(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797801
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】包装用フィルム
(51)【国際特許分類】
B65D 77/20 20060101AFI20151001BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
B65D77/20 G
B65D77/20 K
B65D77/20 R
B65D77/20 H
B65D85/50 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-59487(P2014-59487)
(22)【出願日】2014年3月24日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3185896号
【原出願日】2013年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-9898(P2015-9898A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2014年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】599105470
【氏名又は名称】株式会社エバーウィングス
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】大垣 恵一
(72)【発明者】
【氏名】野口 正典
【審査官】
二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第03/013974(WO,A1)
【文献】
英国特許出願公開第02447958(GB,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0073365(US,A1)
【文献】
特開2010−168057(JP,A)
【文献】
特開平09−095365(JP,A)
【文献】
特開平09−095366(JP,A)
【文献】
特開平09−095367(JP,A)
【文献】
特開平11−058583(JP,A)
【文献】
特許第3917783(JP,B2)
【文献】
特開2012−001263(JP,A)
【文献】
特開平07−267274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00 − 79/02
B65D 81/18 − 81/30
B65D 81/38
B65D 23/00
B65D 85/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム本体と、前記フィルム本体の対向する一対の側縁部の裏面にそれぞれその側辺に沿って設けられた粘着剤塗布部とを備え、
前記フィルム本体が、上面が開口した容器に前記上面を覆うようにして被せられ、前記粘着剤塗布部が前記容器の外側面に接着固定される包装用フィルムであって、
前記フィルム本体は、それぞれの一方の側縁部の裏面に前記粘着剤塗布部が設けられた第1のフィルム本体部材及び前記第1のフィルム本体部材とは別の第2のフィルム本体部材からなり、
前記第1のフィルム本体部材は、前記粘着剤塗布部により、一方の側縁部側のみが、前記容器の外側面に接着固定され、
前記第2のフィルム本体部材は、前記粘着剤塗布部により、一方の側縁部側のみが、前記第1のフィルム本体部材の一方の側縁部側のみが接着固定された前記容器の外側面と対向する外側面に接着固定され、
前記第1のフィルム本体部材及び前記第2のフィルム本体部材は、
前記粘着剤塗布部が設けられていない他方の側縁部同士を重ね合わせた状態で、前記粘着剤塗布部の前記容器の外側面への接着力よりも小さい接着力で接着され、
前記フィルム本体は、
前記第1のフィルム本体部材の一方の側縁部側及び前記第2のフィルム本体部材の一方の側縁部側のみが、それぞれ前記容器の互いに対向する一対の外側面に接着固定され、前記第1のフィルム本体部材の他方の側縁部側及び前記第2のフィルム本体部材の他方の側縁部側が、前記容器には接着固定されずに、前記容器の開口した上面の上方において、互いに重ね合わせた状態で接着され、前記容器の開口した上面に被せられた状態から、
表側にくる前記第1のフィルム本体部材の他方の側縁部を引っ張ることで、前記第1のフィルム本体部材を前記第2のフィルム本体部材から剥がすことで、前記容器の開口した上面を開くことができることを特徴とする包装用フィルム。
【請求項2】
