(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)硬化性樹脂と、(B)白色着色剤と、(C)表面処理が施された光励起性無機充填剤と、を含有するとともに、所定条件下で測定されるpHの値が6〜12である点に特徴を有する。これにより、保存安定性などの組成物としての特性やはんだ耐熱性などのソルダーレジストとしての特性に加え、高い反射率をも兼ね備えた硬化性樹脂組成物とすることができる。
【0016】
具体的には、本発明においては、硬化前の硬化性樹脂組成物10gをアセトン50g中に入れ、一次不溶成分を取り出し、その後、取り出した一次不溶成分をクロロホルム50g中に入れ、二次不溶成分を取り出し、さらにその後、取り出した二次不溶成分を純水10g中に入れ、30℃で1週間撹拌することにより得られる液体のpHが、6〜12であることが必要である。上記pHの値を6以上12以下とすることで、得られる硬化塗膜において、全波長領域にわたり高反射率を得ることができる。上記pHの値は、好適には、6〜9である。
【0017】
次に、本発明の硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
【0018】
[(A)硬化性樹脂]
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)硬化性樹脂を含有する。本発明において用いられる(A)硬化性樹脂は、(A−1)熱硬化性樹脂または(A−2)光硬化性樹脂であり、これらの混合物であってもよい。
【0019】
((A−1)熱硬化性樹脂)
(A−1)熱硬化性樹脂としては、加熱により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。特に、本発明においては、エポキシ化合物およびオキセタン化合物を好適に用いることができ、これらは併用してもよい。
【0020】
上記エポキシ化合物としては、1個以上のエポキシ基を有する公知慣用の化合物を使用することができ、中でも、2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートなどのモノエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル−1,3−ジグリシジルエーテル、ビフェニル−4,4’−ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。これらは、要求特性に合わせて、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
次に、オキセタン化合物について説明する。下記一般式(I)、
(式中、R
1は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す)により表されるオキセタン環を含有するオキセタン化合物の具体例としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成(株)製、商品名OXT−101)、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(東亞合成(株)製、商品名OXT−211)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(東亞合成(株)製、商品名OXT−212)、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(東亞合成(株)製、商品名OXT−121)、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成(株)製、商品名OXT−221)などが挙げられる。さらに、フェノールノボラックタイプのオキセタン化合物なども挙げられる。これらオキセタン化合物は、上記エポキシ化合物と併用してもよく、また、単独で使用してもよい。
【0022】
((A−2)光硬化性樹脂)
次に、(A−2)光硬化性樹脂としては、活性エネルギー線照射により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、特に、本発明においては、分子中に1個以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましく用いられる。
【0023】
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、公知慣用の光重合性オリゴマー、および光重合性ビニルモノマー等が用いられる。このうち光重合性オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル系オリゴマー、(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
光重合性ビニルモノマーとしては、公知慣用のもの、例えば、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体;酢酸ビニル、酪酸ビニルまたは安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルイソブチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニル−t−ブチルエーテル、ビニル−n−アミルエーテル、ビニルイソアミルエーテル、ビニル−n−オクタデシルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどのアリル化合物;2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのアルキレンポリオールポリ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート類;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート類;トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートなどのイソシアヌルレート型ポリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらは、要求特性に合わせて、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
