(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような構成によれば、操作に慣れていない運転者は、充放電の切換えが行われたことを認識できず誤操作のおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、運転者の誤操作を防止できる電動式乗り物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明のある形態(aspect)に係る電動式乗り物は、走行動力を発生する電動モータと、前記電動モータに電力を供給するためのバッテリと、 充電用の外部電源に接続される外部電源接続部と、前記バッテリを前記電動モータに接続する走行制御状態と前記バッテリを前記外部電源接続部に接続する充電制御状態との切り換えを制御する制御装置と、走行位置と、走行位置とは異なる位置に設けられる充電位置とにわたってユーザが移動可能な操作片と、前記操作片の位置を示す情報を出力する出力部とを有する入力装置とを備え、前記制御装置は、前記操作片が前記走行位置に移動されると、走行制御を許可するとともに充電制御を禁止し、前記操作片が前記充電位置に移動されると、充電制御を許可するとともに走行制御を禁止する。
【0008】
上記構成によれば、操作片が走行位置にあるときには走行許可するだけで充電できず、充電位置にあるときには充電許可するだけで走行できない。したがって、運転者は操作片を積極的に移動させないと走行動作と充電動作との間でモードを切り替えることができない。これによって、運転者に現在の許可モードを認識させることができる。また運転者の操作なしに充電状態から走行すること、走行状態から充電が行われることを防ぐことができる。
【0009】
上記電動式乗り物は、乗り物の移動を阻止する移動阻止装置を有し、前記操作片が前記充電位置に移動されると、前記移動阻止装置を動作させて乗り物の移動を阻止するようにしてもよい。
【0010】
上記構成によれば、充電時の乗り物の移動を阻止できる。乗り物のハンドルをロックすることにより移動を阻止するようにしてもよい。例えば、操作片自体の動力でハンドルをロックしてもよいし、アクチュエータを用いてハンドルをロックしてもよい。
【0011】
上記電動式乗り物において、前記入力装置は、シリンダー錠を備えており、前記シリンダー錠に挿着したメカキーを回動させることにより、前記走行位置及び前記充電位置へと操作位置を切り替える構成にしてもよい。上記構成によれば、入力装置にシリンダー錠を使用することで、例えば従来のエンジン式乗り物に使用していたシリンダー錠を転用することができるので、生産コストを抑制することができる。
【0012】
上記電動式乗り物において、前記メカキーは、前記充電位置でキー着脱が可能であるようにしてもよい。上記構成によれば、充電状態においてメカキーを抜くことで、他者による充電状態以外への移行を防ぐことができる。
【0013】
上記電動式乗り物において、前記入力装置は、前記走行位置、前記充電位置とは異なる位置に設けられる給電停止位置を有し、前記操作片は、前記走行位置、前記充電位置、前記給電停止位置にわたってユーザが移動操作可能に構成され、前記操作片が前記給電停止位置に移動されると、制御装置への給電を停止するとともに、前記走行制御及び前記充電制御を禁止するようにしてもよい。
【0014】
上記構成によれば、給電停止位置と充電位置とを異ならせることによって、給電停止状態で充電制御が行われることを防ぐことができ、給電停止状態であるか充電準備状態であるかを制御装置が判断しやすく、判断するための特殊なプログラム又はセンサを不要とすることができる。
【0015】
上記電動式乗り物において、前記給電停止位置は、前記走行位置及び前記充電位置のうち一方の位置から他方の位置へと切り換える過程の途中に介在しているようにしてもよい。前記構成によれば、放電モードと充電モードとの間の切り換えを行う際に、制御装置への給電が一旦遮断される状態を経て制御装置がリセットされるので、制御安定性を向上させることができる。
【0016】
上記電動式乗り物において、前記入力装置は、前記走行位置、前記充電位置、前記給電停止位置とは異なる位置に設けられる移動阻止位置を有し、操作片が前記移動阻止位置に移動されると、制御装置への給電を停止して、充電及び走行制御を禁止するとともに、前記移動阻止装置を動作させて車両移動を阻止するようにしてもよい。
【0017】
上記構成によれば、移動阻止位置が設定されることで、保管時に有効となる。
【0018】
前記の課題を解決するために、本発明の他の形態(aspect)に係る電動式乗り物は、走行動力を発生する電動モータと、前記電動モータに電力を供給するためのバッテリと、充電用の外部電源に接続される外部電源接続部と、前記バッテリを前記電動モータに接続する走行制御状態と前記バッテリを前記外部電源接続部に接続する充電制御状態との切り換えを制御する制御装置と、走行表示状態と、走行表示状態とは異なる態様の充電表示状態とを表示可能な表示部と、走行表示状態と充電表示状態とでユーザが切換え可能な操作部と、表示状態を表す情報を出力する出力部とを有する入力装置とを備え、前記制御装置は、前記表示部が走行表示状態に移行されると、走行制御を許可するとともに充電制御を禁止し、前記表示部が充電表示状態に移行されると、充電制御を許可するとともに走行制御を禁止する。
【0019】
上記構成によれば、表示部が走行表示状態にあるときには走行許可するだけで充電できず、充電表示状態にあるときには充電許可するだけで走行できない。したがって、運転者は操作部を用いて表示部を積極的に移動させないと走行動作と充電動作との間でモードを切り替えることができない。これによって、運転者に現在の許可モードを認識させることができる。また運転者の操作なしに充電状態から走行すること、走行状態から充電が行われることを防ぐことができる。
【0020】
