(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、左右の足載せ部の間に逆U字状の断面が前後方向に延びるように形成されるカバー部材が設けられた構成を有するスクータ型車両においては、カバー部材の内部空間に種々の部品を収容することができる。
【0007】
このようなスクータ型車両において、本願発明者は、カバー部材の内部に設けられる部品のレイアウトの自由度を確保しつつ左右の足
載せ部の快適性の低下を抑制すべく、以下の左右の足載せカバー部およびカバー部材を含む構造を考えた。左右の足載せカバー部の各々は、足載せ部および側壁部を有する。足載せ部は車両左右方向に延びるように形成される。また、側壁部は足載せ部の内側縁部から上方に延びるように形成される。上記のカバー部材の下端部が左右の足載せカバー部の側壁部よりも外方に位置するように、カバー部材と左右の側壁部とが接続される。
【0008】
この場合、カバー部材の左右方向の大きさを左右の足載せ部の内側縁部間の距離よりも大きくすることができる。それにより、左右の足載せ部の間の距離を大きくすることなくカバー部材の内部に設けられる部品のレイアウトの自由度を確保することが可能になる。すなわち、カバー部材の内部に設けられる部品のレイアウトの自由度を確保しつつ左右の足載せ部の快適性の低下を抑制することができる。
【0009】
しかしながら、上記の構成を有するスクータ型車両を濡れた路面上で走行させたところ、路面から導かれる水が、カバー部材と左右の側壁部との接続部の隙間から左右の足載せ部の外面に流れ出る現象が起こった。
【0010】
本発明の目的は、部品のレイアウトの自由度を確保しつつ左右の足載せ部の快適性の低下を抑制しながら、左右の足載せ部の外面に路面から導かれる水が流れ出ることを抑制可能な鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明に係る鞍乗型車両は、シートおよび車体カバーを含む本体部と、シートよりも前方の本体部の部分に回転可能に設けられるフロントフォークと、フロントフォークの下端部に回転可能に支持される前輪とを備え、車体カバーは、シートよりも下方の位置で車両前後方向に延びる左右の足載せカバー部と、前輪よりも後方かつ左右の足載せカバー部よりも前方の位置で少なくとも一部が前輪に対向するインナーカバー部と、インナーカバー部よりも後方かつシートよりも前方の位置で左右の足載せカバー部の間の上方の空間を、上方および左右側方から取り囲むように設けられるトンネルカバー部とを含み、インナーカバー部の上端部は、トンネルカバー部の前端開口の上端よりも下方に位置し、トンネルカバー部は、左右の足載せカバー部よりも上方の位置で車両前後方向に延びる上部カバー部と、車両前後方向に延びるとともに上部カバー部の両側縁部から下方に延びる左右の側部カバー部とを含み、左右の足載せカバー部の各々は、車両左右方向に延びる足載せ部と、足載せ部の内側縁部から上方に延びる側壁部とを含み、左右の側部カバー部の下端部が左右の側壁部の外方に位置するように、左右の側部カバー部が左右の足載せカバー部にそれぞれ接続され、インナーカバー部は、前輪に対向する開口を有し、開口は、車両側面視で左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部の下方に位置するものである。
【0012】
その鞍乗型車両においては、インナーカバー部よりも後方かつシートよりも前方の位置で左右の足載せカバー部の間の上方の空間を、上方および左右側方から取り囲むようにトンネルカバー部が設けられる。トンネルカバー部においては、上部カバー部および左右の側部カバー部により取り囲まれる内部空間に種々の部品を収容することができる。また、左右の側部カバー部の下端部が左右の足載せカバー部の側壁部の外方に位置するように、左右の側部カバー部が左右の足載せカバー部にそれぞれ接続される。したがって、左右の足載せ部の位置を外方に移動させることなくトンネルカバー部の内部空間を大きくすることができる。それにより、トンネルカバー部の内部に設けられる部品のレイアウトの自由度を確保しつつ左右の足載せ部の快適性の低下を抑制することができる。
【0013】
本願発明者は、左右の側部カバー部の下端部が左右の足載せカバー部の側壁部の外方に位置するように、左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部とが接続された構成を有する鞍乗型車両を作製した。この鞍乗型車両は、上記のトンネルカバー部を備える。また、本願発明者は、作製した鞍乗型車両に、開口を有さないインナーカバー部を設けた。このようにして作製された鞍乗型車両を試験車両と呼ぶ。本願発明者が当該試験車両を濡れた路面上で走行させたところ、路面から導かれる水が、左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部の隙間から左右の足載せ部の外面に流れ出る現象が起こった。
【0014】
本願発明者は、鋭意研究の結果、上記の現象が以下のメカニズムに基づいて起きるという知見を得た。上記の試験車両が濡れた路面を走行する際には、前輪が路面の水を巻き上げ、前輪の後方に飛散させる。前輪から飛散された水は、前輪の回転方向の力を受けつつインナーカバー部の表面に付着する。付着した水は、インナーカバー部の表面を伝ってインナーカバー部の下方から上端部に向かうように流れる。
【0015】
この場合、インナーカバー部の上端部がトンネルカバー部の前端開口の上端よりも下方に位置すると、インナーカバー部の上端部に流れた水は前端開口からトンネルカバー部の内部に進入する。
【0016】
トンネルカバー部の内部に進入した水が左右の側部カバー部の内面に付着すると、付着した水は重力の影響により左右の側部カバー部の内面を伝って下方に流れる。下方に流れる水は、左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部に導かれる。接続部に導かれた水は、その接続部の隙間から左右の足載せ部の外面に流れ出る。
【0017】
そこで、本願発明者は、上記の知見に基づいて、インナーカバー部に
前輪に対向する開口が形成される構成を案出した。それにより、本願発明に係る鞍乗型車両が濡れた路面を走行する際には、前輪からインナーカバー部に向かって飛散する水がインナーカバー部の上端部まで到達することなく開口内に導かれる。さらに、インナーカバー部の開口は、車両側面視で左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部の下方に位置する構造とした。この場合、インナーカバー部の開口に導かれた水の多くは、接続部よりも下方の位置でインナーカバー部の後方に落下する。そのため、左右の側部カバー部の内面に水が付着しにくい。
【0018】
それにより、左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部に、前輪から飛散する水が導かれることが抑制される。したがって、部品のレイアウトの自由度を確保しつつ左右の足載せ部の快適性の低下を抑制しながら、路面から導かれる水が、左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部の隙間から左右の足載せ部の外面に流れ出ることが抑制される。
【0019】
(2)接続部は、前端部から後方かつ下方に延びる前接続部と、
前接続部の後端から後方かつ上方に延びる後接続部とを含み、インナーカバー部の開口は、前接続部よりも下方に位置してもよい。
【0020】
この場合、インナーカバー部の開口に導かれた水は、前接続部よりも下方の位置でインナーカバー部の後方に落下する。そのため、路面から導かれる水が前接続部の隙間から左右の足載せ部の外面に流れ出ることが抑制される。
