特許第5797797号(P5797797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797797
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】電子ロックの作動モータ組
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/00 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   E05B47/00 J
   E05B47/00 H
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-35292(P2014-35292)
(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-218885(P2014-218885A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2014年2月26日
(31)【優先権主張番号】102115897
(32)【優先日】2013年5月3日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504046887
【氏名又は名称】華豫寧股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】特許業務法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】連 智民
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許第101886494(CN,B)
【文献】 中国実用新案第202227801(CN,U)
【文献】 米国特許第5694798(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0294008(US,A1)
【文献】 特開平2−229371(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3084760(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0260704(US,A1)
【文献】 米国特許第6640594(US,B1)
【文献】 米国特許第5473922(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容室を備える固定ソケットと、
該固定ソケットに取り付けられ、回転軸を備えるモータと、
外周面に前記回転軸の軸方向に沿って螺旋状の歯牙が設けられるとともに前記回転軸に取り付けられるワームであって、該ワームに設けられる前記歯牙は該ワーム両端の推進端及び復位端に至るまで完全に分布延伸しないワームと、
前記モータ側に位置する套接部と、前記套接部とは異なる押し当て部とを有するとともに前記螺旋状の歯牙の間に少なくとも前記套接部が配置されるバネを備え、
該套接部は、該歯牙上にフックして前記ワームの回転に伴って該歯牙の螺旋押圧を受けて前記回転軸の方向へ移動し、
該押し当て部の内径は、該歯牙の外径より大きく、
前記套接部が該ワームの該推進端まで移動する時、前記歯牙が分布延伸しない前記推進端では該歯牙と該套接部とが被さり合って推移することがなく前記バネに対して前記ワームが空回りし、
前記套接部が該復位端まで逆方向に移動する時、前記歯牙が分布延伸しない前記復位端では該歯牙と前記套接部とが被さり合って推移することがなく前記バネに対して前記ワームが空回りすることを特徴とする電子ロックの作動モータ組。
【請求項2】
前記套接部は、該ワームへ向けて湾折してフック状を形成して該歯牙上にフックされる請求項1に記載の電子ロックの作動モータ組。
【請求項3】
前記押し当て部は、更に、後クラッチ部材を当接し、該後クラッチ部材は、該収容室中に被せ設けられ、該収容室中で滑動することができる請求項1又は請求項2に記載の電子ロックの作動モータ組。
【請求項4】
前記後クラッチ部材は、少なくとも1つの滑動溝設けられ、該収容室中には前記滑動溝と対応する少なくとも1つの凸部設けられる請求項3に記載の電子ロックの作動モータ組。