前記の課題を解決するために、本発明の他の形態(aspect)に係る電動式乗り物の制御装置の動作方法は、走行動力を発生する電動モータと、前記電動モータに電力を供給するためのバッテリと、充電用の外部電源に接続される外部電源接続部と、前記バッテリを前記電動モータに接続する走行制御状態と前記バッテリを前記外部電源接続部に接続する充電制御状態との切り換えを制御する制御装置と、走行位置と、走行位置とは異なる位置に設けられる充電位置とにわたってユーザが移動可能な操作片と、前記操作片の位置を示す情報を出力する出力部とを有する入力装置とを備えた電動式乗り物の制御装置の動作方法であって、前記操作片が前記走行位置に移動されると、走行制御を許可するとともに充電制御を禁止し、前記操作片が前記充電位置に移動されると、充電制御を許可するとともに走行制御を禁止する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、運転者の誤操作を防止できる電動式乗り物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下ではすべての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、特に言及しない場合にはその重複する説明を省略する。
【0024】
(第1実施の形態)
図1は本発明の実施形態に係る電動式乗り物の一例として電動二輪車の左側面図を示した図である。
図1では、電動式乗り物として電動二輪車が例に挙げられているが、電動二輪車に限るものではなく、その他の鞍乗型の電動車両(電動三輪車など)であってもよいし、多目的車両などの居住空間を有する電動四輪車や、小型滑走艇のような車両以外の乗り物であってもよい。また、内燃機関を併せ持つハイブリッド型の乗り物であってもよい。
【0025】
図1に示す電動二輪車1は、従動輪である前輪2と、駆動輪である後輪3と、前輪2と前輪3との間に配設される車体フレーム4と、車体フレーム4に支持された電気モータ5と、を備えている。電動二輪車1は、内燃機関を備えておらず、電気モータ5により発生された走行動力により後輪3を回転駆動するように構成されている。
【0026】
前輪2は、あるキャスター角で傾斜しながら略上下方向に延設されたフロントフォーク6の下部において回転可能に支持されている。フロントフォーク6の上部にはステアリングシャフト7が接続され、ステアリングシャフト7の上部にはバー型のハンドル8が取り付けられている。ハンドル8の右グリップは、運転者が電気モータ5により発生される走行動力を調整するためのスロットルグリップである。ハンドル8の近傍にはシリンダー錠805が配置されている。
【0027】
車体フレーム4は、ヘッドパイプ11と、左右一対且つ上下一対のメインフレーム12と、左右一対のダウンフレーム13と、左右一対のピボットフレーム14と、左右一対のスイングアーム15と、シートフレーム16とを有している。なお、ヘッドパイプ11は、ステアリングシャフト7を回転可能に支持している。また、シートフレーム16は、運転者及び同乗者が前後に並んで着座可能なシート(図示せず)を支持している。
【0028】
電気モータ5は、ダウンフレーム13の下方且つピボットフレーム14の前方の領域に配置されている。電気モータ5により発生された走行動力は、動力伝達機構17を介して後輪3に伝達される。電気モータ5は、モータケース18に収容されている。モータケース18は、動力伝達機構17を構成する変速機(図示せず)を電気モータ5と共に収容し、ダウンフレーム13及びピボットフレーム14に懸架されている。
【0029】
電動二輪車1は、電気モータ5を収容するモータケース18の他に、インバータケース19及びバッテリケース80を搭載している。インバータケース19はインバータ20をはじめとした電装品を収容しており、バッテリケース80はバッテリユニット60をはじめとした電装品を収容している。インバータケース19は、メインフレーム12とピボットフレーム14とシートフレーム16とにより囲まれた側面視で略逆三角形状の空間に配置され、バッテリケース80の下後端部の直ぐ後ろに配置されている。バッテリケース80は、左右一対のメインフレーム12の間、左右一対のダウンフレーム13の下端部よりも上、且つピボットフレーム14よりも前の空間に配置されている。
【0030】
バッテリケース80にはバッテリユニット60を車外の充電用の外部電源90から充電するための充電コネクタ49が配設されている。例えば、充電コネクタ49の嵌合部がバッテリケース80の外装面に露出されてもよいし、バッテリケース80の開口部(充電口)に配設されて該開口部が所定のカバーで被覆されるようにしてもよい。
【0031】
図2は、
図1の電動二輪車1の電気システムの構成例としてバッテリユニット60周辺の電気配線を示したブロック図である。
図2のブロック図では、駆動電力の流れを示している。
図2に示すように、バッテリユニット60は、複数のバッテリモジュール61と、バッテリフレーム64とを有し、高圧且つ直流の単体の二次電池として機能するユニットである。各バッテリモジュール61は、複数のバッテリセル62と、複数のバッテリセル62を収容する直方体状のモジュール筐体63とを有する。各バッテリセル62は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの、直流電力を蓄える二次電池である。複数のバッテリセル62は、モジュール筐体63内で整列配置され、且つ電気的に直列に接続されている。複数のバッテリモジュール61は、バッテリフレーム64に繋ぎ止められた状態となってバッテリケース80内で密集配置され、電気的には直列に接続されている。
【0032】
このようにバッテリユニット60は、電気的に言えば、多数のバッテリセル62が直列に接続されたものであり、その結果として高圧電流の二次電池(例えば、200〜300V)として機能している。バッテリユニット60は、正極側の充電線491p及び負極側の充電線491nから成る充電線491を介して充電コネクタ49に電気的に接続されるとともに、正極側電源線31p及び負極側電源線31nから成る高圧電線31を介してインバータ20に電気的且つ機械的に接続されている。インバータ20は、バッテリユニット60から送られる高圧の直流電力を、メインコントローラ100からのトルク指令などに従って三相の交流電力に変換し、その三相の交流電力を三相交流配線32を介して電気モータ5に供給する。電気モータ5は、インバータ20からの交流電力の給電を受けて駆動され、電流などの電気的特性に応じた走行動力を発生する。