また、本発明の組成物をアルカリ現像型の感光性樹脂組成物とする場合には、(A)硬化性樹脂として、カルボキシル基含有樹脂を用いることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂は、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有感光性樹脂であってもよく、また、芳香環を有しても有さなくてもよい。
【0026】
本発明の組成物に用いることができるカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
【0027】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。このカルボキシル基含有樹脂が芳香環を有する場合、不飽和カルボン酸および不飽和基含有化合物の少なくとも1種が芳香環を有すればよい。
【0028】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。このカルボキシル基含有ウレタン樹脂が芳香環を有する場合、ジイソシアネート、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の少なくとも1種が芳香環を有すればよい。
【0029】
(3)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。このカルボキシル基含有ウレタン樹脂が芳香環を有する場合、ジイソシアネート化合物、ジオール化合物および酸無水物の少なくとも1種が芳香環を有すればよい。
【0030】
(4)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応による感光性カルボキシル基含有ウレタン樹脂。この感光性カルボキシル基含有ウレタン樹脂が芳香環を有する場合、ジイソシアネート、2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート若しくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の少なくとも1種が芳香環を有すればよい。
【0031】
(5)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。この感光性カルボキシル基含有ウレタン樹脂が芳香環を有する場合、分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が芳香環を有していてもよい。
【0032】
(6)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。この感光性カルボキシル基含有ウレタン樹脂が芳香環を有する場合、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が芳香環を有していてもよい。
【0033】
(7)多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させた感光性カルボキシル基含有樹脂。この感光性カルボキシル基含有樹脂が芳香環を有する場合、多官能エポキシ樹脂および2塩基酸無水物の少なくとも1種が芳香環を有していればよい。
【0034】
(8)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させた感光性カルボキシル基含有樹脂。この感光性カルボキシル基含有樹脂が芳香環を有する場合、2官能エポキシ樹脂および2塩基酸無水物の少なくとも1種が芳香環を有していればよい。
【0035】
(9)多官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。この感光性カルボキシル基含有ポリエステル樹脂が芳香環を有する場合、多官能オキセタン樹脂、ジカルボン酸および2塩基酸無水物の少なくとも1種が芳香環を有していればよい。
【0036】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0037】
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0038】
(12)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。この感光性カルボキシル基含有ポリエステル樹脂が芳香環を有する場合、エポキシ化合物、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物、不飽和基含有モノカルボン酸および多塩基酸無水物の少なくとも1種が芳香環を有していればよい。
【0039】
(13)上記(1)〜(12)のいずれかの樹脂にさらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなる感光性カルボキシル基含有樹脂。この感光性カルボキシル基含有ウレタン樹脂が芳香環を有する場合、分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が芳香環を有していてもよい。