前記第1のフィルム本体部材と前記第2のフィルム本体部材の重なり部において、前記第1のフィルム本体部材の側辺部分は、前記第2のフィルム本体部材に接着されていない非接着部となっている、請求項1に記載の包装用フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収容された内容物がこぼれ落ちることを防止するために容器の開口部を覆う包装用フィルムに関する。さらに詳細には、本発明は、容器に収容された、表面が
損傷し易いイチゴ等の果実を、損傷させることなく、容易に取り出すことを可能にした包装用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の包装用フィルムとしては、例えば、
図7〜
図9に示すようなものが知られている。
図7は、従来技術における包装用フィルムの構成を示す表面図、
図8は、当該包装用フィルムの構成を示す裏面図、
図9は、当該包装用フィルムの容器への装着状態を示す斜視図である。尚、
図9においては、図面を見やすくするために、容器10を不透明なものとして描いているが、実際の容器10は透明又は半透明な材料からなっている。
【0003】
図7、
図8に示すように、従来技術における包装用フィルム12は、矩形状のフィルム本体13と、フィルム本体13の対向する一対の側縁部の裏面にそれぞれその側辺に沿って設けられた粘着剤塗布部14、15とを備えている。使用前の包装用フィルム12においては、粘着剤塗布部14、15上にそれぞれ剥離紙16、17が貼り付けられている。この包装用フィルム12の容器への装着方法は、以下の通りである。
【0004】
すなわち、
図9に示すように、上面が開口した略直方体状の容器10に内容物を収容した後、容器10に前記上面を覆うようにしてフィルム本体13を被せる。そして、
図8に示すように、粘着剤塗布部14、15上の剥離紙16、17を剥がし、粘着剤塗布部14、15を容器10の外側面に接着固定する(
図9参照)。
【0005】
ところで、上記のようにして包装用フィルム12を装着した容器10から内容物を取り出す場合には、フィルム本体13をその側縁部の角部(
図9の矢印C参照)から剥がす必要がある。
【0006】
しかし、粘着剤塗布部14、15の容器10の外側面への粘着力は、フィルム本体13が容器10から容易に外れない程度に大きいため、フィルム本体13をその側縁部の角部から剥がす際には、容器10の外側面を掴んで押さえておく必要がある。そして、容器10の外側面を掴んだ状態でフィルム本体13を剥がすと、表面が損傷し易いイチゴ等の果実を損傷させてしまう虞がある。
【0007】
そこで、従来、フィルム本体を容器から剥がし易くして、反復使用できるようにした包装用フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
特許文献1に開示された包装用フィルムは、反復使用できるように2重に粘着剤塗布部を設けた構成となっている。そして、容器の内容物の一部を入れ換える必要がある場合等に、フィルム本体を内側の第1の粘着剤塗布部と中間フィルムとの間で剥がし、前記中間フィルムは外側の第2の粘着剤塗布部と共に前記容器の外側面に接着したままの状態にしておき、内容物の入れ換え作業を終了した後に、再度前記フィルム本体を前記内側の第1の粘着剤塗布部によって前記中間フィルムに接着固定するようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】登録実用新案第3025061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1で提案されている包装用フィルムにあっても、結局はその側縁部で容器から剥がすものであるため、剥がす際に容器を掴んで押さえておく必要があり、イチゴ等の損傷を防止できるものとはなっていない。
【0011】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、容器に収容された内容物がこぼれ落ちることを防止するために容器の開口部を覆う包装用フィルムであって、容器に収容された、表面が損傷し易いイチゴ等の果実を、損傷させることなく、容易に取り出すことを可能にした包装用フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明に係る包装用フィルムの構成は、
