(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797843
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】非破壊的な方法で試験対象の材料を試験するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/90 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
G01N27/90
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-520650(P2014-520650)
(86)(22)【出願日】2012年7月18日
(65)【公表番号】特表2014-521097(P2014-521097A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2012064057
(87)【国際公開番号】WO2013011050
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2014年6月5日
(31)【優先権主張番号】102011079438.7
(32)【優先日】2011年7月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512259156
【氏名又は名称】インスティトゥート ドクトル フェルスター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ホルツマイヤー, ベルンハルド
(72)【発明者】
【氏名】ハルター, ミカエル
【審査官】
松谷 洋平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−271318(JP,A)
【文献】
特開平07−234206(JP,A)
【文献】
特開平07−225220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/72−27/90
G01N 21/84−21/958
G01N 29/00−29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非破壊的な方法で試験対象(8)の材料を試験するための方法であって、前記試験対象がプローブ(1)に対して変動可能な相対スピードで移動され、前記方法が以下の工程を含む、方法:
− プローブ(1)によってプローブ信号(US)を検出すること、
− プローブ信号(US)をアナログからデジタルへの変換に供し、予め規定されたワード反復割合でデジタルワードの配列の形のデジタル化プローブ信号(USD)を生成すること、
− デジタル化プローブ信号(USD)、又はデジタル化プローブ信号から導出されるデジタル復調信号(UM)のワード反復割合のn段階の間引き、但しn段階の間引きはn個の縦列の間引き段階(5_1〜5_n)(n≧2)によって実施される、
− 瞬間相対スピードに依存してn個の間引き段階(5_1〜5_n)の一つの出力信号(UA_1〜UA_n)を選択すること、及び
− 選択された出力信号のワード反復割合でクロックされるデジタルフィルター(7)によって選択された出力信号をフィルタリングすること。
【請求項2】
ワード反復割合のn段階の間引きが以下の工程を含む、請求項1に記載の方法:
− 設定可能な係数k(但しk≧2)によって間引き段階の一つにおいてワード反復割合を間引きすること、及び
− 2の一定係数によって残っている間引き段階においてワード反復割合を間引くこと。
【請求項3】
kが瞬間相対スピードに依存して設定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
デジタルフィルター(7)がバンドパスフィルターであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
デジタル化プローブ信号又はデジタル復調信号のワード反復割合が1kHz〜200MHzの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
以下の工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法:
− 試験対象(8)に交番磁界を付与して試験対象(8)において生じる交番磁界を生成すること、但し交番磁界は少なくとも一つの予め規定された搬送周波数で周期的に変化し、従ってプローブ信号(US)がその少なくとも一つの搬送周波数を有し、試験対象の材料特性に依存してその振幅及び/又は位相に関して変調される、及び