【0033】
高圧電線31の正極側電源線31p上には、インバータ用正極側リレー36が配設されており、インバータ用正極側リレー36と並列に正極側電源線31pから迂回した迂回配線33が形成されている。迂回配線33上には、電流制限抵抗34と突入電流防止リレー35とが直列に配設されている。高圧電線31の負極側電源線31n上には、インバータ用負極側リレー37が配設されている。
【0034】
インバータケース19は、その両電極がそれぞれ正極側電源線31pと負極側電源線31nとに接続された平滑コンデンサ38を収容している。電動二輪車1のシステム起動時にメインコントローラ100が、各リレー(35〜37)の開閉状態を適宜選択すると、平滑コンデンサ38に電荷が蓄積されていなくても、インバータ20に過大な突入電流が流れることを防ぐことができる。以下ではリレー35〜37を走行用リレー35〜37と称する。なお、正極側電源線31p、負極側電源線31n及び/又は迂回配線33上には、電流計53が配設されている。なお、
図2では、正極側電源線31p上に電流計53が配設されている場合が示されている。
【0035】
隣り合って配設されるバッテリモジュール61同士を接続する接続配線39上には、サービスプラグ40が配設されている。サービスプラグ40は、接続配線39の導通及び遮断を切り替えるプラグ41と、過電流が流れたときに接続配線39を遮断するヒューズ42とを備えている。メンテナンス業者は、プラグ41を手動動作することにより、接続配線39が導通してバッテリユニット60から電気モータ5に電力供給可能な状態と、接続配線39が遮断してバッテリユニット60から電気モータ5への電力供給を遮断する遮断状態とを切り替えることができる。
【0036】
電動二輪車1は、電気モータ5の電源となるバッテリユニット60とは別に、低圧直流(例えば、DC12V)の二次電池である低圧バッテリ43を備えている。低圧バッテリ43は、低圧電線44を介して電気モータ5以外の電力負荷に接続されている。低圧バッテリ43を電源とする電力負荷としては、例えば、バッテリユニット60の充電状態を監視するバッテリコントローラ70、インバータ20、各種センサ、及びインバータ20の駆動制御を含めた電動二輪車1の全体の制御を司る制御装置としてメインコントローラ100が含まれる。その他、低圧バッテリ43を電源とする電力負荷としては、ヘッドライト、テールランプ及び方向指示器などの灯火器や、速度表示器などの計器及び表示器(図では補器110とする)も含まれる。そして、低圧バッテリ43からメインコントローラ100、補器110及びバッテリコントローラ70への低圧電線44には、低圧用リレー101が介設されている。メインコントローラ100は、バッテリユニット60からインバータ20に給電しないときに(例えば、充電モード)、バッテリユニット60とインバータ20との間の高圧電線31を遮断するように走行用リレー35〜37を作動させることができる。また、バッテリユニット60からインバータ20に給電するときに(例えば、放電モード)、バッテリユニット60とインバータ20との間の高圧電線31を接続するように走行用リレー35〜37を作動させることができる。
【0037】
低圧バッテリ43は、正極側電源線46p及び負極側電源線46nから成る低圧側コンバータ配線46を介してDC/DCコンバータ45に接続され、DC/DCコンバータ45は正極側電源線47p及び負極側電源線47nから成る高圧側コンバータ配線47を介して高圧電線31の正極側電源線31p及び負極側電源線31nとそれぞれ接続されている。高圧側コンバータ配線47の正極側電源線47p及び負極側電源線47n上には、DC/DCコンバータ用リレー48が配設されている。なお、
図2では、高圧側電源線47p上にDC/DCコンバータ用リレー48が配設されている場合が示されている。コンバータ用リレー48はメインコントローラ100により開閉指令が与えられる。
【0038】
高圧電線31は、正極側充電線491p及び負極側充電線491nから成る充電線491を介して充電コネクタ49と接続されている。正極側充電線491p上には充電用正極側リレー51が配設され、充電用充電線491n上には充電用負極側リレー52が配設されている。充電コネクタ49は、バッテリユニット60を充電する外部電源90と電気的に接続するコネクタである。
【0039】
メインコントローラ100は走行用リレー35〜37及び充電用リレー51〜52に指令を与えることにより、放電モードとしてバッテリユニット60を電気モータ5に接続する第1接続状態と、充電モードとしてバッテリユニット60を充電コネクタ49に接続する第2接続状態との切換えを制御する。
【0040】
第1接続状態において、バッテリユニット60からの電力で電気モータ5を駆動して電動二輪車2を走行させることができる。さらに、電動二輪車1の減速時には、電気モータ5を発電機として機能させることもでき、この場合、電気モータ5により発生した交流電力(回生電力)はインバータ20により直流電力に変換され、この直流電力によりバッテリユニット60を充電することができる。
【0041】
第2接続状態において、充電コネクタ49に外部電源90が電気的に接続されると、外部電源90からの電力が充電線491及び高圧電線31を介してバッテリユニット60に供給され、これによりバッテリユニット60を充電することができる。また、外部電源90から供給される電力により低圧バッテリ43を充電することもできる。また、バッテリユニット60に蓄えられている直流電力をDC/DCコンバータ45により低圧バッテリ向けの直流電力に変換して、この直流電力により低圧バッテリ43を充電することもできる。
【0042】