(1)フィルム本体と、前記フィルム本体の対向する一対の側縁部の裏面にそれぞれその側辺に沿って設けられた粘着剤塗布部とを備え、前記フィルム本体が、上面が開口した容器に前記上面を覆うようにして被せられ、前記粘着剤塗布部が前記容器の外側面に接着固定される包装用フィルムであって、前記フィルム本体は、それぞれの一方の側縁部の裏面に前記粘着剤塗布部が設けられた第1及び第2のフィルム本体部材からなり、前記第1及び第2のフィルム本体部材は、前記粘着剤塗布部が設けられていない他方の側縁部同士を重ね合わせた状態で、前記粘着剤塗布部の前記容器の外側面への接着力よりも小さい接着力で接着されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の包装用フィルムの上記(1)の構成によれば、フィルム本体は、それぞれの一方の側縁部の裏面に粘着剤塗布部が設けられた第1及び第2のフィルム本体部材からなっている。そして、前記第1及び第2のフィルム本体部材は、前記粘着剤塗布部が設けられていない他方の側縁部同士を重ね合わせた状態で、前記粘着剤塗布部の容器の外側面への接着力よりも小さい接着力で接着されている。このため、前記フィルム本体が、上面が開口した前記容器に前記上面を覆うようにして被せられ、前記粘着剤塗布部が前記容器の外側面に接着固定された状態で、前記第1のフィルム本体部材と前記第2のフィルム本体部材の重なり部において表側に来るフィルム本体部材を他方のフィルム本体部材から無理なく剥がすことができる(すなわち、内容物の重量も手伝って、内容物を損傷させない程度に前記容器の上面の縁部を軽く押さえておくだけで、表側に来るフィルム本体部材を他方のフィルム本体部材から剥がすことができる)。そして、これにより、前記容器の上面を開いて、前記容器に収容された内容物を取り出すことが可能となる。このように、前記表側に来るフィルム本体部材を前記他方のフィルム本体部材から無理なく剥がして、前記容器の上面を開くことができるので、前記容器に収容された、例えば、表面が損傷し易いイチゴ等の果実を、損傷させることなく、容易に取り出すことができる。
【0014】
本発明の包装用フィルムの上記(1)の構成においては、以下の(2)〜(4)のような構成にすることが好ましい。
【0015】
(2)前記フィルム本体は、矩形状に形成されている。
【0016】
(3)使用前の前記包装用フィルムにおいて、前記粘着剤塗布部上には剥離紙が貼り付けられている。
【0017】
(4)前記包装用フィルムは、使用前において、前記粘着剤塗布部が設けられた前記側縁が長辺となる長尺形状に形成され、棒状体に巻き回されたロール体であり、使用時において、前記側縁の長さが所定寸法になるように、前記側縁に直交する方向に切断される。ここで、所定寸法は、上面が開口した容器の上面を覆うことができる寸法である。
【0018】
(5)前記第1のフィルム本体部材と前記第2のフィルム本体部材の重なり部において、少なくとも表側に来るフィルム本体部材の側辺部分は、他方のフィルム本体部材に接着されていない非接着部となっている。
【0019】
上記(5)の好ましい構成によれば、表側に来るフィルム本体部材の側辺部分の角部を指で摘まんで手前に軽く引っ張ることにより、前記表側に来るフィルム本体部材を他方のフィルム本体部材から簡単に剥がすことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、容器に収容された内容物がこぼれ落ちることを防止するために容器の開口部を覆う包装用フィルムであって、容器に収容された、例えば、表面が損傷し易いイチゴ等の果実を、損傷させることなく、容易に取り出すことを可能にした包装用フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態における包装用フィルムの構成を示す表面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施の形態における包装用フィルムを分解して示した表面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施の形態における包装用フィルムにおいて、第1のフィルム本体部材を第2のフィルム本体部材から剥がしている状態を示す表面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施の形態における包装用フィルムの構成を示す裏面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施の形態の変形例における、使用前の包装用フィルムの構成を示す表面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施の形態における包装用フィルムの容器への装着状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、従来技術における包装用フィルムの構成を示す表面図である。
【
図8】
図8は、従来技術における包装用フィルムの構成を示す裏面図である。
【
図9】