【0040】
上記のようなカルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
【0041】
また、上記のうちでも、スチレンまたはスチレン誘導体から誘導された(A)カルボキシル基含有樹脂を用いると、はんだ耐熱性に優れる組成物が得られるため、好ましい。
【0042】
上記カルボキシル基含有樹脂の酸価は、20〜200mgKOH/gの範囲が望ましく、より好ましくは40〜180mgKOH/gの範囲である。20〜200mgKOH/gの範囲であると、塗膜の密着性が得られ、アルカリ現像が容易となり、現像液による露光部の溶解が抑えられ、必要以上にラインが痩せたりせずに、正常なレジストパターンの描画が容易となるため好ましい。
【0043】
また、本発明で用いるカルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、2,000〜150,000の範囲が好ましい。この範囲であると、タックフリー性能が良好であり、露光後の塗膜の耐湿性が良く、現像時に膜減りが生じにくい。また、上記重量平均分子量の範囲であると、解像度が向上し、現像性が良好であり、保存安定性が良くなる。より好ましくは、5,000〜100,000である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0044】
なお、(A)硬化性樹脂としてエポキシ樹脂とカルボキシル基含有樹脂とを併用する場合には、カルボキシル基含有樹脂に含まれるカルボキシル基の1当量に対し、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の当量が2.0以下であることが好ましく、より好ましくは1.5以下、さらにより好ましくは1.0以下である。これは、エポキシ基が含まれていると、変色しやすい傾向があるためである。
【0045】
[(B)白色着色剤]
(B)白色着色剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、鉛白、硫化亜鉛、チタン酸鉛等が挙げられるが、熱による変色の抑制効果が高いことから、酸化チタンを用いることが好ましい。(B)白色着色剤を含有させることで、本発明の組成物を白色とすることができ、高い反射率を得ることが可能となる。
【0046】
酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型、ラムスデライト型のいずれの構造の酸化チタンであってもよく、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このうちラムスデライト型酸化チタンは、ラムスデライト型Li
0.5TiO
2に化学酸化によるリチウム脱離処理を施すことで得られる。
【0047】
上記のうち、ルチル型酸化チタンを用いると、耐熱性をより向上することができるとともに、光照射に起因する変色を起こしにくくなり、厳しい使用環境下でも品質を低下しにくくすることができるので、好ましい。特に、アルミナ等のアルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンを用いることで、耐熱性をさらに向上することができる。(B)白色着色剤として酸化チタンを用いる場合、全酸化チタン中の、アルミニウム酸化物より表面処理されたルチル型酸化チタンの含有量は、好適には10質量%以上、より好適には30質量%以上であり、上限は100質量%以下であって、すなわち、酸化チタンの全量が、上記アルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンであってもよい。上記アルミニウム酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンとしては、例えば、ルチル型塩素法酸化チタンである石原産業(株)製のCR−58や、ルチル硫酸法酸化チタンである同社製のR−630等が挙げられる。また、ケイ素酸化物により表面処理されたルチル型酸化チタンを用いることも好ましく、この場合も、耐熱性をさらに向上することができる。さらに、アルミニウム酸化物とケイ素酸化物との双方で表面処理されたルチル型酸化チタンを用いることも好ましく、例えば、ルチル型塩素法酸化チタンである石原産業(株)製のCR−90等が挙げられる。
【0048】
なお、アナターゼ型酸化チタンは、ルチル型のものよりも低硬度であるので、アナターゼ型酸化チタンを用いた場合、組成物の成形性の点でより良好となる。
【0049】
このような(B)白色着色剤の配合量は、樹脂組成物中の固形分(樹脂組成物が有機溶剤を含有する場合には、有機溶剤を除く成分)に対して、好ましくは5〜80質量%の範囲、より好ましくは10〜70質量%の範囲である。
【0050】
[(C)光励起性無機充填剤]
本発明に用いる(C)表面処理が施された光励起性無機充填剤とは、光励起性無機充填剤に、無機成分や酸性液体による表面処理が施されたものである。本発明においては、前述したように、硬化性樹脂組成物において、(B)白色着色剤とともに、(C)表面処理が施された光励起性無機充填剤を用い、さらに、後述のpHに係る条件を満足するものとしたことで、その硬化塗膜において高反射率を実現することが可能となった。光励起性無機充填剤として表面処理が施されたものを用いるのは、表面処理を施すことで光励起性無機充填剤の表面に不溶性または難溶性の反応生成物が形成されて、その表面の耐水性が飛躍的に向上し、水の存在する条件下においても、長期間にわたり高反射率を維持する効果が得られるものとなるためである。
【0051】
