棄物処理への流出流が50ppm未満の金属イオンを含有する、前記プロセス。
[請求項2]
前記硫化ステップの前に、触媒前駆体を少なくとも150℃の温度で乾燥させるステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
[請求項3]
前記硫化ステップの前に、触媒前駆体を少なくとも300℃の温度で乾燥させるステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
[請求項4]
前記触媒前駆体を少なくとも325℃の温度で乾燥させることによって、触媒前駆体が式(X)(Mo)(W)(式中、XはNi又はCoであり、b:(c+d)のモル比は0.5/1〜3/1であり、c:dのモル比は>0.01/1であり、z=[2b+6(c+d)]/2である)を有するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
[請求項5]
前記触媒前駆体を最大でも200℃の温度で乾燥させることによって、前記触媒前駆体が式A[(M)(OH)(L)(MVIB
(式中、Aは、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウム及びホスホニウムカチオンのうちの少なくとも1つであり、
は、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せの群から選択され、Pは、酸化状態であり、Mは、Mの選択に応じて+2又は+4のいずれかの酸化状態を有し、Lは、電荷n<=0を有する、少なくとも配位剤Lであり、MVIBは、+6の酸化状態を有する、少なくとも第VIB族金属であり、M:MVIBは、100:1〜1:100の原子比を有し、v−2+P×z−x×z+n×y×z=0であり、0<y≦−P/n;0<x≦P;0<v≦2;0<zである)
を有するステップをさらに含む、請求項1から4までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項6]
バルク触媒を形成する、触媒前駆体の前記硫化ステップが、前記触媒前駆体の水素化プロセッシング反応器への充填前又は充填後いずれかである、請求項1から4までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項7]
前記上澄みが、電源により提供される正電荷又は負電荷を有する複数の電極を有する反応容器内で処理され、前記電極が金属残留物の少なくとも1つと反応して、不溶性金属化合物を含有するスラリーを形成する、請求項1から4までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項8]
スラリーから不溶性金属化合物を回収し、上澄み中の金属残留物の少なくとも1つを20モル%未満含有する流出流を形成するステップをさらに含む、請求項1から4までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項9]
混合条件下で、少なくとも1つの金属残留物の少なくとも一部を第1の予め選択されたpHで沈殿させるだけの十分な時間をかけて、酸、スルフィド含有化合物、塩基、及びこれらの組合せの少なくとも1つを流出流に加えるステップをさらに含む、請求項1から4までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項10]
前記金属残留物の少なくとも一部を含む沈殿物を単離及び回収し、前記金属残留物の少なくとも1つを1000ppm未満含有する第3の流出流を生成するステップをさらに含む、請求項9に記載のプロセス。
[請求項11]
前記上澄み中の金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50%が交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて前記上澄みを前記樹脂に接触させ、そして未結合の金属残留物を含有する第1の流出流を形成する、請求項1から4までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項12]
電源により提供される正電荷又は負電荷を有する複数の電極を有する反応容器の中で第1の流出液を処理するステップであって、電極が金属残留物の少なくとも1つと反応して、少なくとも沈殿物を含有するスラリーを形成する前記ステップと、
前記スラリーから沈殿物を単離することによって、2000ppm未満の金属を含有する第2の流出液を回収するステップと
をさらに含む、請求項1から4までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項13]
混合条件下で、金属残留物の少なくとも一部を第1の予め選択されたpHで沈殿させるだけの十分な時間をかけて、酸、スルフィド含有化合物、塩基、及びこれらの組合せの群から選択される少なくとも添加物を、第2の流出流に加えて、1000ppm未満の金属を含有する第3の流出流を生成するステップ
をさらに含む、請求項12に記載のプロセス。
[請求項14]
樹脂を溶出することによって、樹脂上に既に結合した金属イオンを含有する溶出液流を生成するステップ
をさらに含む、請求項13に記載のプロセス。
[請求項15]
前記第1の流出流中の未結合の金属残留物の少なくとも80モル%又は前記溶出液流中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収して、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップ
をさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
[請求項16]
少なくともカチオン交換樹脂が、金属イオンと交換されて前記金属イオンと結合するように提供される、請求項11に記載のプロセス。
[請求項17]
少なくともアニオン交換樹脂が、金属イオンと交換されて前記金属イオンと結合するように提供される、請求項11に記載のプロセス。
[請求項18]
少なくともカチオンキレート樹脂が、第VIB族金属残留物中の金属イオンの少なくとも50モル%と交換及び結合するように提供される、請求項11に記載のプロセス。
[請求項19]
前記カチオンキレート樹脂がアミン官能基を含有する、請求項18に記載のプロセス。
[請求項20]
バルク触媒を形成する、触媒前駆体の前記硫化ステップが、触媒前駆体の水素化プロセッシング反応器への充填前又は充填後のいずれかである、請求項1に記載のプロセス。
[請求項21]
助触媒金属残留物が、ニッケル化合物を含み、第1の流出流が、50ppm未満のNiを含有し、前記ニッケルの少なくとも80%が樹脂と交換されて前記樹脂上に結合する、請求項11に記載のプロセス。
[請求項22]
前記樹脂が、少なくとも酸で溶出されることによって、溶出液を形成する、請求項14に記載のプロセス。
[請求項23]
前記助触媒金属残留物が、ニッケル化合物を含み、前記樹脂が硫酸で溶出されることによってpH3未満となり、前記共沈ステップで助触媒金属前駆体フィードとして使用されるためのNi(NOを形成する、請求項14に記載のプロセス。
[請求項24]
第1の流出流を化学的沈殿で処理することによって、第VIB族金属前駆体フィードとして第VIB族金属残留物を回収するステップをさらに含む、請求項11に記載のプロセス。
[請求項25]
混合条件下で、第VIB族金属残留物の少なくとも一部を第1の予め選択されたpHで沈殿させるだけの十分な時間をかけて、少なくとも酸を加えることによって、第1の流出流が処理される、請求項24に記載のプロセス。
[請求項26]
