(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるエレベータ監視装置を利用したエレベータシステムの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータ監視装置を利用したエレベータシステムの構成について、
図1を参照して説明する。
【0012】
本実施形態によるエレベータシステム1Aは、エレベータ内の乗りかご2Aと、映像記録装置3と、地震計4と、風センサ5と、エレベータ監視装置6Aと、映像管理装置7と、メモリ8とを備える。
【0013】
乗りかご2Aには、乗りかご2A内を俯瞰する位置に設置された監視カメラ装置21と、床面に設置された荷重検出装置22とを有する。
【0014】
監視カメラ装置21は、乗りかご2A内を撮影し、生成された映像情報を順次映像記録装置3に送信する。
【0015】
荷重検出装置22は、乗りかご2Aにかかっている荷重量を検出する。
【0016】
映像記録装置3は、監視カメラ装置21から送信された映像情報を、所定期間(例えば24時間)記録する。
【0017】
地震計4は、当該エレベータが設置された建物で地震が発生したことを検知すると地震検知情報を出力する。
【0018】
風センサ5は、当該エレベータが設置された建物の外部で所定風速値以上の風が発生したことを検知すると風検知情報を出力する。
【0019】
エレベータ監視装置6Aは、センサ情報取得部61Aと、異常行動判定部62Aと、録画処理指示部63とを有する。
【0020】
センサ情報取得部61Aは、乗りかご2A内の状況を判断するためのセンサ情報として荷重検出装置22で検出された荷重量と、地震計4から出力された地震検知情報と、風センサ5から出力された風検知情報とを取得する。
【0021】
異常行動判定部62Aは、センサ情報取得部61Aで地震検知情報が取得されず、風検知情報が取得されず、且つ乗りかご2Aが停止しているときに、乗りかご2Aにかかる荷重量が所定時間内に所定値以上変化したことを検知すると、乗りかご2Aの中の乗客に異常行動があったと判定し、異常行動検知信号を出力する。
【0022】
録画処理指示部63は、異常行動判定部62Aから異常行動検知信号が出力されると、映像記録装置3に記録された映像情報のうち、異常行動検知信号が出力された時点の所定時間前から所定時間後までの映像情報部分を抽出して録画させるための録画処理指示を生成して映像管理装置7に送信する。
【0023】
映像管理装置7は、エレベータ監視装置6Aから録画処理指示を取得すると、当該指示に基づいて映像記録装置3に記録された中から映像情報部分を抽出し、メモリ8に送信する。
【0024】
メモリ8は、映像管理装置7の処理により送信された映像情報部分を録画する。
【0025】
〈第1実施形態によるエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態におけるエレベータシステム1Aの動作について説明する。
【0026】
本実施形態において、乗りかご2Aの監視カメラ装置21で撮影された乗りかご2A内の映像情報が、順次映像記録装置3に送信され、記録されている。
【0027】
また、乗りかご2Aの荷重検出装置22では、乗りかご2Aにかかっている荷重量が所定時間間隔で検出され、エレベータ監視装置6Aに送信されている。
【0028】
これらの処理が行われている状態で、エレベータ監視装置6Aで実行される録画制御処理について、
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0029】
エレベータ監視装置6Aでは、乗りかご2Aから取得された荷重量の情報が、センサ情報取得部61Aで取得される(S1)。センサ情報取得部61Aで取得された荷重量の情報は、異常行動判定部62Aに送出される。
【0030】
異常行動判定部62Aでは、センサ情報取得部61Aから取得された乗りかご2Aの荷重量が、所定時間内に所定値以上変化したか否かが判定される(S2)。
【0031】
例えば、最新の10秒間に荷重量の増加および減少が連続して発生したことにより10kg以上の変化が発生したときに、「荷重量が所定時間内に所定値以上変化した」と判定される。
【0032】
ステップS2において「荷重量が所定時間内に所定値以上変化した」と判定されると(S2の「YES」)、センサ情報取得部61Aにおいて当該所定時間内に、地震計4から地震検知情報が取得されているか、および風センサ5から風検知情報が取得されているかが判定される(S3)。
【0033】
ステップS3において地震検知情報または風検知情報が取得されていないと判定されたとき(S3の「NO」)には、地震や風以外のいたずら等の要因により乗りかご2Aで振動が発生し、乗りかご2Aの中の乗客に異常行動があったと判定され、異常行動検知信号が出力される(S4)。
【0034】
