(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797841
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】データセンターにおける保護のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/44 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
H04L12/44 200
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-518645(P2014-518645)
(86)(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公表番号】特表2014-523182(P2014-523182A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】US2012043269
(87)【国際公開番号】WO2013006271
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2014年3月6日
(31)【優先権主張番号】13/350,457
(32)【優先日】2012年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/505,265
(32)【優先日】2011年7月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハオ,フアン
(72)【発明者】
【氏名】コデイアラム,ムラリダーラム・エス
(72)【発明者】
【氏名】ラクシユマン,テイルネル・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ハオユイ
(72)【発明者】
【氏名】ジルンギブル,マーテイン
【審査官】
大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−502596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのOLT(光回線終端装置)を備えるデータセンターネットワークであって、少なくとも1つのOLTが、アグリゲーション層内にバックアップノードを形成する、データセンターネットワーク。
【請求項2】
少なくとも1つのOLTの1つが、少なくとも2つのアグリゲーションノードのバックアップノードを形成する、請求項1に記載のデータセンターネットワーク。
【請求項3】
少なくとも1つのOLTが、該データセンターネットワークのコア層とアクセス層との間のデータトラフィックを集約するためにレイヤ2スイッチングを実施するように構成される、請求項2に記載のデータセンターネットワーク。
【請求項4】
少なくとも1つのOLTのポートと、少なくとも1つのアクセスノードと通信する少なくとも1つの光スプリッタをさらに備える、請求項3に記載のデータセンターネットワーク。
【請求項5】
光モジュールを含む少なくとも1つのポートと、
少なくとも1つの非光ポートとを備える、
データセンターネットワークのアクセスノード。
【請求項6】
光モジュールが、ONU(光ネットワークユニット)回線カード上に常駐する、請求項5に記載のデータセンターネットワークのアクセスノード。
【請求項7】
プロセッサによって実行可能であり、非一時的記憶デバイス内に格納され、実行されると光伝送割り当ての要求を生成する命令をさらに備える、請求項5に記載のデータセンターネットワークのアクセスノード。
【請求項8】
アクセスノードが、少なくとも1つの非光ポートを介して一次アグリゲーションノードと通信する、請求項5に記載のデータセンターネットワークのアクセスノード。
【請求項9】
アクセスノードからコアノードへの一次通信経路が、バックアップアグリゲーションノードを使用した置換を必要としていると判断するステップと、
アクセスノードからの上り光伝送のための割り当てスケジュールを算定するステップと、
割り当てスケジュールを該アクセスノードに伝送するステップと、
光伝送を介してアクセスノードからデータトラフィックを受信するステップとを含む、データセンターネットワークを動作させる方法。
【請求項10】
一次通信経路が、もはや置換を必要としていないと判断するステップと、割り当てスケジュールを改正してアクセスノードを除外するステップとをさらに含む、請求項9に記載のデータセンターネットワークを動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2011年7月7日に出願され、その内容全体が本明細書において引用によって組み込まれ、「Data Center PON」と題された米国仮特許出願第61/505,265号に関し、その優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、データセンターの分野に関し、より詳細には、データセンターネットワークにおいて冗長性を提供するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