図9は、従来技術における包装用フィルムの容器への装着状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、好適な実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施の形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
(包装用フィルムの構成)
まず、本発明の一実施の形態における包装用フィルムの構成について、
図1〜
図6を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態における包装用フィルムの構成を示す表面図、
図2は、当該包装用フィルムを分解して示した表面図、
図3は、当該包装用フィルムにおいて、第1のフィルム本体部材を第2のフィルム本体部材から剥がしている状態を示す表面図、
図4は、当該包装用フィルムの構成を示す裏面図、
図6は、当該包装用フィルムの容器への装着状態を示す斜視図である。尚、
図6においては、図面を見やすくするために、容器10を不透明なものとして描いているが、実際の容器10は透明又は半透明な材料からなっている。
【0025】
図1〜
図4に示すように、本実施の形態の包装用フィルム1は、矩形状のフィルム本体2と、フィルム本体2の対向する一対の側縁部の裏面にそれぞれその側辺に沿って設けられた粘着剤塗布部6、7とを備えている。使用前の包装用フィルム1においては、粘着剤塗布部6、7上にそれぞれ剥離紙8、9が貼り付けられている。この包装用フィルム1の容器への装着方法は、以下の通りである。
【0026】
すなわち、
図6に示すように、上面が開口したプラスチック製の略直方体状の容器10に内容物を収容した後、容器10に前記上面を覆うようにしてフィルム本体2を被せる。そして、
図4に示すように、粘着剤塗布部6、7上の剥離紙8、9を剥がし、粘着剤塗布部6、7を容器10の外側面に接着固定する(
図6参照)。
【0027】
図5は、本発明の一実施の形態の変形例における、使用前の包装用フィルム1の構成を示す表面図である。変形例は、上記実施形態とは、使用前において、粘着剤塗布部6、7が設けられた側縁が長辺となる長尺形状に形成され、棒状体1aに巻き回されたロール体である点が異なる。また、変形例では、粘着剤塗布部6、7上にそれぞれ剥離紙が貼り付けられていない。変形例における、包装用フィルム1の容器10(
図6参照)への装着方法は、まず、使用時において、側縁の長さが所定寸法になるように、側縁に直交する方向に延びる切断線1bで切断する。その後、容器10に上面を覆うようにしてフィルム本体2を被せ、粘着剤塗布部6、7を容器10の外側面に接着固定する。なお、切断したときの側縁の長さとなる所定寸法は、容器の上面を覆うことができる寸法であり、容器の大きさに応じた寸法とすることができる。また、予め所定寸法の間隔で、フィルム本体2に切断を容易にするミシン目を形成してもよい。変形例によれば、剥離紙を設けることなく、使用前の包装用フィルム1を流通することができる。
【0028】
フィルム本体2は、容器10の大きさ及び内容物の収容量に応じて必要な大きさの矩形状に成形される。
【0029】
図1〜
図4に示すように、フィルム本体2は、それぞれの一方の側縁部の裏面に粘着剤塗布部6、7が設けられた矩形状の第1及び第2のフィルム本体部材3、4からなっている。
【0030】
第1及び第2のフィルム本体部材3、4は、粘着剤塗布部6、7が設けられていない他方の側縁部同士を重ね合わせた状態で、接着部5により接着されている。ここで、接着部5は、第1及び第2のフィルム本体部材3、4の粘着剤塗布部6、7が設けられていない他方の側縁部において、その側辺の全長にわたって設けられている。
【0031】
接着部5は、長さが粘着剤塗布部6、7と同じで、幅が粘着剤塗布部6、7よりも小さくなるように形成されている。また、接着部5において、第1及び第2のフィルム本体部材3、4は、互いに、所定の幅(例えば、0.5〜2mm)で、熱溶着されている。なお、本実施形態では、第1及び第2のフィルム本体部材3、4の接着は、熱溶着に限らず、粘着剤により接着してもよい。また、接着部5の所定の幅は、粘着剤塗布部6、7の幅に比べて狭い。これにより、第1及び第2のフィルム本体部材3、4は、粘着剤塗布部6、7の容器10の外側面への接着力よりも小さい接着力で接着された状態となっている。
【0032】
