特許第5797779号(P5797779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5797779アンダーバンプメタライゼーションを含むMEMSデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797779
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】アンダーバンプメタライゼーションを含むMEMSデバイス
(51)【国際特許分類】
   B81B 7/02 20060101AFI20151001BHJP
   H04R 19/04 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   B81B7/02
   H04R19/04
【請求項の数】15
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-552852(P2013-552852)
(86)(22)【出願日】2011年2月10日
(65)【公表番号】特表2014-507297(P2014-507297A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】EP2011051977
(87)【国際公開番号】WO2012107094
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2013年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン,ライフ・スティーン
(72)【発明者】
【氏名】ラウンキルド,ヤン・トゥイ
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0276766(US,A1)
【文献】 特開2004−349390(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0048905(US,A1)
【文献】 特開2009−064989(JP,A)
【文献】 米国特許第06404064(US,B1)
【文献】 特開2005−238540(JP,A)
【文献】 特開2007−086517(JP,A)
【文献】 特表2009−506565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 7/02
H04R 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEMSデバイスであって、
フリップチップ接合を介して前記デバイスを基板と接触させるアンダーバンプメタライゼーション(UBM(4))を有する表面を含み、
前記UBM(4)は、前記MEMSデバイスの前記表面の角部に近接して前記表面上に配置され、
前記UBM(4)の形状は、前記角部の形状に適合するように構成され、
前記MEMSデバイスの前記表面は、有効部位(1)を含み、
前記UBM(4)の形状は、前記角部の形状および前記有効部位(1)の形状に適合するように構成される、MEMSデバイス。
【請求項2】
前記UBM(4)は三角形に形成される、請求項1に記載のMEMSデバイス。
【請求項3】
前記UBM(4)は、角部を丸くした三角形の形状を有する、請求項2に記載のMEMSデバイス。
【請求項4】
前記UBM(4)は、二等辺三角形の形状を有する、請求項2に記載のMEMSデバイス。
【請求項5】
前記UBM(4)の一辺は凹形である、請求項1または2に記載のMEMSデバイス。
【請求項6】
前記デバイスは、4つのUBM(4)を含み、これらのUBM(4)の各々は、前記デバイスの前記表面の各角部に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載のMEMSデバイス。
【請求項7】
前記MEMSデバイスは、MEMSマイクチップである、請求項1から6のいずれか一項に記載のMEMSデバイス。
【請求項8】
前記MEMSデバイスは、前記表面上において、前記UBM(4)と、前記UBM(4
)の下方に少なくとも1つの下地金属層および/または少なくとも1つの導電層とを備えるUBMパッドを含み、
前記UBMパッドは、前記MEMSデバイスの前記角部に近接して配置され、
前記UBMパッドの形状は、前記角部の形状に適合するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のMEMSデバイス。
【請求項9】
前記導電層は、高度にドープされたポリシリコンを含む、請求項8に記載のMEMSデバイス。
【請求項10】
前記MEMSデバイスの前記表面は、有効部位(1)を含み、
前記UBMパッドの形状は、前記角部の形状および前記有効部位(1)の形状に適合するように構成される、請求項8または9に記載のMEMSデバイス。
【請求項11】
前記UBMパッドは三角形に形成される、請求項8から10のいずれか一項に記載のMEMSデバイス。
【請求項12】
前記UBMパッドの一辺は凹形である、請求項8から11のいずれか一項に記載のMEMSデバイス。
【請求項13】