図3は、電動二輪車1のシステムにおけるメインコントローラ100周辺の概略的な構成を示すブロック図である。
図3のブロック図の矢印は、制御信号の流れを示している。
図3に示すように、電動二輪車1は、インバータ20と、メインコントローラ100と、メインスイッチ102と、バッテリコントローラ70と、メインコントローラ100への給電路を開閉する低圧用リレー101と、入力装置としてのシリンダー錠805と、表示部、モニタ、及びスピーカ等の出力装置900と、車両の状態を検出する状態センサ104とを主に備える。状態センサ104は、走行に必要な車両状態を検出する。例えば、車速センサ、モータ回転数センサ、バッテリ温度センサ、電流センサ、電圧センサ、スタンドスイッチセンサ、ギヤポジションセンサ、走行モード切換え指令センサ、アクセルセンサおよびブレーキセンサ、充電コネクタの接続判断センサ、充電コネクタからの電力供給を判断するセンサの1又は複数を含んで構成されてもよい。
【0043】
シリンダー錠805は、充電許可と走行許可とを選択的に切り替える入力装置として用いられる。シリンダー錠805は、メインスイッチ102のオンオフの切換えに用いられるとともに車体の施錠に用いられる。シリンダー錠805は、キー穴が予め定める複数の位置に移動可能に設定される。シリンダー錠805に付設したセンサは、キー穴の位置を示す信号をメインコントローラ100に与える。シリンダー錠805は、キー穴に挿着したメカキーを回動させることにより、キー穴位置を切り替えることができる。メインコントローラ100は、シリンダー錠805から与えられるキー穴位置の信号に基づいて、制御モードを切り替える。メインスイッチ102は、シリンダー錠805から与えられるキー穴位置の信号に基づいて、オンオフを切り替える。また、キー穴を抜いた状態では、キー穴の回転が阻止される。キー穴位置は、走行位置、移動阻止位置、給電停止位置、充電位置がそれぞれ設定される。それぞれの位置を示す信号が出力可能に構成される。
【0044】
メインコントローラ100は、シリンダー錠805から与えられる信号に基づいて、走行許可、充電許可のいずれかを判断する。メインコントローラ100は、走行許可を判断すると、充電用リレー51,52を遮断して、走行用リレー35〜37を制御して、モータ5への駆動電流の供給を開始する。メインコントローラ100は、充電許可を判断すると、走行用リレー35〜37を制御して、モータ5への駆動電流の供給を停止するとともに、充電用リレー51,52を接続して充電コネクタ49からの充電を可能とする。メインコントローラ100は、その他、低圧用バッテリ43が満充電状態であると判断すると、コンバータ用リレー48を遮断するように指令して、過電流を防ぐ。メインコントローラ100は、低圧用バッテリ43の残量が所定以下であると判断すると、コンバータ用リレー48を接続して過放電を防ぐ。
【0045】
メインスイッチ102は、シリンダー錠805から給電停止信号(給電停止位置信号)が与えられると、低圧用リレー101を遮断する。メインスイッチ102は、シリンダー錠805から給電信号(給電停止以外の位置信号)が与えられると、低圧用リレー101を接続する。ここでキー穴操作に連動したメインスイッチ102の動作は物理的、電気的のいずれであってもよい。
【0046】
低圧用リレー101は、第1接続状態及び第2接続状態のうち一方の接続状態から他方の接続状態へと切り換えられるときに、給電路を開いて、メインコントローラ100への給電を一時的に遮断させる。これにより、第1接続状態と第2接続状態との間の切り換えを行う際に、メインコントローラ100への給電が一旦遮断される状態を経てメインコントローラ100がリセットされるので、メインコントローラ100の給電状態が維持された状態で接続状態が切り替わることを防ぎ、制御安定性を向上させることができる。
【0047】
接続状態が切り替えられる場合には、接続状態の他、それぞれのモードを実行するためのプログラムが切り替えられる。以前の制御モードでRAMに記憶された情報が消去された上で、新しい制御モードに切り替えることで、以前のRAMに記憶されていた情報が、新しい制御モードに悪影響を与えることを防ぐことができる。
【0048】
バッテリコントローラ70は、メインコントローラ100の指令に従って、充電許可か走行許可かを判定する。これにより、充電許可状態でのバッテリコントロールと、走行許可状態でのバッテリコントロールとの異なる制御を行うことができる。例えば、充電許可では比較的時間に余裕がある状態で充電のみが行われるが、走行許可では回生充電・放電が繰り返されることになるので、バッテリ制御のプログラムを切り替えることで、より効率よく充放電を行うことができる。バッテリコントローラもモード切換え時にリセットされるので、制御安定性を向上できる。
【0049】
メインコントローラ100は、シリンダー錠805から走行許可信号(走行位置信号)が与えられると、外部からの充電の動作を禁止して、走行準備プログラムを実行して、走行準備プログラムが完了すると、走行待機状態に移行する。ここで走行準備プログラムとは、動作チェック、リレー動作、バッテリコントローラ70への指示等を含む。走行待機状態で走行開始信号が運転者から与えられると走行プログラムに従って、トルク指令を演算してインバータに与える。走行プログラムに従って、バッテリコントローラ70を動作させる。
【0050】
一方、メインコントローラ100は、シリンダー錠805から充電許可信号(充電位置信号)が与えられると、走行動作を禁止して、充電準備プログラムを実行して、走行準備プログラムが完了すると、充電待機状態に移行する。ここで充電準備プログラムとは、動作チェック、リレー動作、バッテリコントローラ70への指示等を含む。充電待機状態で充電コネクタ接続されて電力供給されると充電プログラムに従って、バッテリコントローラ70を動作させる。
【0051】