【0021】
(3)インナーカバー部には、車両正面視で開口の上方に前ひさし部が設けられ、前ひさし部は、開口の上方の位置から前方かつ下方に向かって延びてもよい。
【0022】
この場合、インナーカバー部においては、前輪に対向する領域上で下方から上方に向かって流れる水が前ひさし部の内面により受け止められ、開口に導かれる。それにより、前輪から飛散する多くの水が左右の側部カバー部よりも下方の位置でインナーカバー部の後方に落下する。したがって、左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部に導かれる水の量をより低減することができる。その結果、路面から導かれる水が左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部の隙間から左右の足載せ部の外面に流れ出ることがより抑制される。
【0023】
(4)インナーカバー部には、車両正面視で開口の上方に後ひさし部が設けられ、後ひさし部は、開口の上方の位置から後方かつ下方に向かって延びてもよい。
【0024】
この場合、インナーカバー部の開口内に導かれる水が後ひさし部の内面を伝ってインナーカバー部の後方に落下する。それにより、インナーカバー部の開口から後方に導かれる水が、左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部よりも上方に飛散することが抑制される。したがって、左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部に導かれる水の量をより低減することができる。その結果、路面から導かれる水が左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部の隙間から左右の足載せ部の外面に流れ出ることがより抑制される。
【0025】
(5)鞍乗型車両は、フロントフォークに取り付けられるフロントフェンダをさらに備え、インナーカバー部の開口は、前輪に対向するように前輪の後方に位置しかつ車両側面視においてフロントフェンダの後部下端よりも下方に位置してもよい。
【0026】
それにより、フロントフェンダの大型化を抑制しつつ、フロントフェンダにより受け止めることができない水をインナーカバー部の開口に導くことができる。したがって、車両前部の大型化が抑制されるとともに、路面から導かれる水が左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部の隙間から左右の足載せ部の外面に流れ出ることが抑制される。
【0027】
(6)インナーカバー部の開口は、前輪の車軸よりも上方に位置してもよい。この場合、前輪から飛散する多くの水を開口内に導くことができる。それにより、左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部に導かれる水の量をより低減することができる。その結果、路面から導かれる水が左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部の隙間から左右の足載せ部の外面に流れ出ることがより抑制される。
【0028】
(7)本体部は、ヘッドパイプと、ヘッドパイプから下方に延びるダウンフレームとをさらに含み、インナーカバー部の少なくとも一部は、前輪とダウンフレームとの間に位置し、インナーカバー部は前面および背面を有し、インナーカバー部の背面に上下方向に延びる凹状部が形成されるとともにインナーカバー部の前面に凹状部に対応する凸状部が形成され、インナーカバー部の開口は、凸状部よりも下方に位置してもよい。
【0029】
この場合、ダウンフレームの一部とインナーカバー部の背面の凹状部との間にクリアランスを設けつつインナーカバー部をより後方に配置することができる。したがって、インナーカバー部の前面と前輪との間に大きな空間を確保することができる。それにより、フロントフォークおよび前輪の回転可能な領域を大きくすることができるので、車両前部の大型化を抑制することができる。
【0030】
また、インナーカバー部の開口がインナーカバー部の前面に形成される凸状部よりも下方に位置するので、インナーカバー部の前面で受け止められた水が、上記の凸状部まで到達することなく開口内に導かれる。それにより、インナーカバー部の前面で受け止められた水が、凸状部に衝突することにより再度飛散することが抑制される。
【0031】
これらの結果、車両前部の大型化が抑制されるとともに、路面から導かれる水が左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部の隙間から左右の足載せ部の外面に流れ出ることが抑制される。
【0032】
(8)側壁部は、足載せ部の内側縁部から上方に延びる第1の部分と、第1の部分の上端部から内方かつ下方に延びる第2の部分と、第2の部分の下端部から上方に延びる第3の部分とを有し、第2の部分および第3の部分により、車両前後方向に延びる溝部が形成され、左右の側部カバー部の下端部は、左右の足載せカバー部の溝部の上方に配置されてもよい。
【0033】
それにより、路面から導かれる水が左右の側部カバー部の内面を伝って下方に流れる場合でも、左右の側部カバー部の下端部から流れ落ちる水が溝部により受け止められる。したがって、左右の側部カバー部の内面を伝って下方に流れ落ちる水が、左右の側部カバー部と左右の足載せカバー部との接続部の隙間を通して足載せ部の外面に流れ出ることが抑制される。
【0034】
(9)溝部は、前方から後方かつ下方に向かって傾斜するように形成され、溝部の下端部には、溝部により受け止められる水を左右の足載せカバー部の内方に排出する排出孔が形成されてもよい。
【0035】
この場合、溝部により受け止められた水が、前方から後方かつ下方に向かって流れた後、排出孔を通して左右の足載せカバー部の内方に排出される。それにより、溝部に導かれる水が溝部から溢れない。その結果、溝部に導かれる水が足載せ部の外面に流れ出ることが抑制される。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、部品のレイアウトの自由度を確保しつつ左右の足載せ部の快適性の低下を抑制しながら、左右の足載せ部の外面に路面から導かれる水が流れ出ることを抑制することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施の形態に係る鞍乗型車両について図面を用いて説明する。以下の説明においては、鞍乗型車両の一例として自動二輪車を説明する。
【0039】
[1]自動二輪車の概略構成
図1は本発明の一実施の形態に係る自動二輪車を示す一方側面図であり、
図2は
図1の自動二輪車100を前方から見た正面図である。
【0040】
図1および
図2では、自動二輪車100が路面に対して垂直に起立した状態が示される。
図1および
図2以降の各図においては、自動二輪車100の前後方向L、左右方向Wおよび上下方向Hが矢印で示される。以下の説明では、前後方向Lにおいて矢印が向かう方向を前方と呼び、その逆の方向を後方と呼ぶ。また、左右方向Wにおいて矢印が向かう方向を左側方と呼び、その逆の方向を右側方と呼ぶ。また、上下方向Hにおいて矢印が向かう方向を上方と呼び、その逆の方向を下方と呼ぶ。また、各図においては、前方、後方、左側方、右側方、上方および下方が、それぞれ符号FO,BA,LE,RI,UP,LOで示される。
【0041】
図1に示すように、自動二輪車100は車体フレーム10を備える。
図3(a)は
図1の車体フレーム10を上方から見た平面図であり、
図3(b)は