光励起性無機充填剤としては、アルミン酸ストロンチウム、硫化亜鉛などが挙げられ、特に、アルミン酸ストロンチウムを好適に用いることができる。これら光励起性無機充填剤は1種のみを用いてもよく、または、2種以上を混合して用いてもよい。また、表面処理に用いる無機成分としては、シリカ(ガラス)、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。無機成分を用いた表面処理の方法としては、公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0052】
さらに、酸性液体としては、硝酸、塩酸、炭酸、硫酸、亜硫酸、ケイ酸、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、第1リン酸ソーダ、へキサメタリン酸ソーダ、酢酸、酪酸、プロピオン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、サリチル酸、安息香酸、没食子酸、フェノール、ナフトエ酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタニル酸、タウリン、アスコルビン酸、シラノール酸、ホスホン酸、クロトン酸、マレイン酸、乳酸等の酸や、これら酸の塩類、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、および、酸無水物等の酸発生化合物のうちから選ばれる酸性化合物を用いることができ、中でも、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、第1リン酸ソーダ等のリン酸類およびこれらの塩類からなるリン酸系化合物、並びに、硫酸を用いることが好ましく、リン酸系化合物が特に好ましい。無機成分および酸性液体は、いずれか1種を単独で、または、2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0053】
ここで、酸性液体による表面処理は、上記酸性液体を用いて、pH3以下の条件下で行うことができ、例えば、酸性液体を含有する水溶液に光励起性無機充填剤を浸漬する方法、酸性液体を含有する水溶液を光励起性無機充填剤に噴霧する方法、高湿度の雰囲気中で光励起性無機充填剤の表面に酸性液体を接触させる方法を挙げることができる。これらの方法のうちでも、酸性液体を含有する水溶液中に光励起性無機充填剤を浸漬する方法が、操作が簡単で効率よく反応を行うことができる点で好適である。
【0054】
具体的にはまず、光励起性無機充填剤に対して、1〜1000質量倍程度、好ましくは2〜100質量倍程度、より好ましくは 3〜10質量倍程度の水を準備し、上記の酸性液体を0.01〜30質量%程度、好ましくは0.5〜10質量%程度の濃度となるように溶解させる。この際、酸性液体の溶解能を調整することを目的として、上記水の一部を、メタノール、エタノール、アセトン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の水溶性の有機溶剤に置き換えることも可能である。この場合の有機溶剤の使用量は、特に限定されず、光励起性無機充填剤の金属酸化物と、酸性液体との反応を阻害しない範囲であればよいが、通常は、使用する水の容量よりも少ない量とする。また、この水溶液中には、光励起性無機充填剤の分散性を向上させるために、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤の種類や使用量等は、使用する光励起性無機充填剤の種類および量に応じて適宜調整することができる。
【0055】
次に、酸性液体を含む水溶液に光励起性無機充填剤を添加し、攪拌により均一に分散させて、酸性液体と光励起性無機充填剤の金属酸化物とを反応させる。この際の処理温度については特に限定されないが、通常、液温を20℃程度以上、好ましくは50℃〜沸点未満の温度範囲とすることができ、処理時間は0.5〜120分間、好ましくは10〜60分間とすることができる。
【0056】
上記酸性液体による表面処理後には、アルカリまたはアルカリ発生化合物から選ばれる少なくとも一種のアルカリ性化合物を用いて、アルカリ処理を施すことができる。アルカリ処理は、pH4〜9、好適にはpH4〜7の条件下で行われる。アルカリ処理を施すことで、上記酸性液体を用いた表面処理による光励起性無機充填剤の耐水性の耐久性が向上し、高温での長期間の使用においても、その耐水性が保持されるものとなる。これは、光励起性無機充填剤表面に形成された反応生成物が、アルカリ処理によってより強固なものに改質されることによるものと考えられる。アルカリ処理に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ストロンチウム、アンモニア等が用いられるが、好適には、水酸化ナトリウムを用いる。また、アルカリ発生化合物としては、第二リン酸ソーダ、第三リン酸ソーダ、へキサメタリン酸ソーダ、酢酸ソーダ、酸化ストロンチウム等が用いられるが、好適には、第三リン酸ソーダを用いる。さらに、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、グアニジン、ステアリルアミン、ピリジン等の有機アルカリ性化合物を使用することもできる。
【0057】
アルカリ処理の手段については、特に制限されず、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、上記酸性液体による処理後に、上澄液を除去して、新たに適量の水を添加する。次に、ミキサー等で攪拌しながら上記アルカリ性化合物を徐々に添加して、pHを4〜9に調整することにより行うことができる。この際の処理温度については特に制限はないが、通常、液温を20℃程度以上、好適には、50℃〜沸点未満の温度範囲とする。処理時間は、通常0.5〜120分間、好適には10〜60分間とする。
【0058】