前記沈殿物を単離及び回収して、第VIB族金属残留物の25モル%未満を含む第2の流出流を形成するステップをさらに含む、請求項25に記載のプロセス。
[請求項27]
混合条件下で、少なくともカルシウム化合物を第2の流出流に加えて、少なくともカルシウム塩を形成するステップをさらに含む、請求項26に記載のプロセス。
[請求項28]
加えられるカルシウム化合物と、第VIB族金属残留物とのモル比が、2:1〜50:1の範囲である、請求項27に記載のプロセス。
[請求項29]
バルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを、反応条件で共沈殿させて、第1の触媒前駆体と、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する第1の上澄みとを含む生成混合物を形成するステップと、
少なくとも沈殿剤を、溶液中の沈殿剤と金属残留物とのモル比1.5:1〜20:1の範囲で、前記生成混合物に加えて、前記残留物の中の金属イオンの少なくとも50モル%を沈殿させて、追加の触媒前駆体を形成するステップと、
前記生成混合物から前記触媒前駆体を単離して、金属残留物の中の金属イオンの5000ppm未満を含有する第2の上澄みを形成するステップと、
前記触媒前駆体を硫化して、前記バルク触媒を形成するステップと
を含む、上記プロセス。
[請求項30]
硫化ステップの前に、第1及び追加の触媒前駆体を150〜300℃の温度で乾燥させるステップをさらに含む、請求項29に記載のプロセス。
[請求項31]
第1及び第2の触媒前駆体を、硫化ステップの前に少なくとも300℃の温度でか焼することをさらに含む、請求項29に記載のプロセス。
[請求項32]
か焼が少なくとも325℃の温度であることによって、式(X)(Mo)(W)(式中、XはNi又はCoであり、b:(c+d)のモル比は0.5/1〜3/1であり、c:dのモル比は>0.01/1であり、z=[2b+6(c+d)]/2である)を有する少なくとも1つの触媒前駆体を形成する、請求項31に記載のプロセス。
[請求項33]
乾燥が200℃以下の温度であることによって、少なくとも、式A[(M)(OH)(L)(MVIB
(式中、Aは、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウム及びホスホニウムカチオンの少なくとも1つであり、Mは、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せの群から選択され、Pは、酸化状態であり、Mは、Mの選択に応じて、+2又は+4のいずれかの酸化状態を有し、Lは、電荷n<=0を有する、少なくとも配位剤Lであり、MVIBは、+6の酸化状態を有する、少なくとも第VIB族金属であり、M:MVIBは、100:1〜1:100の原子比を有し、
v−2+P×z−x×z+n×y×z=0であり、0<y≦−P/n;0<x≦P;0<v≦2;0<zである)
を有する触媒前駆体を形成する、請求項31に記載のプロセス。
[請求項34]
が少なくとも第VIII族金属である、請求項35に記載のプロセス。
[請求項35]
前記第1及び追加の触媒前駆体の単離が、濾過、デカンター、遠心分離、及びこれらの組合せの少なくとも1つを介する、請求項28に記載のプロセス。
[請求項36]
前記沈殿剤の添加前に、混合物のpHを予め選択されたpHへ調整することによって、追加の触媒前駆体の形成を促進させるステップをさらに含む、請求項28に記載のプロセス。
[請求項37]
第1及び追加の触媒前駆体の単離前に、混合物のpHを予め選択されたpHへ調整することによって、第1及び追加の触媒前駆体の単離を促進させるステップをさらに含む、請求項28に記載のプロセス。
[請求項38]
前記混合物のpHを、少なくとも酸又は塩基を加えることによって調整する、請求項37に記載のプロセス。
[請求項39]
前記混合物のpHを、硝酸を加えることによって調整する、請求項38に記載のプロセス。
[請求項40]
前記混合物のpHを約5〜6.5に調整する、請求項39に記載のプロセス。
[請求項41]
前記沈殿剤が両性の挙動を示す金属の化合物から選択される、請求項28に記載のプロセス。
[請求項42]
前記沈殿剤が、Ni、Zn、Al、Sn、及びNbの化合物から選択される、請求項41に記載のプロセス。
[請求項43]
前記沈殿剤が、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸亜鉛、アルミン酸アンモニウム、亜鉛酸アンモニウム、五酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、及びこれらの混合物から選択される、請求項42に記載のプロセス。
[請求項44]
前記沈殿剤がアルミン酸アンモニウムである、請求項43に記載のプロセス。
[請求項45]
前記沈殿剤が、アルミナ、アルミナシリカ、チタン酸塩、ケイ酸塩及びこれらの混合物の群から選択される、請求項28に記載のプロセス。
[請求項46]
前記第2の上澄みを、電源により提供される正電荷又は負電荷を有する複数の電極を有する反応容器に供給して、不溶性金属化合物を含有するスラリーを形成するステップと、
前記不溶性金属化合物を回収して、100ppm未満の金属を含有する第1の流出流を形成するステップと
をさらに含む、請求項28に記載のプロセス。
[請求項47]
少なくとも交換樹脂を提供するステップと、
第2の上澄みと、イオン交換樹脂を接触させることによって、第2の上澄みの中の金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも50%を前記樹脂上に結合させて、100ppm未満の金属を含有する流出流を形成するステップと
をさらに含む、請求項28に記載のプロセス。
[請求項48]
混合条件下で、予め選択されたpHで、第1及び第2の金属残留物の少なくとも一部を沈殿させるだけの十分な時間をかけて、第2の上澄みを、酸、スルフィド含有化合物、塩基及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも添加物で処理し、100ppm未満の金属を含有する流出流を形成するステップ
をさらに含む、請求項28に記載のプロセス。
[請求項49]
バルク触媒を形成する第1及び第2の触媒前駆体の硫化が、触媒前駆体の水素化プロセッシング反応器への充填前又は充填後のいずれかである、請求項28に記載のプロセス。
[請求項50]
水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させて、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
前記混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの中の金属イオンの少なくとも10モル%の総量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記金属残留物の中の金属イオンの少なくとも50モル%がイオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて上澄みを前記樹脂に接触させ、そして未結合の金属残留物を含有する第1の流出流を形成するステップと、
前記樹脂を溶出することによって、前記樹脂上に既に結合した金属イオンを含有する溶出液流を生成するステップと、
第1の流出流又は溶出液流を処理して、前記流れの中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
触媒前駆体を硫化してバルク触媒を形成するステップと
を含む、上記プロセス。
[請求項51]