【請求項5】
前記後クラッチ部材は、第1延伸筒及び互いに接続する嵌合片を含み、該第1延伸筒は、該押し当て部に当接する請求項3に記載の電子ロックの作動モータ組。
【請求項6】
前記後クラッチ部材は、更に、カムを接合することができ、該後クラッチ部材は、
2つの貫通孔及び2つの限位部を設け、該2つの限位部間は、緩衝空間を形成するソケット体と、
2つの定位滑動ブロックであり、該2つの定位滑動ブロック間に弾性部材を接続した後、該緩衝空間中に収容設置され、該2つの定位滑動ブロックは、該緩衝空間中において、該弾性部材の緩衝により内縮して相互に接近するか、弾力の弾き出しによって相互に離れ、各該定位滑動ブロックは、外周面上において、それぞれ定位部を形成する2つの定位滑動ブロックと、
該押し当て部に当接する第2延伸筒と、
クラッチブロックであり、該クラッチブロックは、該第2延伸筒の該押し当て部に相対する他端に接続し、該クラッチブロックは、少なくとも1つの嵌合柱を凸設し、該嵌合柱が該押し当て部において、該第2延伸筒を押し当てた後、対応する該貫通孔に凸伸することができるクラッチブロックと、
を含み、
そのうち、該カムは、2つの該滑動ブロック定位部と接合することができる定位溝、及び該嵌合柱と嵌合可能な嵌合溝を設ける請求項3に記載の電子ロックの作動モータ組。
【請求項7】
前記定位部は、2つの平面が互に隣接して屋根形構造を形成し、該定位溝は、互いに対応する凹口形状を呈する請求項6に記載の電子ロックの作動モータ組。
【請求項8】
前記定位部は、円弧状を呈し、該定位溝は、互いに対応する円弧凹口形状を呈する請求項6に記載の電子ロックの作動モータ組。
【請求項9】
前記ワームは、更に、接続溝を設け、該接続溝は、接続部材を取り付け、該接続部材は、該回転軸と互いに接続設置される請求項1又は請求項2に記載の電子ロックの作動モータ組。
【請求項10】
前記ワームは、更に、底ソケットを設け、該底ソケットは、該バネの該套接部に当接することに用いる請求項1又は請求項2に記載の電子ロックの作動モータ組。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動モータ組に関し、特に、電子ロック内に設置した作動モータ組に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の機械式ロック具は、そのロックシリンダー内のロック栓の配置型式により、その専属の鍵のみが開放できる盗難防止の目的を達成する。しかしながら、この種のロック具は、しばしば悪意を有する者により特殊な機械工具で解除される。従いまして、ロック具の開錠の難度を強化する為、従来は、電子センサ識別メカニズム及び従来の機械式ロック具を互いに結合した考案があり、機械式及び電子式の二重閉鎖により、最適な盗難防止機能を達成する。
【0003】
従来の電子ロック構造は、図1に示すように、それは、ロックシリンダー20を含み、ロックシリンダー20は、クラッチ30、カム40、作動モータ組50及びノブ芯60を接続設置する。前記構成部材は、殻体70中に取り付けられ、ノブ芯60の一端によりノブ80と接続する。正しい鍵10を利用し、ロックシリンダー20に挿入する時、鍵溝を円滑に貫通し、前クラッチ部材31を後方へ押圧し、同時に、鍵10は、電子接触センサにより、鍵10上のチップに保存されたパスワード又はデータを電子ロック制御システムに伝送し、識別を行い、対比結果が正しい場合、電子ロックは、作動モータ50を起動し、それに関連部材を駆動させ、推移を開始させ、後クラッチ部材33を前方へ推移し、該後クラッチ部材33の接合溝31を前クラッチ部材31と接合させ、この時、鍵10の回転により、伝導部材32を介してカム40に軸回転を連動させてロック具を開放することができる。
【0004】