上記アルカリ処理後に、上澄液を除去し、濾過、水洗した後、十分乾燥することによって、目的とする(C)表面処理が施された光励起性無機充填剤を得ることができる。この際の乾燥条件は特に限定されないが、通常、20℃以上の温度で2時間以上乾燥すればよい。表面処理された光励起性無機充填剤は、必要に応じて、篩いにかけることにより、粉末状で得ることができる。このようにして得られた(C)表面処理が施された光励起性無機充填剤は、40℃の水100gに対する溶解度が1g未満であり、耐熱性も有することから、非常に良好な耐水性を長期にわたり維持することができるものである。
【0059】
また、(C)表面処理が施された光励起性無機充填剤としては、前述した硬化性樹脂組成物についてと同様の方法でpHを測定した際に、pHの値が6以上12以下であることが、高反射率を得る点で好ましい。
【0060】
本発明の組成物における(C)光励起性無機充填剤の配合量としては、(A)硬化性樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上である。上限としては、500質量部以下が好ましく、300質量部以下がより好ましい。(C)光励起性無機充填剤の配合量を0.1質量部以上とすることで、従来にない高い反射率を達成することができる。
【0061】
[(D)光重合開始剤]
本発明の組成物において、(A−2)光硬化性樹脂を用いる場合には、さらに、(D)光重合開始剤を添加することが好ましい。一般に、光重合開始剤を添加すると、光重合開始剤が光を吸収するために、反射率が低下する場合があるが、本発明においては、上記(B)白色着色剤および(C)光励起性無機充填剤を配合することで、光重合開始剤を添加しても、反射率を高めることができる。(D)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知の光重合開始剤であれば、いずれのものを用いることもできる。
【0062】
(D)光重合開始剤としては、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製,IRGACURE819)等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製,DAROCUR TPO)等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2−ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。以上の光重合開始剤は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
上記のうちでも、ビスアシルフォスフィンオキサイド類やモノアシルフォスフィンオキサイド類等のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤が、タックが少なく、変色抑制効果に優れるために好ましい。中でも、ビスアシルフォスフィンオキサイド類を用いることが、感度およびタックフリー性をより向上できる点で、好適である。
【0064】
(D)光重合開始剤の配合量は、固形分換算で、(A)硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜50質量部である。(D)光重合開始剤をこの範囲で配合することで、銅上での光硬化性が十分となり、塗膜の硬化性が良好となり、耐薬品性等の塗膜特性が向上し、また、深部硬化性も向上する。より好ましくは、(A)硬化性樹脂100質量部に対して、1〜40質量部である。
【0065】
[(E−1)硬化剤および(E−2)硬化触媒]
本発明の組成物において、(A−1)熱硬化性樹脂を用いる場合には、さらに、(E−1)硬化剤および/または(E−2)硬化触媒を添加することができる。
【0066】
(E−1)硬化剤としては、多官能フェノール化合物、ポリカルボン酸およびその酸無水物、脂肪族または芳香族の一級または二級アミン、ポリアミド樹脂、イソシアネート化合物、ポリメルカプト化合物などが挙げられる。これらの中で、多官能フェノール化合物、並びに、ポリカルボン酸およびその酸無水物が、作業性、絶縁性の面から、好ましく用いられる。
【0067】
多官能フェノール化合物としては、一分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物であればよく、公知慣用のものが使用できる。具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAのノボラック樹脂、ビニルフェノール共重合樹脂などを挙げることができ、反応性が高く耐熱性を上げる効果が高いことから、特にフェノールノボラック樹脂が好ましい。このような多官能フェノール化合物は、適切な硬化触媒の存在下、エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物とも付加反応する。
【0068】
ポリカルボン酸およびその酸無水物としては、一分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物およびその酸無水物であり、例えば、(メタ)アクリル酸の共重合物、無水マレイン酸の共重合物、二塩基酸の縮合物などが挙げられる。市販品としては、BASF社製のジョンクリル(商品群名)、サートマー社製のSMAレジン(商品群名)、新日本理化社製のポリアゼライン酸無水物などが挙げられる。
【0069】
これら(E−1)硬化剤の配合率は、通常用いられる量的割合で充分であり、(A−1)熱硬化性樹脂100質量部に対し、好適には1〜200質量部、より好適には10〜100質量部である。
【0070】