異常行動判定部62Aから異常行動検知信号が出力されると、録画処理指示部63により、映像記録装置3に記録された映像情報のうち、異常行動検知信号が出力された時点の所定時間前から所定時間後までの映像情報部分を抽出して録画させるための録画処理指示が生成されて映像管理装置7に送信される(S5)。
【0035】
映像管理装置7では、エレベータ監視装置6Aから録画処理指示が取得されると、当該指示に基づいて映像記録装置3に記録された中から映像情報部分を抽出し、メモリ8に送信して録画する。
【0036】
以上の第1実施形態によれば、地震や風以外の、いたずら等の要因により乗りかご内で異常が発生したことを検知すると、当該異常発生の前後に乗りかご内を撮影した映像情報を抽出して録画するため、後から異常発生時の映像情報を視聴しやすい状態で、なるべくメモリ容量を占有することなく、記録することができる。
【0037】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるエレベータ監視装置を利用したエレベータシステムの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータ監視装置を利用したエレベータシステムの構成について、
図3を参照して説明する。
【0038】
本実施形態によるエレベータシステム1Bは、エレベータ内の乗りかご2Bと、映像記録装置3と、エレベータ監視装置6Bと、映像管理装置7と、メモリ8とを備える。
【0039】
乗りかご2Bには、乗りかご2B内を俯瞰する位置に設置された監視カメラ装置21と、乗りかご2B内の音声情報を所定時間間隔で入力する音声センサ23とを有する。
【0040】
監視カメラ装置21は、乗りかご2B内を撮影し、生成された映像情報を順次映像記録装置3に送信する。
【0041】
エレベータ監視装置6Bは、センサ情報取得部61Bと、異常行動判定部62Bと、録画処理指示部63とを有する。
【0042】
センサ情報取得部61Bは、乗りかご2B内の状況を判断するためのセンサ情報として、音声センサ23から入力された音声情報を取得する。
【0043】
異常行動判定部62Bは、センサ情報取得部61Bで取得された音声情報が、所定値よりも大きい音声情報、所定時間よりも長い音声情報、または異常時に発せられる奇音による音声情報であることを検知すると、乗りかご2Bの中の乗客に異常行動があったと判定し、異常行動検知信号を出力する。
【0044】
録画処理指示部63は、異常行動判定部62Bから異常行動検知信号が出力されると、映像記録装置3に記録された映像情報のうち、異常行動検知信号が出力された時点の所定時間前から所定時間後までの映像情報部分を抽出して録画させるための録画処理指示を生成して映像管理装置7に送信する。
【0045】
映像管理装置7は、エレベータ監視装置6Bから録画処理指示を取得すると、当該指示に基づいて映像記録装置3に記録された中から映像情報部分を抽出し、メモリ8に送信する。
【0046】
メモリ8は、映像管理装置7の処理により送信された映像情報部分を録画する。
【0047】
〈第2実施形態によるエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態におけるエレベータシステム1Bの動作について説明する。
【0048】
本実施形態において、乗りかご2Bの監視カメラ装置21で撮影された乗りかご2B内の映像情報が、順次映像記録装置3に送信され、記録されている。
【0049】
また、乗りかご2Bの音声センサ23では、乗りかご2B内の音声情報が所定時間間隔で検出され、エレベータ監視装置6Bに送信されている。
【0050】
これらの処理が行われている状態で、エレベータ監視装置6Bで実行される録画制御処理について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0051】
エレベータ監視装置6Bでは、乗りかご2Bから取得された音声情報が、センサ情報取得部61Bで取得される(S11)。センサ情報取得部61Bで取得された音声情報は、異常行動判定部62Bに送出される。
【0052】
異常行動判定部62Bでは、センサ情報取得部61Bから取得された乗りかご2B内の音声情報が、乗りかご2B内で所定値よりも大きい音声情報、所定時間よりも長い音声情報、または異常時に発せられる奇音による音声情報であるか否かが判定される(S12)。ここで奇音による音声情報であるか否かは、例えば、予め異常時に発せられると予測される悲鳴等の音声パターンと類似するか否かにより判定される。
【0053】
ステップS12において、所定値よりも大きい音声情報、所定時間よりも長い音声情報、または異常時に発せられる奇音による音声情報が取得されたと判定されたとき(S12の「YES」)には、乗りかご2B内の乗客が奇声や大声を発した等、乗客に異常行動があったと判定され、異常行動検知信号が出力される(S13)。