− デジタル化プローブ信号(USD)と、少なくとも一つの搬送周波数を有するデジタル化搬送信号とを掛けることによってデジタル化プローブ信号(USD)をデジタル的に復調し、予め規定されたワード反復割合を有するデジタルワードの配列の形のデジタル化復調信号(UM)を生成すること。
【請求項7】
以下のものを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法を実施するための装置:
− プローブ(1)、
− デジタル化プローブ信号を生成するためにプローブ信号(US)をアナログからデジタルへの変換に供するために設計されたアナログデジタル変換器(3)、
− n個の縦列の間引き段階(5_1〜5_n)、
− 相対スピードに依存してn個の間引き段階(5_1〜5_n)の一つの出力信号(UA_1〜UA_n)を選択するために設計された選択手段(6)、及び
− デジタルフィルター(7)。
【請求項8】
プローブ(1)が、磁界プローブであることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
試験対象に交番磁界を付与するために設計された磁界生成手段、及びデジタル化プローブ信号をデジタル的に復調するために設計されたデジタル復調器(4)を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非破壊的な方法で試験対象の材料を試験するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非破壊材料試験は、例えば金属半完成製品の形の試験対象中の欠陥を検出することを含む。
【0003】
一つの試験方法の変形例は、正弦波付勢送信コイルによって試験対象に周期的な交番電磁界を付与することを含む。それによって試験対象に誘導された渦電流は、次に例えばコイル又はコイル装置の形のプローブにおいて搬送振動を有する周期的電気信号を誘導し、その振幅及び/又は位相は、もし欠陥がプローブの測定範囲に到達するなら試験対象中の欠陥によって特徴的な方法で変性される。
【0004】
材料試験中、試験対象は、例えばもし試験対象がプローブに対して加速又は減速されるなら、変動可能な相対スピードでプローブに対して移動されることができる。試験対象中の欠陥のためにプローブにもたらされる信号のスペクトルは、相対スピードに依存し、従って相対スピード依存フィルターセットが、通常、プローブ信号のために要求され、それは追加の支出を伴なう。
【0005】
同じことは、搬送信号が試験対象に付与されない試験方法の変形例にも相応して当てはまる。なぜならプローブ信号のスペクトルはそれらの変形例において相対スピードに依存するからである。
【0006】
WO2006/007826A1は、変動可能な相対スピードでプローブに対して移動される試験対象中の欠陥を非破壊的にかつ非接触的に検出するための方法を開示し、その方法では、周期的交番電磁界は送信器によって試験対象に付与され、周期的電気信号はプローブによって検出され、前記信号は搬送振動を有し、その振幅及び/又は位相は試験対象中の欠陥によって変調され、A/D変換器段階は搬送振動の周波数のn番目の積分画分で始動され、nは特に相対スピードに依存して選択される。
【発明の概要】
【0007】
本発明によって対処される問題は、試験対象とプローブの間の変動可能な相対スピードで信頼性がありかつ容易に実施可能な材料試験を可能にする、非破壊的な方法で試験対象の材料を試験するための方法及び装置を提供することである。
【0008】
本発明は、請求項1に記載の方法及び請求項7に記載の装置によってこの問題を解決する。
【0009】
本発明は、非破壊的な方法で試験対象の材料を試験するための方法であって、前記試験対象がプローブに対して変動可能な相対スピードで移動され、前記方法が以下の工程を含む:
− プローブによってプローブ信号、例えばプローブ電流及び/又はプローブ電圧を検出すること、
− プローブ信号をアナログからデジタルへの変換に供し、予め規定された、特に一定のワード反復割合でデジタルワードの配列の形のデジタル化プローブ信号(USD)を生成すること、
− n個の縦列の間引き段階によるデジタル化プローブ信号、又はデジタル化プローブ信号から導出されるデジタル復調信号のワード反復割合のn段階(n≧2)の間引き(decimation)、但し各間引き段階は、減少されたワード反復割合(例えば1オクターブだけ減少)を持つが一定のワード幅を持つデジタル出力信号を出力する、
− 瞬間相対スピードに依存してn個の間引き段階の一つの出力信号を選択すること、及び
− 選択された出力信号のワード反復割合でクロックされるデジタルフィルターによって選択された出力信号をフィルタリングすること。
【0010】