入力装置としてのシリンダー錠805は第1接続状態と第2接続状態との間の切換えをメインコントローラ100に指示するためのユーザ操作可能な構成を有する。本実施形態では運転者がシリンダー錠805を操作することによりメインスイッチ102のオンオフが切り替えられ、その操作に連動するメインスイッチ102を通じて低圧用リレー101の開閉を行う。この構成によれば、例えば、ユーザが入力装置で短時間に何回も切り換え操作を行うなどしても、メインコントローラ100がリセットされた状態から放電モード又は充電モードが開始されるので、簡素かつ安価に制御安定性を高めることができる。
【0052】
出力装置900は、メインコントローラ100から与えられる情報に基づいて、車体状態を運転者が確認可能に報知する。例えば、走行速度、モータ回転数を表示する。その他、走行モード、ギヤ比、距離、時間、バッテリ残量などを表示する。出力装置900は、計器盤として実現され、車幅方向中心のハンドルバー前方に配置される。前記シリンダー錠805は、計器盤の近傍に配置され、ここではハンドルバー近傍に配置されているが、例えば計器盤内に配置されてもよい。キー穴及びキー穴に挿入されたメカキーの位置を確認することで、許可状態を確認可能であるので、シリンダー錠が許可状態を表示する表示部の一つになる。また、キー穴の位置を別途計器盤に表示するようにしてもよい。例えば、キー穴は走行位置であれば、「D」をモニタ表示し、キー穴が充電位置であれば、「CHG」をモニタ表示する。このように走行・充電許可状態を、キー穴とは別に表示することで、運転者は状態を容易に確認できる。 次に、入力装置としてのシリンダー錠805について
図4を用いて具体的に説明する。入力装置としてのシリンダー錠805は電動二輪車1のハンドル8の近傍に配置される。
図4は、シリンダー錠805のキー穴部分の平面図である。
図4に示すように、シリンダー錠805は、キー穴に挿着したメカキーを回動させることにより、運転者がキー穴に設定される操作位置を切り替え可能な構成である。また電動二輪車1は、車両の移動を阻止する移動阻止装置を備える。ここでは移動阻止装置として、シリンダー錠805の動作に連動してハンドル8をロックするためのロックバー(図示せず)を内部に備えている。ロックバーはメカキー自体の動力でハンドルをロックしてもよいし、アクチュエータを用いてハンドルをロックしてもよい。
【0053】
シリンダー錠805は、走行位置(図中ではON)、給電停止位置(図中ではOFF)、移動阻止位置(図中ではLOCK)、及び充電位置(図中ではCHG)のキー穴移動を許容する4つの操作位置を備える。給電停止位置は、走行位置及び充電位置のうち一方の位置から他方の位置へと切り替える過程の途中に介在している。運転者は操作キーを回動させることにより4つの操作位置を選択する。上記構成によれば、運転者が操作する入力装置の操作ルートにおいても、低圧用リレー101を開く給電停止位置を走行位置及び充電位置の間に設けたので、第1接続状態と第2接続状態との間を切り換えるときに、物理的にも安定してメインコントローラ100をリセットすることができる。
【0054】
メカキーは、給電停止位置、移動阻止位置、及び充電位置で、キー穴に対する抜き差しが可能に構成され、走行位置ではキー穴に挿入されたメカキーがキー穴からの抜き方向の移動が阻止される。移動阻止位置、充電位置ではロックバーが動作して、ハンドルロックされる。またハンドルがロックされる位置までハンドルを回動しないと、メカキーが移動阻止位置、充電位置に移動しないようにしてもよい。同様に給電停止位置とは別に充電位置が配置されることで、給電停止状態で充電制御が行われる。これにより、給電停止位置・移動阻止位置で充電の可能性があるとして待機する必要がなく、待機または判断プログラムや、待機又は判断のためのセンサを不要とすることができる。また、メータ近傍であって乗車状態の運転者が視認可能な位置にキーシリンダ配置することで、走行許可・充電許可状態をモニタ表示しなくても、運転者に状態把握させることができる。運転者はモード切換えのためにキー操作が必要であるので、モード切換えを認識しやすい。
【0055】
給電停止位置(OFF)、移動阻止位置(LOCK)、充電位置(CHG)では、走行リレー35〜37が開いた状態が維持されるので、頻繁なリレー駆動が防がれる。同様に給電停止位置(OFF)、移動阻止位置(LOCK)ではリレー101が開いた状態が維持されるので、頻繁なリレー駆動が防がれる。同様に、走行位置(ON)、給電停止位置(OFF)、移動阻止位置(LOCK)では、充電リレー51,52が開いた状態が維持される。このように各リレーの状態を継続するように構成することで、リレーの頻繁な切換えに起因するリレーの劣化を抑えることができる。また、LOCK位置、CHG位置は、ともにハンドルロック状態が維持されるので、LOCK位置からCHG位置へのメカキー回動にあたってハンドル回動の手間が省かれ、LOCK位置でキーをさしてCHG位置へのキー回動が容易となる。また、操作子、具体的にはキー穴形成部分の回動によって、モード切換えを指示することで、3つ以上の操作位置が存在しても、モード切換え操作手段が大型化することを防ぐことができる。キーシリンダでモード切換え操作子を実現することで、新たに部品配置する場合に比べて生産コストを低減することができる。
【0056】
給電停止位置ではシリンダー錠805のキー穴からメカキーの着脱が可能である。移動阻止位置ではシリンダー錠805の動作に連動してロックバーが動作し車両の移動が阻止されるとともに、シリンダー錠805のキー穴からメカキーの着脱が可能である。ここではシリンダー錠805はメカキーを抜いた状態では、キー穴の回転が阻止されるように構成されている。
【0057】
充電位置では移動阻止位置と同様にロックバーが動作し車両の移動が阻止されるとともに、シリンダー錠805のキー穴からメカキーの着脱が可能である。これにより、ユーザは充電モードにおいて電動二輪車1のハンドル8をロックするとともにメカキーを所持することができるので、充電作業時における乗り物の盗難を防止することができる。
【0058】
次に、シリンダー錠805の各操作位置での回路状態を
図3及び