前記上澄み中の金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも80モル%がイオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、前記上澄みを前記樹脂に接触させる、請求項50に記載のプロセス。
[請求項52]
少なくともカチオン交換樹脂が、前記助触媒金属残留物中の金属イオンの少なくとも80%と結合するために提供される、請求項50に記載のプロセス。
[請求項53]
前記助触媒金属残留物が、ニッケル化合物を含み、第1の流出流が、50ppm未満のNiを含有し、前記ニッケルの少なくとも80%が樹脂上に結合している、請求項52に記載のプロセス。
[請求項54]
前記樹脂が、少なくとも酸で溶出されて、溶出液を形成する、請求項50に記載のプロセス。
[請求項55]
前記助触媒金属残留物が、ニッケル化合物を含み、前記樹脂が硫酸で溶出されてpH3未満となり、前記共沈ステップでの助触媒金属前駆体フィードとして使用されるためのNi(SO)を形成する、請求項54に記載のプロセス。
[請求項56]
前記第1の流出流を化学的沈殿で処理して、第VIB族金属前駆体フィードとして未結合の金属残留物を回収するステップをさらに含む、請求項50に記載のプロセス。
[請求項57]
前記第1の流出液が、混合条件下で、未結合の金属残留物の少なくとも一部を、第1の予め選択されたpHで沈殿させるだけの十分な時間をかけて、少なくとも酸を加えることによって処理される、請求項56に記載のプロセス。
[請求項58]
前記沈殿物を単離及び回収して、第VIB族金属残留物の25モル%未満を含む第2の流出流を形成するステップをさらに含む、請求項57に記載のプロセス。
[請求項59]
混合条件下で、少なくともカルシウム化合物を第2の流出流に加えて、少なくともカルシウム塩を形成するステップをさらに含む、請求項58に記載のプロセス。
[請求項60]
加えたカルシウム化合物と、第VIB族金属残留物のモル比が、2:1〜50:1の範囲である、請求項59に記載のプロセス。
[請求項61]
第VIB族金属残留物が少なくともモリブデン化合物とタングステン化合物とを含み、カルシウム塩がCaMoO及びCaWOの少なくとも1つを含む、請求項60に記載のプロセス。
[請求項62]
第2の流出流をpH7未満へと酸性化させるステップをさらに含む、請求項58に記載のプロセス。
[請求項63]
第VIB族金属残留物が、少なくともモリブデン化合物とタングステン化合物とを含み、沈殿物がモリブデン酸塩と、タングステン酸塩とこれらの組合せとを含む、請求項58に記載のプロセス。
[請求項64]
モリブデン酸塩と、タングステン酸塩と、これらの組合せとを含む沈殿物を、水酸化アンモニウム水溶液中に溶解して、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、ヘプタタングステン酸アンモニウム及びこれらの組合せを形成するステップをさらに含む、請求項63に記載のプロセス。
[請求項65]
第VIB族金属残留物中の金属イオンの少なくとも80%に結合するために、少なくともアニオン交換樹脂が提供される、請求項50に記載のプロセス。
[請求項66]
樹脂が、ヒドロキシドベースで溶出されることによって、溶出液を形成する、請求項50に記載のプロセス。
[請求項67]
第VIB族金属残留物の中の金属イオンの少なくとも80%に結合するために、少なくともカチオンキレート樹脂が提供される、請求項50に記載のプロセス。
[請求項68]
カチオンキレート樹脂が、アミン官能基を含有する、請求項67に記載のプロセス。
[請求項69]
硫化ステップの前に、少なくとも300℃の温度で触媒前駆体をか焼するステップをさらに含む、請求項50に記載のプロセス。
[請求項70]
か焼が少なくとも325℃の温度であることにより、触媒前駆体が式(X)(Mo)(W)(式中、XはNi又はCoであり、b:(c+d)のモル比は0.5/1〜3/1であり、c:dのモル比は>0.01/1であり、z=[2b+6(c+d)]/2である)を有する、請求項69に記載のプロセス。
[請求項71]
硫化ステップの前に触媒前駆体を200℃以下の温度で乾燥させて、式A[(M)(OH)(L)(MVIB
(式中、Aは、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウム及びホスホニウムカチオンの少なくとも1つであり、Mは、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せの群から選択され、Pは、酸化状態であり、Mは、Mの選択に応じて、+2又は+4のいずれかの酸化状態を有し、Lは、電荷n<=0を有する、少なくとも配位剤Lであり、MVIBは、+6の酸化状態を有する、少なくとも第VIB族金属であり、M:MVIBは、100:1〜1:100の原子比を有し、
v−2+P×z−x×z+n×y×z=0であり、0<y≦−P/n;0<x≦P;0<v≦2;0<zである)
を有する触媒前駆体を得るステップをさらに含む、請求項50に記載のプロセス。
[請求項72]
バルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスにおいて、少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの中の金属イオンの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、触媒前駆体をか焼することによって、式(X)(Mo)(W)(式中、XはNi又はCoであり、b:(c+d)のモル比は0.5/1〜3/1であり、c:dのモル比は>0.01/1であり、z=[2b+6(c+d)]/2である)の触媒前駆体を形成するステップと、触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップとを含むプロセスであって、前記改良が、
上澄みの中の前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも50%がイオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、上澄みを前記樹脂に接触させて、未結合の金属残留物を含有する第1の流出流を形成するステップと、
前記樹脂を溶出することによって、前記樹脂上に既に結合した金属イオンを含有する溶出液流を生成するステップと、
第1の流出流又は溶出液流を処理して、前記流れの中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと
を含む、前記プロセス。
[請求項73]
水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させて、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10%の量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記上澄みを、少なくとも酸で、予め選択されたpHで処理することによって、少なくとも助触媒金属残留物及び第VIB族金属残留物を沈殿させ、前記助触媒金属残留物及び第VIB族金属残留物の少なくとも1つの50%未満を含有する第1の流出流を形成するステップと、
少なくとも交換樹脂を提供するステップと、
前記上澄み中の前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%がイオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、上澄みを前記樹脂に接触させ、そして未結合の金属残留物を含有する第1の流出流を形成するステップと、
