(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797852
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】三次元プリント基板構造の製作
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20151001BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20151001BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20151001BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
H05K1/14 B
H05K1/02 A
H05K3/00 J
H05K3/36 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-541501(P2014-541501)
(86)(22)【出願日】2011年11月18日
(65)【公表番号】特表2015-502034(P2015-502034A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(86)【国際出願番号】CN2011082471
(87)【国際公開番号】WO2013071519
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2014年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ナン
(72)【発明者】
【氏名】ニーハス,オーヴィル
【審査官】
井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−346041(JP,A)
【文献】
特開2004−335682(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0071259(US,A1)
【文献】
特開2004−296483(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第1063590(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/252882(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/148293(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/122100(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/14
H05K 1/02
H05K 3/00
H05K 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元回路構造のための部品の製作方法であって、
天面と、対向する底面と、第一の高さと、端部分とを持つ第一プリント基板(PCB)を提供するステップと、
前記第一PCBの前記端部分の前記天面に第一角溝を形成し、前記第一角溝は前記端部分の縁端に延び、前記端部分を第一端部と第二端部に分割するステップと、
PCB材料を前記第一端部の前記天面から取り除き、前記天面から下方のあらかじめ定めた距離にある上面を持つ第一支持部材を形成するステップと、
前記第一PCBの前記端部分の前記底面に第二角溝を形成するステップであって、前記第二角溝は前記端部分の前記縁端に延び、前記第一支持部材と隣接する、ステップと、
前記第二端部の前記底面からPCB材料を取り除き、前記第一PCBの前記天面と連続する上面を持つ第二支持部材を形成するステップであって、傾斜部が前記第一支持部材と前記第二支持部材の間に延び、前記傾斜部は第一の寸法と形状を持つ、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
第二の高さを持つ第二PCBを提供するステップと、
前記第二PCBの縁端に延びる垂直溝を前記第二PCBを貫いて形成するステップであって、前記垂直溝は、前記傾斜部の前記第一の寸法と形状に相当する第二の寸法と形状を有する、ステップと、
前記第一PCBの傾斜部分を前記第二PCBの垂直溝の中に挿入するステップと、
前記第一PCBをあらかじめ定められた角度で前記第二PCBに固定するステップと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
三次元プリント基板構造であって、
天面と第一の高さとを持つ第一プリント基板(PCB)を含み、前記PCBは、
前記第一PCBの端部分に前記天面から下方のあらかじめ定めた距離にある上面を持つ第一支持部材と、
前記第一支持部材と隣接し、前記第一PCBの前記天面と連続した上面を持つ第二支持部材と、
前記第一支持部材と前記第二支持部材との間に延びる傾斜部と
を含み、
前記三次元プリント基板構造は更に、第二の高さを持つ回路部品を含み、前記回路部品は、