以下の略語をここに規定し、その少なくともいくつかは、最先端の本発明の以下の説明内で言及される。
【0004】
OLT 光回線終端装置(Optical Line Terminal)
ONU 光ネットワークユニット(Optical Network Unit)
PON 受動光ネットワーク(Passive Optical Network)
QoS サービス品質(Quality of Service)
ToR ラックの最上部(Top of Rack)
【0005】
データセンターは、これまで長年にわたって使用されており、その広範囲にわたる使用および設計された容量は、増加し続けている。データセンターは、コンピューティング機器または通信機器を収容する設備、しかも、このような機器を往々にして大量に収容する設備であり、データ大容量記憶設備か、または、通信ネットワークの一部を形成し得る。データセンター機器は、1つの大きな部屋内に隔離され得るが、いくつかの部屋にわたって、または、別個の建物にさえ、分散されることもあり得、たとえば、データセンター全体が一度の火災で破壊されないようにしている。データセンター内には、サーバなどの機器の多くの大きなラックが存在し得る。予想され得るように、これらのデバイス間の通信を提供する必要性がある。
【0006】
機器がラック内に載置される場合、当該ラック内のデバイスの全てを接続して外部通信も提供するアクセススイッチも存在することが多い。これは、ToR(ラックの最上部)スイッチと称され得る。本発明を説明する際に、「アクセスノード」という用語が使用されるが、その理由は、この方式でサポートされているサーバまたは他のデータセンター機器が、所与のアクセスノードを経由して通信する他のデバイスと共に、物理的なラックまたはシャーシ内に実際に載置されるという要件がないためである。便宜上、この態様でデータセンター内で働くデバイスの集合は、データセンターネットワークのアクセス層と称され得る。
【0007】
データセンター内においては、比較的少ない数のルータが用いられ得、これらは、データセンターネットワークの、コアルータまたは総称的にコア層と称され得る。ネットワークのコアまたはコア層デバイスと、アクセス層の多くのアクセスノードとの間には、往々にして、アグリゲーション層が存在する。アグリゲーションノードは、多数のアクセスノードとコアルータとの間のトラフィックを処理するスイッチであり得る。アグリゲーションノードは、アクセスノードからのトラフィックを、当該アクセスノードの各々にコアルータが個々に接続される必要がないように、集約する。
【0008】
したがって、ToRスイッチなどのアクセスノードは、一次アグリゲーションノードを介して、データセンターネットワークのコア層と定期的に通信する。しかしながら、一次アグリゲーションノード、または、当該一次アグリゲーションノードを経由する通信リンクが万一障害を起こした場合に備え、コア層への少なくとも1つの冗長経路を有することが重要である。この理由により、二次アグリゲーションノードが極めて望ましい。二次アグリゲーションノードは、一次アグリゲーションノードが障害を起こしたか、または、メンテナンスのために稼動停止にされたときに、コア層への代替経路を提供し、この機能を実施するのに利用することができる。ほとんどの場合、二次アグリゲーションノードは、一次アグリゲーションノードに類似しているか、または一次アグリゲーションノードと全く同じである。典型的なデータセンターネットワークでは、各一次アグリゲーションノードに対して二次アグリゲーションノードが存在する。冗長性は、コア層においても類似する方式で提供され得、各一次および二次アグリゲーションノードが、少なくとも2つのコアルータと通信する。
【0009】
明らかなことであり得るが、三次ノードは、ネットワーク通信における中断の可能性をさらに低減するが、通常、その時間のほとんどを待機モードに費やすもう1つのデバイスのコストは、最も感受性の高いアプリケーションを除けば、法外に高いものである。実際に、各一次ノードをバックアップする二次ノードの必要性は、多くのオペレータが削減したいと考える主要なコストを代表している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、データセンターネットワークにおいて通信経路の冗長性を提供することに関連する上述の欠陥および他の欠陥に対処する必要性が、これまでにも、そして今もなお存在する。