図1の車体フレーム10を左側方から見た側面図である。
図1および
図3(a),(b)に示すように、車体フレーム10は、ヘッドパイプ11、ダウンフレーム12、左右の上部フレーム13および左右の下部フレーム14を含む。車体フレーム10を構成する複数のフレーム部材(ヘッドパイプ11、ダウンフレーム12、左右の上部フレーム13および左右の下部フレーム14)は、それぞれ管形状を有する。また、これらのフレーム部材は、互いに溶接により接続される。
【0042】
ヘッドパイプ11は、後方から前方かつ下方に向かって傾斜するように設けられる。ダウンフレーム12は、ヘッドパイプ11の略中央部から下方に向かって延びる。左右の上部フレーム13は、ダウンフレーム12の略中央部から左右方向Wに広がりつつ後方に向かって水平に延び、さらに後方かつ上方に向かって湾曲する。
【0043】
左の下部フレーム14は、ダウンフレーム12の下部から左側方かつ下方に向かって延びるとともに後方に向かって湾曲し、さらに左の上部フレーム13に向かって後方かつ上方に延びる。右の下部フレーム14は、ダウンフレーム12の下部から右側方かつ下方に向かって延びるとともに後方に向かって湾曲し、さらに右の上部フレーム13に向かって後方かつ上方に延びる。左右の下部フレーム14の後端部は、それぞれ左右の上部フレーム13に接続される。
【0044】
図3(a),(b)に示すように、左の上部フレーム13の左側方に向かう面および右の上部フレーム13の右側方に向かう面には、それぞれカバー固定部13aが設けられる。
【0045】
左右の下部フレーム14の下端部よりもやや後方の位置には、左右の下部フレーム14の互いに対向する部分をつなぐように帯状の連結板15が設けられる。連結板15の中央部には、連結板15から後方に突出するように下部カバー支持片16が取り付けられる。
【0046】
左の下部フレーム14の前端部近傍には、左の下部フレーム14から左斜め前方かつ上方に向かって突出するようにカバー固定部14aが設けられる。また、右の下部フレーム14の前端部近傍には、右の下部フレーム14から右斜め前方かつ上方に向かって突出するようにカバー固定部14aが設けられる。
【0047】
また、左の下部フレーム14における連結板15よりも後方の位置には、左側方に突出するように、カバー固定部14bが設けられる。また、右の下部フレーム14における連結板15よりも後方の位置には、右側方に突出するように、カバー固定部14bが設けられる。さらに、
図3(b)に示すように、ダウンフレーム12の前方に向かう表面上にはフック19fが設けられる。
【0048】
図1に示すように、フロントフォーク2は、車体フレーム10に左右方向Wに回転可能に支持される。車体フレーム10のヘッドパイプ11に、フロントフォーク2が左右方向Wに回転可能に設けられる。フロントフォーク2の下端部に前輪FWが回転可能に支持される。また、フロントフォーク2には、フロントフェンダ2Fが設けられる。さらに、フロントフォーク2の上端部には、左右のハンドル3が設けられる。
【0049】
スイングアームユニット4は、車体フレーム10に、上下方向Hに揺動可能に支持される。左右の下部フレーム14(
図3)の後部に、スイングアームユニット4が上下方向Hに揺動可能に支持される。スイングアームユニット4は、エンジン、変速機構およびスイングアームを含む。スイングアームユニット4の後端部に後輪BWが回転可能に支持される。後輪BWは、スイングアームユニット4のエンジンから発生される動力により回転される。スイングアームユニット4の上方でシート6が左右の上部フレーム13(
図3)により支持される。
【0050】
フロントフォーク2の一部および車体フレーム10を覆うように樹脂製の車体カバー5が設けられる。本実施の形態では、車体フレーム10、車体カバー5、シート6、スイングアームユニット4および後輪BWにより車両本体部1が構成される。
【0051】
車体カバー5は、前部カバーFC、インナーカバー20、トンネルカバーTC、左右のサイドカバー50L,50R、左右のフットレストカバー60L,60R、下部カバー70および後部カバーBCを含む。
図2に示すように、左右のサイドカバー50L,50Rは、車両の中心を通る鉛直面に関して対称に配置される。また、左右のフットレストカバー60L,60Rも、例えば車両の中心を通る鉛直面に関して対称に配置される。
【0052】
前部カバーFCは、主としてフロントフォーク2の上部およびヘッドパイプ11を取り囲むように設けられる。後部カバーBCは、左右の上部フレーム13の後部を取り囲むように設けられる。後部カバーBCは、シート6の両側縁部および後端縁部から下方に延びる。
【0053】
図1および
図2に示すように、前部カバーFCの下方かつ前輪FWよりも後方の位置には、インナーカバー20が設けられる。インナーカバー20は前輪FWに対向する。左右方向Wにおけるインナーカバー20の中央部は前輪FWに対向する。インナーカバー20の両側縁部から後方に延びるように左右のサイドカバー50L,50Rが設けられる。左右のサイドカバー50L,50Rには、前後方向Lに延びるように左右のフットレストカバー60L,60Rがそれぞれ接続される。
【0054】
図1に示すように、左右のフットレストカバー60L,60Rの各々は、シート6よりも下方に位置する。また、左右のフットレストカバー60L,60Rの各々の少なくとも一部は、インナーカバー20よりも後方に位置する。さらに、各フットレストカバー60L,60Rは足載せ部62を有する。
【0055】
少なくとも一部がインナーカバー20よりも後方かつシート6よりも前方に位置するようにトンネルカバーTCが設けられる。トンネルカバーTCは、左右のフットレストカバー60L,60Rの間の上方の空間を上方および左右側方から取り囲む。トンネルカバーTCは、上部カバー30および左右の側部カバー40L,40Rを含む。左右の側部カバー40L,40Rは、車両の中心を通る鉛直面に関して対称に配置される。なお、右の側部カバー40Rは後述する
図14に示される。
【0056】
上部カバー30は、左右のフットレストカバー60L,60Rよりも上方に設けられる。上部カバー30は、前後方向Lに延びる。左右の側部カバー40L,40Rは、前後方向Lに延びるとともに上部カバー30の左右の側縁部32(後述する
図5(a)参照)から下方に延びる。上部カバー30および左右の側部カバー40L,40Rの前端部41(後述する
図6(a),(b)参照)により、
図2に太い点線で示すように、トンネルカバーTCの前端開口FFOが形成される。インナーカバー20の上端部は、トンネルカバーTCの前端開口FFOの上端よりも前方かつ下方に位置する。
【0057】
[2]車体カバー5の各部の構成および組み立て手順
(2−1)インナーカバー20
図4(a)は
図1のインナーカバー20を前方から見た正面図であり、
図4(b)は
図1のインナーカバー20を左側方から見た側面図である。
図4(a)に示すように、インナーカバー20は車両正面視で逆台形状を有する。また、
図4(a),(b)に示すように、インナーカバー20は、左右方向Wにおけるインナーカバー20の両端部が中央部よりも前方に位置するように湾曲している。
【0058】
インナーカバー20は、前面20Aおよび背面20Bを有する。インナーカバー20が
図1の車両本体部1に設けられた状態で、左右方向Wにおけるインナーカバー20の前面20Aの中央部は前輪FWに対向する。インナーカバー20の前面20Aの中央部には、下方から上方に向かって水受部21、開口22、凸状部24bおよび貫通孔25がこの順で形成されている。インナーカバー20の前面20Aのうち前輪FWに対向する部分には、下方から上方に向かって水受部21、開口22、凸状部24bおよび貫通孔25がこの順で形成されている。