【0054】
異常行動判定部62Bから異常行動検知信号が出力されると、録画処理指示部63により、映像記録装置3に記録された映像情報のうち、異常行動検知信号が出力された時点の所定時間前から所定時間後までの映像情報部分を抽出して録画させるための録画処理指示が生成されて映像管理装置7に送信される(S14)。
【0055】
映像管理装置7では、エレベータ監視装置6Bから録画処理指示が取得されると、当該指示に基づいて映像記録装置3に記録された中から映像情報部分を抽出し、メモリ8に送信して録画する。
【0056】
以上の第2実施形態によれば、乗りかご内で大きい音声、長い音声、奇音による音声が発生したことにより異常を検知すると、当該異常発生の前後に乗りかご内を撮影した映像情報を抽出して録画するため、後から異常発生時の映像情報を視聴しやすい状態で、なるべくメモリ容量を占有することなく、記録することができる。
【0057】
《第3実施形態》
〈第3実施形態によるエレベータ監視装置を利用したエレベータシステムの構成〉
本発明の第3実施形態によるエレベータ監視装置を利用したエレベータシステムの構成について、
図5を参照して説明する。
【0058】
本実施形態によるエレベータシステム1Cは、エレベータ内の乗りかご2Cと、映像記録装置3と、エレベータ監視装置6Cと、映像管理装置7と、メモリ8とを備える。
【0059】
乗りかご2Cには、乗りかご2C内を俯瞰する位置に設置された監視カメラ装置21と、乗りかご2Cのかごドア24が開状態であることを検知するとドア開検知情報を出力するドア開検知センサ25とを有する。
【0060】
監視カメラ装置21は、乗りかご2C内を撮影し、生成された映像情報を順次映像記録装置3に送信する。
【0061】
エレベータ監視装置6Cは、センサ情報取得部61Cと、異常行動判定部62Cと、録画処理指示部63とを有する。
【0062】
センサ情報取得部61Cは、乗りかご2C内の状況を判断するためのセンサ情報として、ドア開検知センサ25から出力されたドア開検知情報を取得する。
【0063】
異常行動判定部62Cは、乗りかご2Cが建物内のいずれの階床にも着床していないときにセンサ情報取得部61Cでドア開検知情報が取得されると、乗りかご2Cの中の乗客に異常行動があったと判定し、異常行動検知信号を出力する。
【0064】
録画処理指示部63は、異常行動判定部62Cから異常行動検知信号が出力されると、映像記録装置3に記録された映像情報のうち、異常行動検知信号が出力された時点の所定時間前から所定時間後までの映像情報部分を抽出して録画させるための録画処理指示を生成して映像管理装置7に送信する。
【0065】
映像管理装置7は、エレベータ監視装置6Cから録画処理指示を取得すると、当該指示に基づいて映像記録装置3に記録された中から映像情報部分を抽出し、メモリ8に送信する。
【0066】
メモリ8は、映像管理装置7の処理により送信された映像情報部分を録画する。
【0067】
〈第3実施形態によるエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態におけるエレベータシステム1Cの動作について説明する。
【0068】
本実施形態において、乗りかご2Cの監視カメラ装置21で撮影された乗りかご2C内の映像情報が、順次映像記録装置3に送信され、記録されている。
【0069】
映像情報の記録処理が行われている状態で、エレベータ監視装置6Cで実行される録画制御処理について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0070】
エレベータ監視装置6Cの異常行動判定部62Cでは、センサ情報取得部61Cにおいてドア開検知信号が取得されたか否かが監視されている(S21)。
【0071】
ステップS21においてドア開検知信号が取得されたと判定されると(S21の「YES」)、乗りかご2Cが建物内のいずれかの階床に着床しているか否かが判定される(S22)。
【0072】
ステップS22において乗りかご2Cがいずれの階床にも着床していないと判定されたとき(S22の「NO」)には、乗りかご2Cの中の乗客がいたずらで無理やりかごドア24をこじ開けた等、乗客の異常行動があったと判定され、異常行動検知信号が出力される(S23)。
【0073】
異常行動判定部62Cから異常行動検知信号が出力されると、録画処理指示部63により、映像記録装置3に記録された映像情報のうち、異常行動検知信号が出力された時点の所定時間前から所定時間後までの映像情報部分を抽出して録画させるための録画処理指示が生成されて映像管理装置7に送信される(S24)。
【0074】
映像管理装置7では、エレベータ監視装置6Cから録画処理指示が取得されると、当該指示に基づいて映像記録装置3に記録された中から映像情報部分を抽出し、メモリ8に送信して録画する。