これらの必要性および他の必要性は、本発明によって充足される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、信頼性があって、なおかつ低コストである、データセンターネットワークのための冗長性保護を提供する実施態様を対象とする。一実施態様において、本発明は、少なくとも1つのOLT(光回線終端装置)を備えるデータセンターネットワークである。一実施形態において、OLTは、アグリゲーション層内にバックアップノードを形成し、データセンターネットワークのコア層とアクセス層との間のデータトラフィックを集約するためにレイヤ2スイッチングを実施するように構成される。データセンターネットワークは、少なくとも1つのOLTのポートと、少なくとも1つのアクセスノードと通信する少なくとも1つの光スプリッタも含み得る。複数のアクセスノードは、OLTと当該複数のアクセスノードとの間の通信がOLTの1個のポートに向けられるように、同一の光スプリッタと通信し得る。多数の光スプリッタが使用され得、それにより、同一の光スプリッタと通信する複数のアクセスノードのうちの少なくとも2つは、それぞれ、異なる複数の一次アグリゲーションノードとも通信する。
【0012】
別の実施態様において、本発明は、光モジュールを含む少なくとも1つのポートと、少なくとも1つの非光ポートとを備えるデータセンターネットワークのアクセスノードである。この光モジュールは、ONU(光ネットワークユニット)回線カード上に常駐していることが好ましい。データセンターネットワークのアクセスノードはさらに、プロセッサによって実行可能であり、非一時的記憶デバイス内に格納され、実行されると光伝送割り当ての要求を生成する命令を備え得る。光伝送割り当ての要求は、光モジュールを備える少なくとも1つのポートからの伝送のために生成される。データセンターネットワークのアクセスノードはさらに、光割り当てスケジュールを格納するためのテーブルを含み得る。一実施形態において、データセンターネットワークのアクセスは、少なくとも1つの非光ポートを介して一次アグリゲーションノードと通信する。
【0013】
別の実施態様において、本発明は、アクセスノードからコアノードへの一次通信経路が、バックアップアグリゲーションノードを使用した置換を必要としていると判断するステップと、アクセスノードからの上り光伝送のための割り当てスケジュールを算定するステップと、当該割り当てスケジュールをアクセスノードに伝送するステップと、光伝送を介してアクセスノードからデータトラフィックを受信するステップとを含む、データセンターネットワークを動作させる方法である。この方法は、また、一次通信経路が、もはや置換を必要としていないと判断するステップと、当該割り当てスケジュールを改正して当該アクセスノードを除外するステップとを含み得る。アクセスノードからコアノードへの一次通信経路が、バックアップアグリゲーションノードを使用した置換を必要としていると判断するステップは、アクセスノードから、通知、たとえば光伝送割り当てスケジュールの要求を受信するか、または、一次アグリゲーションノードから通知を受信するステップを含み得る。
【0014】
一実施形態において、この方法はさらに、アグリゲーションノードの1個のポート上において複数のアクセスノードからデータトラフィックを受信するステップを含む。当該データトラフィックは、割り当てスケジュールによって制御された時間中に受信されることが好ましい。
【0015】
この発明のさらなる態様の或る部分は、詳細な説明、図面、および以下に続く全ての請求項において明示され、また或る部分は、詳細な説明から導出されるか、または、この発明の実施により習得され得る。上記の一般的な説明および以下の詳細な説明がいずれも、専ら例示的であって説明用になされたものにすぎず、開示されるこの発明を限定しないことが理解されるべきである。
【0016】
本発明のより完全な理解は、添付の図面と併用されると、以下の詳細な説明を参照することによって得られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】既存の技術による典型的なデータセンターネットワークの選択されたコンポーネントを示す、簡略模式図である。
【
図2】本発明の実施形態による典型的なデータセンターネットワークの選択されたコンポーネントを示す、簡略模式図である。
【
図3】本発明の実施形態による方法を示すフロー図である。
【
図4】本発明の実施形態による方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、信頼可能であって、なおかつ低コストである、データセンターネットワークのための冗長性保護を提供する態様を対象とする。典型的なデータセンターにおいて、データセンターネットワークは、どの一次アグリゲーションノードに対しても、バックアップアグリゲーションノードを用いる。本発明の好ましい実施形態によれば、OLT(光回線終端装置)は、バックアップアグリゲーションノードのうちの少なくとも2つの代わりに機能するように実装されるが、他の実施形態もまた可能である。好ましい実施形態による実装については、