前記デバイスは、4つのUBMパッドを含み、これらのUBMパッドの各々は、前記デバイスの各角部に配置される、請求項8から12のいずれか一項に記載のMEMSデバイス。
【請求項14】
前記有効部位は膜を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のMEMSデバイス。
【請求項15】
前記UBM(4)は、該UMBが前記有効部位と一定距離を隔てて前記有効部位の形状に沿う部分を含む、請求項1または2に記載のMEMSデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーバンプメタライゼーション(UBM)を含むMEMSデバイスに関する。このUBMは、フリップチップ接合を介してデバイスを基板と接触させるために用いられる。
【背景技術】
【0002】
フリップチップ接合において、MEMSデバイスは、はんだバンプを介して基板に接触させられる。UBMは、MEMSデバイスのトップ金属層である。このトップ金属層は、はんだバンプと機械的かつ電気的に安定した接合を形成する。
【0003】
フリップチップ接合用の標準UBMは、円形である。バンプ配置に対するダイシング制限により、これらのUBMは、MEMSデバイスに使用されることができる有効領域を著しく減少する。通常、MEMSデバイスの構造が脆弱であるため、MEMSデバイスが製造されたウェハからこれらのデバイスをレーザダイシングを用いて分離することが有利である。しかし、レーザビームの光学特性により、ダイシングレーンの周りにかなり大きな金属クリアランスが必要とされる。隣接する2つのMEMSデバイスのUBMパッド間のシリコンウェハの厚さの約40%に相当する金属クリアランスが必要とされる。したがって、UBMパッドとMEMSデバイスの縁部との間には、シリコンウェハの厚さの約20%に相当するクリアランスが必要とされる。
【0004】
このMEMSデバイスがマイクである場合、典型的には、デバイスの表面上には膜が配置される。膜はバックプレートの真上に配置され、膜およびバックプレートは、コンデンサの2つの電極を構成する。MEMSマイクの性能を向上させるために、膜にはできるだけ多くの表面領域を確保すべきである。しかし、UBMは、機械的に安定し、信頼できる接合を得るため、一定の領域を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、MEMSデバイスの表面スペースをより効率よく使用することを可能にするUBMを備えるMEMSデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のMEMSデバイスは、この目的の解決策を提供する。本発明の有利な実施形態は、従属請求項により開示される。
【0007】
本発明に係るMEMSデバイスは、フリップチップ接合を介してデバイスを基板と接触させるUBMを含む。このUBMは、MEMSデバイス表面の角部に近接して表面上に配置される。また、このUBMの形状は、角部の形状に適合するように構成される。よって、表面スペースは無駄にされていない。
【0008】
角部に適合する形状とは、円形と異なる形状であると理解される。最も好ましい形状は、角部を形成する表面の縁部と平行する円の接線に沿う2つ縁部を有するものである。しかし、仮想の円形UBMと上記に定義された最も好ましい形状との間の一定の表面領域を覆うすべての形状を採用してもよい。それにより、円形の参照UBMに比べて、上記のように適合させたUBMの中心は、角部のより近くに移され、角部から最も遠く離れたUBMに隣接する一部の表面領域は、UBM領域を減らすことがなく残される。
【0009】
通常、MEMSデバイスの構造が脆弱であるため、MEMSデバイスが製造されたウェハからこれらのデバイスをレーザダイシングを用いて分離することが有利である。しかし、レーザビームの光学特性により、ダイシングレーンの周りにかなり大きな金属クリアランスが必要とされる。このクリアランスは、UBMとダイシングレーンとの間の最小距離を定める。しかし、UBMの形状をデバイスの角部の形状に適合させることは、他のダイシング方法の使用にも有利である。
【0010】
MEMSデバイスの表面は、有効領域を含んでもよい。さらに、UBMの形状を角部の形状だけでなく、有効領域の形状にも適合させてもよい。一実施形態において、有効領域は、MEMSマイクの表面上かつ対電極の真上に配置された膜を含む。
【0011】
通常、MEMSデバイスがウェハから分離されるとき、その表面は矩形の形状を有する。したがって、矩形状の表面の角部に嵌合するために、UBMは、略三角形に形成される。特定の実施形態において、略三角形に形成されたUBMは、角部を丸くした三角形の形状、または、二等辺三角形の形状を有する。
【0012】
好ましくは、さらなる素子をデバイスの表面上に配置する場合、UBMの一辺は凹形である。UBMが1つの凹形辺を有すると、デバイスの中間部にさらなる要素のためにより多くのスペースを残すことができる。このようなUBMは、最小許容設計距離を隔ててMEMSデバイスの有効部位の形状に沿うことができる。
【0013】