また、(E−2)硬化触媒は、エポキシ化合物および/またはオキセタン化合物等と、(E−1)硬化剤との反応において硬化触媒となり得る化合物、または、硬化剤を使用しない場合に重合触媒となる化合物である。硬化触媒としては、具体的には例えば、三級アミン、三級アミン塩、四級オニウム塩、三級ホスフィン、クラウンエーテル錯体、および、ホスホニウムイリドなどが挙げられ、これらの中から任意に、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
中でも特に、商品名2E4MZ、C11Z、C17Z、2PZ等のイミダゾール類や、商品名2MZ−A、2E4MZ−A等のイミダゾールのAZINE化合物、商品名2MZ−OK、2PZ−OK等のイミダゾールのイソシアヌル酸塩、商品名2PHZ、2P4MHZ等のイミダゾールヒドロキシメチル体(商品名はいずれも四国化成工業(株)製)、ジシアンジアミドおよびその誘導体、メラミンおよびその誘導体、ジアミノマレオニトリルおよびその誘導体、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエタノールアミン、ジアミノジフェニルメタン、有機酸ジヒドラジド等のアミン類、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(商品名DBU、サンアプロ(株)製)、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(商品名ATU、味の素(株)製)、または、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物などが好適に挙げられる。
【0072】
これら(E−2)硬化触媒の配合量は、通常の割合で十分であり、(A−1)熱硬化性樹脂100質量部に対し、好適には0.05〜10質量部、より好適には0.1〜3質量部である。
【0073】
[(F)酸化防止剤]
本発明の組成物は、さらに、(F)酸化防止剤を含有することが好ましい。(F)酸化防止剤を含有させることで、硬化性樹脂等の酸化劣化を防止して、変色を抑制する効果が得られることに加えて、耐熱性が向上するとともに、解像性(線幅再現性)が良好になるとの効果も得ることができる。すなわち、(C)白色着色剤の種類によっては、光を反射し吸収することにより、解像性を悪化させる場合があるが、(F)酸化防止剤を含有させることで、(C)白色着色剤の種類によらず、良好な解像性を得ることができるものとなる。
【0074】
(F)酸化防止剤には、発生したラジカルを無効化するようなラジカル捕捉剤や、発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする過酸化物分解剤などがあり、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
具体的には、ラジカル捕捉剤として働く(F)酸化防止剤としては、例えば、ヒドロキノン、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン等のフェノール系化合物、メタキノン、ベンゾキノン等のキノン系化合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、フェノチアジン等のアミン系化合物などが挙げられる。市販品としては、例えば、IRGANOX1010(以上、BASFジャパン(株)製、商品名)などを用いることができる。
【0076】
また、過酸化物分解剤として働く(F)酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルフォスファイト等のリン系化合物、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系化合物などが挙げられる。
【0077】
上記のうちでも、フェノール系の酸化防止剤を用いることが、変色の抑制効果、耐熱性の向上および良好な解像性がより一層得られる点から、好ましい。
【0078】
(F)酸化防止剤を用いる場合のその配合量は、(A)硬化性樹脂100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましい。(F)酸化防止剤の配合量を、0.01質量部以上とすることで、上述の酸化防止剤の添加による効果を確実に得ることができ、一方、10質量部以下とすることで、光反応を阻害することなく、良好なアルカリ現像性を得ることができ、指触乾燥性や塗膜物性についても良好に確保することができる。
【0079】
また、(F)酸化防止剤、特に、フェノール系の酸化防止剤は、耐熱安定剤と併用することにより、さらなる効果を発揮する場合があることから、本発明の樹脂組成物には、耐熱安定剤を配合してもよい。
【0080】
耐熱安定剤としては、リン系、ヒドロキシルアミン系、イオウ系耐熱安定剤などを挙げることができる。上記耐熱安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0081】
耐熱安定剤を用いる場合のその配合量は、(A)硬化性樹脂100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましい。
【0082】
本発明の組成物は、反応性希釈溶剤を含有してもよい。反応性希釈溶剤は、組成物の粘度を調整して作業性を向上させるとともに、架橋密度を上げたり、密着性などを向上するために用いられ、光硬化性モノマーなどを用いることができる。光硬化性モノマーとしては、上記の光重合性ビニルモノマー等を使用することができる。
【0083】
このような反応性希釈溶剤の配合率は、(A)硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは1〜70質量部の割合である。上記配合率の範囲とすることで、光硬化性が向上して、パターン形成が容易となり、硬化膜の強度も向上できる。