図1および
図2を参照してこれから説明する。
【0019】
図1は、既存の技術による典型的なデータセンターネットワーク100の選択されたコンポーネントを示す、簡略模式図である。この例において、データセンターネットワークは、105、110、115、120、125、130、135、および140と称される多数のアクセスノードを含む。8つのアクセスノードが描かれているが、任意の数のアクセスノードが存在し得ることに留意されたい。これらのアクセスノードは、たとえば、各々がサーバのラック(図示せず)にそれぞれ関連付けられたEthernet(登録商標) ToRデバイスであり得る。アクセスノード105、110、115、および120は、アグリゲーションノード145および150と通信する。
図1の例において、アグリゲーションノード145および150は、アクセスノード105、110、115、および120からコアルータ165および170へのトラフィックを集約するEthernetスイッチである。
図1に示すように、アグリゲーションノード145およびは、制御の目的のために、また、時によってはデータトラフィックを経路指定するために、互いに通信する。
【0020】
正常動作において、アグリゲーションノード145は、このようなトラフィックの全てを処理することが考えられ、アグリゲーションノード150は、必要時にのみ稼動状態に入れられる。他の場合において、アグリゲーションノード145および150は、トラフィックの一部、たとえば、示された複数のアクセスノードのうちの2つのみからのトラフィックを各々が処理し得る。このシナリオの場合、アグリゲーションノード145および150のうちの一方か、または、当該一方のアグリゲーションノードの、コア層への関連付けられた経路が障害を起こしたときに、他方のアグリゲーションノードは、障害が修復され得るまで全トラフィックについて責任を負う。
【0021】
同様の方式で、アグリゲーションノード155および160は、アクセスノード125、130、135、および140と、コアルータ165および170との間のトラフィックを処理する。このネットワークにおいて、アグリゲーションノード155および160は互いに通信するが、アグリゲーションノード145および150とは通信しない(コアルータ165および170を介して間接的に通信することを除く)。コアルータ165および170が、好ましくは、これらのうちのいずれか一方が、他方が障害を起こした場合にトラフィック負荷の全体をサポートすることが可能な状態で、冗長性保護を確保するようにやはり手配されることに留意されたい。
【0022】
図2は、本発明の実施形態による典型的なデータセンターネットワーク200の選択されたコンポーネントを示す、簡略模式図である。
図1の例示的ネットワーク100と同じく、この実施形態において、データセンターネットワーク200は、205−240と称される多数のアクセスノードを含む。8つのアクセスノードが描かれているが、任意の数のアクセスノードが存在し得ることに、ここでも留意されたい。
【0023】
この実施形態において、アクセスノード205、210、215、および220は、一次アグリゲーションノード245と通信し、アクセスノード225、239、235、および240は、一次アグリゲーションノード260と通信する。一次アグリゲーションノード245および260は、当該一次アグリゲーションノード245および260が直接通信するそれぞれのアクセスノードからのトラフィックを集約するEthernetスイッチである。
【0024】
図2の実施形態では、
図2に描かれた2つのコアルータ、すなわちコアルータ265およびコアルータ270が存在し、これらのコアルータの各々は、一次アグリゲーションノード245および260のそれぞれ1つと直接通信する。これらのコアルータもまた、メッセージ通信を制御するために、および、トラフィックを経路指定するためにも、互いに直接通信する。この実施形態では、一次アグリゲーションノード245が、コアルータ270と直接通信しない(一次アグリゲーションノード260およびコアルータ265についても同じことが当てはまる)ことに留意されたい。代替的実施形態(図示せず)では、これらの付加的な通信リンクが形成され得るが、描かれた実施形態では、冗長性保護がOLT250によってもたらされる。本発明のこの実施態様については、これからより詳細に説明する。
【0025】