本実施の形態の包装用フィルム1によれば、フィルム本体2は、それぞれの一方の側縁部の裏面に粘着剤塗布部6、7が設けられた第1及び第2のフィルム本体部材3、4からなっている。そして、第1及び第2のフィルム本体部材3、4は、粘着剤塗布部6、7が設けられていない他方の側縁部同士を重ね合わせた状態で、粘着剤塗布部6、7の容器10の外側面への接着力よりも小さい接着力で接着されている。このため、フィルム本体2が、上面が開口した略直方体状の容器10に前記上面を覆うようにして被せられ、粘着剤塗布部6、7が容器10の外側面に接着固定された状態で、第1のフィルム本体部材3と第2のフィルム本体部材4の重なり部において表側に来る第1のフィルム本体部材3を第2のフィルム本体部材4から無理なく剥がすことができる(すなわち、内容物の重量も手伝って、内容物を損傷させない程度に容器10の上面の縁部を軽く押さえておくだけで、表側に来る第1のフィルム本体部材3を第2のフィルム本体部材4から剥がすことができる)。そして、これにより、容器10の上面を開いて、容器10に収容された内容物を取り出すことが可能となる。このように、表側に来る第1のフィルム本体部材3を第2のフィルム本体部材4から無理なく剥がして、容器10の上面を開くことができるので、容器10に収容された、例えば、表面が損傷し易いイチゴ11等の果実を、損傷させることなく、容易に取り出すことができる。
【0033】
尚、本実施の形態の包装用フィルム1の接着部5において粘着剤を用いたい場合には、剥がした第1のフィルム本体部材3を、再度第2のフィルム本体部材4に接着することもできるので、特許文献1に開示された包装用フィルムの場合と同様に、容器の内容物の一部を入れ換える必要がある場合等にも対処することができる。
【0034】
第1のフィルム本体部材3と第2のフィルム本体部材4の重なり部において、表側に来る第1のフィルム本体部材3の側辺部分は、第2のフィルム本体部材4に接着されていない非接着部となっている。そして、この構成によれば、表側に来る第1のフィルム本体部材3の側辺部分(非接着部)の角部(
図3の矢印A、
図6の矢印B参照)を指で摘まんで手前に軽く引っ張ることにより、表側に来る第1のフィルム本体部材3を第2のフィルム本体部材4から簡単に剥がすことが可能となる。
図1〜
図3において、参照符号3aは第1のフィルム本体部材3の側辺を示している。尚、本実施の形態の包装用フィルム1においては、裏側に来る第2のフィルム本体部材4の側辺部分も、第1のフィルム本体部材3に接着されていない非接着部となっている。
【0035】
フィルム本体2(第1及び第2のフィルム本体部材3、4)の材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、二軸延伸ポリスチレンフィルム(OPS)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、PEとポリプロピレン(PP)との複合材料、ナイロン(NY)とPEとの複合材料等を用いることができる。
【0036】
粘着剤塗布部6、7に塗布される粘着剤としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム等のゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤等を用いることができる。また、接着部5において粘着剤を用いる場合、当該粘着剤として、粘着剤塗布部6、7に塗布される粘着剤と同様の材料を使用することができる。
【0037】
(包装用フィルムの使用方法)
次に、本発明の一実施の形態における包装用フィルムの使用方法について、包装する内容物がイチゴである場合を例に挙げて説明する。
【0038】
まず、
図6に示すように、上面が開口した略直方体状の容器10にイチゴ11を収容した後、容器10に前記上面を覆うようにしてフィルム本体2を被せる。そして、
図4に示すように、粘着剤塗布部6、7上の剥離紙8、9を剥がし、粘着剤塗布部6、7を容器10の外側面に接着固定する(
図6参照)。これにより、容器10に収容されたイチゴ11がこぼれ落ちることを防止することができる。
【0039】
次に、容器10に収容されたイチゴ11を取り出す場合には、フィルム本体2が、上面が開口した略直方体状の容器10に前記上面を覆うようにして被せられ、粘着剤塗布部6、7が容器10の外側面に接着固定された状態で、表側に来る第1のフィルム本体部材3の側辺部分(非接着部)の角部(
図3の矢印A、
図6の矢印B参照)を指で摘まんで手前に軽く引っ張る。第1のフィルム本体部材3と第2のフィルム本体部材4の重なり部において、第1及び第2のフィルム本体部材3、4は、粘着剤塗布部6、7の容器10の外側面への接着力よりも小さい接着力で接着された状態となっているので、当該引っ張り動作により、表側に来る第1のフィルム本体部材3を第2のフィルム本体部材4から無理なく剥がすことができる。そして、これにより、容器10の上面を開いて、容器10に収容されたイチゴ11を取り出すことが可能となる。このように、表側に来る第1のフィルム本体部材3を第2のフィルム本体部材4から無理なく剥がして、容器10の上面を開くことができるので、容器10に収容された、表面が損傷し易いイチゴ11を、損傷させることなく、容易に取り出すことができる。