作動モータ組50の機能は、ロック具をロック解除待ち状態に入らせることであり、作動モータ組50に故障が発生すると、機械的及び電子的識別が何れも符合しても依然としてロック具を開放することができなくなるので、作動モータ組50は、電子ロックの電子作動メカニズムにおいて、相當重要な役割を担っている。故に、作動モータ組50の作動方式及び故障発生率は、電子ロックの使用効果及び寿命に深く影響する。従来の作動モータ組のモータの回転時は、適切な限位機構を設けていないので、モータが接続する構成部材の前後の移動を駆動する時、該構成部材をその他の部材を押圧するまでオーバーシュートさせ、モータが一方では、オーバーシュートによりその使用寿命に影響を及ぼし、また一方では、その部材が押圧を受けて内部アセンブリの移動又は接触不良を招き、電子ロックに故障を発生させる確率が相当高くなっている。後に多くの従来の改良作動モータ組が限位センサ及び限位嵌合機構を設けているが、該構成部材は、比較的複雑であるので、製造工程が煩雑になり、且つ比較的多くの構成部材及び電子部材を利用し、コストが高くなり、製品の競争力を低下させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−190351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作動モータが駆動する構成部材を精確に移動させ、従来の作動モータの出力動力がオーバーシュートする現象を回避し、更には、モータに比較的長い使用寿命をもたせ、電子ロックの故障発生確率を減少し、同時に構成部材の製造工程を減少させ、製造コストを低減させる目的を達成する為、本発明は、従来技術と全く異なるモータ駆動アセンブリを提供し、簡単な限位駆動部材を利用し、バネ及びワームの駆動動作方式によって、前記の目的を容易に達成する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子ロックの作動モータ組は、収容室を備える固定ソケットと、該固定ソケットに取り付けられ、回転軸を備えるモータと、外周面に前記回転軸の軸方向に沿って螺旋状の歯牙が設けられるとともに前記回転軸に取り付けられるワームであって、該ワームに設けられる前記歯牙は該ワーム両端の推進端及び復位端に至るまで完全に分布延伸しないワームと、前記モータ側に位置する套接部と、前記套接部とは異なる押し当て部とを有するとともに前記螺旋状の歯牙の間に少なくとも前記套接部が配置されるバネを備え、該套接部は、該歯牙上にフックして前記ワームの回転に伴って該歯牙の螺旋押圧を受けて前記回転軸の方向へ移動し、該押し当て部の内径は、該歯牙の外径より大きく、前記套接部が該ワームの該推進端まで移動する時、前記歯牙が分布延伸しない前記推進端では該歯牙と該套接部とが被さり合って推移することがなく前記バネに対して前記ワームが空回りし、前記套接部が該復位端まで逆方向に移動する時、前記歯牙が分布延伸しない前記復位端では該歯牙と前記套接部とが被さり合って推移することがなく前記バネに対して前記ワームが空回りするそのうち、該押し当て部は、更に、後クラッチ部材を当接し、該後クラッチ部材は、少なくとも1つの滑動溝を設け、該収容室中に被せ設けされ、該収容室中に互いに対応する少なくとも1つの凸部を設け、該収容室中で滑動させることができる。

【0008】
本発明の実施例において、該套接部は、該ワームへ向けて湾折してフック状を形成し、該歯牙上にフックし、そのフックの位置は、該歯牙の外径より小さい。
【0009】
本発明のワーム及びバネの組み合わせにより、作動モータの回転時、ワームも伴って回転し、回転時にその歯牙が同時に螺旋状に回転し、回転を利用し、套接部によりねじ山上にフックしたバネを後クラッチ部材の方向へ送り、互いに套接させた後クラッチ部材を徐々に外へ推移させる。但し、バネの套接部が歯牙を有さない推進端まで推移される時、歯牙の回転の推進力がないことにより、バネが継続して前へ押し当てられることがなく、套接部が歯牙により回転を持続されて後退することがなく、従って、バネを推進端に限位し、オーバーシュートの状況の発生を回避することができる。同一の原理で、モータがワームの反転を伴う時、歯牙は、バネの套接部をモータ方向へ引っ張り、バネの套接部が復位端に移動する時、同様に歯牙を有さないことにより引っ張り駆動力を失い、空回りを形成し、更にモータ方向へ推移することがなく、同時に歯牙により回転を持続して後退することがなく、バネを限位する目的を達成する。故に、本発明により、最も簡易な構成部材で動力駆動及び限位の目的を達成し、モータ駆動のオーバーシュート現象を回避することができ、且つバネによりワームにおいてその軸線方向に前後移動し、組み立てにおいて、別途構成部材及び収容空間を必要とせず、装置の体積を縮小することができ、従って、簡易な製造工程及び製造コスト低減の目的を同時に達成し、製品に競争力を持たせることができる。
【0010】