この実施形態において、OLT(光回線終端装置)250は、PON(受動光ネットワーク)内で通例実装されるOLTである。その点に関し、本発明をふまえて実装されたOLT250は、通常、複数個のポート上で光信号の受信および伝送を行うためのノードを提供する。慣例により、アクセス層に向けて伝送される信号は、下りと称され、アクセス層から受信される信号は、上りと称される。ほとんどの実装において、OLT250は、受信された光信号を、処理するために、および、コア層に適宜転送するために、電子信号に変換する。コア層からの下り信号は、アクセス層に伝送するために、それに応じて光信号に変換される。好ましい実施形態において、OLT250は、データセンターネットワーク200内のアグリゲーションノードとしてその機能を実施するために、レイヤ2スイッチングを行うことが可能である。
【0026】
図2の実施形態において、OLT250は、スケジューリング機能も実施する。好ましい実施形態において、下り伝送は、OLT250と通信する全アクセスノードに対して行われるか、または代替的に、1つまたは複数の所与のポートを経由してアクセス可能な全アクセスノードに対して行われる。この場合、アクセスノードは、当該アクセスノードにアドレス指定された伝送にのみ、すなわち、または、ブロードキャストもしくはマルチキャストの一部分として当該アクセスノードにアドレス指定された伝送にのみ注目し、それ以外は廃棄する。しかしながら、この好ましい実施形態における上り伝送は、個々のアクセスノードの各々に割り振られた時間にのみ伝送される。
【0027】
この実施形態において、OLT250は、このスケジュールを算出し、各アクセスノードが上り伝送を適切にスケジューリングすることができるように、当該算出されたスケジュールを各アクセスノードに伝送する。好ましい実施形態において、下り伝送および上り伝送は、それらが互いに干渉しないように、異なる波長を用いて行われる。しかしながら、他の実施形態では、下り伝送が、上り伝送のいずれにも割り振られていないタイムスロットにスケジューリングされ得る。
【0028】
本発明による実装においては、それによってPON内のOLTがアクセスノードの存在を知り、伝送遅延時間を評価する、レンジングおよびディスカバリの手続きが使用されてよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、たとえば、設定された構成が使用される場合、または、伝送時間の差が、無視しても差し支えのないことが考えられる場合、これらは必要のないことが考えられる。
【0029】
図2の実施形態において、OLT250は、アクセスノード205−240の各々に対するバックアップアグリゲーションノードとして働く。この構成を容易にするために、アクセスノードの各々は、それぞれ205a−240aと称される、ONU(光ネットワークユニット)回線カードを含む。ONU回線カードは、光モジュール(別個には図示せず)を含み、伝送のために電子信号を光信号に変換し、アクセスノードによる処理のために、受信された光信号を電子信号に変換する。
【0030】
図2において認識できるように、アクセスノードとOLT250との間の通信リンクは、この実施形態において、光スプリッタを介して形成される。各光スプリッタ251、252、253、および254は、OLT250のそれぞれのポートと通信し、この実施形態では、アクセスノードのうちの2つと通信する。通信リンクは、光ファイバーケーブルで形成される。光スプリッタ251は、たとえば、アクセスノード205および225と通信する。同様に、光スプリッタ252は、アクセスノード210および230に応対し、スプリッタ253は、アクセスノード215および235に応対し、スプリッタ254は、アクセスノード220および240に応対する。
【0031】
時としてパワースプリッタまたはパワースプリッタ/コンバイナと称される各光スプリッタは、この実施形態において、当該スプリッタと通信するアクセスノードの各々に対して下り方向に伝搬される光信号を分散させる受動デバイスである。これらの光スプリッタは、必ずしも互いの近くに位置付けられる必要はなく、ほとんどの場合、OLTと、関連するアクセスノードとの間のどこかに物理的に位置付けられ得る。スプリッタをOLTに接続する一本のファイバに比べ、スプリッタの下りにおける複数本のファイバの長さを短縮することが、考慮されてよい。
図2に示される各スプリッタが、2つのアクセスノードに応対しているが、実際の実装においては1つまたは3つ以上のアクセスノードであり得ることに留意されたい。
【0032】
その点に関し、この実施形態では、OLT250がネットワーク200内の8つのアクセスノードに対するバックアップアグリゲーションノードとして働くことに留意されたい。この好ましい実施形態では、それらの一次アグリゲーションノードとしてアグリゲーションノード245を使用する4つのアクセスノード205、210、215、および220の各々が、光スプリッタ251−254のそれぞれ1つにも接続されていることに、さらに留意されたい。すなわち、4つのアクセスノード205、210、215、および220のうちのいずれもが、同一の光スプリッタまたはOLT250のポートによって応対されていない。同様に、それらの一次アグリゲーションノードとしてアグリゲーションノード260を使用するアクセスノード225、230、235、および240の各々もまた、光スプリッタ251−254のそれぞれ1つに接続されている。