【0084】
また、本発明の組成物には、組成物の調製や、基板やキャリアフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、単独で、または二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0085】
さらに、本発明の組成物には、電子材料の分野において公知慣用の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤、他の着色剤、光開始助剤、増感剤、硬化促進剤、離型剤、表面処理剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、安定剤、蛍光体等が挙げられる。
【0086】
次に、本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、キャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、10〜150μm、好ましくは20〜60μmの範囲で適宜選択される。
【0087】
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。
【0088】
キャリアフィルム上に本発明の組成物からなる樹脂層を形成した後、膜の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、膜の表面に、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムとしては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
【0089】
なお、本発明においては、上記保護フィルム上に本発明の組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルムおよび保護フィルムのいずれを用いてもよい。
【0090】
また、本発明の組成物を、例えば、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、約60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成することができる。また、上記組成物をキャリアフィルムまたは保護フィルム上に塗布し、乾燥させてフィルムとして巻き取ったドライフィルムの場合、ラミネーター等により本発明の組成物の層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、樹脂層を形成できる。
【0091】
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0092】
本発明の組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0093】
本発明の組成物は、例えば、約100〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性等の諸特性に優れた硬化皮膜(硬化物)を形成することができる。
【0094】
また、本発明の組成物を塗布し、溶剤を揮発乾燥した後に得られた樹脂層に対し、露光(光照射)を行うことにより、露光部(光照射された部分)が硬化する。具体的には、接触式または非接触方式により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光、もしくは、レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光して、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3〜3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像することにより、レジストパターンが形成される。
【0095】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350〜450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には20〜800mJ/cm
2、好ましくは20〜600mJ/cm
2の範囲内とすることができる。
【0096】
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
【0097】
本発明の組成物は、プリント配線板上に硬化皮膜を形成するために好適に使用され、より好適には、永久被膜を形成するために使用され、さらに好適には、ソルダーレジストまたはカバーレイを形成するために使用される。なお、本発明の硬化性樹脂組成物は、ソルダーダムを形成するために使用してもよい。また、本発明の組成物は、白色とすることで、照明器具や携帯端末、パソコン、テレビ等の液晶ディスプレイのバックライト等において、その光源として使用される発光ダイオード(LED)やエレクトロルミネセンス(EL)から発せられる光を反射する反射板に、好適に使用される。
【実施例】
【0098】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(ワニスA(硬化性樹脂)の合成例)
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管および撹拌機を取り付けた四ツ口フラスコに、メタクリル酸42質量部、メチルメタクリレート43質量部、スチレン35質量部、ベンジルアクリレート35質量部、カルビトールアセテート100質量部、ラウリルメルカプタン0.5質量部およびアゾビスイソブチロニトリル4質量部を加え、窒素気流下で75℃で5時間加熱して重合反応を進行させて、共重合体溶液(固形分濃度50質量%)を得た。これに、ハイドロキノン0.05質量部、グリシジルメタクリレート23質量部およびジメチルベンジルアミン2.0質量部を加え、80℃で24時間付加反応を行った後、カルビトールアセテート35質量部を加えて、芳香環を有する共重合樹脂溶液(ワニスA)を得た。