また、後クラッチ部材及びカムを接合させる時、定位を更に精確にし、同時にその回転トルクを増加させるため、本発明の電子ロックの作動モータ組は、新しい後クラッチ部材の構造を同時に提供することができ、該後クラッチ部材は、2つの貫通孔及び2つの限位部を設け、該2つの限位部間に緩衝空間を形成するソケット体と、2つの定位滑動ブロックであり、該2つの定位滑動ブロック間に弾性部材を接続した後、該緩衝空間中に収容設置し、該2つの定位滑動ブロックは、該緩衝空間において、弾性部材の緩衝内で縮んで相互に接近するか、弾力により弾かれて相互に離れ、各該定位滑動ブロックは、外周面においてそれぞれ定位部を形成する2つの定位滑動ブロックと、該押し当て部に当接される第2延伸筒と、該第2延伸筒の該押し当て部に相対する他端に接続され、少なくとも1つの嵌合柱を凸設し、該押し当て部に該第2延伸筒を押し当てた後に互いに対応する該貫通孔に凸伸することができるクラッチブロックと、を含み、該カムは、該滑動ブロックの定位部と互いに接合可能な2つの定位溝、及び該嵌合柱と嵌合可能な少なくとも1つの嵌合溝を設ける。
【発明の効果】
【0011】
後クラッチ部材に設けられる2つの定位滑動ブロックは、初期状態で該弾性部材の弾力により二者を相互に押し離し、それぞれ該定位溝中に当接させる。ソケット体を回転する時、2つの定位滑動ブロックは、定位溝の押圧を受けた後、弾性部材の弾力の緩衝を有することにより、2つの定位滑動ブロックが徐々に内縮して相互に接近し、定位溝との接合から離脱し、従って、ソケット体の回転は、カムの回転を連動しない。但し、モータを起動し、バネの押し当て部を移動させた後、第2延伸筒もソケット体の方向へ移動され、この時、第2延伸筒に接続された嵌合柱は、ソケット体に設けられる貫通孔に凸伸でき、更にカムの嵌合溝と嵌合でき、この状態において、ソケット体を回転させれば、カムの回転を連動してドアロックを開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来の電子ロックの分解説明図である。
図2】本発明の実施例の説明図である。
図3】本発明の実施例の分解説明図である。
図4】本発明の実施例の部分組み合わせ説明図である。
図5】本発明の実施例の部分組み合わせ側面説明図である。
図6】本発明の実施例の側面説明図である。
図7】本発明の実施例の動作説明図である。
図8】本発明の後クラッチ部材のもう1つの実施例の分解説明図である。
図9】本発明の後クラッチ部材のもう1つの実施例の組み合わせ説明図である。
図10】本発明の後クラッチ部材のもう1つの実施例の側面説明図である。
図11】本発明の後クラッチ部材のもう1つの実施例の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を合わせて本発明の実施方式を更に説明するが、下記に列挙する実施例は、本発明の説明に用いるものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0014】
図2図5を同時に参照し、図2図3は、本発明の実施例の外観説明図及び立体分解説明図であり、図4図5は、本発明の実施例の部分組み合わせ説明図である。本発明の実施例の電子ロックの作動モータ組90は、バネ94aにより後クラッチ部材95に当接する。後クラッチ部材95は、固定ソケット91内に套接し、それが設ける収容室911中で滑動することができる。バネ94aは、伝動組(ワーム931a)の推移を受ける時、伴って後クラッチ部材95を収容室911から外へ滑動させ、前クラッチ部材31(図1の説明を参照)と互いに接合させることができ、そのロック解除の目的を達成する。
【0015】
本実施例において、電子ロックの作動モータ組90は、固定ソケット91、モータ92、ワーム931a及びバネ94aを含むことができる。
【0016】