【0033】
したがって、この実施形態において、OLT250は、一次アグリゲーションノード245および260の両方に対するバックアップアグリゲーションノードとして働く。万一、アグリゲーションノードか、または、当該アグリゲーションノードを経由する通信経路のいずれかが障害を起こした場合、当該ノードに対するコア層とアクセス層との間の通信は、OLT250を経由して経路指定される。万一、アグリゲーションノード245および260の両方(または、それらのアグリゲーションノードを経由する通信経路)が同時に障害を起こした場合、OLT250のスケジューリング機能は、OLT250による両方のアグリゲーションノードのバックアップを可能にするために、OLT250自体のため、および、影響を受けたアクセスノードのために、伝送スケジュールを手配する。
【0034】
ただ1個の一次アグリゲーションノードに対し、または、3つ以上の一次アグリゲーションノードに対し、バックアップアグリゲーションノードとして1個のOLTが使用され得ることに留意されたい。いくつの一次アグリゲーションノードが完全にバックアップされ得るかは、データトラフィックを処理するOLTの容量によって決まる。何らかの理由により、OLTの容量を超えた場合、当該OLTは、伝送タイムスロットを割り当てて、低減させた容量もしくはQoS(サービス品質)のいずれかを、全アクセスノードにわたって分散することができ、または、当該OLTは、選択されたアクセスノードを、他のアクセスノードを犠牲にして優先することができる。
【0035】
好ましい実施形態において、OLT250は、バックアップノードとしてのみ使用されるが、代替的実施形態において、OLTは、正常動作の一部分として、アクセスノードトラフィックの一部を処理するために利用され得る。万一別のアグリゲーションノードが障害を起こした場合、この正常動作のトラフィックは、利用可能な別の一次ノードを経由して再度経路指定され得るか、または、OLTのスケジューリング機能によって単に考慮され得る。
【0036】
図3は、本発明の実施形態による方法300を示すフロー図である。開始において、このプロセスを実施するのに必要なコンポーネントが、この実施形態により利用可能かつ動作可能であることが想定される。このプロセスは、次いで、通信経路の障害が生じた(または生じるであろう)ことの、OLTによる検出(ステップ305)を開始する。本明細書で使用される障害は、アグリゲーションノードもしくは通信経路に沿ったリンクの完全な障害か、または、容認可能なレベルの伝送品質を下回るある程度までの劣化を意味し得る。「障害」は、たとえば、アグリゲーションノードがメンテナンスのために稼動停止にされ得る場合、事前に計画され得る。障害の「検出」は、次いで、種々の様式で、たとえば、アクセスノードもしくはアグリゲーションノードからメッセージを受信することで、または、アグリゲーションノードに送信されたハートビートメッセージもしくは問合せに対する応答を受信できないことで、生じ得る。
【0037】
たとえ障害が生じても、この実施形態では、ステップ305で障害が検出されると、OLTは、アクセスノードのうちのどのアクセスノードがバックアップサポートを必要とするであろうかを判断する(ステップ310)。障害表示が到着した時間に、OLTが既にバックアップサポートを提供している場合、このステップが、このバックアップサポートが依然として必要とされているか否かを判断することも含むことに留意されたい。いくつかの実施形態では、OLTが正常なトラフィックを処理している場合、このステップは、バックアップアグリゲーションノードとしてOLTの使用を必要としないトラフィックの一部または全てをオフロードすることも含み得る(別個に図示せず)。
【0038】
図3の実施形態において、OLTは次いで、アクセスノードからの少なくとも上り伝送のための伝送スケジュールを算出する(ステップ315)。上で述べたように、いくつかの実施形態において、伝送スケジュールは、OLTによる下り伝送も含み得る。上り伝送スケジュールを策定する際に、OLTは、各アクセスノードに対して同一量の時間を配分することが考えられるが、他の場合では、より高い優先順位のレバーを授与されているか、または、より高いQoSレベルを割り振られているアクセスノードに対し、より多くの時間を配分することが考えられる。より多くの時間は、当然ながら、比較的より多くの、または、比較的より長い、伝送ウィンドウによって割り当てられ得る。いくつかの実施形態において、OLTは、トラフィックレベルを監視し、より高いトラフィックレベルを有するアクセスノードに対し、より多くの伝送時間を割り当てることが考えられ、この割り当ては、トラフィックレベルが変動するのに伴い、経時的に変化させることができる。