【0059】
水受部21は、前方に向かうとともに上下方向Hに緩やかに湾曲する表面を有する。開口22は水受部21の上端部に形成される。インナーカバー20の前方の空間とインナーカバー20の後方の空間とが開口22を通してつながる。
【0060】
開口22の上端部には、前方かつ下方に延びるように前ひさし部23a(
図4(a))が一体成形されている。また、開口22の上端部には、後方かつ下方に延びるように後ひさし部23b(
図4(b))が一体成形されている。
【0061】
凸状部24bは、インナーカバー20の背面20Bに形成される
図4(b)の凹状部24aに対応して設けられる。凹状部24aは、上下方向Hに延びるように形成される。凹状部24aの機能については後述する。貫通孔25は、
図3(b)のダウンフレーム12に設けられるフック19fを挿入可能に形成される。
【0062】
水受部21の左右には、それぞれ気体導入部28が形成されている。各気体導入部28は、開口部に複数の板状部材が取り付けられた構成を有する。
図2に示すように、左右の気体導入部28は、自動二輪車100を前方から見た場合に前輪FWの左右に位置する。自動二輪車100が路面を走行する際には、前方から流れる空気が気体導入部28を通して車両本体部1の内部に導かれる。それにより、車体カバー5の内部に設けられる部品(例えば図示しないラジエータ等)が冷却される。
【0063】
図4(a),(b)に示すように、インナーカバー20の両側縁部の近傍には、下方から上方に向かって複数(本例では5つ)の接続部29が形成されている。複数の接続部29には貫通孔が形成されている。
【0064】
(2−2)上部カバー30
図5(a)は
図1の上部カバー30を上方から見た平面図であり、
図5(b)は
図1の上部カバー30を左側方から見た側面図である。
図5(a)に示すように、上部カバー30は前縁部31、左右の側縁部32および後縁部33を有する。前縁部31は、左右方向Wにおける両端部が中央部よりも前方に位置するように湾曲している。後縁部33は、
図1のシート6の前端部に干渉しないように、後方に向かって凹状に形成されている。左右の側縁部32の近傍には、矩形状を有する複数の接続孔39が形成されている。
【0065】
図5(a),(b)に示すように、上部カバー30の左右の側縁部32の前端にはそれぞれ接続部34が設けられている。また、上部カバー30の左右の側縁部32の後端にはそれぞれ接続部35が設けられている。接続部34,35には、それぞれ貫通孔が形成されている。
【0066】
(2−3)側部カバー40L,40R
図6(a)は
図1の左の側部カバー40Lを上方から見た平面図であり、
図6(b)は
図1の左の側部カバー40Lを左側方から見た側面図である。
図6(a),(b)に示すように、左の側部カバー40Lは上下に湾曲しつつ前後方向Lに延びる帯状部材である。
【0067】
左の側部カバー40Lの前端部41には、上下に並ぶように2つの接続部41a,41bが形成されている。左の側部カバー40Lの後端部42には1つの接続部42aが形成されている。接続部41a,41b,42aには、それぞれ貫通孔が形成されている。
【0068】
また、
図6(a)に示すように、左の側部カバー40Lの内面には、前端部41から後端部42にかけて複数(本例では4つ)の取り付け片43a,43b,43c,43dが設けられている。4つの取り付け片43a〜43dは、それぞれ棒形状を有し、内方(右側方)に向かって突出する。さらに、左の側部カバー40Lの上縁の内側には、複数のリブ(図示せず)が形成されている。複数のリブは、
図5(a),(b)の複数の接続孔39に嵌め込み可能に形成されている。
【0069】
右の側部カバー40Rは、上下方向Hおよび前後方向Lに平行な鉛直面に関して左の側部カバー40Lに対称な構造を有する。
【0070】
(2−4)サイドカバー50L,50R
図7(a)は
図1の左のサイドカバー50Lを上方から見た平面図であり、
図7(b)は
図1の左のサイドカバー50Lを左側方から見た側面図である。
図7(b)に示すように、左のサイドカバー50Lは、前縁部51、上縁部52および下縁部53を有する。
【0071】
前縁部51は、下方から前方かつ上方に向かって傾斜するように形成されている。上縁部52は、前縁部51の上端部から後方かつ下方に向かって傾斜するように形成されている。下縁部53は、前縁部51の下端部と上縁部52の後端部とをつなぐように略前後方向Lに延びる。
【0072】
図7(a)に示すように、左のサイドカバー50Lの内面には、前縁部51の近傍に複数(本例では4つ)の接続片51a,51b,51c,51dが設けられている。4つの接続片51a〜51dは、それぞれ内方(右側方)に向かって突出する。
【0073】
上縁部52には、複数(本例では3つ)の支持片52a,52b,52cが設けられている。3つの支持片52a〜52cは、それぞれ内方(右側方)に向かって突出する。また、下縁部53には、複数(本例では2つ)の接続部53a,53bが設けられている。接続部53a,53bには、それぞれ貫通孔が形成されている。
【0074】
右のサイドカバー50Rは、上下方向Hおよび前後方向Lに平行な鉛直面に関して左のサイドカバー50Lに対称な構造を有する。
【0075】
(2−5)フットレストカバー60L,60R
図8(a)は
図1の左のフットレストカバー60Lを上方から見た平面図であり、
図8(b)は
図1の左のフットレストカバー60Lを左側方から見た側面図である。
図8(a),(b)に示すように、左のフットレストカバー60Lは、足載せ部62および側壁部61を有する。足載せ部62は、前足載せ部62xおよび後足載せ部62yを含む。前足載せ部62xおよび後足載せ部62yは、それぞれ乗員の足を載置可能に構成される。
【0076】
前足載せ部62xは、左右方向Wに延びるようにかつ前方から後方かつ下方に向かって傾斜するように形成されている。前足載せ部62xには、複数(本例では3つ)の接続部62a,62b,62cが形成されている。前足載せ部62xの外側縁部には、略一定幅で下方に延びるようにサイドカバー嵌め込み部63が形成されている。本実施の形態では、足載せ部62のうち、乗員の足を載置可能な外表面(上方に向かう面)の部分を足載せ部62の外面と呼ぶ。
【0077】
後足載せ部62yは、左右方向Wに延びるようにかつ前足載せ部62xの後端部から後方かつ上方に向かって延びるように形成されている。後足載せ部62yには、複数(本例では2つ)の接続部62d,62eが形成されている。接続部62a〜62eには、それぞれ貫通孔が形成されている。
【0078】
側壁部61は、足載せ部62の内側縁部から上方に延びるように形成されている。側壁部61の上端部からさらに上方に突出するように複数(本例では6つ)の接続部64a,64b,64c,64d,64e,64fが形成されている。接続部64a〜64fにはそれぞれ貫通孔が形成されている。接続部64a〜64fのうち接続部64b,64c,64d,64eは、前後方向Lの長さが上下方向Hの長さよりも大きい長孔である。接続部64b,64c,64d,64eの長孔にはゴム製のグロメットが取り付けられている。
【0079】
右のフットレストカバー60Rは、上下方向Hおよび前後方向Lに平行な鉛直面に関して左のフットレストカバー60Lに対称な構造を有する。
【0080】
(2−6)下部カバー70
図9(a)は
図1の下部カバー70を上方から見た平面図であり、
図9(b)は
図1の下部カバー70を左側方から見た側面図である。
図9(a)に示すように、下部カバー70は、前方から後方に向かって漸次幅広となる板状部材である。また、下部カバー70は、左右方向Wにおける下部カバー70の中央部が両端部よりも下方に位置するように湾曲している。