デジタルフィルターの実現は、フィルターカットオフ周波数と試料又はワード反復割合(必要なワード幅、不安定性など)の間の分離が大きいほど一層問題である。それゆえ、本発明によれば、ワード反復割合は、フィルタリングの前にできるだけ多く減少される。減少されたワード反復割合は、起こる最大信号周波数の例えば約20〜30倍に相当しうる。変動する相対スピードを持つ用途では、変動する信号周波数が存在する。この状況は、操作時に信号周波数にフィルターのカットオフ周波数を適応することを必要とする。操作中にフィルター係数を再ロードすることによってフィルターカットオフ周波数を変えることは問題である(過渡効果、全ての係数セットの安定性のチェックなど)。デジタルフィルターでは、カットオフ周波数は試料又はワード反復割合に対して固定した比率であるので、本発明によれば、使用される試料又はワード反復割合は代わりに瞬間信号周波数(即ち、相対スピード)に対して動的に適応される。フィルターの係数セットはそのとき変わらないままであることができる。
【0011】
一つの実施形態では、ワード反復割合のn段階の間引きは以下の工程を含む:
− 設定可能な係数k(但しk≧2、好ましくは20≦k≦40)によって間引き段階の一つ、特に第一間引き段階においてワード反復割合を間引きすること、及び
− 2の一定係数、正確には1オクターブによって残っている間引き段階、特に第二番目から第n番目の間引き段階においてワード反復割合を間引くこと。
このようにして、微細にステップを付けられた方法で大きいダイナミックレンジを通して実行することができる。好ましくは、kは、瞬間相対スピードに依存して設定される。
【0012】
一つの実施形態では、デジタルフィルターはバンドパスフィルターであり、バンドパスフィルターは、特に操作時(即ち、非破壊的な方法で試験対象の材料を試験する工程時)に一定の予め規定されるフィルター係数を有する。
【0013】
一つの実施形態では、デジタル化プローブ信号又はデジタル復調信号のワード反復割合は1kHz〜200MHz、特に2MHz〜6MHzの範囲にある。
【0014】
一つの実施形態では、上記方法は以下の工程をさらに含む:
− 試験対象に交番磁界を付与して試験対象において対応して生じる交番磁界を生成すること、但し交番磁界は少なくとも一つの予め規定された搬送周波数で周期的に変化し、従ってプローブ信号がその少なくとも一つの搬送周波数を有し、試験対象の材料特性に依存してその振幅及び/又は位相に関して変調される、及び
− デジタル化プローブ信号と、少なくとも一つの搬送周波数を有するデジタル化搬送信号とを掛けることによってデジタル化プローブ信号をデジタル的に復調し、アナログからデジタルへの変換の予め規定されたワード反復割合を有するデジタルワードの配列の形のデジタル化復調信号を生成すること。
【0015】
装置は上記方法を実施するために設計され、以下のものを含む:
− プローブ、
− デジタル化プローブ信号を生成するためにプローブ信号をアナログからデジタルへの変換に供するために設計されたアナログデジタル変換器、
− n個の縦列の間引き段階、
− 相対スピードに依存してn個の間引き段階の一つの出力信号を選択するために設計された選択手段、例えばスイッチマトリックス又はマルチプレクサ、及び
− デジタルフィルター。
【0016】
一つの実施形態では、プローブは、特に磁界を誘導的に又はホール効果を使用することによって検出するために設計された磁界プローブである。
【0017】
一つの実施形態では、試験対象に交番磁界を付与するために設計された磁界生成手段、及びデジタル化プローブ信号をデジタル的に復調するために設計されたデジタル復調器が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、図面を参照して以下に記載される。図面は、本発明の好ましい実施形態を概略的に示す。
【0019】
【
図1】
図1は、非破壊的な方法で試験対象の材料を試験するための装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、非破壊的な方法で試験対象8の材料を試験するための装置を示し、前記試験対象は、装置において知られている変動可能な相対スピードで磁界プローブ1に対して移動され、交番磁界は磁界生成手段(特に図示せず)によって前記試験対象に付与され、前記交番磁界は励起信号によって生成され、励起信号は、従って交番磁界も、少なくとも一つの予め規定された励起又は搬送周波数で周期的に変化する。励起又は搬送周波数は、例えば1kHz〜500kHzの範囲にあることができる。
【0021】
結果として、対応する活性又は得られる交番磁界が試験対象に生成され、かくしてプローブ信号USは少なくとも一つの搬送周波数を有し、試験対象の材料特性に依存してその振幅及び/又は位相に関して変調される。
【0022】