前記回路部品の縁端に延びる垂直溝を含み、前記垂直溝は前記傾斜部の寸法と形状に相当する寸法と形状を持ち、
前記第一PCBがあらかじめ定めた角度を持って前記回路部品に連結されるように、前記第一PCBの前記傾斜部が前記回路部品の前記垂直溝内に位置決めされる、
三次元プリント基板構造。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]無線周波(RF)システム製品の構造は、近年より複雑になって来ている。たとえば、RFシステムの三次元構造デザインがより一般的になっている。特定の場合には、特殊な要求に応えるため、回路が1つの共通の平面上にないように、回路部品が三次元で設計される。
【0002】
[0002]概して別々のプリント基板の間の三次元回路接続の提供が代表的な応用例となるであろう。それは特に互いに関して任意の角度で配列される2つのプリント基板などにありがちな縦の連結への応用である。縁端を直角に切ったプリント基板はより簡単に製作できるので、直交連結としてこれを完成させることはより容易である。しかしながら、新しい三次元基板のデザインには、90度ではない角度でのプリント基板が必要とされる。45度の角度が必要な具体例では、標準的なプリント基板製造技術を使った基板への45度の切削溝穴の加工は難しく、コストも高い。
【発明の概要】
【0003】
[0003]三次元回路構造のための部品の製作方法は、天面と、対向する底面と、端部分とを持つプリント基板(PCB)を提供するステップを含む。端部分の天面に第一角溝が形成され、第一角溝は端部分の縁端に延びて端部分を第一端部と第二端部に分割する。PCB材料が第一端部の天面から取り除かれて、天面の下方のあらかじめ定められた距離にある上面を持つ第一支持部材が形成される。第一PCBの端部の底面に第二角溝が形成され、第二角溝は端部分の縁端に延びて第一支持部材と隣接する。第二端部の底面からPCB材料が取り除かれ、PCBの天面と連続する上面を持つ第二支持部材が形成される。傾斜部が第一支持部材と第二支持部材の間に延びている。
【0004】
[0004]以下の図面を用いた説明により、本発明の特徴が当業者にとって明らかになるであろう。図面は単に代表的な実施例を表すに過ぎず、したがって範囲を限定するものではないことを理解したうえで、付属する図面を使って追加の特徴と詳細によって本発明を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】[0005]一実施形態における三次元プリント基板構造部品の製造のための製作工程を示す部分斜視図である。
【
図1B】一実施形態における三次元プリント基板構造部品の製造のための製作工程を示す部分斜視図である。
【
図1C】一実施形態における三次元プリント基板構造部品の製造のための製作工程を示す部分斜視図である。
【
図1D】一実施形態における三次元プリント基板構造部品の製造のための製作工程を示す部分斜視図である。
【
図1E】一実施形態における三次元プリント基板構造部品の製造のための製作工程を示す部分斜視図である。
【
図2】[0006]一実施形態における別の三次元プリント基板構造部品の生産のための製造工程を示す部分斜視図である。
【
図3】[0007]
図3Aは一実施例形態における三次元プリント基板構造部品製作の多様な組立て工程を示す部分斜視図である。
図3Bは一実施形態における三次元プリント基板構造部品製作の多様な組立て工程を示す部分斜視図である。
図3Cは一実施形態における三次元プリント基板構造部品製作の多様な組立て工程を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0008]以下の詳細な記述において、当業者が本発明を実施できるように、実施形態が十分詳しく説明される。本発明の範囲を逸脱することなく、別の実施形態も使用できることが理解されることになる。したがって以下の詳細な記述は、限定的にとらえられるべきではない。
【0007】
[0009]三次元プリント基板(PCB)構造などの三次元回路構造を製作して組立てる方法が提供される。
[0010]いくつかの応用では、1つのPCBと別のPCBとの、または他の部品との間の接続は、直交状態ではなく、90度より小さいか大きいある特定の角度が要求される。ある実施例では、追加の機械部品やコネクタが使われているが、これはシステムをより複雑にし、高コストであり信頼性を損なうことになる。
【0008】
[0011]PCBの縁端での切断は、PCB材料の機械的強度と多層異方性のために典型的には禁止されている。PCB材料は、PCBの縁端に沿った切削工程で容易に損傷を受ける。そのうえ、切断するためにはそれぞれの角度のために90度回転が必要であろうから、全体の工程が極めて複雑となり、高コスト・低効率となってしまう。このような工程には、45度の角度に置かれた切削ヘッドが使える可能性があるが、これは標準的なPCB生産工程技術の一部ではなく、特別な切削ヘッドと機械を必要とする。同時にこのような特別な切削ヘッドと機械を使うと、コーナー部の隅肉を避けることが難しい。
【0009】
[0012]本方法は、一般的なPCB製造技術を使って、1つのPCBと別のPCBとの、または他の電子部品との間の三次元接続のための任意の角度の作成に備えるものである。本取り組みは、航行受信機などに使われる電子部品の組立てを簡単にするために使うことができる。