【0081】
下部カバー70の左右の側縁部72の近傍には、複数(本例では9つ)の接続部73が形成されている。それらの接続部73には、それぞれ貫通孔が形成されている。また、下部カバー70の略中央部には、上方に向かう突出部71aが形成されている。突出部71aには、支持片差込孔71bが形成されている。支持片差込孔71bは、
図3の下部カバー支持片16を挿入可能に形成される。
【0082】
(2−7)車体カバー5の組み立て手順
図10〜
図15は、
図1の車体カバー5の組み立て手順を示す外観斜視図である。以下の説明では、初期状態で
図1の車体フレーム10に、前部カバーFC、左右のハンドル3、シート6、および後部カバーBCが取り付けられているものとする。
【0083】
まず、
図10に示すように、車体フレーム10の前端部分にインナーカバー20が取り付けられる。この取り付け時には、
図3(b)のフック19fが
図4の貫通孔25に挿入される。
【0084】
次に、
図11に示すように、前部カバーFCとシート6との間に上方から上部カバー30が取り付けられる。この取り付け時には、
図5(a),(b)の上部カバー30の2つの接続部34が前部カバーFCにねじを用いて接続される。また、
図5(a),(b)の上部カバー30の2つの接続部35が後部カバーBCにねじを用いて接続される。それにより、上部カバー30が前部カバーFCおよび後部カバーBCに固定される。
【0085】
次に、左のサイドカバー50Lおよび左のフットレストカバー60Lが接続される。この接続時には、
図8(b)の左のフットレストカバー60Lのサイドカバー嵌め込み部63に
図7の左のサイドカバー50Lの上縁部52が嵌め込まれる。それにより、
図7(a)の3つの支持片52a,52b,52cの上部に
図8(a)の接続部62a,62c,62dの貫通孔がそれぞれ重なる。この状態で、接続部62a,62c,62dの貫通孔にねじが挿入され、それらのねじが支持片52a,52b,52cに取り付けられる。このようにして、左のサイドカバー50Lおよび左のフットレストカバー60Lが互いに接続される。
【0086】
右のサイドカバー50Rおよび右のフットレストカバー60Rも、左のサイドカバー50Lおよび左のフットレストカバー60Lと同様の手順で接続される。
【0087】
次に、
図12に示すように、車体フレーム10の左の側部に左のサイドカバー50Lおよび左のフットレストカバー60Lが取り付けられる。具体的には、
図8(a),(b)の左のフットレストカバー60Lの接続部62b,62eが
図3(a),(b)の車体フレーム10のカバー固定部14a,14bにそれぞれ重なるように位置決めされる。この状態で、接続部62b,62eの貫通孔にねじが挿入され、それらのねじがカバー固定部14a,14bに取り付けられる。
【0088】
このとき、
図8(a),(b)の左のフットレストカバー60Lの接続部64fが
図3(a),(b)の車体フレーム10のカバー固定部13aに重なる。そこで、接続部64fとカバー固定部13aとがねじを用いて接続される。このようにして、車体フレーム10に左のサイドカバー50Lおよび左のフットレストカバー60Lが固定される。
【0089】
右のサイドカバー50Rおよび右のフットレストカバー60Rも、左のサイドカバー50Lおよび左のフットレストカバー60Lと同様の手順で車体フレーム10の右の側部に取り付けられる。
【0090】
次に、
図13に示すように、車体フレーム10の下部に下方から下部カバー70が取り付けられる。この取り付け時には、
図3(a),(b)の下部カバー支持片16が
図9(a),(b)の支持片差込孔71bに挿入される。それにより、下部カバー支持片16が車体フレーム10に支持される。
【0091】
また、
図9(a),(b)の下部カバー70の複数の接続部73のうちの一部が、左右のサイドカバー50L,50Rの接続部53a,53b(
図7(a),(b)参照)に接続される。また、複数の接続部73のうちの残りが、左右のフットレストカバー60L,60Rの下部に接続される。
【0092】
次に、
図4(a),(b)の複数の接続部29が
図7(a)の複数の接続片51a〜51dのいずれかに重なるように、インナーカバー20が位置決めされる。この状態で、複数の接続部29の貫通孔にねじが挿入され、挿入されたねじがそれぞれ複数の接続片51a〜51dに取り付けられる。それにより、インナーカバー20が左右のサイドカバー50L,50Rに固定される。
【0093】
最後に、
図14に示すように、上部カバー30と左のフットレストカバー60Lとの間の開口を塞ぐように、上部カバー30および左のフットレストカバー60Lに左の側部カバー40Lが取り付けられる。
【0094】
この取り付け時には、
図6(a)の取り付け片43a〜43dが
図8(b)の接続部64b〜64eの貫通孔(長孔)にそれぞれグロメットを介して嵌め込まれる。また、左の側部カバー40Lの上縁の内側に形成された複数のリブ(図示せず)が
図5(a),(b)の複数の接続孔39に嵌め込まれる。また、
図6(a),(b)の接続部41bと
図8(a),(b)の接続部64aとがねじを用いて接続される。また、
図6(a),(b)の接続部41aが前部カバーFCにねじを用いて接続される。さらに、
図6(a),(b)の接続部42aが後部カバーBCにねじを用いて接続される。
【0095】
右の側部カバー40Rも、左の側部カバー40Lと同様の手順で上部カバー30および右のフットレストカバー60Rに取り付けられる。その結果、
図15に示すように、車体カバー5が完成する。この状態で、左右の側部カバー40L,40Rの下端部は、それぞれ左右のフットレストカバー60L,60Rの側壁部61の外方に位置する。
【0096】
[3]トンネルカバーTCにより得られる効果
本実施の形態に係る自動二輪車100にはトンネルカバーTCが設けられる。トンネルカバーTCは、左右のフットレストカバー60L,60Rの間の上方の空間を上方および左右側方から取り囲む。トンネルカバーTCの内部には種々の部品(例えば上記の左右の上部フレーム13および図示しない燃料タンク等)を収容することができる。また、上記のように左右の側部カバー40L,40Rの下端部は、それぞれ左右のフットレストカバー60L,60Rの側壁部61の外方に位置する。したがって、左右のフットレストカバー60L,60Rの足載せ部62の位置を外方に移動させることなくトンネルカバーTCの内部空間を大きくすることができる。それにより、トンネルカバーTCの内部に設けられる部品のレイアウトの自由度を確保しつつ左右の足載せ部62を適切な位置に配置することができる。
【0097】
また、上記のトンネルカバーTCによれば、車体カバー5の組み立て時に左右の側部カバー40L,40Rが最後に組み立てられる。それにより、乗員は、左右の側部カバー40L,40Rを容易に着脱することができる。左右の側部カバー40L,40Rが取り外されることにより、上部カバー30と左右のフットレストカバー60L,60Rとの間の開口を通してトンネルカバーTCの内部を視認することができる。したがって、車両本体部1のメンテナンスが容易になる。
【0098】
[4]路面から導かれる水が左右の足載せ部に流れるメカニズム
ここで、自動二輪車100が濡れた路面を走行する際には、路面から導かれる水が左右の側部カバー40L,40Rと左右のフットレストカバー60L,60Rとの接続部の隙間から左右の側壁部61の外面(外方に向かう面)を伝って左右の足載せ部62の外面に流れ出る場合がある。この場合、自動二輪車100の走行中に乗員の足が汚れる。この現象は以下のメカニズムにより起きる。
【0099】