図4を参照して説明する。走行位置(ON)では、メインスイッチ102を通じてリレー101が閉じられる。これにより、低圧バッテリ43からメインコントローラ100への給電が行われ、メインシステムが起動する。メインシステムにおいて放電制御モードが実行され、メインコントローラ100はバッテリユニット60を電気モータ5に接続する第1接続状態に制御する。これにより、電動二輪車1は走行可能な状態に制御される。このとき電動二輪車1は充電用リレー51,52が遮断されて外部充電不可能な状態に制御される。
【0059】
給電停止位置(OFF)では、メインスイッチ102を通じてリレー101が開かれる。これにより、メインコントローラ100への給電が停止され、メインシステムがシャットダウンする。これにより、電動二輪車1は走行及び充電の双方が不可能な状態に制御される。
【0060】
移動阻止位置(LOCK)では、メインスイッチ102を通じてリレー101が開かれた状態である。メインコントローラ100への給電は停止され、メインシステムはシャットダウンしている。これにより、電動二輪車1は走行用リレー35〜37が遮断し、走行及び充電の双方が不可能な状態に制御される。
【0061】
充電位置(P)では、メインスイッチ102を通じてリレー101が閉じられる。これにより、低圧バッテリ43からメインコントローラ100への給電が行われ、メインシステムが起動する。メインシステムにおいて充電制御モードが実行され、メインコントローラ100はバッテリユニット60を充電コネクタ49に接続する第2接続状態に制御する。これにより、電動二輪車1は充電可能な状態に制御される。このとき電動二輪車1は走行不可能な状態に制御される。
【0062】
このような構成により、操作キーが走行位置(ON)にあるときには走行許可するだけで充電できず、充電位置(P)にあるときには充電許可するだけで走行できない。したがって、運転者は操作キーを積極的に移動させないと走行動作と充電動作との間でモードを切り替えることができない。これによって、運転者に現在の許可モードを認識させることができる。また運転者の操作なしに充電状態から走行すること、走行状態から充電が行われることを防ぐことができる。
【0063】
次に、メインコントローラ100によるメインシステム起動時の動作について
図5のフローチャートを用いて説明する。まず、初期状態においてメインシステムはシャットダウンした状態とする。次に運転者による操作キーの入力によりキー穴がON位置又はCHG位置へ回されてシステム電源がオンしたとする(S1)。そしてメインシステムが起動する(S2)。ここでメインシステムは操作キーがどの操作位置にあるかを判断する(S3)。キー穴がON位置にあり、操作キーが走行位置にあると判断した場合は、メインコントローラ100内のメモリから放電制御プログラムが読みだされ放電制御モードに移行する。
【0064】
放電制御モードにおいて自己診断シーケンス等の初期動作を開始するとともに第1接続状態に制御する(S5)。具体的には、メインコントローラ100によりバッテリユニット60と電動モータ5とを電気的に接続状態とする。すなわち走行用リレー35〜37を閉じた状態に制御する。一方、バッテリユニット60と充電コネクタとを電気的に非接続状態とする。すなわち充電用リレー51〜52を開いた状態に制御する。
【0065】
一方、キー穴がCHG位置にあり操作キーが充電位置にあると判断した場合は、メインコントローラ100内のメモリから充電制御プログラムが読みだされ充電制御モードに移行する(S6)。充電制御モードにおいてメインコントローラ100のメモリに格納されたプログラムが実行され初期化動作が実施されるとともに第2接続状態に制御する。すなわちメインコントローラ100によりバッテリユニット60と電動モータ5とを電気的に非接続状態とする。具体的には走行用リレー35〜37を開いた状態に制御する。一方、バッテリユニット60と充電コネクタとを電気的に接続状態とする。具体的には充電用リレー51〜52を閉じた状態に制御する。これにより、運転者により充電コネクタ49が外部電源90と電気的に接続されると、外部電源90からの電力が充電コネクタ49を介してバッテリユニット60に供給される。バッテリユニット60を充電することができる。
【0066】
充電制御モードではユーザによる所定の充電開始操作が完了したか否かを判定する。具体的には、充電の開始操作が失敗したことを判断すると、警告を行う。好ましくは、車両の走行に用いられる出力装置(ヘッドライト、ウインカ、ブレーキランプ、計器表示、ホーン等)を用いて警告を行うことで、部品点数の増加を防ぐ。好ましくは、計器表示以外を用いることで車体から離れた位置でも、充電ミスを判断できる。充電の失敗事例としては以下、充電コネクタが入っているが外部から電力が供給されない場合、充電コネクタが入っているが、キーが走行位置にある場合、充電位置にキーを回しているが充電コネクタが配いていない場合など、運転者が充電を意図しているが、何か操作を忘れている場合などに警告を行う。警告は一定時間経過後に停止することが好ましい。さらに操作ミス内容をモニタ表示することで、運転者が操作ミスを解消しやすくするようにしてもよい。逆に正常に充電開始が行われたことを、報知出力してもよい。
【0067】
運転者は、充電開始後は、車体から離れることが多く、操作ミスした場合には気づくことが難しく、操作ミスを気づけないと、充電失敗による時間的ロスが大きい。上記構成のように充電開始の有無を報知出力することで、充電開始時に充電ミス・正常操作のいずれかを認識することができ、充電ミスのまま運転者が車体から離れることを防ぐことができる。
【0068】
次に、放電制御モードから充電制御モードへ切り替える際のメインコントローラ100の動作について
図6のフローチャートを用いて説明する。この場合の運転者のキー操作は、走行位置から給電停止位置を経由して充電位置まで切り替えることになる。
【0069】
操作キーが走行位置にある場合、メインシステムは上述の放電制御モード(S5)であり、メインコントローラ100へのリレー101が閉じた状態である。低圧バッテリ43からメインコントローラ100への給電が行われている。メインシステムが動作している。
【0070】