【0099】
このようにして得られたワニスAの固形分濃度は65質量%、固形分の酸価は70mgKOH/gであった。
【0100】
下記の表中に示す配合に従い、各成分を配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで分散させ、混練して、それぞれ組成物を調製した。なお、表中の配合量は、質量部を示す。得られた各実施例および比較例の組成物について、以下に従い、評価を行った。その結果を、下記の表中に併せて示す。
【0101】
(1)pH
硬化前の各組成物10gをアセトン50g中に入れ、一次不溶成分を取り出し、その後、取り出した一次不溶成分をクロロホルム50g中に入れ、その後、二次不溶成分を取り出し、さらにその後、取り出した二次不溶成分を純水10g中に入れ、30℃で1週間撹拌して、液体を得た。得られた液体のpHを測定した。
【0102】
(2)保存安定性
各組成物を30g入りのプラスチック容器に適量入れ、室温で180日間保管し、保管後の組成物の状態を目視にて評価した。判定基準は以下の通りである。
○:ゲル化していない。
×:ゲル化した。
【0103】
(3)はんだ耐熱性
各組成物をFR−4材にスクリーン印刷により全面塗布し、150℃の熱風循環式乾燥炉で30分間硬化させて基板を得た。得られた基板にロジン系フラックスを塗布し、あらかじめ260℃に設定したはんだ槽に浸漬して、変性アルコールでフラックスを洗浄した後、目視によるレジスト層の膨れ・剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:10秒間浸漬を3回以上繰り返しても剥がれが認められないもの。
×:10秒間浸漬を3回以内にレジスト層に膨れ、剥がれがあるもの。
【0104】
(4)反射率
各組成物をFR−4材にスクリーン印刷により全面塗布し、150℃の熱風循環式乾燥炉で30分間硬化させて基板を得た。得られた基板の塗膜表面について、分光測色計(CM−2600d、コニカミノルタセンシング(株)製)にて、波長450nmにおける反射率を測定した。
また、実施例3,9および比較例4の各組成物については、同様にして、波長350〜750nmの範囲の反射率を測定した。その結果を、
図1のグラフに示す。
【0105】
【表1】
*1−1)ワニスA
*1−2)ワニスB(ルミフロン200F、旭硝子(株)製)
*1−3)ワニスC(X−22−3701E、信越化学工業(株)製)
*2−1)酸化チタン(タイペークCR−58、石原産業(株)製)
*2−2)酸化チタン(R−931、デュポン社製)
*2−3)酸化チタン(TiONA 696、CRISTAL社製)
*3)Luminessus V1(表面処理が施された光励起性無機充填剤)、(株)ルミネッサス製
*4)Luminessus V2(表面処理が施された光励起性無機充填剤)、(株)ルミネッサス製
*5)N夜光(G−300M)(表面処理が施されていない光励起性無機充填剤)、根本特殊化学(株)製
*6)MFTG(トリプロピレングリコールメチルエーテル)、日本乳化剤(株)製
*7)メラミン(硬化触媒)、日産化学工業(株)製
*8)IRGANOX1010(フェノール系)、BASFジャパン(株)製
*9)KS−66、信越シリコーン(株)製
*10)Disperbyk−111、ビックケミー・ジャパン(株)製
*11)アエロジルR−974、日本アエロジル(株)製
*12)LMP−100、富士タルク工業(株)製
*13)TEPIC−HP、日産化学工業(株)製
*14)TPA−100、旭化成ケミカルズ(株)製
【0106】
【表2】
【0107】
上記表中に示すように、硬化性樹脂、白色着色剤および表面処理が施された光励起性無機充填剤を含有し、上記pHの値が所定範囲を満足する各実施例の組成物においては、いずれも、保存安定性などの組成物としての特性やはんだ耐熱性などのソルダーレジストとしての特性を損なうことなく、高い反射率が得られていることが確かめられた。また、
図1に示す実施例3,9と比較例4との反射率データの比較から、この反射率の向上効果は、広い波長範囲について得られていることがわかる。
【0108】
実施例1〜13の結果から、pHが6〜12であって、表面処理された光励起性無機充填剤を含有する組成物においては、はんだ耐熱性および保存安定性を維持しつつ、反射率が向上していることがわかる。これに対し、比較例1〜3の結果から、pHが6〜12の範囲外であって、表面処理されていない光励起性無機充填剤を含有する組成物においては、保存安定性が悪化していることがわかる。また、比較例4,5の結果から、pHが6〜12であっても、光励起性無機充填剤や白色着色剤を添加しないと、反射率が低下することがわかる。
【課題】保存安定性などの組成物としての特性やはんだ耐熱性などのソルダーレジストとしての特性に加え、高反射率をも兼ね備えた硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板を提供する。
【解決手段】(A)硬化性樹脂と、(B)白色着色剤と、(C)表面処理が施された光励起性無機充填剤と、を含有する硬化性樹脂組成物である。硬化前の硬化性樹脂組成物10gをアセトン50g中に入れ、一次不溶成分を取り出し、その後、取り出した一次不溶成分をクロロホルム50g中に入れ、二次不溶成分を取り出し、さらにその後、取り出した二次不溶成分を純水10g中に入れ、30℃で1週間撹拌することにより得られる液体のpHが6〜12である。