前記樹脂を溶出して、前記樹脂に既に結合した金属イオンを含有する溶出液を生成するステップと、
前記第1の流出流中の未結合の金属残留物中の金属イオンの少なくとも80モル%又は溶出液中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収して、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
前記金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
前記触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップと
を含む、前記プロセス。
[請求項74]
少なくともカチオンキレート樹脂が、第VIB族金属残留物の中の金属イオンの少なくとも50モル%と交換及び結合するように提供される、請求項73に記載のプロセス。
[請求項75]
カチオンキレート樹脂がアミン官能基を含有する、請求項74に記載のプロセス。
[請求項76]
前記上澄みを、ヒドロキシ、エーテル、アミン、第四級アミン、二価硫黄置換基、アミン酸化物及びヒドロキシアミンから選択される少なくとも1つの置換基を有するキレート化イオン交換樹脂に接触させる、請求項50に記載のプロセス。
[請求項77]
前記第1の流出流又は溶出液流を処理することによって、50ppm未満の第VIB族及び助触媒金属を含有する廃棄物処理への流出液を生成する、請求項50に記載のプロセス。
[請求項78]
最小量の廃棄物処理への金属を有するバルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の総量で含有する上澄みを形成するステップと、
混合条件下で、周囲温度から90℃の温度で、前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも50モル%を沈殿させるだけの十分な時間をかけて、前記上澄みを、酸、スルフィド含有化合物、塩基、及びこれらの組合せの少なくとも1つと混合するステップであって、沈殿が予め選択されたpHで行われる上記ステップと、
沈殿物を単離することによって、前記上澄み中の前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの50モル%未満を含有する第1の流出流を回収するステップと、
沈殿物又は第1の流出流の中の金属イオンを少なくとも金属前駆体フィードに変換するステップと、
少なくとも金属前駆体フィードを共沈殿ステップへリサイクルするステップと、
触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップと
を含む、前記プロセス。
[請求項79]
プロセスから廃棄物処理への流出流が、50ppm未満の金属を含有する、請求項78に記載のプロセス。
[請求項80]
硫化ステップの前に、少なくとも150℃の温度で触媒前駆体を乾燥させるステップをさらに含む、請求項78に記載のプロセス。
[請求項81]
触媒前駆体を少なくとも325℃の温度で乾燥させることによって、触媒前駆体が、式(X)(Mo)(W)(式中、XはNi又はCoであり、b:(c+d)のモル比は0.5/1〜3/1であり、c:dのモル比は>0.01/1であり、z=[2b+6(c+d)]/2である)を有するステップをさらに含む、請求項78から80までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項82]
最大でも200℃の温度で触媒前駆体を乾燥させるステップをさらに含み、触媒前駆体が、式A[(M)(OH)(L)(MVIB
(式中、Aは、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウム及びホスホニウムカチオンの少なくとも1つであり、Mは、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せの群から選択され、Pは酸化状態であり、Mは、Mの選択に応じて、+2又は+4のいずれかの酸化状態を有し、Lは、電荷n<=0を有する、少なくとも配位剤Lであり、MVIBは、+6の酸化状態を有する、少なくとも第VIB族金属であり、M:MVIBは、100:1〜1:100の原子比を有し、v−2+P×z−x×z+n×y×z=0であり、0<y≦−P/n;0<x≦P;0<v≦2;0<zである)
を有する、請求項78から80までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項83]
前記上澄みが、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、硝酸、及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも酸と混合される、請求項78から80までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項84]
酸が、硝酸であり、沈殿が3未満のpHで行われる、請求項83に記載のプロセス。
[請求項85]
第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つが、Mo及びWの化合物を含み、第1の流出流がMo及びWをそれぞれ1000ppm未満含む、請求項78から80までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項86]
沈殿物の中の金属イオンを変換するステップが、沈殿物を水酸化アンモニウム水溶液に溶解して、第VIB族金属前駆体フィードとして、モリブデン酸アンモニウム及びタングステン酸アンモニウムの少なくとも1つを形成するステップを含む、請求項78から80までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項87]
少なくとも助触媒金属前駆体フィードが、Ni化合物を含み、第1の流出流の中の金属イオンを変換するステップが、Ni化合物を沈殿させるだけの十分な時間をかけて、第1の流出流を塩基で処理するステップを含み、沈殿が予め選択されたpHで行われる、請求項78から80までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項88]
予め選択されたpHが少なくとも7である、請求項87に記載のプロセス。
[請求項89]
沈殿物を単離及び回収することによって、20ppm未満のNiを含有する第2の流出流を得るステップをさらに含む、請求項88に記載のプロセス。
[請求項90]
電源により提供される正電荷又は負電荷を有する複数の電極を有する反応容器内の第1の流出流を処理するステップであって、電極が前記金属残留物の少なくとも1つと反応して、不溶性金属化合物を含有するスラリーを形成する前記ステップと
スラリーから不溶性金属化合物を回収して、前記金属残留物の少なくとも1つの2000ppm未満を含有する第2の流出液を形成するステップと
をさらに含む、請求項78から80までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項91]
混合条件下で、前記金属残留物の少なくとも1つの少なくとも一部を第1の予め選択されたpHで沈殿させるだけの十分な時間をかけて、第2の流出流に、酸、スルフィド含有化合物、塩基、及びこれらの組合せの群から選択される少なくとも添加物を加えて、前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの1000ppm未満を含有する第3の流出流を生成するステップと
をさらに含む、請求項90に記載のプロセス。
[請求項92]