操作キーが給電停止位置に操作された場合、メインスイッチ102がオフになる。メインコントローラ100へのリレー101が開いた状態となる。低圧バッテリ43からメインコントローラ100への給電が停止される。メインシステムがシャットダウンされる。
【0071】
操作キーが充電位置に操作された場合、メインスイッチ102がオンになる。メインコントローラ100へのリレー101が閉じた状態となる。低圧バッテリ43からメインコントローラ100への給電が開始される。システムが再起動する。その後、上述の充電制御モードに移行する(S6)。
【0072】
次に、充電制御モードから放電制御モードへ切り替える際のメインコントローラ100の動作について
図6のフローチャートを用いて説明する。この場合の運転者のキー操作は、充電位置から給電停止位置を経由して走行位置まで切り替えることになる。
【0073】
操作キーが充電位置にある場合、メインシステムは上述の放電制御モード(S6)であり、メインコントローラ100へのリレー101が閉じた状態である。低圧バッテリ43からメインコントローラ100への給電が行われている。メインシステムが動作している。
【0074】
操作キーが給電停止位置に操作された場合、メインスイッチ102がオフになる。メインコントローラ100へのリレー101が開いた状態となる。低圧バッテリ43からメインコントローラ100への給電が停止される。メインシステムがシャットダウンされる。
【0075】
操作キーが走行位置に操作された場合、メインスイッチ102がオンになる。メインコントローラ100へのリレー101が閉じた状態となる。低圧バッテリ43からメインコントローラ100への給電が開始される。システムが再起動する。その後、上述の放電制御モードに移行する(S5)。
【0076】
このように、放電制御モードと充電制御モードとのうち、いずれか一方から他方へ制御モードを切り替える場合、他方の制御モードに移行する前に、メインコントローラ100の初期化動作を行う。これにより、制御モードの切替え途中でメインコントローラ100をリセット(再起動)することができ、制御安定性を向上させることができる。
【0077】
また、メインコントローラ100への給電を遮断した後再給電することで、メインコントローラ100を再起動させて初期化動作を実現し、初期化動作実施後に、メインコントローラ100に他方の制御を行わせるので、メインシステム上でソフト的に初期化するよりも確実に初期化動作を行うことができる。
(第2実施の形態)
本発明の第1実施形態では、メインコントローラ100への給電を遮断した後に、再給電によって行われる初期化動作は、運転者による手動操作により行われる構成であった。これに対し、本発明の第2実施形態ではメインコントローラ100により自動で上記初期化動作を行う。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0078】
本実施形態の基本的な構成は、
図3の第1実施形態の構成と同様である。
図3に示すように、メインコントローラ100が、第1接続状態及び第2接続状態のうち一方の接続状態から他方の接続状態へと切り換えるときに、メインコントローラ100への給電路を開閉するリレー101を開くように制御する制御部を内部に備えている。これにより、リレー101の開き動作を手動で指示する必要がなくなる。ここでは状態センサ104は例えば充電コネクタ49の嵌合及び離脱を検知する機能を備えており、メインコントローラ100は、状態センサ104からの検知情報に基づいていずれか一方の接続状態についての起動処理を行うものとする。具体的には、メインコントローラ100は、充電コネクタ49の嵌合を判断すると、第2接続状態への移行を判断して、給電リセット後に充電制御を行う。また、メインコントローラ100は、充電コネクタ49の離脱を判断すると、第1接続状態への移行を判断して、給電リセット後に充電制御を行う。本実施形態では制御部は、メインコントローラ100の内部に配置されるとしたが、外部に配置されてもよい。
【0079】
その他、メインコントローラ100が、キーシリンダに基づく走行位置と充電位置との間での切換えを判断すると、メインスイッチ動作にかかわらずに、給電リセットするようにしてもよい。この場合、OFF位置に対してCHG位置とON位置とを両側に配置しなくても、給電リセット動作をさせることができる。走行位置と充電位置とのうち一方から他方に切換わって所定時間経過すると、リレーを用いた給電を一時停止する。このように所定時間経過を判断して給電一時停止することで、誤った操作によるリレーの頻繁な駆動を防ぐことができる。
【0080】
また、リセット動作については、メインコントローラ100だけでなく、例えば、モータECU、バッテリECUについても給電停止されるような構成にしてもよい。これにより、それらのECUについての動作も安定させることができる。
【0081】
また乗車状態の運転者が操作可能な位置、たとえばハンドル位置に、コントローラへの給電リセットを操作するリセットスイッチ(ガソリン車におけるキルスイッチに相当)が設けられてもよい。これによって、システム異常時にキルスイッチを操作することで、動作を回復するようにしてもよい。また運転者が手動で走行・充電モードの切替えの間に、給電リセットする操作を行っても同様の効果を得ることができる。なお、リセットスイッチは、走行時には給電リセット操作を無効とし、走行停止時における給電リセット操作を有効とするようにしてもよい。
【0082】
走行許可指示するスイッチは、運転位置に乗車した運転者が操作可能な位置に配置されることで、運転位置において走行許可へ移行することができる。また充電許可するスイッチが、運転位置からは届かない位置に設けられることで、乗物から降りた状態で充電許可へ移行することができる。このように運転許可するスイッチと、充電許可するスイッチを離反させるようにしてもよい。
【0083】