固定ソケット91は、本実施例のように一体に成形されるか、上下又はその他の方式で互いに組み立てられることができ、その構造形態は、制限を設けない。固定ソケット91は、収容室911を設け、本実施例において、モータ92、伝動組及びバネ94a等の構成部材を収容することに用いられ、後クラッチ部材95の第1延伸筒951をその中で滑動させる。第1延伸筒951の外縁構造形態は、収容室911の構造形態と対応し、その中で滑動させることができ、その形状も、制限を設けない。第1延伸筒951の滑動時にその方向を維持させるため、第1延伸筒951外縁に少なくとも1つの滑動溝952を設けることができ、収容室911中に対応する凸部912を設置する。後クラッチ部材95の収容室911中の滑動機構は、制限を設けず、凸部を滑動溝と互換設置することもでき、或いは、円柱形でない任意の外形を利用して互いに対応して套接する構造を形成することもできる。第1延伸筒951は、嵌合片953を取り付け、該嵌合片953の構造形態は、制限を設けず、前クラッチ部材の必要に応じて、或いは互いに対応する構造形態で設置することができる。
【0017】
モータ92は、伝動組に軸接合し、伝動組は、ワーム931aを含み、該ワーム931aは、回転軸921に軸接合する。ワーム931aは、本実施例のように回転軸921上に直接取り付けられることができ、また、先に接続溝(図示せず)を開設し、接続溝中に接続部材(図示せず)を取り付けた後に回転軸921上に軸接合することもできる。ワーム931a及びモータ92の間において、回転軸921上に更に軸受を取り付けることができ、バネ94aにより後クラッチ部材95を当接してワーム931aに対する逆向きの押圧を発生する時、軸受の緩衝により、反発力がワーム931aに対して発生する回転抵抗力を低減することができ、ワーム931aの回転を更に円滑で安定したものにし、伝動組の使用寿命を増加させることができる。ワーム931a上に歯牙9311を設けるが、歯牙9311は、推進端9312及び復位端9313まで延伸しない。
【0018】
バネ94aは、その両端がそれぞれ套接部941a及び押し当て部942aである。套接部941aは、本実施例において、ワーム931aへ向けて湾折し、フック状を形成して該歯牙9311上にフックする。套接部941aの湾折後の位置は、該歯牙9311の外径及び内径の間に介し、套接部941aを歯牙9311上に突き当てることができ、歯牙9311の螺旋回転時、フックした套接部941aを螺旋連動することができ、バネ94aに螺旋回転を受けさせて前方移動させる。套接部941aの本実施例の図面中の湾折の長さは、バネ94aの内径に接近しているが、これに限定するものではなく、ワーム931aの外径に応じてその長さを調整することができる。調整時、フック時の最大接触面積の長さ、或いは、それより長いか短い長さを選択することができるが、その最短の長さは、歯牙9311の一部にフック可能でなければならない。また、套接部941aの湾折の角度は、回転軸921に垂直であるか、歯牙9311の螺旋ラインに対応して回転軸921に垂直な方向にリード角と同じ角度を形成することができる。
【0019】
一方で、押し当て部942aは、本実施例において、直径が同一なバネ体であるが、これに限定するものではなく、直径が套接部941a端から押し当て部942aへ向けて徐々に大きくなる螺旋構造形態であるか、その他の構造形態であることもでき、その内径が歯牙9311の外径より大きければよく、但し、その外形は、依然として第1延伸筒951が収容可能な大きさより小さいものでなければならない。バネ94aは、右回転又は左回転であることができ、制限を設けない。押し当て部942aの末端は、第1延伸筒951と直接互いに接続でき、末端において固定部943aを軸心へ向けて湾折形成することにより、第1延伸筒951中に嵌合固定することもできる。固定部943aの構造形態は、制限を設けず、直線形又は弧形、円形であることができる。
【0020】
本発明の実施例を組み立てる時、先ず、ワーム931aをモータ92に軸接合した後、ワーム931a上にバネ94aを套接し、バネ94a上に後クラッチ部材95を覆い、固定ソケット91の収容室911中に取り付ける。モータ92は、回路組96に電気接続し、センシングした後に電源を起動してその回転を制御することに用いる。
【0021】