第1の流出液の中の前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%が前記樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、第1の流出液を、交換樹脂で処理して、未結合の金属残留物を含有する第2の流出流を形成するステップを
さらに含む、請求項78から80までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項93]
前記樹脂を溶出することによって、前記樹脂上に既に結合した金属イオンを含有する溶出液流を生成するステップと、
第2の流出流又は溶出液流を処理して、前記流れの中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと
をさらに含む、請求項92に記載のプロセス。
[請求項94]
混合条件下で、前記金属残留物の少なくとも1つの少なくとも一部を第1の予め選択されたpHで沈殿させるだけの十分な時間をかけて、第2の流出流に、酸、スルフィド含有化合物、塩基、及びこれらの組合せの少なくとも1つを加えることによって、第2の流出流における金属イオンの少なくとも80モル%を回収し、前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの1000ppm未満を含有する第3の流出流を生成する、請求項93に記載のプロセス。
[請求項95]
サイズが連続的に減少する複数のフィルターを有する濾過システムを介して第1の流出液を流して、前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンを2000ppm未満含有する第2の流出液を形成するステップを
さらに含む、請求項78から80までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項96]
プロセスから廃棄物処理への流出流が50ppm未満の第VIB族及び助触媒金属を含有する、請求項78から80までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項97]
バルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスにおいて、少なくとも第VIB族金属前駆体フィード並びに第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、触媒前駆体をか焼することによって、式(X)(Mo)(W)(式中、XはNi又はCoであり、b:(c+d)のモル比は0.5/1〜3/1であり、c:dのモル比は>0.01/1であり、z=[2b+6(c+d)]/2である)の触媒前駆体を形成するステップと、触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップとを含むプロセスであって、改良が、
混合条件下で、周囲温度から90℃までの温度で、前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも50モル%を沈殿させるだけの十分な時間をかけて、上澄みを、酸、塩基、及びこれらの組合せの少なくとも1つと混合するステップであって、沈殿が予め選択されたpHで行われる上記ステップと、
その沈殿物を単離することによって、上澄みの中の前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの20モル%未満を含有する第1の流出液を回収するステップと、
前記沈殿物を、少なくとも塩基で溶解することによって、沈殿物の中の金属イオンを、少なくとも金属前駆体フィードに変換するステップと、
前記少なくとも金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと
を含む、前記プロセス。
[請求項98]
電源により提供される正電荷又は負電荷を有する複数の電極を有する反応容器の中で第1の流出液を処理するステップであって、電極が前記金属残留物の少なくとも1つと反応して、少なくとも沈殿物を含有するスラリーを形成する上記ステップと、
スラリーから沈殿物を単離することによって、前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンを5000ppm未満含有する第2の流出液を回収するステップと、
をさらに含む、請求項97に記載のプロセス。
[請求項99]
混合条件下で、前記金属残留物の少なくとも1つの少なくとも一部を第1の予め選択されたpHで沈殿させるだけの十分な時間をかけて、第2の流出流に、酸、スルフィド含有化合物、塩基、及びこれらの組合せの群から選択される少なくとも添加物を加えて、前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの1000ppm未満を含有する第3の流出流を生成するステップ
をさらに含む、請求項98に記載のプロセス。
[請求項100]
上澄みを混合するステップが、上澄みを、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、硝酸、及びこれらの混合物の群から選択される、少なくとも酸と混合して、3未満の予め選択されたpHにするステップを含む、請求項99に記載のプロセス。
[請求項101]
第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つがMo及びWの化合物を含み、第1の流出流がMo及びWをそれぞれ1000ppm未満含む、請求項99に記載のプロセス。
[請求項102]
最小量の廃棄物処理への金属を有する水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の総量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも50モル%を沈殿させるだけの十分な時間をかけて、上澄みを、少なくとも塩基又は酸と混合するステップであって、沈殿が予め選択されたpHで行われる上記ステップと、
その沈殿物を単離することによって、上澄みの中の前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンを50モル%未満含有する第1の流出液を回収するステップと、
前記第1の流出液の中の前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも50モル%がキレート化イオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、第1の流出液を前記樹脂に接触させることによって、前記金属残留物の少なくとも1つの金属イオンを1000ppm未満含有する第2の流出液を形成するステップと、
前記樹脂を溶出して、前記樹脂上に既に結合した金属イオンを含有する溶出液を生成するステップと、
前記第2の流出流又は溶出液を処理して、第2の流出流の中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収して、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
前記金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
前記触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップとを
含み、プロセスから廃棄物処理への流出流が50ppm未満の金属イオンを含有する、前記プロセス。
[請求項103]
キレート化イオン交換樹脂がアミン官能基を含有する、請求項102に記載のプロセス。