フリップチップ接合を介してMEMSデバイスを基板に接触可能にするために、UBMは、MEMSデバイスの表面に設けられる。通常、UBMの下方には、別の金属層および/または導電層を配置する。導電層は、高度にドープされたポリシリコン層を含んでもよい。「UBMパッド」という用語は、すべての金属層、すなわち、UBMおよび下地金属層に加え、他の導電層を含む金属層を指す。UBMパッドのすべての層の配置がダイシングラインに近すぎると、ダイシング時にレーザビームを妨げる可能性がある。したがって、UBMに対する制限と同じ制限は、UBMパッドにも有効である。具体的には、UBMパッドとMEMSデバイスの縁部との間には、シリコンウェハの厚さの約20%に相当するクリアランスが必要とされる。
【0014】
UBMパッドは、UBMと同じ形状を有してもよく、またはUBMと重なってもよい。
典型的には、UBMパッドは、MEMSデバイスの角部に近接して基板上に配置される。好ましくは、UBMパッドの形状は、デバイスの角部の形状に適合するように構成される。さらに、UBMパッドの形状を角部の形状だけでなく、有効領域の形状にも適合させてもよい。したがって、UBMパッドは、略三角形に構成されることができおよび/または1つの凹形辺を有することができる。
【0015】
MEMSデバイスは、4つのUBMおよびUBMに対応する4つのUBMパッドを含むことができ、これらのUBMまたはUBMパッドの各々が、デバイスの各角部に配置される。これらUBMの各々は、それぞれの角部に適合させることができる。しかし、MEMSデバイスは、他の個数のUBMを有することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来技術における公知のMEMSマイクを示す断面図であり、円形のUBMがMEMSマイクの角部に配置されている。
図2】本発明に係る、UBMを含むMEMSマイクを示す断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る、UBMを含むMEMSマイクを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照して本発明をさらに説明する。
図1は、従来技術における公知のMEMSマイクを示す断面図である。MEMSマイクの表面が有効部位1と円形のUBM2とを含む。有効部位は、膜を備える。膜は、バックプレートの真上に配置される。バックプレートと膜は、2つの電極を構成し、コンデンサを形成する。コンデンサの静電容量を監視することによって、デバイスは、音響波を検出し、マイクとして使用することができる。さらに、有効部位1は、図1には示されていないさらなる要素を含むことができる。
【0018】
ダイシング制限によって、UBM2は、表面の縁部3までの最小距離aを有する必要がある。さらに、UBM2は、有効部位1までの最小距離bを有する必要がある。
【0019】
UBM2は、その形状が円形であるため、MEMSマイクダイの比較的大きな領域を占める。円形のUBM2の形状は、有効部位1の形状または角部の形状と適合するように調整されていないため、多くの表面スペースが無駄にされ、空きのままにするしかない。
【0020】
図2は、MEMSマイクの表面の断面を示している。表面において、UBM4は、角部および有効部位1の形状と適合するように調整された形状を有する。したがって、UBM4は略三角形である。既知のUBM2の仮想円形領域は、参照用に点線のみで描かれている。図2から分かるように、有効部位1とUBM4との間の最小距離bおよびUBM4と角部に隣接する縁部3との間の最小距離aを確保しながら、有効部位1の大きさを増加することができる。
【0021】
MEMSマイクは、ダイで形成される。UBM4の形状は、ダイの形状と適合するように調整される。典型的には、ダイは矩形に形成される。したがって、UBM4は、ダイの角部と適合するように、三角形に形成される。
【0022】
図2に示すように、UBM4は、図1に示されたUBM2と同様の仮想円形UBM2と同じ領域またはそれ以上の領域を占めることができる。したがって、円形UBM2と同様の安定した接合が得られる。
【0023】
また、図3は、UBM4の第2の実施形態を示している。ここでは、UBM4の形状は、角部だけではなく有効部位1の形状と適合するように調節されている。したがって、UBM4の形状は、有効部位1とUBM4とが互いに略平行になり、点線の点P1とP2との間に一定の距離bを有するように、凹形に形成される。P1とP2との間において、UBM4は、MEMSデバイスの有効部位1とは最小許容設計距離bを隔ててMEMSデバイスの有効部位1の形状に沿うことができる。
【0024】
UBMパッドの他の層は、図1図3には示されていない。通常、UBMパッドは、UBM2または4、少なくとも1つの下地金属層および/または少なくとも1つの導電層を備える。UBMパッドは、UBM2または4と同じ形状を有することができ、または、UBM2または4と重なることができる。
【0025】
本発明に係るUBM4またはUBM4を含むUBMパッドは、基板に対する安定した接合を確保しながら、MEMSマイクのためにより多くの有効表領域を用いることを可能にする。したがって、本発明に係るUBM4またはUBM4を含むUBMパッドは、より良いマイク電気音響性能をもたらす。
図1
図2
図3