自動二輪車100が濡れた路面を走行する際には、前輪FWが路面の水を巻き上げ、前輪FWの後方に飛散させる。前輪FWから飛散される水は、前輪FWの回転方向の力を受けつつインナーカバー20の表面に付着する。付着する水は、インナーカバー20の表面を伝ってインナーカバー20の下方から上端部に向かうように流れる。
【0100】
この場合、インナーカバー20の上端部がトンネルカバーTCの前端開口FFO(
図2)の上端よりも下方に位置すると、インナーカバー20の上端部に流れる水は前端開口FFOからトンネルカバーTCの内部に進入する。
【0101】
トンネルカバーTCの内部に進入する水が左右の側部カバー40L,40Rの内面に付着すると、付着する水は重力の影響により左右の側部カバー40L,40Rの内面を伝って下方に流れる。下方に流れる水は、左右の側部カバー40L,40Rと左右のフットレストカバー60L,60Rとの接続部に導かれる。左右の接続部に導かれる水は、それらの接続部の隙間から左右の側壁部61の外面を伝って左右の足載せ部62の外面に流れ出る。
【0102】
上記のメカニズムによれば、インナーカバー20の上端部からトンネルカバーTCの前端開口FFOに進入する水の量を低減することにより、上記の左右の接続部の隙間から左右の足載せ部62に水が流れ出ることを抑制可能であることがわかる。
【0103】
そこで、本実施の形態に係る自動二輪車100においては、インナーカバー20に前輪FWに対向する開口22が形成される。
【0104】
[5]インナーカバー20により得られる効果
図16は、
図1の自動二輪車100の一部拡大側面図である。
図16では、
図1の自動二輪車100の前部を左側方から見た側面図が示される。また、
図16ではインナーカバー20が太い点線で示される。さらに、
図16では、左の側部カバー40Lと左のフットレストカバー60Lとの接続部Jが太い実線で示される。接続部Jは、前接続部J1および後接続部J2を含む。
【0105】
図16に示すように、インナーカバー20の開口22は、左右の接続部Jの部分h1よりも下方に位置する。左右の接続部Jの部分h1は、前後方向Lにおける開口22の位置に対応する。すなわち、開口22は、車両側面視で左右の接続部Jの下方に位置する。
【0106】
上記のインナーカバー20を備える自動二輪車100が濡れた路面を走行する際には、前輪FWが路面の水を巻き上げ、前輪FWの後方に飛散させる。前輪FWから飛散される水は、前輪FWの回転方向の力を受けつつインナーカバー20の水受部21に付着する。付着する水は、
図16に白抜きの点線矢印で示すように、インナーカバー20の水受部21で下方から上方に向かって流れる。水受部21で下方から上方に向かって流れる水は、インナーカバー20の上端部まで到達することなく開口22内に導かれる。
【0107】
この場合、開口22は車両側面視で左右の接続部Jの下方に位置するので、開口22に導かれる水の多くは、左右の接続部Jの下方の位置でインナーカバー20の後方に落下する。そのため、インナーカバー20の上端部からトンネルカバーTCの前端開口FFOに進入する水の量が低減されるので、左右の側部カバー40L,40Rの内面に水が付着しにくい。
【0108】
それにより、左右の接続部Jに前輪FWから飛散する水が導かれることが抑制される。したがって、左右の接続部Jの隙間から左右の足載せ部62の外面に水が流れ出ることが抑制される。その結果、自動二輪車100の走行中に、路面から導かれる水により乗員の足が汚れることが抑制される。
【0109】
図16に示すように、左右の前接続部J1は、左右の側部カバー40L,40Rの前端から後方かつ下方に延びる。また、左右の後接続部J2は、左右の前接続部J1の後端から後方かつ上方に延びる。このような構成において、インナーカバー20の開口22は、左右の前接続部J1よりも下方に位置することが好ましい。
【0110】
この場合、路面からインナーカバー20の開口22に導かれる水は、左右の前接続部J1よりも下方の位置でインナーカバー20の後方に落下する。そのため、左右の前接続部J1の隙間から左右の足載せ部62の外面に水が流れ出ることが抑制される。
【0111】
インナーカバー20の開口22は、さらに左右の接続部Jの下端部h2よりも下方に位置することが好ましい。この場合、路面からインナーカバー20の開口22に導かれる水は、左右の接続部Jの下端部h2よりも下方の位置でインナーカバー20の後方に落下する。それにより、左右の接続部Jの隙間から左右の足載せ部62の外面に水が流れ出ることが抑制される。
【0112】
上記のように、インナーカバー20の開口22の上端部には、前方かつ下方に延びるように前ひさし部23aが形成されている。この場合、水受部21で下方から上方に向かって流れる水は、前ひさし部23aの内面により受け止められ、開口22に導かれる。それにより、水受部21で下方から上方に向かって流れるより多くの水が開口22に導かれる。
【0113】
また、インナーカバー20の開口22の上端部には、後方かつ下方に延びるように後ひさし部23bが形成されている。この場合、路面からインナーカバー20の開口22に導かれる水は、後ひさし部23bの内面を伝ってインナーカバー20の後方に落下する。それにより、インナーカバー20の開口22から後方に導かれる水が左右の接続部Jよりも上方に飛散することが抑制される。これらより、左右の接続部Jに導かれる水の量をより低減することができるので、左右の接続部Jの隙間から水が流れ出ることがより抑制される。
【0114】
図16に示すように、インナーカバー20の開口22は、車両側面視においてフロントフェンダ2Fの後部下端h3よりも下方に位置することが好ましい。この場合、フロントフェンダ2Fの大型化を抑制しつつ、フロントフェンダ2Fにより受け止めることができない水をインナーカバー20の開口22に導くことができる。それにより、車両前部の大型化が抑制されるとともに、左右の接続部Jの隙間から水が流れ出ることが抑制される。
【0115】
また、インナーカバー20の開口22は、前輪FWの車軸h4よりも上方に位置することが好ましい。この場合、前輪FWから飛散する多くの水を開口22内に導くことができる。それにより、左右の接続部Jに導かれる水の量をより低減することができる。その結果、左右の接続部Jの隙間から水が流れ出ることがより抑制される。
【0116】
図17は、自動二輪車100を
図2のK−K線を含む鉛直面で切断した場合の切断部端面図である。
図17では、主としてヘッドパイプ11、ダウンフレーム12およびインナーカバー20の端面が示される。
図18は、ダウンフレーム12およびインナーカバー20を
図17のU−U線を含む水平面で切断した場合の切断部端面図である。
【0117】
図4(a),(b)、
図17および
図18に示すように、インナーカバー20の背面20Bには、ダウンフレーム12の下部前面に対向する位置に、上下方向Hに延びる凹状部24aが形成される。この場合、ダウンフレーム12と凹状部24aとの間にクリアランスを設けつつインナーカバー20をより後方に配置することができる。したがって、インナーカバー20の前面20Aと前輪FWとの間に大きな空間を確保することができる。それにより、
図1のフロントフォーク2および前輪FWの回転可能な領域を大きくすることができるので、車両前部の大型化を抑制することができる。
【0118】
また、インナーカバー20の開口22は、前面20Aに形成される凸状部24bよりも下方に位置する。それにより、自動二輪車100が濡れた路面を走行する際に、水受部21で下方から上方に向かって流れる水が凸状部24bまで到達することなく開口22内に導かれる。それにより、水受部21で受け止められた水が、凸状部24bに衝突することによりインナーカバー20の上端部に向かって飛散することが抑制される。したがって、左右の接続部Jの隙間から水が流れ出ることが抑制される。