[請求項104]
キレート化イオン交換樹脂が、ヒドロキシ、エーテル、アミン、第四級アミン、二価硫黄置換基、アミン酸化物及びヒドロキシアミンから選択される少なくとも1つの置換基を有する、請求項102に記載のプロセス。
[請求項105]
上澄みを混合するステップが、上澄みを、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、硝酸、及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも酸と混合するステップを含む、請求項102から104までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項106]
酸が硝酸であり、沈殿が3未満のpHで行われる、請求項105に記載のプロセス。
[請求項107]
第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つが、Mo及びWの化合物を含み、助触媒金属残留物がNiを含み、第1の流出液がMo、W、及びNiをそれぞれ2000ppm未満含む、請求項102から104までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項108]
第1の流出流を、ヒドロキシ、エーテル、アミン、第四級アミン、二価硫黄置換基、アミン酸化物及びヒドロキシアミンから選択される少なくとも1つの置換基を有するキレート化イオン交換樹脂に接触させて、第2の流出液が、Mo及びWをそれぞれ50ppm未満有するようにする、請求項107に記載のプロセス。
[請求項109]
第2の流出液を、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、水酸化カリウム、ギ酸カリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも塩基と混合することによって、そのpHを予め選択された塩基性のpHへ調整する、請求項108に記載のプロセス。
[請求項110]
第2の流出液の中のNiの少なくとも50モル%が交換されてキレート化イオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、予め選択された塩基性のpHでの第2の流出液を前記樹脂に接触させることによって、10ppm未満のNiを含有する第3の流出液を形成する、請求項109に記載のプロセス。
[請求項111]
硫化ステップの前に、少なくとも150℃の温度で触媒前駆体を乾燥させるステップをさらに含む、請求項102から104までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項112]
硫化ステップの前に、触媒前駆体を少なくとも300℃の温度で乾燥させる、請求項111に記載のプロセス。
[請求項113]
触媒前駆体を少なくとも325℃の温度で乾燥させることによって、触媒前駆体が式(X)(Mo)(W)(式中、XはNi又はCoであり、b:(c+d)のモル比は0.5/1〜3/1であり、c:dのモル比は>0.01/1であり、z=[2b+6(c+d)]/2である)を有する、請求項111に記載のプロセス。
[請求項114]
触媒前駆体を最大でも200℃の温度で乾燥することによって、触媒前駆体が、式A[(M)(OH)(L)(MVIB
(式中、Aは、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウム及びホスホニウムカチオンの少なくとも1つであり、Mは、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せの群から選択され、Pは酸化状態であり、Mは、Mの選択に応じて、+2又は+4のいずれかの酸化状態を有し、Lは、電荷n<=0を有する少なくとも配位剤Lであり、MVIBは、+6の酸化状態を有する、少なくとも第VIB族金属であり、M:MVIBは、100:1〜1:100の原子比を有し、v−2+P×z−x×z+n×y×z=0であり、0<y≦−P/n;0<x≦P;0<v≦2;0<zである)
を有する、請求項111に記載のプロセス。
[請求項115]
バルク触媒を形成する触媒前駆体の硫化が、触媒前駆体の水素化プロセッシング反応器への充填前又は充填後のいずれかである、請求項102から104までのいずれかに記載のプロセス。
[請求項116]
水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのプロセスであって、前記プロセスが、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記上澄みを、酸、スルフィド含有化合物、及びこれらの組合せの少なくとも1つと混合するステップと、
前記上澄み中の前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%がキレート化イオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、前記上澄みを、前記樹脂に接触させて、前記金属残留物の少なくとも1つを1000ppm未満含有する第1の流出液を形成するステップと、
前記樹脂を溶出することによって、前記樹脂上に既に結合した金属イオンを含有する溶出液を生成するステップと、
前記第1の流出流又は溶出液を処理して、前記流れの中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
前記金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
前記触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップと
を含む、前記プロセス。
[請求項117]
上澄みを、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、硝酸、及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも酸と混合することによって、そのpHを予め選択された酸性のpHへ調整する、請求項116に記載のプロセス。
[請求項118]
上澄みを、ヒドロキシ、エーテル、アミン、第四級アミン、二価硫黄置換基、アミン酸化物及びヒドロキシアミンから選択される少なくとも1つの置換基を有するキレート化イオン交換樹脂に接触させる、請求項116に記載のプロセス。
[請求項119]
キレート化イオン交換樹脂が、アニオン交換樹脂として機能することによって、上澄みの中の少なくとも第VIB族金属残留物の少なくとも50モル%が交換されて前記樹脂上に結合するようになり、第VIB族金属の1000ppm未満を含有する第1の流出液を形成する、請求項116に記載のプロセス。
[請求項120]
第1の流出液を、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、水酸化カリウム、ギ酸カリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム及びこれらの混合物の群から選択される、少なくとも塩基に接触させることによって、そのpHを予め選択された塩基性のpHへ調整する、請求項119に記載のプロセス。
[請求項121]
第1の流出液を、予め選択された塩基性のpHで、ヒドロキシ、エーテル、アミン、第四級アミン、二価硫黄置換基、アミン酸化物及びヒドロキシアミンから選択される少なくとも1つの置換基を有するキレート化イオン交換樹脂に接触させる、請求項120に記載のプロセス。
[請求項122]