図6及び図7を参照し、該図は、本発明の実施例の動作説明図である。モータ92がまだ起動していない時、バネ94aの套接部941aは、ワーム931aの復位端9313近傍の歯牙9311上にフックして当接し、後クラッチ部材95の第1延伸筒951は、モータが未起動で伝動組(ワーム931a)及びバネ94aを駆動する前、依然として固定ソケット91の収容室911中に位置する。モータ92が起動を開始した後、ワーム931aが回転を開始し、歯牙9311も伴って螺旋回転する。この時、歯牙9311上にフックする套接部941aは、歯牙9311の螺旋回転により発生される押圧/引っ張り力を受け、徐々にワーム931aの推進端9312方向へ移動し、バネ94aを第1延伸筒951へ押し当て、後クラッチ部材95を収容室911中から外へ移動させる。套接部941aが徐々に推進端9312に移動接近する時、後クラッチ部材95が徐々に押し当てられて定位され、この時、バネ94aは、依然として短い時間押圧を持続するが、そのバネの緩衝により過度の押し当てを回避することができる。套接部941aが推進端9312まで移動する時、該箇所に歯牙9311を設けていないことにより、套接部941aを更に推移することができず、バネ94aに空回りを形成させ、これ以上パワーの出力が前方へ押し出されなくなる。また、バネ94aは、後クラッチ部材95を押し当てることにより逆方向の弾力を発生するが、套接部941aは、依然として歯牙9311の持続する螺旋押し当てを受け、復位端9313へ移動することがなく、後クラッチ部材95を限位させる目的を達成する。従って、必要な駆動力量に応じて、後クラッチ部材95が移動する必要のある長さを合わせ、互いに対応する歯牙9311の分布延伸長さを設定するか、バネ94aの長さを調整し、精確な限位の目的を達成することができる。前記本発明の実施例の動作メカニズムにより、精確な限位の目的を達成することができるだけでなく、超過した駆動力の出力を有さないので、オーバーシュートの現象を発生することもない。同時に、モータが回転を持続する時に抵抗力を受けないので、従来のこれによりその使用寿命を短縮する問題を解決することができる。
【0022】
一方で、後クラッチ部材95が復位する時、モータ92が逆向きの回転を開始する。この時、歯牙9311が当接するバネ套接部941aを受けて、歯牙9311が逆向きに螺旋回転に従って推移し、復位端9313へ移動し、移動と同時にバネ94aは、固定部943aにより後クラッチ部材95を第1延伸筒951から引き戻し、後クラッチ部材95を徐々に収容室911中に滑り込ませ、前クラッチ部材又はカム(図示せず)と離脱させる。套接部941aが移動して復位端9313まで接近する時、同様に歯牙9311の螺旋押圧がないことにより、更に推移することができず、空回りを形成する。本発明のバネ94aは、ワーム931aにおいて、その軸線方向に前後移動し、組み立てにおいて、別途構成部材及び収容空間を必要とせず、故に装置体積を縮小し、部材コストを低減する目的を達成することができる。
【0023】
図8及び図9を同時に参照し、図2は、本発明の後クラッチ部材のもう1つの実施例の分解及び組み合わせ説明図である。本発明の後クラッチ部材のもう1つの実施例において、後クラッチ部材97は、カム98と互いに接合することができる。カム98は、2つの定位溝981及び2つの嵌合溝982を設ける。後クラッチ部材97は、第2延伸筒971、クラッチブロック972、ソケット体973、2つの定位滑動ブロック974及び弾性部材975を含む。2つの定位滑動ブロック974は、弾性部材975と互いに接続し、ソケット体973中に収容設置され、該クラッチブロック972は、該第2延伸筒971と互いに接続する。
【0024】
第2延伸筒971の外縁の構造形態は、収容室911の構造形態と対応し、その中で滑動させることができ、その形状も制限を設けない。第2延伸筒971の活動時にその方向を維持させるため、第2延伸筒971外縁に少なくとも1つの滑動溝9711を設けることができ、収容室911中に互いに対応する凸部912を設置する(図3参照)。前記滑動機構は、制限を設けず、凸部を滑動溝と互換設置することもでき、或いは、円柱形でない任意の外形が対応して套接する構造を利用することもできる。第2延伸筒971は、バネ押し当て部(942又は942a)が当接する該端に2つの固定孔9712を設け、クラッチブロック972が設ける固定部9722と互いに接続することに用いられる。
【0025】
クラッチブロック972は、本実施例において、2つの嵌合柱9721を凸設するが、嵌合柱9721の数量は、特に制限を設けず、ただ1つのみ設けることもでき、或いは、3つ又は4つ設けることもでき、その設置位置は、円周に対称に分布されることが好ましい。
【0026】