【0119】
[6]左右の接続部Jに設けられる溝部
自動二輪車100が濡れた路面を走行する際には、前輪FWからインナーカバー20に飛散される水の全てが開口22に導かれるとは限らない。前輪FWから飛散される水の一部が、インナーカバー20の上端部に導かれる場合がある。インナーカバー20の上端部に導かれる水は、上記のようにトンネルカバーTCの前端開口FFO(
図2)からトンネルカバーTCの内部に進入する。トンネルカバーTCの内部に進入する水が左右の側部カバー40L,40Rの内面に付着すると、付着する水は左右の接続部Jに導かれる。
【0120】
そこで、本実施の形態では、左右の接続部Jに導かれる水が左右の足載せ部62の外面に流れ出ることを防止できるように、左右のフットレストカバー60L,60Rが以下の構成を有する。
【0121】
図19は、
図1の自動二輪車100の一部拡大側面図である。
図19では、
図1の自動二輪車100の前部を左側方から見た側面図が示される。また、
図20(a)は
図19のQ1−Q1線を含む鉛直面で左の側部カバー40Lおよび左のフットレストカバー60Lを切断した場合の切断部端面図であり、
図20(b)は
図19のQ2−Q2線を含む鉛直面で左の側部カバー40Lおよび左のフットレストカバー60Lを切断した場合の切断部端面図である。
【0122】
図19および
図20(a)に示すように、本例の左のフットレストカバー60Lの側壁部61は、第1の部分61a、第2の部分61bおよび第3の部分61cを有する。第1の部分61aは、足載せ部62の内側縁部から上方に延びる。第2の部分61bは、第1の部分61aの上端部から内方かつ下方に延びる。第3の部分61cは、第2の部分61bの下端部から上方に延びる。
【0123】
第2の部分61bおよび第3の部分61cにより溝部61dが形成される。ここで、第2の部分61bの大きさおよび形状は、例えば乗員が左側方から左の接続部Jを視認した場合に溝部61dの底部が見えないように設定される。
【0124】
図19に示すように、溝部61dは、前接続部J1に沿って、前方から後方かつ下方に向かって傾斜するように形成される。また、
図19および
図20(b)に示すように、溝部61dの下端部には貫通孔61hが形成されている。
【0125】
上記の構成によれば、トンネルカバーTCの内部に水が進入する場合でも、
図19に白抜きの点線矢印で示すように、左右の側部カバー40L,40Rの内面を伝って左右の接続部Jに導かれる水が左右の溝部61dにより受け止められる。
【0126】
また、左右の溝部61dにより受け止められた水が、前方から後方かつ下方に向かって流れた後、左右の貫通孔61hを通して左右の側部カバー40L,40Rの内方に排出される。それにより、左右の溝部61dに導かれる水が左右の溝部61dから溢れることなく下部カバー70上に落下する。その結果、左右の足載せ部62の外面に水が流れ出ることが抑制される。
【0127】
[7]実施の形態の効果
上記のように、左右の側部カバー40L,40Rの下端部が左右のフットレストカバー60L,60Rの側壁部61の外方に位置するように、左右の側部カバー40L,40Rが左右のフットレストカバー60L,60Rにそれぞれ接続される。それにより、左右の足載せ部62の位置を外方に移動させることなくトンネルカバーTCの内部空間を大きくすることができる。したがって、トンネルカバーTCの内部に設けられる部品のレイアウトの自由度を確保しつつ左右の足載せ部62の快適性の低下を抑制することができる。
【0128】
また、本実施の形態では、インナーカバー20に前輪FWに対向する開口22が形成される。それにより、自動二輪車100が濡れた路面を走行する際には、前輪FWからインナーカバー20に向かって飛散する水がインナーカバー20の上端部まで到達することなく開口22内に導かれる。インナーカバー20の開口22は、車両側面視で左右の接続部Jの下方に位置する。この場合、インナーカバー20の開口22に導かれる水の多くは、左右の接続部Jよりも下方の位置でインナーカバー20の後方に落下する。そのため、左右の側部カバー40L,40Rの内面に水が付着しにくい。
【0129】
それにより、路面から左右の接続部Jに水が導かれることが抑制される。したがって、接続部Jの隙間から左右の足載せ部62の外面に水が流れ出ることが抑制される。
【0130】
[8]他の実施の形態
(8−1)上記の実施の形態では、車体カバー5を構成する前部カバーFC、インナーカバー20、上部カバー30、左右の側部カバー40L,40R、左右のサイドカバー50L,50R、左右のフットレストカバー60L,60R、下部カバー70および後部カバーBCがそれぞれ別体で形成される。しかしながら、本発明の車体カバー5は、少なくとも左右のフットレストカバー60L,60RとトンネルカバーTCとが別体で形成されればよく、上記の実施の形態の例に限定されない。
【0131】
前部カバーFC、上部カバー30および左右の側部カバー40L,40Rが同じ樹脂材料で作製される場合には、前部カバーFC、上部カバー30および左右の側部カバー40L,40Rのうち少なくとも2つが一体成形されてもよい。例えば、上部カバー30および左右の側部カバー40L,40Rが一体成形されてもよい。
【0132】
また、インナーカバー20、左右のサイドカバー50L,50R、左右のフットレストカバー60L,60Rおよび下部カバー70が同じ樹脂材料で作製される場合には、インナーカバー20、左右のサイドカバー50L,50R、左右のフットレストカバー60L,60Rおよび下部カバー70のうち少なくとも2つが一体成形されてもよい。例えば、左のサイドカバー50Lと左のフットレストカバー60Lとが一体成形され、右のサイドカバー50Rと右のフットレストカバー60Rとが一体成形されてもよい。また、インナーカバー20と左右のサイドカバー50L,50Rとが一体成形されてもよい。
【0133】
さらに、上記の前部カバーFC、インナーカバー20、上部カバー30、左右の側部カバー40L,40R、左右のサイドカバー50L,50R、左右のフットレストカバー60L,60R、下部カバー70および後部カバーBCの一部または全てが、複数の部材から構成されてもよい。
【0134】
複数のカバー部材のうち特定のカバー部材が複数の部材から構成される場合には、特定のカバー部材を構成する一部の部材が他のカバー部材に一体成形されてもよい。例えば左右の側部カバー40L,40Rの各々が複数の部材から構成される場合には、左右の側部カバー40L,40Rを構成する一部の部材と上部カバー30または前部カバーFCとが一体成形されてもよい。例えば左右のサイドカバー50L,50Rの各々が複数の部材から構成される場合には、左右のサイドカバー50L,50Rを構成する一部の部材と左右のフットレストカバー60L,60Rとが一体成形されてもよい。
【0135】
(8−2)上記の実施の形態では、左右方向Wにおけるインナーカバー20の中央部に1つの開口22が形成される。上記の例に限らず、インナーカバー20には、前輪FWに対向する複数(例えば2つまたは3つ)の開口22が形成されてもよい。また、複数の開口は上下方向Hに並ぶように配置されてもよいし、左右方向Wに並ぶように配置されてもよい。
【0136】
さらに、それらの開口22の一部または全ての上方に前ひさし部23aおよび後ひさし部23bが設けられてもよい。この場合、水受部21により受け止められるより多くの水を複数の開口22に効率よく導くことができる。
【0137】
(8−3)上記の実施の形態では、前ひさし部23aがインナーカバー20の開口22の上端部から前方かつ下方に延びるように設けられる。前ひさし部23aの構成および前ひさし部23aが設けられる位置は、上記の例に限られない。