また、本実施形態では、制御部が、リレー101を開くように制御した状態では、メインコントローラ100の内部の揮発性メモリへの給電が遮断されるが、リレー101の制御のための電力はメインコントローラ100内の蓄電器に利用可能に蓄電されている。これにより、メインコントローラ100が放電制御モードと充電制御モードとの間の切り換えを行う際に、メインコントローラ100が自らリレー101を開くように制御して、メインコントローラ100の揮発性メモリが初期化された状態としながらも、その後に(例えば、微小時間後に(より具体的には50msec後))、リレー101を電気的に閉じることが可能となる。
【0084】
また、上記実施の形態において制御装置であるメインコントローラ100が、充電制御及び放電制御の双方を行うような構成としたが、これに限られるものではない。メインコントローラ100は、互いに協働して分散制御する複数の制御装置により構成されてもよい。
【0085】
尚、上記実施の形態においては、放電モードから充電モードと、充電モードから放電モードのいずれかの切換えにおいても、給電リセットするような構成としたが、これに限られるものではない。放電モードから充電モード、充電モードから放電モードのいずれか一方の切換えだけ、リセットをするようにしてもよい。いずれか一方だけリセットする構成とすることで、放電時と充電時とで共通の記憶領域を併用してシステムのRAMのメモリ容量を低減できる。
【0086】
上記実施の形態の形態においては、リレー101は運転者による手動又は制御装置による自動で開くような構成としたが、これに限られるものではない。例えば、開閉器は、それが閉じる方向に向けて機械的に付勢され、制御装置からの電力により開くよう構成されるようにしてもよい。これにより、制御装置が放電モードと充電モードとの間の切り換えを行う際に、制御装置への給電路の開閉器を制御装置自ら開くように制御した後、電力供給が断たれた開閉器は機械的な付勢力により閉じることができる。
【0087】
上記実施の形態では、メインコントローラ100は、ユーザにより所定の操作が完了したときに充電開始操作が正常に完了したと判定し、出力装置900により判定内容に応じて所定の報知又は表示を出力するようにしたが、複数の操作のうち一部の操作が完了していない状態が所定時間以上継続したときに充電開始操作が正常に完了していないと判定してもよい。上記構成によれば、ユーザが充電開始操作を完了したつもりであるにもかかわらず充電開始操作を失敗している状態を的確に把握して報知又は表示をすることができる。
【0088】
上記実施の形態においては入力装置としてシリンダー錠によりメインコントローラへの給電路を開閉する開閉器の開操作が入力されるようにしたが、これに限られるものではない。例えば切換えボタン、トグルスイッチにより放電モードと充電モードを切り替え、システム内部でシステム電源をオフにするような構成にしてもよい。
【0089】
キー穴の操作位置は、
図4の構成に限定されるものではなく、走行位置とは異なる位置に充電位置が設定されればよい。好ましくは、走行許可と同じ操作片で充電許可を与えることで運転者にモード切換えを認識させやすくなる。
【0090】
また、LOCK位置とCHG位置とを共通にしてもよい。これにより、構造を簡単化することができる。LOCK位置とCHG位置とが逆の構成でもよい。LOCK位置とCHG位置とで頻繁に行う位置を、回動方向端部に配置することで、頻繁に行うモードでは回動停止位置まで回した状態でキーを抜き差しすることができ、利便性を向上できる。
【0091】
ON位置を挟んで両側にCHG位置とLOCK位置が配置されてもよい。LOCK位置とCHG位置とが離れることで、LOCK位置への移動とCHG位置への移動との動作を異ならせることができ、運転者に認識させやすい。同様にOFF位置を挟んで両側にCHG位置とLOCK位置とが配置されてもよい。CHG位置で移動阻止しなくてもよい。この場合、車体を充電エリアまで容易に近づけることができる。ACC(アクセサリ電源)、ハザード点灯など、そのほかのキー穴配置が設定されてもよい。また、上記ACCとCHGとを共通化してもよい。これにより、キー穴位置を削減できる。また、車両の移動を阻止することはハンドルロック以外によって実現されてもよく、車輪の回転を阻止するようにしてもよい。
【0092】
表示部は、画像表示によって走行許可、充電許可のいずれかを表示するようにしたがこれに限定されるものではない。例えば、メカキー(操作片)の移動によって走行許可、充電許可のいずれかが判断されることから、メカキー自体を表示部としてもよい。
【0093】
また、シリンダー錠とは別の操作片によって切替え指示が与えられてもよい。この場合でも走行許可と、充電許可とを切り替える場合には、別途操作を必要とする。シーソー型のスイッチで実現してもよいし、つまみを直線移動させるスイッチでもよいし、つまみを軸線方向に抜き差しさせるスイッチでもよい。このように走行許可・充電許可を切り替える操作部として、充電許可し走行禁止する充電許可スイッチと、走行許可し充電禁止する走行許可スイッチの2つが設けられてもよい。
【0094】
また、切換えスイッチ自体は1つでもよい。1つのスイッチで実現されるばあい、スイッチを操作するたびに充電許可モードと、走行許可モードとを交互に切り替わるように実現されてもよい。このときに走行許可・充電許可のいずれかが選択されたかを示す表示が、スイッチとは別に設けられることが好ましい。これにより運転者が現在のモードを把握しやすくなる。
【0095】
尚、上記モードの切換えにあたっては、走行位置と充電位置とが異なる入力装置を特徴とする場合には、モード切換時のリレー101による給電リセットを行わないものとしてもよい。また、モード切換時のリレー101による給電リセットを特徴とする場合は、走行位置と充電位置が同じ操作位置にある入力装置を用いてもよい。
【0096】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する好適な態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の趣旨を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。