ソケット体973は、本実施例において、2つの貫通孔9733及び2つの限位部9731を設ける。2つの限位部9731間に緩衝空間9734を形成し、該2つの貫通孔9733は、緩衝空間9734の左右両側に設けられる。クラッチブロック972の嵌合柱9721は、バネ押し当て部(942又は942a)に押し当てられた後、その対応する貫通孔9733に凸伸することができる。従って、貫通孔9733が設ける数量及び形状は、特に制限を設けず、設ける嵌合柱9721に応じて相応設置することができるが、貫通孔9733が設けられる位置は、緩衝空間9734の外でなければならない。
【0027】
2つの定位滑動ブロック974は、中間に弾性部材975を接続する。弾性部材975は、本実施例において、バネであり、それは、その他の弾性を有する部材であることもできる。定位滑動ブロック974は、弾性部材975に接続後ソケット体973の緩衝空間9734中に収容設置され、該弾性部材975の緩衝により内縮して相互に接近するか、弾力の弾き出しによって相互に離れることができる。各定位滑動ブロック974は、それぞれガイド凸ブロック9742を設けることができ、ソケット体973上の滑動孔9732中に対応して取り付けられ、その中で滑動することができる。各定位滑動ブロック974は、外周面において、それぞれ定位部9741を形成し、それは、定位溝981と互いに接合することができる。定位部9741は、本実施例において、2つの平面が隣り合って2つの屋根形構造を形成し、従って、該定位溝981は、互いに対応する凹口形状を呈する。定位部9741は、円弧状(図示せず)を呈し、該定位溝981は、対応する円弧凹口形状を呈する。
【0028】
図10及び図11を同時に参照し、該2つの図は、本発明の後クラッチ部材のもう1つの実施例の動作説明図である。初期状態において(図9を同時に参照)、後クラッチ部材97が設ける2つの定位滑動ブロック974は、弾性部材975の弾力により2者を相互に押し離し、それぞれ定位溝981中に接合当接させる。ソケット体973を回転する時、2つの定位滑動ブロック974は、定位溝981の押し上げを受けた後、弾性部材975の弾力の緩衝により、2つの定位滑動ブロック974は、ソケット体973の回転に伴って徐々に内縮して相互に接近し、定位溝981との接合から離脱し、従って、ソケット体973の回転は、カム98の回転を連動することがない。モータ92を起動する時、バネの押し当て部942aを移動させた後、第2延伸筒971もソケット体973の方向へ押し当てられて移動され、この時、第2延伸筒971が接続するクラッチブロック972の嵌合柱9721は、ソケット体973が設ける貫通孔9733に徐々に凸伸することができ、定位した後、更に、カム98の嵌合溝982と嵌合する。従って、この状態において、ソケット体973を回転すれば、嵌合柱9721の回転によりカム98の回転を連動してドアロックを開放する。
【0029】
上述の説明は、本発明の技術特徴を示す好適な実施形態を説明したものである。当業者は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において変更および修飾を行うことができ、これらの変更および修飾は、本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
10 鍵
20 ロックシリンダー
30 クラッチ
31 前クラッチ部材
311 接合ブロック
32 伝導部材
33 後クラッチ部材
331 接合溝
40 カム
50 作動モータ組
60 ノブ芯
70 殻体
80 ノブ
90 作動モータ組
91 固定ソケット
911 収容室
912 凸部
92 モータ
921 回転軸
931a ワーム(伝動組)
9311 歯牙
9312 推進端
9313 復位端
94a バネ
941a 套接部
942a 押し当て部
943a 固定部
95 後クラッチ部材
951 第1延伸筒
952 活動溝
953 嵌合片
96 回路組
97 後クラッチ部材
971 第2延伸筒
9711 滑動溝
9712 固定孔
972 クラッチブロック
9721 嵌合柱
9722 固定部
973 ソケット体
9731 限位部
9732 滑動孔
9733 貫通孔
9734 緩衝空間
974 定位滑動ブロック
9741 定位部
9742 導引凸ブロック
975 弾性部材
98 カム
981 定位溝
982 嵌合溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11