【0040】
尚、上記実施の形態においては、矩形状のフィルム本体2を備えている場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。フィルム本体は、対向する一対の側縁部を有していれば、略楕円形状、多角形状等に成形されていてもよい。すなわち、フィルム本体は、容器10の形状に対応させて様々な形状に成形され得る。
【0041】
また、上記実施の形態において、第1及び第2のフィルム本体部材3、4が熱溶着された接着部5は、長さが粘着剤塗布部6、7と同じで、幅が粘着剤塗布部6、7よりも小さくなるように形成した。これにより、第1及び第2のフィルム本体部材3、4は、互いに、粘着剤塗布部6、7の容器10の外側面への接着力よりも小さい接着力で接着されている。しかしながら、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。例えば、接着部5において粘着剤を用いる場合、長さ及び幅が粘着剤塗布部6、7と同じになるように形成し、接着部5に塗布される粘着剤として、粘着剤塗布部6、7に塗布される粘着剤よりも粘着力の小さい粘着剤を用いることにより、第1及び第2のフィルム本体部材3、4が、粘着剤塗布部6、7の容器10の外側面への接着力よりも小さい接着力で接着された状態となるようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施の形態においては、第1のフィルム本体部材3と第2のフィルム本体部材4の重なり部において、表側に来る第1のフィルム本体部材3の側辺部分だけでなく、裏側に来る第2のフィルム本体部材4の側辺部分も、他方のフィルム本体部材に接着されていない非接着部となっている場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。第1のフィルム本体部材3と第2のフィルム本体部材4の重なり部において、少なくとも表側に来るフィルム本体部材の側辺部分が、他方のフィルム本体部材に接着されていない非接着部となっていればよい。
【0043】
また、上記実施の形態においては、第1及び第2のフィルム本体部材3、4を接着するための接着部5が第1及び第2のフィルム本体部材3、4の側縁部にその側辺の全長にわたって設けられている場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。例えば、接着部5は、第1及び第2のフィルム本体部材3、4の側縁部に、その側辺の少なくとも端部領域を除いて設けるようにしてもよい。そして、この構成によれば、必ずしも上記のような非接着部を設ける必要はない。
【0044】
また、上記実施の形態においては、第1及び第2のフィルム本体部材3、4を接着するための接着部5が、裏側に来る第2のフィルム本体部材4の側縁部の表面に設けられている場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。接着部5は、表側に来る第1のフィルム本体部材3の裏面に設けるようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施の形態においては、容器10に収容される内容物がイチゴ11等の果実である場合を例に挙げて説明したが、本発明の包装用フィルムは必ずしも果実用途に限定されるものではない。本発明の包装用フィルムは、例えば、椎茸等のキノコ類を包装するために用いることもできる。
【0046】
また、上記実施の形態においては、包装用フィルム1を装着する容器10がプラスチック製である場合を例に挙げて説明したが、本発明の包装用フィルムを装着する容器は必ずしもプラスチック製のものに限定されるものではない。本発明の包装用フィルムは、例えば、段ボール製の容器に装着することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、容器に収容された内容物がこぼれ落ちることを防止するために容器の開口部を覆う包装用フィルムであって、容器に収容された、表面が損傷し易いイチゴ等の果実を、損傷させることなく、容易に取り出すことを可能にした包装用フィルムを提供することができる。従って、本発明の包装用フィルムは、容器に収容された、表面が損傷し易いイチゴ等の果実を、包装するためのフィルムとして有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 包装用フィルム
2 フィルム本体
3 第1のフィルム本体部材
4 第2のフィルム本体部材
5 接着部
6、7 粘着剤塗布部
8、9 剥離紙
10 容器
11 イチゴ