キレート化イオン交換樹脂が、カチオン交換樹脂として機能することによって、第1の流出液の中の少なくとも助触媒前駆体の少なくとも50モル%が交換されて前記樹脂上に結合し、助触媒金属の50ppm未満を含有する第1の流出液を形成する、請求項116に記載のプロセス。
[請求項123]
水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのプロセスであって、前記方法が、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記金属残留物の少なくとも1つの中の金属イオンの少なくとも一部を沈殿させるだけの十分な時間をかけて、上澄みを、酸、スルフィド含有化合物、及びこれらの組合せの少なくとも1つと混合するステップであって、沈殿が第1の予め選択されたpHで行われる上記ステップと、
沈殿物を単離することによって、上澄み中の前記金属残留物の少なくとも1つの金属イオンを50モル%未満含有する第1の流出液を回収するステップと、
前記第1の流出液の中の前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%が第1のキレート化イオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、第1の流出液を前記樹脂と、第2の予め選択されたpHで接触させて、前記金属残留物の少なくとも1つの金属イオンを1000ppm未満含有する第2の流出液を形成するステップと、
前記第1の流出液の中の前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンの少なくとも50モル%が第2のキレート化イオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、第2の流出液を前記樹脂と第3の予め選択されたpHで接触させて、前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンを100ppm未満含有する第3の流出液を形成するステップと
を含む、前記プロセス。
[請求項124]
酸を第1の流出液に加えることによって、第1の流出液を第1のキレート化イオン交換樹脂と第2の予め選択されたpHで接触させる前に、第1の流出液が第2の予め選択されたpHを有するステップをさらに含む、請求項123に記載の方法。
[請求項125]
塩基を第2の流出液に加えることによって、第2の流出液を第2のキレート化イオン交換樹脂に第3の予め選択されたpHで接触させる前に、第2の流出液が第3の予め選択されたpHを有するステップをさらに含む、請求項123に記載の方法。
[請求項126]
第1のキレート化イオン交換樹脂及び第2のキレート化イオン交換樹脂が同じタイプである、請求項123に記載の方法。
[請求項127]
第2の予め選択されたpHが酸性であることによって、第1のキレート化イオン交換樹脂がアニオン交換として機能する、請求項123に記載の方法。
[請求項128]
第2の予め選択されたpHが1〜2である、請求項127に記載の方法。
[請求項129]
第3の予め選択されたpHが中性から塩基性であることによって、第2のキレート化イオン交換樹脂がカチオン交換として機能する、請求項123に記載の方法。
[請求項130]
第3の予め選択されたpHが6〜8である、請求項129に記載の方法。
[請求項131]
水素化プロセッシング触媒組成物を形成するためのプロセスであって、前記方法が、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させて、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記上澄み中の前記金属残留物の少なくとも1つの金属イオンの少なくとも50モル%がキレート化イオン交換樹脂上に結合するだけの十分な時間をかけて、上澄みを、前記樹脂と予め選択されたpHで接触させて、前記金属残留物の少なくとも1つにおける金属イオンを1000ppm未満含有する第1の流出液を形成するステップと、
前記樹脂を溶出して、前記樹脂上に既に結合した金属イオンを含有する溶出液を生成するステップと、
第1の流出流又は溶出液を処理して、前記流れの中の金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
前記金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
前記触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップと
を含む、前記プロセス。
[請求項132]
上澄みを、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、水酸化カリウム、ギ酸カリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも塩基と混合することによって、そのpHを予め選択されたpHへ調整する、請求項131に記載のプロセス。
[請求項133]
上澄みを、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、酢酸、硝酸、及びこれらの混合物の群から選択される、少なくとも酸と混合することによって、そのpHを予め選択されたpHへ調整する、請求項131に記載のプロセス。
[請求項134]
上澄みを、ヒドロキシ、エーテル、アミン、第四級アミン、二価硫黄置換基、アミン酸化物及びヒドロキシアミンから選択される少なくとも1つの置換基を有するキレート化イオン交換樹脂に接触させる、請求項131に記載のプロセス。
[請求項135]
キレート化イオン交換樹脂が、カチオン交換樹脂として機能することによって、上澄みの中の少なくとも助触媒金属残留物の中の金属イオンの少なくとも50モル%が交換されて前記樹脂上に結合して、助触媒金属の1000ppm未満を含有する第1の流出液を形成する、請求項131に記載のプロセス。
[請求項136]
キレート化イオン交換樹脂が、アニオン交換樹脂として機能することによって、上澄みの中の少なくとも第VIB族金属残留物の中の金属イオンの少なくとも50モル%が交換されて前記樹脂上に結合して、第VIB族金属の1000ppm未満を含有する第1の流出液を形成する、請求項131に記載のプロセス。
[請求項137]
バルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスであって、前記方法が、
少なくとも第VIB族金属前駆体フィードと第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、
前記混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の総量で含有する上澄みを形成するステップと、
前記上澄みを、電源により提供される正電極又は負電極を有する複数の電極を有する反応容器に供給するステップであって、電極が水に溶解して、電極溶解生成物を生成する上記ステップと、
前記電極溶解生成物を、前記金属残留物の少なくとも1つと反応させて、不溶性金属化合物を含有するスラリーを形成するステップと、
前記スラリーから不溶性金属化合物を単離して、前記金属残留物の中の金属イオンの50モル%未満を含有する第1の流出流を形成するステップと、
第1の流出流を処理して、金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと、
前記金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと、
前記触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するステップと