【0039】
図3の実施形態において、策定された(または、妥当であれば、再度策定された)スケジュールは、影響を受けたアクセスノードに伝送される(ステップ320)。いくつかの実装においては、スケジュールが各アクセスノードによって受信されたこと、および、アクセスノードが、配分されたそれらのタイムスロット上で伝送を行っていることを確認するために、返答(図示せず)が必要とされ得る。OLTは次いで、確立されたスケジュールに従い、影響を受けたアクセスノードとの通信を開始する(ステップ325)。
【0040】
いくつかの実施形態では、OLTが伝送スケジュールを算出せず、むしろ、このことが、何らかの他のネットワーク要素において実施され、OLTおよび他の影響を受けたネットワークノードに提供されることに留意されたい。
【0041】
図3の実施形態において、OLTは、この方式で、影響を受けたアクセスノードに対するバックアップアグリゲーションノードとして振舞うことを続けるが、いくつかの場合においては、必要に応じて伝送スケジュールを再度算出する(図示せず)。何らかの時点において、リンクまたはノードの障害が修復されるであろうことが想定され、OLTは、影響を受けたアクセスノードのいくつかまたは全てに対する一次通信経路が修復されたという表示を受信する(ステップ325)。次いで、伝送スケジュールが再度算出され得る(ステップ330)が、バックアップアグリゲーションノードを必要とするアクセスノードが存在しない場合、この再度算出は、些細な事象となり得る。次いで、アクセスノードのいくつかまたは全てにメッセージ(ステップ335)が送信されて、当該アクセスノードに対し、OLTがもはやバックアップアグリゲーションノードとして振舞わないこと、および、さらなる通信が、代わりに一次アグリゲーションノードを介し、一次通信経路を通じて伝送されるべきであることを通知する。
図3には示されていないが、いくつかの実施形態においては、データセンターネットワークがこの様式でトラフィックを経路指定する場合、OLTが、この時間において、正常なトラフィックの搬送を再度開始することが考えられる。
【0042】
明らかであろうが、
図3の方法300は、OLTの観点から動作する。アクセスノードの観点からのプロセスは、
図4を参照して説明する。
図4は、本発明の実施形態による方法400を示すフロー図である。開始において、このプロセスを実施するのに必要なコンポーネントが、この実施形態により利用可能かつ動作可能であることが想定される。このプロセスは、次いで、一次アクセスノードを経由したアクセスノードの通信に影響を及ぼす通信経路の障害が生じた(または生じるであろう)ことの、当該アクセスノードによる検出(ステップ405)を開始する。
【0043】
アクセスノードが、通信経路の障害が生じた(または差し迫っている)ことに気付くと、当該アクセスノードは、通常、OLTから、光伝送スケジュールを要求する(ステップ410)。この要求が、光伝送回線を通じて送信される可能性が概ね高いため、当該要求は、このような要求に対して確立されたウィンドウの期間中に送信され得る。代替的に、異なるタイプの制御経路が事前に構成され得る。
【0044】
図4の実施形態において、アクセスノードは、次いで、光チャネルを通じた、OLTに対する上り伝送のためのスケジュールを受信するはずであり(ステップ415)、このスケジュールに従って伝送(ステップ420)を開始する。OLTをバックアップアグリゲーションノードとして使用することは、次いで、一次通信経路が復元されたというメッセージが受信される(ステップ425)まで続き得、その時点で、アクセスノードは、一次アグリゲーションノードを介して通信を再開する(ステップ430)。
【0045】
方法400の処理が、方法300の処理と、完全にではないにせよ、ほぼ互換性を有していることに留意されたい。これらのプロセスは、動作が類似しているものの、それでもなお、本発明の異なる実施形態を代表しており、一方に存在するか、または存在しないステップが、他方において必ずしも存在するわけではなく、または、必ずしも存在しないというわけではない。当然ながら、さらなる変形形態が可能であり、たとえば、或る実施形態においては、図面に示された全ステップが必ずしも必要であると言うわけではなく、また或る実施形態においては、付加的なステップが追加され得る。また、特定の実施形態において特に列挙または示唆されていない限り、これらの方法のステップは、論理的に一貫性のある任意の順序で実施され得る。
【0046】
本発明の複数個の実施形態を、添付の図面に示し、上記の発明の詳細な説明において説明してきたが、本発明が、開示された実施形態に限定されず、むしろ、明記され、以下の特許請求の範囲によって規定されるこの発明から逸脱することなく、数々の再編形態、変更形態、および代替形態が可能である旨が理解されるべきである。