【0138】
本発明においては、前ひさし部23aは、前輪FWに対向する領域上で下方から上方に向かって水受部21を流れる水を受け止めるとともに、受け止められた水を開口22に導く機能を有すればよい。
【0139】
例えば、前ひさし部23aは、上記の機能を有するのであれば、インナーカバー20の開口22の上端部から前方に延びた後、下方に向かって延びるように形成されてもよい。また、前ひさし部23aは、車両正面視で開口22の上方に設けられればよく、開口22の上端部から微小距離(数cm程度)上方から前方かつ下方に延びるように設けられてもよい。
【0140】
また、上記の実施の形態では、後ひさし部23bがインナーカバー20の開口22の上端部から後方かつ下方に延びるように設けられる。後ひさし部23bの構成および後ひさし部23bが設けられる位置は、上記の例に限られない。
【0141】
本発明においては、後ひさし部23bは、開口22からインナーカバー20の後方に導かれる水を下方に落下させる機能を有すればよい。
【0142】
例えば、後ひさし部23bは、上記の機能を有するのであれば、インナーカバー20の開口22の上端部から後方に延びた後、下方に向かって延びるように形成されてもよい。また、後ひさし部23bは、車両正面視で開口22の上方に設けられればよく、開口22の上端部から微小距離(数cm程度)上方から後方かつ下方に延びるように設けられてもよい。
【0143】
(8−4)上記の実施の形態では、前ひさし部23aおよび後ひさし部23bがインナーカバー20に一体成形される。これに限らず、前ひさし部23aおよび後ひさし部23bは、インナーカバー20とは別体で形成されてもよい。
【0144】
(8−5)上記の実施の形態では、インナーカバー20の水受部21の左右側方に気体導入部28が設けられるが、車体カバー5の内部に空気を導く必要が無い場合には、左右の気体導入部28はなくてもよい。
【0145】
(8−6)上記の実施の形態では、インナーカバー20の前面20Aの中央部には、下方から上方に向かって水受部21、開口22、凸状部24bおよび貫通孔25がこの順で形成されている。しかしながら、本発明のインナーカバー20は、上記の実施の形態に限定されない。本発明のインナーカバー20は、少なくとも前輪FWと対向する部分に水受部21および開口22を有していればよい。
【0146】
(8−7)上記の実施の形態は、本発明を自動二輪車に適用した例であるが、これに限らず、鞍乗型車両に適用できる。自動四輪車または自動三輪車等の鞍乗型車両に本発明を適用してもよい。
【0147】
(8−8)上記の実施の形態では、車両本体部1は、車体フレーム10、車体カバー5、シート6、スイングアームユニット4および後輪BWにより構成される。しかしながら、本発明において、車両本体部1は、上記の実施の形態に限定されない。本発明において、車両本体部1は、少なくともシート6および車体カバー5を含んでいればよい。上記の実施の形態では、車両本体部1は駆動源としてスイングアームユニット4を備えている。しかしながら、本発明において、車両本体部1は、駆動源として、車体フレーム10に固定されたエンジンを備えていてもよいし、エンジンに代えて電動モータを備えていてもよい。
【0148】
(8−9)上記の実施の形態では、車体フレーム10は、ヘッドパイプ11、ダウンフレーム12、左右の上部フレーム13および左右の下部フレーム14が互いに溶接されることにより作製される。これらのフレーム部材は管形状を有する。本発明においては、車体フレーム10の構成は、上記の例に限定されない。
【0149】
例えば、車体フレーム10を構成する複数のフレーム部材の一部または全てが角筒形状を有してもよい。また、車体フレーム10は、複数のフレーム部材の一部または全てが、溶接に代えてボルトおよびナットにより接続されてもよい。さらに、車体フレーム10を構成する複数のフレーム部材の数および形状は上記の例に限定されない。また、車体フレーム10は、鋳造または鍛造により作製されるフレーム部材を含んでもよい。
【0150】
(8−10)上記の実施の形態では、トンネルカバーTCの内部には種々の部品(例えば上記の左右の上部フレーム13および図示しない燃料タンク等)を収容することができることを記載した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。トンネルカバーTCの内部には、バッテリおよび制御ユニット等の燃料タンク以外の車両搭載部品を収容してもよいし、パワーユニットを収容してもよい。また、トンネルカバーTCの内部は、収納ボックス等の収容空間として利用してもよい。
【0151】
[9]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各構成要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0152】
上記の実施の形態においては、シート6がシートの例であり、車体カバー5が車体カバーの例であり、車両本体部1が本体部の例であり、フロントフォーク2がフロントフォークの例であり、前輪FWが前輪の例であり、左右のフットレストカバー60L,60Rが左右の足載せカバー部の例であり、インナーカバー20がインナーカバー部の例であり、トンネルカバーTCがトンネルカバー部の例であり、前端開口FFOが前端開口の例である。
【0153】
また、上部カバー30が上部カバー部の例であり、左右の側部カバー40L,40Rが左右の側部カバー部の例であり、足載せ部62が足載せ部の例であり、側壁部61が側壁部の例であり、開口22が開口の例であり、接続部Jが接続部の例であり、自動二輪車100が鞍乗型車両の例である。
【0154】
また、前接続部J1が前接続部の例であり、後接続部J2が後接続部の例であり、前ひさし部23aが前ひさし部の例であり、後ひさし部23bが後ひさし部の例であり、フロントフェンダ2Fがフロントフェンダの例であり、フロントフェンダ2Fの後部下端h3がフロントフェンダの後部下端の例であり、前輪FWの車軸h4が前輪の車軸の例である。
【0155】
また、ヘッドパイプ11がヘッドパイプの例であり、ダウンフレーム12がダウンフレームの例であり、前面20Aが前面の例であり、背面20Bが背面の例であり、凹状部24aが凹状部の例であり、凸状部24bが凸状部の例であり、第1の部分61aが第1の部分の例であり、第2の部分61bが第2の部分の例であり、第3の部分61cが第3の部分の例であり、溝部61dが溝部の例であり、貫通孔61hが排出孔の例である。
【0156】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の構成要素を用いることもできる。
【課題】部品のレイアウトの自由度を確保しつつ左右の足載せ部の快適性の低下を抑制しながら、左右の足載せ部の外面に路面から導かれる水が流れ出ることを抑制可能な鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】左右のフットレストカバー60L,60Rの間の上方の空間を取り囲むようにトンネルカバーTCが設けられる。各フットレストカバーは、足載せ部62および側壁部を含む。側壁部は、足載せ部62の内側縁部から上方に延びる。トンネルカバーTCの左右の下端部が左右の側壁部よりも外方に位置するように、トンネルカバーTCが左右のフットレストカバー60L,60Rに接続される。インナーカバー20の上端部は、トンネルカバーTCの前端開口の上端よりも下方に位置する。インナーカバー20には、前輪FWに対向する開口が形成される。その開口は、車両側面視でトンネルカバーとフットレストカバーとの接続部の下方に位置する。