を含む、前記プロセス。
[請求項138]
第1の流出流からの前記金属残留物の少なくとも1つの80モル%を回収するステップが、化学的沈殿により第1の流出流を処理して、前記金属残留物の少なくとも1つを2000ppm未満含有する第2の流出流を形成するステップを含む、請求項137に記載のプロセス。
[請求項139]
電極がアルミニウムである、請求項137又は138のいずれかに記載のプロセス。
[請求項140]
電極が、アルミニウムイオンを上澄みへ授け、助触媒金属残留物の少なくとも1つを有する少なくともアルミニウム錯体を形成する、請求項139に記載のプロセス。
[請求項141]
助触媒金属残留物が少なくともニッケル化合物を含み、不溶性金属化合物がNiAlOを含む、請求項137又は138のいずれかに記載のプロセス。
[請求項142]
第1の流出流が20モル%未満の助触媒金属残留物を含有する、請求項137又は138のいずれかに記載のプロセス。
[請求項143]
第1の流出流が50ppm未満の助触媒金属残留物を含有する、請求項142に記載のプロセス。
[請求項144]
第VIB族金属残留物が、少なくともMo化合物及びW化合物を含む、請求項137又は138のいずれかに記載のプロセス。
[請求項145]
第1の流出流の処理が、混合条件下で、前記金属残留物の少なくとも1つの少なくとも一部を第1の予め選択されたpHで沈殿させるだけの十分な時間をかけて、塩基、酸、スルフィド含有化合物、及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも添加物を加えるステップを含む、請求項137又は138のいずれかに記載のプロセス。
[請求項146]
添加物が、硝酸及び硫酸の群から選択され、第1の予め選択されたpHが3未満である、請求項145に記載のプロセス。
[請求項147]
沈殿物を単離及び回収して、前記金属残留物の少なくとも1つの25モル%未満を含む第2の流出流を形成するステップをさらに含む、請求項145に記載のプロセス。
[請求項148]
第2の流出流を6.5未満のpHに酸性化させるステップをさらに含む、請求項147に記載のプロセス。
[請求項149]
混合条件下で、少なくともカルシウム化合物を第2の流出流に加えて、少なくともカルシウム塩を含有するスラリーを形成するステップをさらに含み、加えたカルシウム化合物と、第VIB族金属残留物のモル比が2/1〜50/1である、請求項147に記載のプロセス。
[請求項150]
カルシウム塩がCaMoO及びCaWOの少なくとも1つを含む、請求項149に記載のプロセス。
[請求項151]
カルシウム塩を単離及び回収して、500ppm未満の金属を含有する流出流を形成するステップをさらに含む、請求項149に記載のプロセス。
[請求項152]
硫化ステップの前に、触媒前駆体を少なくとも300℃の温度でか焼するステップをさらに含む、請求項137又は138のいずれかに記載のプロセス。
[請求項153]
か焼が少なくとも325℃の温度であることによって、触媒前駆体が式(X)(Mo)(W)(式中、XはNi又はCoであり、b:(c+d)のモル比は0.5/1〜3/1であり、c:dのモル比は、>0.01/1であり、z=[2b+6(c+d)]/2である)を有する、請求項152に記載のプロセス。
[請求項154]
硫化ステップの前に、触媒前駆体を200℃以下の温度で乾燥させるステップをさらに含む、触媒前駆体が、式A[(M)(OH)(L)(MVIB
(式中、Aは、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウム及びホスホニウムカチオンの少なくとも1つであり、
は、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せの群から選択され、Pは、酸化状態であり、Mは、Mの選択に応じて、+2又は+4のいずれかの酸化状態を有し、Lは、電荷n<=0を有する少なくとも配位剤Lであり、MVIBは、+6の酸化状態を有する、少なくとも第VIB族金属であり、M:MVIBは、100:1〜1:100の原子比を有し、v−2+P×z−x×z+n×y×z=0であり、0<y≦−P/n;0<x≦P;0<v≦2;0<zである)
を有する、請求項137又は138のいずれかに記載のプロセス。
[請求項155]
バルク水素化プロセッシング触媒を形成するためのプロセスにおいて、第VIB族金属前駆体フィードの少なくとも1つと、第VIII族、第IIB族、第IIA族、第IVA族及びこれらの組合せから選択される少なくとも助触媒金属前駆体フィードとを反応条件で共沈殿させることによって、触媒前駆体を含む混合物を形成するステップと、混合物から触媒前駆体を単離して、少なくとも助触媒金属残留物及び少なくとも第VIB族金属残留物を、前記金属前駆体フィードの少なくとも10モル%の量で含有する上澄みを形成するステップと、触媒前駆体を硫化して前記バルク触媒を形成するプロセスであって、改良が、
前記上澄みを、電源により提供される正電荷又は負電荷を有する複数の電極を有する反応容器に供給するステップと、
前記電極を、前記金属残留物の少なくとも1つと反応させることによって、不溶性金属化合物を含有するスラリーを形成するステップと、
前記不溶性金属化合物を回収して、助触媒金属残留物及び第VIB族金属残留物の少なくとも1つの50モル%未満を含有する第1の流出流を形成するステップと、
前記第1の流出流を処理して、金属イオンの少なくとも80モル%を回収することによって、少なくとも金属前駆体フィードを形成するステップと
前記少なくとも金属前駆体フィードを共沈殿ステップへとリサイクルするステップと
を含む、前記プロセス。
[請求項156]
助触媒金属残留物が少なくともNi化合物を含み、第VIB族金属残留物がW及びMoの化合物を含む、請求項155に記載のプロセス。
[請求項157]
電極が、アルミニウムを含み、第1の流出流が50ppm未満のNiを含む、請求項156に記載のプロセス。
[請求項158]
第1の流出流を処理するステップが、第1の流出流に鉱酸を加えて、pHを3未満にすることによって、第VIB族金属残留物を、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、及びこれらの混合物を含む金属錯体として沈殿させるステップを含む、請求項155に記載のプロセス。
[請求項159]
金属錯体を水酸化アンモニウムで処理することによって、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、ヘプタタングステン酸アンモニウム、又はこれらの混合物を含有するスラリーを回収するステップをさらに含む、請求項158に記載のプロセス。
[請求項160]
共沈殿ステップのために、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、ヘプタタングステン酸アンモニウム、又はこれらの混合物を、金属前駆体フィードとして単離及び回収して、第2の流出流を形成するステップをさらに含む、請求項159に記載のプロセス。
[請求項161]
混合条件下で、少なくともカルシウム化合物を第2の流出流に加えて、少なくともカルシウム塩を含有するスラリーを形成するステップをさらに含み、加えたカルシウムと第VIB族金属のモル比が2/1〜50/1である、請求項160に記載のプロセス。
[請求項162]
カルシウム塩がCaMoO及びCaWOの少なくとも1つを含む、請求項161に記載のプロセス。
[請求項163]
カルシウム塩を単離及び回収して、50ppm未満の金属を含有する第3の流出流を形成するステップをさらに含む、請求項162に記載のプロセス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8