【0010】
[0013]本方法についての更なる詳細を図面に基づいて以下に説明する。
[0014]
図1Aから1Eに、1つの実施形態による三次元プリント基板構造の部品を製作する多様な製造工程を示す。
図1Aに示すように、天面112と、対向する底面113と、および第一の高さH1とを持つ第一PCB110が提供される。所要の角度を有する斜面を持つ第一角溝114がPCB110の天面112に形成される。1つの取り組みでは、円錐型切削ヘッド130によって、天面112を貫いて縁端115に向かって切り開くことで溝114を形成してもよい。このようにすると、円錐部分116とV字部分117とを持ち、円錐部分116から縁端115に延びる溝114が形成される。溝114は、PCB110の端部分118を、第一端部119と第二端部120とに分割する。
【0011】
[0015]
図1Bに示すように、端部119のPCB材料部分が、上面124を持つ第一支持部材122を形成するために、PCB110の天面112から下方にあらかじめ定めた高さhに相当する分が取り除かれる。1つの取り組みでは、第一支持部材122は、切削ヘッド132によって天面112を貫いて切削することで形成されてもよい。そして円錐部分116を定める残留PCB材料は、
図1Cに示すように切削ヘッド132によって材料を切削することなどによって取り除かれる。
【0012】
[0016]そして前述した作業がPCB110の反対側に対して繰り返される。
図1Dに示すように、あらかじめ定めた角度の斜面を持つ第二角溝126が、端部分118の第二端部120の底面113に形成される。溝126が溝114と同等の形状と寸法になるように、溝126は溝114の形成に使用したものと同じ円錐型切削ヘッド130で形成してもよい。溝126は、端部分118の縁端115に向かって延び、第一支持部材122に隣接している。
【0013】
[0017]
図1Eに示すように、端部120におけるPCB材料部分は、PCB110の底面113からのあらかじめ定めた高さだけ取り除かれ、PCB110の天面112と連続する上面128を持つ第二支持部材127を形成する。これによって、第一と第二支持部材122と127の間に延びる傾斜部129が残される。傾斜部129は、厚さwと、第一と第二支持部材122と127の間の長さH2を持つ。第二支持部材127は、切削ヘッド132によって、PCB110の反対側を貫いて端部120の内部へ向けて切削するなどして形成される。そして溝126が形成された後に残った余分のあらゆる材料は、切削ヘッド132による切削などによって取り除かれてもよい。
【0014】
[0018]一実施形態による三次元プリント基板構造の部品作製のための更なる製作工程を
図2に示す。
図2に示すように、天面212と、PCB110の第一と第二支持部材122と127の間の距離H2に相当する高さH2'とを持つ第二PCB210が提供される。垂直溝214が、上面212を貫いて形成され、PCB210の縁端216に延びている。垂直溝214は、傾斜部129の寸法と形状に相当する寸法と形状を持つ。たとえば、垂直溝214は、傾斜部129の厚さwに相当する幅w’を持ち、傾斜部129の第一と第二支持部材122と127の間の距離H2に相当する高さH2’を持つ。別の実施形態では、所期の構成に必要なら、PCB210を他の回路部品に置き換えてもよい。類似の垂直溝が、上述したようにそのような回路部品に形成される。
【0015】
[0019]
図3Aから3Cは、一実施形態における三次元プリント基板構造生産の多様な組立て工程を示している。
図3Aに示すように、PCB110の傾斜部129は、PCB210または他の回路部品の垂直溝214と位置合わせされている。
図3Bに示すように、傾斜部129を垂直溝214に挿入することによって、PCB110はPCB210(または他の部品)と連結される。PCB110とPCB210は、
図3Cに示すように機械的および電気的に挟み角θを持って連結される。
【0016】
[0020]挟み角をθとして、上述したような三次元プリント基板構造の設計に以下の式を使うことができる。
【0017】
【数1】
ここでhは第一PCBから取り除かれる材料の高さであり、
wは第二PCB上の垂直溝の幅であり、
H1は第一PCBの全高(厚さ)であり、
H2は第二PCBの全高(厚さ)である。
【0018】
[0021]以上の製作工程の全ては一般的なPCB工程に基づくものであり、したがって特別に回転させる操作を必要としない。それぞれの操作はPCBの天面側または底面側において完了し、これは大量生産にとって有用である。電気的な接続はPCB上のメッキによって完成する。傾斜部のメッキを最良の接続を得るために用いてもよく、たとえばより容易なはんだ付けのためとしてもよい。
【0019】
[0022]本発明はその基本的な特性から逸脱することなく、他の特有の形態として実施することができる。説明した実施形態はあくまでも実例であり、これらにのみに限定されるものではないものとみなされる。したがって、発明の範囲は上述した説明よりもむしろ付記する請求項によって示される。請求項と同等な趣旨と範囲内から生じるあらゆる変更は請求項の範囲に含まれるものとされる。