【0075】
以上の第3実施形態によれば、乗りかごが建物内のいずれかの階床に着床していないときに戸開したことによる異常を検知すると、当該異常発生の前後に乗りかご内を撮影した映像情報を抽出して録画するため、後から異常発生時の映像情報を視聴しやすい状態で、なるべくメモリ容量を占有することなく、記録することができる。
【0076】
《第4実施形態》
〈第4実施形態によるエレベータ監視装置を利用したエレベータシステムの構成〉
本発明の第4実施形態によるエレベータ監視装置を利用したエレベータシステムの構成について、
図7を参照して説明する。
【0077】
本実施形態によるエレベータシステム1Dは、エレベータ内の乗りかご2Dと、映像記録装置3と、エレベータ監視装置6Dと、映像管理装置7と、メモリ8とを備える。
【0078】
乗りかご2Dには、乗りかご2D内を俯瞰する位置に設置された監視カメラ装置21と、乗りかご2D内に設置された、かご内操作盤26とを有する。
【0079】
監視カメラ装置21は、乗りかご2D内を撮影し、生成された映像情報を順次映像記録装置3に送信する。
【0080】
かご内操作盤26には、行き先階指定ボタン261、ドア開閉ボタン262、非常ボタン263等が設置されている。またかご内操作盤26は、所定時間内のボタン操作回数をカウントするカウンタ264(図示せず)と、当該カウンタにより、所定時間内に所定回数以上ボタンが連打されたことを検知すると、連打検知信号を生成してエレベータ監視装置6Dに送信する連打検知信号生成部276(図示せず)とを有する。
【0081】
エレベータ監視装置6Dは、センサ情報取得部61Dと、異常行動判定部62Dと、録画処理指示部63とを有する。
【0082】
センサ情報取得部61Dは、乗りかご2D内の状況を判断するためのセンサ情報として、連打検知信号を取得する。
【0083】
異常行動判定部62Dは、連打検知信号がセンサ情報取得部61Dで取得されると、乗りかご2Dの中の乗客に異常行動があったと判定し、異常行動検知信号を出力する。
【0084】
録画処理指示部63は、異常行動判定部62Dから異常行動検知信号が出力されると、映像記録装置3に記録された映像情報のうち、異常行動検知信号が出力された時点の所定時間前から所定時間後までの映像情報部分を抽出して録画させるための録画処理指示を生成して映像管理装置7に送信する。
【0085】
映像管理装置7は、エレベータ監視装置6Dから録画処理指示を取得すると、当該指示に基づいて映像記録装置3に記録された中から映像情報部分を抽出し、メモリ8に送信する。
【0086】
メモリ8は、映像管理装置7の処理により送信された映像情報部分を録画する。
【0087】
〈第4実施形態によるエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態におけるエレベータシステム1Dの動作について説明する。
【0088】
本実施形態において、乗りかご2Dの監視カメラ装置21で撮影された乗りかご2D内の映像情報が、順次映像記録装置3に送信され、記録されている。
【0089】
映像情報の記録処理が行われている状態で、エレベータ監視装置6Dで実行される録画制御処理について、
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0090】
エレベータ監視装置6Dの異常行動判定部62Dでは、センサ情報取得部61Dにおいて連打検知信号が取得されたか否かが監視されている(S31)。
【0091】
かご内操作盤26において、いずれかのボタンが所定時間内に所定回数以上連打されたことにより乗りかご2Dから送信された連打検知信号が取得されたと判定されると(S31の「YES」)、乗りかご2Dの中の乗客がいたずらでボタン操作を行った等、乗客の異常行動があったと判定され、異常行動検知信号が出力される(S32)。
【0092】
異常行動判定部62Dから異常行動検知信号が出力されると、録画処理指示部63により、映像記録装置3に記録された映像情報のうち、異常行動検知信号が出力された時点の所定時間前から所定時間後までの映像情報部分を抽出して録画させるための録画処理指示が生成されて映像管理装置7に送信される(S33)。
【0093】
映像管理装置7では、エレベータ監視装置6Dから録画処理指示が取得されると、当該指示に基づいて映像記録装置3に記録された中から映像情報部分を抽出し、メモリ8に送信して録画する。
【0094】
以上の第4実施形態によれば、乗りかご内のかご呼びボタンが連打されたことによる異常を検知すると、当該異常発生の前後に乗りかご内を撮影した映像情報を抽出して録画するため、後から異常発生時の映像情報を視聴しやすい状態で、なるべくメモリ容量を占有することなく、記録することができる。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。