プローブ信号USは、下流に接続されたアンチエリアシング(AAL)フィルター2によってフィルタリングされ、次いでアナログデジタル変換器3によってアナログからデジタルへの変換に供され、予め規定された一定のワード反復割合及び予め規定された一定のワード幅でデジタルワードの配列の形のデジタル化プローブ信号USDを生成する。従って、プローブ信号USは、一定のワード反復又は試料割合で時間及び振幅の別個の方法でデジタル化される。ワード反復割合はアナログデジタル変換器3によって決定され、例えば4M試料/sである。アナログデジタル変換器3及びアンチエリアシングフィルター2の形の上流回路は、シャノンの定理に従っている。即ち、アナログデジタル変換器3の入力信号は<2MHzの周波数成分だけを含む。
【0023】
デジタル復調器4は、デジタル化プローブ信号USDと、少なくとも一つの搬送周波数を有するデジタル化搬送信号(特に図示せず)とを掛けることによってデジタル化プローブ信号USDをデジタル的に復調し、予め規定されたワード反復割合を有するデジタルワードの配列の形のデジタル化復調信号UMを生成するために作用する。復調は、励起信号とプローブ信号USの間の位相シフトが決定されることができるために励起信号で位相ロックした方法で実施され、それは試験情報を含む。復調は、アナログデジタル変換器3の完全なワード反復割合を維持しながら励起信号を掛けることによって実施される。
【0024】
復調は二度実施されることができる。即ち、第一にX成分を生成するために搬送周波数を有する余弦信号を掛け、次にY成分を生成するために搬送周波数を有する正弦信号を掛ける。これらの掛け算は、搬送周波数を有する本スペクトルの合計及び差異を生じる。二つの復調された成分のさらなる処理は各場合において同一の方法で行なわれ、さらなる処理は例えば一つの成分に対してのみ以下に記載される。
【0025】
通常、復調は、固定位相角で搬送周期あたり1又は2個の試料によって実施される。この場合において、復調は、搬送周波数又は搬送周波数の二倍でサンプリングすることを同時に意味する。エリアシング積の結果としての外乱を避けるために、この復調の前に、アンチエリアシングフィルターによって、0Hzで、搬送周波数付近で、そしてその倍数で周波数範囲を抑制することが必要である。
【0026】
本発明によれば、復調は、復調が励起又は搬送周波数から独立しているようにアナログデジタル変換器3の完全な一定のワード反復割合で実施される。これは、アナログデジタル変換器3の上流のアナログ回路の経費を最小に、即ちアナログデジタル変換器3のワード反復割合又はワード反復割合の半分の一定のAALローパスフィルターに低減する。ワード反復割合が復調前又は復調中に減少されないことによって、復調前にAALフィルターは要求されない。
【0027】
n個の縦列の間引き段階5_1〜5_nを有するデシメーターは、デジタル復調信号UMのワード反復割合のn段階の間引きのために作用し、それぞれの間引き段階5_1〜5_nの出力はスイッチマトリックス6の形の選択手段の対応する入力に接続される。間引き段階の数nは、例えば13であることができる。
【0028】
ローパスフィルター(図示せず)は、復調器4に又は下流に接続される方法で与えられ、前記ローパスフィルターは、搬送周波数の二倍の二次復調積が十分に抑制されるように容量決定される。同時に、ローパスフィルターは、ワード反復割合の間引き前にAALフィルターとして作用する。
【0029】
スイッチマトリックス6の出力はアプリケーションフィルターとしてデジタルバンドパスフィルター7に接続され、スイッチマトリックス6は瞬間相対スピードに依存して間引き段階を選択し、それはスピード測定装置9によってスイッチマトリックス6に対して利用可能にされる。スイッチマトリックス6によって選択された出力信号はバンドパスフィルター7のための入力信号として作用し、それは選択された出力信号の対応して減少されたワード反復割合でクロックされる。
【0030】
バンドパスフィルター7の相対スピード依存クロッキングのため、そのカットオフ周波数は瞬間相対スピードに対して自動的に適切に発生し、従ってプローブ1に生成された信号の相対スピード依存スペクトルは、従来要求されているように相対スピード依存フィルターセットを必要とせずに自動的に考慮される。
【0031】
ローパスフィルター7a及びハイパスフィルター7bを含むバンドパスフィルター又はアプリケーションフィルター7は、アプリケーションに特化した干渉抑制のために実質的に作用する。フィルタリングされる干渉は、例えば微小構造の変化、透過性の変動、表面粗さなどのため、主として試験材料から発生する。ハイパスフィルター7bはこのために重要である。ローパスフィルター7aは、例えば電力供給システムの雑音を抑制するために低周波干渉抑制のために作用する。
【0032】
アプリケーションフィルター7のパスバンドは、所定のトラックスピードで見い出される異なる材料欠陥の周波数に対応する(狭いクラックは斜めに交差された広いクラックに対して垂直に交差される)。対応してバンドパスフィルターでフィルタリングされた復調信号はアプリケーションフィルター7の出力での出力であり、その復調信号は、例えばもし適切なら、さらなるワード反復割合減少後に、試験対象中の欠陥を識別するためのマイクロプロセッサ及び/又は専用ハードウェアで評価されることができる。
【0033】
変動するトラック又は相対スピードを有する用途では、変動する信号周波数が存在する。この状況は、操作時にアプリケーションフィルターのカットオフ周波数を信号周波数に適応することを必要とする。しかしながら、操作中に係数を再ロードすることによってフィルターカットオフ周波数を変化することは問題である(過渡効果、全ての係数セットの安定性をチェックすることなど)。しかし、デジタルフィルターでは、カットオフ周波数はクロック周波数、即ちワード反復割合に対して固定された比率であるので、クロック周波数は代わりに信号周波数に動的に適応される。アプリケーションフィルター7の係数セットはそのとき操作時に変わらないままであることができる。
【0034】
バンド幅は、一方では起こる材料欠陥に、他方では干渉信号の発生に依存して調整可能でなければならない。アプリケーションフィルター7のローパスフィルター7aは常に同じ係数セットで操作されるが、複数のアプリケーションに特化した係数セットはアプリケーションフィルター7のハイパスフィルター7bのために利用可能に維持することができ、セットアップ位相においてオペレーターによってアプリケーションに特化した方法で選択されることができる。しかしながら、試験装置の操作中、係数セットを変更することは必要でない。
【0035】
アプリケーションフィルター7の実現は、フィルターカットオフ周波数とアプリケーションフィルター7のクロック周波数の間の分離が大きいほど一層複雑である。デシメーターによって、この点に関して最適化されたクロック周波数、即ちワード反復割合が常に利用可能にされる。ワード反復割合は、デシメーターによって、例えば期待される最大信号周波数の24倍に間引きされることができる。
【0036】
間引きは一つの工程で実施されず、むしろ第一間引き段階5_1(それは1オクターブ内でワード反復割合を変動する)、及び間引き段階5_2〜5_n(それらは各場合において一つの連鎖の中でワード反復割合を半分にする)に分割される。
【0037】
間引きの連鎖又は段階5_2〜5_nを半分にすることは、各段階後にタップを与える。これは、信号が多くの検出周波数のオクターブ工程で同時に利用可能であることを意味する。信号周波数の変化がある場合には、スイッチマトリックス6によって異なる関連タップに変化することができる。変化が実施されることができるダイナミックレンジは、原則として半分になっている段階5_2〜5_nの連鎖を長く伸ばすことによって望むように大きくすることができる。
【0038】
間引き段階5_1〜5_nの各々は、間引きフィルターが簡単で安定した方法で実現されることができるように、カットオフ周波数と関連ワード反復割合の間で小さな分離を有する間引きフィルター(図示せず)を有する。
【0039】
第一間引き段階5_1は、1オクターブにわたって変動可能である間引き割合k(但し、kは例えば20,21,22,・・・40である)でアナログデジタル変換器3のワード反復割合から最も高い必要な検出周波数に減少する。割合減少は、例えば一つの試料の後に次のk−1の試料の除去によって生成されることができる。第一間引き段階5_1によって、ワード反復割合は、ステップ幅≦5%で1オクターブにわたって例えば20段階で変化されることができる。
【0040】
kの変動は、信号周波数に適応した方法で行なわれ、それは次に相対スピードによって検出される。変動する相対スピードの場合には、スピード測定値は規則的に検出され、割合減少kは操作時に動的に含まれる。
【0041】
ワード反復割合の変動範囲は、間引き段階5_2〜5_nによって1オクターブを越えて最も低い必要なワード反復割合まで延ばされる。2倍の割合減少は、一つおきごとに試料が省略される結果として起こる。
【0042】
間引き段階5_2〜5_nの連鎖は、常に全長にわたって最小信号周波数に従って操作される。試験信号のさらなる処理のためのタップは、各半分化段階の後に実施されることができる。間引き自体はこの場合において変わらないままである。
【0043】
復調器は、変調されないプローブ信号の場合にはなしで済ませることができることは言うまでもない。
【0044】
示された実施形態は、試験対象とプローブの間の変動可能な相対スピードで信頼性がありかつ容易に実施可能な材料を可能にする。